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Patients with daily headache R. Allan Purdy 2013/3/24 Group lesson

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Patients with daily headache R. Allan Purdy 2013/3/24 Group lesson
Patients with daily headache
R. Allan Purdy
2013/3/24
Group lesson 3, 4
連日性頭痛
学ぶべき重要な点
高齢者にみとめる頭痛は,常に二次性頭痛を検索する必要がある.
検査でほとんど臨床所見がない場合は病歴が重要となる.
診断の手掛かりとなる全身症状を探さなければならない.
診断が正しく行われなければ重篤な結果につながる.
症例
JS は 72 歳の男性,いくぶん左側前頭,側頭部に局在をもつ,3 か月間持続する頭痛をみと
めている.頭痛は比較的重度で性質としては鈍い穿刺痛であり,軽減あるいは増悪させる
要因は無い.
頭痛は徐々に悪化しており,患者自身が病的と感じるようになっていった.痛みは顔面や
下顎,舌にも広がっていった.
疲労感,体重減少を自覚していた.また,血管疾患の既往がある.
ここ数週間のあいだに一過性の左目の視力消失をみとめ,カーテンが降りてくるようであ
った.
身体所見
身体所見では一見いくらか病的であり,痛みのために疲弊しているようであった.
血圧は 140/90,脈拍は 68.
神経局在徴候はなく一般身体所見も正常のようである.
眼底はいくぶん動脈硬化性および高血圧性動脈変化がみとめられた.
頭部および頸部に雑音無し.
最初の印象
JS は一次性あるいは二次性頭痛に特徴的ではない一定の頭痛をみとめ,一日 4 時間以上,
1 か月に 15 日以上持続するため慢性連日性頭痛(Chronic daily headache)のようである.し
かしながら,頭痛はまだ 6 か月持続しているわけではない,これは鑑別診断上重要なポイ
ントである.
それ以外で明らかになったこと
JS は頭痛の誘発となる,あるいは軽減する要因は述べなかった.
このことは片頭痛,緊張型頭痛,および群発頭痛を含め,一次性頭痛には必ず影響をあた
える要因があるので,とても重要なことである.
このことは少しずつ悪化している頭痛と関連し,二次性頭痛の原因を検索するうえで’ red
flag’と定義され注意が必要な頭痛である.
胆嚢の摘出を過去に行っている.
第一ステージでの質問
現時点で鑑別診断を 3 つあげよ.
他に必要とする情報はあるか?
初期検査は何が必要と考えられるか?
さらなる分析
体調は良くないと自覚し,疲労感や体重減少をみとめており,全身疾患が推測される.こ
れらのことから頭痛をきたす悪性の疾患が考えられるかもしれないが,全身の症状を認め
る患者では広く鑑別診断を考えるべきである.
さらに,一次性頭痛の患者は食欲不振(緊張型頭痛),嘔気および嘔吐(片頭痛)をみとめ
うるが,これらは持続するものではなく反復に出現するものであり,さらに本症例では発
症年齢も重要である.
症状の分析
JS は顔面や下顎,舌にも痛みをみとめるが,下顎や舌の痛みは食事中や会話中に増悪する.
それゆえ注意深く評価する必要がある.これらの症状は動作により出現しており,それぞ
れ下顎跛行,舌跛行と言われる.
Clinical Pearl
跛行は筋肉への血流供給が食事中の虚血により障害を受けた状態,すなわち虚血であると
考えられ,その結果痛みが生じたと思われる.
症状分析
ここでの視覚症状は典型的な’ 黒内障 (amaurosis fugax) ’であり,網膜中心動脈への血流障
害が示唆される.
闇が下がってくる(カーテンがかかってくる)と描写される典型的な視力障害は,解剖学的に
網膜の血流供給で説明されうる.すなわち下方の血管がまず障害を受け次に上方の細動脈
が障害を受けるのである.
それ以外に考えるべきことは?
病歴ではその他に重要な特徴は無い.徐々に進行した軽度の高血圧および胆嚢摘出の既往
があるが,他に全身疾患を示唆することは無い.
血液検査及び各種検査
血算,CRP,ESR を含む一般血液検査,心電図,胸部レントゲン撮影,および単純CT検
査.
電解質,腎機能,脂質検査.
第二ステージでの印象
高齢者における二次性頭痛のようである.視力障害の訴えから一過性脳虚血発作(TIA)が重
要であり,頚動脈疾患を考慮する必要がある.
しかしながら,頭痛は日々みとめ TIA としては非典型的であり,進行性である.それゆえ
その他の血管疾患を考えておかねばならない.
さらなる印象
全身症状を説明しうる悪性疾患に関連した非細菌性心内膜炎からの心原性塞栓のようでは
ない.
第二ステージでの質問
現時点で,一分野に診断を狭めることは可能か?
その診断からさらに詳しく分析ができるか?
さらに必要な検査は?そこから何が分かるか?
早急な治療あるいは長期にわたる治療の必要性は?
診断
下顎および舌跛行を伴う視覚症状は,初期にはみとめなかったが後に出現したリウマチ性
多発筋痛症による肩の痛みと同様に,側頭動脈炎に特徴的な症状である.
ある一つの身体所見が診断の助けとなる.次のスライドを見て!
(写真)
こめかみの所見
診断のポイント
病的な全身所見は側頭動脈炎に典型的ではあるが,特異的なものではない.
さらに,側頭動脈炎は全身の疾患であり,頚動脈,脳底動脈,冠動脈といったその他の動
脈にも病変がみとめられ,脳梗塞や心筋梗塞の原因となる.ゆえに,ある意味側頭動脈炎
は不適切な名称でもある.
側頭動脈炎の頭痛
側頭動脈炎による頭痛は特異的なものではないが,多くの高齢患者では早急な診断が重要
である.
痛みはたいてい側頭動脈領域にみとめられ,側頭動脈炎の症状として共通してみとめられ
るものである.
Another Clinical Pearl
前部虚血性視神経炎(Anterior ischemic optic neuropathy; AIOP)は,側頭動脈炎患者に起
こりうる疾患で,治療しない場合あるいは治療した場合でも失明に至りうる.
本症例での診断は側頭動脈の腫大・湾曲をみとめ.疼痛をともなう所見から示唆された.
治療方針
血液検査の結果.
コルチコステロイドによる治療.
その他の疾患除外のための CT 検査.
頚動脈病変による TIA 除外のための頚動脈超音波.
側頭動脈生検.
血液検査
血液検査の結果は有用であり診断を強く支持するものである.
―血算では小球性貧血をみとめ,ESR は 125,CRP は 42 であった.
―生化学の結果は正常であった.
―心電図結果も本質的に正常であった.
ステロイドに関して
動脈炎による障害,特に前部虚血性視神経炎(AION)による失明を防ぐためにも,できる限
り早く治療を開始すべきである.
治療はプレドニゾン 40~80 mg/日から開始するが,一般的には 60 mg/日以上で行うほうが
良いだろう.
CT 検査の有用性
本症例では,全身の悪性疾患による転移性脳腫瘍,頚動脈病変による TIA,あるいは心源
性塞栓による小梗塞の可能性があったため,CT 検査は適切であるといえる.
本症例では,CT 検査は年齢と比較しても正常である.側頭動脈炎では一般的に CT 所見が
ない.
頚動脈超音波検査の必要性
繰り返しになるが,黒内障はたいてい内頚動脈から眼動脈への Artery to Artery (A to A)に
よる塞栓が原因であるため,頚動脈超音波を行うことは適切である.
本症例では正常であった.
側頭動脈生検
側頭動脈生検は早急に行うべき重要な検査である.病変が散在しているため(skip lesion),
適切な部位で動脈の切除を行う必要がある.
十分な経験を持つ外科医により施行され,側頭動脈炎に知見のある病理医により病理診断
されるべきである.
しかしながら,生検を待ったがゆえに治療の遅れにつながってはならない.
生検結果の補足
仮に生検結果が陽性なら治療を継続し,陰性あるいは判断が困難な場合は臨床経過やその
他の血液検査,特に ESR を参考に治療を行うべきである.
図 2 をご覧なさい,典型的な側頭動脈炎にみとめられる動脈炎の所見です.
(図 2)
長期間にわたる診療フォローアップ
側頭動脈炎患者は多くの一般医によって診療することは可能だが,神経医(Neurologist),
内科医,あるいはリウマチ医に紹介したほうが診断および治療を継続するうえで助けにな
る.
外科医および病理医に早急にかかわってもらうのと同様に,眼科医に眼症状を診療しても
らう必要がある.
治療のフォローアップ
治療継続期間は患者自身の臨床症状と血液検査などの分析による.
多くの患者は数週間にわたり高用量のステロイド投与が必要であり,1 年あるいはそれ以上
の期間は継続する必要がある.
―いくつかの症例では少量のステロイドあるいはその他の免疫抑制剤が必要になることも
ある.ステロイド長期使用による問題(副作用)は避けるべきであり管理しなければならない.
本症例に戻ろう!
経口プレドニゾン開始後すぐに,数時間以内に症状は改善し始めた.プレドニゾン 60 mg/
日内服にて翌日には頭痛はなくなった.
60mg/日で 1 か月間持続し,それから徐々に減量を開始した.すべての面で症状は改善し血
液検査も正常となったため,数か月後には投与を中断した.
最終診断
本症例は前部虚血性視神経炎(AION)ではなく黒内障をみとめた側頭動脈炎の症例である.
本症例は側頭動脈炎の一般的な所見をみとめ,早急に長期間にわたる一般的な治療方針が
行われた.
側頭動脈炎による頭痛は特異的なものではなく,それ自体で診断にいたるわけではない!
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