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肝斑患者における月経周期別ホルモソ値の検討 ただいま、ページを
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IWVr 99.80士4.97 5.49 2.84 13.7 3.72 4.16 17aOH・P4 F 1.15 1、38 0.12 0.08 Androstenedione Testosterone 1.00 <0.10 <0.10 0.89 1.00 Cortisol 2.42 17αOH・Progesterone 88.74士3.30 Progesterone 98.20士4.09 0.17 0.25 Steroids P4 J'A Testosterone 表3 測定法の精度検討結果 100 く0.10 1.00 ゛交差反応の値が高いが,LH・20 7.85 100 column 65.8土6.11 92.3 92.3* 2.42 93.66土2.70 I冑V『 9.32 3.30 17.8 6.10 5.16 CV:co・e伍cientof variationC変動係数) 100 chromatography により除外し得た. αOH-P4, P4分画を得た.各分画は表1に示す如く,各 分画に特異的抗体を用いたRIA法により測定した.各 とした. I・ ステロイド測定に使用した抗体の他のステロイドとの (3)ホルモン測定(図1) 交叉反応を表2に示したがいずれも特異性は充分に高 (i)標準物質 〔1,2,3H(N)〕・17αOH・PiCS.A. 40.4Ci/mmol),〔1,2, く,かつ交叉反応の認められるステロイドは, LH-20 column FSH, chromatographyにより除外し得た. 6,7-3H(N)〕・P4(S.A.90.0Ci/mmol),〔1,2,6,7,16,17-^H LH, (N)〕・T(S.A. たRIA法で測定した. 135Ci/mmol),〔1,2-3H(N)〕・j4A(S,A. 60.0Ci/mmol),〔1,2-3H(N)〕・F(S.A. あらかじめSephadex LH-20 45Ci/mmol)は, PRL, E2,黄体期のP4は第1 RIのキットを用い (iii)測定法 columnによって純化し チャコール処理した血清に既知量の各標準ステロイ て使用した. ドを加えて回収率並びにintra (ii)抽出,分離,測定 のco・efficient of variation (CV)を検した成績は表3 採血した血液は遠心分離により血清成分を分離し, エチルエーテルにて抽出後2分し, hexane に示す如くで,いずれも満足すべきものであった. : benzene methanol=80:15:5を液相としたLH・20column : 結 果 健康人及び肝斑患者の月経周期別に測定した各ホル chromatographyにより,Tと∠14A分画を分離,同様 モソ値を表4に示す. にbenzene LH, : methanol assay及びinter = 90 : 10の液相でFと17 FSH, PRLは本症と健康人の間には,卵胞期, assay 939 肝斑患者における月経周期別ホルモン値の検討 表4 月経周期別の健常人と肝斑患者の血中ホルモソ値 lutealphase follicular phase Chloasma Choloasma Control LH(mIU/ml) 24.6士14.8(17) 21.0士11.4(12) 15.9士18.0(15) FSH(mIU/ml) 17.3士17.2(17) 9.9士5.2(17) 13.8±9.5(12) 9.4土16.9(15) 9.5士3.1(12) n.4士6.5(15) PRL(ng/m1) Progesterone (ng/ml) 17αOH-Progesterone (ng/ml) 0.7±0.3(17) ・0.4±0.1(17) 0.7土0.2(12) **23.3士8.9(14) 0.3土0.1(12) 2.6士1.7(15) Estradiol (pg/ml) 66.9士49.3(17) 51.4±21.6(12) 118.0土53.2(15) Androstenedione (ng/ml) Cortisol (ng/ml) 1.1士0.3(17) 0.5± 0.1(16) ・・51.6士14.5(17) Progesterone/Estradiol 26.7士53.8(17) Testosterone (ng/m1) Control 12.1土5.6(11) 5.6士2.6(11) 11.9士5.6(11) 13.1士5.2(11) 2.4土1.2(11) 136.5士70.9(11) 0.9士0.3(12) 1.3士0.3(15) 0.4士0.2(12) 0.5土0.2(15) 1.1±0.2(11) 0.4士0.1(11) 44.8±31.7(11) 33.5士17.3(12) 55.9士31.5(15) 16.0±10.6(12) **・217.1土63.1(14) 119.4士60.2(11) ゛p<0.05 “pく0.01 ”゛pく0.001 mean士S.D. ( )=n PRL mlU/ml - ng/ml mlU/ml 30 30 ○○ 20 20 20 ○○ て呪烏t’︶ ‘`..一...... o心一rfyooo 1・ 一一一一一一% 1 4 10 10 Ch(F) 図2 女子肝斑患者の血中LH, FSH, PRL値 C(F):コントロール(卵胞期),Ch(F):肝斑(卵胞期),C(L):コントロール(黄 体期),Ch(L):肝斑(黄体期),一:平均値 黄体期とも有意差はみられなかったが,黄体期のPRL 3)。 を除いて,卵胞期,黄体期とも本症で高値傾向を認め E2は本症の卵胞期(66.9±49.3pg/ml)は,対照の卵 た(図2). 胞期(51.4±21.6pg/ml)に比し高値を示し,本症の黄 P4は本症患者が黄体期において, 23.3±8.9ng/ml 体期(118.6±53.2pg/ml)は,対照の黄体期(136.5± と健康人の13.1±5.2ng/mlに比し,有意の高値(p< 70.9pg/ml)に比し低値を示したが両者間に有意差は 0.01)を示したが,卵胞期では本症0.7±0.3ng/ml,対 なかった.j4Aは本症で卵胞期(1.1±0.3ng/ml),黄 照0.7±0.2ng/mlで両者間に有意差はなかった. 体期(1.3±0.3ng/ml)とも,対照の卵胞期(0.9±0.3 17αOH・P4は,本症患者が卵胞期において, 0.4±0.1 ng/ml),黄体期(1.1±0.2ng/ml)に比し,高値を示 ng/mlと健康人の0.3±O.lng/mlに比し,有意の高値 したが有意差はなかった(図4)。 (p<0.05)を示したが黄体期では,本症2.6±1.7ng/ml Tについても本症で卵胞期(0.5±O.lng/ml),黄体 対照2.4±1.2ng/mlで両者間に有意差はなかった(図 期(0.5±0.2ng/ml)とも,対照の卵胞期(0.4±0.2ng/ 佐藤 則子 940 加 3 2 ︲ 0 0 9 n ng/ml P4゛゛ - 17αOH・P4* 81 4 m 10 2 図3 女子肝斑患者り血中P4,17αOH・P4値 C(F):コントロール(卵胞期), Ch(F):肝斑(卵胞期),C(L):コントロール(黄 体期),Ch(L):肝斑(黄体期),*:p<0.05, ・・:p<0.01, ng/ml ―:平均値 ∠14A 1.8 pg/ml 300 200 100 0 図4 女子肝斑患者の血中E,, A'A値 C(F):コントロール(卵胞期),Ch(F):肝斑(卵胞期),C(L):コントロール(黄 体期),Ch(L):肝斑(黄体期),−:平均値 ml),黄体期(0.4±O.lng/ml)に比し,高値を示した したが有意差とはならなかった(図5). が有意差はみられなかった。 Fは,本症患者で卵胞期において51.6±14. 又個々の症例につきそのP4/E2比を計算すると,本 5ng/ml 症患者で黄体期217.1±63.1は,対照119.4±60.2に比 と対照の33.5±17.3ng/mlに比し,有意の高値(pく し,有意の高値(p<0.001)が認められたが,卵胞期 0.01)を示したが,黄体期においては本症55.9±31.5 では本症26.7±53.8で対照16.0±10.6に比し高値を示 ng/mlで対照44.8±31.7ng/mlに比し高値傾向を示 したが有意差は認められなかった. 941 肝斑患者における月経周期別ホルモソ値の検討 T ng/ml ng/ml 160 ぶ − 叶 ● ・ 毛穴 ・ g o 00 16 ・ 1 ●・ 100 ふ o。︵y 亜智叩OO O Q● ●●・・ ‘″・一 ・ ″ ・ 0 0.2 C(F) Ch(F) C(L) Ch(L) C(F) Ch(F) C(L) Ch(L) 図5 女子肝斑患者の血中T,F値 C(F):コントロール(卵胞期),Ch(F):肝斑(卵胞期),C(L):コントロール(黄 体期),Ch(L):肝斑(黄体期). ":p<0.01,一:平均値 考 按 contraceptivumの総括的な事柄としては,エストロ 女子肝斑患者の各種血中ホルモソ値を月経周期別に 測定し健康人と比較した結果, FSH, LH, PRL, ジェソの成分を減らしても出現率に差がなく6),銘柄 E2, には無関係な副作用であり,内服期間が長びくにつれ ∠14A,Tは両群の間に差が認められなかったが,卵胞期 て増加する4)とされる.しかしその実際のホルモン値 におけるF値及び17αOH-P4値が正常に比し有意に高 測定の報告は殆んどみられない. 値を示した.又黄体期では特にP4の高値が著明であ 妊薬投与後に発症した本症患者のβ・MSHを測定し, り,個々の症例についてのP4/E2比を検討すると,本症 その増量のないことを示し,本症はβ-MSHの上昇に の黄体期では著明に高いことが認められ,E2に比して よるものではないと結論したが,カエルのメラノフォ P4の相対的な高値が示された.このことより,本症が アにおいてMSHは,P4との協調作用により色素増強 黄体機能のアンバランスに密接な関連を有する事が示 作用が認められる事実12)より,正常量のMSHがP4と 唆された.又臨床的な面より自験例を検討すると,黄 の協調作用により肝斑発生を起こす可能性も否定でき 体期に色素増強の認められた例が,軽度のものまで入 ないとしている.自験例ではβ-MSHを測定していな れると6/15例(40%)あり,これらのホルモソ値の検 いがMSHとP4の協調作用がP4の高値によりさらに Smithら7)は経口避 討では,4例が黄体期P,の高値を示し,2例は正常範 強まっている可能性が推察される.又Snellら13)も天 囲内であった.又月経前緊張症,月経困難症のいずれ じくネヅミにおいて大量のエストロジェソには全身皮 かの存在が10/15例(67%)に認められたが,これら10 膚の色素増強作用があり,P4との併用投与で各々の単 例と残りの5例の間には,ホルモソ値に有意な差は認 独時より,色素増強作用が強まる事実18)より,P4の他 められなかった. のホルモンとの協調作用を指摘している.自験例では 本症の発症が経口避妊薬投与後に多い事は従来より E2の上昇は認められていないが,P4高値によりP4との 報告がある3)4)6) 協調作用が同様に強められている可能性がある. 8).その頻度はSanchezら3)の9%, Carruthers''*の11.5%, Resnik≪の29%となっている. 経口避妊薬に含有されているホルモンは, progestogen regimen estrogen・ が主であるが,唯一ReSnik6)が Carrnthers'"は,経口避妊薬中の2種のホルモンによ りメラニソ形成作用を促進されたメラノサイトが日光 照射により,さらにその作用を増強されたために発症 具体的に薬品名を挙げ,各々のestrogen-progestogen するのではないかとその機序を推測している. の種類と量,その肝斑出現率を示している. Perezらlo)は特発性肝斑9人のホルモソ値を卵胞期 Chloasma 佐藤 則子 942 5日目に採取して調べmatched control との比較にお 胞期卵巣では17αOH,P5より17αOH-P4への転換経路 いて,LHの有意な高値とE2の有意な低下を認め,こ の存在か指摘されている16)又黄体期でのP,の前駆物 れらのホルモンの変調は,軽度の卵巣機能障害の潜在 質はPs を示すとし,これを特発性肝斑の病因として挙げてい の17αOH,P4及び黄体期のP4が高値を示しその代謝 る.今回の自験例の検討では,E2の低下は認められず, 産物のE2が増加を示さないことは,卵巣におけるステ 又LHの増加もなく,代わって黄体期でのP4の有意な ロイド代謝異常が推察されるが,その詳細は明らかで 高値が認められた事より,黄体期卵巣機能のアンバラ なく,本症発生との関係については未知といわざるを ンスを肝斑の病因として挙げる事ができると思われ, 得ない. これにより時に認められる黄体期の増悪も説明できる 尚肝斑患者の肝機能検査結果は18名全例で正常であ (pregnenolone)と考えられる16)今回卵胞期 り,土肥14)も肝機能良好としており,P4,17αOH-P., であろう.又河野11)は,女子顔面黒皮症との比較におい Fの有意の変化は肝機能とは無関係と思われた. て肝斑患者8例について血中と尿中のホルモソ値を測 定し,ACTHの有意な高値と,卵胞期で,P4と尿中プ 本症の病因は,内分泌的なものだけでは説明し得な レグナンディオールの有意な高値,黄体期で尿中プレ い面をもっており,他に日光照射の役割,光線過敏性 グナントリオールの有意の低値を認めているものの, の素因,遺伝的素因,人種的特異性などがある.特に 病因との関係については全く触れていない. 戸田ら17)は,UV照射で肝斑患者は色素沈着をおこし 特発性肝斑としては他に,妊娠性肝斑,子宮性肝斑 やすいという素因を明らかにしている.今回の本実験 が従来より知られている2).妊娠性肝斑は,妊娠3ヵ月 対象患者は主婦が主であり, に始まり,漸次高度となり,分娩後月経再開と共に消 であり,いずれにも戸外労働者は含まれていず,詳細 槌するもので,自験例のうちの1例に妊娠性肝斑の既 は不明であるが,同年代故,日光照射の機会に差はな 往を認めた.子宮性肝斑については,土肥14),New・ いと思われる. comerら9)は婦人科疾患は認められないとし,子宮性 以上本研究結果より,女子肝斑患者ではその血中ホ 肝斑そのものへの疑問が提示されている.自験例では ルモソ値は同年齢及び同月経周日の正常婦人と異なる 5/18例(28%)に婦人科疾患の既往か認められ,その 事が初めて示され,本症と内分泌環境の関係が窺われ, 内訳は子宮筋腫2例,子宮内膜症1例,絨毛上皮腫1 ステロイドホルモン,特に卵巣機能と本症発生の関連 例,卵巣嚢腫1例である.これら5例のホルモン値を検 が考えられた.今後さらに卵巣ステロイド産生の異常 討すると,正常例に比し黄体期P4の高値を示したもの がどの様な機序によりおこるのか,又,相対的高値の は1例であり,むしろ卵胞期P4の高値を示したものが P4が本症発生にどのように関与しているのかなどが 4例と多かった.また17αOH-P4とFは卵胞期におい 今後の研究課題として残されている. て高値傾向が認められたが,残り13例との間に有意の 本論文の要旨は第619回研究東京地方会(1985年3月)及 差は認められなかった.この婦人科疾患の頻度は平均 び第58回日本内分泌学会総会(1985年5月,於名古屋)にお 年齢43歳という年齢を考えると,特に多いものとは思 いて報告した. 稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を頂いた慶応大学皮 えず,自験例の検討からも,子宮性肝斑の存在そのも 膚科学教室西川武二教授,終始直接懇篤に御指導頂いた済 のへの疑問がもたれた. 生会中央病院皮膚科医長中山秀夫博士ならびに昭和大学産 卵胞期のFと17≪0H・P4が有意の高値を示したこと については, controlは全例病院職員 Moltzら15)は,卵胞期早期ではF, 17 科婦人科学教室矢内原巧教授に深甚の謝意を表します.又 種々の測定に関して御教示,御尽力頂いた昭和大学産科婦 αOH-P4は副腎より主に産生されるとしており,本症 人科学教室鈴木真由美先生に深謝致します. での卵胞期における副腎の刺激状態が推察される.卵 文 献 1)三島 豊,浜田稔夫:肝斑.基礎皮膚科学第三巻, immunofluorescence study, 朝倉書店,東京, 脚α 1981. 1973, pp443-445. 「,4 : 698―710, 4) tives,Med } of Attsiral, 2(1):17―20, Sanchez NF, Pathak TB, Sanchez MA, JL, Mihm Sato S, Fitzpatrick MC: Melasma: A clinical,light microscopic, ultrastructural,and 5) Spicher ship women, to E : Some chloasma and AcadDer- 15巻,中山書店,東京, 3) R : Chloasma Am 2)森岡貞雄,山口全一:肝斑.現代皮膚科学大系,第 1973, ppl02-107. 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