Comments
Description
Transcript
アレルギーと性差 特集 アレルギーと性差: オーバービュー
特集 アレルギーと性差 アレルギーと性差: オーバービュー Allergy and gender differences : Overview 戸倉新樹 TOKURA Yoshiki 浜松医科大学皮膚科学講座教授 Summary アレルギー疾患に性差があることは,以前よりいわれている.喘息はその代表的な疾患 であり,その性別頻度は年齢とともに男性から女性に移る.アレルギー性皮膚疾患におい ても性差が認められ,アトピー性皮膚炎,蕁麻疹,接触皮膚炎の一部で観察される.ア トピー性皮膚炎では,金属アレルギーを高頻度に示す内因性のタイプに女性の患者が多い. 蕁麻疹では,減汗性コリン性蕁麻疹の患者の多くは男性である.接触皮膚炎は,職業の要 素も大きく性差に反映される.実験的には,マウス接触皮膚炎モデルで雌雄どちらを使う かは以前より興味の対象であった.こうした性差がどうして生じるのか,そのメカニズム についても種々の臨床・基礎研究がなされている. 減汗性コリン性蕁麻疹 自己免疫性プロゲステロン皮膚炎 コリン性蕁麻疹のなかで,発汗低下を伴うタイプを呼ぶ.無汗部位 ( まっ (autoimmune progesterone dermatitis) たく汗が出ない ) と低汗部位 ( 少量汗が出る ) が体表に存在する.ムスカリ 生理に伴い出現する皮膚炎で,瘙痒症,蕁麻疹, ン型アセチルコリン受容体の発現が,エクリン汗腺上皮細胞において低下 斑丘疹状皮疹,多形紅斑がみられる.原因は明 していることが多い.神経内科的には,減汗を重要視した疾患名である 瞭ではないが,自己のプロゲステロンに免疫系 idiopathic pure sudomotor failure(IPSF)を使用することが多い. が反応するために起こるものと考えられている. KEY WORDS 皮膚アレルギー/性ホルモン/性差/減汗性コリン性蕁麻疹/自己免疫性プロゲステロン皮膚炎/ 内因性アトピー性皮膚炎 SAMPLE Vol.13 No.3 2015‒11 皮膚アレルギーフロンティア (129) 7 Copyright(c) Medical Review Co.,Ltd.