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(2)排卵誘発剤
2010年11月 N―317 研修コーナー (2)排卵誘発剤 正常な排卵周期が起こるためには,視床下部―下垂体―卵巣の協調が必須である.これらのいずれ の部位の機能異常によっても排卵は障害される. 理想的な排卵誘発法は,多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群などの副作用をできるだけ少なくし,単一 排卵を誘発して,かつ妊娠率を上昇させることである. 排卵障害の原因を十分検索して,病態生理に基づいた適切な治療法を選択すべきである.排卵障害 の治療的診断法を図 1 に示した. 図 1 排卵障害の治療的診断法 ①クロミフェン療法 内因性エストロゲンレベルが保たれている第 1 度無月経や無排卵周期症が適応となる.月経周期 5 日目から50∼100mg! 日を 5 日間投与する.無効な場合や,抗エストロゲン作用による子宮頸管粘液 の減少や子宮内膜の菲薄化を認める場合には,ゴナドトロピン療法への変更を考慮する. ② FSH (hMG) -hCG 療法 間脳・下垂体性排卵障害が適応となる.月経周期3∼5日目から hMG (FSH) 製剤75∼150IU を連日 研修コーナー N―318 日産婦誌62巻11号 研修コーナー 注射する.超音波断層法にて卵胞発育モニタリングを行い,主席卵胞径が18mm 以上になったら,hCG 5,000∼10,000IU を投与して排卵を惹起させる.卵巣過剰刺激症候群の発生や多胎妊娠に注意する. わが国で使用されているゴナドトロピン製剤を表 1 に挙げた. 自己注射製剤が発売され,今後の普及が期待される. ③ドーパミンアゴニスト療法 視床下部の機能障害と下垂体 PRL 産生腺腫による高 PRL 血症性無排卵が適応となる. ドーパミンは生理的 PRL 分泌制御因子である.ドーパミンアゴニスト (カベルゴリン,テルグリド, ブロモクリプチン) が有効である. 表 1 尿由来ならびに遺伝子組換えゴナドトロピン製剤 研修コーナー