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特別重点化資金成果報告書
特別重点化資金成果報告書 2012 年 課 題 名 脊髄損傷による車椅子利用者の衣服のための宇宙船内服技術の応用と日仏交流 研究代表者 区 分 4 月 17 日 所属・資格 □ □ □ □ ■ 被服学科・教授 氏 名 多屋 淑子 対外的競争力や外部的資金導入につながる研究・教育プロジェクトへの支援 研究・教育の充実につながる機器・備品の購入 研究成果を出版するための支援 学内活性化につながる研究・教育の補助 その他( その他国際化事業 ) ※該当するものに印をつけてください。 所属・資格・氏名 共 同 研 究 家政学部被服学科・助教・ 成田千恵 家政学研究科被服学専攻 2 年次・水沼千枝 家政学研究科被服学専攻 2 年次・小島久美子 家政学研究科被服学専攻 2 年次・加藤淳子 家政学研究科被服学専攻 1年次・井田真理奈 現代の名工(パターンナー) 沼田喜四司 専攻分野 役割分担等 衣環境 本研究の進捗状況の管理 衣環境 障害者用衣服のモビリティの検討 衣環境 衣環境 衣環境 衣服パターン 脊髄損傷者の体温調節機能不全を補助 する衣服の熱抵抗の検討 脊髄損傷者の発汗現象計測による種々 のストレスの客観化 VR システムによる仮想空間の構築と社 会参加トレーニング用技術の検討 衣服パターン製作・縫製 者 予算執行状況 交 付 額 1,200,000 円 執 行 額 1,200,000 円 設備購入明細(1つまたは1組の価格が50万円以上のもの) 仕様・型 設備備品名 数 量 金 額 性能等 設置場所 研究実績及び成果(1,500 字程度) 当研究室では、極限環境の生活支援を行なうための衣服の研究を行なっている。たとえば、宇 宙船内服の研究は、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士の生活を清潔に維持することに貢献でき た。これらの成果は、地上の介護・福祉分野の生活にも有用であると考えられ、本研究では、宇 宙の生活のために開発した技術を車椅子利用者の生活に役立つ快適な衣服に応用し、これらの衣 服を通して障害者の生活行動を拡大するための支援を行なうことを目的とする。加えて、本研究 の協力者である脊髄損傷者が、2011 年 7 月にフランスのモンサンミッシェル市長との記者会見や 車椅子利用者では困難なモンサンミッシェルの探訪、ならびに JAPAN EXPO(パリ)に参加する機 会があり、本研究による車椅子利用者の衣服の検討は、障害者による日仏交流支援プロジェクト の一環として実施した。 協力者である障害者は、交通事故が原因で体温調節機能が不全であり、下半身不随で歩行がで きず、日常は車椅子利用で生活をしている。社会人として仕事をし、障害者オリンピックに参加 経験のあるスポーツマンであり、登山家の介助を得てヒマラヤ登山を行なうなど、生活活動は非 常にアクティブで生活の快適化に対する要求度が非常に高いという特長を有している。今回の日 仏交流において、本研究のミッションは、障害者が、社会生活をより積極的に自信を持って行な う際に常に懸念事項である衣服のニオイ対策である。そのため、本研究では、排尿カテーテルか ら発生するニオイを消臭し、清潔さを長時間維持できる日常服の検討(下記の①)、車椅子を使用 できない環境や状況において人力やロボットによる介助を要する時の障害者と介護者の両者に使 い勝手の良い快適な衣服(②)の検討、ならびにフォーマルな場における衣服(③)の検討を行 なった。衣服製作には被験者の嗜好や要望も取り入れ、宇宙船内服用に研究開発した清潔さを長 期間維持できる素材を用い、障害者の身体の特徴や生活状況に適切なパターンの検討も行なった。 車椅子利用時の温熱的快適性の検討は、女子大生による被験者実験を行ない、問題点を把握した。 提案衣服は次の 3 種とし、各アイテムの着用評価は着用評価項目の記入とヒアリングを行なった。 ①日常着(カジュアルスタイル):ポロシャツ,チノパン,下着,靴下 ②介助を必要な時の衣服:T シャツ,ウィンドブレーカー,ズボン,キャップ,下着,靴下 ③フォーマルな衣服(スーツスタイル):ジャケット,ズボン,ネクタイ,帽子,下着,靴下 上記のアイテムには、排尿カテーテル使用時に発生するニオイ対策として、消臭・抗菌機能を有 し、皮膚に刺激を与えない素材を使用した。体温調節を補助するために着脱しやすく重ね着可能 なデザインや障害者自身で開閉可能な開口部の工夫を行ない、障害による四肢の細さや麻痺が目 立たず、身体可動部位における動作快適性の高い衣服パターンやカッティングの工夫を行なった。 衣服①は、渡航時の航空機中やフランス滞在中の日常生活用として着用され、衣服②は、ロボ ット介助によるモンサンミッシェルの踏破時に着用され、衣服③は、モンサンミッシェル市エリ ック市長との記者会見や JAPAN EXPO(パリ)で着用された。これらの活動は、多くの海外ニュー スで取り上げられ、 “介護・福祉分野の衣服の日本発のテクノロジーである”として紹介された。 国内でもNHKニュースで放映され、「日本女子大学」のロゴを付けたため、大学の PR の効果も あったと思われる。提案衣服は、清潔さの機能や障害に応じた動作快適性の工夫が評価され、シ ルエットも美しく着心地は良好であり、自信を持って今までよりも積極的に生活ができたとの評 価を得ることができた。提案衣服の有用性が確認でき、今後は、いろいろな症状のある障害者用 の衣服として発展させていく計画である。 発表実績(発表予定も含む) ※研究成果を出版物にまとめた場合は、1部ご提出ください。 ※成果物が閲覧可能な場合は、設置場所・閲覧方法を明記してください。 ※「発表実績」欄には研究成果を発表した雑誌・学会名(発表年月日も記載)の他、外部資金獲得を 目的とした場合は、その外部資金名を記載してください。