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東アフリカ陸上(ウガンダ、ケニア、 南スーダン)

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東アフリカ陸上(ウガンダ、ケニア、 南スーダン)
東アフリカ陸上(ウガンダ、ケニア、
南スーダン)における石油開発と輸
出パイプライン構想
2013年7月26日
調査部
竹原 美佳
1
アフリカ:世界の原油生産
の約1割
BP Statistical review of world energy 2012
2,500
千b/d
2,000
1,500
1,000
500
0
Oil & Gas Journalにもとづき作成
東アフリカ
これまで原油生産の空白
地帯であったが・・・
東アフリカ大地溝帯(Great Rift Valley)の西
側(ウガンダ)と東側(ケニア)で油田発見
出所「活発化する東アフリカ・リフト堆積盆の探
鉱」JOGMEC石油天然ガスレビュー2010年9月
ウガンダ:アルバートリフト堆積盆で油田発
見、開発に向け政府と交渉中
【ウガンダにおける石油開発】
2005年以降アルバートリフト堆積盆3鉱
区(EA*1、EA2、EA3A)で複数の油田を
発見
2012年2月、TullowはTotal・CNOOCに
ファームアウト(PS契約締結)
3鉱区の統合開発、ケニア向けの輸
出パイプライン建設を計画
確認・推定埋蔵量:約18億バレル
2012年7月、開発計画をウガンダ政
府に提出。ウガンダ政府は関係閣僚
とオペレーターによる委員会を設立。
生産開始予定:2018年以降
プラトー:22~23万バレル/日
出所「活発化する東アフリ
カ・リフト堆積盆の探鉱」
JOGMEC石油天然ガスレ
ビュー2010年9月
*EA:Exploration Area
4
ウガンダ:アルバートリフト堆積盆にお
ける発見鉱区
鉱区名
オペレ-ター
パートナー
現状
EA1
(Jobi-Rii)
Total33.3%
Tullow Oil 、
CNOOC
発見、評価中
他
EA2
(Buliisa、
Kaiso
Tonya)
Tullow Oil
33.3%
Total、CNOOC
発見、評価中
Tullow Oil、Total
発見、評価中
EA3A
CNOOC33.3
(Kingfisher) %
5
Tullow
輸出パイプラインならびに製油所建設を巡り
政府と事業者が対立
ルート、距離
事業者は1,200~1,600km、輸
送能力20~25万b/d程度の輸
出用原油パイプライン建設を
計画
*LAPSSET
ケニア(ラム港)、南スーダン、
エチオピアを結ぶ交通回廊
計画
特徴
ケニア1
ホイマ~カン
パラ~ナイロ
ビ~モンバ
サ1,268km
ケニア2
ホイマ~ナイ 標高:○(1よりケ
ニア区間標高が
ロビ~モン
バサ1,229km 低い)
土地収用:△
タンザニア
ホイマ~ダ
ルエスサ
ラーム
1,586km
LAPSSET*、 南スーダン
ケニアリフト ~ホイマ~
との接続
ケニア・トル
カナ北部~
ラム
鉄道ルート沿い:
○
標高:△(最大標
高2,600m)
土地収用:△
標高:○(最も低
い)
距離:△
インフラ:△
Tullow:○
距離:△
6
中国によるインフラ投資や公的融資により
事業進展か?
インフラ
主要販売先
ウガンダ政
府
大規模製油所
2→6万b/d
(12~18万b/d
拡張計画)
東アフリカ域内
(製油所が無く
需要伸びる)
事業者
小規模製油所
(2~3万b/d)お
よび輸出パイ
プライン
輸出
“No Pipe, no
Project”(輸出
パイプラインな
しで事業は成
立しない)
2013年3月、BRICS首脳会議時
ムセベニ大統領・習近平主席は
インフラ整備への協力について
枠組み合意
4月、ウガンダ政府は“需要にも
とづく”製油所建設で事業者と
基本合意
7月、ウガンダ・ムババジ首相訪
中。CNOOCと事業の早期承認、
製油所・輸出パイプライン建設
について協議。
7月、Tullowは数週間以内にウ
ガンダ政府とアルバートリフト堆
積盆の開発計画についてMoU
調印予定(Tullow)
7
開発から生産に至る課題
政府事業
承認
基本設計
(FEED)
投資決定
(FID)
設計調達
建設(EPC)
ファイナンス
生産開始
土地収用
インフラ
社会、環境
開発費(中下流含む):180~220億ドル
8
ケニア陸上(エチオピア):リフト堆積盆
における探鉱・評価中
【ケニアにおける石油開発】
2012年、西部リフト堆積盆において
Tullowが複数の有望構造を発見
2012年3月、Block10BB Ngamia-1(有効
層厚200m超)
2012年11月、Block13T Twiga South-1
(有効層厚75m)
Tullow:13~14年にかけ13T、10BA、
10BBにおいて12坑の掘削キャンペーン
を実施予定
【10BB Ethsko‐1】
Tullow
9
ケニア・エチオピア陸上:リフト堆積盆
における主な契約鉱区
鉱区名
オペレ-ター
パートナー
Block9
加Africa Oil50%
Marathon
Block10A
英Tullow50%
Africa Oil、Afren
Block10BA
Tullow50%
Africa Oil
Block10BB
Tullow50%
Africa Oil
Block11A
米ERHC100%
Block11B
英ADMANTINE50%
英Bowleven
Block12A
Tullow65%
Africa Oil、Marathon
Block12B
Tullow50%
Swala Energy
Block13T
Tullow50%
Africa Oil
Block14T
国営NOCK100%
South Omo
(エチオピア)
Tullow50%
Africa Oil、Marathon
10
南スーダン:独立後の油田生産トラブル
【独立前のスーダンの石油資源】
原油確認埋蔵量:67億バレル
原油生産量(2011年):45万b/d
主要生産企業:アジア国営石油企業
南スーダン独立:2011年7月
原油生産の75%(約35万バレル/日)は南スーダンに帰属
インフラ(製油所、輸出パイプライン)はスーダンに位置
2012年1月下旬、南スーダンは原油生産を停止(未解決の問題*を巡り
スーダンとの関係が悪化、
原油生産量(2012年):スーダン8.2万b/d、南スーダン3.1万b/d
(南スーダンの生産能力は6月に約22万b/dに復旧)
*未解決の問題:
国境、スーダン対外債務の取り扱い、石油収入配分、
パイプライン使用料
11
【原油パイプライン】
Block1/2/4
Muglad Basin~Port
Sudan
1,617km、45万b/d
Block3/7
Melt Basin~Port
Sudan
741km、輸送能力N.A
Block6
Muglad Basin~ハル
ツーム製油所723km、
20万b/d
12
鉱区
独立後の契約形態
上段:スーダンとの契約
下段:南スーダンとの契約
油種
主な油田
Block1/2/4
GNPOC*
Nile Blend
Heglig、Bamboo、Neem、
Canar、Diffra
Greater Pioneer Operating Co.
(GPOC)
CNPC(中国)40%、Petronas(マレー
シア)30%、ONGC(インド)25%、南スー
ダン国営Nilepet5%
Nile Blend
Toma South、El-Nar、ElToor、Munga、Unity
Dar Oil Co(変更契約)
CNPC41%(オペレーター)
Petronas40%、Nilepet8%、
Sinopec6%、Al Thani(UAE)5%
Dar Blend
Adar Yale、Palogue
Petronas68%(オペレーター)
ONGC24% 、Nilepet8%(変更契約)
Nile Blend
Thar Jath
CNPC95%(オペレーター)
Sudapet5%
Dar Blend
Fula、Abu Ghabra
Block3/7
Block5A
Block6
*GNPOC:Greater Nile Petroleum Operating Co.:CNPC、Petronas、ONGC、スーダン国営
Sudapetによる共同操業会社
国連制裁圧力の下で和平合意
2012年1月、南スーダン油田生産停止
2012年4月、南スーダンが国境付近の油田を占拠。国連が介入し停戦
2012年8月、南北スーダンはパイプライン使用料ならびにスーダンへの移
行補償費で基本合意
2012年9月、未解決な問題に関する包括的な9項目で合意(履行せず)
2013年3月12日、2週間以内の原油生産再開と4月5日までの国境からの
完全な軍隊撤収で合意
南北スーダンの石油関連合意内容(2012年8月)
パイプライン使用料:約9億ドル/年
Nile Blend(11ドル/bbl):Heglig~Port Sudanパイプライン使用料8.4ドル/bblおよ
び企業への処理費2.6ドル/bbl
Dar Blend(9.1ドル/bbl):Petrodarパイプライン使用料6.5ドル/bblおよび企業への
処理費2.6ドル/bbl
移行補償費:2014年までに約30億ドル
南スーダンは独立に伴い油田資産の3分の2を失ったスーダンに対し、移行補償費
として2014年までに30.28億ドルをスーダンに支払う。
14
南スーダン:生産・出荷再開したが・・・
 パイプライン閉鎖、生産再停止リスク
2013年4月中旬、南スーダンは石油生産を再開、6月末出荷
6月、バシル大統領は南スーダンが6月7日から60日以内に南北国境
で活動する武装勢力の支持をやめなければ原油輸出パイプラインを
閉じると決定し、南スーダンに正式に通告
7月1日、両国副大統領が3月締結の和平合意を実行すると共同声明
を発表(しかし同声明は石油について直接の言及無し)
7月20日、南スーダンは8月7日の生産停止に先駆け生産を停止する
可能性(7月16日から生産量を減らしている)
7月23日、南スーダン大統領はスーダンとの交渉を行っていた副大統
領とSPLMトップのPagan Amum氏を含む全閣僚を更迭。
 スーダン迂回パイプライン構想
南スーダンは数年以内にスーダン迂回パイプライン建設を進め、
スーダンのインフラ依存からの脱却を図りたい。複数のパイプライン
ルート(ケニア向け、エチオピア経由ジブチ、ウガンダからケニア向け
のラインへの接続等を検討。ケニア、エチオピア、ジブチと政府間合
意済み。
15
東アフリカパイプライン建設に向けて
東アフリカ共同体
(EAC)5か国
ウガンダ、ケニア、タ
ンザニア、ルワンダ、
ブルンジ
2005年関税同盟
南スーダン加盟
(審議中)
16
石油パイプライン輸送事業
Yes
民間パイプライン企業
(英、米、豪など)
国営パイプライン企業
(ロシア、CIS、中国など)
パイプライン企業
がある
No
輸送会社(または
JV)を設立
資源国政府
上流事業者の参加
資金調達、原料の
安定調達
上流事業者
通過国政府
資源国・通過国政
府の参加
カントリーリスク低
減
17
石油パイプラインの事例
チャド~カメルーン
パイプライン
スメッド
パイプライン
BTC
パイプライン
区間
チャドChari~カメルー
ンKribiターミナル
1,070km
エジプト・アイン・シュ
クナ~シディ・ケール
320km(スエズ運河
迂回)
アゼルバイジャン・バ
クー~グルジア・トビリ
シ~トルコ・ジェイハン
1,768km
供給油田
チャドDoba油田
サウジアラビア
(タンカー輸送)
カスピ海油田(アゼリ、
チラグ、グナシリ)
稼働
2003年
1978年
2006年
輸送能力
22.5万b/d
250万b/d
100万b/d
輸送会社
上流事業者、資源国、
通過国政府
資源国政府(エジプト、 上流事業者他
Aramco、UAE他)
資金調達
42億ドルのうち6割を上 AramcoがOAPECの
流事業者、残りは世銀、 投資機関Apicorpか
IFC、EIBなど
ら1億ドル借入
34.9億ドルのうち26億
ドルをプロジェクトファ
イナンス。企業連合、
IFC、EBRD、JBIC、米
輸銀、民間銀行他
「パイプラインの政治経済学」塩原 俊彦氏(2007年)付表1 主要石油パイプラインの
概要にもとづき作成(一部加筆)
18
チャド~カメルーンパイプライン
 第三者からの追加供給受入
2012年8月、CNPCとTotcoがCNPCの
Permit Hから支線建設、チャド~カメ
ルーンパイプラインと接続することにつ
いて合意
 上流事業者の輸送事業への
参加
ExxonMobil:40%(オペレーター)
Petronas:35%
Chevron:25%
 通過国毎の輸送会社設立
(IOC過半出資、資源国・通過国
の参加)
①チャド区間(TOTCO)
ExxonMobil:40.19%
Petronas:30.15%
Chevron:21.54%
チャド政府:8.12%
②カメルーン区間 (COTCO)
ExxonMobil:41.06%
Petronas:29.77%
Chevron:21.26%
カメルーン政府:5.17%
チャド政府:2.74%
19
東アフリカパイプラインを成功に導く方策
 上流事業者の通油コミットメント、輸送会社への参加
 通過国毎の輸送会社設立(IOC過半出資、資源国・通過
国の参加)
 通油権・クオリティバンクなど追加供給に関する規定
資源国政府
上流事業者の参加
資金調達、原料の
安定調達
資源国・通過国政
府の参加
カントリーリスク低
減
上流事業者
通過国政府
追加供給に関す
る設定
参考資料:「カスピ海地域のエネルギー開発と輸送」篠原建仁 JOGMEC石油
天然ガスレビュー2011年7月
20
まとめ
 ウガンダ西部のリフト堆積盆における油田開発は予定より遅れたが、中国
のインフラ投資や公的融資により進展しそうな気配。
 ケニア西部陸上では2012年に油田を発見したTullowが評価を進めている。
 南スーダンは生産・出荷を再開したが、スーダンの現行パイプラインを利用
することが当面両国にとり経済的かつ和平維持につながる選択だが、両国
の関係は不安定。
 ウガンダの原油輸出パイプラインはケニアなど東アフリカ各地で生産され
る原油を取り込むハブパイプラインとなる可能性。
 多国間パイプライン組成は困難だがファイナンス、通油確保につながる上
流事業者を輸送に介在させることで事業が安定。また高カントリーリスク国
では資源国、通過国政府の参加によりリスク低減効果が期待できる。通油
権・クオリティバンクなど追加供給に関する取り決めも重要。
21
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