Oracle Database ApplianceとMicrosoft SQL Serverに対する、時間
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Oracle Database ApplianceとMicrosoft SQL Serverに対する、時間
データベース導入における 所要時間と容易性の比較調査 Oracle Database Appliance VS Microsoft SQL Server 2012年1月 625 Avenue of the Americas, 2nd Floor New York, NY 10011 www.orcinternational.com 目次 エグゼクティブ・サマリー ............................................................................................................................ 3 調査の背景 ............................................................................................................................................................ 5 テスト方法 ............................................................................................................................................................ 6 比較テスト ............................................................................................................................................................ 7 テスト:インストールおよび初期導入 .............................................................................................. 7 テスト:保守 ................................................................................................................................................. 9 テスト:サポート......................................................................................................................................11 結論 ........................................................................................................................................................................13 表 表1 - テスト結果のサマリー ................................................................................................................................ 3 表2 - テストインストールおよび初期導入タスク ................................................................................... 7 表3 - テスト保守タスク .......................................................................................................................................... 9 表4 - テストサポート・タスク ........................................................................................................................... 11 2 エグゼクティブ・サマリー 企業データの量が増大し、その重要性が増していく中で、ビジネス・クリティカルなアプリケーショ ンをサポートするには、高可用性データベース・ソリューションの導入がますます必要になってい ることに、あらゆる規模の企業が気づき始めています。DBAへの負荷が高くなったことで、システ ムをインストール、管理、サポートする際の簡便性がシステム選択時の重要な考慮事項とみなされ るようになりました。 この調査の目的は、Oracle Database ApplianceとMicrosoft SQL Serverの比較テストを実施すること で、これら2つのソリューションの生産性における違いを特定することでした。DBMS所有コストの 大半は、日々の管理作業を実行するための時間と費用にかかっています。この調査は、このような 問題に対するオラクルの回答として、最近エンジニアド・システム・ファミリーに追加されたOracle Database Applianceに焦点を合わせて実施されました。この2ノードからなるクラスタ・データベー ス・サーバーは、インストールと初期導入、保守、サポートの主要なコスト要因を削減し、最終的 には排除することを目的としています。ORCは初期のロールアウト段階でこの製品を評価するとい うまたとない機会を得て、このアプライアンスがデータベース・インフラストラクチャ内での高可 用性を維持しながら、管理チームにもたらす節約時間数を測定しました。 ORCの調査では、SQL Serverの代わりにOracle Database Applianceを使用した場合、システム実装の 初年度にDBAの時間が835時間節約され、その後はシステム耐用年数にいたるまで毎年669時間が節 約されるという結論が下されました。このような劇的な生産性向上を考慮に入れると、Oracle Database Applianceはデータベースの可用性向上を目指すすべての組織にとって当然の選択肢であ ると言えます。表1はこのレポートの調査結果をまとめたものであり、SQL Serverの代わりにOracle Database Applianceを使用した場合に、どれだけDBAの生産性が上がるかという点に重点が置かれて います。次の表のとおり、Oracle Database Applianceによってもたらされる時間節約は、継続的な システム保守という重要領域において特に目覚ましい結果を示しました。 表1 - テスト結果のサマリー タスク 説明 時間(分) Oracle A. インストールおよび初期導入(時間) SQL Server 4.0 194.5 1 サイジング(ハードウェアの種類、CPU、I/O、メモリなどの選択) 60 2400 2 注文(ハードウェア、ストレージ、内蔵ネットワークなど) 60 1200 3 調査およびベスト・プラクティス 0 2400 4 導入 120 867 5 独自構成のテスト 0 2400 6 相互運用性に関する問題の解決 B. 保守(時間) 0 2400 19.8 592.8 0 60 100 0 7 パッチ互換性の検証 8 Database Appliance Managerのパッチの実行 9 ファームウェアのパッチ適用と検証 0 120 10 OSのパッチ適用と検証 0 286 11 RDBMSのパッチ適用と検証 0 98 12 独自構成のテスト 0 2400 C. サポート(時間) 12.0 76.0 60 0 13 Database Appliance Managerの診断およびサポートの実行 14 環境検証のためのベンダー・サポートの要請 0 240 15 各コンポーネント/ベンダー向けログ・ファイルの特定 0 120 16 各ベンダーへのログ・ファイルの送付 0 0 この調査では、2つのデータベース・プラットフォームでの日常的な管理には注目していません。 Oracle DatabaseとSQL Serverに対するデータベース管理機能の詳しい比較は、ORCの関連ホワイ ト・ペーパー『Database Manageability and Productivity Cost Comparison Study: Oracle Database 11g Release 2 vs. SQL Server 2008 Release 2』を参照してください。この関連レポートでは、SQL Serverと比較した場合に、Oracle Databaseの優れた管理性によって、生産性の向上とコストの削減 が実現されることが確認されています。 この調査の評価対象となったSQL Serverのバージョンは、SQL Server 2008 Enterprise Edition Release 2ですが、ORCにはSQL Server 2012 Community Technology Preview 3を評価する機会も与えられま した。その結果、SQL Server 2012では、AlwaysOn Availability Groupsの導入によって高可用性領域 が大幅に改善されたことは事実ですが、依然として、構成、実装、サポートに多大な労力および知 識が必要とされるという判断に至りました。したがって、専門家としてのORCの見解では、Oracle Database ApplianceをSQL Server 2012と比較した場合でも、このドキュメントに含まれるすべての 結論が当てはまります。 調査の背景 この調査は、高可用性プラットフォームに対して、DBAが日常的または定期的に実施するタスクと 手順を事前定義したものを使用して、Oracle Database ApplianceとMicrosoft SQL Serverにおける導 入および管理機能の簡便性を細かく比較したものです。この調査では、次の3つの主要領域に焦点を 合わせています。 • インストールおよび初期導入 • 保守 • サポート この調査では、各プラットフォームに標準で付属しているツールのみを使用して、指定タスクが実 行されました。サード・パーティのツールは使用されていません。ツールを使用できなかった若干 のケースでは、GUIベースのツールではなくSQLコマンドを使用してタスクが実行されました。 Oracle Database Applianceのハードウェアは、4Uのラックマウント型シャーシ1台だけで構成されて おり、中には2つのOracle Linuxサーバー・ノードを含み、それぞれのサーバー・ノードに2基の6コ ア・インテルXeonプロセッサと96GBのメモリが搭載されています。2つのサーバー・ノードは、冗 長化された内蔵のクラスタ通信用ギガビット・イーサネット(GbE)インターコネクトで結合され、 各ノードに1GbEと10GbEの2つの外部ネットワーク接続を装備しています。また、三重ミラー化され た12TBのRAWストレージを含んでいるため、データベース・ストレージとして4TBを使用できます。 このアプライアンスはミッション・クリティカルな要件を念頭に設計されており、各種コンポーネ ントはホットスワップ対応で冗長化されています。 また、データベースの導入および管理を容易にするために、Oracle Database ApplianceにはOracle Database Appliance Managerが含まれています。このソフトウェアを利用すると、Oracle Database Applianceのプロビジョニング、パッチ適用、および診断がボタン1つで自動的に実行されます。 テスト方法 テスト対象領域の重要性を決定するため、分野や環境の異なる複数のDBAに対してインタビューが 行われました。データベース・エキスパートのチームによってテスト対象となるタスクが選ばれ、 DBAにとってもっとも時間のかかる領域として特定されました。評価の対象となったカテゴリとタ スクは次のとおりです。 • • • インストールおよび初期導入 ○ サイジング ○ コンポーネントの注文 ○ 調査 ○ 導入 ○ 独自構成のテスト ○ 相互運用性に関する問題の解決 保守 ○ パッチ互換性の検証 ○ Oracle Database Appliance Managerの実行によるパッチ適用 ○ ファームウェアのパッチ適用と検証 ○ OSのパッチ適用と検証 ○ RDBMSのパッチ適用と検証 ○ 独自構成のテスト サポート ○ Oracle Database Appliance Managerの実行による診断とサポート ○ 環境検証のためのベンダーとのやり取り ○ 各コンポーネント/ベンダー向けログ・ファイルの特定 ○ 各ベンダーへのログおよび詳細情報の送付 これらのタスクには、インタビューしたDBAから得られたフィードバックに基づく仮定が含まれて いるものがあります。レポート全体を通じて、仮定がある場合はその旨が記載されています。 各タスクは複数のステップに分けられており、各ステップでワークフローを続行するためのユー ザー・アクションが必要になっています。各タスクの実行に必要なステップの数と時間を追跡する ため、タイミング手法が使用されました。特定のタスクの開始時点、つまり、タスクを実行するた めにマウスを動かし始めた時点から時間が計測されました。可能な限り、すべてのテスト・ケース でデフォルトが選択され、"Finish"、"OK"、または"Submit"のボタンが最初に表示された時点でこの ボタンが選択されました。バックグラウンドで実行できるタスクについては、ジョブやプロセスが DBMSに送信された時点で時間が測定されました。このようなジョブはサブタスクとして追跡され、 実行時間は、DBAの注意が必要なタスクとは別に記録されました。タスクの時間とステップ数は個 別に追跡されたため、詳細レベルと総計レベルの両方で結果が提供されています。 6 比較テスト テスト:インストールおよび初期導入 このテストには、要件の評価から実際のシステム・インストールまでのすべてのタスクが網羅され ています。表2に、このカテゴリに含まれる各タスクの実行にかかった時間を示します。 表2 - テストインストールおよび初期導入タスク 時間(分) A. インストールおよび初期導入 Oracle SQL Server 1 サイジング(ハードウェア、CPU、I/O、メモリの選択) 60 2400 2 注文(ハードウェア、ストレージ、内蔵ネットワーク) 60 1200 3 調査およびベスト・プラクティス(OS、ストレージ、グリッド・ 0 2400 120 867 インフラストラクチャ、データベース) 4 導入 5 独自構成のテスト 0 2400 6 相互運用性に関する問題の解決 0 2400 4.0 194.5 合計(時間) ここからは、それぞれのタスクについて詳しく確認していきます。 サイジング サイジング・タスクでは、システムが期待どおりのパフォーマンスを実現し、要求される負荷を処 理できるようにするため、ハードウェア、CPU、メモリ、I/O、およびその他の各種コンポーネント の選択が検討されました。 Oracle Database Applianceは標準構成の形で提供されており、必要なハードウェアすべてがフェイ ルオーバー・ソリューション向けに事前に構成されています。SQL Serverをベースにした同等のソ リューションに対して構成を定義する場合、適切な構成を定義し、可能な選択肢を意思決定者に伝 えて選択を行うには、約1週間が必要になると判定されました。 注文 Oracle Database Applianceは構成が事前に決定された形で提供されるため、注文作業は非常に簡単 です。このため、構成を選択し、注文するために必要な時間は約1時間であると特定されました。 SQL Serverベースの高可用性ソリューションを構成する場合、さまざまなベンダーにハードウェア、 ソフトウェア、ディスク、およびネットワークを注文する作業を取りまとめるには約20時間かかる と、ORCは判断しました。このシナリオでは、管理者の時間をデータセンターで効果的に利用する ために、さまざまなベンダーからの引渡しの調整に時間をかける必要があります。また、注文や入 力の誤ったコンポーネントが1つあるだけで、プロジェクト全体に大きな損害が及ぶ可能性があるた め、確認状や電子メールを注意深く見直して注文が正しく行われたことを確認する必要があります。 7 調査およびベスト・プラクティス 高可用性システムの計画における主要なコスト要因の1つに、調査の実施があります。最適なハード ウェアを決定し、構成に関する既知の問題を特定するには、何時間もの調査が必要です。ORCでは、 要求される高可用性構成の設計を担当するアナリストや管理者は、この調査に40時間を費やすであ ろうと判断しました。この数値は、企業が必要な専門知識を社内に有しており、外部コンサルタン トのサポートを必要としないことが前提になっています。外部コンサルタントのサポートを受ける 場合、コストと時間は大幅に増加します。 Oracle Database Applianceには高可用性ソリューション向けとして最善のコンポーネントがあらか じめ組み合わせられているため、この調査を実施する必要はありません。Oracle Database Appliance を使用する場合、各種のオペレーティング・システムやデータベース・プラットフォームにどのコ ンポーネントが対応しているかを特定するための調査を実施する必要はありません。これらは、シ ステムの設計にあらかじめ組み込まれています。 導入 導入は、ORCが実際に時間を測定することができたタスクです。SQL Serverの導入において、ORCはいく つかの仮定を行いました。2台のデータベース・サーバーの梱包を解き、ラックに設置し、すべてのケー ブルを接続するためには、2時間かかると想定されました。また、ストレージの梱包を解き、ラックに設 置し、すべてのケーブルを接続し、クラスタ環境向けに構成するためには、4時間かかると想定されまし た。プライマリ・ノードとセカンダリ・ノードの両方に対するオペレーティング・システム(Windows Server Enterprise Edition)のインストール、オペレーティング・システム・レベルでのストレージ構成、 SQL Serverのインストール、すべてのノードに対する最新パッチ・レベルの適用にかかる時間が測定され ました。SQL Serverの導入を完了するまでに、合計で14.5時間がかかりました。 反対に、Oracle Database Applianceはわずか2時間以内で完全に導入できました。管理者に求められ た作業は、アプライアンスの梱包を解き、ラックに設置し、ケーブルを接続してから、Oracle Database Appliance Managerを実行するだけでした。 独自構成のテスト 高可用性ソリューションを本番環境に導入する前に、多数のテスト・シナリオを分析する必要がありま す。新しいソリューションを業務上利用できる状態にする前に、管理者やビジネス上の利害関係者が高 いレベルの安心感を得ている必要があります。何も問題がないことを確認するには、40時間から120時間 程度がかかると考えられます。このテストの目的上、ORCは40時間かかるであろうと仮定しました。テ スト・シナリオにはさまざまな役割と責任を持つ人員(DBA、ストレージ・エキスパート、運用部門、経 営陣など)が関与するため、これは控えめな見積もりであるとORCは考えています。 Oracle Database Applianceの構成はオラクルによるテストと承認をあらかじめ受けているため、組 織が独自の構成に関して何らかのテストを実施する必要はありません。ただし、ORCも認識してい るとおり、ベスト・プラクティスでは、通常、導入後に製品の全面的なテストを実施して、正しい 稼働を確認することが求められます。 相互運用性に関する問題の解決 マルチベンダー・ソリューションでは、各種のコンポーネント間に障害が発生することが必至です。 ときには独特になるこれらの問題を検出し、解決するには、相当なコストが必要になります。これ らの問題を発見して解決できるテクノロジーの専門家を組織内に抱えることが、この領域の一番コ ストのかかる部分です。ここでは、これらの問題の特定、診断、解決に40時間が必要とされると仮 定しました。前述のとおり、このタスクには多数の従業員が関わることを考慮すると、この見積も りも控えめであることを覚えておくことが重要です。 8 Oracle Database Applianceは、上記のような不測の事態を完全に排除します。アプライアンス・ソ リューションを利用する際の特性として、完成したシステムが顧客に提供される前にすべてのコン ポーネントがテストされているため、相互運用性の問題はもはや存在しません。 テスト:保守 インストールは重要なタスクですが、DBAが大半の時間を費やすのは継続的保守作業です。このテ ストにおいて、保守の問題は毎月1件しか発生しないとORCは仮定しました。各ベンダーのパッチ・ リリースではオペレーティング・システムやデータベース、またはファームウェアとの関係が調整 されていないため、おそらく、これは過度に理想的な数値でしょう。次の表に、評価対象となった 保守タスクのリストを記載します。 表3 - テスト保守タスク 時間(分) B. 保守タスク 7 8 パッチ互換性の検証 Oracle Database Appliance Managerの実行によるパッチの Oracle SQL Server 0 60 100 0 適用 9 ファームウェアのパッチ適用と検証 0 120 10 OSのパッチ適用と検証 0 286 11 RDBMSのパッチ適用と検証 0 98 12 独自構成のテスト 0 2400 19.8 592.8 合計(時間) * 毎月1つの保守案件が想定されているため、各数値が12倍されています。 パッチ互換性の検証 既存の高可用性インフラストラクチャに何らかのパッチをインストールする前に、現在の構成に対 するパッチの互換性を評価することが絶対不可欠です。オペレーティング・システムやファームウェ アの一部をアップグレードしただけで、別のコンポーネントに損害をもたらすほどの影響が及び、 ノードだけでなくシステム全体の障害につながる可能性もあります。したがって、各パッチに対し て適切な調査を実行することが非常に重要です。たとえば、Windows Automatic Updateパッチ・シ ステムはクラスタを認識しないため、SQL Serverデータベースがクラスタ環境に含まれていることを 検知できません。今度のWindows Server 8オペレーティング・システムではこの仕様が変更される 予定ですが、現在使用されているほとんどの本番環境では、クラスタ認識型のWindows Automatic Updateを使用できないため、すべての本番サーバー上でWindows Automatic Updateを無効化する必 要があります。 オペレーティング・システムや接続されたストレージに対してだけでなく、ファームウェアやSQL Serverに対しても、パッチの検証は込み入った作業です。各パッチを分析して、確認する必要があり ます。ここでは、パッチ・サイクルごとに、1人のアナリストまたは管理者が1時間かけて、独自構 成に対するパッチの互換性を検証するものとしました。Microsoft製品に対するパッチ提供のペース を考えると、毎年12回のパッチ・サイクルという仮定は控えめな数値です。 9 Oracle Database Applianceでは、すべてのパッチは出荷される前に、事前定義されたOracle Database Appliance構成に基づいて分析およびテストされているため、独自構成に対してパッチを検証したり 有効化したりする必要はまったくありません。ただし、導入のケースと同様に、ベスト・プラクティ スでは、パッチ適用後の全面的な製品テストが求められる場合が多くあります。このようなテスト には、Oracle Real Application Testingなどのツールを使用できます。 Oracle Database Appliance Managerの実行によるパッチの適用 パッチ適用に非常に便利なソフトウェア・プログラムの1つに、Oracle Database Appliance Manager があります。Oracle Database Appliance Managerは、オペレーティング・システム、ファームウェ ア、およびRDBMSに対するパッチ適用を1つのコマンドに集約します。このユーティリティは現在の 構成を確認し、自動的に適切なパッチ・レベルへと引き上げます。このコマンドを実行すると、DBA がすべてのパッチの適用を監視していなくても、無人で処理が実行されます。Oracle Database Appliance Managerを使用することで、ディスク、コントローラ、オペレーティング・システム、Oracle Databaseを網羅的に更新するパッチの実行は、わずか1時間40分で完了しました。 Microsoft SQL Serverでは、このようなパッチ適用マネージャは提供されていません。このため、パッ チ適用によって問題が発生する可能性があるとともに、多くのリソースと時間が消費されます。 ファームウェアのパッチ適用と検証 ファームウェア・パッチの検証プロセスは、特定のパッチに対する互換性の検証と同じくらい時間 のかかる作業です。ファームウェアのパッチはクラスタを認識しないため、ファームウェア・パッ チのアップグレードを実行する前に特別な配慮をする必要があります。このため、Windows Server 環境ではこのプロセスに2時間かかるとORCは仮定しました。これには、クラスタ内で必要になる構 成変更の実施と実際のパッチ適用および検証が含まれます。 Oracle Database Applianceを使用する場合、ファームウェアのパッチ適用はOracle Database Appliance Managerから簡単に実行できます。 OSのパッチ適用と検証 Windows Server環境にパッチを適用するため、このテストでは、最新のパッチ・レベルへ更新する ためのAutomatic Updateプロセスが実行されました。この際、すべての"Important"オプションと、 オペレーティング・システムに関連するすべての"Optional"更新が選択されました。構成、ダウンロー ド、インストール、再起動、検証を含むこのプロセス(Tier 1施設の100MBの専用インターネット基 幹線を使用)を完了するまでに、合計で286分かかりました。この時間には、両方のノードに必要な 作業が含まれています。 Oracle Database Applianceを使用する場合、オペレーティング・システムのパッチ適用はOracle Database Appliance Managerによって実行されます。 RDBMSのパッチ適用と検証 このテストでは、既存のSQL Server 2008 Enterprise Editionに対してService Pack 1が適用されました。 各ノードにこのパッチを適用するために、49分かかりました。オペレーティング・システムとは異 なり、SQL Serverのサービス・パックはクラスタ認識型であるため、Windows ServerよりもSQL Server へパッチを適用する方が簡単です。 しかし、SQL Serverへパッチを適用するには、Oracle Database Appliance全体へパッチを適用するよ りも長い時間がかかったという点に注意する必要があります。 10 独自構成のテスト 一連のパッチ適用が終了したら、導入された構成をテストすることがベスト・プラクティスとして 推奨されています。ほとんどの組織では、このために品質保証、運用、DBAといった部門の技術専 門家への協力要請が必要になります。また、パッチを本番環境にリリースするために、その他の管 理要員やビジネス上の利害関係者による承認が必要になる場合もあります。ORCはここでも、SQL Serverを実行しているWindows Server環境でこのタスクを実行するために、40時間という控えめな 数字を選びました。 Oracle Database Applianceを使用する場合、すべての構成は顧客に提供される前にあらかじめテス トされています。Oracle Database Applianceはオラクルによる厳密なテストを経ており、各種のコ ンポーネント間に互換性の問題が発生しないことが確認されています。 テスト:サポート バックアップとリカバリはDBMSプラットフォームにとってこの上なく重要であり、当然のことなが ら、いずれのソリューションでもこれらのタスクを実行できます。ただし、Oracle Database Applianceを使用した場合、Microsoft SQL Serverよりも大幅に高い生産性が得られました。次の表に、 実行したタスクの概要を示します。 表4 - テストサポート・タスク 時間(分) C. サポート・タスク Oracle 13 SQL Server Oracle Database Appliance Managerの実行による 60 0 診断とサポート 14 環境の検証のためのベンダーとのやり取り 0 240 15 各コンポーネント/ベンダー向けログ・ファイルの特定 0 120 16 各ベンダーへのログおよび詳細情報の送付 0 20 12.0 76.0 合計(時間) * 毎月1つのサポート案件が想定されているため、各数値が12倍されています。 Oracle Database Appliance Managerの実行による診断とサポート このテスト・フェーズでも、Oracle Database Appliance Managerの価値が実証されました。環境の 検証と、Oracle Support向けに必要なすべてのログ・ファイルの収集を、1時間以内に実行できまし た。このツールは、ファームウェア、ハードウェア、オペレーティング・システム、RDBMSに関し て、環境全体を分析する機能を備えているため、サポートの問題を解決する際に長期的な価値がも たらされます。 Oracle Database Applianceとは対照的に、MicrosoftはWindows ServerやSQL Server向けに同等のサ ポート・ツールを提供していません。 11 環境の検証のためのベンダーとのやり取り SQL Serverをベースとしたマルチベンダーの高可用性ソリューションでは、サポートの問題解決がよ り困難になります。すべてのベンダーとのやり取りをまとめることは、特に、さまざまな部門のリー ダーが話し合いに参加する必要があることを考慮すると、非常に骨の折れる作業です。また、提出 の必要な環境関連ドキュメントが、ベンダーごとに異なる場合もあるでしょう。やり取りとドキュ メントの収集に必要な時間をふまえて、ORCは、1件のサポート事例ごとに4時間かかると仮定しま した。 Oracle Database Applianceは事前構成ソリューションであるため、Oracle Supportはもともと、その 構成を非常に詳しく把握しています。 各コンポーネント/ベンダー向けログ・ファイルの特定 Windows ServerとSQL Server向けのログ・ファイルは一般によく知られた場所にありますが、ファー ムウェアやその他のコンポーネント用のログ・ファイルはそう簡単に見つからない場合もあります。 これらのファイルを収集し、正確に何をベンダーに送付すべきかを決定する作業は面倒で、時間が かかる可能性があります。顧客が送付する情報量が多すぎると、問題の解決が遅れる場合があり、 少なすぎると、問題解決プロセスをもう一度実施することになる可能性があります。 Oracle Database Applianceを使用する場合、すべてのログ・ファイルの場所はOracle Database Appliance Managerに認識されているため、Oracle Supportへ送信するためのログ・ファイルを簡単 に見つけて、まとめることができます。 各ベンダーへのログおよび詳細情報の送付 ORCでは、この調査において、サポート案件ごとに、問題解決用の各種ログ・ファイルを含んだ電 子メールをベンダーに送信する必要があると想定しました。ORCは、電子メールを作成し、ファイ ルを添付し、内容を確認し、ベンダーに送付するために、20分かかると仮定しました。この時間に は、さまざまな技術専門家や部門リーダーからの意見を集約し、電子メールが問題を正しく説明し ていることを確認する時間が含まれています。 SQL Serverとは異なり、Oracle Database Appliance Managerで診断を実行し、環境を検証すると、 自動的にログ・ファイルがOracle Supportに送信されます。 12 結論 ORCの調査から、DBMSの導入、保守、サポートのタスクを実行する際、Oracle Database Appliance はMicrosoft SQL Serverに比べて大幅な時間節約を実現するという結論が下されました。このような 時間節約が達成されるのは、事前構成済みというOracle Database Applianceの特性と独自の管理 ツールによって、時間のかかるDBAタスクの多くが大幅に簡素化されたためです。次に、DBAが責任 を持つ3つの重要領域について、ORCの調査結果をまとめます。 • インストールおよび導入 - ORCの調査では、インストール・タスクの実行において、Oracle Database Applianceには必要なハードウェアすべてがフェイルオーバー・ソリューション向 けに事前に構成されているため、わずか2時間以内で導入が完了したことが確認されました。 対照的に、SQL Serverをベースにした同等のソリューションを導入するには、14.5時間かかり ました。 • 保守 - Oracle Database Appliance Managerの機能によって現在の構成が特定され、自動的に 適切なパッチ・レベルに更新されるため、保守の観点から見た場合、SQL Serverと比べて大幅 な時間節約という利点が得られることが分かりました。 • サポート - Oracle Database Appliance Managerを使用すると、1時間以内で環境を検証する とともに、Oracle Supportに必要なすべてのログ・ファイルを収集できましたが、SQL Server 環境でこの情報を収集し、ベンダーとやり取りするプロセスには長い時間がかかりました。 Oracle Database Applianceは、以前は時間のかかっていたDBAタスクを大幅に簡素化することで、 SQL Serverと比較した場合に格段に顧客の時間を節約します。Oracle Database Applianceはミッショ ン・クリティカルなビジネス・アプリケーションに高可用性と信頼性を提供しながら、同時に、卓越 した使いやすさを実現しています。 13