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製品開発力を強化させる 組織・制度・仕組みの作り方
連 載 技術 マーケティング 入門 変革期の設計者が 身につけるスキルとノウハウ 第4回 製品開発力を強化させる 組織・制度・仕組みの作り方 経営システム研究所 野村 武史* *のむら たけし:企業変革ソリューション事業本部 Marketing Marketing Marketing Marketing Marketing Marketing Marketing Marketing 本稿では製品開発を効率的に促進する組織・制 これは,既存製品のバリエーション開発の一種 度・仕組みについて,技術マーケティングの観点 と言えなくもないが,対象とする市場が既存市 から述べることにする。 場・既存顧客ではないため,単なる顧客ニーズに 合わせた製品のバリエーション開発とは手法が異 1. 開発業務の種類 一口に製品開発業務といっても,対象とする市 場ターゲット等によって,大きく 3 つに分類され る(表 1) 。 ないため,過去の経験・ノウハウからの類推が難 しいからである。 したがって,開発部門では,これに対する要求 事項や技術的課題を把握できていない。このため, 表 1 製品開発業務の分類 開発業務の分類 ① 適用技術開発 ② 製品技術開発 説 明 既存製品を従来とは異なる新市 場に向けて適用させる用途開発 既存技術の組合せ,または,自 社の新規要素技術を適用した新 規製品の開発 ③ なる。というのは,既存市場・既存顧客向けでは 要素技術開発 市場に存在していない,新要素 技術の開発 a)適用技術開発 既存製品または既存の要素技術を,従来とは異 技術マーケティングにより,従来の市場とは異な る顧客先を訪問し,製品化の方向性・アイデア, 課題を顧客先から抽出する必要がある。 この開発は,うまくいくと,開発期間は短いが 新市場の開拓を可能にすることができる。成長市 場に適合できれば売上の大幅な増加が望める。一 方,開発作業レベルだけで見ると,製品のバリエ ーション開発の一種であるため,人材面でも比較 的,容易な対応が可能である(たとえば,カスタ ム対応の設計者から抜擢するなど) 。 b)製品技術開発 既存製品とは大きく異なる設計原理,または, なる市場に向けて適用させていく開発である。製 要素技術を取り込んだ製品の開発である(技術マ 品を一から開発するというよりも,既存製品を従 ーケティングでは, 「高新規性製品」を対象とし 来とは異なる(新たな)用途に適用させるために, ているため,既存技術の「焼き直し的」な開発は 用途開発とも呼ばれる。 たとえば,車載用のセンサ技術を応用して半導 対象外とする) 。一般的に新製品開発と呼ばれて いる開発業務である。 体関連装置向けセンサを開発するといった方法で 新製品といっても製品を構成する要素技術の全 ある。このとき,基本的な要素技術開発や商品化 てが,新しい要素技術で構成されることはほとん への技術開発は「それほど」必要としない。なぜ どない。製品技術開発は,新しい要素技術と既存 なら,特定市場向けの要求を,既存製品でアレン の要素技術を的確に摺り合わせて,製品として完 ジして提供していくからである。 成させる技術のことである。 106 機 械 設 計