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折込広告について - とうほう地域総合研究所

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折込広告について - とうほう地域総合研究所
目
福
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【しんろ】
折込広告について
株式会社福島県折込広告社 代表取締役社長
大川原 順一…… 2
【マンスリーレポート】
弱いながらも持ち直しの動きを続ける県内経済…… 4
【調 査】
喜多方市における
地域観光の現状と課題…… 10
【調 査】
統計から読む「介護サービス」の
現状と最近の動き…… 20
【 寄 稿】
上海の鼓動を福島へ
前 福島経済研究所専務理事
中西
勉…………………… 32
【美を訪ねて】
第27回 百点美術館
―近代洋画のエッセンス
40 ………………………………… 福島県立美術館長
酒井 哲朗
イサベラÉバードが見た会津 第9回
46 …………………………………福島県立博物館長
赤坂 憲雄
【企業法務セミナー】
プレハブ事務所の建築と建築基準法上の確認申請
50 ………………………………………………………… 弁護士
【税務É財務相談 Q & A 】
52 ……平成17年度税制改正大綱の内容
57 ……………地方経済天気図
59 ……………経済日誌
60 ……………資料紹介
61 ……………主要経済指標
本誌は自然保護のため、
リサイクルペーパーを使用いたしております。
渡辺 健寿
次
しんろ
折込広告について
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■
■
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おおかわら
株式会社
じゅんいち
福島県折込広告社
代表取締役社長
郡山市
¡
■
新聞とともに毎日届けられる折込広告。
折込料だけが集計されている「折込広告」
時には新聞よりも多い枚数が組み込まれ、
に制作費も加算されれば、その総額はおそ
読者のもとに届けられるこの媒体は、いつ
らく倍に跳ね上がる(正確には把握出来な
頃から始まり、何故これほど広告主に利用
いが)と思われ、折込広告の位置付けは
されるようになったのか?
もっと変わってくるであろう。
読者に支持さ
れるようになったのか?
折込広告は言うまでもなく新聞の個別配
新聞を購読する家庭にとっては折込広告
達制度を基盤とした宅配媒体であり、その
が入っていることは当たり前であり、無料
特性としては下記のようなものが挙げられ
で配布される折込広告を貴重な買い物情報
る。
源として多くの人がごく自然に利用してい
1)配布エリアが自由に選べ、新聞販売店
る。
この急成長した媒体=折込広告について
述べてみたい。
の配達エリアごと、町別ごと等キメ細か
な地域設定が可能であること
2)実施日、規模、表現形態、作成から配
2003年の㈱電通の調査によれば日本の総
布までの所要日数等の上でこまわりが利
広告費は5兆6,841億円投入されており、
き、表現面での自由裁量度が大であるこ
8.1%にあたる4,591億円が「折込広告」で
と
占められている。テレビ、新聞に次いで第
3)新聞とともに直接家庭の中へ届く媒体
三位の媒体に成長、日本の広告媒体の中で
であり、即効性と高い集客性があり、印
確固たる地位を占めるに至っている。ただ
刷媒体特有の理解度が深まること
し、テレビ、新聞は制作費も含まれており、
2
福島の進路17.2
4)新聞、 TV などマス媒体と比較し、経
しんろ
費が大幅に安く、かつ効果測定が容易で
高い折込部数の提供である。折込部数に関
あること、また、受ける側に物理的、時
し、不信感を抱いている広告主は意外に多
間的制約を与えることなく、いつ、どこ
い。日本 ABC 協会が、新聞発行部数を公
でも手軽に接することが出来る媒体であ
査して社会に公表しているが、折込部数を
ること
公表しているわけではなく、部数のチェッ
ク体制を確立する必要に迫られている。
折込広告の原型は江戸時代の<引き札>
読者=消費者の立場からみた課題はどう
と言われているが、新聞の登場により<引
だろうか?
き札>が新聞の付録として配布されたのが
頼度の問題が挙げられる。「紙の無駄づか
「折込広告」の始まりではないかとされて
い」とも言われかねない大量の折込広告に
いる。「折込広告」の発展は、戦争による
関し、新聞古紙とともに回収して資源リサ
中断はあるものの、新聞の普及率の伸びに
イクル活動への取り組みを更に推進してい
伴う個別配達制度の確立と、1960年代以降
く必要がある。また、時として折込広告の
の高度経済成長を背景に、上記の媒体特性
中には、<誇大><おとり><虚偽>等の
の評価が高まったこととあいまって飛躍的
ものが紛れ込み、読者のもとへ届いてしま
な伸びを示すようになる。広告主にとって
うことがある。信頼される媒体になるため
は優れた販売促進活動のツールとして、読
にも、こういったものを徹底排除しなけれ
者=消費者にとっては買い物の貴重な生活
ばならず、チェック機関も必要である。
情報源として市民権を得、媒体としての地
位を確立するようになる。
まず環境問題と折込広告の信
いずれにしても、これらは折込広告業者
のみで解決するのは不可能であり、媒体を
一方、折込広告の抱える課題も多い。ま
担う役割の新聞販売店の協力がなければ何
ず、広告主にとっては折込料金の問題があ
も解決しない問題である。私たち折込広告
る。それは印刷費に比べスケールメリット
業者と新聞販売店とが信頼関係を構築し、
がない点である。いかに大量に折込広告を
広告主や読者に応えていかなければならな
利用しても、実績を積んでも割引の対象に
い。
はならず、サイズのみによる折込料金の体
これら以外にも折込広告代理店としての
系となっている。このことがやがては使い
為すべき課題は山とあるが、新聞の普及率
勝手の悪い折込広告とのイメージを作って
に翳りが見え始めた今、使い勝手の良い信
しまう恐れがある。全ての広告主が納得出
頼される媒体でありつづけるため、新聞販
来る料金体系を確立する課題が残されてい
売店とともに努力を惜しまず邁進したい。
る。
次に挙げなければならないのが、精度の
福島の進路17.2
3
マンスリーレポート
マンスリーレポート
弱いながらも持ち直しの動きを続ける県内経済
県内経済は、生産活動や雇用情勢などで持ち直しの動きが続いているが、個人消費は力強
さに欠け、公共投資は減少の一途を辿っており、総じて厳しい状況のうちに推移している。
個人消費をみると、11月の大型小売店販売額は、百貨店、スーパーとも前年を下回り、
4ヵ月連続で前年割れとなった。12月の乗用車新車登録台数は、主力の中小型車の販売が低
調だったことから2ヵ月ぶりに前年を下回った。投資動向では、12月の公共工事前払保証取
扱いは、件数は前年を上回ったものの、請負金額は前年割れとなった。11月の新設住宅着工
戸数は、分譲が前月の反動から大幅に減少し、2ヵ月ぶりに前年を下回った。
12月の生産活動は、デジタル家電や自動車関連業界を中心に好調な生産が続いている。一
方、ニットや清酒などの地場産業や建設関連業種では、需要の低迷から依然として厳しい状
況が続いている。
12月の企業倒産は、倒産件数が前年と同数、負債総額は前年を下回った。11月の有効求人
倍率は、0.87倍と前月比0.01ポイント、前年比では0.19ポイント上昇し、引き続き改善基調
で推移している。
個人消費
東北経済産業局の速報による
生産活動
薄型テレビや DVD レコー
と、11月の県内大型小売店の販売額は、
ダー、カメラ付携帯電話などデジタル家
184億94百万円で前年同期比5.6%減(店
電や自動車関連の業種では、一部に調整
舗調整済)となり、4ヵ月連続で前年を
の動きはみられるものの、国内外の好調
下回った。また、12月の乗用車新車登録
な需要を背景に、高水準の操業が続いて
台数(軽自動車含)は、5,067台で同3.8
いる。一方、ニットや清酒などの地場産
%減となり2ヵ月ぶりに前年を下回った。
業や建設関連業種では、依然厳しい状況
1月の家電量販店の動向は、薄型テレ
で推移している。こうした中、素材イン
ビや DVD レコーダーが依然として好調
フレの再燃、円高の進行などにより、経
を保つ一方、冬物家電も盛返しの動き。
営環境は一段と厳しい局面を迎えている。
企業経営
トピックス
福島県の発表によると、平成
会津地方の11市町村で作る
16年1月から12月までの県内への工場立
会津若松É磐梯地区国際観光振興推進協
地件数は、67件で前年より13件増加した。
議会と JTB 、 KDDI テレマーケティン
また、雇用計画人員も1,727人となり、
グの両社は、ホテル、旅館などの事業者
ほぼ倍増した。業種別立地状況は、一般
向けに、外国人観光客受入れの支援サー
機械器具製造業が12件でトップ、化学工
ビスを提供する「多言語サポートサービ
業、輸送用機械器具製造業がそれぞれ8
ス」の実証実験を1月から3月末まで実
件で続いている。また方部別では、県北
施する。これを機に同協議会では、新た
17件、いわき16件、県中15件、会津8件、
な顧客層として期待される外国人観光客
相双6件、県南5件の順となっている。
の受入れ態勢作りを進めていく意向。
4
福島の進路17.2
マンスリーレポート
―― 消
大型小売店
費
動
向 ――
乗用車販売
12月の乗用車新車販売登録台
数(軽自動車含)は、5,067台で前年同月
東北経済産業局の速報による
比3.8%減と2ヵ月ぶりに前年を下回った。
と、11月の県内大型小売店の販売額は、
車種別に動向をみると、主力の中小型車は、
184億94百万円で前年同月比5.6%減と、4ヵ
前月20ヵ月ぶりに前年同月比2ケタ増となっ
月連続で前年を下回った。業態別にみると、
たが、勢いが持続せず、大型車も低調に推
百貨店では、冬物商品が低調だった「衣料
移し、前年を下回った。一方、軽乗用車は、
品」が10.3%減と4ヵ月連続で前年同月を
2ヵ月連続で前年同月を上回った。
下回り、「飲食料品」も同6.5%減とふるわ
消費者物価指数
ず、合計では43億68百万円で同8.0%の減
総合指数(平成12年=100)が98.8となり、
となった。スーパーでは、主力の「飲食料
前月比では0.2ポイント下降、前年同月比
品」で冷凍食品、加工食品が好調だったも
では1.3ポイント上昇した。10大費目の動
のの生鮮品は伸びず、また「衣料品」は前
向では、「光熱É水道」が102.7で前月比
年同期比2ケタ減と苦戦し、合計では141
1.0ポイント、「被服É履物」が94.7で同
億26百万円で同4.8%の減となった。
0.2ポイント上昇した。一方、「教養娯楽」
11月の消費者物価指数は、
1月の家電量販店では、薄型テレビ、
が90.1で同1.0ポイント、「交通É通信」が
DVD レコーダーが好調な販売を続けてい
98.3で同0.9ポイント、「食料」が99.0で同
る。また高価な一眼レフデジカメも徐々に
0.3ポイント下降した。「住居(104.9)」、
伸びてきている。一方、出遅れていた暖房
「保険医療(103.0)」、「教育(103.1)」は、
器具の販売も、寒さが本格化したことを受
前月と変わらなかった。
け、前年並みの水準で推移している。
大型小売店販売額(店舗調整済)
(%)
20
乗用車新規登録台数
(台)
15,
000
(前年同月比伸び率)
(%)
30
20
12,
000
10
9,
000
0
↑
スーパー等
−10
↑
百貨店
−20
10
前年同月比
(右目盛)
↓
6,
000
0
3,
000
−10
0
6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011
15年
(資料:経済産業省)
16年
−20
11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
15年
16年
(資料:県自動車販売店協会)
福島の進路17.2
5
マンスリーレポート
―― 交通・レジャー動向 ――
高速道路
日本道路公団によると、12月の
―― 投
公共工事
資
動
向 ――
12月の公共工事前払保証取扱い
磐越自動車道5料金所の利用台数は、合計
は、件数731件(前年同月比10.6%増)
、金
382,187台で前年同月比2.5%減となり、5ヵ
額51億72百万円(同21.6%減)、保証対象
月連続で前年を下回った。料金所別にみる
である請負金額は134億53百万円(同14.5
と、猪苗代磐梯高原が74,317台(同10.4%
%減)となった。請負金額の主な内訳をみ
減)
、磐梯河東が95,425台
(同2.3%減)、会
ると、国が10億円
(51.0%減)、公団É事業
津若松が156,348台(同0.8%増)、会津坂下
団が4億円(81.2%減)
、県が2億円(3.8
が36,434台(同1.8%減)、西会津が19,663
%減)、市町村が7億円(9.0%減)それぞ
台(同2.6%増)となった。
れ減少し、全体では23億円(14.5%減)の
ゴルフ場
減となった。
県内39ゴルフ場の12月の利用者
数は、70,396人で前年同月比4.6%減とな
住宅建設
り、2ヵ月ぶりに前年を下回った。昨年暮
1,107戸で前年同月比0.8%減と2ヵ月ぶり
れの降雪により、県内の各ゴルフ場ともク
に前年を下回った。主力の「持家」、
「貸家」
ローズを余儀なくされ、その影響で浜通り
は堅調だったが、「分譲」が前月の反動か
地区のゴルフ場を中心に入込み数が減少し
ら大幅に減少した。着工戸数を都市別にみ
た。利用料金の低下と入込み数の減少によ
ると、会津若松、原町、白河などで前年同
り、県内のゴルフ場経営は厳しい局面を迎
月を大きく上回った。利用関係別にみると、
えており、昨年10月以降ゴルフ場経営関連
消費者物価指数
公共工事前払金保証実績
(億円)
200
(総合指数 平成12年=100)
99.0
「持家」では原町、
「貸家」では会津若松、
白河が好調に推移した。
企業の倒産が相次ぎ発生している。
100.0
11月の県内新設住宅着工戸数は
(%)
80
150
40
100
0
福島県
↓
98.0
50
↑
全 国
−80
0
97.0
8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011
15年
(資料:県企画調整部
6
−40
←前年同月比
(右目盛)
福島の進路17.2
16年
情報統計領域)
7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112
15年
株)
(資料:東日本建設業保証ò
16年
マンスリーレポート
―― 生
清酒
産
活
いずれも前年同月を上回った。また、県内
動 ――
9市場の素材入荷量は24,926Á(前年同月
11月の清酒移出量は、2,149Å(前
年同月比9.9%減)と、清酒需要減少に加
比3.5%増)となり、販売量は24,275Á
(同20.0%増)となった。
え県外大手酒造業者の攻勢などから、15ヵ
紙・紙加工品
月連続で前年を下回った。内訳をみると、
産は、農作物およびギフト向け製品がほぼ
一般酒は1,605Å(同11.0%減)、特定名称
終了し、 IT 関連および食品向け製品が中
酒は544Å(同6.7%減)で、ともに前年を
心となっている。デジタル家電の売行きが
下回った。暖冬などの影響もあり需要は伸
好調なことなどから生産は堅調に推移した。
びず、特に一般酒は前年同月を1割以上割
また、感熱紙の生産は、 FAX やレジ用
12月の段ボールケースの生
り込むなど厳しい状況にある。
向けの安定した需要に支えられ、前年をや
化合繊織物
12月の化合繊織物は、国内需
や上回り推移した。ノーカーボン紙は、前
要の低迷に加え海外製品との競争も厳しい
年並み、インクジェット紙は、需要の変化
中、ポリ製品は前年を上回ったものの、ナ
などから前年を下回り推移した。
イロン製品は原料高から前年を下回った。
化学
ニット
12月のニットは、春もの製品の生
生産は、デジタル家電が好調なことから、
産が中心で、国内需要の低迷などから、生
前年を上回り推移した。またリチウムイオ
産量は前年並みの水準で推移した。
ン電池の正極材の生産は、デジタルカメラ
木材・木製品
や携帯電話等の在庫調整の動きを受け、前
11月の県内木材6市場の製
材品入荷量は、3,668Á
(前年同期比20.7%
12月のセラミックコンデンサー材の
年を下回った。
増)
、販売量は3,059Á(同24.6%増)となり、
新設住宅着工
(戸)
2,
000
(%)
60
鉱工業生産指数(全国、東北との比較)
(季調済 平成1
2年=100)
120
40
1,
500
110
前年同月比
(右目盛)
↓
20
1,
000
0
東 北
↓
100
↑
福島県
−20
500
全 国
↓
90
−40
0
−60
11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
15年
(資料:国土交通省)
16年
80
9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
15年
(資料:県企画調整部
16年
情報統計領域)
福島の進路17.2
7
マンスリーレポート
鉄鋼・金属
12月の伸銅品の生産は、半導
輸送用機械
12月の自動車部品の生産は、
体向け電子材は前年をやや下回ったが、自
前年並みの水準で推移した。乗用車向け部
動車向け端子材はほぼ前年並みで推移した。
品の生産は、北米向けの落込みから前年を
また、鋳物品は、トラック向けが好調な
やや下回った。一方、中小型トラック向け
需要を受け前年を上回り推移した。また建
部品や補修品の生産は、国内販売、輸出向
設機械関係は、中国および北米向けが引き
けとも堅調で前年を上回り推移した。
続き好調なことから前年を上回った。鉄道
精密機械
車両向けも更新需要などにより安定した生
国内向けならびに海外向けともに好調で前
産が続いている。
年を大きく上回る水準で推移した。
電気機械
12月の医療用精密機械の生産は、
12月の変圧器の生産は、民間企
また、カメラ部品は、デジタルカメラ向
業向けの需要が回復し始めたことや輸出向
け部品の生産が、海外向けを中心に好調に
けが好調なことから、前年を上回り推移し
推移した。一方、価格や新商品開発を巡る
た。また、発電機や電炉の生産も、電力会
競争は厳しさを増している。
社や鉄鋼メーカーからの好調な受注に支え
大口電力
られ、前年を上回り推移した。
万È/ h(前年同月比2.9%増)となり、15ヵ
情報通信機械
12月のカーオーディオ及び
月連続で前年を上回った。主な販売先の増
カーナビの生産は、国内外の安定した需要
減を み ると 、「電 気機 械 」103 百万 È/ h
11月の大口電力販売量は、464百
(同2.7%増)、「非鉄金属」67百万È/ h
に支えられ前年並みで推移した。
12月のシステム LSI
(同11.1%増)、「化学」56百万È/ h (同
の生産は、デジタル家電市場の在庫調整の
1.8%減)、「輸送用機械」49百万È/ h (同
動きを受け、減少基調で推移している。
6.6%増)などとなっている。
電子部品・デバイス
県内鉱工業生産指数
106kw/h
550
(季調済 平成12年=100)
130
大口電力使用量
(%)
15
前年同月比
(右目盛)
↓
120
機械
↓
110
500
10
450
5
400
0
化学
↓
100
90
↑
食料品
80
↑
繊維
70
350
9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
15年
(資料:県企画調整部
8
福島の進路17.2
16年
情報統計領域)
−5
9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
15年
(資料:東北電力福島支店)
16年
マンスリーレポート
―― 金
資金需要
融
動
向 ――
―― 企業動向・雇用動向 ――
県内金融機関(全国銀行、第二
企業倒産
12月の企業倒産(負債総額10百
地銀、信用金庫、信用組合)の11月末の預
万円以上)は、件数14件(前年同月比±0
金残高は5兆9,918億19百万円で前月比79
%)、負債金額93億64百万円(前年同月比
億4百万円、0.1%減と2ヵ月ぶりに前月
15.1%減)となった。倒産件数は、前年同
を下回った。また、前年同月比では46億5
月と同数であった。負債金額は、ゴルフ場
百万円、0.1%減となり、31ヵ月ぶりに前
関連で大型倒産(2件85億円)があったも
年を下回った。
のの前年を下回った。倒産件数を地区別に
貸出残高は、3兆8,461億90百万円で前月
みると、県北5件、県南5件、会津3件、
比262億56百万円、0.7%減と3ヵ月連続で
浜通り1件となった。また業種別では、建
前月を下回った。また前年同月比では663
設関係が6件となり、3ヵ月連続で最多業
億26百万円、1.7%減となり、同じく3ヵ
種となった。
月連続で前年を下回った。
雇用動向
保証協会
12月の保証承諾は、件数2,231件
済、パート含)は、0.87倍と前月比では
(前年同月比5.7%減)、保証金額170億95百
0.01ポイント、前年同月比では0.19ポイン
11月の有効求人倍率(季節調整
万円(同18.4%減)となった。また、代位
ト上回った。また新規求人数は12,160人で、
弁済は、件数30件(同37.5%減)、金額2
前年同月比22.1%増と大幅に前年を上回っ
億86百万円(同32.9%減)となった。12月
た。「製造業」に一服感がみられたものの、
末時点での保証債務残高は、件数39,831件
「サービス業」、「運輸É通信業」、「卸売É
(同13.3%増)、金額2,896億47百万円(同
小売業、飲食店」などの業種では好調に推
移した。
16.5%増)となった。
(百万円)
1,
000
不渡手形金額
(%)
300
(県内4手形交換所)
県内企業倒産
(億円)
600
(件)
30
(負債額1,000万円以上)
250
前年同月比
(右目盛)
↓
800
200
150
600
25
500
件 数
(右目盛)
↓
400
20
100
50
300
15
200
10
100
5
0
400
−50
−100
200
−150
−200
0
7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011
15年
(当研究所調べ)
16年
0
0
11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
15年
16年
(資料:帝国データバンク福島支店)
福島の進路17.2
9
調
査
喜多方市における地域観光の現状と課題
はじめに
観光政策審議会の答申等によれば、観光
状分析や経済効果の推計を通して、地域に
おける観光の重要性、課題、今後の振興策
等について述べてみたい。
は、21世紀における基幹産業としての成長
が期待されており、地方においても、地域
活性化の観点から、観光の重要性に対する
1.喜多方市の産業構造
認識の高まりがみられる。各地域には、何
県の統計資料によると、平成13年におけ
らかの形で観光資源があり、それを基に観
る喜多方市の総生産額は1,088億15百万円
光振興を図ることによって、地域全体への
であり、内訳は、第一次産業が30億25百万
経済波及効果が期待される。
円、第二次産業が329億75百万円、第三次
喜多方市は、会津北部に位置していたこ
産業が754億82百万円となっており、サー
とから北方(きたかた)と称されていたが、
ビス業を中心とした第三次産業の割合が
明治8年の県布達によって5ヵ村が合併し
69.4%と最も高い(図1、表1)。
「喜多方町」となり、その後、昭和29年3月
産業別就業人口の推移を昭和50年以降で
に周辺の1町7ヵ村が合併し「喜多方市」
みると、農業を中心とした第一次産業の就
が誕生した。人口は約3万7千人だが、65
業者は減少傾向にあり、第二次産業は製造
歳以上の老年人口比率は27.4%(平成15年
図1
喜多方市総生産額内訳(平成13年)
農林水産 2.8%
度)と県平均に比べ5.6ポイント高く、高
齢化が進んでいる。
運輸・通信 3.3%
昭和50年代から「ラーメンと蔵の町」と
金融・保険
5.1%
して注目を集め、現在、市街地だけで年間
電気・ガス
・水道
2.6%
100万人を超える観光客が訪れる県内有数
の観光地となっている。喜多方市には、
ラーメンと蔵以外にも、地酒、文化財など
様々な観光資源があり、それを踏まえて、
本稿では、喜多方市における地域観光の現
10
福島の進路17.2
建設 4.1%
その他
13.5%
製造・鉱業
26.2%
サービス
22.0%
不動産
15.1%
卸・小売
7.7%
産業内訳は帰属利子等を含むため、合計は100%とならない。
資料:福島県統計分析グループ
調
表1
喜多方市総生産額内訳(平成13年)
数の減少(平成7年2,206戸→平成12年
(単位:百万円、%)
金
額
2,122戸)が続いている。
構成比
一次産業
3,025
2.8
二次産業
32,975
30.3
建
設
業
4,494
4.1
製造業É鉱業
28,481
26.2
75,482
69.4
8,366
7.7
業
16,400
15.1
サ ー ビ ス 業
23,993
22.0
三次産業
卸 É 小 売 業
不
産
電気ÉガスÉ水道業
2,862
2.6
金融É保険業
運輸É通信業
5,575
5.1
3,596
3.3
14,691
13.5
▲ 2,667
▲ 2.5
108,815
100.0
そ
控除
動
の
他
帰属利子等
合
計
第二次産業のうち製造業について、製造
品出荷額総額の推移をみると、景気低迷の
影響により平成9年の943億68百万円以降
減少が続いている。平成14年の製造品出荷
額総額は745億98百万円となっており、「非
鉄」、「金属」、「電子」の主要3業種合計で
388億59百万円(構成比50.8%)と大きな
割合を占めている。ラーメン関連の製麺業
が含まれている「食料」の出荷額は、77億
2百万円と3業種には及ばないが、事業所
資料:福島県統計分析グループ
業が工場進出等によって就
図2
業者が増加したが、平成に
(人)
10,000
入ると減少傾向に転じてい
8,000
る。第三次産業の就業者は
6,000
サービスの経済化の進展に
4,000
よって、一貫して増加傾向
2,000
を辿っている(図2)。
産業別就業人口の推移
第 1 次産業
第 2 次産業
第 3 次産業
0
昭
和
50
年
第一次産業の農業につい
昭
和
55
年
てみると、平成11年の農業
資料:国勢調査
粗生産額は約68億円で、う
図3
ち稲作が約51億円である。
(社)
35
しかし、米価の下落と生産
30
調整の拡大により、農業粗
25
生産額は平成6年の約83億
20
円をピークに減少を続けて
15
いる。そのため、遊休農地
の増加、就業者の高齢化
(農業人口の65歳以上の割
合は59.5%)と減少、農家
査
平
成
2
年
平
成
7
年
平
成
12
年
喜多方市製造業の事業所数と出荷額
(百万円)
16,000
14,707
14,000
12,487
11,665
12,000
10,000
9,283
7,702
8,000
5
1,683
6,000
5,322
4,437
10
0
昭
和
60
年
4,000
1,728
1,647
2,000
1,445
2,269
223
食料
飲料
衣服 窯業
非鉄 金属 機械
製造品出荷額
電気
情報
電子
輸送
精密 その他
0
事業所数
資料:福島県工業統計調査
福島の進路17.2
11
調
査
表2
喜多方市の商業の概要
年
月
(1日現在)
昭和63年6月
平成3年7月
平成6年7月
平成9年6月
平成11年7月
平成14年6月
年間商品販売額(百万円)
商 店 数 (店)
従業者数(人)
売場面積(㎡)
総 数 卸売業 小売業 総 数 卸売業 小売業 総 数 卸売業 小売業
小売業
51,138 16,861 34,277
846
117
729 3,085
609 2,476
37,960
56,619 17,509 39,110
837
107
730 3,134
575 2,559
43,850
59,740 17,263 42,477
777
103
674 3,043
551 2,492
48,671
64,197 18,555 45,642
732
89
643 3,062
557 2,505
43,174
57,643 17,253 40,390
732
105
627 3,217
547 2,670
52,299
52,224 14,925 37,300
702
91
611 3,137
414 2,723
58,445
資料:福島県商業統計調査
数30社、従業者数594人はそれぞれ製造業
2.喜多方市の観光の現状
の中で最多業種となっている(図3)
。
1
ò
第三次産業の内容をみると、サービス業
観光客の入込状況
の生産額が239億93百万円と最も大きく、
県の観光客入込状況によると、平成15年
総生産額の22.0%を占めている。また商業
に喜多方市を訪れた観光客数は1,047,800
の動向を商業統計調査でみると、商店数は
人で、うち日帰りが920,600人、宿泊が
昭和63年から平成14年の15年間で144店減
127,200人となっており、県外からは85万
少(17%減)しており、年間商品販売額も
人もの観光客が訪れている。
平成9年のピーク時から119億73百万円減
昭和50年頃の観光客は約5万人と低い水
少(18.7%減)している(表2)。このこと
準であったが、昭和57年頃からラーメンが
から、個人消費の低迷や、消費の市外流出
マスコミに取り上げられるようになり、観
が進行していることが窺える。したがって、
光客数は飛躍的に増加し始めた。グルメ
商業の生産額は、83億66百万円と総生産額
ブームが始まった昭和62年には約35万人、
の7.7%にとどまっている(図1、表1)
。
平成4年の磐越自動車道の開通時は約94万
図4
観光客入込状況
(人)
1,000,000
0
昭
和
50
年
昭
和
51
年
昭
和
52
年
昭
和
53
年
昭
和
54
年
昭
和
55
年
資料:福島県商工労働部
12
福島の進路17.2
昭
和
56
年
昭
和
57
年
昭
和
58
年
昭
和
59
年
昭
和
60
年
昭
和
61
年
昭
和
62
年
昭
和
63
年
平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平
成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成
元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年
平
成
12
年
平
成
13
年
平
成
14
年
平
成
15
年
調
査
人となり、平成5年には初めて100万人を
存継承施設として「蔵の里」を平成5年に
超えており、平成8年以降は横這い状態と
オープンしている。他に、蔵の保存事業と
なっているが、100万人台を維持している
しては蔵所有者等の団体である「蔵の会」
があり、市のバックアップを受け、蔵の保
(図4)
。
2
ò
喜多方市の取り組み
存活動を続けている。
喜多方市が行う観光キャンペーンとして
市商工観光課では、蔵、地酒、ラーメン
等の地場産品を重要な観光資源として位置
付け、各種事業を実施している。具体的に
は、
「冬まつり(2月)
」、
「夏まつり(8月)」、
「スタンプ蔵めぐり」等がある。これらの
は、観光客受け入れ体制の整備事業として、
イベントと並行して、平成16年には「全国
観光ボランティアガイドの配置、駐車場、
ラーメンフェスタ」や「日韓太鼓フェスタ」
案内板、観光案内所の設置、
「ふれあいパー
等の開催や、「蔵のまち喜多方市民号」と
ク喜多の里(レストランÉ物産館)」の開
命名されたバスツアーを企画し、喜多方市
設、
「道の駅、蔵の湯(温泉保養施設)」の
のPRを行っている。
「スタンプ蔵めぐり」
開設等が挙げられる。また、歴史的地区環
では、喜多方をより深く知ってもらうだけ
境街路整備事業として、街並の保存をしな
でなく、観光の目的、滞在日数、何を買物
がら、住民や観光客が歴史にふれることが
したか、感想等のアンケートを実施し、観
できる道づくりを目指している。
光客のニーズ把握も行っている。
大型事業として、蔵を生かした景観づく
3
ò
喜多方市と福島県や JR 東日本との連携
りを目的に、昭和63年度に採択されたまち
平成16年度の福島県「うつくしまふくし
づくり特別対策事業があり、蔵や民家の保
ま観光キャンペーン」は、会津地方を中心
に山形県の置賜地方も含めた広
域観光圏を対象に行われた。ま
た野口英世博士の新千円札発行、
NHK 大河ドラマ「新選組!」
放映等、会津への関心が全国的
に高まっていることから、観光
客の増加が大いに期待できる状
況にある。
また、平成17年度の JR 東日
本を中心とした「デスティネー
喜多方市 蔵の里
ションキャンペーン」も、会津
福島の進路17.2
13
調
査
地方を対象としている。このキャンペーン
メン、文化財等が挙げられる。酒É味噌É
では、各地の観光地、各種イベント、特産
醤油などの醸造業、漆器、製絹業が古くか
品等のPRが予定されており、各自治体、
ら盛んであったこの地域では、年間を通し
商工団体等も、このキャンペーンに合わせ
て一定の室温、湿度が保てる蔵が多く建て
て、観光イベントを集中的に行う予定であ
られた。これらの蔵はあくまで生活蔵とし
る。喜多方市では、ラーメンの大食い食べ
て使用されてきたが、昭和50年頃から、観
歩き、地酒の限定販売を現在企画している。
光資源として注目されるようになり、当地
市商工観光課は、上記のようなキャン
が蔵の町としての観光で有名になるにつれ
ペーンを通して福島県や JR 東日本を中心
て、喜多方ラーメンもその存在が知られる
とした外部との連携を強化し、観光PRを
ようになった。
積極的に行っている。
1
ò
4
ò
ラーメン業界の動向
蔵
市商工観光課の資料によると、現在、市
ラーメン業界の活動としては、昭和62年
内には2,600棟を超える蔵が市街地、郊外
3月に製麺業者とラーメン店46軒により設
に点在しており、4世帯のうち1世帯の割
立された老麺会(平成16年7月現在62軒)
合で蔵を所有している。蔵の種類も酒蔵、
が代表的である。老麺会は、喜多方ラーメ
味噌蔵、座敷蔵、蚕蔵など多彩であり、工
ンの独特の味を守り、技術の向上を図るこ
法も粗壁、レンガ造り等様々である。
とを目的に設立された親睦団体であり、市
会津藩には、商人、酒造業、漆器業者な
と商工会議所の協力を得て加盟店を紹介す
ど殖産興業に関わるものだけに蔵の建築を
る「老麺会マップ」(年間約35万部)と、
許可していた歴史がある。藩政の崩壊に
加盟店で使える「老麺券」を発行しており、
よって蔵の制限がなくなり、また、蔵を建
観光客に広く利用されている。
てることが一人前の男の証しであるといっ
また、喜多方市は、ラーメン業界と連携
た地域性から、当地では商人や農家など多
し、ラーメン店経営についての相談、苦情
くの人々が競って蔵を建てるようになって
等の改善指導、地元イベントへの参加依頼、
いった。
全国各地のイベントの斡旋等様々な活動を
行っている。
昭和40年代になると、産業構造や生活様
式の変化から、放置された蔵や取り壊され
る蔵が出始めたため、蔵に愛着を持ち、蔵
3.喜多方市の観光資源について
喜多方市の観光資源としては、蔵、ラー
14
福島の進路17.2
の写真を撮り続けていた地元の写真家、金
田実氏が昭和47年、市内で蔵の写真展を開
き、蔵の美しさを見る人に訴えた。この写
調
査
真展は東京などでも開かれ、これらの活動
また、会津地方はわが国有数の桐、漆器
が話題となって、喜多方の蔵が全国的に注
の産地としても知られている。当地の桐は
目されるようになり、観光客や写真家が大
年輪が締まって木目が美しく、琴、家具、
勢訪れるようになった。
下駄などの民芸品に広く利用され、特に喜
2
ò
多方市は、一つひとつ職人により手作りで
ラーメン
大正末期、市内にまだラーメン店がなかっ
生産される桐下駄の産地として有名である。
た頃、中国から渡ってきた青年が屋台を引
漆器は、天正年間(1590年)の蒲生氏郷時
き、売り歩いていたÃ支那そばÄが70有余
代にその製造が始まったと言われており、
年の歴史をもつ喜多方ラーメンの元祖と言
椀や盆などの生活用品や伝統工芸品として
われる。
会津若松市に次ぐ産地となっている。市内
喜多方市は、大規模工場が町の中心部に
ある工員の町であったため、三直制の工員
には桐や漆器の博物館があり、伝統技術の
紹介等が行われている。
また、喜多方市には貴重な文化財や歴史
が利用する飲食店が元々多い地域であった。
特にラーメン店は、昭和20年代前半、戦前
ある神社仏閣なども多数存在し、国指定重
から営業していた人に加えて、中国からの
要文化財である新宮熊野神社の長床や願成
引き揚げ者が大陸で学んだ知識と技を基に
寺の大仏などが有名である。
営業を始めたこともあって、多数存在して
いた。
昭和57年頃、落語家がテレビで喜多方
ラーメンを紹介したのがきっかけとなり、
4.経済効果について
1
ò
サービス業生産額推移と観光産業の関係
雑誌Éテレビ等で度々取り上げられ、グル
まず、サービス業の生産額推移から観光
メブームと相俟って注目されるようになっ
産業の果たしている効果を見てみたい。喜
た。観光客の増加と共にラーメン店は増え
多方市の総生産額は、平成13年1,088億15
続け、昭和50年の約60店から、平成15年に
百万円(県は7兆7,983億66百万円)、その
は約130店と倍増し、全国的にも珍しい
うち、サービス業の生産額は239億93百万
Ãラーメン店の数が非常に多い街Äとなっ
円(県は1兆4,418億18百万円)で、総生
ている。
産額に占めるサービス業生産額の割合は、
3
ò
喜多方市22.0%、県18.4%である。特に、
地酒、桐、漆器、文化財等
喜多方市には地酒の醸造元が9軒あり、
昭和62年頃から観光客が増加した影響から
販売だけでなく、酒蔵の見学や酒造りの紹
か、喜多方市のサービス業の生産額が大き
介など熱心に取組んでいる。
く伸び始め、総生産額に占める割合も、一
福島の進路17.2
15
調
査
図5
日本観光協会)の数字を基に
県内、喜多方市のサービス業割合
(%)
25
推計すると、東北地方を目的
地とした旅行の場合、1人当
20
たりの平均観光消費額は以下
15
の通りとなる。ただし、宿泊
10
客の数字には県外客が県外で
5
0
消費した旅行前後の費用と県
県 内 喜多方市
昭
和
56
年
昭
和
57
年
昭
和
58
年
昭
和
59
年
昭
和
60
年
昭
和
61
年
昭
和
62
年
昭
和
63
年
平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平
成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成
元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年
平
成
12
年
外客が旅行前に県外で支払い
平
成
13
年
県内需要とならない交通費な
どが含まれるので、それを除
資料:福島県統計年鑑
時下回った時期もあったが、県全体の数値
く必要があり、調整後の1人当たり平均観
を上回っている。喜多方市のサービス業の
光消費額を19,471円とした。なお、日帰り
生産額推移からは、観光地化の進行による
客分はすべて県内需要と仮定した。
観光関連サービス業の生産額増加が、喜多
日帰り客1人当たり
方の地域経済発展に大いに寄与しているこ
宿泊客1泊1人当たり
23,627円→19,471円(調整後)
とが窺える(図5)。
2
ò
観光消費による経済波及効果
5,127円
上記の観光客数と1人当りの平均観光消
喜多方市には、年間100万人超の観光客
費額に基づいて平成15年の喜多方市の観光
が訪れる。観光客が喜多方市内で落とす観
消費額を求めると、以下の通りとなる。な
光消費額が地域経済にどのような影響を及
お、平均宿泊数は「平成15年度観光の実態
ぼしているか、その経済波及効果を喜多方
と志向」のなかの東北地方を目的地とした
市、県等の統計資料に基づいて推計してみ
場合の平均宿泊数の1.51泊とした。
た。
喜多方市の平成15年の観光客数は観光客
入込状況によると、以下の通りとなってい
5,127百万円
宿泊客
4,538百万円
合計
9,665百万円
この観光消費額を基に、産業連関分析手
る。
日帰
920,600人
法を用いて経済波及効果を推計した。これ
宿泊
127,200人
によると、喜多方市の観光消費による経済
合計
1,047,800人
波及効果は生産誘発額が159億13百万円、こ
まず、1人当たり平均観光消費額を、
「平成15年度観光の実態と志向」(社団法人
16
日帰り客
福島の進路17.2
のうち付加価値誘発額が91億69百万円、う
ち雇用者所得誘発額が49億52百万円である。
調
表3
喜多方市の産業別観光消費額
(単位:百万円)
平成15年(35部門)
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
農林水産業
鉱
業
食料品
繊維製品
パルプÉ紙É木製品
化学製品
石油É石炭製品
窯業É土石製品
鉄
鋼
非鉄金属
金属製品
一般機械
電気機械
輸送機械
精密機械
その他の製造工業製品
建
設
電力ÉガスÉ熱供給
水道É廃棄物処理
商
業
金融É保険
不動産
運
輸
通信É放送
公
務
教育É研究
医療É保健É社会保障
その他の公共サービス
対事業所サービス
娯楽サービス
飲食店
旅館Éその他の宿泊所
その他の対個人サービス
事務用品
分類不明
合
計
日帰り客
宿泊客
合 計
50
0
426
79
22
25
100
71
0
0
0
0
3
0
35
105
0
0
0
475
4
0
547
19
0
0
0
0
74
200
698
2,120
76
0
0
44
0
377
70
19
22
88
63
0
0
0
0
3
0
31
93
0
0
0
421
3
0
484
17
0
0
0
0
65
177
618
1,876
67
0
0
94
0
803
149
41
48
188
133
0
0
0
0
5
0
66
197
0
0
0
896
7
0
1,030
37
0
0
0
0
139
376
1,316
3,996
143
0
0
5,127
4,538
9,665
査
当初の観光消費に対する倍率はそれぞれ
1.65倍、0.95倍、0.51倍となり、さらに雇
用機会の創出を示す雇用者誘発数は1,676
人となっている(表3、表4)
。
また、産業連関分析における付加価値額
は、 GDP 統計における総生産に相当する
が、平成15年の喜多方市の観光消費による
付加価値誘発額合計91億69百万円は、平成
13年の市内総生産1,088億15百万円の8.4%
を占める。また、雇用者所得誘発額49億52
百万円は、平成13年の喜多方市雇用者所得
585億31百万円の8.5%を占め、雇用者誘発
数合計1,676人は、平成13年の喜多方市従
業者総数17,216人の9.7%を占める(表5)
。
ちなみに、平成16年版観光白書によると、
平成14年度、国の旅行消費による経済波及
効果の分析において付加価値額の総生産額
に対する割合は5.2%、雇用者誘発数の従
業者総数における割合は6.0%となってい
る。また、平成15年版観光白書によると、
福島県の場合、付加価値額の総生産額に対
する割合(平成7年分)が3.4%、雇用者
誘発数の従業者総数に対する割合(平成11
年分)が1.4%となっており、これをみて
も、喜多方市の観光消費による経済波及効
果は、国や県と比較しても大きいことが分
表4
喜
経済波及効果
多
方
(単位:百万円)
市
倍率(倍)
かる。
観
光
消
費
額
9,665
―
また、表6をみると、公共投資は県内経
生
産
誘
発
済との比較では、付加価値誘発額の総生産
額
15,193
1.65
付加価値誘発額
9,169
0.95
雇用者所得誘発額
4,952
0.51
に対する割合が6.5%、雇用者所得誘発額
雇用者誘発数(人)
1,676
1.51
の雇用者所得に対する割合が8.1%、雇用
福島の進路17.2
17
調
査
表5
喜
経済波及効果と喜多方市総生産額等との比較
多
方
(単位:百万円)
市
総合効果(A)
喜 多 方 市
総生産額他(B)
比率(A/B)
付加価値誘発額
9,169
総 生 産 額
108,815
8.4%
雇用者所得誘発額
4,952
雇用者所得
58,531
8.5%
雇用者誘発数(人)
1,676
従業者数(人)
17,216
9.7%
注)県内総生産、雇用者所得:「平成13年度福島県市町村民所得統計」
従業者数:「平成13年事業所É企業統計調査報告」
表6
福
県内の公共投資による経済効果と総生産額等との比較
(単位:百万円)
島
比率(B/A)
県
(A)
経
済
効
果
(B)
県内総生産
7,848,479
付加価値誘発額
510,783
雇用者所得
3,905,226
雇用者所得誘発額
316,282
8.1%
雇用者誘発数
(人)
77,822
8.1%
従業者数
(人)
959,844
6.5%
注)県内総生産、雇用者所得:「平成11年度福島県市町村民所得統計」
従業者数:「平成13年事業所É企業統計調査報告」
者誘発数の従業者数に対する割合が8.1%
り、それが成果となってリピーターや新規
と、大きな割合を占めているが、喜多方市
の観光客増加に繋がっていくのである。
における観光消費による経済波及効果の割
1
ò
観光資源の連携
合は表5の通り、それぞれ8.4%、8.5%、
多くの蔵が生活の場として利用されてい
9.7%となっており、喜多方市の観光消費
る状況では、蔵の所有者が観光資源として
による経済効果の大きさがわかる。地域経
公開することにためらいを感じるのは当然
済の発展に寄与してきた公共投資の増加が
であるし、喜多方ラーメンの関係者すべて
見込めない中で、観光産業の役割は今後さ
が、自らを観光産業と認識している訳では
らに高まっていくものと思われる。
なく、マナーやサービスなど観光客の受け
入れに対しても格差がある。しかし、喜多
5.喜多方市における観光振興の
課題と方向性について
喜多方市における観光産業振興の課題は、
いかにして観光客の消費額を増加させるか
方市における地域観光の課題を解決するた
めには、蔵所有者等の団体である「蔵の会」
や、ラーメン業界、酒造業者、商店会、地
域住民等が、まず観光資源の重要性を再認
識する必要性がある。
ということであり、単に観光客数の増加を
その認識の上で、地域観光にとって重要
図るだけでなく、一人当りの観光消費額の
な観光資源を持つ者同士が連携すべきであ
増加を図ることも重要であると考えられる。
り、単体では大きな集客が望めないが、そ
そのためには、ラーメンと蔵以外の観光資
れぞれが連携することによって、はじめて
源の活用など新たな観光振興策が必要であ
大きな力となり得るのである。観光資源同
18
福島の進路17.2
調
査
士が協力して、地域全体のPRや共同イベ
化すると予想される。これからは、高齢者
ントの開催、観光客受け入れ体制の再構築、
が何軒ものラーメン店を食べ歩きができる
蔵の定期的な開放や、店舗の改造等による
ミニサイズラーメンを業界一丸となって開
町並み整備などを行うことによって相乗効
発するような、シルバー層のニーズに合わ
果が期待される。
せた需要の開拓も必要であろう。
2
ò
観光と農業の連携
上記に挙げたのは一例であるが、これら
平成15年に認可されたアグリ特区は、農
の観光振興策の目的は、リピーターや新規
業振興と地域活性化のため、株式会社等に
の観光客の増加を図り、最終的には観光消
おける農業参入と市民農園の開設が認めら
費額を増加させることである。つまり体験
れており、農業と地域観光が連携する機会
型観光や、ラーメンや地酒、地場産品など
を創り出している。すでに、ラーメンの原
をさらに充実させて、観光客の消費マイン
材料である小麦を100%喜多方産とする計
ドを刺激し、観光消費額の増加を図ってい
画が、 JA やラーメン業界の間で始まって
くことが重要なのである。
おり、地産地消の動きがラーメンに波及し
ている。また、観光客がアグリ特区の市民
農園を活用すれば、物づくりの楽しみや地
最 後 に
域の魅力を深く知るといった大きな満足を
これまで見てきた通り、喜多方市におい
得てリピーターになる可能性があり、農作
ては、製造業や商業の地盤沈下が進んでお
業を通じた体験型観光が新たな観光客の増
り、地域経済の活性化策として大きな経済
加にも繋がる。
効果を見込める観光が、重要な産業として
3
ò
期待されている。従来より、行政、民間と
観光消費額の増加
地酒、桐製品等の伝統産業における製作
もに観光振興に努めてきたが、全国各地に
体験の実施や、歴史的建造物É文化財につ
ご当地ラーメンが多数出現し競争が厳しく
いての学習会等の開催などは、体験型観光
なってきたこともあり、当地における観光
としては重要である。これらの歴史的背景
客数は相対的に伸び悩んでいる。こうした
や芸術性など様々な側面を観光客にアピー
状況を踏まえ、市勢のより一層の発展のた
ルし、そして自らが体験することによって
め、喜多方市全体が一丸となって観光振興
それらの理解が深まれば、観光資源の魅力
に取組み、地域活性化、地域経済発展へつ
が再認識される可能性もある。
なげることを期待したい。
また、少子高齢化の進展は高齢者主体の
(担当
斎藤)
観光をもたらし、観光に対するニーズが変
福島の進路17.2
19
調
査
統計から読む「介護サービス」の現状と最近の動き
関する統計データと比較して、この約2年
1.はじめに
間で、介護サービスの需給の現場がどのよ
本誌の昨年6月号において、「介護サー
ビスの第三者評価をめぐる最近の動き」と
うに変化しているのかという部分などにス
ポットをあてて、行ったものである。
題して、介護保険制度が平成12年に導入さ
れた後の、「介護サービスの質の向上に関
する新たな展開及び、国内É県内の介護
サービスの第三者評価に関する最近の動
2.国内の介護サービスの需給動向
1
ò
向)
き」をまとめた。
今回の統計分析調査は、特に、福島県内
において、平成14年当時の介護サービスに
表1
居宅サービス事業所の経営主体別特徴
厚生労働省は、平成16年10月1日に「介
サービスの内容
1 訪問介護
家庭での介護や身のまわりの世話をホームヘルパーが援助
2 訪問入浴介護
巡回入浴車で家庭を訪問しての入浴介護
3 訪問看護ステーション
看護師É保健師等により家庭を訪問して行う看護支援
4 訪問リハビリテーション
作業療法士É理学療法士により家庭を訪問して行う訓練で、心身
機能を維持回復させ日常生活の自立を助けるための機能訓練
5 通所リハビリテーション(デイケア) 医療機関等での入浴、食事等の介護や機能訓練
6 居宅療養管理指導
医師や歯科医師が訪問して行う療養上の管理指導
7 通所介護(デイサービス)
在宅サービスセンター等での趣味Éいきがい活動や入浴の介護等
8 短期入所生活介護
特別養護老人ホーム等における短期の介護サービス
9 短期入所療養介護
老人保健施設等における短期の介護サービス
10 痴呆対応型共同生活介護
(痴呆性高齢者グループホーム)
共同生活を送る痴呆性高齢者に対する介護
11 特定施設入所者生活介護
ケアハウスや有料老人ホームなどで行われる居宅サービス
12 福祉用具貸与
特殊ベッドや車いす等の介護用具を貸し出すサービス
13 居宅介護支援
要介護É要支援と認定され、居宅サービスを希望する人への、介
護サービス計画の作成
施 14 介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
設
サ 15 介護老人保健施設(老人保健施設)
ー
ビ
ス 16 介護療養型医療施設
資料:東洋経済新報社「図解
20
①
介護サービスの概要
サービスの種類
居
宅
サ
ー
ビ
ス
国内の事業所施設の特徴(供給側の動
福島の進路17.2
常時介護が必要で、家庭での生活が困難の場合に入所
病状が安定し、リハビリを中心とする医療ケアと介護を必要とす
る場合に入所
比較的長期間にわたり療養を必要とされる場合に入院
介護保険のすべて」、自由国民社「介護サービスの基礎知識」より当研究所作成
調
査
護サービス施設É事業所調査結果概況」を
問介護」で44.8%、その他サービスの中の
公表した。この調査は、毎年、全国の介護
「痴呆対応型共同生活介護」で42.8%、「福
サービスを提供する施設É事業所の状況な
祉用具貸与」で87.0%と、各々で最も多い
どを把握することにより、介護サービスの
構成割合になっている。「訪問介護」や
提供面(供給側)に着目した基礎資料を得
「福祉用具貸与」は、店舗や貸与用用具を
保有することで、事業参入することが可能
ることを目的として実施されている。
調査の対象は、平成15年10月1日時点で
であり、「痴呆対応型共同生活介護」にお
の、全国の介護保険施設、居宅サービス事
けるホームの建設投資額も、介護保険施設
業所及び居宅介護支援事業所とし、これら
の投資額と比較すれば、少なくて済むこと
の施設É事業所の全数を調査の対象とし
から、営利法人(会社)の進出が多いもの
ている。なお、今後、述べる介護サービスの
とみられる。
一方、「訪問入浴介護」、「通所介護」に
種類については、表1をご覧いただきたい。
まず、居宅サービス事業所の構成割合を
関しては、社会福祉法人の割合が各々63.2
経営主体別にみると(表2)、営利法人
%、61.9%と最も多い。さらに、「短期入
(会社)が、訪問系のサービスである「訪
所生活介護」に至っては、社会福祉法人の
表2
開設(経営)主体別事業所数の構成割合(全国)
(平成15年10月1日現在)
構 成 割 合(%)
事業所数
地 方 公的É社会 社 会
社団É
営 利 特定非営利
医 療
協 同
総 数 公 共 保険関係 福 祉
財 団
法 人 活 動 法 人 その他
法 人
組 合
団 体 団
体 法 人
法 人
(会社) (NPO)
居宅サービス事業所
(訪問系)
訪問介護
15,701
100.0
1.5
−
33.0
訪問入浴介護
2,474
100.0
訪問看護ステーション
5,091
100.0
2.0
−
63.2
4.9
1.9
9.7
9.0
1.8
4.2
44.8
4.7
1.0
3.1
1.1
1.1
28.7
0.6
0.2
49.3
16.6
5.7
10.9
0.6
0.5
(通所系)
12,498
100.0
3.6
−
61.9
7.9
1.0
1.7
19.1
4.0
0.8
通所リハビリテーション
通所介護
5,732
100.0
3.4
1.4
8.6
73.3
3.1
−
0.1
−
10.0
①介護老人保健施設
2,960
100.0
5.0
2.1
15.8
73.2
3.1
−
0.0
−
0.7
②医療施設
2,772
100.0
1.7
0.7
0.9
73.3
3.1
−
0.3
−
20.0
短期入所生活介護
5,439
100.0
5.8
−
91.7
1.1
0.1
0.2
0.9
0.1
0.2
短期入所療養介護
5,758
100.0
5.1
1.8
8.5
74.5
3.0
−
0.1
−
7.1
①介護老人保健施設
2,980
100.0
5.0
2.1
15.7
73.4
3.1
−
0.0
−
0.7
(その他)
②医療施設
2,778
100.0
5.1
1.4
0.9
75.7
2.8
−
0.1
−
13.9
痴呆対応型共同生活介護
3,655
100.0
0.5
−
27.3
22.4
0.4
0.2
42.8
6.2
0.2
福祉用具貸与
5,016
100.0
0.3
−
4.7
2.8
0.3
3.8
87.0
0.7
0.5
23,184
100.0
4.6
−
34.1
23.6
4.8
3.7
26.0
1.9
1.2
居宅介護支援事業所
資料:厚生労働省「介護サービス施設É事業所調査結果概況」
福島の進路17.2
21
調
査
割合が91.7%と圧倒的に多い。この傾向は、
人であれば支給の指定が受けられ、居宅
訪問入浴サービスや通所系のサービスが、
サービス事業への参入が可能である。この
巡回入浴車やデイサービスセンターÉデイ
ため、先にみたように、比較的、多額の施
ケアセンターなどのような、比較的多額な
設投資を必要としない「訪問介護」やレン
投資を伴う施設の利用を必要とすることに
タル産業的な色彩が強い「福祉用具貸与」
起因している、と考えられる。このため、
の分野へ、営利法人の参入が活発になった
その運営のほとんどが社会福祉法人となっ
ものと思われる。
ている。
②
また、訪問系のサービスの一つ、「訪問
介護保険施設の経営主体別特徴
看護ステーション」の構成割合は、医療法
次に、表3により、介護保険施設の経営
人が49.3%と最多である。また、「通所リ
主体をみる。介護老人福祉施設(特別養護
ハビリテーション」、
「短期入所療養介護」
老人ホーム)は、社会福祉法人が88.9%と
は、医療法人が73.3%、74.5%で最も多い
最多である。また、介護老人保健施設と介
主体である。もちろん、これもこれらの
護療養型医療施設については、医療法人が
サービスが、看護やリハビリÉ療養といっ
各々73.1%、74.7%と最も多くなっている。
た医療法人における看護師É医師É療法士
このように、特に介護保険施設開設に関
などの存在がないと実質的な対応ができな
しては、居宅サービス事業者以上に、法律
いサービスであることに起因している。
の制限が関わってくる。介護老人福祉施設
居宅サービス事業所の指定については、
(特別養護老人ホーム)の場合、老人福祉
介護保険法の第70条(指定居宅介護事業者
法の第15条により、「社会福祉法人、市町
の指定)において、居宅サービス事業を行
村、地方独立行政法人は、厚生労働省令の
う者の申請により、申請者が法人でなけれ
定めるところにより、都道府県知事の許可
ば居宅介護サービス費の支給の指定を受け
を得て、養護老人ホーム又は、特別養護老
られない、とされている。逆に言えば、法
人ホームを設置することができる」とある。
表3
開設(経営)主体別施設数の構成割合(全国)
(平成15年10月1日現在)
構成割合(%)
施設数 総 数
広域連合 赤十字É 社 会 社 会
社団É
その他
国É都 市 区
医 療
É 一 部 社会保険 福 祉 福 祉
財 団
その他
の法人
道府県 町 村
法 人
法 人
事務組合 関係団体 協議会 法 人
介護保険施設
介護老人福祉施設
5,084
100.0
1.1
6.3
3.3
0.1
0.2
88.9
介護老人保健施設
3,013
100.0
0.1
3.9
1.0
2.1
0.0
16.0
介護療養型医療施設
3,817
100.0
0.1
4.8
1.3
1.0
資料:厚生労働省「介護サービス施設É事業所調査結果概況」
22
福島の進路17.2
73.1
3.1
0.7
−
74.7
2.7
1.0
14.4
調
③
また、介護老人保健施設については、介護
査
利用人員別特徴
保険法の第94条の中で、「当該介護老人保
居宅サービス事業所は、利用人員の規模
健施設を開設しようとする者が、地方公共
などに関しては格差がある。表4により、
団体、医療法人、社会福祉法人その他の厚
平成15年9月中の利用人員について、階級
生労働大臣が定める者でないとき、許可を
(規模)別に一番構成割合が多いランクを
与えることができない」とある。さらに、
みてみると、訪問系については、「訪問介
同法第95条において、「介護保険施設の開
護」と「訪問看護ステーション」で「20∼
設者は、都道府県知事の承認を受けた医師
39人」が25.0%、29.5%と一番割合が多い。
に管理させなければならない」とある。介
ところが同じ訪問系でも、「訪問入浴介
護療養型医療施設についても第107条で、
護」では、「1∼19人」が61.8%と最も多
「厚生労働省令で定めによるところにより、
く、1事業所の1ヵ月当たりの利用者数に
療養病床などを有する病院又は診療所で
ついては30.5人と他の訪問サービスの50人
あって、その開設者の申請があったものに
台と比べてはるかに少なく、市場としては
ついて行う」と限定されている。
小さい。
これらの法的制限があるため、介護保険
次に、通所系サービスにおいては、「通
施設においては、営利法人(会社)の参入
所介護」では「60∼79人」が16.9%と最多
ができない。
で、月平均利用者は73.9人である。「通所
表4
利用人員階級別事業所数の構成割合状況(全国)
総 数
居宅サービス事業所
(訪問系)
訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護ステーション
(通所系)
通所介護
通所リハビリテーション
①介護老人保健施設
②医療施設
(その他)
短期入所生活介護
短期入所療養介護
①介護老人保健施設
②医療施設
痴呆対応型共同生活介護
居宅介護支援事業所
1∼
19人
20∼
39人
40∼
59人
60∼
79人
80∼
99人
(単位:%)平成15年9月
100∼
119人
120∼
139人
140∼
159人
160∼
179人
180∼
199人
200人
以上
1事業所
当たり
利用者数
(月中、人)
1事業所
当たり延べ
利用者数
(月中、人)
100.0
100.0
100.0
24.3
61.8
13.8
25.0
18.9
29.5
17.8
7.1
24.6
11.9
4.5
14.1
7.2
2.2
8.4
4.6
1.5
4.2
2.7
1.1
1.9
1.7
0.8
1.2
1.2
0.4
0.5
0.7
0.4
0.4
3.0
1.3
0.7
59.0
30.5
52.0
728.2
128.7
285.0
100.0
100.0
100.0
100.0
12.1
7.7
6.7
8.7
15.3
16.8
12.9
21.0
15.1
21.8
17.9
26.0
16.9
17.5
18.2
16.7
15.3
12.8
13.6
11.9
10.5
8.7
9.8
7.6
6.6
5.2
7.2
3.1
3.6
3.3
4.8
1.7
2.0
2.4
3.4
1.2
1.0
1.0
1.6
0.5
1.5
2.0
2.9
1.1
73.9
73.8
83.2
63.8
476.5
528.6
600.9
451.8
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
30.2
47.1
61.9
31.3
91.3
17.2
36.0
12.7
22.6
2.1
8.5
14.2
20.2
3.4
6.2
0.4
0.2
16.2
8.7
0.9
1.7
0.1
−
12.1
2.9
0.3
0.5
−
−
9.9
1.2
0.2
0.3
−
−
8.1
0.4
−
−
−
−
5.9
0.2
0.0
0.1
−
−
4.3
0.2
−
−
−
−
3.1
0.0
0.0
0.0
0.0
−
2.4
0.1
0.0
0.0
−
−
6.8
35.0
15.2
18.0
7.0
11.9
86.5
308.8
107.9
127.3
50.7
−
0.0
資料:厚生労働省「介護サービス施設É事業所調査結果概況」
福島の進路17.2
23
調
査
リハビリテーション」では、「40∼59人」
その他のサービスにおいては、「短期入
が21.8%と最も多く、1事業所当たり利用
所生活介護(ショートスティ)」が「20∼
者数は月平均73.8人である。このように通
39人」(36.0%)、「短期入所療養介護」が
所系サービスの1事業所当たり利用者数は、
訪問系サービスの利用者数(30∼50人台)
「1∼19人」(47.1%)、「痴呆対応型共同生
活介護」が「1∼19人」(91.3%)などと、
「訪問入浴介護」と同様に、市場が比較的
に比べて多くなっている。
このように、サービスの種類によって利
小さいものと考えられる。
用者数に大きな差異があるのは、利用者1
人当たりのスタッフ職員数に差異があるか
2
ò
国内における要介護度別利用者数等の
らで、例えば、「訪問入浴介護」なら利用
状況(需要側の動向)
者1人にスタッフ3人、「訪問介護」なら
全国の平成15年9月時の、介護サービス
利用者1人にスタッフ1人、「通所介護」
種別ごとに、利用者数などを要支援、要介
なら利用者3人にスタッフ1人という勤務
護1∼要介護5の6段階別に構成割合をみ
体制がとられるからである。
たのが、表5である。
表5
要介護度別利用者、在所者数の構成割合状況(全国、述べ人数)
利用者É
在所者数
(人)
居宅サービス事業所
(訪問系)
訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護ステーション
(通所系)
通所介護
通所リハビリテーション
①介護老人保健施設
②医療施設
(その他)
短期入所生活介護
短期入所療養介護
①介護老人保健施設
②医療施設
痴呆対応型共同生活介護
福祉用具貸与
居宅介護支援事業所
介護保険施設
①介護老人福祉施設
②介護老人保健施設
③介護療養型医療施設
構 成 割 合(%)
総 数
要支援
要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
福島の進路17.2
その他
899,167
70,948
262,925
100.0
100.0
100.0
17.2
0.1
2.7
39.3
2.8
16.4
16.0
6.3
14.3
9.8
12.0
12.9
7.8
25.2
14.6
7.6
51.4
21.5
2.3
2.2
17.6
920,869
419,510
243,587
175,923
100.0
100.0
100.0
100.0
13.6
11.0
9.4
13.2
35.3
36.9
34.7
40.0
19.7
22.9
23.6
21.8
12.6
14.2
15.5
12.4
8.7
9.5
10.7
7.9
5.2
5.0
5.7
4.0
4.9
0.5
0.4
0.6
175,858
56,666
50,109
6,557
43,519
702,733
1,909,598
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
1.1
0.8
0.8
1.2
14.5
14.0
14.3
12.0
27.5
19.8
20.5
21.2
15.8
34.1
22.2
22.7
23.3
18.0
24.4
23.0
22.2
22.4
21.3
10.7
18.6
19.1
17.5
30.9
3.1
0.7
0.6
0.6
0.8
0.2
16.4
37.7
18.2
11.3
8.3
6.8
1.3
341,272
245,268
129,365
100.0
100.0
100.0
7.8
12.3
3.4
13.2
19.6
5.9
18.3
23.7
11.4
29.3
26.7
28.9
31.1
17.4
49.5
0.3
0.3
0.9
資料:厚生労働省「介護サービス施設É事業所調査結果概況」
24
(平成15年9月)
調
ここで、もし仮に、要支援、要介護1、
要介護2までを、「比較的軽度の要介護タ
査
は困難になり、短期的な施設入所を伴う
サービスを利用していることが確認できる。
イプ」とし、要介護3から要介護5までを
「比較的重度の要介護タイプ」と区分した
とすると、構成割合の面より、次のことが
3.県内の介護サービスの需給動向
1
ò
読み取れる。
「訪問介護」、「通所介護」、「通所リハビ
リテーション」、
「痴呆対応型共同生活介護」
、
県内における居宅及び施設サービス各
事業所数(供給側の動向)
県内の介護サービスの需給をみていく前
「居宅介護支援事業所」などは、どちらか
に、福島県の高齢化率をみてみると、福島
と言えば「比較的軽度の要介護タイプ」の
県は明らかに高齢化率が全国を上回ってい
利用者が多い。
る(表6)
。
「訪問入浴介護」、「訪問看護ステーショ
このような中、福島県内の介護サービス
ン」
、「短期入所生活介護」
、「短期入所療養
供給の動きをみるために、サービス供給を
介護」や施設サービス(「介護老人福祉施
行っている事業所数の推移をみてみる。表
設」
、「介護老人保健施設」
、
「介護療養型医
7と表8は、福島県における居宅サービス
療施設」)は、どちらかと言えば「比較的
及び施設サービス各事業所指定件数につい
重度の要介護タイプ」の利用者が多い。
て、平成14年9月1日現在と平成16年6月
現状をみる限り、国内の介護サービス利
1日現在の状況をみたものであるが、わず
用者に関して、介護度が重くなった場合は、
か1年9ヵ月間で大きな動きが読み取れる。
施設サービスに入所しているか、居宅サー
全体のサービス事業所数が、1,704件から
ビスの中でも通所系サービスを受けること
1,965件に261件(+15.3%)も増加してお
表6
福島県の総人口と高齢者数の推移
総 人 口
(A)
昭和50年
昭和55年
昭和60年
平成2年
平成7年
平成12年
平成13年
平成14年
平成15年
1,970,616
2,035,272
2,080,304
2,104,058
2,133,592
2,126,935
2,124,404
2,119,382
2,112,489
65歳以上
(B)
180,356
212,704
247,946
301,552
371,572
431,797
442,465
452,298
460,596
(単位:人、%)
75歳以上
(C)
58,032
73,462
92,029
116,455
141,844
180,564
191,825
202,745
212,491
高
齢
福 島 県
65歳以上
75歳以上
(B/A)
(C/A)
9.2
2.9
10.5
3.6
11.9
4.4
14.3
5.5
17.4
6.6
20.3
8.5
20.8
9.0
21.3
9.6
21.8
10.1
化
率
全
65歳以上
国
75歳以上
7.9
9.1
10.3
12.0
14.5
17.3
18.0
18.5
19.0
2.5
3.1
3.9
4.8
5.7
7.1
7.5
7.9
8.3
資料:国勢調査(昭和50年∼平成12年)
福島県現住人口調査及び総務省人口推計(平成15年10月1日現在)により当研究所作成
福島の進路17.2
25
調
査
り、福島県の高齢化に伴う介護サービスビ
件から359件へと、86件(+31.5%)増加
ジネス市場の急速な拡大が確認できる。
している。その他、増加件数の大きな順に、
増加した原因をサービス別にみると、一
番大きな増加原因は訪問介護であり、273
表7
通所介護(デイサービス)が、188件から
226件へと38件(+20.2%)増加しており、
福島県の居宅サービス及び施設サービス各事業所の指定件数
(平成14年9月1日現在)
社会福祉法人 社会福祉法人
社団É財団
左記以外
サービスの種類
医療法人
営利法人 農 協 医療生協
(社協以外) (社協)
NPO
の法人
1 訪問介護
37
74
19
6
97
18
4
15
2 訪問入浴介護
9
35
3
1
24
0
0
1
3 訪問看護
4
1
49
24
5
6
11
4
4 訪問リハビリ
0
0
1
0
0
0
0
0
5 通所介護
101
49
9
4
10
1
0
3
6 通所リハビリ
6
0
61
13
0
3
10
0
7 福祉用具貸与
2
2
0
0
142
18
0
0
8 短期入所生活介護
83
0
0
0
0
0
0
0
9 短期入所療養介護
5
0
57
12
0
3
1
0
10 居宅療養管理指導
0
0
1
0
1
0
0
0
11 痴呆対応型共同生活介護
7
0
9
0
3
0
0
3
12 特定施設入所者生活介護
2
0
0
0
2
0
0
0
13 居宅介護支援
97
62
84
33
82
12
17
9
14 介護老人福祉施設
79
0
0
0
0
0
0
0
15 介護老人保健施設
5
0
29
7
0
3
1
0
16 介護療養型医療施設
0
0
23
5
0
0
0
4
合
計
437
223
345
105
366
64
44
39
地方公共団体
非法人 合 計
県 市町村 広域連合等
0
3
0
0
273
0
0
0
0
73
0
2
4
0
110
0
0
0
0
1
0
11
0
0
188
0
2
0
6
101
0
0
0
0
164
0
0
0
0
83
0
5
1
6
90
0
0
0
0
2
0
0
0
0
22
0
0
0
0
4
0
29
4
0
429
0
0
0
0
79
0
2
0
0
47
0
1
0
5
38
0
55
9
17 1,704
資料:介護保険指定事業所一覧より当研究所作成(平成14年11月号再掲)
表8
福島県の居宅サービス及び施設サービス各事業所の指定件数
社会福祉法人 社会福祉法人
社団É財団
左記以外
サービスの種類
医療法人
営利法人 農 協 医療生協
(社協以外) (社協)
NPO
の法人
1 訪問介護
39
74
21
24
174
18
5
2
2 訪問入浴介護
8
35
4
1
31
0
0
1
3 訪問看護
4
0
52
25
5
6
11
4
4 訪問リハビリ
0
0
2
1
0
0
0
0
5 通所介護
104
53
19
8
29
1
3
3
6 通所リハビリ
7
0
67
15
0
3
10
1
7 福祉用具貸与
0
4
0
0
155
18
0
0
8 短期入所生活介護
95
0
0
0
0
0
0
0
9 短期入所療養介護
7
0
61
14
0
4
1
2
10 居宅療養管理指導
0
0
2
1
2
0
0
0
11 痴呆対応型共同生活介護
12
0
15
0
21
0
1
0
12 特定施設入所者生活介護
2
0
0
0
2
0
0
0
13 居宅介護支援
97
67
80
42
102
17
17
4
14 介護老人福祉施設
94
0
0
0
0
0
0
0
15 介護老人保健施設
7
0
34
9
0
3
1
0
16 介護療養型医療施設
0
0
30
5
0
1
0
2
合
計
476
233
387
145
521
71
49
19
資料:介護保険指定事業所一覧より当研究所作成
26
福島の進路17.2
(平成16年6月1日現在)
地方公共団体
非法人 合 計
県 市町村 広域連合等
0
1
0
1
359
0
0
0
0
80
0
2
3
0
112
0
0
0
0
3
0
6
0
0
226
0
2
0
4
109
0
0
0
0
177
0
0
0
0
95
0
3
1
3
96
0
0
0
1
6
0
1
0
0
50
0
0
0
0
4
0
23
4
0
453
0
0
0
0
94
0
2
0
0
56
0
1
2
4
45
0
41
10
13 1,965
14年比
増加率
%
ò
31.5
9.6
1.8
200.0
20.2
7.9
7.9
14.5
6.7
200.0
127.3
0.0
5.6
19.0
19.1
18.4
15.3
調
査
痴呆対応型共同生活介護が、22件から50件
の動きを、全国と比較してみてみると、利
へと28件(+127.3%)増加している。県
用件数や利用額(介護費用)の最近約2年
内の居宅サービス事業所の増加件数、増加
間の動きをみたのが表9(全国)、表10
率が、施設サービスのそれを上回っている
ことが読み取れる。
(福島県)である。
介護保険制度が平成12年度に開始されて
一方、経営主体別にみると、株式会社É
から、現在で5年度目を迎えているが、そ
有限会社などの営利法人が366件から521件
の間、平成15年度に介護報酬などの見直し
へと155件(+42.3%)増加していることが
が行われている。したがって、制度導入2
目をひく。さらに医療法人が42件(+12.2
年目にあたる平成13年度と、見直し年度に
%)、社団法人É財団法人É NPO が40件
あたる平成15年度の介護サービス需要の計
(+38.1%)、社会福祉協議会を含まない社
数を比較することにより、介護報酬の見直
会福祉法人が39件(+8.9%)増加してい
しなどが介護サービスの需要量などに、ど
る。その他、社会福祉法人(社会福祉協議
のような影響を与えたかをみてみたい。
会)、農協、医療生協は微増状態にある。
まず、福島県内の介護サービスの需要量
このようななか、市町村の直営が、55件か
として、利用件数をみる(表10)。この2
ら41件に14件(25.5%)減少していること
年間で、10,784百件から14,509百件へと
がわかる。活発な民間事業者の参入に呼応
3,725百件(34.5%)も増加しているが、
して公的使命を終え、当事業から撤退した
全国の増加率37.7%を約3ポイントほど下
ことなどの理由によるものである。
回っている。
結局、ここ約2年間に、福島県の居宅サー
県の増加分のうち、約95%である3,547
ビス及び施設サービスの分野においては、
百件は、居宅サービスの増加によるもので
特に居宅サービスにおける訪問介護や通所
ある。残り179百件(約5%)が施設サー
介護の分野で増加していることが目立ち、
ビスの増加によるものである。
かつその経営主体の5割以上が営利法人で
つまり、福島県において、平成13年度か
あることが読み取れる。本県の介護サービ
ら15年度にかけての2年間で件数面におい
スの供給側に、民間事業者(営利法人)の
ては、圧倒的に居宅サービスが伸びたと言
活発な参入があったことが確認できる。
えよう。これは、全国の約96%が居宅サー
ビスで伸びているのと同様な動きである。
2
ò
県内における要介護支援É要介護認定
者数の動き(需要側の動向)
①
利用者数
次に、福島県における介護サービス需要
なお、個別のサービス別にみた場合、増
加件数の約80%を占めるサービスは、多い
順に、次の4つのサービスとなる。
居宅介護支援が1,117百件(33.0%)、福
福島の進路17.2
27
調
査
②
祉用具貸与の762百件(84.3%)、訪問介護
利用額(介護費用)
の759百件(60.5%)、通所介護の390百件
一方、需要量を金額面(介護費用の面)
(25.1%)となっている。この中で、福祉
からみると、この2年間において、70,101
用具貸与と訪問介護については、構成割合
百万円から88,207百万円へと18,106百万円
も各々、3.1ポイント、2.3ポイント増加し
(25.8%)も増加しており、全国の対13年
度増加率24.4%を超えている。
ている。
この増加額のうち、居宅サービス部分が
このように、利用件数の面からみた場合、
本県の介護サービスの件数は全国同様、ほ
13,521百万円で増加額全体の74.7%を占め、
とんど居宅サービスで増加していることが
残りの4,584百万円(25.3%)が施設部分
わかる。平成15年度の介護報酬の見直しな
の増加である。金額面では、件数面に比較
どが居宅サービスに厚めに実施した結果が、
して、施設部分の寄与部分が増加している。
居宅サービス需要の増加に結びついたもの
これは、全国が増加分の約78%を居宅部分
と思われる。
で増加させているのと比較して、少々低く
表9
全国の介護サービス利用状況(平成15年度対平成13年度)
サービスの種類
訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリ
通所介護
通所リハビリ
福祉用具貸与
小
計
短期入所生活介護
短期入所療養介護(老健)
所ス 短期入所療養介護(病院等)
小
計
居宅療養管理指導
そ 痴呆対応型共同生活介護
の
他 特定施設入所者生活介護
居宅介護支援
小
計
介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
食 介護老人福祉施設
事
提 介護老人保健施設
供
費 介護療養型医療施設
小
計
合
計
訪
問
通
所
サ
ー
ビ
居 ス
宅
サ
ー 短サ
ビ 期ー
ス 入ビ
施
設
サ
ー
ビ
ス
利用件数 構成 利用件数 構成 対13年度 介護費用
(百件) 割合 (百件) 割合 増 加 率 (百万円)
13 年 度 (%) 15 年 度 (%) (%) 13 年 度
83,489 13.9
9,604 1.6
26,315 4.4
2,082 0.3
77,498 12.9
41,345 6.9
51,894 8.6
292,226 48.7
14,171 2.4
4,042 0.7
477 0.1
18,690 3.1
22,029 3.7
1,619 0.3
1,574 0.3
183,185 30.5
519,323 86.5
37,910 6.3
29,490 4.9
13,477 2.2
37,466 6.2
29,447 4.9
13,326 2.2
80,877 13.5
600,200 100.0
127,793 15.5
10,440 1.3
30,164 3.7
2,439 0.3
103,874 12.6
49,470 6.0
99,144 12.6
423,324 51.2
20,983 2.5
5,939 0.7
748 0.1
27,671 3.3
25,871 3.1
5,625 0.7
3,251 0.4
250,575 30.3
736,317 89.1
41,403 5.0
32,199 3.9
16,350 2.0
40,893 4.9
32,156 3.9
16,149 2.0
89,952 10.9
826,270 100.0
53.1
8.7
14.6
17.1
34.0
19.7
91.1
44.9
48.1
46.9
56.8
48.1
17.4
247.4
106.5
36.8
41.8
9.2
9.2
21.3
9.1
9.2
21.2
11.2
37.7
423,597 9.3
46,880 1.0
111,049 2.4
4,507 0.1
394,727 8.6
279,269 6.1
72,236 1.6
1,332,265 29.2
117,068 2.6
31,992 0.7
4,344 0.1
153,404 3.4
19,028 0.4
38,750 0.8
29,257 0.6
138,058 3.0
1,710,761 37.5
1,251,789 27.4
1,001,215 21.9
601,402 13.2
227,604 5.0
174,763 3.8
86,293 1.9
2,854,407 62.5
4,565,168 100.0
資料:国民健康保険中央会ホームページ資料より当研究所作成
28
福島の進路17.2
構成
割合
(%)
介護費用
(百万円)
15 年 度
構成 対13年度 1件当たり 1件当たり 対13年度
割合 増 加 率 介 護 費 用 介 護 費 用 増 加 率
(%) (%) (円)13年度 (円)15年度 (%)
643,954 11.3
54,676 1.0
120,597 2.1
5,608 0.1
587,291 10.3
325,966 5.7
144,196 2.5
1,882,289 33.1
200,326 3.5
51,964 0.9
7,495 0.1
259,786 4.6
20,501 0.4
139,027 2.4
60,574 1.1
217,678 3.8
2,579,856 45.4
1,320,964 23.3
1,061,994 18.7
716,638 12.6
251,704 4.4
193,225 3.4
103,941 1.8
3,099,596 54.6
5,679,452 100.0
52.0
16.6
8.6
24.4
48.8
16.7
99.6
41.3
71.1
62.4
72.5
69.3
7.7
258.8
107.0
57.7
50.8
5.5
6.1
19.2
10.6
10.6
20.5
8.6
24.4
50,737
48,814
42,201
21,650
50,934
67,545
13,920
45,590
82,612
79,146
91,150
82,080
8,638
239,300
185,874
7,537
32,942
330,198
339,515
446,235
60,749
59,348
64,753
352,931
76,061
50,390
52,372
39,980
22,997
56,539
65,891
14,544
44,464
95,469
87,492
100,219
93,885
7,924
247,142
186,327
8,687
35,037
319,048
329,819
438,321
61,552
60,090
64,363
344,582
68,736
△0.7
7.3
△5.3
6.2
11.0
△2.4
4.5
△2.5
15.6
10.5
9.9
14.4
△8.3
3.3
0.2
15.3
6.4
△3.4
△2.9
△1.8
1.3
1.3
△0.6
△2.4
△9.6
調
査
護の増加額4,080百万円は、増加額全体の
なっている。
22.5%にものぼる。
介護費用の増加の要因となる主なサービ
スは、以下の8件であり、増加額全体の約
ちなみに、1件当たりの介護費用(平成
85%になる。訪問介護の4,080百万円(対
15年度平均)をみると、居宅サービス全体
13年度増加率70.2%)、通所介護の2,449百
の1件当たり金額は32,098円である。これ
万円(同36.6%)、次いで、介護老人福祉
は、平成13年度平均の29,863円を2,235円
施設の1,658百万円(同8.0%)、介護老人
(7.5%)
上回っているものの、全国平均の増
保健施設の1,632百万円(同9.3%)、短期
加率15.3%より小さい。つまり、1件あた
入所生活介護の1,627百万円(同4.5%)と
りの居宅サービス需要量(金額)の伸びは、
続き、介護療養型医療施設の1,294百万円
全国レベルと比較し、低いことがわかる。
(同40.9%)、居宅介護支援の1,272百万円
一方、施設サービス全体の1件当たり金
(同49.2%)、そして福祉用具貸与の1,198
額は326,771円であり、平成13年度平均の
百万円(同95.9%)となる。特に、訪問介
336,851円より10,080円ほど減少し(△3.0
表10
福島県の介護サービス利用状況(平成15年度対平成13年度)
サービスの種類
訪問介護
1,255 11.6
訪問入浴介護
316 2.9
訪問看護
555 5.1
訪問リハビリ
12 0.1
通所介護
1,554 14.4
通所リハビリ
697 6.5
福祉用具貸与
904 8.4
小
計
5,294 49.1
短期入所生活介護
284 2.6
短期入所療養介護(老健)
133 1.2
所ス 短期入所療養介護(病院等)
6 0.1
小
計
423 3.9
居宅療養管理指導
426 4.0
そ 痴呆対応型共同生活介護
15 0.1
の
特定施設入所者生活介護
9 0.1
他
居宅介護支援
3,384 31.4
小
計
9,550 88.6
介護老人福祉施設
634 5.9
介護老人保健施設
525 4.9
介護療養型医療施設
75 0.7
食 介護老人福祉施設
627 5.8
事
提 介護老人保健施設
524 4.9
供
費 介護療養型医療施設
74 0.7
小
計
1,234 11.4
合
計
10,784 100.0
訪
問
通
所
サ
ー
ビ
居 ス
宅
サ
ー 短サ
ビ 期ー
ス 入ビ
施
設
サ
ー
ビ
ス
利用件数 構成 利用件数 構成 対13年度 介護費用
(百件) 割合 (百件) 割合 増 加 率 (百万円)
13 年 度 (%) 15 年 度 (%) (%) 13 年 度
2,014 13.9
328 2.3
632 4.4
16 0.1
1,944 13.4
873 6.0
1,666 11.5
7,473 51.5
409 2.8
212 1.5
11 0.1
632 4.4
423 2.9
50 0.3
18 0.1
4,501 31.0
13,097 90.3
709 4.9
598 4.1
106 0.7
697 4.8
596 4.1
105 0.7
1,413 9.7
14,509 100.0
60.5
3.8
13.9
33.3
25.1
25.3
84.3
41.2
44.0
59.4
83.3
49.4
△0.7
233.3
100.0
33.0
37.1
11.8
13.9
41.3
11.1
13.7
41.9
14.5
34.5
構成
割合
(%)
5,810 8.3
1,356 1.9
2,186 3.1
22 0.0
6,687 9.5
4,234 6.0
1,255 1.8
21,551 30.7
2,383 3.4
1,098 1.6
58 0.1
3,539 5.0
347 0.5
339 0.5
160 0.2
2,583 3.7
28,518 40.7
20,851 29.7
17,572 25.1
3,160 4.5
3,833 5.5
3,073 4.4
461 0.7
41,583 59.3
70,101 100.0
介護費用
(百万円)
15 年 度
構成 対13年度 1件当たり 1件当たり 対13年度
割合 増 加 率 介 護 費 用 介 護 費 用 増 加 率
(%) (%) (円)13年度 (円)15年度 (%)
9,890 11.2
1,480 1.7
2,271 2.6
31 0.0
9,136 10.4
4,991 5.7
2,453 2.8
30,252 34.3
4,010 4.5
2,009 2.3
118 0.13
6,137 7.0
288 0.3
1,200 1.4
307 0.3
3,855 4.4
42,039 47.7
22,509 25.5
19,204 21.8
4,454 5.0
4,307 4.9
3,503 4.0
662 0.8
46,167 52.3
88,207 100.0
70.2
9.1
3.9
40.9
36.6
17.9
95.5
40.4
68.3
83.0
103.4
73.4
△17.1
254.0
91.9
49.2
47.4
8.0
9.3
40.9
12.3
14.0
43.6
11.0
25.8
46,281
42,863
39,391
17,776
43,036
60,738
13,890
40,711
83,934
82,537
96,451
83,673
8,146
233,750
180,450
7,632
29,863
328,635
334,639
421,977
61,173
58,687
62,530
336,851
65,004
49,106
45,056
35,935
19,897
46,997
57,191
14,723
40,483
98,075
94,665
104,726
97,049
6,803
241,522
174,815
8,564
32,098
317,452
321,262
420,155
61,768
58,734
62,995
326,771
60,794
6.1
5.1
△8.8
11.9
9.2
△5.9
6.0
△0.6
16.8
14.7
8.6
16.0
△16.5
3.3
△3.1
12.2
7.5
△3.4
△4.0
△0.4
1.0
0.1
0.7
△3.0
△6.5
資料:国民健康保険中央会ホームページ資料より当研究所作成
福島の進路17.2
29
調
査
%)
、全国平均の減少率△2.4%を超えてい
90.3%は、全国の89.1%を、1.2ポイント
る。1件あたりの施設サービス需要量(金
上回り、介護費用の構成割合47.7%は、全
額)の減少は、全国レベルより高いことが
国の45.4%を2.3ポイント上回っている。
わかる。
福島県の居宅サービス需要量の伸びは、
このように、1件当たり介護費用の面か
全国の居宅サービス需要量の増加を下回っ
らみても、全国と同様に居宅サービスが増
ているものの、居宅サービスの需要量の
加し、施設サービスで減少していることが
ウェイト(全体に対する割合)は、未だに
わかる。ここでも、居宅サービスの評価を
全国レベルより高めである、と言えよう。
厚めに実施した、平成15年度の介護報酬見
直しの影響を裏づけた形となっている。
④
サービス需給における今後の課題
介護保険制度が導入される前までの国の
③
県内需要動向のまとめ
介護福祉政策においては、施設サービスの
福島県における、施設サービスの利用件
供給が進展している都道府県が福祉に積極
数の対13年度増加率14.5%は、全国の増加
的な地域である、という考え方がどちらか
率11.2%を3.3ポイント上回り、介護費用
と言えば主流であった。
の対13年度増加率11.0%は全国の増加率
例えば、平成15年度における福島県の介
8.6%を2.4ポイント上回っている。しかし
護サービス受給者のうち、居宅サービス受
ながら、平成15年の利用件数の構成割合
給者割合は76.8%であり、全国でも上位5
9.7%は、全国の10.9%を1.2ポイント下回
番目(東京都、神奈川県、大阪府などに続
り、介護費用の構成割合52.3%は、全国の
いて)である。また、平成15年10月1日現
54.6%を2.3ポイント下回っている。
在の、65歳以上人口10万対の介護保険施設
福島県の施設需要量の伸びは、全国の
定員(病床数É人)は、2,608人であり、
施設需要量の増加を上回る勢いであるもの
東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、愛知
の、施設サービスの需要量のウェイト(全
県についで下位から6位である。
体に対する割合)が未だに低いことが確認
できる。
この数値をみた限りでも、福島県は居宅
サービスが主流のタイプである。県内の各
一方、福島県における、居宅サービスの
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
利用件数の対13年度増加率37.1%は、全国
にしても、入所待機者が100名前後いる所
の増加率の41.8%を4.7ポイント下回り、
が多く、これら施設サービスの充実É拡大
介護費用の対13年度増加率47.4%は、全国
こそ、これまでの福島県の介護サービスの
の増加率50.8%を3.4ポイント下回ってい
課題であった。
る。しかしながら、利用件数の構成割合
30
福島の進路17.2
しかしながら、最近、国の考えが変わり
調
ある。
つつある。これまでの介護福祉の充実は、
一方では「要介護度の重度化」を生み、介
査
ⅲ
新予防サービスが全国一斉に開始さ
護財政をますます逼迫させてきた。これを
れる現在、本県がこのサービスを中心
阻止するためにも、「筋力向上トレーニン
とする居宅サービス型の先進県に生ま
グなどの介護予防サービスを介護保険制度
れ変われる機会、と捉えることもでき
に加えていく」という、考えである。
よう。全国平均よりも、居宅サービス
が主流である福島県が、これまでの居
具体的には、厚生労働省は要支援、要介
護1∼2(軽度者)の一部の人を対象に、
宅サービスのノウハウの蓄積を生かし、
新予防サービス(平成17年3月末までに具
その延長上に新予防サービスの充実を
体化する方針)を介護保険サービスに加え
図る。
ること、介護保険を利用していない人(非
そして、
認定者)に対して地域支援事業(仮称)を
ⅳ
福島県の介護サービス事業関係者や
開始すること(現在、市町村が行っている
行政は、東京都、神奈川県などの、本
健康増進を目的とした老人保健事業等の見
県以上に居宅サービス型の都道府県の
直し)の2点を実施することを公表してい
事業関係者や行政と、情報の受発信É
る。
交換などを密に行っていき、さらなる
居宅サービスの充実に努める。
以上、全国との統計比較により、最近の
福島県の介護サービス需給の現状をみてき
ⅴ
福島県内においても、営利法人の割
たが、国の考え方などの変化に伴い、福島
合が多い居宅サービス事業において、
県の介護サービス分野では、今後、以下の
業者間のライバル化が目立ってきてい
ようなことが必要になってこよう。
るが、「サービスの質」の向上の見地
ⅰ
福島県全体として、現在、行われて
から、共同研究などを行ない、利用者
いるユニットケアの増加や個室化を図
および事業者双方の利益の向上に努め
りながら、全国レベルまで施設サービ
る。
スの供給量を高めることが、待機者を
減らすためにも必要である。
ⅱ
本県の介護サービス業界は、近年、特に
施設に入所している利用者の中で自
営利法人などの参入により、急速に市場が
立可能な人(軽度者)がいた場合、本
拡大してきた。施設などのハード面の充実
人や家族の希望を確認したうえで在宅
に加え、「サービスの質の向上」などのソ
生活を検討することや、これに伴う要
フト面の充実により、利用者が真に満足で
介護3∼5(重度者)の入所の促進な
きる介護サービスの供給に努めていくこと
ども可能であれば、行っていくべきで
が求められる。
(担当
福原)
福島の進路17.2
31
寄
稿
上海の鼓動を福島へ
¡
† ¼
×
■
■
¡
なかにし
つとむ
前 福島経済研究所専務理事
¡
■
利用するのが時間的にも費用の点でも断然
1.近い上海
有利だ。
今、上海が近い。昨年秋から冬にかけて、
さらに、海外といっても、上海までの3
相次いで上海を訪れた。福島空港からわず
時間のうち大部分は日本上空を飛んでいく
か3時間。午後2時過ぎに福島空港を飛び
ので、実質的に国内旅行と変わらない。天
立つと、上海には現地時間の4時過ぎには
気が良ければ、富士山や日本アルプス、瀬
到着する。
(時差は1時間。
)その日のうち
戸内海の地形を上空から楽しんでいるうち、
に上海一の絶景ポイント、外灘(わいたん、
あっという間に上海浦東国際空港に着く。
バンド Bund ともいう)のすばらしい夜景
7年前に上海を訪れた時には、一面原野
が堪能できる。
だったところにできた新しい超近代的な空
現在、福島−上海間は、週2往復飛んで
港だ。空港から高速道路を車で1時間も飛
いて木曜日か日曜日に出発ないし帰国とな
ばすと、やがてユニークな高層ビルの林立
る。海外旅行は成田空港というのが一般的
する空間に入る。それがエキゾチックな大
だが、上海なら私たちにとって福島空港を
都会、上海である。
2.中国の潜在競争力
上海を語る前に、まず中国を知
らなければならない。
5千年の歴史を持ち、人口13億
人。面積は、日本の26倍。56の異
民族から成る多民族国家である。
(もっとも漢民族が9割を占め
る。)
上海(外灘)の夜景
32
福島の進路17.2
中国を見る場合、国ではなく大
寄
上海への交通アクセス
稿
今後、いつまでこの成長が続くの
だろうか。2008年の北京オリンピッ
ク、あるいは2010年の上海万国博覧
会までだといわれるが、日本の高度
成長が20年近く続いたことと比較し
て、中国のスケールや潜在能力の大
きさから本格的な発展はむしろこれ
からだとする説もうなずける。今や
世界で唯一、世界経済成長のエンジ
ンの役割を果たしていることは、紛
資料)福島県上海事務所総合案内
陸として捉えないと理解できないといわれ、
れもない事実なのだ。
中国の目覚しい発展の原動力は、かつて
文化も中国文明として普遍的に考察すべき
日本がそうであったように、人材の層の厚
だといわれる。中国語は、中国大陸のみな
さとハングリー精神だ。上昇志向が強く猛
らず東南アジアや世界中に住む中国系住民
烈に働く。これは地場企業の経営者も工場
に使われ、中国語母語人口は世界最大であ
の女子工員も同じ。自助努力が徹底し、そ
る。
の意味では日本よりも米国型の社会に似て
唐や宋の時代には興隆をきわめ世界の中
いる。天安門事件以降、先進国に流失した
心であったし、明の時代には世界の GDP
優秀な頭脳がぞくぞくと帰国して社会の要
の3分の1を占め、交易船がインド洋にま
職を占めるようになったことも今日の隆盛
で進出していたという。19世紀後半から20
をもたらしているといわれる。
世紀前半まで日米欧列強の進出を許し、苦
さらに、経済成長のエネルギーを生み出
難の歴史をたどるが、改革開放政策により、
しているのは、激しい地域間競争、都市間
90年代以降の経済発展は周知の通りである。
競争だ。広州、上海、北京、大連といった
安価で豊富な労働力が先進国の直接投資
1つ1つの都市国家といってもよい大都市
を呼び込み、「世界の工場」から今や「世
が互いに成長を競っている。各都市の発展
界最大の市場」と呼ばれるように、その経
がすなわち国家の発展につながる構図に
済は力強い成長軌道に乗っている。1996年
なっている。 United States of China とい
以降、毎年実質8%以上の成長を続け、今
われる所以だ。
や世界一の海外投資受入国となり、貿易総
また、世界最後の巨大市場とみられてい
額は2004年には日本を抜いて米独に次ぐ世
る理由の1つが、ニューリッチ層の出現だ。
界第3位。外貨準備高は日本に次ぐ6,099
年間所得が20万元(約260万円)を超える
億ドル(2004年12月末)にも上る。
富裕層が、5千万人に達したといわれる。
福島の進路17.2
33
寄
稿
5千万人といえば総人口13億人のたった
東アジアの金融É貿易センターとしての地
3.8%に過ぎないが、日本の人口の4割に
位を確立している。
相当する。これだけの富裕層を抱える国は、
上海の常住人口は、1,717万人。面積は、
アジアでは日本以外に存在しない。この
6,340½で福島県の約半分ほど。中国全体
ニューリッチ層の消費動向が日É米É欧の
の1人当り GDP 1,100ドルに対し、上海の
経済に、今後大きな影響を及ぼしていくと
1人当り GDP (2003年)は約5倍の5,628
見られている。
ドルと、その経済力は他の都市を圧倒する。
GDP における産業構成は、第1次産業1.5
3.中国の中の外国・上海
北京が古くからの政治の中心であり文化
%、第2次産業50.1%、第3次産業48.4%
と典型的な都市型となっている。
日本からの上海便定期運航は、札幌、仙
の都であるとすると、上海は紛れもなく経
台、新潟、福島など15ヵ所に及び、上海市、
済都市、商工業都市である。東アジアの中
江蘇省及び浙江省のいわゆる華東地域に進
心との見方もできる。地図で見ると、北京、
出している日本の中小企業は、中国全体の
ソウル、東京、台北、香港などが上海の衛
約50%に及んでいる。在上海日本総領事館
星都市に見える。
に居住登録している日本人は3万人を超え、
今や28階建て以上のビルが4千棟も林立
旅行者やビジネスマン、留学生を含めると、
し、いつのまにかニューヨークのような摩
6万人から7万人の日本人が上海に滞在し
天楼の都市になった。一方で、租界時代の
ているという。上海は日本に近く、利便性
面影を濃厚に残すレトロな街でもある。女
や治安の良さ、国際性豊かな環境等から家
性誌には、おしゃれな都会として上海特集
族帯同で赴任する日本人ビジネスマンが増
が組まれ、ファッションやグルメが紹介さ
えている。
れている。確かに「新天地」や「南京路」
中国の物価は安いとの先入観があるが、
を歩いていると、ニューヨークの5番街や
日本人駐在員が上海で暮らす場合、生活費
東京の銀座と十分対抗できる光景が広がる。
は東京と大差ないという。不動産価格や人
上海は、1843年アヘン戦争後に締結され
件費が上昇し、物価は公共料金や日用品を
た南京条約により対外貿易港として開港、
除くと決して安くない。実際、高級デパー
その後欧米列強が租界を設定し、20世紀初
トを覗いて見ると、商品価格は日本と変わ
めには「極東一の楽園」と呼ばれたことも
らない。ただし、観光客としてガイドに連
ある。租界は1943年まで続いた。中華人民
れられて入る店と、フリーで入る地元の人
共和国の成立後は中国最大の都市、最大の
も利用する店では、相当の価格差を実感す
海港として発展、90年からは浦東地区が国
るはずだ。現地に溶け込み現地の人と同じ
家プロジェクトとして開発され、現在では
ような生活をすることが、安く上げるコツ
34
福島の進路17.2
寄
であることは世界中どこでも同じである。
2010年の万博に向けマンションの建設
稿
クラッシュÉアンドÉビルドで上海は当分
建設発展が続くと見られる。
ラッシュが続いており、不動産投資が過熱
しているが、需要も強くバブルではないと
強気の声が聞かれる。所得の向上が背景に
4.福島県上海事務所
福島県は、福島空港の上海便就航5周年
あるからだ。
上海市民の平均賃金(2003年)は、年
22,160元(月1,847元)で中国第1位である。
に当る2004年7月23日、初の海外事務所と
して「福島県上海事務所」を開設した。
外資系企業ともなると1人当り年61,114元
上海には、既に大阪府や横浜市、茨城県
(約794千円)と、中国の国有É民間企業と
など1府14県2市の合計17の地方自治体が
比べ2∼3割程度高い。最近では一部生産
事務所を構えており、また、邦銀も29行が
現場で人手不足も言われ始めており、他の
上海に拠点を設置し香港を凌ぐ。これは上
都市と比べても、上海の人件費は異常な高
海が如何に情報ニーズ拠点として重視され
さだ。
ているかを物語っている。
上海の GDP は、11年連続で2桁成長を
福島県上海事務所は、上海市の西、延安
遂げており、今や上海は中国全体の成長を
西路にある上海国際貿易中心(センタービ
押し上げる牽引役となっている。2000年11
ル)17階にある。県からの派遣職員2名と
月、上海−北京間1,278㎞を結ぶ高速道路
ローカルスタッフ1名が勤務している。上
の開通。2004年4月、浦東国際空港−上海
海事務所の業務は、およそ次の通りである。
市内間31㎞を8分で結ぶリニアモーター
(福島県上海事務所総合案内から)
カーの開通。さらに、上海万博に向けて、
①
中国から福島県への観光客の誘客
現在3路線の地下鉄も15路線450㎞に、現
②
福島県産品の輸出販売の促進
在日欧で受注競争を繰り広げてい
る上海−北京間の新幹線の建設な
どインフラ整備が目白押しとなっ
ている。
加えて、上海の高速道路は東北
自動車道が見劣りしてしまうほど
立派だが、交通渋滞のひどさ、運
転マナーの悪さには驚くばかり。
メインストリートから入った裏通
りの道路事情も悪く、こうした生
活道路の改善整備や、古い住宅の
福島県上海事務所で大島副所長と筆者(左)
福島の進路17.2
35
寄
稿
③
福島県企業への便宜供与
④
中国企業への情報提供
⑤
中国における福島県の広報活動
の販売が試みられた。12月に上海の繁華街
⑥
小名浜港の利用促進
にある日系デパート「久光百貨店」(上海
⑦
産学官連携をテーマとした大学間交流
そごう)の地下食品売場をのぞいて見ると、
違いない。
10月上旬には、県産ナシ「豊水」500㎏
の支援
山形や青森のリンゴとともに「福島県産」
⑧
中国湖北省との経済交流
と表示された大粒のナシが陳列されていた。
⑨
福島県関係者のネットワーク作り
1個38元(約500円)である。女子店員に
何と言っても、上海と福島を結ぶものは
聞いてみると、地元のお金持ちが買ってい
福島空港発着の直行便である。1999年(平
くという。そもそも久光百貨店自体、日本
成11年)の路線開設以来、搭乗率は順調な
の物産を多く扱う上海の富裕層のデパート
推移を辿っている。昨年9月に上海に飛ん
なのだ。
だ時には、上海でF1 レースが行われたこ
ちなみに、福島県産ナシの隣りにあった
ともあって、中国東方航空機は行きも帰り
青森リンゴ「世界一」は、1個68元(約
も満席であった。
880円)、寿の文字が刻まれていたものは、
現在、福島県内企業の上海地区進出数は
1個88元(約1,140円)で売られていた。
14社となっており、最近は製造業よりも物
山形リンゴの「むつ」は、1個45元(約
品販売やサービスを目的とした問い合わせ
580円)の値札がついていた。
が多いという。県事務所は開設以来、県産
また、日本米の「あきたこまち」や「こ
品の販売に力を注いできたが、これまでの
しひかり」は2㎏185.80元(約2,400円)
、
活動から主なものを紹介したい。
地元中国米は5㎏38.50元(約500円)であ
9月14日から17日まで上海市で開催され
り、輸入米とはいえ日本米の高さを痛感さ
た食品展示会「 Food & Hotel
China 2004」に福島県のブース
を設置して、県産のナシと日本
酒のPRを行った。福島県のナ
シは、上海初上陸で多くの来場
者から「大変甘い」と大好評
だったという。以前、北京郊外
の農村で地元のナシを食べたこ
とがあるが、正直口に合わな
かった思い出がある。福島のナ
シが極めて品質が高いことは間
36
福島の進路17.2
上海「久光百貨店」地下食品売場。福島の梨をはじめ、日本各地の果物が並ぶ。
寄
せられた。
今後、県産果物の販売拡大に取り組みた
いところだが、現在、中国当局が日本から
稿
その価値に見合う内容の旅行が保証される
かどうかが問題、と県上海事務所でも話し
ていた。
の輸入を許可しているものはナシとリンゴ
私たちにとって魅力的な中国の物価の安
のみで、桃は許可が下りないため、一挙に
さは、逆に言えば、中国の人々が日本に来
拡大とはいかないようだ。
た場合の大きなネックになるということだ。
11月には、東北6県の自治体が合同で
例えば、福島市は「餃子のまち」としてア
「東北フェア in 上海」を3回にわたって開
ピールを始めたが、上海では、大人2人で
催している。毎回ビジネスフェア、食材
ビールを飲みながら各種のおいしい餃子を
フェア、観光フェアとテーマを変え、福島
満腹するほど食べても約600円ほどであっ
県内企業も参加しPRを行っている。
た。中国人の価値観を満足させられるサー
中国人観光客の福島県への誘致について
ビスを提供できるかどうかが、観光客誘致
も、県上海事務所の果たす役割は大きい。
の大きな課題である。実は、久光百貨店の
昨年9月には、福島空港を利用して、福島
おもちゃ売場で最も目立つ場所を占めてい
の温泉(いわき市スパリゾートハワイアン
たのは、日本の子供にはなじみ深い数々の
ズ)に宿泊、東京でのショッピングをセッ
ウルトラマンの人形であった。1人っ子政
トした一般募集による中国人35人の観光ツ
策の中国では、子供は小皇帝といわれて大
アーに成功している。また、11月12日いわ
事にされているという。ウルトラマンの里
き市観光物産協会主催の「いわき市観光事
である須賀川市にセールスの種はないかと、
業交流の夕べ」でいわき市の観光をPR、
つい思い浮かべたものである。
あるいは上海の地元紙に福島県の温泉を紹
福島県には美しい自然があり、温泉やス
介したりと、中国人観光客の誘致に向けて
キー場も多い。旅行の目的地としての魅力
積極的に取り組んでいる。
は十分にあるが、
「日本」という国のイメー
課題は、福島そのものの知名度の低さ、
ジを福島県が作ることができているとはい
福島のシンボルともなる決定打的商品がま
えない。「ふくしま」といって浮かぶ名所
だないこと、そして、やはり両国の価格差
も名産品も、海外に出て戦えるほど国際性
である。日本企業が中国を目指す理由が低
を備えたものにはなっていない。海外から
賃金É低物価であることを考えれば、中国
の旅行者にとって、日本といえば今なお東
から見る日本は高賃金É高物価であること
京、京都であり、秋葉原であり、ディズ
は自明のこと。私たちは安いツアーだと数
ニーランドである。これらは、高価格を納
万円で上海に行けるが、その数万円の価値
得させる魅力を十分に備えている。華やか
は上海市民には数十万円にも相当する。そ
なものでなくても、研究によって、輸出産
れだけのお金を支払って旅行にきた日本で、
業にも観光客誘致にも魅力や付加価値のあ
福島の進路17.2
37
寄
稿
る商品が県内で開発されることを望みたい。
増大し、所得格差はすさまじい。上海も一
県上海事務所の業務は、すでに述べた経
歩路地裏に入ると、日本が貧しかった昭和
済活動のサポートばかりでなく、上海の福
30年代の光景が広がっている。これが治安
島県人会(現在70人程度)のネットワーク
の悪化、衛生状態の悪化、大きくは階層間
作りや県内と中国の姉妹都市交流、高校É
や民族間の衝突につながる不安を常時かか
大学等の教育交流まで広範囲にわたり多忙
える要因となっている。中国一国の GDP
をきわめているが、職員の皆さんの更なる
は世界第7位だが、1人当たり GDP は世
活躍を期待したいと思う。
界第111位。世界の工場、世界の市場との
評価とは裏腹に、世界最大の発展途上国と
5.チャイナ・リスク
いわれる状況も認識しておかなければなら
ない。
最近の中国の目覚ましい経済成長を背景
つぎは、エネルギー供給リスクである。
に、これまで何度か中国投資ブームが起き
昨年夏、上海は連日の猛暑により電力不足
ている。現在は、2001年の WTO 加盟や北
が深刻化し、電力の供給制限が実施された。
京オリンピックÉ上海万博等のビッグイベ
外灘の夜景も一時期ライトアップが消えた
ントの開催をにらんだ第3次投資ブームと
という。日系企業の約半数で電力供給調整
いわれる。かつてのブームは、天安門事件
を受けた。電力、ガス、水といった産業イ
やアジア通貨危機により沈静化したとされ
ンフラが経済成長に追いつかない現実があ
るが、その当時中国に進出した企業の中に
る。
は、「もう中国ビジネスはコリゴリ」とい
また、社会規範や社会公正の欠如につい
う声も少なくない。「中国進出はうまくい
ても度々報道されている。上海にも地元の
かない」という話も多い。
人たちに知られたニセモノ市場とかドロ
投資にリスクはつきもの。欧米や東南ア
ボー市場といわれる露天街があり、一部の
ジアでも、これまで日本企業は大きな授業
観光客にはうけているが、地元の人でも行
料を払っている。中国ビジネスだけに大き
くのを嫌がる。模造品や偽物が横行してい
なリスクがあるわけではないが、やはり中
る場所である。(ただし、ニセモノといっ
国特有のリスク要因は抑えておかなければ
ても粗悪品とは限らない。安くて高品質の
ならないと思う。
物も多いという。)中国は2001年に WTO
まず、所得格差拡大による社会的不安定
に加盟した際、特許権や著作権、商標権な
である。鄧小平の「豊かになれる者から豊
どの知的所有権の保護を国際的に公約した
かになれ」との方針で、Ã新富人Äと呼ば
が、現状では極めて不十分で、日本企業は
れる金持ち層が出現したが、一方で、農村
甚大な被害を受けている。さらに、法制度
から流入した都市戸籍を持たない貧困層が
や税制の未整備、役所の許認可権の運用が
38
福島の進路17.2
寄
稿
不透明で、各級地方政府に対する個別ロ
島空港を利用した中国人観光客の誘致も着
ビー活動の巧拙により事業の成否が左右さ
実に成果が現れている。日本人が年末年始
れる。その他、よくいわれる売上代金回収
の休暇に海外に出かける人が大勢いるよう
遅延問題やÃ政冷経熱Äといわれる対日感
に、最近、上海市民の間でも春節(旧正
情の問題など、中国でのビジネス展開には
月−2月初め)の休暇を海外で送ることが
多方面にわたって調査研究が必要である。
ライフスタイルになりつつあるという。多
海外進出は、当然資本形態、経営形態、雇
くの温泉リゾートを有する福島県は、この
用形態など十分な事前検討がなされなけれ
時期はオフシーズン。上海市民を対象に
ばならないが、特に中国の場合は、信頼で
「ビジットÉフクシマÉキャンペーン」を
きる現地のパートナーを得ることが成功の
繰り広げれば、県内観光業界も息を吹き返
カギだと多くのサクセス企業が語っている。
せるかもしれない。
また、相手の中国人ビジネスマンは、英語
聯想集団(レノボグループ)の IBM パ
は堪能でも、日本語ができないケースが多
ソコン事業の買収は世界を驚かしたが、今
い。言葉の問題もビジネスのツールとして
後は、豊富なチャイナマネーを取り込んで、
対策を講じる必要がある。
日本経済や地域経済の浮揚を図ることも視
野に入ってくるだろう。
6.おわりに
私たちの回りには、食料品や衣料をはじ
め日用品や家電製品など中国産品が満ちあ
ふれている。 IT や流通システムの進展で、
中国経済は、少なくとも目先2010年に向
けて順調に成長を続け、とりわけ巨大都市
上海は、その牽引役の役割を果たすものと
見られる。
訪れるたびに変貌を遂げる上海。躍進す
国内産と中国産の生鮮食料品が生産地から
る上海の熱気と鼓動を呼び込んで、低迷す
近くのスーパーマーケットに並ぶ時間の差
る地域経済発展の大きな原動力にしたいと
はほとんどない。
思う。
今や日中経済は運命共同体と言っていい
最後に、このレポートをまとめるに当っ
ほど相互依存を深め、生産にしても販売に
て、ご多忙にもかかわらずインタビューに
しても中国を組み込んだ戦略を立てなけれ
応じて頂いた福島県上海事務所の大島康範
ば、発展は考えられないところまできてい
氏、今回の上海取材に何かと便宜を図って
る。
頂いた県商工労働部総務企画グループ國分
すでに、県内にも中国に生産拠点を置い
健児氏に厚くお礼申し上げます。また、大
て成功している企業が増えている。また、
島氏からは貴重な資料を沢山頂戴し、本稿
中国市場の需要を見込み、最近県内の酒造
の各所で参照させて頂いた。記して、重ね
メーカーも日本酒の輸出に踏み切った。福
て感謝申し上げます。
福島の進路17.2
39
美を訪ねて
第27回
百点美術館
―近代洋画のエッセンス
¡
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NN
■
■
¡
さかい
てつを
福島県立美術館長
福島市
¡
百点美術館は、福島市の中心部の市街地
の小さなビルの3階にある個人美術館であ
■
の「心情」を明瞭に表した個性的な美術館
である。
る。その場所は、福島市の人々の歳時の生
美術館の代表責任者は、一般に館長と呼
活のリズムに長年かかわりの深い稲荷神社
ばれるが、あえて館主と名づけたところに
の道路を隔てた向かい側にあり、古くから
もこの美術館の特色がうかがわれる。長野
の繁華街である。館主の河野保雄氏は、こ
県上田市の信濃デッサン館の窪島誠一郎氏
の界隈で生まれ育った人であり、百点美術
も館主である。窪島氏は関根正二や村山槐
館は、第8寿カルチュアービルという自ら
多ら夭折した画家たちのデッサンを集め、
所有する建物に氏自身の眼識
で収集した作品を展示する純
然たる個人美術館である(図
1)
。
百点美術館の名称の由来を
河野氏は次のように語る。
「美術館の名称の『百点』
は、自分の心情につよく響く
作品を百点あつめたいという、
長い間私の心の中にあった願
いからつけたものです」。し
たがって、この美術館は館主
40
福島の進路17.2
図1
展示室風景
美を訪ねて
また、戦没学生の遺作を収集して無言館を
ら200mほど南に寄ったところにあった「ブ
つくるなど、氏の
「心情」に基づいたユニー
ルーバード」という喫茶店ではじまるとい
クな美術館を設立した。
う。この喫茶店は芸術家やジャーナリスト
館長というのは職名であるが、館主とい
のたまり場で、店内に野口弥太郎や高橋忠
うのは代替することができないひとりの人
弥の絵が飾られていたそうだが、氏は芸術
間を指示する。河野氏も窪島氏も自覚的に
談義が飛び交うその雰囲気に魅せられて、
館主を名乗り、一個の人間として、その心
配達先であったこの店の常連となり、絵に
情を社会すなわち他の多くの人々と共有し
親しんでいくようになった。
ようとしているのである。そのため百点美
この店で、画家の吉井忠氏から聞いた放
術館について語ることは、館主河野保雄氏
浪の画家長谷川利行の話が、河野少年の魂
の「心情」について語ることになる。
を揺り動かしたという。長谷川利行は早く
からその才能を注目されながら、デカダン
少年の夢
な生活と貧窮のうちに、行路病者として短
河野氏が、百点美術館や現代芸術社から
い生涯を閉じた不幸な画家であった。放浪
刊行したエッセイ集にのべている回想によ
や孤独の果てに美に殉じた画家のイメージ
れば、氏は小学生の頃から文学や芸術を愛
が、不遇のうちに芸術を渇仰する少年に身
する、夢多き多感な少年だったようである。
近なものと感じられ、深く心をとらえたよ
14歳の時父親を亡くし、家業の酒屋を切り
うである。
盛りする母親の手伝いをすることになった。
この話には後日譚がある。のちに河野氏
芸術の世界に進む道を絶たれたが、文学や
は、「ブルーバード」があった場所で氏自
芸術に対する夢を諦めたわけではなく、家
身が喫茶店を経営し、その店で長谷川利行
業のかたわら小説を書いたり、音楽評論を
の絵にめぐり会うのである。店にかけてあ
書いたりしていた。ことにクラシック音楽
る絵を眺めたひとりの紳士が、自分のもっ
は、失意の少年にとってかけがえのない慰
ている長谷川利行の絵を差し上げてもいい、
めとなり、やがて河野氏は本格的に音楽評
という申し出をした。長谷川利行が生前世
論を志し、当時日本の音楽界の重鎮だった
話になった千葉の医師に、酒代の代わりに
作曲家の近衛秀麿の知遇を得るにいたり、
置いていった絵が段ボールいっぱいになり、
「二十世紀芸術叢書(昭森社)
」のなかの1
医師の没後始末に困った遺族が知人の世話
巻である『現代音楽の世界』(1960)の執
で宮城県図書館で展覧会を開いたものの
筆を担当した。だが、音楽評論家として自
さっぱり売れず、関係者がそれぞれ処分す
立することを断念し、実業家となった。
ることになったが、その後手許に残った作
河野氏と絵との出会いは、百点美術館か
品であるという。
福島の進路17.2
41
美を訪ねて
これが《中華料理店》
(図2)
と河野氏が題名をつけた8号の
水彩画で、いまも愛蔵している。
これが氏の「利行狂い」のはじ
まりで、いっとき集中的に利行
の作品を集め、手がけた作品は
100点にのぼるという。このよう
にしてさまざまな出会いを重ね
ながら、氏の作品収集が続いた。
少年の日に芽生えた芸術への
熱い思いを、河野氏はたくまし
図2
長谷川利行
中華料理店
い行動力によって、独特のかた
ちで実現していった。音楽に対
する情熱は評論という形式に
よって、美術に対しては収集と
いうかたちをとった。百点美術
館はその到達点である。氏の夢
の実現であるこの美の殿堂では、
しばしば音楽との総合が企てら
れる。いま、展示室にグランド
ピアノが置かれているのもその
証であろう。
図3
青木繁
少女群舞
購入したときのエピソードは、その一例で
コレクション
ある。
河野氏のコレクションは小品がおもであ
ある知人の紹介でこの作品に出会う。青
る。氏はその理由をふたつあげ、ひとつは
木らしい華やかな色彩の小品であるが、そ
経済的能力、もうひとつは大作や代表作は
の奥に夭折したこの画家の悲運の予兆のよ
美術館に収蔵されればよいという。氏のコ
うなものを孕んだ魅力的な作品である。見
レクションは、金にあかしてブランド作品
れば見るほどほしくなる。しかし価格は氏
を買い集めた類のものではなく、作品に惚
の支払い能力をこえる。悩みに悩んだあげ
れこんで身銭を切って収集したものである。
く、ようやく買う決心をしたとたん呼吸困
河野氏が青木繁の《少女群舞》(図3)を
難に陥り、救急車で病院に運ばれたという。
42
福島の進路17.2
美を訪ねて
「あれはまさに命がけの収集だった」と、
氏は回想している。
のような小品がおもで、代表作を連想しな
がらこんな作品があったのかと思わせるよ
1970年代末、私が宮城県美術館建設準備
うな掘り出し物がそろっている。作品本位
室にいた頃、河野氏から明治初期の洋画を
に世俗におもねらずに純粋にそれぞれの芸
何点か買ったことがある。低価格の美術館
術を追求した画家たちの作品が集められて
向きの比較的大きな作品であったが、この
いる。
時氏の収集能力に注目した記憶がある。美
ワーグマン、フォンタネージ、五姓田義
術館学芸員などが遠く及ばぬ収集能力で、
松、印藤真盾、伊藤快彦、浅井忠、松岡寿
数多くの作品を発見してきた。いま福島県
ら初期洋画や丸山晩霞、三宅克己らの水彩
立美術館に収蔵されている関根正二の《牛
画、藤島武二、牧野虎雄、中村彝、満谷国
舎》や《風景》などの初期の作品も、氏の
四郎、前田寛治、金山平三ら官展作家、岸
尽力によってかつて県の文化会館に所蔵さ
田劉生、木村荘八、椿貞雄ら草土社、安井
れていた作品を移管したものである。
曽太郎、萬鐵五郎、藤田嗣治、古賀春江、
絵画の収集に向けられた河野氏の情熱は、
小出楢重、村山槐多、関根正二、長谷川利
自ら美術館を創設するという決意にいたる。
行らの二科系、里見勝蔵、児島善三郎、清
長谷川利行だけでも100点というくらいで
水登之、須田国太郎、三岸好太郎、鳥海青
あるから、河野氏が手がけた作品は膨大な
児、海老原喜之介ら独立系、村井正誠、山
数にのぼるであろう。しかし、あえて「百
口薫らモダンアート、靉光、松本竣介、麻
点美術館」と名づけたのは、厳選されたほ
生三郎ら新人画会、鶴岡政男、森芳雄、井
んとうに氏の心に適う作品だけにしぼるこ
上長三郎、小山田二郎、吉井忠ら自由美術
とを意味し、そこに出現する純粋無雑な美
系、さらに国吉康男、野田英夫ら在米画家
の世界に対する確信に基づく。それはまた、
たちの作品もある。ざっとみただけだが、
原点を確認するかのように、氏の生育した
ここには日本近代洋画のエッセンスが集約
思い出深い場所に文化の拠点を築く試みで
された観がある。
あった。
しかし、河野氏のコレクションの特色は、
ある種の画家に対する偏愛である。青木繁、
百点美術館・前史
岸田劉生、長谷川利行、古賀春江(図4)
、
百点美術館のコレクションは、明治初期
松本竣介、野田英夫、鶴岡政男らであり、
から1960年までの日本の洋画であるが、館
作品は少ないが関根正二や村山槐多を加え
主の美意識を直截に反映し、俗にいえば一
るべきであろう。並外れてすぐれた才能を
癖も二癖もあるコレクションである。それ
もちながら不遇に終わった画家たちである。
ぞれの画家の特質や美点がよく表れた珠玉
むしろ、こういった悲運ゆえにさらに輝き
福島の進路17.2
43
美を訪ねて
図4
古賀春江
風景
を放つ純粋な魂への共感が、氏の絵画収集
に対する情熱の原動力になっているようだ。
図5
百点美術館・現況
平成8年(1996)年8月、百点美術館は
青木繁
催合傘
思いの結晶に共感する人々はいた。しかし、
休館することになった。この美術館のコレ
有料と知って踵を返す人もいた。おおむね
クションの大半が平成11年(1999)開館予
氏の感慨は、夢が大きかっただけに深い失
定の府中市立美術館に譲渡されたためであ
望に終わったようである。とまれ氏の志は、
る。百点美術館は、約6年で幕を閉じるこ
府中市立美術館という異なった場所で生か
とになったが、この間の入館者は12,020人、
されることになった。
年間約2,000人である。
この間、瀧田項一展、松本竣
介展、鶴岡政男展、長谷川利行
展、特集「冬から春へ」、野田
英夫展、竹久夢二小品展、吉井
忠風景画展、田中恭吉と恩地孝
四郎展などの企画展が開かれ、
政財界人やジャーナリスト、文
化人による
「百点美術館の集い」
という音楽や食事を伴う夜の集
まりが度重ねられた。氏の熱い
44
福島の進路17.2
図6
岸田劉生
畑と赤土の道
美を訪ねて
だが、百点美術館は10ヵ月後に再開した。
作品の多くを手放しても、河野氏の美術に
対する情熱が消滅したわけではない。規模
は縮小したが、そこに展示されている珠玉
のような作品は小品の魅力を堪能させてく
れる。
やはり青木繁、岸田劉生、長谷川利行、
鶴岡政男、吉井忠らが中核である。青木の
《催合傘》
(図5)や《漁夫晩帰下図》はこ
の画家特有の浪漫的な官能性が見事に表現
された作品であり、劉生の
《畑と赤土の道》
(図6)は、まさに典型的な油彩風景画で
ある。氏と利行の最初の出会いとなった
《中華料理店》は手許にとどまり、密度の
濃い《男の顔》や燦めくような筆致の《ムー
図7
長谷川利行
ムーランルージュの踊り子
ランルージュの踊り子》(図7)などととも
意識を再確認させる佳作である。百点美術
に展示室の壁面を飾っている。
館は、美術館という形式をとった、河野保
再開した百点美術館には、糸園和三郎、
清宮質文、織田廣喜、桂ゆき(図8)らの
雄という一個の人間の「詩と真実」の証に
ほかならない。
ガラス絵が加わった。河野氏のいう大衆路
線、つまり画家の叙情やユーモアが鮮やか
な色彩の輝きによって表現され
るガラス絵という形式が、親し
みやすいかたちで人々に絵の楽
しさを伝えると考えたためであ
ろう。
荻原守衛、梅原龍三郎、陽咸
二、木内克、鶴岡政男らの彫刻
についても言及しておきたい。
見過ごしてしまいそうな小品で
あるが、いずれもそれぞれに生
命感情が充溢した、河野氏の美
図8
桂ゆき
ブドウとキツネ
福島の進路17.2
45
イサベラÉバードが見た会津
第9回
Ôâ
¡
›Y
■
■
¡
あかさか
のりお
福島県立博物館長
¡
■
1.会津はどこまでも森の世界だった
――7月1日、車峠−宝川−栄山−津川
(泊)
。
の宿場ではなく、もっぱら人馬継ぎ立ての
業務を行なっていたらしい。(『会津の宿
場』)
車峠の宿では、6日間にわたった会津の
バードは書いている。道路はとてもひど
旅の疲れを癒すことができた。この朝、
いが、肥沃な会津盆地の産物を新潟に送り
バードはようやく手に入れた鶏の肉を、寸
出すためには、この道路、つまり越後街道
前になって食べ損なっている。10日間も魚
を利用せざるをえない。この道は、「あら
や肉や鶏肉を口にすることができぬ苦しみ
ゆる合理的な近代思想を無視したもの」で、
に、ほとんど身悶えしながら、バードは仕
山をまっすぐに登り、まっすぐに下る、そ
方なく麦粉と蕎麦をこね合わせたウドンら
の傾斜と来たら恐ろしいほどだ、ひどい泥
しきものを食べている。
沼に大きな石を落とし込んである、こんな
この日の駄馬の旅は、それまで経験した
ひどい道路を馬に乗って通るのは、はじめ
なかでも、もっとも厳しい旅のひとつだっ
ての体験だった、と。道程から考えて、会
た。困難な旅を10時間も続けて、進むこと
津と新潟を境する鳥井峠か、越後側の八木
ができたのはたった15マイル(約24キロ)
山峠あたりの光景であったようだ。
だった。駅所のあいだが、ほんの1マイル
日光を出発してから、2,000フィート
(約1.6キロ)しか離れていないこともあっ
(約610メートル)以上の高さの峠を17も越
た。たしかに、車峠から10町
(約1,090メー
えた、という。車峠はその最後の峠だった。
トル)足らずで、白坂村という駅所に着く。
試みにいま、会津地方にかぎって、バード
そこからの下りもわずか16町
(約1,744メー
が越えた主な峠を数えてみる。手元にある
トル)で、次の宝川の駅所に繋がれている。
地図に名前の載っているのは、山王峠É中
道行く人々にとって、それだけ厳しい道筋
山峠É市野峠É束松峠É車峠といったとこ
だったのである。これらの駅所は、どれも
ろか。
小規模なものであった。旅人の宿泊のため
46
福島の進路17.2
車峠から津川までの景色は、スケールを
イサベラÉバードが見た会津
小さくしただけで、これまでと似たり寄っ
たりである。山々は頂上まで森に覆われ、
ぎない。
③
大人は虫刺されの炎症のために、子
そのあいだに峡谷があり、ときには遠く山
どもらは皮膚病のために、みな身体中
脈を望むことができる。すべてが緑色の草
がただれている。
木に覆われている。そのあまりの単調さに、
④
家屋は汚かった。人々はあぐらを掻
バードは苛立ちを隠せない。山腹に突如と
いたり、頭を下げてしゃがみ込んでい
して切り立つ岩でも、燃え立つような砂漠
るので、野蛮人と少しも変わらないよ
のかけらでもいい、ぴりっと目を惹く、ぎ
うに見える。
らぎら輝くような何かが欲しい、という。
たしかに、異邦からの旅人の眼を楽しませ
戸数について、バードは宝川が20戸、鳥
る景観ではなかったのかもしれない。しか
井が21戸、栄山が28戸と記録している。宝
し、裏返せば、会津の山々がみごとな緑の
川は『新編会津風土記』によれば、陸奥と
森に覆い尽されていた、ということである。
越後の境であるために、蒲生氏以前には境
会津にはまさに、果てもなく森の世界が広
村と呼ばれていたらしい。近世には、越後
がっていたのである。
国蒲原郡は会津藩領であったから、厳密に
は国境と呼ぶにはふさわしくなかったが、
2.村の汚さはどん底にある、という
宝川の西の鳥井峠が奥越の国境とされた。
県境の鳥井峠をはさんで、会津側が宝川
宝川の戸数は40戸、山中にあり、村の四方
(――バードによれば宝沢)
、新潟側が栄山
には田んぼが開けていた。越後街道の駅所
であるが、バードの記述は、ここにいたっ
であり、村のなかには宿駅の掟条目を記した
て辛辣の極みに達しているかにみえる。
制札が立っていた、という。文化15
(1818)
年の『村日記』には、端村分も含めて村高
①
この地方の村の汚さは、最低のどん
底にあるという感じを受ける。鶏や犬、
あった。化政期の戸数は21戸であったから、
馬や人が焚き火の煙で黒くなった小屋
明治10年代までほとんど変化が見られない。
のなかに、いっしょに暮らしている。
旅籠はあったが、規模のかなり小さな駅所
堆肥の山からは水が沁み出して、井戸
であった。
(『会津の宿場』)
に流れ込んでいた。
②
536石とあるが、本村分は219石あまりで
ただし、別の史料では、明治3、4年に
幼い男の子は何も着ていなかった。
戸数43戸É石高332石とあって、錯綜して
大人でも、男はマロ(ふんどし)だけ
いるようだ。本村だけか、端村も組み込ん
しか身に着けていないし、女は腰まで
でいるかなど、背景を異にした数字の可能
肌をさらしている。着ている物といえ
性がある。あるいは、バードが訪れた前年、
ば、たいそう汚れたものばかりで、そ
明治10(1877)年の2月に大火があって、
れもただ習慣で身にまとっているにす
宝川の21戸が消失していることも、何らか
福島の進路17.2
47
イサベラÉバードが見た会津
の影を落としているのかもしれない。その
して馬や鶏が人間たちとひとつ屋根の下に
後も、明治16(1883)年には8戸焼失、同
暮らしていたのである。気候風土の所産で
29(1896)年には40戸焼失といった大火
もあった。堆肥の山から出る水が井戸に流
が発生している。(『西会津町史』第6巻
れ込んでいる姿は、バードには許しがたい
(下))
不潔さと感じられたにちがいない。
まったく火事の多い村であった。こうし
あるいは、②には、バードが飽かず繰り
た村の少なからぬ数の家が、くりかえし火
返してきた、裸体をさらす習俗にたいする
災に遭って消失していることは、宝川の村
批判が見えている。幼い男の子はまだしも、
のたたずまいに影響を与えているのではな
大人の男は褌ひとつだけの裸であり、女は
いか、と思う。いまも、宝川集落を訪ねる
腰まで肌をさらしている、つまりは上半身
と、かなりの急傾斜地に、狭い道があり、
が裸だったのである。これはしかし、この
その道に沿って、家々がどこか奇妙な角度
地方だけに特別に見られた習俗ではない。
に建ち並んでいる。野沢や下野尻などの村々
明治10年代にはいまだ、日本人は他人に肌
の景観とは、やはり印象が大きく隔たって
を見せることを特別なこととは感じてい
いる気がする。それらの村々が、近世には
なかったし、タブーに囲って隠すこともな
宿駅として栄え、むしろ町としての貌(か
かった。とりわけ、女性の胸の露出は、い
お)すら持っていたことを思い起こす必要
わば性的な欲望とじかに繋がっていなかっ
がある。バードの辛辣な筆致は、通り過ぎ
たらしい。それは布のかけらで覆い隠され
てきた村々との比較をいやおうなしに含ん
ることで、はじめてエロティシズムを掻き
でいたはずだ。
立てる、秘められた欲望の対象と化したの
さて、あらためてバードの語るところに
である。
耳を傾けてみよう。①では、この地方の村
③には、虫刺されや皮膚病のために、大
の汚さはどん底の域にある、という。人々
人も子どもも身体中がただれている、とい
は鶏É犬É馬などの家畜とともに、囲炉裏
う。④にはまた、汚い家屋のなかに、あぐ
の煙で黒くなった小屋のなかに暮らしてい
らを掻き、頭を下げてしゃがみ込んでいる
る。バードの眼にはたしかに、それは「小
人々は、野蛮人と変わらないように見える、
屋」に見えたのであるから、それ自体は批
という。いや、バードはさらに、それは野
判しても始まらない。近世の会津藩では、
蛮人以下だと言いたかったらしい。困った
百姓にたいして家作制限令がくりかえし出
ものだ。印象はまったく最悪である。
されており、むしろ権力による規制が「小
屋」を強制した、という側面もあった。ま
3.野蛮人よりも見劣りがする
た、会津の代表的な民家形式である中門造
たとえば、バードは「かれらは野蛮人と
りにおいては、その中門の部分がウマヤに
少しも変わらない」という言葉に続けて、
なっていた。雪の深い会津地方では、そう
こう書いていたのである。このあたりの記
48
福島の進路17.2
イサベラÉバードが見た会津
述が、意外なほどに具体性に乏しいことに
る、日本はけっしておとぎ話の国ではない、
注意を促しておきたい。バードがいったい、
そう、バードは書いていた。バード以前に
何を槍玉に挙げているのかが見えにくい。
数も知れず書かれ、刊行されていた「おと
ぎの国É日本」にまつわる紀行や物語にた
かれらの風采や生活習慣に慎みの欠けて
いして、バードがいまだ外国人が足を踏み
いることは、じつにぞっとするほどであ
入れたことのない北の奥地の、知られざる
る。慎みに欠けていると言えば、わたし
日本にかかわる見聞記をめざしていたこと
がかつていっしょに暮らしたことのある
を想起することにしよう。
数種の野蛮人と比較すると、非常に見劣
さて、さらに、バードの語るところに耳
りがする。もしわたしに時間の余裕が少
を傾けねばならない。バードはいう、「日
なく、この旅行が日光や箱根、宮の下な
本人の精神的状態が、その身体的状態より
ど、外国人がよく訪れる場所だけに限ら
も、はたしてずっと高いかどうか、わたし
れていたならば、わたしはかなり異なっ
はしばしば考えるのである。かれらは礼儀
た印象を抱いたことだろう。
正しく、やさしくて勤勉で、ひどい罪悪を
犯すようなことはまったくない。しかし、
風采や生活習慣に慎みが欠けている、と
わたしが日本人と言葉を交わしたり、さま
いう。おそらくそれは、前段に見えていた、
ざまな多くのものを見た結果として、かれ
男も女も裸同然の格好をしていること、汚
らの基本道徳の水準は非常に低いものであ
らしい小屋のなかに蠢いていることなどを
り、その生活は誠実でもなければ清純でも
指していたはずだ。しかし、そのあとには、
ない、と判断せざるをえない」と。日本人
ほかの野蛮人と比べても見劣りがすると
の精神的な状態、礼儀正しくやさしく勤勉
あって、何を意味しているのかが判然とし
で、ひどい罪悪を犯すことがないにもかか
ない。バードはまた、それが日光や箱根と
わらず、その道徳水準はたいへん低く、生
いった外国人が観光でよく訪れる場所では
活は誠実でも清純でもないとは、いったい
見られない光景であることを、ことさらに
何を意味しているのか。
強調している。
その謎解きのヒントはたぶん、北海道の
これまでも、バードが「わたしは見たま
アイヌのコタン(村)を訪ねる場面に隠さ
まの真実を描いている」と断り書きする場
れている。そこには、アイヌの人々につい
面には、幾度か遭遇してきた。それが東海
て、ひたすら高貴で美しい未開人として描
道や中仙道、琵琶湖や箱根などについて書
くバードがいた。機会を改めて触れてみた
かれた紀行と違っていたとしても、どちら
いと思う。
かが不正確ということにはならない、しか
し、これこそがどんな本も教えてくれな
かった、わたしにとっての新しい日本であ
福島の進路17.2
49
企業法務セミナー
プレハブ事務所の建築と建築基準法上の確認申請
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1
建築確認申請について
築確認が必要です。
建物の建築をする前に、建築の計画が建
都市計画区域外のときは、学校、病院な
築基準法や条例に定める基準にあっている
ど特殊な建物や、木造の建物で3階建以上
かどうかを確認してもらうため、建築基準
など、一定の規模以上の建物について、新
法上の建築確認申請を行い、確認済証の交
築、増築、改築、移転等を行う場合に建築
付を受けることがあります(建築基準法6
確認が必要になります。
条1項)
。
これを建築確認といいますが、建築確認
が必要であるかどうかは、建てる地域と建
物の大きさ等により定められます。
上記の確認申請をしなかった者は、50万
円以下の罰金に処されることがあります
(建築基準法101条1項2号)
。
なお、都市計画区域及び準都市計画区域
都市計画区域及び準都市計画区域内のと
の内外を問わず、防火地域、準防火地域以
きは、いかなる建物でも新築はもちろん、
外で、建物の増築、改築、移転をする部分
増築、改築、移転の場合でも原則として建
の床面積の合計が10平方メートル以内のも
50
福島の進路17.2
企業法務セミナー
のについては、例外として建築確認は必要
ありません。
とになります。
プレハブ建築についても、基礎の設置さ
れていないプレハブ建築だからといって、
2
建築基準法上の「建築物」について
本件プレハブ事務所は床面積が30㎡であ
り、また都市計画区域内での建築ですので、
建築基準法上の建築確認申請が不要になる
わけではないので注意をして下さい。
なお、建築基準法上の「建築物」と、民
建築確認申請が必要か否かは、本件プレハ
法上の「不動産」とは異なる概念であり、
ブ事務所が建築基準法上の「建築物」に該
民法上の不動産の場合は、土地に付着して
当するか否かにより決定されることになり
いることが必要であるとされています。
ます。
そもそも建築基準法上の「建築物」とは、
例えばブロックの上に設置されているだ
けで容易に運搬É移動が可能なプレハブの
土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱
建物の場合は、上記のとおり建築基準法上
もしくは壁を有するものを意味します(建
の「建築物」にはあたりますが、民法上の
築基準法2条1号)
。
「不動産」にはあたらないことになります。
プレハブの事務所は「工作物のうち、屋
根及び柱もしくは壁を有するもの」の要件
をみたしますが、「土地に定着」している
といえるかどうかが問題となります。
3
当社のプレハブ事務所の場合
本件プレハブ事務所については、基礎工
事が行われていれば問題なく「建築物」に
ここにいう「土地に定着」するとは、原
あたりますし、仮にブロックの上に設置さ
則的には土地に固定された状態を意味しま
れているだけで容易に移動が可能であった
すが、必ずしも工作物が土地に密着してい
としても、定置されて事務所として利用さ
る場合のみを意味するわけではありません。
れる以上「土地に定着」していることにな
例えば、キャンピングカーが自動車と一
り、建築基準法上の「建築物」にあたるこ
体となってその目的を達している間は「建
とになります。
築物」ではありませんが、一定期間以上定
したがって、本件において増設されるプ
置されて、居室としての目的に利用された
レハブの事務所は、建築基準法上の「建築
場合には、車輪があって動く機能があって
物」にあたり、都市計画区域内であり、増
も、その状態では車両が「土地に定着」し
築部分の床面積が30㎡ですので、建築確認
ていることになり、「建築物」にあたるこ
が必要となります。
福島の進路17.2
51
税務・財務相談Q&A
!
税務・財務相談
平成17年度税制改正大綱の内容
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
P
R
P 昨年12月15日ò
水 に、自民・公明の与党は平成17年度税制改R
P
R
P正大綱を発表しました。今回は、この税制改正大綱のポインR
P
R
Pトについて説明したいと思います。
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P
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住民税についてもその控除は、現在よりも
〔質問1〕
昨年後半において論議となっていた定
率減税は、税制改正ではどのようになり
半減されることになります。
〔質問2〕
中古住宅を購入する時に、住宅借入金
ましたでしょうか。
〔回
答〕
所得税においては、その
減税の控除割合が平成18年
1月より所得税額の10%相
等の特別控除についてその適用範囲が広
がったと聞きましたが、どのようになり
ましたか。
〔回
答〕
当額(現行20%相当額)に引き下げられま
住宅借入金等を有する場合の所得税額の
す。また、その控除額の上限は12万5千円
特別控除の適用対象となる既存住宅の範囲
(現行25万円)となります。これに伴い、
に、地震に対する安全上必要な構造方法に
52
福島の進路17.2
税務・財務相談Q&A
関する技術的基準又はこれに準ずるものに
適合する一定の既存住宅が加えられました。
2.また、特定口座を開設する証券業者等
に開設される特定管理口座(特定口座内
(平成17年4月1日以後に既存住宅を取得
保管上場株式等で上場株式等に該当しな
し、自己の居住の用に供する場合について
いこととなった内国法人の株式につき当
適用。
)
該特定口座から移管により保管の委託が
また、住宅取得等資金に係る相続時精算
されることその他一定の要件を満たす口
課税制度の特例の適用対象となる既存住宅
座を言う。)において、上場株式等に該
の範囲についても、地震に対する安全上必
当しないこととなった日以後引き続き保
要な構造方法に関する技術的基準又はこれ
管の委託がされている当該株式(以下
に準ずるものに適合する一定の既存住宅を
「特定管理株式」という。
)につき、株式
加えることとなりました。
(平成17年4月1日以後に取得する既存住
宅に係る贈与税について適用)
〔質問3〕
上場株式の特定口座への入庫は、平成
16年12月末までに証券会社に入庫しなけ
ればならないと思っていたのですが、そ
の入庫の期限が延長されたと聞いたので
すが。
〔回
答〕
としての価値を失ったことによる損失が
生じた場合として定める当該特定管理株
式を発行した株式会社の清算結了等の事
実が発生したときには、当該事実が発生
したことは当該特定管理株式の譲渡をし
たこととみなし、かつ、当該損失の金額
として一定の方法により計算された金額
は当該特定管理株式の譲渡をしたことに
より生じた損失の金額とみなして、株式
等に係る譲渡所得等の課税の特例を適用
することができることとされます。
1.平成17年4月1日から平成21年5月31
(平成17年4月1日以後に特定口座内保
日までの間に、一定の要件の下で、特定
管上場株式等につき上場株式等に該当し
口座に、自己が保管している上場株式等
ないこととなった場合について適用)
を、実際の取得日及び取得価額で受け入
れることができることとされました。平
成16年12月末までに入庫された上場株式
等については、みなし取得価額が使えま
すが、平成17年4月1日からのものにつ
いては、あくまでも実際の取得日及び取
得価額のみの受け入れとなります。
〔質問4〕
今回の税制改正では、人材投資減税が
盛り込まれたと聞いたのですがそれはど
のようなものですか。
〔回
答〕
教育訓練費が増加した場合の特別税額控
福島の進路17.2
53
税務・財務相談Q&A
除制度が次のとおり
創設されます。
①
青色申告書を提
出する法人の各事
業年度の所得の金
額の計算上損金の
額に算入される教
育訓練費の額が、
その法人の直前2
年以内に開始した
ロ
各事業年度の所得の金額の計算上損金の
額に算入された教育訓練費の平均額を超
満
える場合には、3年間の時限措置として、
た割合
(上記の措置は、平成17年4月1日以
額の特別税額控除を認める。ただし、当
後に開始する事業年度について適用)
〔質問5〕
とする。
青色申告書を提出する中小企業者等に
ついては、上記①の制度の適用に代えて、
各事業年度の所得の金額の計算上損金の
額に算入される教育訓練費の額に対し次
事業再生を円滑にするための措置が講
じられたとのことですが、説明してくだ
さい。
〔回
答〕
の特別税額控除割合による特別税額控除
民事再生法の再生計画認可の決定等又は
を認める。ただし、当期の法人税額の
これに準ずる再建計画(適正な資産評定に
100分の10相当額を限度とする。
基づく貸借対照表を基礎として債務免除額
イ
教育訓練費増加割合(当期の教育訓
が定められていること等一定の要件を満た
練費の額からその直前2年以内に開始
すものに限る。)の合意があった場合に、
した各事業年度の所得の金額の計算上
債務者である法人について、次の措置が講
損金の額に算入された教育訓練費の平
ぜられます。
均額を控除した金額のその平均額に対
①
する割合)が100分の40以上
20
54
教育訓練費増加割合に0.5を乗じ
その超える部分の金額の100分の25相当
期の法人税額の100分の10相当額を限度
②
教育訓練費増加割合が100分の40未
福島の進路17.2
その有する資産の評価損及び評価益の
計上を行う。
100分の
②
上記①の適用を受ける場合には、繰越
税務・財務相談Q&A
欠損金のうち青色欠損金等以外の欠損金
式には各手法毎に資産評価の基準の策定等
を優先して控除(債務免除益等の額を限
の所要の見直しを行った後、文書照会によ
度)をする。
り本制度の対象となる旨明確化されること
具体的には、民事再生法等の法的整理に
となっています。
加え、これに準ずる一定の要件を満たす私
的整理において債務免除が行われた際、評
価損の損金算入及び期限切れ欠損金の優先
利用が認められます(私的整理のうち、整
理回収機構や中小企業再生支援協議会が関
与する私的整理及び私的整理ガイドライン
に基づく私的整理が対象となる見込み)
。
また、「一定の要件」とは以下のように
〔質問6〕
国民年金の保険料に関する社会保険料
控除については支払った証明書の添付が
必要になると聞いたのですが、何時から
でしょうか。
〔回
答〕
国民年金の保険料に係る社会保険料控除
なる見込みです。
の適用について、当該保険料の支払をした
①
旨を証する書類を、確定申告書に添付等を
一般に公表された債務処理の準則に
従って計画が策定されていること。
②
③
し、又は年末調整の際に提出等をしなけれ
適正な資産評価が行われ、その評価に
ばならないこととされました。これは、平
基づく貸借対照表が作成されていること。
成17年分以後の所得税について適用されま
②で作成した貸借対照表に基づき債務
す。
免除額が決定されていること。
④
2以上の金融機関
による債権放棄が行
われていること(整
理回収機構は単独放
棄でも可)
。
(①∼③
については第3者機
関等の認証を得てい
るものに限る)
そして、評価益があ
る場合には、併せて計
上し益金算入すること
となります。また、正
福島の進路17.2
55
税務・財務相談Q&A
額は、損金の額に算入されないことに
〔質問7〕
レバレッジドリースに関する規制が講
じられたとのことですが、どのようにな
なります。
②
が締結されていること等により実質的
るのでしょうか。
〔回
に組合事業が欠損にならないことが明
答〕
らかな場合には、その法人組合員に帰
属すべき組合損失の全額が損金算入さ
名古屋地裁判決の結果によらずに、国側
れません。
では「レバ刺」の実行を行いました。概要
(原則として平成17年4月1日以後に
としては、次のようになります。
締結される組合契約について適用され
1.個人では、不動産所得を生ずべき事業
ます。
)
を行う民法組合等(外国におけるこれに
類似 するも のを 含む 。)の個 人組 合員
(組合の重要な業務の執行の決定に関与
し、契約を締結するための交渉等自らそ
の執行を行う個人組合員を除く。)の当
該民法組合等に係る不動産所得の金額の
計算上生じた損失については、なかった
ものとみなされます。
(平成18年分以後の所得税について適用
されます。)
2.法人では、民法組合、匿名組合等の法
人組合員(組合に係る重要な業務の執行
組合事業に係る収益を保証する契約
〔質問8〕
昨年新聞紙上で一時話題となった、ゴ
ルフ会員権の損益通算の廃止については、
どのようになりましたか。
〔回
答〕
今回の税制改正では見送られる結果とな
りました。しかし、個人所有のゴルフ会員
権については、すでに会員権の経営会社が
破綻してしまっている場合等については注
意してください。
の決定に関与し、契約を締結するための
交渉等自らその執行を行う法人組合員等
(田中伸一税理士事務所
税理士
を除く。)の組合損失について、次のよ
田中伸一)
うになります。
①
組合債務の責任の限度が実質的に組
合資産の価額とされている場合等には、
56
〈お詫び並びに訂正〉
本シリーズ1月号の67頁で
「オーナー族」
その法人組合員に帰属すべき組合損失
とある(3ヵ所)のは「オーナー一族」の
のうち当該法人組合員の出資の価額と
誤りでした。当誌の校正ミスであり、謹ん
して計算される金額を超える部分の金
でお詫び申し上げます。
福島の進路17.2
地方経済天気図
全国地方銀行協会
(平成17年1月発表分)から
個人消費の低調、生産活動の鈍化から、景気回復に
向けた動きに減速感がみられる地方経済
11∼12月の地方経済は、個人消費の低調が続くなか、電子部品などの生産調整の動きが強
まり、景気回復へ向けた動きに減速感がみられる。
需要面では、個人消費は、乗用車販売は上向いたものの、高めの気温による冬物衣料の不
振などから大型小売店販売が振るわず、低調。住宅建築は、貸家を中心に持ち直しの動きが
続く。設備投資は、製造業を中心に能力増強投資などの前向きな動きが増加しており、堅調。
公共工事は、減少基調。輸出は、一般機械、自動車、鉄鋼などを中心に好調を持続。観光は、
雪不足によるスキー場の不振もあり、引続き低調。
この間、生産活動は、電子部品や電気機械などの生産調整から、減速感が台頭している。
雇用面は、有効求人倍率の上昇が続くなど、改善傾向が続く。
向こう3ヵ月程度の先行きについては、景気回復に向けた足取りがさらに緩やかになると
みられている。
各 地 の 景 気
北海道
晴 :明るい
晴一部曇:一部に明るさ
曇 :停滞、持ち直し
曇一部雨:不振
東北
雨 :厳しい
中国
近畿
北陸
甲信越
関東
東海
九州
四国
沖縄
福島の進路17.2
57
地方経済天気図
東北経済抜粋
個人消費は、乗用車販売が新型車発売効
果などから前年を上回ったものの、大型
小売店販売は高めの気温による冬物衣料、
暖房器具の不振などから前年割れが続く
など、総じて低調。住宅建築は、貸家が
増加した一方、持家、分譲住宅が減少し、
全体では横這い。設備投資は、製造業を
中心に回復傾向にあるが、景況感の悪化
から一部で実施を先延べする動きもみら
れる。公共工事は、低調。輸出は、鉄鋼、
電気機械、自動車部品などの好調が続き、
増加傾向。観光は、旅行会社のキャン
ペーンによるツアー客で賑わう地域もあ
るが、多くの温泉地や観光地の人込み客
数は前年割れ。雪不足からスキー客も低
の動き。青森では電気機械の増産É新製
品対応投資、岩手では飲食店、宿泊業、
医療・福祉関連で増加の動きあり。
●公共工事
宮城で前年を上回る。他の5
県は低調。青森、秋田、山形では市町村
からの受注が堅調。岩手、福島では国、
県、市町村からの受注が軒並み低調。
●輸出
青森、秋田、山形で増加。宮城で
減少。青森では、鉄鋼、電気機器が増加。
秋田では自動車部品、化学製品が増加。
宮城では電子部品が減少。
●生産活動
持ち直しの動き。
[電気機械] 山形で増加。岩手で減少。
[電子部品Éデバイス] 岩手で増加。青森
秋田、宮城、山形、福島で減少。
[一般機械] 秋田、山形、福島で減少。
調。生産活動は、電子部品Éデバイスな
[情報通信機械] 岩手で増加。山形、福島
どで水準を落とす動きがみられるなど、
で減少。
増勢に一服感。雇用は、緩やかな改善基
[輸送機械] 福島で減少。
調にあるが、一部地域では後退感。先行
[鉄鋼É非鉄金属] 福島で増加、青森で減
きについては、当面、足踏み状態で推移
少。
するとみられている。(
「曇」)
[食料品Éたばこ] 青森、福島で増加。宮
城、山形で減少。
●個人消費
11月の大型小売店販売額は、
青森は「はやて」効果
6県全てで前年割れと低調。11∼12月の
が一巡。秋田は雪不足からスキー入込数
乗用車販売は、青森、岩手、秋田、宮城、
が低調。岩手では「義経」効果みられる。
山形では中小型車を中心に好調。福島で
は、中小型車が低調で前年を下回る。
●住宅建築
青森、秋田で前年を上回る。
他の4県は低調。11月の新設住宅着工戸
数は、秋田で持家、貸家、分譲が好調。
●雇用情勢
南北で格差。
11月の有効求人倍率は、南3県が改善基
調で推移。新規求人数も南3県が好調。
●景気の先行き見通し
青森、宮城、山形では緩やかな改善を辿
青森、岩手、宮城、福島では貸家が好調。
る見込み。秋田で足踏み、岩手では弱含み
山形では持家、貸家、分譲が軒並み低調。
で推移。福島では、生産活動や雇用で持ち
●設備投資
58
●観光等サービス業
青森、岩手、秋田で持ち直し
福島の進路17.2
直しの動きが続く見込み。
経済日誌
経済日誌
(平成16年12月)
県
内
国 内(含む海外)
1日○日本格付研究所は、本年度から市場
1日○総務省は住民基本台帳ネットワーク
で公募する地方債を発行した福島県
の2004年8月現在の交付枚数が全国
の債券はリスクが小さいとして、
で361,420枚だったと発表。普及率
AA + p の高水準の格付けを行った。
は人口に対しわずか0.28%。
6日○鮫川村は村に伝承される伝統的郷土
6日○農水省が発表した肉É卵類の週間小
料理をまとめた本「伝えていきたい
売価格(11/29∼12/3、全国平均)に
Ãおふくろの味Ä郷土料理」を発行。
よると、鶏卵(Mサイズ、10個入り)
郷土料理等を調理法とともに紹介。
は222円で最高値を6週連続で更新。
10日○平成16年1月−11月の県内の工場立
10日○ OPEC は、臨時総会で、現在日量
地状況は64件で前年同期より16件増
約百万バレルに上る公式生産枠を超
えた。大企業を中心に業績が回復し、
えた生産を平成17年1月以降取りや
設備投資が進んだことが要因。
める「実質減産」で合意した。
15日○日銀福島支店が発表した県内短観
14日○米調査会社フォレスターリサーチは、
(12月調査)によると、全産業ベー
世界のパソコン市場の成長予測をま
スの DI は▲13となり、前回の9月
とめ、2010年には2003年の2倍以上
調査から1ポイント悪化した。
の約13億台になると発表した。
20日○2005年度予算の財務省原案で、福島
21日○2005年度予算の財務省原案によると、
市の摺上川ダムは事業費ベースで31
国と地方の長期債務残高は2004年度
億円が認められ、当初計画より1年
末に比べ34兆円増加し、国民一人当
早い2005年度の完成が決まった。
たりで606万円の借金となる。
25日○県は平成14年度の県内の CO2 排出
25日○米ハーバード大のマジト博士らは、
量を発表。総排出量は過去最高の
喫煙が原因で2000年の1年間に死亡
2,301万2千tで前年度より0.9%増
したと考えられる30歳以上の人が全
加。22年度の目標達成は厳しい状況。
世界で483万人に達したと公表。
福島の進路17.2
59
資料紹介
資
料
○機械受注統計調査年報−平成16年版−
紹
介
技術革新と人材育成に関する仕組みや新た
内閣府)
な事業展開に向けた方策を紹介している。
内閣府経済社会総合研究所では、従来経
東北地域経済は平成16年年初から緩やか
済企画庁が昭和28年以来、主要機械のメー
な持ち直しの動きが続いているが、地域É
カーの協力を得て実施してきた機械受注状
業種É規模間に格差が見られ、全体的な浮
況に関する月次統計調査を継続して行って
揚に至っていないのが現状である。また、
いる。本報告書は、平成15年度の機械受注
全国的にみると他地域に比べ回復の遅れも
実績を中心に結果を取りまとめたものであ
見られる。このような中で、地域経済をと
る。
りまく環境の変化や地域の課題を踏まえて、
(平成16年12月
機械受注統計は、設備投資及び景気全体
持続的な発展を実現するためには、地域の
の先行指標の一つとして重要な統計調査で
特性と資源を活かすとともに、国際的な視
あり、内閣府としても今後とも一層その内
野での自律的発展が可能となる地域経済シ
容の充実と利用方法の開発に努めていく所
ステムを構築していくことが重要であると
存でいる。
説いている。
機械受注総額は、平成14年度の前年度比
1.9%減の後、平成15年度には同11.5%増
と大幅な増加となった。
○東北経済白書
平成16年版
(平成16年12月
東北経済産業局編)
今年で刊行12年目を迎えた本白書は、地
○建築統計年報
平成16年度版
(平成16年11月
国土交通省監修)
建築動態統計調査は、建築物着工統計、
住宅着工統計、補正調査、建築物除却統計、
建築物災害統計等の統計調査から成り立っ
ており、全国の建築物の動態を明らかにし、
域経済界や地方自治体、国の機関等の方々
建築及び住宅に関する基礎資料を得ること
に、東北経済の姿を知ってもらうため、第
を目的にしている。
一章と第二章では東北の経済と主要産業の
現状を概観している。
また、第三章では、地域における課題や
昭和5年に内務報告令が定められ、これ
により市街地建築物法の適用区域内におけ
る建築物について、統計調査を実施したの
新たな議論の材料を提供するため、「東北
が現在の建築動態統計調査の始まりである。
地域におけるものづくり産業の新事業展
昭和26年には新たに建築動態統計調査規
開」をテーマに、地域におけるÃものづく
則等が施行され、建築物の増減両面の統計
り企業群の育成Äを実現するために必要な
調査の整備が図られ今日に至っている。
60
福島の進路17.2
主要経済指標
県 内
主要経済指標
¶YÖA
項目
Pは速報、rは訂正、※は年度計
鉱工業生産指数
(季調済)
(総合)注1
製 造 工 業
生 産 指 数
機
12年=
前年比 12年=
100
%
100
主
械
前年比
%
要
業
種
別
化
学
繊
維
食料品Éたばこ
12年= 前年比 12年= 前年比 12年= 前年比
100
%
100
%
100
%
鉱工業出荷指数
(季調済)注1
12年=
100
前年比
%
平成13年
93.9
▲ 6.1
93.9
▲ 6.1
91.1
▲ 8.9
97.2
▲ 2.9
▲ 11.7
88.3 101.8
平成14年
93.0
▲ 0.9
93.0
▲ 0.9
92.1
1.1
94.6
▲ 2.7
▲ 2.4
86.2 ▲ 4.6
▲ 3.1
99.1
5.1
▲ 5.1
93.1 100.0
▲ 1.3
年月
平成15年
95.0
2.1
95.0
2.1
95.4
3.6
98.4
4.0
15年11月
96.0
▲ 3.9
96.0
▲ 3.7
100.5
▲ 1.5
89.1
▲ 9.2
▲ 6.7
82.8 12
16年1月
2
82.3
12年=
100
前年比
%
1.8
94.0
▲ 6.0
▲ 1.5
100.3 94.3
0.3
97.2
98.5
4.0
98.5
4.1
103.3
6.7
102.3
6.9
▲ 4.5
80.5 102.0
2.2
103.3
7.7
105.8
5.4
105.9
5.7
111.2
14.5
106.2
5.9
▲ 5.2
84.3 ▲ 12.0
100.3 107.6
6.2
94.7
2.7
94.8
2.9
100.1
8.6
99.6
4.7
▲ 3.2
77.5 ▲ 16.5
83.1 96.9
2.4
74.3
▲ 7.0
▲ 5.3
3
95.4
5.0
95.4
5.2
99.7
11.8
97.9
▲ 0.6
99.4
7.1
4
97.3
4.9
97.4
5.1
102.6
14.2
92.6
▲ 7.9
▲ 0.7
79.9 ▲ 1.3
100.3 91.7
103.7
7.6
5
98.9
1.8
98.9
2.0
105.4
7.7
98.8
▲ 1.8
▲ 8.5
77.8 ▲ 7.0
86.4 101.6
0.0
6
97.9
5.9
97.9
6.0
100.5
9.8
104.3
1.2
77.7
0.1
92.7
2.8
100.2
4.0
7
100.6
6.8
100.5
6.7
101.2
8.7
104.2
0.6
▲ 5.7
80.4 100.8
11.1
102.4
4.7
8
101.0
10.1
101.0
10.1
107.6
17.4
98.2
0.4
▲ 2.5
79.3 91.3
1.9
103.6
6.2
5.6
110.1
11.0
90.7
▲ 8.8
▲ 7.3
76.6 ▲ 5.8
91.4 106.4
2.1
▲ 1.0 P 77.5 ▲ 9.1 P 95.6 ▲ 6.2 P 100.5
▲ 3.8
9
102.5
5.6
102.5
10
P 98.4
0.0
P 98.3
11
―
―
▲ 0.1 P 101.4
―
調査機関
県
―
企
1.1 P 91.5
―
画
調
―
整
―
部
―
情
―
報
統
―
計
―
領
―
―
―
域
注1.鉱工業生産É出荷É在庫指数の前年比は原指数の増減率。暦年の年平均値は原指数。
月別欄の前年比は前年同月比(以下同様)
¶YEšÝÖA
項目 鉱工業在庫指数
(季調済)注1
12年= 前年比
100
%
年月
使
総
103 Èh
用
電
量
前年比
%
力
量
うち大口電力使用量
103 Èh
前年比
%
清酒課税
移 出 量
kl
前年比
%
公共工事着工
総 工 事 費
百万円
前年比
%
公共工事前払金保証実績
発 生 件 数
件
前年比
%
保 証 金 額
百万円
前年比
%
平成13年
117.2
平成14年
117.6
0.3 ※ 13,800,034
3.2 ※5,230,342
▲ 5.3 ※ 289,409 ▲ 20.4 ※8,838 ▲ 0.9 ※128,757 ▲ 8.9
5.1 25,822 平成15年
124.4
5.8 ※ 13,924,496
0.9 ※5,423,509
▲ 3.5 ※ 302,234
3.7 24,913 15年11月
▲ 3.3
120.0 ▲ 2.0
1,102,168 126.2
127.5
12
▲ 2.1 ※4,976,471 ▲ 2.4 27,274 ▲ 4.7 ※ 363,442 ▲ 1.3 ※8,920 ▲ 4.3 ※141,277 ▲ 5.6
17.2 ※ 13,376,469 450,926
▲ 11.7
3.5 2,386 2.9
▲ 0.6
1,163,615 454,056
2.2
▲ 5.6
4,160 25,912
▲ 15.8 ※111,640 ▲ 13.3
4.4 ※7,443 83.6
▲ 25.2
681 ▲ 24.5
7,212 ▲ 16.4
16,791 ▲ 43.0
661 ▲ 40.1
6,601 2.5
1,312,517
0.5
451,297
▲ 8.8
4.3 1,239 ▲ 5.9
9,557 ▲ 30.7
422 ▲ 16.2
4,283 2
▲ 2.5
121.9 1,245,750
3.3
446,303
▲ 10.5
5.2 1,686 ▲ 49.8
11,299 ▲ 21.7
231 ▲ 33.1
1,755 3
▲ 4.5
125.6 1,259,803
4.2
478,073
▲ 3.0
5.8 2,041 ▲ 59.7
16,512 ▲ 41.6
255 4
▲ 1.9
123.8 1,225,312
6.1
481,233
▲ 11.1
11.4 1,939 ▲ 55.3
7,197 ▲ 19.4
329 5
131.3
5.2
1,093,231
0.5
445,413
▲ 17.8
1.8 1,472 ▲ 47.9
6,824 ▲ 14.5
418 16年1月
▲ 57.6
6,505 10,626
10.6
▲ 38.7
6,160 6
132.7
7.4
1,119,110
5.3
482,597
▲ 7.4
6.0 1,601 ▲ 61.7
22,015 ▲ 14.6
822 14,845
7
138.8
3.1
1,228,449
9.8
502,023
▲ 17.5
8.5 1,550 ▲ 37.2
21,212 ▲ 2.9
894 ▲ 27.5
11,433 8
126.7
4.5
1,228,167
8.9
462,062
▲ 16.9
7.6 1,237 ▲ 68.5
15,445 ▲ 6.9
583 ▲ 11.0
7,983 9
122.4
2.3
1,192,864
3.5
479,828
▲ 2.0
3.7 1,742 ▲ 44.4
21,327 ▲ 13.5
745 ▲ 36.2
8,844 10
P 121.4
8.3
1,158,639
2.0
482,708
▲ 21.0
4.3 1,720 17,738
23.3
▲ 1.8
908 ▲ 16.8
11,114 ―
―
1,138,012
3.3
464,018
▲ 9.9
2.9 1,249 ―
―
11
調査機関
県企画調整部
情報統計領域
東 北 電 力 福 島 支 店
福島県酒造
組合連合会
国土交通省
726
6.6
8.4
▲ 6.8
6,718 株 福島支店
東日本建設業保証ò
注1.鉱工業生産É出荷É在庫指数の前年比は原指数の増減率。暦年の年平均値は原指数。
月別欄の前年比は前年同月比(以下同様)
福島の進路17.2
61
主要経済指標
県 内
šÝÖA
新
項目
総
計
設
住
利
用
関
持
家 貸
家 分
宅
係
別
譲 給
与
着
工
資
金
民 間 資 金 公 的
前年比
戸
戸
%
着
工
建
築
物
別
資 金 建 築 物 床 面 積 工事費予定額
前年比
むね
百㎡
百万円
%
戸
前年比
%
戸
戸
戸
平成13年
15,010
▲ 5.2
7,619
5,844
1,443
104
9,636
13.2
▲ 26.6
5,374 13,683
28,390
410,151
平成14年
14,322
▲ 4.6
7,363
5,361
1,451
147
10,572
9.7
▲ 30.2
3,750 13,243
25,816
369,259
平成15年
13,741
▲
4.1
7,035
5,428
1,167
111
10,894
3.0
▲ 24.1
12,699
25,388
360,693
15年11月
1,116
▲ 7.8
562
463
66
25
827
▲ 9.2
▲ 3.3
289 1,114
2,488
35,398
1,164
▲
1.5
496
577
89
2
892
▲ 2.3
272
1.1
1,026
1,884
24,176
821
▲
7.5
349
427
45
0
638
0.6
▲ 28.0
183 644
1,339
19,110
885
5.7
422
401
62
0
733
15.1
▲ 39.0
122 806
1,482
21,831
3
980
▲ 15.1
537
365
54
24
817
▲ 12.2
163
▲ 26.9
963
1,580
21,219
4
1,150
4.5
635
459
56
0
915
▲ 1.0
235
32.8
1,146
2,271
35,881
5
1,322
17.7
678
465
178
1
1,042
7.9
280
78.3
1,159
2,227
27,880
6
1,619
22.7
771
614
230
4
1,308
17.5
311
50.2
1,417
2,944
40,748
7
1,147
▲ 10.7
689
385
71
2
922
▲ 15.4
225
15.4
1,176
2,252
30,871
8
1,286
39.3
697
548
37
4
1,128
51.4
▲ 11.2
158 1,211
2,771
34,577
9
1,066
▲ 38.8
608
332
124
2
816
▲ 36.9
▲ 44.4
250 1,100
2,319
30,415
10
1,133
4.2
508
457
166
2
880
4.5
253
3.3
1,034
2,014
28,854
11
1,107
0.8
562
506
39
0
905
9.4
▲ 30.1
202 1,077
2,272
29,767
年月
12
16年1月
2
▲
調査機関
国
戸
土
交
2,847
通
省
ÁïÖA
項目
百貨店売上高
注1
前年比
%
百万円
年月
量販店売上高
注2
百万円
乗用車新車登録台数
前年比
%
台
前年比
%
農家現金家計支出
注3
円
温泉旅館(福島、
郡山、
会津若松)利用者
前年比
%
人
前年比
%
平成13年
61,404
▲ 3.1
188,662
▲ 4.7
79,253
▲ 2.1
4,903,731
▲ 2.6
※3,278,368
1.5
平成14年
54,674
▲ 3.6
183,450
▲ 2.2
77,082
▲ 2.7
4,583,832
▲ 6.5
※3,210,491
▲ 2.4
平成15年
53,121
▲ 2.8
182,481
▲ 3.2
76,050
▲ 1.3
4,377,540
▲ 4.5
※3,172,038
▲ 1.2
15年11月
4,746
▲ 4.8
14,346
▲ 6.2
5,979
▲ 4.1
382,392
▲ 4.2
331,405
1.0
5,442
▲ 4.0
19,257
▲ 5.3
5,268
0.7
466,370
7.0
268,731
▲ 1.3
4,617
▲ 1.5
16,334
▲ 2.7
5,586
4.0
―
―
232,114
▲ 3.3
2
3,676
▲ 4.2
14,040
1.0
7,113
1.7
―
―
239,061
5.7
3
4,929
▲ 5.2
15,450
▲ 2.4
12,430
2.2
―
―
234,158
▲ 9.0
4
4,056
▲ 6.9
14,858
▲ 4.3
5,115
6.6
―
―
227,085
2.7
5
3,871
▲ 7.3
15,318
▲ 2.9
5,050
▲ 7.2
―
―
246,159
4.5
12
16年1月
6
3,987
▲ 4.3
14,909
▲ 3.4
5,890
▲ 4.9
―
―
246,516
▲ 5.6
7
4,567
3.9
15,521
▲ 0.3
6,219
▲ 4.2
―
―
224,037
▲ 12.3
8
3,599
▲ 5.5
16,081
▲ 4.5
4,474
4.3
―
―
301,274
▲ 5.5
9
3,598
▲ 3.0
13,928
▲ 3.6
7,229
1.8
―
―
206,915
▲ 13.3
10
P 4,468
▲ 2.9
r
15,171
▲ 1.2
5,541
▲ 7.1
―
―
317,476
▲ 5.5
11
P
▲ 8.0
P
14,126
▲ 4.8
6,461
8.1
―
―
調査機関
経
4,368
済
産
業
省
県自動車販売店協会
注1.前年
(同月)
比については店舗調整済
(平成16年3月時点6店舗)
。
注2.前年
(同月)
比については店舗調整済
(平成16年3月時点65店舗)
。
注3.平成4年4月より「自給的農家」を除く。前年同月比については調整済。
62
福島の進路17.2
農水省福島統計情報事務所
295,383
当
研
▲ 10.9
究
所
主要経済指標
県 内
ÁïÖA
消
項目
総
費
合 食
者
物
指
数
被服及びはき物
前年比
%
12年=
100
12年= 前年比 12年= 前年比 12年=
100
%
100
%
100
居
育
教 養 É 娯 楽
前年比
%
12年=
100
平成13年
99.3
▲ 0.7
99.2
▲ 0.8
101.6
1.6
100.7
0.7
▲ 4.1
95.9 101.0
1.0
97.7
▲ 2.3
平成14年
98.2
▲ 1.1
98.2
▲ 1.0
102.0
0.4
98.8
▲ 1.9
▲ 3.0
93.0 101.4
0.4
95.0
▲ 2.8
97.8
▲ 0.4
97.6
▲ 0.6
102.0
0.1
91.7
▲ 1.4
102.4
1.0
92.6
▲ 2.5
平成15年
15年11月
12
16年1月
2
0.0
前年比
%
教
12年=
100
年月
前年比 12年=
%
100
価
光 熱 É 水 道
料 住
98.9
前年比
%
97.5
▲ 0.5
96.1
▲ 1.7
102.6
0.8
99.2
1.5
94.5
0.0
102.7
1.2
91.2
▲ 2.8
97.8
▲ 0.2
96.8
▲ 1.2
103.1
1.3
99.1
1.3
▲ 1.3
92.5 102.7
1.2
91.7
▲ 2.6
97.8
▲ 0.2
98.8
▲ 0.3
102.8
1.0
98.7
0.8
▲ 2.3
88.6 102.7
1.2
90.7
▲ 2.6
97.8
0.2
99.3
0.9
102.5
0.7
98.8
0.7
▲ 1.7
87.0 102.7
1.2
90.5
▲ 2.8
▲ 0.9
102.7
1.2
91.2
▲ 2.6
3
97.9
0.1
98.9
0.6
102.6
0.8
98.7
0.4
4
98.0
0.0
98.5
0.2
103.3
1.6
98.7
▲ 0.3
▲ 0.8
92.0 103.1
0.4
90.7
▲ 1.0
5
98.2
0.1
98.5
0.1
104.1
2.4
98.7
▲ 0.4
▲ 0.7
93.1 103.1
0.4
90.9
▲ 1.1
6
98.7
0.9
99.1
1.6
105.7
3.8
99.4
0.2
▲ 0.8
92.6 103.1
0.4
91.0
▲ 1.0
7
98.3
0.7
97.7
1.0
105.7
3.6
99.7
0.5
90.0
0.1
103.1
0.4
91.9
▲ 1.2
8
98.3
0.5
97.4
0.3
105.0
3.0
99.8
0.6
88.0
0.0
103.1
0.4
93.8
▲ 1.2
9
98.5
0.6
97.8
0.5
105.0
2.7
100.5
1.3
93.4
1.5
103.1
0.4
91.5
▲ 1.4
10
99.0
1.1
99.3
2.1
104.9
2.6
101.7
2.5
94.5
0.0
103.1
0.4
91.0
▲ 1.3
11
98.8
1.3
99.0
3.0
104.9
2.2
102.7
3.5
94.7
0.2
103.1
0.4
90.1
▲ 1.2
調査機関
県
企
画
調
整
部
有効
求人
倍率
新規求人数
注3
情
89.2
報
統
計
領
域
J­sêÖA
項目 有 効 求 職 者 数
注3
年月
人
有 効 求 人 数
注3
前年比
%
前年比 注1
%
倍
人
人
雇用保険受給者実人員
注3
前年比
%
人
常用雇用指数
(産業計)
実質賃金指数
(産業計)
前年比 12年= 前年比 12年= 前年比
%
100
%
100
%
所定外労働時間
(産業計)
時間
前年比
%
平成13年
40,363
12.2
21,956
▲ 6.2
0.55
▲ 7.0
8,738 17,937
10.8
▲ 2.9
97.1 平成14年
45,280
12.2
20,476
▲ 6.7
0.45
8,918
2.1
20,210
12.7
▲ 1.0
96.1 平成15年
▲ 9.4
41,004 24,586
20.1
0.60 10,421
16.9
▲ 27.2
14,713 ▲ 0.3
95.8 100.0
1.4
10.9
5.8
15年11月
▲ 9.4
37,501 27,087
16.5
0.67
3.0
▲ 27.0
12,474 ▲ 0.1
96.2 86.2
1.1
11.5
2.7
▲ 25.1
▲ 1.6
186.4 9,961
▲ 5.7
11.6 ▲ 11.2
10.3 25,506
19.6
0.72
9,398
18.7
12,499
12.4
10.7
▲ 10.9
35,744 25,469
14.3
0.71 11,105
11.1
▲ 25.9
12,103 ▲ 0.7
94.3 85.1
3.9
13.7
26.9
2
▲ 8.4
36,123 26,509
14.5
0.70 11,179
9.3
▲ 26.2
11,469 ▲ 0.8
93.7 83.9
2.1
13.9
35.0
3
▲ 6.0
40,164 30,225
18.0
0.70 13,928
22.7
▲ 22.9
11,660 ▲ 1.9
93.2 86.7
0.7
14.1
36.9
4
▲ 4.3
43,667 29,048
17.8
0.71 12,166
22.7
▲ 19.4
12,256 ▲ 0.5
94.8 83.8
1.3
13.4
24.1
5
▲ 6.3
41,969 27,097
20.9
0.75
▲ 0.3
9,051 ▲ 26.4
11,316 ▲ 0.2
95.3 86.6
4.8
13.1
21.3
6
▲ 6.0
40,554 26,812
21.3
0.75 11,498
17.8
▲ 14.9
12,980 ▲ 0.4
95.6 149.1
0.2
13.2
22.2
7
▲ 9.5
38,555 27,049
16.9
0.74 12,075
13.3
▲ 18.1
12,792 ▲ 1.1
95.8 113.1
1.9
13.9
17.1
8
▲ 7.8
36,976 30,142
26.9
0.79 12,435
29.2
▲ 13.9
12,651 ▲ 0.7
96.1 85.6
0.6
12.9
19.4
9
▲ 10.7
36,611 32,762
20.9
0.84 13,539
11.3
▲ 19.6
11,665 ▲ 2.4
94.3 84.8
2.8
14.0
22.8
10
▲ 11.4
35,528 32,838
16.3
▲ 2.4
0.86 12,613 ▲ 22.3
10,800 ▲ 1.3
95.1 85.4
0.4
13.8
24.3
11
▲ 6.4
35,090 0.87 12,160
▲ 16.7
10,390 ―
―
―
12
調査機関
34,905
福
32,419
島
労
19.7
働
局
職
業
22.1
安
定
課
―
0.0
1.5
▲ 2.9
98.6 ▲ 10.6
16年1月
95.8
101.5
―
県企画調整部情報統計領域
―
注2
注1.季節調整値。
注2.調査対象事業所の抽出替えに伴い、前年比はギャップ修正されている。
注3.各年の年計は月平均。
福島の進路17.2
63
主要経済指標
県 内
àZEà­ÖA
全
項目 日 銀 券
発行状況
▲ 発行超) 預
( 国
銀
金
貸
前年比
%
行
出
注1
金
預
第二地銀
信 用 金 庫
金 貸出金 預
前年比
%
信 用 組 合
金 貸出金 預
金 貸出金
信
用
件
保
数
前年比
%
証
申
込
金
額
前年比
%
年月
億円
億円
平成13年
▲ 1,408
▲ 2.3 23,562
32,654 3.0
12,022
9,691
12,574
7,423
4,106
3,094 ※14,577
▲ 33.6 ※125,597
▲ 46.8
平成14年
▲ 515
▲ 0.3 21,192 ▲ 10.1
32,546 11,597
9,078
12,423
7,083
3,846
2,935 ※14,101
▲ 3.3 ※121,086
▲ 3.6
平成15年
▲ 1,384
▲ 0.6 20,875 ▲ 1.5
32,357 11,750
8,874
12,590
6,856
3,890
2,883 ※19,047
35.1 ※176,752
46.0
15年11月
▲ 166
▲ 0.2 20,611 ▲ 2.4
32,349 11,542
8,818
12,459
6,840
3,844
2,888
1,255
17.3
10,016
19.8
▲ 971
▲ 0.6 20,875 ▲ 1.5
32,357 11,750
8,874
12,590
6,856
3,890
2,883
2,353
37.0
20,919
64.0
12
16年1月
億円
億
円
件
百万円
630
32,037
▲ 0.2
0.6 21,020 11,556
8,841
12,485
6,810
3,864
2,861
1,055
31.9
10,004
53.2
11,578
8,658
12,555
6,795
3,891
2,853
2,009
90.4
21,971
132.5
2
▲
78
32,012
0.3 21,162
0.7
3
▲ 396
31,962
▲ 0.1
0.1 21,062 11,506
8,646
12,344
6,670
3,803
2,798
2,419
56.8
22,933
42.6
4
▲ 361
▲ 0.7 20,842
32,425 0.0
11,569
8,502
12,608
6,594
3,868
2,785
1,083
6.2
9,508
▲ 6.5
5
227
▲ 0.6 20,741
32,596 0.9
11,463
8,458
12,509
6,551
3,854
2,769
1,146
▲ 20.7
10,125
▲ 34.0
6
▲ 129
▲ 1.0 20,838
32,663 4.0
11,608
8,513
12,643
6,536
3,887
2,771
1,573
▲ 8.2
13,542
▲ 17.8
40
▲ 0.1 20,987
32,576 5.4
11,560
8,591
12,571
6,569
3,876
2,783
1,705
6.2
15,029
5.8
15
▲ 0.7 21,089
32,461 5.4
11,514
8,595
12,604
6,561
3,888
2,774
1,696
30.1
13,559
23.3
147
▲ 0.5 20,744
32,049 0.2
11,553
8,635
12,513
6,599
3,874
2,789
1,802
12.6
15,322
17.4
32,004
0.0
11,478
8,608
12,618
6,599
3,897
2,787
1,502
18.6
12,741
19.3
8,619
12,610
6,593
3,869
2,780
1,435
14.3
12,470
24.5
7
8
▲
9
10
11
調査機関
98
▲
▲ 304
0.9 20,730
▲ 1.1 20,470 ▲ 0.7
32,005 日本銀行
福島支店
東
北
財
11,434
務
局
福
島
渡
手
財
務
事
務
所
県 信 用 保 証 協 会
注2
注1.第二地銀協加盟行
注2.各年の年計は12月の末残
éÆocÖA
県内4市手形交換高
項目
枚
数
金
前年比
千枚
%
年月
百万円
不
注1
額
前年比
%
枚
数
形
金
企
注1
額
件
業
数
倒
金
産
信用保証協会代位弁済
額
前年比
前年比
前年比
前年比
百万円
百万円
件
%
%
%
%
枚
件
数
件
前年比
%
金
額
千
前年比
%
円
▲ 7.5 1,335,028 ▲ 9.2
平成13年 1,385 5,348
▲ 8.4 1,123,674 ▲ 15.8
平成14年 1,268 ▲ 9.7 6,189
4,829 ▲ 8.0 1,013,324 ▲ 9.8
平成15年 1,167 ▲ 4.9 5,359 ▲ 13.4 190 ▲ 21.5 116,444 ▲ 34.1 ※678 ▲ 17.6 ※6,528,616 ▲ 20.5
4,594 15年11月
12
16年1月
2
3
▲ 13.5
77 ▲ 3.6
104 235.3 ※719
30.3 ※6,729,230
24.1
▲ 16.3 176,624 ▲ 17.8 ※823
4.9 242 12.5 214,959
14.5 ※8,207,769
22.0
▲ 13.9
54,973 305
▲ 4.5
484 ▲ 42.1
11 94,267
▲ 22.3
320 777
▲ 26.3
14 0.4
2.7
46.1 289
20.0
11,023
▲ 30.1
51 ▲ 10.5
620,697 432.5
▲ 22.6
48 ▲ 28.9
426,363 ▲ 20.7
87 ▲ 21.1
73,993 ▲ 47.7
241 ▲ 34.7
315 ▲ 36.9
2,834 ▲ 24.2
47 ▲ 42.8
413,239 ▲ 0.9
75,251 ▲ 36.8
216 ▲ 32.0
259 16
6.7
4,073
1.9
▲ 53.0
31 ▲ 70.9
190,305 94,826
9.3
▲ 47.7
201 ▲ 33.3
183 19
72.7
2,598
55.3
▲ 12.8
95 ▲ 17.5
960,220 ▲ 81.2
4,029 ▲ 83.3
10 107
7.6
▲ 59.1
9 ▲ 73.0
3,017 ▲ 9.1
91 4
▲ 8.4
91 ▲ 17.3
85,090 ▲ 73.9
152 ▲ 78.1
133 ▲ 51.9
13 5
▲ 3.4
88 82,255
262
483
▲ 40.0
12 10.1
67.9
142.1
6
▲ 14.7
90 ▲ 14.4
94,070 ▲ 59.8
215 ▲ 51.5
292 7
▲ 20.7
81 ▲ 23.1
64,330 ▲ 81.7
63 ▲ 84.8
54 8
97
91,106
9
▲ 17.2
85 ▲ 19.0
70,081 ▲ 61.4
157 10
▲ 22.4
74 ▲ 25.1
61,393 11
93
調査機関
18.8
20.7
33.8
80,647
当
46.7
研
注1.県内4市手形交換所É累計
64
6.5 5,897
福島の進路17.2
▲ 8.6
53 581,295
9.5
3,185
▲ 52.8
340,803 612.5
▲ 25.9
40 ▲ 83.5
873 ▲ 57.8
35 ▲ 75.2
280,624 ▲ 36.8
12 ▲ 87.8
3,217 ▲ 1.9
51 299,122
▲ 7.9
266 16
6.7
▲ 75.3
2,706 ▲ 11.1
48 ▲ 22.4
340,966 ▲ 69.3
169 ▲ 59.0
314 17
13.3
57,691
162.5
▲ 2.2
44 563,921
▲ 3.9
293 ▲ 3.7
466 11
0.0
3,967
31.5
▲ 31.4
35 ▲ 58.0
260,528 究
57.8
所
475
221.2
18.2
89.8
▲ 20.0
8 325
13
▲ 90.4
45,815 11,040
帝国データバンク福島支店
県 信 用 保 証 協 会
10.1
62.1
主要経済指標
国 内
P印は速報、r印は訂正
マネーサ
項目 国庫対民間収 プラ イ残高 日銀券
支尻(総計)
(M2+CD) 平均発
▲ 払超) (平
( 残) 行 高
億円
年月
国 内 銀 行 勘
実質預金
定
注1
貸出残高
全国銀行 コ ー ル
手形交換高(全国)
レート
貸出約定
(有 担 保
金
額
平均金利 翌 日 物) 枚 数
前年比 前年比
前年比
前年比
百億円
百億円
年利% 年利%
%
%
%
%
千
枚 千億円
企業倒産
(負債総額千万以上)
件
前年比
%
数
件
金
額
前年比
前年比
億円
%
%
平成13年 ※351,787
2.8
7.1 48,617
▲ 3.4
0.8 44,822 ▲ 16.6 19,164
1.880 0.0510 208,896 8,773 平成14年 ※645,134
3.3
13.1 50,163
▲ 3.7
3.2 43,164 ▲ 19.6 19,087 ▲ 0.4 137,824 ▲ 16.6
1.834 0.0010 187,080 7,053 平成15年 ※358,504
1.7
5.5 51,168
▲ 4.1
2.0 41,385 ▲ 10.3 16,255 ▲ 14.8 115,818 ▲ 16.0
1.799 0.0010 171,980 6,330 38,198
1.6
4.4 51,067
▲ 4.0
1.7 41,143 1.805 0.0010
11,314
▲ 11.9 1,114 ▲ 22.4
401 9,750
25,923
1.5
3.3 51,168
▲ 4.1
2.0 41,385 1.799 0.0010
15,890
▲ 5.0 1,132 ▲ 20.3
548 ▲ 36.9
4,780 ▲ 62.3
4,595 15年11月
12
▲ 30.8
2.1 165,196 70.9
51,130
1.6
2.6 50,843
▲ 3.9
1.8 41,081 1.797 0.0010
12,498
▲ 10.4 1,181 ▲ 18.2
473 2
52,385
1.7
2.7 51,093
▲ 3.5
1.5 40,983 1.796 0.0010
13,002
▲ 9.1 1,159 ▲ 20.3 10,741 ▲ 28.8
460 3
25,857
1.7
1.7 51,921
▲ 2.7
1.8 41,169 1.774 0.0010
15,916
638
4
▲ 22,526
1.9
1.6 51,821
▲ 2.7
0.9 40,446 1.799 0.0010
13,363
▲ 1.2 1,236 ▲ 17.3
535 ▲ 11.6
8,264 5
128,099
2.0
1.7 51,980
▲ 2.6
1.1 40,259 1.780 0.0010
12,862
▲ 3.7 1,089 ▲ 25.0
490 ▲ 45.5
4,298 6
41,943
1.7
1.0 51,859
▲ 2.6
1.0 40,179 1.771 0.0010
13,302
▲ 9.8 1,078 ▲ 21.9
544 ▲ 54.9
3,650 7
89,182
1.8
1.1 51,719
▲ 1.6
1.1 40,303 1.770 0.0010
13,033
▲ 15.7 1,123 ▲ 18.4
448 ▲ 17.4
5,765 8
73,724
1.8
1.2 51,584
▲ 2.3
0.6 40,206 1.763 0.0010
14,523
521
▲ 13.3
17.4 1,097 ▲ 55.6
4,961 9
49,498 r 2.0
2.2 51,631
▲ 2.3
1.0 40,440 1.744 0.0010
12,636
▲ 12.0 1,090 ▲ 10.1
507 ▲ 56.7
4,645 10
60,274 r 2.0
2.1 51,574
▲ 1.9
2.1 40,096 1.751 0.0010
10,824
▲ 18.6 1,124 ▲ 17.8
438 ▲ 7.8
7,865 11
69,690 P 2.1
3.6 52,024
▲ 2.6
1.9 40,058 ― 0.0010
―
▲ 4.5
1,064 ▲ 55.5
4,342 16年1月
調査機関
財務省
日
本
銀
行
▲ 14.8 10,094 ▲ 10.7
5.7 1,329 ―
―
全 国 銀 行 協 会
東 京 商 工 リ サ ー チ
注1.国内銀行勘定の各指数は、オフショア勘定を含む数値。
項目
年月
企業物価指数 消費者物価指数 輸出入物価指数
全国総合
輸 入
(総平均) (167都市町村) 輸 出
生
12年= 前年同 12年= 前年比
100 月比%
100
%
12年= 前年同 12年= 前年同 12年= 前年比 12年=
億円
100 月比%
100 月比%
100
%
100
12年=100
(円ベース)
鉱
産
工
指
数
業
製造業 機械受注(280社
稼働率 分)船舶«電力除
生産者製品在庫指数 指 数 く民需(季調済)
(季調済)注1
生産者出荷指数
前期比
%
平成13年
▲ 2.3
97.7 ▲ 0.7
99.3 103.1
102.5
▲ 6.8
93.2 ▲ 6.3
93.7 ▲ 0.7
98.3 ▲ 5.8
92.4 113,512 平成14年
▲ 2.0
95.7 ▲ 0.9
98.4 101.9
101.0
▲ 1.3
92.0 ▲ 0.2
93.5 ▲ 8.0
90.4 ▲ 12.0
93.5 99,875 平成15年
▲ 0.7
95.0 ▲ 0.3
98.1 97.8
100.1
95.0
3.3
97.2
4.0
▲ 2.4
88.2 97.3 110,545
15年11月
▲ 0.5
94.8 ▲ 0.5
97.8 93.8
96.9
98.8
2.8
100.2
1.4
91.6
▲ 0.2
94.9 ▲ 0.4
97.9 93.8
97.3
98.2
5.8
101.1
7.9
▲ 2.4 100.2
89.8 9,952
▲ 0.1
95.0 ▲ 0.3
97.7 94.3
98.1
101.0
5.3
103.7
6.2
▲ 4.5 103.0
89.1 ▲ 8.1
9,149 2
95.3
0.0
97.7
0.0
95.3
99.1
97.2
6.7
99.0
5.8
▲ 1.8
89.7 98.5
9,409
3
95.5
0.2
▲ 0.1
97.9 96.5
101.4
97.8
8.3
99.1
8.4
▲ 1.0
90.0 98.9
▲ 3.2
9,107 12
16年1月
0.3 100.6
10.7
▲ 5.9
9,385 2.8
4
95.6
0.5
▲ 0.4
97.9 94.6
102.2
101.2
8.7
103.1
8.3
91.3
5
95.7
0.9
▲ 0.5
98.0 97.9
106.2
102.0
4.6
104.4
4.4
▲ 1.4 103.3
89.7 6
96.0
1.4
98.2
0.0
96.3
105.7
100.7
8.9
103.0
8.4
▲ 1.0 101.7 10,360
89.6 7
96.4
1.6
▲ 0.1
97.9 97.0
105.6
100.7
5.9
103.5
6.8
▲ 3.8 102.2
87.9 ▲ 11.3
9,185 8
96.5
1.7
▲ 0.2
98.0 97.9
106.8
100.8
9.7
101.1
7.3
▲ 1.1 102.6
89.6 9,471
9
96.6
1.8
98.3
0.0
97.8
108.3
100.4
4.1
102.7
3.8
91.5
0.7 102.1
▲ 1.9
9,291 10
96.6
2.0
98.8
0.5
97.8
r 107.5
r 99.1 ▲ 0.8
r 101.4 ▲ 1.6
r 90.6
0.0 102.1
▲ 3.1
9,001 11
P 96.7
2.0
98.6
0.8
P 96.0
P 106.1
P 100.6
P 102.5
P 91.1 ▲ 0.5
調査機関 日 本 銀 行
総務省統計局
日 本 銀 行
経
4.3
済
4.8
産
業
0.6 102.0 10,182
6.0
省
11.8
▲ 2.1
9,971 ―
―
内
閣
3.9
3.1
―
府
注1.鉱工業の各指数の前年比は原指数の増減率。
福島の進路17.2
65
主要経済指標
国 内
建設工事受注
(50社分)
(季調済)
項目
総
額
前年比
%
億円
年月
民
新設住宅着工戸数
間
前年比
%
億円
前年比
%
千戸
常用雇用 所 定 外 有 効 求 完全
指数 ※ 1 労働時間 人 倍 率
大 型 小 売 店 販 売 額
百
貨
店
ス ー パ ー
前年比
%
億円
乗用車新車登録台数 (製造業)
前年比
%
億円
失業
※2
(未季調)(製造業)(季調済) 者数
前年比 12年
時間
% =100
千台
倍
万人
平成13年
▲ 10.1
143,383 ▲ 10.6
90,656 ▲ 4.6
1,174 ▲ 0.5
96,261 ▲ 5.0
127,147 4,290
0.7
97.1
12.6
0.59
340
平成14年
▲ 9.4
129,862 ▲ 10.7
80,979 ▲ 1.9
1,151 ▲ 2.1
93,652 ▲ 2.2
126,677 4,441
3.5
92.7
13.5
0.54
359
平成15年
▲ 3.5
125,346 1,160
0.8
▲ 2.6
91,030 ▲ 3.7
126,522 4,460
0.4
90.6
14.9
0.65
350
▲ 0.3
98 ▲ 4.1
7,916 ▲ 6.7
10,207 ▲ 6.7
340 90.2
16.1
0.73
330
300
15年11月
12
16年1月
2
83,651
3.3
8,891
1.5
6,297
13.6
10,831
8.8
7,216
18.9
101
9.4
▲ 3.0
10,502 ▲ 4.8
12,888 338
0.3
90.1
16.3
0.77
7,910
4.1
4,989
1.0
89
7.3
▲ 0.1
7,765 ▲ 3.3
11,239 329
―
89.7
14.4
0.77
323
▲ 5.2
5,717 85
1.9
6,342
2.3
▲ 0.7
9,435 442
―
89.5
16.1
0.77
330
93
6.9
▲ 4.5
7,794 ▲ 4.8
10,093 698
―
89.4
16.5
0.77
333
▲ 4.1
96 ▲ 1.0
7,020 ▲ 4.8
10,218 302
―
90.2
16.2
0.77
335
99
0.9
▲ 2.4
6,967 ▲ 4.2
10,283 319
―
90.0
15.1
0.80
319
▲ 7.4
107 ▲ 5.5
6,879 ▲ 4.6
10,268 385
―
90.0
15.8
0.82
309
▲ 5.3
8,884 3
23,526
1.4
15,435
4.3
4
7,383
9.9
5,867
27.4
5
▲ 4.0
7,033 ▲ 3.3
5,175 6
11,032
19.3
7,882
27.0
7
9,391
3.9
6,505
8.4
106
7.8
▲ 0.8
8,536 ▲ 2.1
10,719 431
―
90.0
15.8
0.83
318
8
9,873
8.2
6,872
16.2
102
10.5
▲ 4.7
5,939 ▲ 5.8
10,491 292
―
89.8
15.3
0.83
314
9
17,059
9.0
13,233
20.3
108
10.1
▲ 4.2
6,265 ▲ 3.0
9,610 456
―
89.9
16.0
0.84
309
10
8,335
0.2
5,618
6.2
106
1.5
▲ 3.6
7,321 ▲ 4.7
10,506 r 350
―
89.7
16.2
0.88
311
11
―
―
―
―
―
―
P 391
―
―
―
―
交
通
省
調査機関
国
土
―
経
―
済
産
―
業
―
省
注
1
厚生労働省
―
注2
注1.日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会
平成15年12月までシャシーベース、平成16年以降登録車種(ナンバー)ベース。
注2.総務省統計局、各年の年計は月平均。
※1.従業員30人以上から5人以上、季調済から未季調に変更
※2.従業員30人以上から5人以上に変更
通
項目
関
輸
出
百万ドル
年月
輸
国 際 収 支 (I M F 方 式)注1
入
貿易Éサービス収支
所得収支
前年同
前年同
百万ドル
月比%
月比%
経常収支
億
投資収支
外貨準備高
外貨1米ドルあたり(東京市場)
資本収支 (年月末) 直物終値
月中最安値 月中最高値
注2
百万ドル
円
円
平成13年
▲ 15.7
405,152 ▲ 7.9
351,110 32,120
84,005
106,524
▲ 58,264
▲ 61,726 401,959
131.47
131.89 113.57
平成14年
415,876
2.6
▲ 4.1
336,830 64,691
82,666
141,397
▲ 80,559
▲ 84,775 469,728
119.37
135.04 115.63
平成15年
469,858
13.0
381,533
13.3
83,552
82,814
157,668
82,012
77,341 673,529
106.97
121.48 106.93
15年11月
41,655
9.9
32,584
6.4
8,820
6,657
14,917
7,066
6,926 644,569
109.34
111.02 107.87
45,639
22.7
35,274
14.8
8,766
4,348
11,966
17,289
16,821 673,529
106.97
110.04 106.93
12
40,026
24.5
35,293
12.8
3,110
7,728
10,785
56,722
56,519 741,266
105.88
108.30 105.53
2
44,987
24.1
31,751
11.5
13,170
8,676
21,494
21,569
20,808 776,857
109.08
109.70 105.30
3
49,862
22.5
39,632
21.7
11,305
9,138
18,415
38,239
36,935 826,577
103.95
112.30 103.75
4
48,049
24.7
37,933
20.0
7,575
8,496
15,467
▲ 21,834
▲ 21,971 814,969
110.44
110.57 103.68
5
42,667
17.3
34,361
12.8
8,752
8,857
17,123
▲ 13,089
▲ 13,100 816,848
109.56
114.80 108.64
6
47,630
26.7
37,319
22.4
9,789
3,663
12,829
▲ 2,996
▲ 3,164 817,951
108.69
111.37 107.05
7
48,804
24.4
38,384
17.8 P
9,231 P
▲ 10,365 P ▲ 10,489 819,203
7,890 P 16,334 P 111.67
112.23 107.56
8
43,359
19.4
38,154
28.2 P
5,291 P
▲ 19,739 P ▲ 19,831 827,954
9,705 P 14,470 P 109.86
112.10 108.95
9
49,792
20.2 r 38,559
20.3 P 10,600 P
▲ 7,895 P ▲ 8,115 830,992
7,526 P 17,443 P 110.92
111.73 108.96
10
P 49,650
12.8 P 39,139
13.9 P
8,164 P
▲ 6,323 P ▲ 6,550 837,878
5,934 P 13,367 P 105.87
111.44 105.80
11
―
―
―
― 840,087
103.17
107.13 102.15
16年1月
調査機関
―
財
務
―
省
―
財
―
務
―
省
注1.発表形式の変更により項目を改定。および単位を円ベースに変更。なお、計数はN及して変更済。
注2.平成7年2月以前は終値ないし15時30分時点の出来値、それ以降は17時時点の気配値ベース。
66
福島の進路17.2
財務省
日
本
銀
行
「新春講演会」のお知らせiü곿j
当研究所では財団法人福島県産業振興センターとの共催で、下記講演会を開催しま
す。みなさまのご来聴をお待ちしております。
と
き
水
平成17年2月23日ò
午後1時30分∼3時
(12時30分開場)
ところ
ホテルハマツ
テーマ
「日本の再生
3階
桜の間
∼21世紀の日本社会に向けて∼」
講
師
元経済企画庁長官
福山大学一般教育部教授É「民権塾」主宰
田
中
しゅう
秀
せい
征 先生
■主な著書
■プロフィール
「田中秀征の論跡」
(近代文芸社)
1940年(昭和15年)長野県生まれ。
「時代を視る」「民権と官権」
東京大学西洋史学科、北海道大学法学部卒。
(ダイヤモンド社)
1983年衆議院議員に初当選。
1993年6月に新党さきがけを結成、代表代行に。 「日本の連立政治」
(岩波ブックレット№434)
細川政権の発足に伴い、内閣総理大臣特別補佐。
「舵を切れ−質実国家への展望」
第一次橋本内閣で経済企画庁長官。
(朝日新聞社)
1999年(平成11年)10月より一般の方を対象に
「梅の花咲く−決断の人É高杉晋作」
「民権塾」を開塾。
(講談社 平成13年4月20日発売)
å
編 集 後 記
å
中山文部科学相が、子どもたちの学力低下問題に関連して、国語、数学などの主要
教科の授業時間を拡大したい意向を明らかにしたことが、教育現場などに波紋を広げ
ているようです。文科省が推進してきた「ゆとり路線」が「学力重視」へ大きく転換
されることになるわけですが、「ゆとり路線」が学力低下の主因なのか、また路線転
換が子供たちにとって良いことなのかなど、十分検討する必要があるのではないで
しょうか。
今回の主要教科の授業時間拡大にあたっては、「総合的な学習の時間」の削減や土
曜日の授業の復活なども検討されているようですが、そもそも、これらは体験学習の
充実やつめこみ教育の是正などを目的として決められたはずです。それが、子どもた
ちの学力が低下してきたからといって、すぐに方向転換するというのはいかがなもの
でしょうか。
少子高齢化が叫ばれる時代にあって、日本の将来を担う大切な子どもたちです。
Ã朝令暮改Äしない教育制度や教育環境の整備が急務となっています。
(木幡)
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