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開会式 - 長野県教育情報ネットワーク

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開会式 - 長野県教育情報ネットワーク
第43回全国国際教育研究大会長野大会
開会式
開式の言葉
丸野良督
大会副会長・長野県下高井農林高等学校長
全国各地から、本日はようこそ信州へいらっしゃいました。
皆さんは、信州と言えばさぞかし涼しいかなと期待してきたと思いますが、残念なが
ら信州も暑いのです。ただし、夜は若干涼しいかなと思います。
ところで「日本地図」これをちょっと頭に想像してみてください。一番多く他県と接
している県はどこでしょうか。お分かりでしょうか。そうです、長野県なんですね。長
野県はそれだけ異文化と接する機会が多いのです。と言うよりは、異文化が融合して長
野県が出来たと言ったほうが良いかもしれません。
本大会は、そんな長野県の特徴を生かした大会になることを願っております。それで
は、これより第43回全国国際教育研究大会長野大会の開会式を始めます。
主催者あいさつ
北原光博
大会会長・長野県高等学校国際研究協議会会長・長野県上伊那農業高等学校
長
皆さん、おはようございます。
昨日は二十四節気の処暑でした。しかし自然は暦通りには行かず、残暑の厳しい日が
続き、従って「爽やかな初秋の風が吹く高原の町」というイメージには程遠いわけであ
りますけれども、何はともあれ全国各地からこの信州駒ヶ根においで戴き、歓迎を申し
上げます。
昨年宮城大会からバトンを受け、以来長野県下加盟校十三校という小規模な組織の中
で、力と情熱を出し合って精一杯準備をして参りました。しかしながら何かと不行き届
きな点も多々あろうかと思いますが、ご参加された皆様のご協力をいただきながら、充
実した二日間にしていただければ幸いであります。
本大会は昭和三十九年の東京オリンピックの年に第一回が開催され、本年で四十三回
目を数える長い歴史と伝統のある大会ですが、この間国内における経済・社会の発展は
もとより、国際情勢の変化とともに、学校教育に位置付けられた国際教育もまた大きな
変容を遂げてまいりました。
ここ長野県においても最近の出来事を拾ってみますと、平成十年の冬季長野オリンピ
ックや昨年春のスペシャルオリンピックスなど、世界からの選手やお客様を迎え大きな
大会を感動のうちに成功させ、その後もこれらに関わる継続的な交流活動が盛んに行わ
れています。
一方、この伊那谷一帯は諏訪地方を起点に日本経済の中でも地域性を生かした精密機
器関連産業が早くから卓越し、従って海外との人事交流もたいへん盛んな地域となって
おります。この南信州には現在一万二千人近くの外国籍の方々が住み、地域の皆様とと
もに生活を営んでおられます。
こうしたことを背景にして、この長野大会のテーマは「グローバル社会における異文
化理解と共生
地域からの発信」とさせていただきました。
次に、昨今の報道や社会情勢に目を向けてみますと、エネルギー事情や異常気象、一
昨年の新潟やスマトラ島沖地震に代表される自然災害、水や食料、更には感染症の問題
など、これらはみな国境を越えて、全地球的な視野を持って対処していかなければなら
ない問題であることはもちろん、加えて日本では人口の減少が将来の大きな不安要素と
なってクローズアップされています。とりわけ国際社会におけるわが国の将来を展望す
るとき、人口問題は経済産業や福祉政策に大きく関わると同時に自立を基本にしながら
も共生の方向を築いていかなければならない重要な課題であります。例えば去る六月、
国連のアナン事務総長が国連総会に提出した移民報告書では、日本の労働力に占める外
国人の割合は0.3%、先進国と言われる二十五ヶ国中最も低い国であるというふうに
述べています。このことの是非についてここでコメントを差し挟むことは慎むとして、
いずれにせよ、将来身近なこととして避けて通れない日が来ることは明白でありましょ
う。
このように生活環境の大きな変化の中で、私たちは日々の地道な活動を通して、徐々
にではありますが多くの実績を築いてまいりました。
しかしながら、今後更に私たちが学校教育の中で取り組むべき方策や目指すべき方向
性を模索するために、言い換えれば、真の国際教育あるいは異文化共生社会のあり方な
ど、これらを多元的に解決していくヒントがこの長野大会を通じて多少なりとも見えて
くるならば、たいへん喜ばしいことであると思っています。
今大会が有意義な研修の場になりますように、重ねて皆様のご協力をお願いいたしま
す。
最後になりましたが、本大会開催にあたり、外務省・文部科学省・日本国際協力セン
ター・国際交流基金・長野県教育委員会・JA長野中央会・駒ヶ根市・伊那市・南箕輪
村・宮田村・飯島町・飯田市およびそれぞれの教育委員会様等々多くの団体の協賛を賜
り、この大会を実施することが出来ますことを、心から感謝を申し上げ、歓迎のご挨拶
といたします。
主催者あいさつ
長谷川賢
全国国際教育研究協議会会長・東京都立神代高等学校長
おはようございます。
まずこの会場にこのようにたくさん集まってくださいました、全国からそして特に長
野県駒ヶ根市・伊那市等をはじめとしてこの地域の人たち、特に私はこんなに多くの高
校生の皆さんがおいでくださったことに、心から感謝申し上げます。そしてまたこのよ
うな多くの人たちの参加を準備してくださいました長野県の研究会の皆様方に、感謝申
し上げたいと思います。
さて、こんな場で極めて私事を申し上げるのは気恥ずかしいんですけれど、数日前、
私に中学一年生の息子がいるんですけれども「父ちゃん将棋しよう」って、私と将棋を
指そうとしたんですが、そのときに息子が将棋版を用意したりするのと併せて氷の入っ
た冷たい麦茶を、自分の分と私の分と持ってきました。その気持ちっていうのは、まあ
親父に将棋を指してもらうんだから「やってもらう」っていうふうな気持ちもあったか
もしれませんが、冷たい麦茶を持ってくることによって私が「ああ、ありがとう」と思
う、そして笑顔を子供に見せる、そこに息子は喜びを感じたのではないかなと、勝手に
私は思いました。
国際教育とか国際協力とか、そして今回のテーマとなっております「グローバル社会
における異文化理解と共生」というこの言葉、とりわけ異文化理解と共生、「共に生き
る」に示されているところは、相手の人が喜ぶ姿をみて自分も喜べる、そこにあるので
はないかなと、私は思います。
日本が世界の国々に対して、あるいは世界の人々に対して貢献をするというその言い
方の中に、私は基本的にはそれぞれの個人個人が自分の国と違う人の文化を理解し、そ
して自分が何かしたことによって相手の人が喜ぶ、その姿を見ることこそが自分の喜び
になる。これが、今回のテーマにもなっている共生というところの、基本的な意味では
ないかと、私は考えております。
今回の大会テーマであります言葉の中に、最後に「地域からの発信」という言葉がつ
いております。これは、今日明日の大会をご覧いただければわかりますように、まさに
この長野県の人々がこの地域から今私が申し上げたような異文化理解や共生に向けて
何をしていったらいいか、何をしていくかという、そういうメッセージが多く発せられ
ているように私は理解しました。
この後弁論大会があってそれぞれの高校生の皆さんが、あるいは留学生の皆さんが自
分の考えをいろいろと発表してくださいます。そこにもやはり相手を理解しそして相手
が喜ぶ、その姿に自分自身が喜びを見出す、そういう姿が見られるのではないかと期待
しております。
最後になりますが、今大会会長の北原先生がおっしゃいましたけれども、この大会に
あたって多くの省庁・団体から後援をいただき、また協賛をいただきました。高いとこ
ろからではございますが、御礼申し上げます。
では今日と明日、貴重な時間を割いてこの大会を準備してくださった方々、そして参
加してくださった方々が実りあるものになりますように祈念しまして、あいさつといた
します。ありがとうございました。
ご来賓祝辞
杉田伸樹
外務省国際協力局審議官
皆様おはようございます。第43回全国国際教育研究大会がここで開かれるというこ
とでお祝いの言葉、そしてご挨拶を申し上げたいと思います。
この長野、しかも駒ヶ根で開かれるということで、実は駒ヶ根には皆様ご承知のとお
りJICAの研修所がございます。実は昨日、わたくし少し早く着きまして、午後そち
らのほうを見させていただきました。
見させていただきまして二つのことを考えました。一つはたまたま研修所でやってい
た、シニア海外ボランティアというのがございまして、これは日本での経験を持ったシ
ニア、四十歳以上の方々を海外に送るという事業でございますけれども、それに参加さ
れる方々のための研修を行う、これは今までは合宿形式ということでは行ってこなかっ
たということで、今回が初めての合宿形式で研修を行いました。参加されている方が百
三十四名で、平均の年齢が五十八才ということで、四十歳からいちばんお年を召した方
が六十九才でございます。これを考えると、実は国際的な協力事業というのは日本国民
の年齢層の広い層に渡って行われている事業であるということでございます。つまり国
際協力の考え方というのは若い人だけでもない、歳をとった人たちだけでもない、どん
な方でも行える事業であるということ、それから特に若い人にとっては、若いときの国
際協力の経験というものが歳を取っても役に立つのではないかなと思います。そういう
意味での国際協力の重要性というのが分かったのではないかなと思います。
この研修所は出来て約四半世紀で、ご説明を伺いまして非常に強調されておられまし
たのが地元でのサポート、市長様をはじめとする市民の方々のサポート、毎年一回フェ
スティバルのようなものを行うというようなことで、地域でのサポートというのが非常
に役に立っている、それが励みになっているということもお聞きしました。
もう一つ考えたことで、外務省、外交活動をしているわけでございますけれども、い
ろんな事をやっております。ただ、外交活動というと外国と話をするですとか交渉する
だけのように思われているわけですけれども、実はそうではなくて、外交活動を支える
ためには国内でのサポート、特に国民の皆様方の理解を得るということが非常に大事な
のではないかなと思います。こちらの駒ヶ根市での研修所の活動、そしてそれに対する
地元でのサポートというのが、非常に私どもにとっては嬉しいし、ある意味では外交活
動全体に対して非常に大きなサポートになっているのではないかなと思います。
外務省は今言いましたとおり国際情勢、あるいは外交活動に対して理解を深めていた
だくということでいろいろとやっております。今日の資料の中にこのような一枚紙「外
務省の広報活動のご紹介」という紙をお配りしてございますけれども、小・中・高校生
に対しても外務省から若手の職員を派遣して説明する、あるいは外務省に来ていただい
た方々の訪問を受け入れる、それから資料の配布というようなことを行っております。
そういう意味で国際理解の教育ということでも役立てていただけたらなと思っており
ます。
今申しましたとおり二つのこと、一つは国際協力ということはいつまでたっても役に
立つものであるということ、それから国際協力に対しての国民のサポートというものが
非常に大事だということを、今回こちらに来て感じました。
これからいろいろなこの大会でのイベントがあるわけでございますけれども、そうい
ったことを参加者の方々にも考えていただけるとありがたいなと思いまして、甚だ簡単
ではございますけれども私のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございま
した。
ご来賓祝辞
太田光春
文部科学省初等中等教育局教育課程課
究所教育課程研究センター
教科調査官
兼
国立教育政策研
教育課程調査官
おはようございます。
私原稿を用意してきたんですけれどね、今日の会場を見てみると高校生の方が非常に
多いってことで勇気がいることではありますがこの原稿をしまいましてですね、皆さん
方に語りかけてみたいと思います。
今回のテーマ「グローバル社 会における異文化理解と共生
地域からの発信」
、皆さ
んなりに考えてみましたか?「異文化理解と共生」って、すごく難しそうな気がします
よね。「グローバル社会」って言ってもピンとこない、ひょっとしたらまだ海外に行っ
たこともないかもしれないですね。難しく考える必要 はないんです。大事なことは、
まず、「違いがある」というふうに思わないことですね。よく外国の人たちなんかと接
してみるとですね、違いの多さよりも、同じことの多さに驚きます。きっと皆さんも将
来そういう経験をされる、だから、何もびっくりする必要はない。まず、同じ人間であ
る。喜びも悲しみも同じように分かち合う。そういうことを先ず踏まえた上で、違うこ
とに敬意を払えるかどうかなんですね。どっちの価値がどっちより優れているとか劣っ
ているとか、そういう考え、尺度ではダメなんですね。
じゃあ、地域からの発信ということで考えていきますね。何ができるんだろう。国際
社会で活躍するっていうんだったら、英語に堪能で、流暢な英語で、世界の一線を駆け
ずり回っていなくちゃいけないのか。あるいは他の言葉を駆使して、世界中を渡り歩い
ていなくちゃいけないかって、そうじゃないですね。
ICTの発達などによって、もう瞬時にして世界の人とやり取りができます。海外の
ニュースも伝わってきます。それだけでなく、例えば地球のこの、長野県でやっている
ことが、世界中に影響を及ぼすこともありますね。長野とは言いませんけれども、例え
ばどこかで火山が爆発すれば、世界中に影響があるでしょう。例えばCO2の問題でも
そうですね。そういうことを、自分たち一人一人が心がけていけば「世の中変わるんだ
な」って思えることがあるんです。
高校生に話しかけたいと思ったのは、高校時代にぜひ、3つやらなくちゃならないこ
とがあるんですけれども、それは何かというと、先ずしっかり勉強することです。勉強
っていうのは、たくさんやってみないと「食わず嫌い」という言葉がありますけれども
本当に好きなのかどうかわからない、英語なんか特にそうで、好きになるまでに実は本
当に苦労しなくちゃいけないんですね。でも苦労して身につけた後はすごく世界が広が
る、そして自分の人生を豊かにするものであると気づくんですけれども、単語を覚えた
りとかいろんな口慣らしをしたりとかすると嫌になってしまう。しっかり我慢をしてや
って欲しいと。他の教科もそうなんです。いろんなものは、実は「嫌いだ」という前に
しっかり勉強して欲しいなと。
文部科学省はこれを「確かな学力」と言っています。「確かな学力」っていうのはテ
ストで測れる力だけじゃなくって自分で「何が問題なのかな」と考えたり、あるいは人
と話し合ってどうそれを伝えていくかという表現力とか思考力とか、いやここではもう
判断すべきなんだと判断する力とか、そういうものも含めて人間の大事な力なんですね。
学校のテストの順位が何番…気にしなくていいです。それは人間の一面的な能力であり、
皆さんを輝かせているのはテストで測れる力だけじゃなくて、それ以外のことがいっぱ
いある。ただ、そういうものを磨いていくためには、努力しなくちゃいけないんですね。
ですから先ず「確かな学力」というものを身につける。
それからもう一つ、もっともっとこれは大事になってくるかもしれません。学力があ
っても、自分勝手な人は人と協調できない。今回のテーマでもそうなんですけれどね、
要するに先ず一番大事なことは、自分が本当に大切だと思えるかどうか、皆さん自分の
ことを大切にしてますか?大切だと思ってますかね?自分のことを大切だと思うくら
い、目の前にいる人達のことを大切だと思おうとしているでしょうか。
ひょっとして「自分はこんなにいろんな事をみんなに言ったりアピールしているのに
誰もわかってくれない」って叫んでいないでしょうか。大事なことは、先ずみんなが何
を考えているんだろう、みんなはどういう気持ちなんだろう、じっくり耳を傾けること
です。そして、そういう耳を傾ける中で自分はどうなんだろう、自分はどうしたいんだ
ろう、友達が何かを買ったから私も買おう、今何々が流行しているらしいからこれをこ
うしてみよう。こういう考え方ではなくて、私の信念として、私の生き方としては例え
ば嘘をつきたくない、あるいは人を悲しませたくない、何かいくつかあるはずです。そ
れを紙に書いてみてください、三つくらいね。で、それに従って行動してください。流
行っているから、親が言ったから、先生が言ったから、友達が三人やったから私もこう
したい、ではなくて私はどう生きていきたいのか。そういうふうにしながら、自分は大
切な人間であり世の中のかけがえのない一員である、それが自覚できたら、国際貢献で
きます。地域からの発信もできます。それは間違いないことなんです。
皆さんの一人一人が、例えばクラスという単位で考えたって、自分はひょっとしたら
クラスであんまり必要とされていないって誤解している人がいるかもしれないけども、
君一人がいないだけでクラス全体が悲しくなる、学校全体が悲しくなる、親も悲しくな
る。君一人がいることで、別に話しかけなくっても、話をしなくてもみんなホッとして
いられる部分がある。そしてその中で何かすることによってそれは the ripple effect
(波及効果)って言いますけど、輪となって池に投げた水の波紋のようにですね、必ず
影響している。だから、君たちの存在っていうは非常に大事なものである、それを信じ
て欲しいし、それを信じて、一つ一つ自分で良く考えて行動することが国際貢献につな
がるし、異文化理解とか共生にもつながるってことです。
もう一つ大事なことは、いくらすばらしい頭脳を持ち、学力を身につけ、そして心も
豊かになったとしても、健康が優れなかったらうまく発揮できませんよね。今日は頭が
痛い、おなかが痛いっていうと、普段何かできる人でもできないかもしれない。そうい
う意味では自分の健康維持っていうのもしっかり考えて欲しいんですね。
三つ言いました。要するに学力と、豊かな人間性、こころと健康、体力。この三つを
バランス良く自分で育んでいくことが世界に貢献する第一歩であると、そう信じてがん
ばって欲しいと思います。ヘレン・ケラーの言葉を引用しますと、
so little. Together, we can do so much.
。高校生の人がたくさんいます。寝ない
ように、ちょっと私の後でリピートしてくれますか?できますか?
so little.
Very good.
Alone, we can do
Alone, we can do
Together, we can do so much.
はい、皆さんの元気を聞いてですね日本の未来は明るいなと思いました。ぜひがんば
って欲しいと思います。繰り返します。自分は世の中の大切な一員であるということを
信じること、それからしっかり勉強すること、いいですか?
では今大会が成功になりますよう祈念しております。
この大会の準備にあたられました長野県を始め関係者の皆様にこころから感謝申し
上げまして、私のお祝いの言葉とさせていただきます。どうもありがとうございました。
ご来賓祝辞
加藤高史
JICA駒ヶ根青年海外協力隊訓練所長
皆さんおはようございます。
JICA駒ヶ根訓練所の加藤でございます。よろしくお願いいたします。
はじめに、第43回全国国際教育研究大会長野大会が、このように盛大に開催できま
したことを皆様とともに喜び合いたいと思います。また本大会の運営を担当された役員
の方々、実行委員の方々、本当にご苦労様でございます。
異文化理解と共生というのが今回のテーマでございますけれども、私たちは周囲を見
回すと、外国人の方々がどんどん増えている。そしてまた、日本全体が生活面・政治面・
経済面でもどんどんどんどん世界に取り込まれていっております。これを「グローバル
社会」と言っておるわけですけれども、そんな中で私たちは世界の人々とともに向き合
い、ともに生きていく必要がございます。
そこで、世界のたくさんの国がございますけれども、それらの国は、人々で構成され
ています。その国の人々の考え方や文化、そして伝統をきちんと、正しく理解して受け
入れることが大切です。最終的には日本に住んでおられる外国人の方々が「日本に住ん
で本当に良かった。日本は閉鎖的だと聞いていたけれど非常にフレンドリーで、とても
親切だ」ということで、最終的に「この日本にずっと住んでみたいなあ」と思えること
は非常に大事なことだと私は思っております。
私はJICAで働いている以上、アフリカに3回、それからネパール・バングラデシ
ュに合計14年間、開発途上国に住んできましたけれども、それらの国の中で、やっぱ
りこの国は将来住んでみたいなあと思える国がありました。そのように外国人の方が日
本に住んでいて最終的に思えるかどうかこれは、日本に住んでおられる皆さんの若い
方々、そして私たちのおいさん、おばさんがきちんと、そういう一人一人の心がけと気
持ちがなければ成しえないものでございます。
そういった意味で本日開催されました全国国際教育研究大会長野大会のような行事
の一つ一つが、皆さんの心がけと気持ちに大きな良い影響を与えることを期待している
次第でございます。皆様ぜひ今日はがんばってください。
私のあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
ご来賓祝辞
富岡順一
独立行政法人国際交流基金
文化事業部長
皆様おはようございます。
ただいまご紹介いただきました国際交流基金の富岡でございます。
まずはじめに、第43回全国国際教育研究大会長野大会の開催を心からお喜び申し上
げます。また、今回ここ長野県での大会の開催に向けましてご尽力されました関係者の
皆様の熱意に対しまして心から敬意を表したいと存じます。
皆様この国際交流基金という名前を聞きまして「あ、聞いたことがあるな、でも何す
るところかな」とあまり知られてないというところがあるかと思います。国際交流基金
は海外との文化交流を通じまして、国際相互理解と国際友好親善を促進するということ
を目的として一九七二年に設立されました。特に日本文化を海外に紹介するということ
が重要な仕事になっております。
国際交流基金の海外との文化交流事業におきましては、日本研究、それから日本語教
育、学術、芸術、出版、映像、メディア、スポーツ、生活文化と非常に幅広い分野にわ
たっております。特に日本語教育におきましてはですね、全世界で日本語検定試験とい
うのをやっております。これが毎年受ける人が二〇%、三〇%増えて、昨年度も十五万
人近い方が世界中で日本語の検定試験を受けているということで、日本語を喋る海外の
方が増えて日本を知って日本にやってくるということで、皆さんの身近にそういう方が
やってくると思います。
最近では、国際交流基金は若い方たちの文化交流や青少年の国際理解促進にも力を入
れております。今年、特に中国との交流を強化するということで日中交流センターとい
うものを発足させました。同センターでは三つの事業があるのですけれども、そのうち
の二つが中国からの高校生留学招聘ということで、今年の九月に約四十名の高校生が三
ヶ月から一年間の留学ということで日本に来ております。
それから、市民交流担い手ネットワークの構築ということで中国からの高校生の長
期・短期留学の受け入れ、日本国内での在日中国人留学生、中国国内での日本人留学生・
在留邦人を中心に日中間の架け橋になっていただく人々、そういう方たちが行う文化活
動を含めて支援を行っております。
また、私がおります文化事業部の市民青少年交流課というところ、そこでは様々な文
化交流を、人と暮らしということを視点に裾野広く展開しています。市民参加型の生活
文化活動や街づくり、市民レベルでの対話と協働をキーワードとした国際交流事業への
助成、異文化理解への促進をはかるための市民向けの講座、セミナーの実施など、幅広
く市民の方、若い方たちに向けての事業を行っております。
それから青少年の国際理解の促進ということも重要な事業の分野の一つで、本研究大
会の開催にはこうした青少年の交際理解の促進という点で大いに我々にとっても意義
がある大会であるということで、従来よりご協力をさせていただいております。
特に今回はテーマとして「グローバル社会における異文化理解と共生
地域からの発
信」が掲げられていると承っていますけれども「異文化理解と共生」の視点、そして地
域での国際教育の促進にかかわる様々な活動との連携という視点は、今述べてきました
ように国際交流基金にとっても非常に重要なものと考えております。
ということで今まで以上に積極的に各地域における国際交流活動や国際教育活動に
対して連携を深めていきたいというふうに考えており、その方策を探しているところで
ございます。
国際交流基金の現場でも、政府を飛び越え地域同士の直接交流が増えてきています。
このように国際交流の活動が地域活動として深化することに伴い、若い方々の芽を開い
ていくような国際理解教育の活動が持つ意義がますます大きくなりつつあると思いま
す。
国際交流基金は主として海外における日本への理解を促進することを目的に活動し
ていますけれども、日本国内での国際理解教育の活動ということも、両方ができて初め
て本当の意味の国際交流になるということで毎日活動しています。国際教育の重要な任
務にあたる今日ご出席いただいている先生方が、今回のこの大会での成果をもとにこう
した地域・学校間の連携にいっそう力を注がれ、学生の皆さんもこうした視点から自分
ひとりで考えるだけでなく、地域との連携も踏まえた国際理解のための取り組みに関心
を寄せていただければというふうに思っておりますし、希望しております。
今回の大会では高校生の皆さんの英語弁論大会、留学生による日本語弁論大会、池田
香代子先生による講演会、そして明日には「学校現場に活かす国際理解教育とは
実践
活動からの提言」というテーマでシンポジウムも開催されるということを伺っておりま
す。特に弁論大会につきましては、私は昨年の大会にも出席いたしましたけれども、出
場された方々は高いレベルの語学力と、語学力だけでなく鋭い観察力に本当に驚かされ
ました。今年も出られる高校生・留学生の諸君の主張に耳を傾けることを楽しみにして
おります。
また今回の大会が、国際理解教育の更なる発展に繋がりますよう、願っております。
以上簡単ですけれども、本日のごあいさつとさせていただきます。ありがとうござい
ました。
ご来賓祝辞
佐藤恒雄
財団法人日本国際協力センター
中部支所長
皆さんおはようございます。
ただいまご紹介戴きました日本国際協力センター、英文名称ではJICEと申します。
JICAとちょっと似ておりますが、JICEという団体でございます。JICEの佐
藤でございます。
信州駒ヶ根の地におきまして第43回全国国際教育研究大会長野大会のご開催、たい
へんおめでとうございます。このように大勢の先生方、生徒さんがお集まりでございま
すが、皆様の国際理解に対する意気込みといいますか、そういったものを感じておりま
す。
私事で恐縮なんですが、この駒ヶ根には実は思い出がございまして、今を去る二十六
年前になりますが、こちらのJICAの駒ヶ根訓練所、当時は青年海外協力隊訓練所と
申しましたが、二ヶ月半ほど私も派遣前訓練を受けまして、協力隊員としてここ駒ヶ根
の地からマレーシアのジャングルに飛び立っていったという思い出がございます。今日
この地でこうして開催されます大会にご出席させていただくというのに、不思議な縁を
感じております。
さて、JICEというのがどういう団体だろうということで、なかなか知っている方
は少ないのかなと思いますので簡単に説明しますと、私どもはわが国の国際協力の推進
に貢献するということで、ちょうど三十年前の一九七七年に設立されまして、以来主に
JICAの受け入れる技術研修員の研修支援を中心に、国際協力事業に関する知識の普
及や開発協力など、国内におきまして日本の国際協力事業の、特に国内の現場での仕事
に携わってきています。
それから、こちらの全国国際教育研究協議会の皆様との関係でございますが、これは
長く開発教育という場面において、お互いに協力したり連携させていただいているとい
う間柄でございます。最近では私どもJICEが開発教育の一環として独自に行ってい
ます「海外高校生エッセイコンテスト」という、東南アジアの国を対象にやっているの
ですが、この優秀者を本邦に招聘するというとき、海外の高校生の皆さんをどこの高校
にお連れして交流してもらうかというようなときに、協議会の方々にご条件、それから
ご協力をいただいているという間柄でございます。そういうお付き合いをいただいてい
る中で、私ども皆様方にこれからもどういうことでお役に立てるのであろうかというこ
とを考えてきております。
私ども国内で国際協力の現場に携わってきているということで、日本の国内でも国際
協力−国際協力といいますとややもすると海の向こうのことを想起しがちですが国内
にもありまして、そういった国内の現場での経験をご紹介するということがこれから国
際理解、国際協力に関心をお持ちの方々にお役に立てるのかなと考えています。
先ほどちょっと申しましたように、JICEがJICAの研修事業、国内において支
援していると申しましたが、この研修員は毎年八千人くらい日本に途上国から来ており
ますが、国づくりを担う途上国の方々が日本の技術や制度を学ぶということで日本に来
ています。JICEではこういった現場に通訳ですとか、研修がうまく進むようにとい
うことで研修管理員というスタッフを配置しています。
この研修管理員というのは語学のスペシャリストということですが、主に研修の講義
や実習の場面において講師と研修員のコミュニケーションの仲立ちを行っています。コ
ミュニケーションの仲立ちというのは通訳ということですが、これは単に流暢に通訳す
るということではなくて、講師の伝えたいことをちゃんと研修員に理解してもらうよう
に表現を変えたり言い回しを変えたりして、いろいろと分かるようなことをやっていま
す。時にはその技術や制度っていうのは日本の社会とか価値観といったものに関係しま
すが、背景となっている日本の社会や文化、日本人の価値観、日本人の心、こういった
ものをよく説明して技術や制度がどうしてそうなっているんだろうというようなこと
を伝えながら、研修員の理解を深めるというしごとをやっています。
また一方で研修管理員は研修員の国の事情ですとか、文化・宗教などについても勉強
してまして、そういったことを講師や関係者に伝えて、研修が効果的に行われるように
日々努力をしております。
こういう意味では、研修管理員が研修員や日本人関係者の間での異文化理解というこ
とを行っているのかなというふうに考えています。この研修管理員というのはJICE
全体では千六百名ほど、二十九の言語で日本人・外国人の方々、いろいろとおります。
もし皆様が、国際協力・国際理解ということで、JICEのこういった活動や研修管理
員のことの話も聞いてみたいなというようなことがもしございましたら、ぜひとも私ど
もにお声をかけていただいたら何らかのお役に立てるのかなと思っています。
ある大学では、こういった我々の活動に着目していただきまして、半年の国際理解講
座というのを担当させていただいていますが、今言いました研修管理員などを中心に講
師となって、現場の経験を伝えて学生さんたちにいろんなことを伝えて参っております。
こういった実績もございますので、どうぞ何かありましたらお手伝いできると思います。
最後になりますが、この大会が成功裏に終わり、伊那谷の地から、国際理解教育に関
するすばらしい情報が世界に向けて発信されることを願いつつ、ごあいさつとさせてい
ただきます。どうもありがとうございました。
ご来賓祝辞
後藤正幸
長野県教育委員会
教学指導チーム
チームリーダー
第43回全国国際教育研究大会長野大会が本件はここ駒ヶ根市で盛大に開催されま
すことに、心からお祝いとお喜びを申し上げます。
東京オリンピックが開催された一九六四年の、開催されましたその同じ十月、わたく
し中学三年生でございましたが、神戸市移住センターにおいて第1回全国大会が産声を
上げ、本日43回を迎えられた本研究会が、その時代と国際社会の流れの中での要請に
こたえながら、発展的に今日に至っていることを、認識しているところでございます。
関係者の皆様のご尽力に、心から敬意を表する次第でございます。
長野県における外国人登録者数も、平成十七年度には国際チーム調べでございますけ
れども四万五千人と、過去最高になりました。その中で長野県公立高等学校におきまし
ては留学や海外短期研修に二百七十四名の生徒が参加し、外国からは六十二名を受け入
れておりますとともに、海外へ修学旅行や研修旅行を企画し、国際交流に力を入れてい
るところでございます。
長野県教育委員会といたしましても、本年三月、高校生台湾短期研修に十六名を派遣
いたしました。また、六月にはモンゴル・タイ・中国から八名の高校生・留学生を招聘
いたしました。この皆さんは、二ヶ月の日本語研修を終えまして、実は今週月曜日から
長野県内の高等学校で日本の高校生とともに、学校生活を送っております。
また先月七月には、中国河北省との短期高校生交換研修も実施したところでございま
す。
本研究会がかつて全国高等学校国際教育研究会と名称を新たにした一九八五年の前
の年、国際ペン東京大会が開かれております。当時日本ペンクラブ会長でありました作
家の井上靖氏が基調演説を行っておりますけれども、その言葉を思い出しております。
「もう、自分の国だけの平和と繁栄を求める時代は終わった。他の国が平和と繁栄を持
たずして、どうして自分の国だけが平和と繁栄を持ち得よう」と述べられました。
この二日間の本研究会が、全国、県内各地からご参加いただきました高校生・教職員・
関係者の皆様お一人お一人にとりまして心ゆくものになりますように、心からお祈りし、
お祝いの言葉とさせていただきます。
ご来賓祝辞
中原正純
長野県駒ヶ根市長
全国各地から、かくも多くの皆さん方を駒ヶ根市にお迎えすることができました。ご
来旨賜りました皆様方を、市民の皆さんとともに、心より歓迎申し上げる次第でござい
ます。
また、意義深い本大会を当市において開催していただきまして、たいへん光栄に存じ
ております。
さて、お迎えいたしました駒ヶ根市のキャッチフレーズは「アルプスがふたつ映える
町」であります。これは中央アルプス・南アルプスをはじめとする豊かな自然や景観、
これは市民共通の財産であり、天与の恵みである。これからの地域づくり街づくりを進
めていくための大きなポテンシャルである。このことが、市民の共通した気持ちでござ
います。
特に先ほどもご紹介戴きましたように、青年海外協力隊訓練所が駒ヶ根市に所在する
ことによりまして、地域住民の皆さん方が自主的に、主体的に国際交流・国際協力に向
けて積極的な努力を重ねてきているところでございます。
駒ヶ根市の友好都市は、途上国でありますネパールの第二の都市ポカラ市であります
が、国際協力友好都市提携を結んで既に五年になりますので、本年は今までの交流の積
み重ねの上に立って、市民の皆さんとともに三十名ネパール王国を訪問して、国際交流
を深めてきたい、かように考えているところでございます。
それにつけても先程来ご挨拶にありましたように、国際化やITをはじめ高度情報化
が急激に進展してきておりまして、まさにグローバルでボーダレスの時代に入っており
ます。
このことは真の国際理解を深め、国際交流を進めていく上で、私は大きな懸念材料で
もあるというふうに受け止めているところでございます。人と人とが心を通わせ、人間
関係を作ってお互いに係わり合いを持ちながら異文化を理解していく、そういう心が必
要な時代だと考えております。
そういう意味で、本日のこの意義ある大会が実りある大会として発展し、ここ駒ヶ根
から全国に、あるいはまた世界に向けて情報発信することを、心から期待申し上げまし
て歓迎のご挨拶にさせていただきます。今日はたいへん、おめでとうございます。
司会:ご祝辞をいただけなかったご来賓の皆様は、ここでご紹介のみさせていただきま
す。独立行政法人国際交流基金市民青少年交流課長・田村寿浩様、長野県教育委員会高
校教育指導ユニット教育指導主事・笹行夫様、前全国国際教育研究協議会会長
前東京
都立成瀬高等学校長・豊田岩男様。
功労者表彰・答辞
豊田岩男
前全国国際教育研究協議会会長・前東京都立成瀬高等学校長
皆さんこんにちは。おはようございます。
私は過去三年間、全国大会で言いますと熊本大会・神奈川大会、それから宮城大会と
三回にわたりまして私の会長の時代にやってきました。その都度各地域の国際協力の現
状がいろいろ行われるようになっていることを学ぶことができまして、本当に参考にな
り、勉強になりました。
今回は長野県、それも駒ヶ根という風光明媚なところでやっていただけることになり
まして、いろいろと国際協力について得るところがあるのではないかと思っております。
今後もこの国際協力、国際教育研究協議会がより発展していくように、また各地域で
この全国大会を引き受けてくださるようにお願いいたしまして、私の感謝状を戴いたご
挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
閉式の言葉
丸野良督
大会副会長・長野県下高井農林高等学校長
これからの二日間にわたる研究会が、皆さんお一人お一人のこれからの活動の大きな
エネルギーになることを願い、本大会の開会式を閉じます。ありがとうございました。
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