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1 「神とともに歩んだエノク」 創世記5章21∼24節 石原俊久 1.カインの

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1 「神とともに歩んだエノク」 創世記5章21∼24節 石原俊久 1.カインの
「神とともに歩んだエノク」
創世記5章21∼24節
石原俊久
1.カインの系図
さてカインの系図を見てみたいと思います、カインは4章で弟アベルを
殺した後に、主の前を去ってエデンの東、ノデの地に住みついた、とあり
ます。その続きにはカインの家系図が記されています。
4章17節からですがカインは主の前から離れた後エノクという子供
を生みます。そして自分の建てた町に息子の名前エノクと付けます。そし
てその子孫
れてエノクを生んだとあります。そしてカインは町を建てたとあります。
そしてアダムから数えて7番目にレメクが生まれます。このレメクは「二
人の妻をめとった」とあるように神の結婚の原則である、つまりアダムと
エバの一人の夫と一人の妻、という原則を始めて犯しました。そしてレメ
クは妻たちにこういいました。「レメクの妻たちよ。私の言うことに耳を
傾けよ。私の受けた傷のためには、ひとりの人を、私の受けたうち傷のた
めには一人の若者を殺した。カインに七倍の復讐があればレメクには七十
七倍」
カインの系図はこのレメクの言葉で終わっています。
それにしてもレメクのこの言葉はなんと残酷な言葉でしょうか。カイン
がはじめの殺人者であった、にもかかわらず神からの守りを得て、生きる
ことができたはずなのにその子孫のレメクは人を殺すことをなんとも、思
っていないのです。これが罪の怖さです。はじめに町を建てたカインは自
分の息子の名を町につけた、とあります。カインの中に、栄光を神に帰す、
という態度ではなく自分に、そして自分の子孫に返すという高慢さが、す
でに現れているのです。アベルとのささげものの違いが、神への態度の違
いとなって現れたように、その影響は消えることなく、罪の性質として現
れるのです。そして第二の殺人者となったレメクにまでその影響は及んで
いるのです。人は真に悔い改めなければその罪の性質は受け継がれてゆく
のです。
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2.セツの系図
レメクの言葉が終わると4章23節からアダムがアベルのかわりに授
けたセツの系図が始まります。そして特徴的なのが26節の、「人々は主
の御名によって祈ることをはじめた」という一文です。そしてその前に「そ
のとき」という言葉があります。そのとき、とはセツにエノシュという男
の子が生まれた、そのときです。このエノシュという名前は「弱さ」をあ
らわす言葉です。生まれたときの様子はここには描かれていませんが、こ
の「弱さ」が強調されていることから、きっと良い状態でなく生まれた、
あるいは生まれても病弱だったのかもしれません。しかしこのときから、
人々は祈るものとされたのです。人々とあります。きっとこのひとりの男
の子のために多くの人が「主の御名によって」祈るようになったのでしょ
う。
このセツの家系がカインの家系と決定的に違うのがこの箇所です。それ
は神に対するへりくだりの態度と、神への絶対的な信頼と言っても良いで
しょう。
この箇所があって、そして改めて5章にセツの家系が「アダムの歴史の記
録」として記されています。
カインの家系とセツの家系の対比をこの四節の最後の部分で明らかに
しています。祝福の家系か、それとも罪を背負った家系であるか。この対
比が現れています。そして神は、セツの家系を選びの家系として、アダム
の正式な家系として選びます。それは新約聖書のキリストの家系にも明ら
かになっています。ルカの福音書3章38節「エノスの子、セツの子、ア
ダムの子、このアダムは神の子である。
」
そして5章からの家系図はカインの家系図とは比べ物にならないほど
詳細に描かれています。カインの家系が「生まれた」、とだけあるのに対
して5章からのセツの家系は生きた年数、子を設けた年も書かれています。
3.祝福の家系から、エノクがそしてノアへと続く
このセツの家系図の中で特筆すべきは、21節にあるエノクの記述です。
いみじくもカインの最初の子と同じ名を与えら得れたこのエノクはカイ
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ンの子のエノクとは全く違った歩みをします。
エノクは「神が、彼をとられたので彼はいなくなった」とあります。ほ
かの登場人物がすべて「こうして彼は死んだ」という終わり方をしている
のに、エノクだけは「いなくなった」とだけ記されています。エノクは死
ななかった。というより死を見ることがなかった、といったほうが良いか
も知れません。人間の霊的なそして肉体的な死を体験しなかった。アダム
とエバが罪を犯してから人間に死というものが入ってきました。しかし早
くもここに永遠の命の雛形があります。そしてエノクの一生がほかの子孫
に比べて極端に短いのもこのことの裏づけでしょう。この地上の苦しみの
生活から祝福を持ってこの世を去った。これは私たちが何歳であっても救
いを受けて死から開放される恵みに似ています。本来の寿命の半ばで、神
のものとされる。クリスチャンに共通した部分があります。そしてエノク
が死を見ることのなかったことには条件があります。それが「神とともに
歩んだ」という言葉でしょう。この言葉は22節と24節に続けて記され
ています。いわゆる強調されている文章です。このことも私たちと無関係
ではありません。神とともに歩んだエノクは神にとられたのです。私たち
も神とともに歩む決心をしたので神のものとなりました。
さてカインの家系において第二の殺人者となったレメクはアダムから
数えて7代目の子孫でした。そしてこのセツの子孫エノクも7代目です。
同じ七代目でひとりは殺人者、一人は死を見ることがなかった祝福の人と
なった。ここにもカインとセツの家系の対比があります。聖書はこの対比
によって残酷なまでに罪の大きさ、深さを浮き彫りにします。
そして極めつけは28節に登場するレメクです。カインの家系の最後に
記された暴君レメクと同じ名前のレメク、彼はあのノアを生むのです。
4.主の御名によって祈る、神とともに歩む
家系図から見えてきたことは、祝福の家系と、そうでない家系でした。
セツの家系は御名によって祈る家系でした。神とともに歩む家系でした。
そのスタートはエノシュというなんらかの弱さを持った子孫の誕生でし
た。
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対して強さを誇ったカイン、町を建て上げ自分に栄誉を返したカインの
家系はレメクを最後に記されていません。栄光を神に帰さなかった、そし
て神とともに歩むのではなく主の前から去ったカインの末裔は、後にセツ
の末裔ノアをあざけり、水の中に没してゆくのでした。
神とともに歩む、主の御名によって祈ることの大切さをこの系図は私た
ちに訴えているのです。
神とともに歩みましょう。自分の弱さを認め主の御名によって祈る日々
でありますように。
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