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球状化処理後のfadingと黒鉛形状
A-21 球状化処理後のフェイディングと黒鉛形状に関する研究 04-1-45-262 杉原 琢弥 1. 緒言 鋳鉄は、その黒鉛形状によりさまざまな性質を 有する。黒鉛組織の変化を正確に知ることで、製 品に適した組織を使い分けることができる。 本研究では黒鉛組織を詳しく観測し、黒鉛組織 の発生条件を明確にすることを目的とした。Mg処 理により球状化された黒鉛形状は、フェイディン グにより黒鉛に変化を起こす。そのため熱分析装 置ATAS(Adaptive Thermal Analysis System)を使 用し、Mgのフェイディングが黒鉛組織をどのよう に変えたかを調べた。冷却曲線と組織についての 比較をした。 2. 実験方法 2.1 球状化処理 本実験で使用した処理法はサンドイッチ法(置 き注ぎ法)を使用した。この方法はるつぼの底の ポケット部分に球状化剤を置き、その上にカバー 剤として Fe-Si 合金を入れ、鋳鉄溶湯が注ぎ込ま れると、カバー剤が溶け、球状化剤も溶け始めて 反応が始まる。 2.2 実験方法 供試材料には銑鉄、C、Fe-Si 合金、を所定量配 合し溶製した鋳鉄材を用いた。球状化黒鉛鋳鉄の 化 学 組 成 は 、 C 3.7mass% 、 Si 2.5mass% 、 Mn 0.12mass%、 P 0.07mass%、 S 0.01mass%とし、Mg を 5%含む Fe-Si-Mg を 1.5%添加した。高周波誘導 電気炉を使用して、およそ7kg を 15 号黒鉛るつ ぼ内で溶解し、この溶湯を 1773K で、上記で記し たサンドイッチ法で注湯した。注湯後、再び高周 波誘導電気炉に置き 1773K で保持しながら、始め 6min でその後 3min 間隔で溶湯を取り出し熱分析 装置 ATAS で冷却速度を調べた。 1500℃ 温度 Mg処理 処理後12min 処理後9min 処理後6min 時間 min 図1 球状化処理後の溶湯取り出し時間 溶湯取り出し時間を図1に記した。その後、供 試試料をマイクロカッターで切断し、各試料の研 磨、バフ研磨後、レーザ顕微鏡を用いて組織観察 を行った。 3. 実験結果および考察 黒鉛の生成状況を、レーザ顕微鏡を用いて観察 した。図2に顕微鏡組織を示す。図2より、球状 化処理後 6min で球状化されていた組織が 9min で は球状化が崩れていることが確認できた。なお 9min で冷却速度が大きくなると片状黒鉛に変化 していた。12min では共晶状黒鉛を観察できた。 組織観察と成分分析、熱分析から黒鉛形状の変化 を見ることができた。 球状化処理後 6min 冷却速度 小 球状化処理後 9min 冷却速度 小 球状化処理後 9min 球状化処理後 12min 冷却速度 小 冷却速度 大 100μm 図2 球状化処理後の黒鉛形状の変化 4. 結言 本研究で熱分析装置 ATAS と組織観察により検 討した結果、以下のことが明らかになった。 (1) 熱分析装置 ATAS により冷却速度が黒鉛組 織に影響をあたえることがわかった。 (2) Mg 処理により球状化された黒鉛組織が Mg のフェイディングにより変化することが観察 できた。Mg のフェイディングと黒鉛形状に密 接な関係があることがわかった。