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2157 コシダカホールディングス

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2157 コシダカホールディングス
(株)日本ベル投資研究所
Belletk
ベル企業レポート
IRアナリストレポート
2157
コシダカホールディングス
ジャスダック
ポイント
・コシダカは 2010 年 9 月からホールディング(持株会社)体制をとり、第 2 の成長期に本格的
に入った。カラオケ、フィットネスに次ぐボウリングもスタートを切った。第 4 の柱、第 5
の柱作りに向け、温浴や韓国展開も立ち上がってこよう。一見成熟型の産業にありながら、
競争優位の独自戦略をとっており、極めて面白い局面を迎えている。
・カラオケの「まねきねこ」は事業開始 20 年を迎え、収益力は一段と高まってきた。08 年に
買収したフィットネスの「カーブス」も好調で、数年内にはカラオケの利益率を抜く勢いで
ある。会社全体の業績も順調で、当社は成長の第 2 ステージに入っているといえよう。
・カラオケは現在の 300 店を 500 店へ、フィットネスは現在の 900 店を 1500~2000 店へ拡大
する計画である。市場が成熟気味な中で、他社と差別化したビジネスモデルで独自に伸びて
いくのが当社の特徴である。この主力事業で企業規模を 2 倍に持っていくことは十分可能で
あろう。
・当社は「総合余暇サービス提供企業」をビジョンに掲げ、次なる事業にも参入展開しよう
としている。余暇としては、アミューズメント、スポーツ・フィットネス、観光・行楽、趣
味・教養の 4 つをドメイン(事業領域)とし、その中で、
「既存業種新業態」を狙っている。や
る事業は既存分野だが、やり方は、まねきねこやカーブスのように、他社とは全く違った仕
組みで、顧客にサービスを提供し満足を得ようというものである。
・2010 年 9 月から傘下に入れたボウリングのスポルトに続き、温浴のまねきの湯やカラオケ
のアジア展開が次の領域である。アジアでは、まず韓国に現地法人を設立し、これから合弁
事業を計画していく。
・課題は、成長に見合う人材の育成確保と、市場での流動性の向上にあるが、企業価値を高
めるユニークな企業として注目していきたい。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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(株)日本ベル投資研究所
Belletk
ベル企業レポート
IRアナリストレポート
目
次
1.特色
総合余暇サービス提供企業を目指す ~ 第 2 の成長ステージへ
2.強み
カラオケ本舗まねきねこの優位性 ~ 市場成熟の中で成長
3.拡大
フィットネスのカーブスをM&A ~ 女性専用で差別化
4.投資
ボ-リングのスポルトを傘下に ~ 次なる居抜きビジネスを展開
5.展望
将来は 1000 億円企業を展望 ~ アジアへの海外展開も視野へ
6.業績
収益力の向上と財務の健全性 ~ 事業展開のファイナンス
7.企業評価
ビジネスモデルのユニークさに注目
企業レーティング A
株価(11 年 1 月 7 日) 35.95 万円
PBR
2.3 倍
ROE 62.1%
時価総額 86 億円 (2.4 万株)
PER 3.7 倍
配当利回り 2.8%
(百万円、万円)
決算期
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
EPS
配当
2008.8
13649
691
731
421
1.76
0.36
2009.8
18955
1496
1427
549
2.29
0.38
2010.8
21932
2503
2579
1125
4.69
0.87
2011.8(予)
28370
3245
3162
2329
9.71
1.00
(10.8 ベース)
総資本 11975 百万円
BPS
純資産 3751 百万円
自己資本比率 30.8%
15.4 万円
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース
08.8 期は単体ベース、それ以降は連結ベース
担当アナリスト 鈴木行生
(日本ベル投資研究所 主席アナリスト)
企業レーティングの定義:当該企業の、①経営者の経営力、②事業の成長力・持続力、③業績下
方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:
相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という 4 段階で示す。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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ベル企業レポート
IRアナリストレポート
1.特色
総合余暇サービス提供企業を目指す ~ 第2の成長ステージへ
新体制のもと本部を東京へ
2011 年 8 月期のスタートに当たって、2010 年 9 月より新しいホールディング(HD)体制
がスタートした。これに合わせて、本部機能の一部を東京事務所として東京駅近くに新設
することを計画している。カラオケのまねきねこは前橋、フィットネスのカーブは日本橋、
ボウリングのスポルトは新宿(住所は渋谷)に、それぞれの本社機能があるので、これらを
統括しマネジメントを担うホールディングス(持株会社)の本部機能は東京駅のそばに置
くのが便利であると判断したことによる。
カラオケとフィットネスで基盤を確立
手軽さを差別化の核にして、圧倒的な強みを見せている。主力のカラオケは店舗の数で
シダックス(コード 4837)を抜き、日本一となった。第 2 の柱である女性専用フィットネス
のカーブス(スポーツクラブ)は、拠点数で既に日本一である。
カラオケ本舗まねきねこは郊外を中心に展開しており、都心では見かけない。これはタ
ーゲット層と店舗コストを優先した事業の特色に由来する。フィットネスのカーブスは、
女性専用 30 分のサーキットトレーニングシステムを米国カーブス社から導入したもので、
このフランチャイズを 08 年に買収し、当社が全国に全面展開している。
ドメインはアミューズメント、スポーツ・フィットネス、観光・行楽、趣味・教養の 4 つ
現在はカラオケ(アミューズメント)とフィットネス(スポーツ)、ボウリング(アミューズ
メント&スポーツ)を事業の柱とするが、今後は総合余暇サービス提供企業として、4 つの
ドメイン(事業領域)を設定している。
成熟経済に入った日本において余暇をどう楽しむかは大きなテーマであり、潜在需要は
大きい。また成長期のアジアにおいても豊かさが増してくれば、余暇に対するニーズは当
然高まってくる。余暇産業といえば、通常、アミューズメント、スポーツ・フィットネス、
観光・行楽、趣味・教養に分けられるが、当社はそれをベースにすでにある程度出来上が
っている余暇市場をターゲット(攻める目標)にしている。
「既存業種新業態」が狙い
当社の腰髙社長は、衣食住の次は余暇しかないと考えた。当初はカラオケから入ったが、
これは 1 つのアイテムであり、フィットネスも 1 つのアイテムである。いずれも大衆的(ポ
ピュラー)で、手軽である。この庶民的なものを新しい形で提供したい、というのが当社の
基本戦略である。余暇の中で、
「安・近・短」(安くて近くて短く)の身近なレジャーの集合
体を次に攻めるべきターゲットとしている。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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だが、ここにイノベーション(革新的な仕組み)を持ち込もうとしている。これを社長は
「既存業種新業態」と呼んでいる。取り組む事業分野に目新しさはないが、そこでやろう
としていることは、全く新しい仕組みでサービスを提供しようというものである。まねき
ねこやカーブスはまさにその典型で、次のボウリングや温浴もこうしたものにしようとし
ている。
ビジネスモデルのイノベーション(革新)に注目
既存業種新業態といっても、新しいことはすぐ真似されてしまうのではないか、という
見方もできる。しかし、腰髙社長は、どんなビジネスでもそのまま続けていれば時代に合
わなくなってくる、という。そこに新しい仕組み(イノベーション)を持ち込んでビジネス
化する。まねができないようなもので先行し、後でまねされても、徹底的に考えて改善先
行すれば、結果的にまねできないものになる。カラオケ本舗まねきねこも、既存のカラオ
ケ店を活用するという仕組みであるが、誰も同じような水準にはまねできず、当社が圧倒
的な低コストを実現している。
コシダカのビジネス領域
コシダカホールディングス
コシダカ
カーブスホールディングス
スポルト
新事業
(カラオケ本舗まねきねこ)
(女性専用フィットネスのカーブス)
(ボウリング場)
(余暇サービス)
・カラオケ店舗数でNo.1
・カラオケ300店を500店に拡
大に拡大することを計画
・年15~20店出店
・居抜き出店に加え、建築出
店も本格化
・投資は1年半から2年半で回
収、売上高営業利益率20%
を狙う
・郊外ロードサイドで圧倒的な
安さとサービスの良さが強み
・都心へは居酒屋カラオケと
いう新業態での参入を試行
・将来は韓国などアジア市場
への展開を目指し、準備に入
る
カーブスジャパン
北海道コシダカ
(FC事業)
(カーブス直営店)
・フィットネス店舗数でNo.1
・カーブスを800店から1500~
2000店に拡大することを計画
・年100店ペースでFCを出店、
直営も100店を目指す
・女性向け30分フィットネスで
中高年の客層を掴む
・カーブスの収益性は今後カ
ラオケを上回ることを予想
・カーブスジャパンのFCからの
収入は10~12%
・2008年にベンチャーリンクか
ら20億円でM&A、事業拡大に
拍車がかかる
・2010年9月に三井物産の
子会社からコシダカグルー
プ入り
・もともとは米国ボウリング
の名門ブランズウィック社と
の合弁であった
・社員81名のうち半数がプ
ロまたはインストラクターの
資格を有する
・LTB(ボウリング教室)と
いう独自のプログラムで、
顧客を開拓、固定化
・現在の12店舗を4~5年で
45店へ拡大予定
・全国のボウリング場の居
抜き再生を目指す
・カラオケ(アミューズメ
ント)、 フィットネス(ス
ポーツ)のほか、 観
光・旅行、趣味・教養も
事業分野として捉える
・ビジョンは余暇サービ
ス提供企業になること
・既存分野新業態を
テーマに、他所ではま
ねのできないビジネス
モデルを作ることも目
指す
・将来は、売上高1000
億円、経常利益100億
円の企業づくりを展望
(注)2010年9月より上記組織体制へ再編
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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次の余暇ビジネスも検討、今回ボウリングに参入
当面はカラオケにフィットネスが加わったことで、第 2 の成長期に入っている。この 2
つだけでも相当成長していけるが、次の布石も検討している。社長は全く新規の成長分野
を追いかけるのではなく、カラオケやフィットネスのように当社の得意とするビジネスモ
デルが構築できるかどうかという点からM&Aを含めて事業化を練っているところである。
第4の柱は温浴のまねきの湯
カラオケ、ボウリング場に次ぐ再生型のビジネスとして、温浴を考えている。まず、ま
ねきの湯 1 号店をスタートさせた。高崎から車で 30 分くらいの所にある日帰り温泉を地元
の不動産会社から運営受託した。現在、集客のノウハウを作り込んでいるところであるが、
スタートして 2 カ月で黒字化した。全国に温浴施設は多々あるので、ここにも居抜きの経
営ノウハウを持ち込もうという作戦である。
2.強み
カラオケ本舗まねきねこの優位性 ~ 市場成熟の中で成長
既存のカラオケ店を「居抜き」でまねきねこへ
腰髙社長は 20 年前の 30 歳の時に、カラオケ 1 号店を出した。家業のラーメン店からど
のように事業展開を図るかを考え、一歩踏み出したのである。当時はカラオケボックス(今
のカラオケ店のタイプ)が始まったばかりであったが、7 年間で 3 店出し、資金的にはそれ
が精一杯であった。97 年に成長の原動力となった「居抜き」出店を初めて展開した。居抜
きとは既存のカラオケ店が商売を続けられなくなり売りたいという時に、その店を継承す
る。そのまま店を賃借し、まねきねこの看板を掲げて活用する、というものである。中小
のカラオケ店が次々に行き詰る中で、それを全国的に手に入れ、この 10 年で一気に 300 店
にまで拡大してきたのである。10 年 8 月末で 309 店となったが、ほとんどの店はロードサ
イドにあり、駅前や繁華街は少ない。また東京には 3 店しかない。その中で、「リーズナブ
ルで安心・安全な店」というまねきねこのブランドイメージを確立してきた。
次はカラオケ店でない商業施設を「建築出店」としてまねきねこへ
店舗の立地は全国だが、関東、中部が多い。居抜き出店はこれからも続くが、一時ほど
の勢いはなくなってきた。そこで、次は既存の商業施設をカラオケ店に転換するという形
を本格化させつつある。これを「建築出店」と称している。建築出店は既存のカラオケ店
を活用するよりは内装にお金がかかるが、出店の場所を居抜きより自由に選ぶことができ
るというメリットがある。レストランなどの既存の店が売りに出されることは多いので、
それを活用してまねきねこのブランドが生きる有利なドミナント出店(神奈川、埼玉、千葉、
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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三多摩地区)を加速する。年 5~10 店ほど出店していこうとしている。
カラオケ事業の主要指標
店舗数
売上高
1店舗当たり売上高
粗利益
売上高粗利益率
2006.8
193
8799
45.6
1821
20.7
2007.8
229
11178
48.9
2152
19.3
2008.8
277
13483
48.7
2339
17.3
(店、百万円、%)
2009.8
2010.8
294
309
15666
16495
53.3
53.4
3260
3776
20.8
22.9
新規出店は 1 年半から 2 年半で投資回収
もともと本社のある前橋(群馬県)からスタートしているので、コストの高い都心ではな
く、地方郊外の居抜きをベースに経営ノウハウを蓄積してきた。典型的な形は、既存のカ
ラオケ店を利用する。まずそこの土地は借りて地代と保証金を払う。建物の改装やカラオ
ケ機械の入れ替えなど、しめて投資額は 2000 万円程度で済む。これで 17 ルームを持つ中
小型のカラオケ店を再スタートし、年商 5000 万円は稼げる。そうすると店ベースでの営業
利益として 20%は見込め、営業利益と減価償却を合わせたキャッシュフローで、投資は 1
年半で回収できる、というのが基本モデルである。
もし新規に同じカラオケ店を作ったら、3 倍から 5 倍の投資がかかる。オープンまでの期
間も短く、通常の6ヵ月~1年に比べ、2ヶ月程度で済む。前の店を知っている客は、料
金は安い、機械(カラオケマシーン)は新しい、内装は一新している、営業時間が延びた、
社員の接客レベルが高い(1人のスタッフが入店から帰るまで担当し顔が見えるようにす
る)、ドリンクバーや持ち込みシステムなど使い勝手がよい、などその差がはっきりわかる
ので、満足度が上がるわけである。
シダックスなど大手の進出で中小のカラオケ店が立ち行かなくなり、それを当社が引き
継いで再生するというパターンも多い。大手と稼働率が変わらないとしても、固定費が圧
倒的に安いので、当社の収益性は高まるのである。
建築出店になると投資コストは上がる。
改装に 8000 万円はかかるので、負担は増えるが、
それでも同業の大手よりは少ない。一方、ドミナント効果も考えて立地を選ぶので、集客
はこれまでよりやり易い。成功の可能性がより高まるのである。初年度は投資負担で居抜
きよりも苦しいが、営業利益率は 20%が見込め、投資回収は 2 年半でできると見込んでい
る。
300 店を 500 店に拡大し、業界トップの店舗体制へ
現在の店舗数は 300 店であるが、これからも年間に居抜きで 10 店、建築で 5 店の 15
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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店をベースに出店していく。ただ、10 店以上を有するカラオケチェーンの居抜き、いわゆ
る中小チェーンのM&Aもありうるので、年によって出店数は変動しよう。同時にリニュ
ーアル(1 店 1000 万円の投資)にも年 40~50 店程度力を入れていく。この効果もあるので、
既存店の収益は十分確保できよう。そうすると、新規出店の増加率は減少しても、利益率
は確保できるので、利益の出やすい局面に入る。店舗数では、シダックスを抜いて、業界
トップになった。売り上げ規模でも現在の 5 位から早晩 3 位には入って行こう。
会社では、店舗オペレーションを基本から見直し、改善に力を入れている。厨房レイア
ウトの標準モデルや、製造業における生産管理のような基本動作を具現化し、生産性を上
げようとしている。
カラオケ関連の上場企業比較(関連6社)
社名
カラオケ店舗名
コード
市場
業界順位
店舗数
売上高(09年度)(億円)
営業利益 (億円)
売上高営業利益率(%)
株価 (12/30)(円)
時価総額 (億円)
PBR (倍)
ROE (%) PER (倍)
配当利回り (%)
コシダカ
シダックス
まねきねこ
シダックス
AOKIHDヴァリック
ラウンドワン
鉄人化計画
ビックエコー コート・ダジュール
第一興商
ラウンドワン
カラオケの鉄人
2157
4837
7458
8214
4680
2404
JQ
JQ
JQ
東1
東1
東証マ
5位
305
219
25
11.4
1位
302
2026
71
3.5
2位
269
1253
174
13.9
6位
118
1311
100
7.6
10位
97
821
120
14.7
11位
42
73
4
6.1
34.1(万)
82
2.2
62.1
3.5
2.9
326
133
0.6
5.1
13.3
4.6
1518
1025
1.2
11.7
9.8
2.0
1471
723
0.7
4.1
15.7
2.0
503
480
0.5
-2.7
na
4.0
3.9(万)
13
0.7
7.2
9.5
3.8
(注)売上高、営業利益は全社ベース。業界順位はカラオケ部門の売上高ベース。
コシダカ、鉄人化計画は2010.8期ベース。PBR、ROE、PER、配当利回りは直近予想ベース。
カラオケまねきねこの業態進化
まねきねこの業態をニーズに合わせて進化させることも試みている。仙台からスタート
した ORTO&K(オルト&ケー)は洋風のカラオケで都会型を意識したものである。当初はや
や苦戦したが、2号店(現在はまねきねこへ業態転換)も仙台で出し、3号店を宇都宮に
出した。
都心をいかに攻めるかという点で、居酒屋カラオケも試行している。3 年前に浅草で2億
円ほど投資し実験した。都市型の「下町唱酒場浅草まねきねこ」は、居酒屋でありながら
カラオケの舞台(200 名のホールで、9 時以降 1 回 500 円で歌える)が楽しめるというもので
ある。一定の需要はあるので、差別化した店舗戦略として踏み出してもよいと会社は判断
している。もう数店、規模を小さくして都内の駅そばへ出していく計画である。これによ
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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って1つのビジネスモデルになりうるなら、そこで本格化する方針である。
浅草まねきねこは、食事を充実し、居酒屋メニューを本格化したものである。カラオケ
に食事ではなく、食事にカラオケもつけるという発想である。8 月神田に 2 号店を出した。
その応用として、高崎緑町店では個室居酒屋まねきねことして、居酒屋色を強めている。
ファミリー層の取り込みに力を入れており、カラオケまねきねこの業態進化を志向してい
る。
3.拡大
フィットネスのカーブスをM&A~ 女性専用で差別化
女性専用の 30 分フィットネス
カーブスが日本でビジネスを開始する時から、当社はこのフランチャイズに参加してき
た。40~50 坪の小スペースで、マシーンを 12 台並べ、1台 30 秒で運動して次に移り、2
回まわると 30 分、これで筋力トレーニングと有酸素運動ができるサーキットトレーニング
である。10 年 8 月末時点で全国 864 店、会員 32 万人、1 店当たり会員数 372 人であるが、
会員の 65%が 50 代以上と中高年の女性が多い。大手フィットネスとは顧客ターゲットが異
なり、住み分けている。カラオケと同じく関東、中部が多い。売上規模では業界 5 位だが、
店舗数ではトップである。
カーブスのFC権を買収
女性専用フィットネスのカーブス(Curves)は、米国のゲイリー・ヘヴィン氏が 1992 年に
創業したもので、世界 60 ヵ国でフランチャイズチェーン(FC)を 8000 店ほど展開してい
る世界最大のフィットネスチェーンである。日本ではベンチャーリンク社が FC 権を取得し
て事業を展開、当社はそのフランチャイズ店として参加していた。2006 年に当社のカーブ
ス 1 号店を北海道にオープンし、北海道コシダカ(100%子会社)がそれを担ってきた。ベン
チャーリンクの経営が厳しくなり、日本における FC の元締めであるカーブスジャパンが売
りに出された。カーブスジャパンの経営は順調で、とくに問題があったわけではない。そ
こで、コシダカが 08 年 10 月に日本におけるFC権を持つカーブスジャパンを 20 億円で買
収した。
もともとカーブスに注目していた
腰髙社長は、カーブスについて日本進出前から知っており、当社に合う面白い事業だと
思っていた。ベンチャーリンクが日本での権利を取得し、FC店を募集するということを
知って、急遽参加することにした。ベンチャーリンクとは何の面識もなかったが、強い思
いで交渉し、北海道での参加権(FC のエリアパートナー)をとったのである。FCとして 8
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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店ほど経営していたので、カーブスのマネジメントについては充分実績を積んでいた。売
りに出た時はその価値をすぐに評価できたし、対抗する企業もなかったので予定通り手に
入れることができた。
カーブス事業の主要指標
(店、百万円、%)
2008.8
2009.8
2010.8
店舗数
712
754
864
総会員数 (千人)
216
254
322
303
337
373
1店当たり会員数 (人/店)
売上高
na
3288
5436
粗利益
na
1545
2469
売上高粗利益率
na
47.0
45.4
(注)2008.8期は合併前、2009.8期は合併後の9ヶ月分
カーブスジャパンの経営陣はそのまま活用
カーブスジャパンの経営陣は、増本会長兼CEOをはじめそのまま引き継ぎ、事業を継
続している。カーブスジャパンには腰髙社長が取締役として入り、管理部門には人材を送
って強化したが、経営の自主性は尊重しながら成果を上げている。
既存のフィットネスとは違ったビジネスを展開
カーブスは既存のスポーツクラブとは全く違ったシステムで、従来とは違った顧客層を
開拓している。FC 店としてカーブスをオープンするには、そこのオーナーはまず 2000 万円
ほど用意する必要がある。40 坪のスペースを借りて家賃を払い、内装に 400~500 万円、運
動器具等の初期投資に 600 万円、スタートしてから 2~3 か月の運転資金に 1000 万円とい
った具合である。顧客会員の月額利用料は 6000 円程度で、300 人弱の会員で損益分岐点と
なり、それを超えると利益になる。
10 年月 8 末の店舗数は 864 店で、
会員数は 32.2 万人である。店舗の採算は 7 割が黒字で、
2 割が均衡、1 割がまだ赤字という状況である。全店平均の会員数は 373 人で、まだ立ち上
げ期の店もあり、
新規の店にとっては 300 人をどう集客するかが黒字化のポイントである。
将来は今の 900 店を 1500~2000 店まで増やす計画
今の 900 店を、5 年を目途に 1500 店、会員数 60 万人まで増やす計画である。年 100 店ペ
ースの出店を続けているが、身近な顧客を対象にするので出店可能な地域は多い。FC のオ
ーナーが十分ビジネスになると思えば、まだまだ増やすことができる。半年前のデータで
は 800 店の FC のうち加盟店オーナーは 380 である。つまり 1 人(または 1 社)で 2 店以上出
している人がおり、10 社以上出しているFCも 4 社ほどある。
本部の当社にとっては、初期投資にお金はいらないので、出店の負担はない。FC がきち
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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んと集客して、十分なサービスを提供できるように指導する力が問われているのである。
ここにきて、1 店当たりの会員数が増えている。また、それぞれの店のスタッフによる会員
フォローも効果を上げ、退会率は低下し 3%台となっている。これは業界の中でもかなり低
い数値である。つまり、収益性が改善しているのである。
カーブスジャパンは、FC店からのロイヤリティ(5%、うち 2 割の 1%を米国カーブス社
へ)、広告料、事務手数料などが主な収入で、これが当社の売上となる。規模の効果が働く
ので、営業利益率を現在の水準(既存店で 10%台前半)を 10%台後半へ持っていくことは十
分可能であろう。カラオケよりも高い収益性を実現することもできるのである。
フィットネス関連の上場企業比較(関連5社)
社名
店舗名
コード
市場
業界順位
店舗数
売上高(09年度)(億円)
営業利益 (億円)
売上高営業利益率(%)
株価 (12/30)(円)
時価総額 (億円)
PBR (倍)
ROE (%) PER (倍)
配当利回り (%)
コシダカ
カーブス
東祥
ホリデイ
セントラルスポーツ
セントラル
ルネサンス
ルネサンス
メガロス
メガロス
2157
8920
4801
2378
2165
JQ
JQ
東1
東1
JQ
5位
864
219
25
11.4
7位
37
106
23
22.0
2位
153
466
19
4.2
3位
99
364
9
2.4
6位
25
137
6
4.3
34.1(万)
82
2.2
62.1
3.5
2.9
516
91
1.3
17.2
7.8
2.1
892
102
0.8
3
25.6
1.7
298
64
0.8
2.9
25.5
1.3
1031
39
0.8
2.8
28.1
1.9
(注)売上高、営業利益は全社ベース。業界順位はフィットネス部門の売上ベース。
コシダカのフィットネスはFC加盟店ベース。PBR、ROE、PER、配当利回りは直近予想ベース。
業界トップのコナミ(コード9766)は主力がゲームであり、コナミスポーツが属する健康サービス
部門は10.3期も赤字であった。
FC だけでなく直営店も本格化
もともと北海道コシダカは当社にとって直営に当たるが、ここの店も現在の 13 店から 100
店程度まで増やしていく予定である。フランチャイズとのバランス、ドミナントの形成、
カラオケとのシナジー(相乗)効果、などを考えている。北海道コシダカはそのための拠点
になり、北海道という名前にとらわれることなく、直営店の地域は一段と広がって行こう。
元来、カーブスの本部であるカーブスジャパンは自ら投資しなくてもフランチャイジー
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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を増やせば収益は上がることになるため、FC の本部を経営するだけでは、フランチャイジ
ーの経営の実態を必ずしもつかめない。腰髙社長はもともとカーブスのフランチャイジー
として事業を始め、カーブスの日本の本体を買収した。
したがって直営店の目的は、直接経営することによって、加盟店と絶えず同じ目線で経
営を展開し、加盟店を含めたカーブス事業全体の経営効率を上げることにある。
4.投資
ボ-リングのスポルトを傘下に ~ 次なる居抜きビジネスを展開
スポルトの店舗数を 4 倍にする
ボウリング場を運営するスポルトは、これから多店舗展開を進める。その時にはまねき
ねこのカラオケで多店舗化を進めたノウハウが活きる。この 10 年培ってきた居抜きによる
事業再生のシナジー(相乗効果)が期待できる。スポルトはもともと 12 店であったが、10
月に 1 店オープンし、2011 年春までにあと 2 店の出店が決まっている。3~4 年で 45 店に
増やすというのが、現在の計画であるが、その出足は順調である。全国にボウリング場と
いわれるものは、2~3 レーンのものも含めて現在 1000 カ所程度存在する。そこをうまく活
用していくという作戦である。既にM&Aの案件は数多く上がってきている。
健康ボウリング教室で集客リテンション
スポルトの上尾ボウリング場(スポルト上尾スポーツレーンズ)は 60 レーンある大型の施
設である。午前 9:00 のオープンとともにレーンはほとんど埋まってしまう。健康ボウリ
ング教室を軸に、シニア層を顧客化しているからである。シニアには若い時にボウリング
を経験した人が多い。この層を集めて固定客化(カスタマーリテンション)していこうと
している。室内のボウリングは屋外と比べて天候に左右されず運動環境も安定している。
ボウリングをスポーツとして捉え、健康作りに役立てるとともに、そこに集ってきたシニ
ア層を中心にコミュニティも形成していく。これからの高齢化社会のライフスタイルに合
致した事業領域として注目してよい。
「健康作り」プラス「コミュニティ志向」という点で、
同業でボウリグ場を展開するラウンドワン(コード 4680)とは方向が違う。
スポルトの小林社長はもともとプロボラーの草分けの一人で、スポルトに長く勤めてい
る。三井物産と米国ブランズウィック社がJV(合弁)で当社を作った時も、その後ブラン
ズウィックが撤退して、三井物産の 100%子会社になった時も、三井物産が当社を主力事業
とは位置付けず、新規投資が出来ない時も、ずっと当社を見てきた。ボウリングへの情熱
は今でも高い。ようやく事業を拡大する局面を迎えたのである。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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5.展望
将来は 1000 億円企業を展望 ~ アジアへの海外展開も視野へ
持株会社化で、事業展開の機動力を確保
組織再編でコシダカを持株会社(ホールディングス、HD)にした。その下にカラオケの
コシダカと、フィットネスのカーブスホールディングスを置き、このカーブスホールディ
ングスを中間持株会社にして、その下に FC を展開するカーブスジャパンと、直営店を運営
する北海道コシダカを置く。
北海道コシダカはもともと北海道がエリアであったが全国をにらんで、FCと競合しな
い形で出店を加速する。今後さらに新しい余暇事業が加わってきても、持株会社の下に置
くことができ、事業の多様化にフレキシブルに対抗できるような体制を整えたのである。
腰髙社長としては将来、売上高 1000 億円、経常利益 100 億円の企業を目指して事業を拡大
したいと考えている。
3事業のシナジーを追求
HD機能を通して、不動産情報、人材、資金など、その効率を追求することになる。居
抜き、建築出店、加盟店の募集など、不動産に関わる情報は一元化してやりくりすること
は効果的である。人材の交流も、居抜き出店のマネジメントやまねき塾による接客の教育、
ボウリング場の教育などにおいても有効である。
シニアを捉える
カラオケでも中高年が増えている。カーブスはもともと中高年の女性が多い。ボウリン
グ場もシニアが多い。まねきねこのそばにボウリング場、カーブスのそばにまねきねこと
いう立地もみられる。シニア層をどう開拓して、コミュニティ化していくかが焦点で、今
の時代に合った方向である。
先義後利が会社経営の基本
経営の基本方針を定めるに当たって、先義後利という標語は、腰髙社長が行動基準に入
れたものの1つである。まず、人の道として、顧客のニーズに合った価値提供が最優先で
あって、利は後から追い付いてくるという考え方である。
出店余地はまだまだ大きい
カラオケは居抜きの案件はかつてよりは少ないが、建築出店を続ける。年 10 店以内で出
していく。小さなカラオケチェーンのM&Aは案件が出てくれば対応する。10~20 店のチ
ェーン店を買収することは続くものと予想される。カーブスは 900 店を越えて、同業他社
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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を圧倒的にしのいで競争相手はいない。既存スポーツクラブとも業態の中身が違うのでバ
ッティングは感じていない。FCは 1500 店まで増やせるとみているが、その先 2000 店程
度は可能ともみられる。ボウリングもまず 45 店を目指すが、その先の余地も大きい。
セグメント別業績
2009.8
カラオケ
売上高
営業利益
同利益率
カーブス
売上高
営業利益
同利益率
ボウリング
売上高
営業利益
同利益率
合 計
売上高
営業利益
同利益率
2010.8
(百万円、%)
2011.8 (予)
15666 [83]
1350
8.6
16495 [75]
1974
12.0
17952 [63]
2546
14.2
3288 [17]
145
4.4
5436 [25]
529
9.7
6932 [25]
555
8.0
na
na
na
〈3192〉
〈128〉
〈4.0〉
18955 [100]
1496
7.9
21932 [100]
2503
11.4
3485 [12]
143
4.1
28370 [100]
3245
11.4
(注)利益率は売上高営業利益率、カッコ内は売上高構成比
カーブスの2009.8期は08/12~09/8の9ヶ月分(M&A後の数字)
ボウリングの2010.8期は連結前(買収前)の参考数値
既存事業では売上高 500 億円、経常利益 50 億円が見えつつある
現在主力のカラオケとフィットネスでは、カラオケを 300 店から 500 店へ、カーブスを
800 店から 1500 店へ増やすという計画内容から見て、カラオケで売上高 300 億円、カーブ
スで 100 億円は可能である。この延長線として売上高 500 億円、経常利益 50 億円は視野に
入ろう。
2010 年 8 月期は、カラオケの売上高 165 億円、営業利益 20 億円、フィットネスの売上高
54 億円、営業利益 5 億円であった。2011 年 8 月期のカラオケは売上高 180 億円、営業利益
25.5 億円、カーブスの売上高 69 億円、営業利益 5.6 億円、ボウリング売上高 35 億円、営
業利益 1.4 億円を見込んでいる。
今後の事業展開については、カラオケで売上高 240 億円、カーブスで 100 億円、ボウリ
ングで 60 億円、計 400 億円は達成できよう。営業利益で 50 億円は射程内に入ってこよう。
資金的にみると、カラオケに新規出店とリニューアルで年 5~10 億円、カーブスの直営店
に年 4~5 億円、ボウリング場の拡大に 5 億円程度を要しよう。全体の投資額は 15~20 億
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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円なので、キャッシュフローの範囲で十分賄える。カーブスのFC拡大に資金はいらない。
直営店は 1 店 2000 万円として 100 店で 20 億円、5 年で投資するとして年 4 億円ほどかか
る。ボウリング場は 1 店 4000~5000 万円の投資が必要で、カラオケの 2 倍規模になるが、
その分売上効果も大きい。投資効率は同じ程度とみてよい。
真似のできない強みをどう組み込むか
次の 10 年を見据えて、新しい事業分野を加えていくことになろう。その基本は「既存業
種新業態」である。ポイントは、真似のできない強みをどうビジネスモデルに組み込んで
いくかである。そのマネジメントに当たって、これまでの当社の経営ノウハウが生きるよ
うに展開することが重要になろう。
海外進出も準備
カラオケについては、韓国、中国など海外にも進出することを考えて、事業をトライし
て行こうとしている。カラオケの文化はそれぞれにあり、新しいカルチャーを作ることも
可能であると考えている。日本の仕組みをそのまま持ち込むというわけにか行かないが、
日本のテイスト、サービスの仕組みなど、日本でのノウハウを生かす余地は十分あろう。
韓国を手始めにアジアを目指す
まねきねこをアジアでどう展開するか。そもそも当社のカラオケがアジアで通用するの
かを腰髙社長は検討してきた。中国では海外からの進出企業に 25%の娯楽税がかかるので、
時期尚早と判断した。韓国については、消費文化が定着しており、カラオケも人気がある。
ただし、飲食にカラオケを付加したような大人向けの店は多いが、歌そのものを楽しむ若
者も気楽に入れるタイプのカラオケは少ない。そこで、現地のパートナーと組んでまねき
ねこを展開する方向で、まず現法として韓国コシダカを 2010 年 7 月に設立した。韓国がう
まくいくようなら、インドネシア、マレーシア、ベトナムへ展開することが可能となろう。
日本テイストが差別化のポイントに
日本のサービスには優位性がある。おもてなしの心による、しっかりしたサービスは日
本の特色(ジャパンテイスト)としてアジアの人々に受け入れられる。日本に来る観光客
が感じる日本の良さをアジアにうまく持っていくことができたら、それが差別化になる。
まねきねこでそれが十分できると判断して、アジア展開を具体化させようとしている。ま
ねきねこのサービスは、サービスのマニュアルが具体的に設計されており、日本で実践し
てきたものである。アジアの人々を上手く、教育、訓練出来れば通用するものとなろう。
カーブスについては、日本のFC権はもっているが、アジアについてはカーブスインタ
ーナショナルが仕切っている。その中でも、中国などいくつかの国では、カーブスジャパ
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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ンが展開した方が効果的であるケースもありえる。今後の交渉次第だが、カーブスのアジ
ア展開も可能性が出ている。
マネジメント層の強化が課題
当社は現在社員が 700 名、パートアルバイトが 1600 名(8 時間労働換算ベース、延べ人
数では 4000 人強)ほどいる。カラオケでのキャリアプランでは、契約社員から入って、副
店長(正社員)
、店長という道があり、社員独立制度も持っている。
今後、事業の拡大が急ピッチで進むものと予想される。現場の人材はもちろん、幹部ク
ラスの人材を厚くすることも急務であり、内部での育成、外部からの適材の起用なども大
いに必要になろう。
人材の強化を本格化
ホールディングス(本部)では、全体のマネジメント、ガバナンス、M&A などを担ってい
く。事業が拡大する局面にあるので、この本部の役割を担う人材の採用に力を入れている。
まねきねこはもともとの本業で腰髙社長が社長を務めていたから問題はない。M&Aで傘
下に入れた企業をどのようにガバナンス(統治)し、マネジメントしていくかが重要であ
る。各々の会社の経営陣を十分活用しながら、全社のシナジーをどのように発揮していく
かという点で、本部の役割が問われる。
カーブスに関しては、M&A をしたカーブスジャパンの上にカーブスホールディングスをお
き、ここの社長を腰髙社長が兼務することで、北海道カーブスとともに全体をみていく。
スポルトは腰高社長が会長に就いてまとめていく体制にした。
腰髙社長はカーブスジャパンの増本会長兼CEO、スポルトの小林社長との人間関係を
適切に築きながら、融和を図っている。HD化することによって、各々の会社がカラオケ
本舗まねきねこの子会社ではなくなったので、組織体制としても納得できるようになった
といえよう。これは、マネジメント、社員にとって極めて大事なことである。
6.業績
収益力の向上と財務の健全性 ~ 事業展開のファイナンス
出店は順調
今期はカラオケで 15 店の出店を予定している。居抜きで 13 店、建築で 2 店である。既
に 7 店がオープンした。
カーブスは 140 店の出店を計画している。
うち直営は 10 店である。
ボウリングは 3~4 店を予定しており、10 月に 1 店オープンした。今のところ出店は順調で
ある。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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カラオケの既存店は前年同期比 100%キープが目標
カラオケの既存店売上げは前年同期比で 100%を確保するというのが方針である。それに
はリニューアルが効果的である。建物のリニューアル、人による接客の改善、的確な販促
によってこれを達成しようとしている。前期は 100%を若干下回ったが、今期は 100%を維
持すべく手を打っている。
当面の業績は順調
業績は好調である。既存店の収益確保と新規出店の効果が寄与し、売上高、利益とも拡
大しよう。前 2010 年 8 月期の売上高 219 億円(前年度比+15.7%)
、経常利益 25.8 億円(同
+80.6%)となった。今 2011 年 8 月期についても2割を上回る経常利益の増益が十分期待で
きよう。
連結キャッシュフロー計算書
(百万円)
2009.8
2010.8
営業キャッシュフロー
3126
3447
税引き利益
712
1618
減価償却
1462
1450
のれん償却
226
302
投資キャッシュフロー
-3737
-2397
設備投資
-2132
-1705
子会社株式取得
-1737
-15
財務キャッシュフロー
-2169
-337
現金・同等物期末残高
2328
3036
出店の拡大と資金調達
カーブスのFCの拡大に資金はさほど必要ない。直営店には資金が必要だが、1店 2000
万円レベルなので、100 店出しても 20 億円である。カラオケ店は建築出店のウェートが高
まってくると投資額は今までより増えるが、リニューアルも含めて年間 20 億円を超えるキ
ャッシュフロー(CF)で賄うことができよう。出店が加速する年は借り入れで対応するこ
とができるので、ファイナンス面での心配はいらない。将来はCFも拡大してくるので、
借入金の返済も十分できよう。
M&Aが発生した時のファイナンス
課題は新規事業への投資である。自前でコツコツやるならよいが、カーブスのような買
収も考えられる。カーブスの時は 20 億円のM&Aであったが、その資金は銀行からの借り
入れで賄った。のれん代が 15 億円ほどあり、年 3 億円の償却(5 年間)を行っている。次の
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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展開に当たっては、こうした投資も考えられる。自己資本が 37 億円という水準からみて、
10~20 億円の資本の充実と資金の追加手当ては確保しておきたいところである。投資家と
しては1株当たり利益(EPS)の希薄化が起きるので、エクイティ・ファイナンスを嫌う
傾向があるが、今後の収益の拡大から見て、例え増資によって一時的に ROE(自己資本利益
率)が 20%を切ったとしても、早晩 20%台への復帰は確保できるようになろう。
フィットネスの収益性がカラオケを上回る可能性も
部門別の収益をみると、今期のカラオケは売上高 180 億円、営業利益 25 億円(売上高営
業利益率 14%)
、フィットネスのカーブスは同 69 億円、同 5.6 億円(8%)であるが、数年後
にはカーブスの利益率が 2 桁に乗せ、かなり向上してこよう。カラオケで売上高 300 億円、
営業利益 40 億円(13%)の時、カーブスは同 100 億円で 15 億円(同 15%)は見込めよう。営
業利益率ではカーブスの方がカラオケを上回る公算が高い。
実効税率と税引き利益の見方
前期の経常利益 2579 百万円に対して、税引き利益は 1125 百万円(経常利益比 43.6%)
と、税引き利益が相対的に少ない。カーブスののれんの償却(20 億円で買収したうち 15 億
円がのれん代、これを 5 年で有税償却)や、リニューアル投資の特別損失、直営店に対する
地方税の均等割などを差し引いても税率は高い。これは同族会社に対する留保金課税で実
効税率が通常の 40%ではなく、10%分上乗せされているからである(同族ゆえ十分な配当を
せず内部留保してしまうインセンティブを防止するという制度上の趣旨による)。上位株主
3 名で株式の 50%超を占めているためである。オーナー型の企業にみられる傾向である。
これを少数株主からみると、自らの持ち分に影響が出ていることになる。市場の流動性
の観点も含めて、株価に企業の実態が十分反映されない可能性もあろう。少し時間を要し
ようが、ファイナンスの多様化、株主構成の見直し、株式流動性の拡大という視点で改善
される必要があろう。いずれにしても、既存の一般株主にとって不利にならないような手
立てが求められよう。
負ののれん効果で税引き利益は増加
スポルトは 1.5 億円で買収し、買収には 24 億円の短期負債もついてきたが、純資産 3.5
億円に加え池袋等の自社ボウリング場の時価評価により約 12 億円の負ののれんが発生し、
その分がかさ上げとなる。よって、今期は前期とは逆に、経常利益に比して、当期純利益
が過大に出ることになる。
配当性向は 20%を目途とする
現在、自己資本比率は 30.8%であるが、内部留保のベースをもう少し上げていく方針で
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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ある。配当性向については、20%を目途に考え、引き続き成長志向を強めていく。実際、
成長余地は大きいので、配当性向は低めでもよい。
借入金の返済に動く
スポルトの買収も含め、2010 年 11 月末(1Q 末)の純資産はこれまでより 40 億円ほど
増え、借入金も含めた有利子負債は 60 億円レベルになる。今期の設備投資は 15~20 億円、
キャッシュフローが 35 億円ほど出るので、
15~20 億円の借入金は返済できることになろう。
連結バランスシート
流動資産
現金・預金
固定資産
有形固定資産
のれん
資産合計
流動負債
1年以内長期借入金
固定負債 長期借入金
純資産
7.企業評価
2009.8
3717
2530
6797
4163
1283
10514
4598
1179
3217
3104
2699
(百万円)
2010.8
5156
3607
6818
4412
981
11975
5179
1250
3044
2957
3751
ビジネスモデルのユニークさに注目
同業他社はあまり気にしていない
腰髙社長は、同業他社について、その動向は参考にしているが競合という点ではさほど
気にしていない。カラオケ、フィットネスともビジネスモデルが他社とは異なるため、競
合というよりは、むしろ顧客へ提供するサービスが本来目指すものを十分実現できている
かどうかを絶えずチェックしている。当社のカラオケはロードサイドで低料金(低コスト)
であるが、シダックスは料金が高め、ビッグエコー(第一興商)やカラオケの鉄人は繁華街
にある、という具合で差別化が効いている。フィットネスも会員数の損益分岐点が 300 人
対数千人という具合に全く違う。
会社全体の業績をみると、カラオケ関連の 3 社、フィットネス関連の 4 社と比べても当
社の収益性の高さは十分読み取れよう。その中では、ホリデイスポーツクラブを運営する
東祥との成長性、収益性比較が注目できよう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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(株)日本ベル投資研究所
Belletk
ベル企業レポート
IRアナリストレポート
3 つの軸から見て高い評価ができる
経営者の経営力、事業の成長性・持続性、業績の下方修正リスクという 3 つの評価軸か
ら見て、当社は「良好である」(ベルレーティング法で「A」ランク)と評価できる(表紙
の注を参照)
。1)企業の将来のビジョン、計画を明確に定め、それに経営トップがコミット
していること、2)中期的な事業の持続力と成長力は十分確保していること、3)当面、業績
の下方修正リスクは少なく、当初の業績は達成していくものと評価できること、などがそ
の要因である。
株価は将来の展開力を、実績を見ながら織り込んでいこう
株価(1 月 7 日時点)をみると、PBR2.3 倍、ROE62.1%、PER3.7 倍、配当利回り 2.8%とな
っている。ROE と PER には注意が必要である。これは税効果会計の影響で税負担が軽くなっ
ているため、税引き利益が一時的に膨らんでいることによる。実質税引き利益は半分程度
に割り引いてみる必要がある。それでも割安感はある。今後の当社の成長性を考えると、
実績を確認しながら業績の拡大を評価し、つれて株価も見直されていくものと予想され、
中期的な上昇余地は大きいと判断できる。
配当については、
配当性向 20%を基本にしている。
前期はカラオケ 20 周年に当たるため、
期末に 2900 円の記念配当がついた。今期はその分も含めて、前期の 8700 円に対して、10000
円の配当を予定している。
流動性の確保も次第に進展か
課題は市場での流動性が低いことである。同族グループの持株比率が 80%近いので、資
本政策も含めて、これを相対的に下げていくことが必要である。例えば株式の売り出しに
ついては年間の計画性を明らかにして数年にわたって実施していけば、マーケットへのイ
ンパクトはさほど問題ないであろう。エクイティ・ファイナンスも局面によって必要にな
ろうが、中期計画を実績で示しつつ、そのうえで実行するならば 20%までのダイリューシ
ョン(希薄化)は成長性から見て十分吸収していけよう。今後の実行戦略と成果に期待した
い。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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