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死してもまだ求める恋心、その伝説世界を追う

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死してもまだ求める恋心、その伝説世界を追う
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死してもまだ求める恋心、その伝説世界を追う
研究のタイトル:
『万葉集』を中心とした日本上代文学の研究
氏名:廣川晶輝 教授
所属:文学部
日本語日本文学科
1.適用分野:
神戸市に現存する文化遺産の紹介、身近な文化遺産の社会への紹介、地域住民の文化遺産
に対する認識の向上、歴史に目を向けるきっかけ、史跡を通じた地域住民との交流
2.内容:
・特徴:
甲南大学のある東灘から灘地域には、悲恋の「菟原娘子(うなひをとめ)伝説」が今なお
生き生きと語り継がれている。それは、伝説の中で悲劇の娘子の墓とされている古墳
が「処女塚」(東灘区)として現存し、娘子の後を追って死んでいった二人の壮士の墓
とされている古墳が「東求女塚」(東灘区)「西求女塚」(灘区)として現存しているか
らだ。並んで現存する三つの古墳は、あたかも、死してもまだ娘子に思いを寄せるよ
うに、娘子の墓を真ん中にし、左右の壮士の墓が娘子の墓へと前方部を向けている。
古代から現代まで、人々は、この悲恋の伝説にさまざまな「偲び」の思いを向けて
来た。本研究は、その「偲び」の回路を開き得る〈場所〉としての〈墓〉という様相
を解き明かす。他の研究には見られない独自の視点を備えている。
・概要:
この悲恋の伝説は、『万葉集』を初めとして、『大和物語』、謡曲「求塚」、森鷗
外の戯曲「生田川」というように、上代から中古、中世、そして近代にかけて息の長
い利用のされ方をしている。そして、これらの作品の中では、「墓」が、作品の展開
にかかわる重要な〈場所〉としての役割を担っている。
「菟原娘子伝説」が、時代を超えて数々の作品として生まれ出ることができたこと
いわば「菟原娘子伝説の多産性」の〈鍵〉を、この「墓」という場所が持つ表現性が
握っているのではないか。本研究は、このような視点に立ち、「墓」が作品の中の重
要な〈場所〉として選ばれることによって、どのような表現のあり方が開かれている
のか、どのような「偲び」の表現が開かれているのかを追求している。
墓の機能
墓の機能
1.肉親(やそれ
に準じる親しい
人物)を偲ぶ「よ
すが」
2.第三者(他
者)に対しての
顕示・アッピー
ル・デモンストレー
ション
図1 墓の機能
3.「第三者」に
よって現在まで語
り継ぎ・言い継が
れて来た「偲び」
図2
処女塚(東灘区)
3.キーワード:
日本文学、日本上代文学、万葉集、大和物語、処女塚、求女塚、菟原娘子伝説、墓
4.連絡先:甲南大学フロンティア研究推進機構(甲南フロント)
TEL:078-435-2754 [email protected] http://www.konan-u.ac.jp/front/
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