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高円 の秋野の上の なでしこの花 うら若み人のかざしし なでしこ
№22 所在地:鹿野園町/奈良佐保短期大学前庭 たかまと 高円の秋野の上の なでしこの花 うら若み人のかざしし なでしこの花 (万葉集 巻8 1610 丹生女王) 平城京の時代、秋の七種の花の一つ「なでしこの花」に託して丹生女王より 太宰府の大伴旅人へ贈った歌です。 この二人は若い頃から親しく長年の交わりであったようで、その信頼をやさ しく告げます。 「高円の秋の野のそこここに咲くなでしこの花よ、その初々しさをあなたは 賞でて髪飾りとして挿したのでしたね。そのなでしこの花よ」 若い日愛された自分自身をほのぼのと追憶し、なでしこの花に例えた美しい 歌です。その頃の高円の野の秋は美しい花が咲き乱れていたことでしょう。 作者の丹生女王は、天武天皇の皇女です。 揮毫者の小倉遊亀氏は、当時103歳の女流画家で、若い日を奈良で過ごさ れました。 (文 奈良市に万葉歌碑を建てる会 長岡玲子) 小倉遊亀 書