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第4回松本市子どもの権利検討委員会議録(PDF:416KB)

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第4回松本市子どもの権利検討委員会議録(PDF:416KB)
第4回 松本市子どもの権利検討委員会 議事録
平成23年9月7日(水)午前10時~
第一応接室(松本市役所 本庁舎3階)
1
開会
(こども育成課長)
本日は公私ともお忙しいなか、松本市子どもの権利検討委員会にご出席いただきまして
誠にありがとうございます。これから第4回松本市子どもの権利検討委員会を始めさせて
いただきます。はじめに委員長からごあいさつをお願いします。
2
あいさつ
(委員長)
おはようございます。前回、この委員会やテーマにつきまして貴重な意見をいただきま
してありがとうございました。今回は、性の問題を含めた「少年非行」について検討して
いくということで、私たちが今後の松本市の施策を検討していくうえでの前提となる問題
について、みなさんと検討を進めていきたいと思います。
また、日程調整等につきまして、いろいろご迷惑をおかけいたしましたけれども、全員
が集まるということは難しい状況ではありますが、出席したメンバーで議論を行い、その
議論を委員会全体で共有できるようにしながら進めていきたいと思います。今日はよろし
くお願いいたします。
(こども育成課長)
ありがとうございました。それでは、会議事項に入ります前に事務局のほうから、確認
事項がありますので、申し上げます。
先日、第3回目の議事録を皆様にお配りさせていただきました。その中で訂正個所等が
ございましたら、ここ1週間程度で事務局にお申し付けいただけたらと思います。
3
会 議
(1)子どもの状況について
ア 少年非行問題について
(委員長)
本日は、松本警察署生活安全課第一課長の横林弘康さん、松本性を語る会代表の後藤裕
子さんに、お忙しいなか来ていただきました。どうもありがとうございます。では早速、
松本市の子どもたちの状況を把握するということで、まず、松本警察署生活安全課第一課
長の横林さんの方から資料等の説明も含めて、状況を説明いただければと思います。よろ
しくお願いします。
-1-
(横林課長)
おはようございます。松本警察署生活安全第一課長の横林弘康と申します。よろしくお
願いします。座らせて説明させていただきます。本日は貴重な時間をいただきまして、あ
りがとうございました。非行状況等についてお話させていただきます。その前に、松本警
察署の犯罪情勢からお話したいと思いますが、松本警察署管内は、刑法犯認知件数は平成
14年がピークで4,900件ぐらいあったんですが、それから8年間連続で減少して、
昨年は2,999件ということで大幅に減少しているような状況です。ですが今年に入っ
てから、地域の住民のみなさんが身近に感じる街頭犯罪が大幅に増加しているような状況
で、自転車の盗難、車上狙い、器物損壊、その他に万引きといった被害が非常に増加して
いる状況であります。8月末現在、刑法犯は1,911件ということで、昨年の同時期に
比べまして88件増加、約5%増加傾向にあるということです。また、当署管内について
は、4月下旬にパチンコ景品交換所において、放火強盗殺人未遂という凶悪事件が発生し
ておりまして、街頭犯罪の他に、侵入盗犯罪、子どもや女性を対象にした犯罪や声かけ事
案が発生しているような状況です。またご存知のように、振込詐欺が非常に松本署管内多
くて、現在12件、2,800万円の被害ということで、今、一所懸命その対策もとって
います。まだまだ当署管内、予断を許さない状況であります。
次に、少年非行の状況についてお話したいと思います。お手元に資料をお配りしてあり
ますが、まだ8月末の集計ができていないものですから、7月末現在で申し訳ありません。
7月末現在、非行を犯した少年は200人になります。昨年の同期比で28人減少してい
ます。非行少年の総数は全体的に見て減少していますが、過去5年間では昨年に続いて2
番目に高い件数になっています。少年非行についても、依然として厳しい状況にあります。
内訳ですが、触法少年、罪とならない少年なのですが16人で、昨年同期比で34人減少
しております。犯罪少年については161人で、昨年同期比で17人減少していて、とも
に減少している状況にありますが、この夏休み中に万引き等で検挙された少年が非常に多
かったものですから、昨年より増加していると思われます。学職別ですが、中学生が55
人、前年比で35人減少しています。これが全体の31%を占めています。あと高校生が
86人ということで、前年比で16人増加、全体の49%を占めていて、ほとんどが中学
生・高校生で8割を占めているような状況です。資料をご覧のとおり、万引きがその中で
一番多くて89人で、全体の半分を占めている状況です。次に、占有離脱物横領ですが、
盗まれた自転車が放置されていて、それをさらに盗むというものですが、41人と前年比
で21人増加している状況です。
万引きにつきましても、小学生・中学生は減少傾向にありますが、高校生が増加してい
る状況です。万引きは、昨年から増加傾向にあって、昨年は一昨年に比べて100人ぐら
い増加していて、今年も同じような傾向にあります。どうしてこんなに多いかというと、
子どもたちの規範意識が非常に乏しいということと、商店等の万引きの被害額が非常に大
きいことから、店舗側が警備員等を雇って万引き防止に力を入れているということがあり
-2-
ます。実際に万引きをした子どもたちに取り調べをおこなって犯行の動機を聞いてみます
と、なんとなくとか、友だちがやっているからというような理由がほとんどです。なんと
なくという理由で、人のものを盗んだりしているような状況です。万引きは、品物が低額
な菓子とか飲食物等の食料品とか衣料品、最近中学生とか高校生で多いのは、つけ爪とか
つけまつげとかの化粧品を盗むものが多いです。所持金は持っていないわけではないが、
小遣いを使うのがもったいないとか、お金を払うのがもったいない、見つからなければい
いや、というような理由で犯行に及んでいるような形であります。
自転車の盗難についても、少年たちから聞くと、結局その時の足がなかったからという
理由がほとんどで、自転車は使い捨ての感覚でやっているような感じがあります。こんな
状況で、警察は今、小学生のうちから規範意識を醸成しようということで、学校や少年警
察ボランティアのみなさんの協力を得て、学校で万引き防止教室を開催して、子どもに考
えさせるような形で、万引きは犯罪なんだよということを教えているような状況です。ま
た万引きした子の親御さんの中には、警察に子どもを迎えに来た時に、お金さえ払えばい
いんじゃないのということで、そんな罪悪感に乏しい親御さんもいることは確かです。万
引きや自転車の盗難については、刑法の窃盗犯罪ということで、懲役10年以下、罰金5
0万以下という重い犯罪であり、大人であれば場合によっては逮捕されるような犯罪です
から、うちの方から、少年たちにも、親御さんたちにも、そういうことをよく話してわか
っていただきたいということで頑張っています。
少年を取り調べる際に、家のことなどについて聞きますと、少年はみんな、お父さんや
お母さん、先生も含めて大人とは話したことがあまりないと、半分以上の少年が、お父さ
んやお母さん、先生はいろいろうるさくて、いろいろ言われるんで、怒られるだけなんで、
話しても仕方ないというような形で、ほとんど家庭で会話していない状況が見えます。ま
た、お父さんやお母さんの名前を漢字で書けないとか、仕事を何やっているかわからない
とか、生年月日もわからないということが、ほとんどのお子さんに感じられることです。
親御さんについても、子どもの仲の良い友だちの名前とか、どこに遊びに行っているのか、
アルバイト先がわからないというような状況で、いかに家庭で会話していないかが感じら
れ、非常に寂しい思いをしています。
少年補導の状況ですが、7月末現在で558人補導しています。その主なものはやはり、
深夜徘徊、夜中11時過ぎに徘徊している少年を補導しているのが一番多いです。あと喫
煙が多い状況にあります。
次に、松本署で最近検挙した事例等についてお話させていただきます。まず、高校生に
よる脱衣場荒らし事件ということで、端緒は、大型店舗の化粧品売場のカウンター内に置
いてあった従業員のバッグを、隙を見て盗み取ったということです。防犯カメラから高校
生の犯行ということが分かりました。この少年については、犯行のその日、別の事件で、
温泉施設で脱衣場を荒らして、お金を盗むという犯行をしていて、その関係で、警察で取
調べをうけて、その帰りにまた同じ犯行をしました。取調べの際は、盗むことは悪いこと
-3-
だから、絶対にやらないというようなことを言っていましたが、その口も渇かないうちに、
また同じ犯行をしてしまったということで、逮捕した状況です。これについても、何回も
同じ犯行をするが、その度に反省はしているが、結局遊ぶお金が欲しいとかいうような形
で、親からお金がもらえないから、とりあえず盗んで遊ぶ金を作ろうということで犯行に
及んでいたような状況です。
あと覚せい剤の関係ですが、17歳の少女、家出中で自分の生活費とか遊ぶお金がない
と、どうやって捻出しようかということで、ケータイのサイトで働くところを探して、地
元だと顔が分かるということで、山梨の方の風俗店、いわゆるデリバリーヘルスという所
の募集を見て働くようになりました。ある時、暴力団の関係者がお客として呼ばれて、そ
こで覚せい剤を打たれたということです。何度も打たれたので、当時はなんともなかった
が、松本に帰ってきてから、幻覚症状とか幻聴とか始まって、自分でコンビニに飛び込ん
で警察に補導されたというような状況です。これについては現在、少年院に入って一生懸
命反省していると思います。
あと特異な例ですが、最近の事例で、15歳の少女を万引きで逮捕しました。これにつ
いては、当署管内で何回も万引きとか自転車の窃盗を繰り返しているもので、捕まった際、
警備員に暴れて怪我をさせそうになったので、逮捕という形になりました。この少女の生
い立ちをいろいろ聞きました。私も少年の関係をいろいろやっていますが、今時こんな子
がいるのかなというような生活をしている子どもでした。この子は中学校の3年生という
ことですが、母子家庭です。お母さんは飲食店に勤めていて、本人が小さい頃に離婚をし
て、お母さんに面倒を見てもらっているという状況ですが、そのお母さんが、その度に男
ができて、結婚したりということで、その度に引越していました。学校は通学区関係なく、
元いた学校に籍を置いていたんですが、本人は小学校4年からほとんど学校に通っていな
いと、その後中学に進級したわけですが、その間も引越しをして、住む場所は変わってい
るが、通学区外の所ということで籍を置いているが、今現在ほとんど学校に行っていない
状況です。通知表をもらっても、評価するところがないので、いつも斜めの線が引いてあ
るという状況。私は掛け算はできるけど、割り算はできないと、そのような子どもで、現
在、親と一緒に暮らしているのかなと思うのですが、本人は22歳の男性と同棲している
ような形でほとんど家に寄り付いていない。そのような状況で、学校に一応籍は置いてい
るが、学校の教育をほとんど受けていなくて、社会のルールを全く分かっていない。万引
きの理由も、欲しいものは盗むという生活を繰り返しているので、全く罪悪感がないとい
うような状況で、今回取調べにあたって、非常にショックを受けたような状況です。そん
な子がまだ松本市内にいるということで、普通に考えたら、どこかの外国じゃないかとい
うような形で、義務教育の小学校4年生から中学まで全く教育を受けていないというのが
非常にびっくりさせられました。
あと携帯電話の関係ですが、中学生・高校生の携帯電話の保有率がかなり高くなってい
て、当然学校生活では必要ないですが、学校生活以外で使われています。便利な反面、特
-4-
に高校生は、携帯電話を利用して犯罪の被害にあうケースが非常に多くなっています。昔
は出会い系サイトというのがあって、そこで男と出会って被害にあうというケースがあっ
たのですが、今、法律で規制されて、出会い系サイトはほとんどないですが、その代わり
に、今、流行りのモバゲーとかグリーというコミュニケーションサイトで、最初は匿名で
メールのやりとりをしているが、そのうちに、会いたいということになって、強盗とか強
姦、逮捕、監禁とか売春などの犯罪被害にあっているというケースが非常に多いです。表
に出て事件化するのは、ごく一部で、かなり中学生や高校生の中では被害にあっているケ
ースがあります。
以前に私が千曲にいた時にあったケースは、やはり中学3年生の女の子、ここもお父さ
んに育てられて、ほとんどお父さんと会話がない、学校に行っても友だちがいなく、不登
校という形で、その女の子が唯一自分の生きがいというか、拠り所にしていたのが携帯電
話で、その携帯電話のコミュニケーションサイトで、いろいろな人と知り合って、そのう
ちに、児童買春とか覚せい剤を打たれたとかいうような被害にあっているような状況もあ
りました。ですので、本当に今、携帯電話というのは便利ですが、親御さんはみなさん、
よく言いますが、ケータイさえ持っていれば連絡つくから大丈夫だと言いますが、ケータ
イを持たせるからには、やっぱり親がしっかり管理して、決め事をして、しっかり見てや
らないと、その影でいろいろなことをやって、被害にあうケースもありますので、そんな
こともご承知願いたいと思います。非行状況については以上です。
(委員長)
ありがとうございます。短い時間に的確にご報告いただきまして、ありがとうございま
した。まずこの問題につきまして、質疑をしたいと思います。いかがでしょうか。
(委員)
今の話をうかがって、すごいなと思ったんですが、小学4年生からずっと学校に行けて
ない子は松本の子ということですよね。ということはどこかの学校に籍を置いているとい
うことですよね。
(横林課長)
籍を置いているが、授業は受けずに、たまに学校から呼ばれれば行くが、ほとんど行っ
ていない状況です。
(委員)
4年生の時に先生がいろいろ対応をとられると思うが、そのケースを例に出していいか
わからないですが、せっかくの教育の機会を何年間もロスさせてしまうようなことになっ
てしまったのはなぜだろうと思った時に、やはり4年生の時の対応だと思いますが、その
あたりはどうなのでしょうか。
(横林課長)
補足ですが、その親御さんが放任状態というか、放置しているような状態で、自分の男
関係の方が激しくて、例えば、警察で補導したということで電話するが、面倒くさいから
-5-
行かないとか、児童相談所もかかわっていたこともありまして、呼び出すが本人は出ない。
先日も逮捕する前に犯罪を起こしたので電話したが、全く出なくて、本人に言ったら、警
察なんか放っておけばいいという話で、本人から連絡がきて、私からお母さんに伝えてお
きますというような状況でした。最終的に今回逮捕したわけですが、その時もお母さんは
来なくて、結局3ヶ月前に結婚した旦那さんが東京にいるんですが、その人に連絡がつい
て、その男性がほとんど彼女のこと知らないのに来てくれて、話をしているような状況。
本当に放棄しているような親御さん、そういう親だったから学校側も全く対応できなかっ
たと思います。
(委員)
そのお子さんは児童相談所の方で、措置として、離れて暮らしたりとかできなかったの
でしょうか。
(横林課長)
親御さんが犯罪を起こして捕まった時に、児童相談所に入っていますが、自分の好きな
生活をしているので、入っても、そのまま飛び出してどこかへ行ってしまうという状況で、
どうしようもない状況でした。
(委員長)
恐らく、こういうケースを分析すると、これがどうしてこうなったのかとかも含めて、
複雑な要因があるわけです。だからこそ、警察だけではなかなかうまくいかないし、いろ
いろな連携をどうやっていくかが問題になってくると思います。
(委員)
今、うかがったお話は、警察署で取り扱われた事例のご報告だと思うのですが、前回、
学校内での暴力の問題を聞いているのですが、今日丁度、朝のラジオのニュースでは、校
内暴力で、対教師とか、それから子ども同士の暴力の問題が、長野県でも増えているとい
うニュースでした。新聞にはまだ記事になっていなかったので、明日ぐらいに載るかもし
れないですが、昨年ですか、学校内暴力を警察の方で介入して解決をしたというニュース
を2回ほど新聞紙上で見た記憶があるのですが、こういう問題は、警察の方ではどんなふ
うに現状として見ているのでしょうか。暴力の問題はどうなのでしょうか。
(横林課長)
学校内で起こってくる問題については、学校の方から届出がない限り、われわれも知ら
ないところでありまして、例えば、学校外で生徒同士の問題があれば対応しています。私
が来てから、学校内の暴力とかの問題は、私の耳には入ってこないです。多分、学校内の
トラブルとかは学校内で処理していると思います。あまりひどいというようであれば、警
察の方に言ってきて、処理するような形になっていると思います。
(委員)
こういう子どもたちは、警察に逮捕されるということになるのですか
-6-
(横林課長)
少年が逮捕されるというのは、本当にまれな状況で、犯罪の性質とか、犯行の状況とか
で逮捕ということになります。通常は任意が原則ですから、そんな形で、例えば、警察で
事件をやって、家庭裁判所に送りますが、家庭裁判所の調査員が調べたりして、処分を決
めたりするというような形です。
(委員)
ここで数が多いのは、万引きとか盗難とか、重い犯罪ではないので、それは親御さんの
観察で。
(横林課長)
一応、その犯罪で警察で検挙した場合も警察で取り調べをうけて、親御さんに引渡しま
す。その後、書類が家庭裁判所に回っていって、この子の処遇についてはどうしようかと
いうことで、家庭裁判所の方で、例えば、保護観察が必要だなとか、生活している環境か
ら生活の強制も必要だから少年院に入れたほうがいいかなというような処分が出て、それ
によって対応することになっています。
(委員)
そういう子たちは、反省して、新たな道を歩み出すということが大事なことだと思いま
すので、仕組みがそうなっていても、その子たちを取り巻いている環境が、全体的に、み
んなで支えていく、見守っていくという環境にないと、その子自身もつらいものがあるの
ではないかと思います。
(横林課長)
警察だけでは駄目ですし、学校だけでも駄目だと思います。やはり家庭と学校と警察が
うまく連携してやらないと、非行はまた再犯したりということがあるので。
(委員)
先程、警察ボランティアによる万引き防止教室をされているというお話だったんですが、
これについてお伺いしたいのですが、これは、松本市内の各小中学校で年に1回とかで実
施しているのですか。
(横林課長)
小学校の高学年、4、5年を対象に行っていますが、なかなか学校のスケジュールが合
わないので、合うところからお願いして入れてもらっている状況です。
(委員)
警察の方からお願いしているということですね。そこでそういう時間をとってほしいと
いう思いがあるわけですね。あと万引きだけではなくて、性犯罪とか薬物のことも小学校
とかで実施しているわけですか。
(横林課長)
小学校・中学校に関しては、薬物乱用防止教室ということで依頼があればやっています。
-7-
(委員)
それは学校でなくても、PTAとか保護者の会みたいな所にも来ていただけますか。
(横林課長)
呼んでいただければ行きます。
(委員)
警察ボランティアという組織があるわけですか。
(横林課長)
少年警察ボランティアというものがありますが、その方たちは普段、警察と連携して街
頭補導とかやったりして、手が空いている方には学校の教室に来ていただいて、お手伝い
していただいている状況です。
(委員)
中心になってやっていただいているのは、警察ということですね。分かりました。
(委員長)
確認ですが、資料で平成23年は7月末の数字だと思うのですが、他の年度についても
7月末の数字ということでよろしいのでしょうか。また、全体的にどうなったかというこ
とも含めて、総数についても教えていただければと思います。
それから、今年度少し増加傾向にあるということで、その要因というのはどのようにお
考えでしょうか。
(横林課長)
やはり万引きが一番多いです。日によってですが、毎日5,6人は捕まっているという
状況です。店側も、警備員さんを配置したり、警察の方も警備会社に委託して、各大型店
舗で万引き防止のパトロールをしてもらっています。その時に結構捕まっているケースが
非常に多いです。
(委員長)
従来から結構あったけど、それが表面化してきたということですね。
(横林課長)
そうですね。以前は、万引きを店側で捕まえたとしても、警察が入るといろいろ手続き
があって、逆に業務の負担になってしまうので、届けないということもありました。万引
きの被害届の書類を簡単な形にして、なるべく負担をかけないようにということで改正し
たこともあるので、届出が多いかと思います。
(委員長)
補導の件で、深夜徘徊というのはありますか。これも増えているという実感でしょうか。
(横林課長)
特に夏場ですね。夏場に当直をやっていると、無線を聞いていると110番が松本ばか
り入ります。少年の飲酒、花火の苦情ということで、行けば必ず子どもたちがそこでやっ
ているということで補導する形になります。
-8-
(委員)
さっき万引きが大型店で多いということでしたが、多い店というのは特定されていると
いうのを聞いたことがあるのですが、やはりそういうことはありますか。
(横林課長)
そうですね。非常に万引きされやすい店舗というものがあるので、そこが非常にされや
すいです。
(委員)
そういう多い店への指導はしていますか。
(横林課長)
指導はしていますが、陳列方法は全国統一でやっているような状況のお店なので、なか
なか改善してもらえません。その分、防犯カメラをつけたり、警備員を増強していますが、
本当に多いです。
(委員長)
今の横林さんの話の中でもありましたが、子ども自身の存在確認とか、拠り所とか、居
場所をめぐる問題であったり、あるいは成育過程の問題であったり、親子のコミュニケー
ション等の問題や、さらに問題を解決していく時のケア意識の問題、あるいは家庭と学校
と地域、警察等とどういうふうに連携していくかなど、いろいろなことがこの問題からも
見えてきていると思います。これについてどのようにしていくかというのは、私たちの委
員会だけで、解決できるものではありませんけれども、そういうことを念頭に置きながら、
さらに議論を進めていきたいと思います。
続きまして、薬物の問題につきまして、ご報告いただければと思います。よろしくお願
いします。
イ 少年非行問題について
(田多井委員)
事前配布させていただいています資料に添って説明させていただきます。最近の特徴と
いたしまして、一般化、薬物や覚せい剤とかは、通常別の世界の話みたいな気がしますが、
実際には、一般の方が手に入れたり、使用したり、あるいはインターネットで売ったりと
かが非常に話題となっています。
薬物乱用とは何でしょうかということですが、簡単に言いますと、禁止されている薬物
を使うのは違法ですよね、これは当たり前なのですが、実は病院でもらった医薬品を不適
切に使うのが薬物乱用の第一歩です。私が常に思っているのは、日本人は子どもの前で薬
を簡単に飲みすぎるということです。薬で何とかしようとしすぎるということが民族的に
非常に多いと思います。これは、自分で勝手に考えてみたのですが、江戸時代にお医者さ
んにかかるということは、お医者さんが薬をくれるということです。今でも、薬は薬局に
売っていますが、薬はお医者さんでもらうものというイメージをする方が非常に多いと思
-9-
います。お医者さんに行ったけれども、実は薬が欲しいという動機の方がいらっしゃるか
と思いますが、実は、病気を治すのは自分自身であって、薬が治してくれるわけではあり
ません。薬は、病気を治すという、健康を守るという目的の中の一つの手段です。
薬物乱用については、薬を手に入れることが目的になってしまうという本末転倒で、そ
ういう人がいると思います。ちなみに、危険な薬物を使うということは、もちろんいけな
いことだと皆が知っていることだと思いますが、病院でもらった薬を違う人にあげること、
これがそもそも駄目です。もらった薬を飲むのも駄目、この原則が、もし十分に理解され
ているとすれば、子どもたちが誰かからもらったものを不用意に飲むことはないと思いま
す。大人がそういう意識を強く持たないといけません。お母さんが買ってきた薬とか、お
医者さんが直接ご本人に処方した薬だけ飲んでいい。例えば、友だちのお母さんが、友だ
ちの頭痛薬を買ってきて、たまたま遊びに行ったときにそれをもらうというのは、本当は
駄目です。なぜなら、遊びに行った子は、その薬に対するアレルギーがあるかもしれない
から。実際に、その子のことを知っているお父さんとかお母さんが与えた薬しか飲んでは
駄目です。だから、買ってきた薬とかお医者さんでもらった薬は、その人用の薬でない限
り、あげても駄目だし、もらっても駄目というのが大原則です。それさえ理解していれば、
怪しいものをもらった時に、これは薬ではないよ、健康食品だよ、サプリメントだよとも
らっても、その時の雰囲気で怪しいとは十分に分かると思いますが、そういうふうにだま
されて、薬を飲まされて、中毒にさせられることはないと思います。薬物乱用とはどうい
うことか大人がよく理解して、正しく伝えていくべきではないかと思います。
ちなみに、薬物乱用で何が困るかというと、いわゆる中毒です。薬物依存ということで、
危険な薬物は何で禁止されているかというと、脳が侵されて、1回使うと、薬物の記憶が
染み付いてしまってとれないということで、いろいろな症状がでてきます。薬物の種類は、
ご覧いただければ分かると思いますが、覚せい剤から始まって、MDMA、大麻、違法ド
ラッグとありますが、MDMAですが、綺麗な錠剤の形をしています。模様がついていて、
色がカラフルですが、こういうふうに薬っぽく見せなくして、危険という認識を下げると
いう工夫がされています。例えば、覚せい剤は、昔は注射を使って打つというのが多かっ
たと思いますが、注射を使って薬物を打つということ自体、すごく抵抗があります。でも、
こんなふうに綺麗な形をして、飲むだけというのは、非常に罪悪感とか抵抗が少なくなっ
てきて中毒にさせられる危険があります。たとえ誘われたとしても、注射打つよと言われ
たら、嫌だという人はいっぱいいると思いますが、みんなでこれ飲んでからカラオケ行こ
うとか言われたら、流されて飲んでしまう人もいると思います。繰り返しますが、もらっ
たものは飲むなということをお子さんには伝えさせてもらっています。
それから、違法ドラッグというものですが、昔は合法ドラッグという名前で紹介されて
いたものです。要するに、まだ危険性が証明されていなくて、禁止されていないだけのも
のです。売る方は、禁止されていないから安全ですよとか言葉巧みに、儲けのために売る
わけです。禁止されているかということと安全かどうかということは、全く別の問題です。
- 10 -
誘い方ですが、覚せい剤とかMDMAを使って中毒にさせてから、今度はお金を持って
きなさいということをする人がいて、あの手この手で薬物を使わせようとするわけです。
やせるよとか、夜眠れなくても大丈夫とか、こういう言葉で声をかけられるわけです。
薬物乱用のきっかけは、勧められるということがほとんどだと思います。自分から覚せ
い剤くださいという人、売っているところ探す人というのは、あまりいないと思います。
やはり誘われたという人がほとんどだと思います。友達の選び方だとか、付き合い方だと
か、もうひとつ言うと、普段の素行ですよね、深夜徘徊とかしていると、そういう仲間が
だんだん増えてきて、その中にはこういう悪い智恵をもっている人がいるかもしれない。
ということで普段の素行というのが重要な気がします。
先ほども言いましたが、自分で薬局で買った薬とか、お母さんお父さんが渡してくれる
薬しか飲んではいけません、これ以外は、たとえ薬ではなく健康食品だといわれても、一
切、体に取り入れないということです。
それから、覚せい剤検挙者数の推移ですが、全国の話で、全体的には右肩下がりかと思
います。中学生高校生でもこれだけの人が覚せい剤で捕まっているということなので、中
学生高校生あるいは小学生なんかも決して全然違う世界の話ではない、現実に中毒になっ
ている人もいますということです。先ほどの横林さんの話でもあったとおり、松本管内で
も未成年で覚せい済で捕まった例もあるということで、本当に違う世界の話ではなくて、
松本にも現実にあるということです。
国でも県でも実際に薬物乱用防止対策がとられていますが、松本市の薬物乱用防止対策
ということで、ここにまとめてみました。これ以外にもたくさんあると思います。酒井法
子と押尾学が逮捕されてから、有名な芸能人だけに影響があるということで、松本市も早
速、薬物乱用防止対策研究会というものを立ち上げていただきまして、平成21年より積
極的に薬物乱用防止対策に取り組んでいます。ということで、青少年問題協議会でいろい
ろな報告をしたり、啓発活動などを行っています。
小中学校における薬物乱用防止啓発講座ということで、警察・保健所・薬剤師会の方に
依頼があって、行っています。昨年実績とか載せれば良かったのですが、昨年私は18校
行きました。他でもいろいろな所で話はしますが、薬剤師会で報告が挙がってこないもの
を含めると30箇所ぐらい行っているかと思います。保健所の方、警察の方で20箇所以
上行っているかと思いますので、結構いろいろな所で、お子さんに対する啓発は行われて
いると思います。これを毎年1回でもいいから小学校から、いわゆる、ゲートウェイと言
われている、たばことかお酒から始まって、なぜいけないのか、実際にどういうことにな
ってしまうのか、ということを小学校で1回、中学校で1回、最低でも勉強をしておくと、
そういう子たちが大人になった時に、薬物に対する認識というのは変わってくるはずです。
やはり、薬物とはどういうものかという認識のない大人が多い世の中と、薬物とはどうい
うものか分かっている大人が多い世の中とは絶対違うと思います。地道ではありますが、
これから大人になる子どもたちに、最初の1回をやらせないということを目的に行ってい
- 11 -
ます。
それから、薬物乱用防止相談窓口ですが、電話窓口は警察にも保健所にもありますが、
薬剤師会の方では、薬剤師は一般市民の方ですので、学校の先生とか警察には言いにくい
こととか、ちょっとした相談でも、薬剤師にはしてくれるのかなという発想がきっかけで、
この手法が適切かどうかまだ検討中ですが、電子メール、ホームページ上で質問を受け付
ける窓口を作りました。アルプちゃんのキャラクターが入っていて、QRコードで読み取
るとアクセスできるようなステッカーとポケットティッシュを作って、それを街頭で配っ
たりしています。松本市の方で、同じデザインのカレンダーカードを作っていただいて、
昨年中学校を卒業される全卒業生にお配りをしました。これからケータイを持つという子
たちに配っていただいたということです。
最後ですが、ここが今日のメインの話となります。こういう講演をして12年目になり
ますが、昨年から件数が増えたので、今まではお話をして終わりでしたが、学校にお願い
して、感想と質問を書いてくださいという紙を配って、回収して、質問にはお答えするよ
うにしています。そのなかでいただいたお子さんの率直な意見とか、質問だとか、代表的
なものをいくつか報告させていただきます。まず、子どもたちも興味のない方はたいして
返ってこないです。たばこはなぜ売っているのですかとか、覚せい剤はどうやったら手に
入るのですかとか、そういった質問をする子もいます。中には、何か自分の思うことがあ
って書いてくると思うのですが、
「自分の中ではうまくストレスを解消できているつもりだ
けど、将来耐えられなくなった時はどうしたらいいのか?」という質問がありました。自
分に対して少し自信があるけど、ちょっと心配もあるというあらわれだと思いますが、こ
れに対しては、学校の先生よりはちょっとくだけた感じでお答えをしました。単純な答え
を返すこともできますが、大人に相談して真剣に考えてくれたということを分かっていた
だきたくて、長くお答えしましたけれども、失敗することを恐れないで、やってみてくだ
さいとか、こんなことをしたらいいじゃないですかとかを書きましたが、こういう子はこ
ういうアドバイスをしてあげるといいと思って、私なりに考えたものです。
それから、この子はちょっと問題だと思って書きましたが、感想の所に、
「決定権は、成
人したら自分にある」と書いてあります。決定権は何かというと、覚せい剤を使うかどう
か自分で決めるということです。講演を聞いて、覚せい剤はどういうものが分かったけど、
それを使うかどうかは私の自由でしょ、大人になったら自由でしょということを言ってい
ます。ちょっと気持ちが病んでいるのかなと思って見ていたら、覚せい剤をやって、幻覚
を見て、飛び降りて死んでしまったという人の話をしたら、こう返ってきたんですね、い
わゆるその人の自由ではないかということが言いたいみたいです。必ずしも不幸なのか、
なぜ生きなければならないのかと言ってきたので、何かこういう信号を発信している子に
対しても、真剣に答えを返しましたということをわかってほしくていっぱい書きました。
内容は本当に適切かどうかわからないですが、まず、生きるということに対して、普通に
生活できるこういう国に住んでいることに感謝するべきで、自分がそういう生活をするた
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めに、いろいろな人がそれぞれ自分の仕事をやっているし、学生だったら将来大人になっ
て地域を支えるために、勉強することとか、嫌なことに耐えることもひとつの勉強ですよ
ということをお返ししたつもりです。二人のお子さんの感想とか質問を紹介しましたけど、
こういう答えを返しましたという報告です。
それから、お酒とかたばことか誘われて、ちょっと吸ってみようとか、最初は軽い乗り
だったかもしれないが、それが結局薬物乱用の入口になります。やはり普段の素行ですね、
学校のきまりが守れないとか、夜遊ぶとか、万引きをするとか、こういうことで段々悪い
仲間が増えていって、行き着くところは薬物乱用ですよということも紹介させてもらって
います。
必ず締めくくりで言っていますが、薬物乱用によって失うことということで、刑務所の
こととか、薬に囚われるといくことは、話をする中でわかっていただいていると思います
が、やはり社会復帰できるとは限らないということです。病院で治らないんです。田代ま
さしとか何回も捕まっているわけですが、結局、本人がだらしないわけではなくて、やめ
られないんです。覚せい剤の力は恐ろしくて、いかにやめようとしてもやめられないです。
最終的には、約3分の1しか社会復帰できません。社会復帰というのは、治療が終わるだ
けではなくて、自分で稼いで、自分で生活できるのが社会復帰で、その数字が35%とい
うことです。ちなみに、社会復帰をした人ですが、ある人にうかがったところ、15歳で
覚せい剤で捕まって、社会復帰したのが32歳でした。そういう17年というその人の時
間をどう考えるかということをわかっていただきたくて、このスライドで最後まとめるよ
うにしています。以上で報告を終わります。
(委員)
大変興味深いお話をわかりやすく説明していただきありがとうございました。子どもた
ちが素直に感想や質問を出したものに対して、真剣に答えていただく、そういった姿勢と
いうのが本当に大事なことだし、将来きっとその子にとっては、田多井さんの話だなとい
うのが残ると思います。今はあまりないですけど、私どもが子どもたちと面接する中で、
飲酒とか喫煙とかで、児童相談所で会うお子さんたちとお話をしていると、なんで大人は
飲酒、喫煙はいいけど、子どもはいけないのかという質問をだいたいみんな言います。大
人の脳はしっかりしているけど、子どもの脳は未熟だから、そういうのでいろいろ影響す
ると困るんじゃないと返すのが、わりと多いかと思いますが、そういう質問が子どもから
きたら、田多井さんはどういうふうに返すのか教えていただければと思います。
(田多井委員)
お酒で話をしだすと、お酒だけで1時間以上の話になってしまうので、お酒については
簡単に、アルコールは薬物ですよという話だけにとどめています。たばこの場合は、なぜ
大人がいいけど、子どもは駄目かというのは、重要なポイントなので、講演の中心にして
います。どういうふうに話すかというと、結論から先にいうと、大人でも絶対駄目だとい
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う話をします。大人でもたばこは駄目なんです。子どものうちは、なぜ法律まで作ってわ
ざわざ制限しているかというと、たばこというのは毒物だけではないんですね、発がん性
物質とかもちろん体に良くないですが、煙の中に一酸化炭素という物質が含まれていて、
それが体の中の酸素の働きを邪魔します。酸素が足りないと、食べた栄養がエネルギーと
して働かないので、頭の働きが悪くなるし、体の動きも悪くなります。息を止めたままス
ポーツできますかという例えもしています。ということで中学生とか高校生みたいに、勉
強もしたり、スポーツもしたりして、大人になる前に能力を身につけてなければいけない
その時期に、たばこの一酸化炭素で、脳とか筋肉の働きを悪くしていいのかということを
伝えています。
それともう1点が、データを見せて、たばこを吸い始めた年齢の早さと死亡率の相関図、
それと、たばこを吸い始めた年齢と禁煙の失敗率の相関図について説明します。もちろん
早く吸い始めた人の方が、禁煙も失敗するし、死亡率も高くなります。これどういうこと
かというと、適応という話をしていまして、3歳から水泳を習っていた子と大人になって
から泳げるようになった人では、どちらがたくさん泳げるようになったでしょうかと、分
かりますけど、子どもの頃から水泳をしている人のほうがたくさん泳げます、水の中で動
ける体になっているからです。例えば、13歳でたばこを吸い始めた人と30歳でたばこ
を吸い始めた人とどちらが影響あるでしょうと、13歳から吸い始めた子はたばこを吸う
体になってしまいます。という例えをして、子どもからたばこを吸っているほうが影響が
非常に大きいですと。大人でもよくないけど、わざわざ法律まで作って、未成年はたばこ
はいけませんよという理由はここにありますと言っています。でも、たばこをポイ捨てし
ている大人を見たりだとか、家庭に子どもがいるのにたばこを吸っている大人を見て、ひ
どいことをするなと思ったら、そういう大人にならないでくださいと言っています。
(後藤先生)
かつて私は養護教諭をしていました。やせられるとかダイエットという誘いは、子ども
たちにとってはすごく魅力的な言葉です。特に女の子は。私が体験したことですが、
「ピル
ボックス」ってお聞きになったことありますか。ピンク色の綺麗な袋に入っていました。
先生あげると言って女の子が持ってきてくれました。触ってみたら、チョコレートが入っ
ている感覚でした。それをもらった時がちょうど2月だったので、バレンタインの余りを
いただいたのかと思って、ありがとうという感覚で思っていました。もらったことをすっ
かり忘れてしまい、半月くらいしてから空けてみたら、カプセルが出てきました。すごく
びっくりしました。本当にクスリが入っているカプセルのようで、これは何だろうと思っ
て、学校の薬剤師さんのところに持っていきました。中身を調べてもらえないかと相談し
たのですが、それを調べるためには15万ぐらいかかると言われたので、インターネット
で調べてみました。そしたら、
「ピルボックス」がでてきて、痩せるためにと書いてありま
した。その生徒に聞いたら、やはりインターネットで取り寄せたということでした。一箱
がすごく高くて、5,6千円します。そういうお金をどこからどう捻出して取り寄せたの
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か、そういうものが簡単に手に入るというのに驚きました。カプセルを空けたら中から粉
のようなものがでてきて異様な臭いがしました。カプセルの中身は不明です。
子どもたちは、インターネットとか大人以上にこなせます。もう一つ驚いたことは、バ
イアグラを取り寄せて、飲んだ子がいました。本当にこういう時代なんだということで、
驚きました。なので、覚せい剤なんか、そういう所で簡単に手に入るのではないかと恐ろ
しさを感じていますが、インターネットでそういったものが簡単に取り寄せられるのかど
うかということをお聞きしたいです。
(田多井委員)
インターネットの問題は薬物だけではないです。薬物のこと以上に、最近ではメディア
リテラシーというのが非常に重要な問題だと思います。薬物の売買については、警察の方
でも一生懸命、いろいろなサイトを探しては、摘発とかしていただいていると思いますが、
結局、いたちごっこになっています。実際に、サプリメントの類、やせ薬だとか、バイア
グラみたいなものは、山ほどあって、簡単に手に入るかと思います。ただ、バイアグラな
んかはネットで販売しているのは、その行為自体違法だと思います。薬物の違反ではなく
て、薬事法の違反にあたると思います。それは良くないのですが、実際にネットで買えて
しまうというのが現状だと思います。
覚せい剤とかMDMAの類は、たぶん一般の人にはわからない言葉で書いてあります。
トルコ製じゅうたんを1kg入荷しましたということが、トルコから大麻1kg入荷した
ということらしいです。分かる人にしか、分からないように書いてあるらしいので、そう
いうものをお子さんが見て、わざわざアクセスをして見て買っているというのは、よほど、
詳しい人でないと分からないような状態だと思います。
お子さんで非常に問題なのは、もらうということ、友達にあげるという行為です。手に
入ったらみんなに見てもらいたのですが、前にACで覚せい剤の広告をやっていて、女の
子がチェコレートの缶を持ってきて、やせるよと言って教室で配っているCMがありまし
た。実は中身が覚せい剤で、だんだん、無いと困るんだよ、また売ってよ、みたいなこと
になっていって、最後は泣いてわめいているようなところで終わるCMがあります。それ
が現状だし、そういうのが問題だと思います。だから、突然クラスメイトからもらったも
のが危険な薬物だったと、実際に薬じゃないチョコレートみたいになっているというのが
現実。それで、友だちからもらったものでも飲むなというお話をさせていただいています。
余談ですが、ダイエット、痩せるというのは、痩せ薬というのは、だいたい効果がない
とは言いませんけど、買った人が期待するほどのものではありません。一般的にネットと
かで売っているダイエットサプリメントというのは、飲んでもたいした害はないし、あっ
ても下痢するぐらいだと思います。覚せい剤になると、実際に服用してから、何日も何日
も眠くもならないし、お腹もすきません。つまりテンションが上がったままだから、そう
いうことになりますので、何日も食べてないから痩せるということだけで、薬の効果で体
脂肪が減るということでは決してないということです。だから、痩せるよと言ってもらっ
- 15 -
て、それは嘘ではないかもしれないけど、それが本人が望んだ痩せ方かどうかというのは
また違う話だと思います。
(委員長)
小中学校における薬物乱用防止啓発講座というのは、基本的には講演会ですか。
(田多井委員)
講演です。
(委員長)
学校がこうやりますということで、田多井さんがこういうことどうですかとか働きかけ
をしてやっているのですか。
(田多井委員)
この小中学校における薬物乱用防止啓発講座は、一昨年までは、学校の方から各学校に
担当の薬剤師がいて、学校薬剤師に連絡がいって、要望があれば行なっています。ところ
が、酒井法子が捕まったということで、松本市のこども育成課さんの方で、校長会に通知
を出してもらって、こういう講座を用意したのでやってくださいといって、それに対して
申込みをしてもらっています。松本市の方で取りまとめをしていただいているので、この
ように啓発運動が広がったということです。個人的に、志学館に行ったりとか、来月も白
馬中学へ行きますが、いろいろな所で話をしているので、そういうのが口コミで広がって、
声がかかるようになって、呼ばれるようになりました。松本市外のところではこれから広
がっていくのではないかと思います。
(委員長)
メールによる相談窓口というのは、これは薬剤師会のホームページにアクセスするのか、
それとも田多井さんの方に直接ですか。
(田多井委員)
一応、薬剤師会のホームページ内に質問フォームを開設しましたが、一般の方が薬剤師
会のホームページからリンクで飛ぼうかと思ったら、それはできません。直接、窓口のア
ドレスにアクセスしないとできないようになっています。ホームページでは見られないペ
ージには質問内容がのるようになっていますが、その通知が私の所に来ることになってい
ます。ただ、パスワードさえ分かれば、誰でも見られる環境にはなっています。
(委員長)
先ほどの全中学卒業生に配布したというのは、アドレスが載っているものが配布された
ということですか。
(田多井委員)
そうです。そこにあるQRコードをケータイで読み込んで、直接メール送信フォームに
アクセスできるようなホームページになっています。
(委員長)
メールによる相談というのは増えていますか。
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(田多井委員)
今の所、1件もありません。無いことはいいことだと思いますが、ひとつは、アクセス
した所に、よくある質問と答えをつけてあります。1回だけなら乱用になりませんか、1
回でも乱用ですと書いてあるので、見ただけでもある程度分かるかなと思います。もうひ
とつは、これが適切かどうか分からないのですが、いわゆる、官庁じゃない、警察でも先
生でもない、市民として相談できる、まちのおじさんに相談してねということで、その手
法を考えたのですが、最終的にはメールになってしまいました。実は、学校に出入りして
いる薬剤師、先生ではない、おじさんやおばさんに相談してよというのが、そもそもの発
想でした。いわゆる、講演に伺うとかで薬剤師が学校に行く機会を増やして、子どもたち
に気軽に相談してもらえるような、学校でなくても店に来て、実はお母さんがこんな薬飲
んじゃったけどとか、こんな相談でもしてもらえるような状況の松本市になったらいいな
と思ってやっています。
(委員長)
ありがとうございました。続きまして、松本性を語る会代表の後藤裕子さんにお話いた
だきたいと思います。よろしくお願いします。
ウ 性非行問題について
(後藤先生)
松本性を語る会と、もうひとつ、今年の5月からあがたの森で青少年の居場所で週1日、
水曜日に「まちかど保健室」というのを、こども育成課のご支援をいただきながら、立ち
上げました。子どもたちからの性の相談等もありますので、このことも含めて、お話をさ
せていただきたいと思います。できるだけ、子どもたちの性の実態をお話いただきたいと
いう話でしたが、なかなかここで具体的に話をするというのは、重たい中身が多いもので
すから、厳しいものもありますが、実態を知っていただいたほうが大事かと思いますので、
実態からお話をさせていただきます。資料3ページのところに「私は高校1年生です」と
いう出だしがあります。中学から高校に送った生徒から相談があった子どもからの手紙で
す。その手紙を、子どもが書いてくれた通りに載せたもので、紹介します。
私は高校1年生です。このまえ、性感染症になりました。性感染症のこわさは充分わか
っていたつもりだったけどなってみてはじめて、こわさをしりました。中学の時の保健の
先生を訪ねて、夏休み中学校に行きました。性感染症になったというと性感染症の話をし
てくれました。気持ち的にかなり焦っていたので、先生の話を聞いてすごく楽になりまし
た。
セックスは簡単にするものじゃないってことも思わされて、私は保健の先生に相談して
本当によかったと思いました。自分の気持ち次第で、性感染症は防げるものだと学び、セ
ックスはやりたいからやるんじゃなくて、先を見通しながら、信頼できる相手とじゃなき
ゃやっちゃいけないことだし、中高生がすることじゃないし、やりたいって気持ちだけで
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やることじゃないし、本当に自分が好きな相手とじゃなきゃ、やってもすごくつらく、さ
びしくなるだけだから、私はもう絶対、性感染症になりたくないから、愛のないセックス
や信頼できない人とのセックスはやりません。性感染症のこわさはなってみなきゃわから
ないし、けど、なってからじゃ遅いんです。だから中学生にはしっかりとした性教育を受
けさせてあげて、性感染症におかされる子どもが出ないように、子どもたちに伝えてゆく
べきだと思います。
そして、かかってしまった子どもが出ちゃったら、私のようにみんな、ちゃんと面倒を
見てくれる先生がいるわけじゃないと思うから、そういう子を、保健の先生みたいな先生
をたくさん増やして助けてあげてほしい。私はそう思います。
という手紙をいただきました。この子は、私がいた時の中学生だったのですが、塾へ通
っていた時に、塾というのは、いろいろな学校の子どもたちとの出会いの場所にもなって
います。そこで知り合った子とセックス体験をしていたんですね。不安があったのでしょ
う。自分から友達に話してしまって、次から次へといろいろなところに伝わってしまい、
男の子たちからは、あいつは簡単にやらせてくれるというレッテルもついてしまったほど
で、非常に私自身も悩んでしまった一人でした。何回かこの子とは話をしまして、高校に
送ったのですが、高校生になって、こういう相談をしてきました。私の力不足を反省しな
がら、再度、性感染症とかセックスって何なのかということを、しっかりと向き合って話
しをすると、子どもは、聞く耳を持ちます。このままじゃいけない、こんなことじゃいけ
ないということが分かっていく子どもだということもわかりました。
それで、この子自身の手紙からいくつかのことを提案してくれているのですが、やはり
学校もそうですし、大人たちは逃げないで、きちんと子どもたちと性のことで向き合える
大人にならないと、今の状況からは何の解決も見出せないのではないかと思っています。
そういう意味で私は、この3月で学校を退職しまして、今、あがたの森の方で仕事をさせ
てもらっていますが、性の相談というのも、いくつか受けてきました。今日のタイトルは
性非行となっているのですが、個人的には非行と捉えないで、もうちょっと子どもたちが、
そういう欲求の年齢にあるんだという視点にたって、大人たちが子どもたちと向き合って
いかないと、非行で向き合ってしまうと、駄目駄目駄目になっていってしまう。それは解
決していかないのではないか、そういう所で性教育というのは非常に大事なポジションに
あるということをお伝えしていきたいなと思っています。
実態をあげれば、本当にいろいろなことがありましたけれども、現在20歳になる女の
子がいるのですが、その子は中学卒業と同時に、出産しました。この子は、8ヶ月まで妊
娠していることを誰にも言えなかったのです。(気付いてあげられなかった。)父子家庭で
父親しかいなくて、6ヶ月頃、最近太ってきたなとか、おかしいなと思って、妊娠してい
るんじゃないかと娘に聞いたようなんだけど、娘は妊娠したとは、なかなか言えなくて、
いよいよ8ヶ月になった時、隠せなくなってきて、実は妊娠しているんだということを父
親に話した。びっくりした父親が慌てて病院に連れていった。病院でも年齢見たらまだ1
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5歳、中学卒業したばかりで、母親はいないし、大変だということが分かって、それで、
病院から市の健康づくり課の方に相談がいったようです。助産師さんから私の方に連絡を
いただいて、そこで私たちも初めて知ったというような状況でした。とにかく、ここで産
むという状況が出てきたわけですので、産んでからのケアをきちんとしていかなければい
けないということで、市の方たちにも本当にお世話になりました。今20歳ですが3人目
のお子さんが今年産まれました。20歳で3人のお子さんを育てているのですが、偶然、
街でその家族に出会って、相手の男の子も、もちろん知っている子で、二人とも高校には
行かないで、仕事をしながら、そういう選択をして家庭を築いていくという方向に向かっ
たわけです。年齢のわりには男の子がしっかりしてみえました。両方とも母子家庭、父子
家庭という環境でしたので、責任持って大人になるまで育てるんだよということがとても
言えなかったです。なので、子どものことを考えて、子どもが不幸にならないようにとい
うことを伝えることが精一杯でした。そしたら、男の子から、あたりまえじゃん、俺はす
ごくつらかったと言われました。
今、3人の子どもを育てながら、働きながら、一生懸命やっていますが、私が心配する
のは、この関係が崩れた時です。崩れた時に子どもたちはどうなっていくのだろうかとい
うことをすごく心配しています。月に1回ぐらいは、メールをしたりしながら、元気でい
るかという、安否確認ではないですが、そんなこともしています。それから、今、虐待の
問題もありますので、そんなことも含めて、たまに会ったりとか、様子を見に行ったりと
か、私ができることを支援させてもらっています。
中学時代も学校にはほとんど来ていませんでした。彼女の話だと、私は何人の人と関係
があったのだろうというくらい、いろいろな人と関係があって、心配になって保健所に行
って検査をしてもらったりとか、そんなこともしてきた子どもです。今、二人の関係が安
定しているので、大人の支援ってすごく大事なんだということを感じています。
それから、さきほどの手紙の子ですが、21歳になりますが、結婚をして、今年出産を
しました。
それから、もっと大変な子どもさんで、検査に行くたびに、クラミジアで陽性になって
しまう子もいます。それでも、検査をしていきながら、自分の体のことをもっと大切にで
きるようになってくれるといいなと思います。本来なら、親に話をして、親が病院に連れ
ていって、親としっかり向き合ってほしいのですが、家庭がもうそんな状況ではないんで
す。なので、私は子どもをつれて、保険証とお金だけはいただいて、病院につれていって
検査を毎年受けさせている子もいます。
とにかく、私はそういう子たちとの関係を切ってはいけないなと思います。20歳ぐら
いになる子どもたちですが、心配な子どもとは連絡を取り合いながら、今どうしてるとい
う声掛けをしています。
まだまだそんな実態の話は、たくさんあります。そういう子たちはごく一部だという声
が、残念ながら聞こえてくるのですが、そんな子がたくさんいたら困りますよね。一部だ
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からという問題ではないと思います。そこの所を私たち大人はきちんと受け止めて、一部
であっても、一人であっても、その子を救っていかなければいけない義務があるし、責任
があると思います。そういう視点で、学校も社会も地域も、みんながその子どもを守って
いかなくてはいけないと思っています。
そんな子どもたちと現役の時に、保健室で向き合いながら、とにかく性教育をなんとか
していかなければいけないなという思いで、微力ながら性教育をやってきた思いがありま
す。なかなか性教育も厳しいものがありまして、子どもの実態とはなかなか合わないよう
な指導方法を示されているのも現実です。ですが、こういう子どもたち、この手紙からも
分かるように、子どもたちは真剣です。決して卑猥ではないです。真剣になって受け止め
て欲しいというメッセージをいっぱいしてきている。ですので、大人が逃げては駄目なん
じゃないかということをつくづくと思っています。
次に、資料1ページにあるアンケート調査ですが、中学3年生に性交について聞いてみ
ました。男女で分けてみましたが、セックスしてもいいと思うかという問いに、男女とも
に6割近くは肯定しています。こんなに大勢の子が肯定しているのかということで、すご
くびっくりしました。こういう現実を私たち知らなくてはいけないなと思いました。この
子たちはセックスしているわけではなくて、いいというふうに捉えています。理由を見て
も、正しい知識があればいいとか、責任を持てればいいとか、個人の自由とか、避妊すれ
ばいいとか、そういうふうな意見です。女の子たちの中にも、中学生だからとか、大人だ
からってそんなこと決まっていない、子どもをつくるためだけではないとか、良いとは思
わないが、駄目とも思わないとか、あるいは生きていく上で避けて通れない、いつするか
は人によって違う、早い遅いは関係ないとか、知識や責任が持てれば良いと思うというよ
うな意見です。この理由をどう受け止めるのか、なんだこいつはと思うのか、子どもたち
はこんなに真剣に考えていたのか、受け止め方ひとつで、すごく方向性違ってくると思い
ます。私自身は、すごいな、子どもたちは性に対してこんなふうに受け止めていたんだと
驚きました。だからこそ、この子たちには本気で性教育をやらなくてはいけないなという
ことを思い知らされました。
そういう中で、学校保健会を開きまして、学校だけではなく、医療の専門家である産婦
人科のドクターを招いて、現実の話をしていただきました。その時にすごく印象的に残っ
たのは、妊娠や中絶や性感染症は16歳に多いということを教えてくれました。16歳(高
校1年生)がネックということは、中学生でやっておかなくては駄目なんです。なので、
私が中学にいた時、その言葉を重く受け止めながら、性教育を私なりに進めてきました。
同様の調査を厚生労働省がやっていました。中高校生が三つのことを答えていました。
一つは、危ないことは危ないと教えてほしい。二つ目は、恥ずかしがらずに堂々と教えて
ほしい。三つ目は、中学生はセックスしないという前提の話はしらける。この三つがあり
ました。本当に子どもたちは一生懸命私たちに、きちんと教えてほしいということ、しっ
かりと子どもと向き合ってほしいということを言っていると思いました。そうはいっても、
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私たち大人は、子ども時代、性教育を学んできていません。何をどう教えたらいいのとい
う段階です。それから、大学の教育学部でも性教育というところはありません。本当に現
場に出て、子どもたちとこういう実態を向き合って、なんなんだ、性教育、と右往左往す
るのが現実です。
学んできていなから仕方ないですが、子どもたちの性や性交の捉え方が、こういう認識
である一方で、大人の性交に対する認識というのは非常に低い。その理由ですが、なぜ語
られにくいかというと、妊娠や出産は語りやすい、命の誕生だとか生命の誕生だとか、ど
うして生まれてきたのかといって、親から作文を書いてきてもらって、読み上げると、そ
れは感動的です。でも、それで子どもたちが、性交に対して認識が変わるかというと、変
わっていかないです。そういう命とか生命誕生では限界です。そういう中で、私たち大人
は、性交が語りにくくて苦労していますが、そうした背景の中には、性とか性交を語るも
のではないと私たちは教えられてきました。私も家の中では、そういうことを語ったこと
もないし、家族で語ったこともないし、性のことについて口で語るものではないというそ
ういう意識がありました。言われなくても、なんとなく雰囲気で感じとっていました。
これは日本の伝統的な性意識の中で、性は人格と無縁なもので、下半身つまり性器の問
題として扱われてきたものです。特にポルノ的なもの、職場などでは笑いで済まされる、
そういうことは得意だと思いますが、それをきちんと人権や人格として捉えていくという
ことになると、誰も語られなくなってしまう。ある意味では、日本の性意識の低さがこう
いう所に出ているのではないかと思います。性を、対等な人間同士の触れ合いとか、コミ
ュニケーション、人間対人間、男と女、男と男、女と女、こういう人達との触れ合いによ
って、出てくるものです。本当は大事なコミュニケーション、こういうことがすごく薄い。
性というとすぐセックスとイコールになってしまう。こういう傾向は、男性に強いような
気がします。それには理由があって、女性というのは、月経とか、性交の不安とか、妊娠、
中絶、そういったことに対して、自分の健康を考える上でも、性の問題と生きるというこ
とでは切り離せなかった。男性も同じはずです。女性だけで、妊娠や性交や中絶も起こる
わけではありませんので。でも、そういうことを男性が考えられるようには育てられてい
なかったという歴史があります。
そういうことで、じゃあ女性の性意識が高いかというと、そうではないです。相変わら
ず、望まない妊娠をしている女性だって、子どもに限らず、30歳になったって、40歳
になったっているわけです。40歳の主婦の中絶が非常に多いというデータも出ています
そういう意味で、避妊のことをきちんと夫婦で話し合えない、女性の性意識も非常に低い
ということです。私たち大人は、きちんと性のことを語られるように、勉強する必要があ
ります。
それから、中高校生の性交と子ども観についてですが、非行の問題とかいろいろな問題
がありますが、子どもたちがなぜそんなふうにして、暴力をふるったり、覚せい剤にまで
手を染めたりとか、性交にまでいかなくてはならないのか、そういうことを私たち大人が
- 21 -
真剣に向き合って話したことがあるだろうか。駄目駄目駄目、そんなことしてはいけない
という話はしているかもしれないけど、なんで子どもたちがそういう所に行くのかという
ことを真剣に語っていただろうかということを提案したいと思います。文科省の方から、
学校で性交を教えるな、性器を教えるなということを言われますが、アルコールやたばこ
や薬物も、学校で教えてはいけないということになる。理由として、そういうことを教え
れば、性交する、セックスをする人が増えるからと言います。そういうことになれば、ア
ルコールや薬物について話せば、真似をする人がいるから、やってはいけないということ
になる。なぜ性交を教えたら、セックスする人が増えるのか、性教育だけそういうのかと
いうことに、非常に私は疑問があります。
中高校生の性交について、2~3割が体験しているというふうに言われています。実際
にはどのくらいか、プライバシーのことなので、あなたしていますかというようには、な
かなか聞けません。男女でいうと、女子の方が増加傾向にあります。どんなに増加しても、
7~8割の人は体験してないのです。じゃあ、わずかな子どもたち、すすんでいる子ども
たちだけ集めて、指導すればいいじゃないかと言われたこともあります。そういう子たち
を集めて、あなたはすすんでいるからとか、わずかな子どもの一人だからとか言って、ど
こかに集めて、性教育をやるよと言ったら、この子たちはどう思うでしょうか。何でと、
怒りますよね。こんなことで私たちは差別されるのかという意識を持つと思います。そう
いうことしたら性教育を学ぶ気持ちにはならないと思います。それこそ、人権にかかわる
問題ではないかと思います。
未熟な年齢の子どもたちが、本来大人の行動である性交を体験するにはそれなりの理由
があります。例えば、家庭や学校、地域のどこにも居場所がない子どもたちは、性体験が
早いです。さびしい子どもにとってのセックスは最低限のスキンシップです。小さい時か
ら家庭、学校、地域の中で、思いやりとか責任感とか安全感覚の三つが育てられないまま
中高生になってしまった子どもは、体は大人だけに気軽に性交に走れてしまいます。また、
性情報もあふれるほど、嫌というほど耳に入ってきます。そういうものを見ていたら、当
然こういう状況が生まれてくることは、想像できることです。その中で、望まない妊娠、
中絶、性感染症になる子どもたちは、この三つの人間関係が弱いです。
このような子どもたちに、性交を語るから、避妊を教えるから、自慰をすすめるからと
いう抑止的なことで子どもたちの性交を減少させることができるのでしょうか。性的なト
ラブルを起こす子どもというのは、その子の「生」に問題があるからです。生活に問題が
あるから、家庭の問題が大きいと思います。
「生」の中の問題が最も正直に本音としてでて
くるのが「性」の問題だと思います。
ですので、こういう所を私たちはきちんと受け止めていきたいと思います。こういうこ
とをきちんと教えて、学んで、この手紙を書いてくれた子のように、変わっていける子ど
ももいます。生きづらさを感じている子どもたちに、豊かさを与えていく、そういう社会
にしていかないと、性だけを見ていても変わっていかないと思います。
- 22 -
(委員)
後藤先生とは、平成20年に学校で一緒でした。先生方が性教育をうまく教えられない
という時には、後藤先生が先頭に立って、先生方を指導していただきました。私がすごく
印象に残っているのは、平成20年に教育課程研究協議会というのがありまして、松本と
塩筑、塩尻、東筑摩の養護教諭が集まって、授業公開をして、研究協議をしました。その
時の授業がとても素晴らしい授業で、後藤先生にご指導いただいて、指導案を作り上げた
のですが、普通性教育というと、生徒が下を向く授業がとても多いです。弱ったな、何を
言えばいいかなとか、こういうのが多いですが、うちの学校で公開した授業が、2年生で
やったのですが、男の子も女の子もにこにこと自分の事も語るし、友達の事も語るんです。
それまでの性教育の積み上げが、後藤先生がしっかりと指導計画を立てたうえでの公開授
業ということもあったと思いますが、生徒が明るく語っている姿、性をこれだけ語れる、
この姿だろうなとその時感じました。松塩筑の養護教諭、性教育に関心のある先生方が集
まってきますが、後藤先生が関わっているということで、長野県下、いろいろな地区から
来ました。その先生方が感想で言うのは、これこそ性教育だ、すごく褒めていただきまし
た。
資料にもありますが、男の子は、なかなか語れないです。女の子の方が語れます。男の
子をどうもっていくか、ここのところがポイントだと思います。私も、性教育を受けてこ
なくて育った年代ですが、後藤先生と何度か一緒になって、やはり教育というのは出会い
かなと感じました。後藤先生に教わったことが、今財産になっています。
(委員長)
私どものこの委員会は、性の問題イコール非行とか、性交イコール非行とか考えている
わけではないです。どういうふうにその問題を捉えればいいかという所から、検討してい
きたいということです。まさしくおっしゃるように、性の問題は、生きるとか生活の問題
という捉え方が、子どもの権利という視点からしてもすごく重要なことだと思います。子
ども自身がきちんと認識をして自覚をしていける力を持っているということから働きかけ
をするということについては、この委員会の共通の所になりつつあるものです。貴重なご
提言ありがとうございました。
こういう実態をつかむと同時に、それぞれでいろいろな取組みをしていることを、いか
に松本市全体でサポートしていくか、そういうシステムや環境を作っていくのかというこ
とが、私どもの委員会の重要な目的であります。その意味で、三人の方から、個人的な考
えで結構ですので、市として、家庭と学校、地域あるいは警察等との連携を含めて、もっ
とこういうふうな取組みとか、こういうようなことをやってくれれば自分達のこれまでの
取組みというのが進むんだという、ご意見がありましたらお願いしたいと思います。
(横林課長)
万引きの件でいきますと、万引きさせない環境を作るのも、我々の責任ではないかと思
います。自転車の盗難もそうですが、これから背負っていく若い世代の子どもたちを犯罪
- 23 -
者にさせないというような形で、社会全体で、自転車だったら、盗まれない環境にすると
か、いうものをみんなで考えてやっていけばいいかなと思います。
(田多井委員)
松本市は結構進んでいるほうだと思います。薬物乱用防止啓発に関して言えば、市内の
小中学校には声をかけていただいているということなので、大変すばらしいことだと思い
ます。ただ、問題は、知識を子どもたちに与えて、こういう質問に答えられるようにして
いますが、大人が見本をみせない限り、実際に説得力がないということです。子どもの前
で薬を簡単に飲みすぎるというのがあるので、薬に頼らない健康づくりとか、実際に今、
お子さんの薬というのは、行政が費用を負担して、薬代が返ってきてしまう。虫さされで
病院に行く人もいます。病気を治すのはあくまでも、自分の自然治癒力とか免疫力を上げ
るような健康づくりの啓発。
もうひとつは、やっていただければありがたいと思っているのは、たばこを吸えないま
ちにしてほしいと思います。歩行喫煙とかポイ捨てを子どもたちは見ていますので、たば
こを吸われる方は悪い方ではない、たばこを吸うことは悪いことではない、吸ったり、捨
ててしまうことを悪いことだと思っていない、認識がないというのが、子どもたちが見て
いますので、それを無いようにしてほしい。本当に子どもから質問があります。何で店の
中でたばこを吸っているのか、店に入る前にたばこを消してくださいということで、灰皿
を置いてあるんですよ、そこに行けばたばこを吸えるという人がほとんどなんですよ。そ
もそも、受動喫煙ということを考えると、何箇所かは、公衆トイレみたいなものがあって、
そこで吸ったら煙が出てこないとか、そういうのがあったら、たばこを吸う人もそこに行
けばたばこを吸える、たばこを吸う権利もそこで行使できるなということも思っています。
たばこを買うのに免許が必要にすればいいとか、税金を上げればいいなとか個人的には思
いますが、子どもたちの前で、薬とか、たばことか、お酒も変な飲み方をしているところ
を人に見せないような大人をつくることだろうと思います。
(後藤先生)
今朝、NHKで性のことをやっていました。ママが知らない子どもたちの性というタイ
トルで、援助交際をしている子どもたちの話しを取り上げていました。その中で、出会い
系サイトはやれないことになっていて、やれないと次から次へと大人はいろいろなことを
考えるんだなと思いましたが、こういうふうに言っていました。JK、ホ、別、一五、@、
三池、これでいくと出会い系サイトにつながるそうです。JKというのは、女子高生のこ
とです。ホが、ホテル。別は、ホテル代別という意味です。一五は、一万五千円。@三池
は、池袋で。ここでいくと、出会い系のような所につながるそうです。これは子どもには
教えられないことで。こうやって大人たちは次から次へと、いろいろなことを考えながら、
子どもを相手にしていくのですが、こうして考えると大人の問題って本当に大きいなと思
います。
それから、援助交際という言葉そのものが悪いという話でした。しっかり売春だと言っ
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ていかないと、きれいごとになってしまうのです。きちんと売春という言葉を出していく
べきだということを言っていましたし、援助交際をしているという子どもがFAXで送っ
てきていたのですが、一人でいたくない、誰かといたい、私はお金がほしいのではなくて、
愛がほしいと言っていました。本当に寂しい子どもたち、寂しいと言っても、いろいろな
寂しいがあると思うのですが、寂しさというのをきちんと分析していかないと、また方向
が違ってしまうかと思います。子どもたちが居づらい環境の中にいるんだなということだ
けははっきりしているのかなと思います。
(2)子どもの権利について
(委員長)
一方でいろいろな問題を起こした子どもが、なんで起こしたのかということも含めて、
検討すると同時に、その問題をどう見ればいいのか、その子どもたちがどういうようにし
たら立ち直っていったのかということを検討しながら、そのために必要な施策や環境づく
りというものを、引き続き検討していきたいと思います。実際に起こった問題から、子ど
もたちがどう立ち直っていくのかという時に、そういうことを通じて、その予防というか、
防止の取組みにはどんなことがあるのかということも検討していければと思います。
さて、予定した時間がそろそろ来ました。もう一つ、それぞれの分野でどんなことが起
こっているのかという話を、取り組みをなさっている部署や方からお話を聞くのと同時に、
子どものアンケート調査やヒアリングをしながら、子どもの実態を把握していきたいとい
うことで、どんな調査があるのかということについて、事務局の方で整理してもらったも
のがあります。これについては、実際に調査票があったほうがみなさんのイメージもわき
やすいと思います。実際にアンケート調査している自治体はまだ相当数あります。今回、
ピックアップした所は、条例を作っているところと条例を検討している所という形でピッ
クアップしていただきました。実際、どういう項目で、どういう方法でやられているのか
というのを合わせて、資料としてみなさんにお配りをする中で、参考にしていただければ
と思います。これは、次回にまわさせていただきたいと思います。
さて次回ですが、障害のある子どもの問題や外国籍の子どもの問題、あるいは、性的マ
イノリティの子どもの問題というのが、まだ未検討です。日程的にはなかなかみんなが集
まれるという状況ではないですが、次回予定している9月29日に、障害のある子どもの
問題状況、外国籍の子どもの問題状況、もし報告できる人がいたら、性的マイノリティの
子どもの問題を取り上げるということにしたいと思うのですが、いかがでしょうか。次回
ぐらいで、個々のそれぞれのテーマというのを終えて、そこから見えてくるものを念頭に
おきながら、子どもたち自身に聞くということで、アンケートをとったり、みなさんから
取り組んでいる子どもの状況というのをお話いただきながら、子どもの現状について、把
握する。それをどうもっていくのかということについては、ひとつは「松本市子ども白書」
というような形で、子どもの実態や子どもに対する施策や子どもに関わる取組みというこ
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とを、ひとつに整理して、関係部署と関係課さらに市民とをつないでいく、そういう基礎
資料というものを作っていきたい。これらは、松本市における子ども施策を、そういう基
礎的なデータや取組み等を踏まえながら、どのように進めていくかという議論のもとにし
ていきたいと考えています。
それでは、丁度時間になりましたので、この委員会を終わりにしたいと思います。貴重
な時間いただきまして、横林さん、後藤さん、そして田多井さん、本当にありがとうござ
いました。私たちは、さらにみなさんにいろいろな意見をいただきながら、この委員会の
議論をいっそう充実させていきたいと思います。この委員会はあと1年半ぐらい続くかと
思いますので、引き続きお付き合いいただければと思います。今日はありがとうございま
した。
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