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新公協 108 号

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新公協 108 号
新 協 1 0 9 4 号
平成19年11月27日
産業構造審議会消費経済部会
特定商取引小委員会
委員長
松
本
恒
雄
殿
社団法人日本新聞協会
販
売
委員長
委
員
有
会
澤
満
紀
特定商取引法改正に関する日本新聞協会販売委員会の意見
当委員会は、貴小委員会で審議されている特定商取引法改正について、運用によっては
新聞販売に大きな影響を及ぼすことになると考えますので、当委員会として以下のとおり
意見を申し述べます。
貴小委員会での審議にあたっては、営業の自由、新聞の持つ公共的役割に十分配慮され
るよう要望いたします。
11月21日開催の当委員会では、経済産業省の安井正也・消費経済政策課長を招き、
意見交換を行いましたが、その際当委員会委員から出された意見を別紙に添付いたします。
貴小委員会におかれましては、これら新聞界の意見を踏まえ、過剰な規制が生じることの
ないよう慎重な検討をお願いいたします。
記
1.法改正の趣旨は、悪質事業者から高齢者などを保護することであるはずだが、勧誘
を拒絶する消費者に対する勧誘の禁止および勧誘意思の確認義務が、すべての訪問販
売に導入されることになれば、営業活動の自由が侵害される恐れがある。規制強化は
本来の趣旨に限定し、悪質事業者の違法な行為自体を取り締まれば足りるものであり、
通常の営業行為は規制すべきでない。入り口の段階で、幅広く営業行為に規制の網を
かけることは、過剰な規制につながる。
2.新聞は、極めて公共性の高い商品であり、広く読まれ普及することによってその公
共的役割を果たすことができる。その普及の方法については、これまで訪問販売を主
体にし、94%という世界的にみても最高水準の戸別配達率を達成してきた。こうし
た新聞の公共的役割を妨げるような過度な規制はすべきではない。一方、消費者から
の苦情については、各社ごとに苦情・相談窓口を設置し、解決している。また、特定
商取引法の指定商品として、新聞セールス近代化センターを設立し、悪質セールスの
排除に努めるなど、自主的な改善努力を積み重ねてきた経緯があることも、ぜひご理
解いただきたい。
以
上
(別紙)
規制は本来の趣旨に限定すべきで、正常な営業行為まで規制すべきではない
○悪質商法の被害に対応するため消費者契約法を改正するとの報道があった。消費者契約
法を改正するのであれば、特商法をあえて改正する必要はないのではないか。
○飲酒運転の場合、すべての飲酒運転を取り締まることはできないが、発覚者には罰則を
厳しくしている。罰則を厳しくし、会社が実害を受けるように取り締まれば、一罰百戒
で悪質な訪問販売が減るのではないか。
○玄関に「セールスお断り」
「赤ちゃんが寝ています」などのステッカーを張る家庭が増え
ている。ステッカーを意思表示としては認めないとのことだが、再勧誘禁止の規定が導
入されれば、事実上こうした世帯への訪問ができなくなる。禁止される勧誘の概念が拡
大され、セールス自体ができなくなってしまうことを懸念する。
○新聞は公益的な商品であり、商品自体に欠陥はない。このような商品と、布団やリフォ
ームなどの悪質業者が販売する商品を同一視するのか。再勧誘の禁止と拒絶意思の確認
という二つの入り口規制を、すべての商品に一律に適用するのか。
○新聞界にとっては急激かつ過剰な入り口規制であり、新聞を含む健全な商品を一律に規
制するのは好ましくない。
拒絶の意思表示について
○消費者が勧誘を拒絶する旨の意思表示をした場合、勧誘が禁止されるということだが、
新聞の場合、「今、○○新聞を取っていますので、△△新聞はいりません」「新聞は読ん
でいません」と、断られるところから勧誘が始まる。こうした規定が導入されれば、本
来自由な営業活動まで規制されることになり、過剰規制にならないか。
○消費者の拒絶の意思表示をどのように確認するのか。「だめ」と言っても、今、忙しいの
で「だめ」という場合もあるし、本当にいやだと思っている場合もあるだろう。セール
スの実態を考えないで、一律に規制を導入するのは、過剰規制ではないか。
再勧誘が禁止される期間について
○いったん消費者から勧誘を拒絶されたら、未来永劫にわたり勧誘ができないということ
なのか。
○全国で5千万部を超える新聞が発行されており、極端に言えば、その数だけ訪問活動が
行われている。例えば、1月から3月まで3か月の新聞購読契約がある場合、新聞購読
が始まって1か月が経過した2月には、契約期間が切れた後の4月以降の購読継続の勧
誘が行われている。消費者からのクレームは多いかもしれないが、新聞の勧誘は分母が
大きい。東京都の消費生活センターに寄せられる新聞勧誘の苦情件数は、絶対数でいえ
ばまだ大きいが、4パーセント減少している。
業界が実施している自主規制について
○新聞は業界内で様々な努力を続けてきており、新聞セール近代化センターの設置や、自
主ルールである公正競争規約を運用している。また、社の取り組みとして読者センター
を設置し、読者からの苦情・トラブルなどについて365日24時間体制で受け付け、
解決している。問題とされている悪質業者と違い、すべての新聞社が一切問題から逃げ
ない姿勢をとっている。そのことを評価してほしい。
○業界の自浄努力として新聞セールス近代化センターがある。そこでは事件を起こした者
に対して厳重注意、除名などの厳格な措置を取っている。法改正により訪問活動が萎縮
の方向に向かうと、全国で月間数千万回の訪問活動により維持されている現在の発行部
数が維持されなくなる。さらに、活字離れの状況下、発行部数は急激に減少し、新聞業
界の疲弊につながるのではないかと危惧している。業界としても、さらなる自浄努力を
続けていくので、それを斟酌したうえで、27日に開催する小委員会に臨んでいただき
たい。
新聞界の意見を反映したか
○経産省から新聞側に法改正の説明があったのは9月25日で、既に小委員会の中間とり
まとめが公表され、パブリックコメントの募集も終了した時点だった。今日出された意
見については、今後の審議に十分反映していただきたい。
○小委員会では、新聞販売について議論していないとのことだが、どのような経緯でそう
なったのか。
その他
○6月の中間報告では、入り口規制である意思確認義務と再勧誘禁止について、内容が不
明確なままパブリックコメントが募集され、締め切られたのではないか。
○勧誘ではない通常の訪問は、規制の対象となるのか。「新聞購読をお願いします」と言え
ば勧誘だが、「1週間試読紙を読んで、現在購読中の新聞と比べるアンケートにご協力
お願いします」という一般の訪問を、勧誘と区別することができないのではないか。
○新聞の持つ公共性ゆえに、再販制度と特殊指定が認められている。2005年7月には
文字・活字文化振興法が制定された。活字文化の普及に新聞の勧誘は不可欠である。特
定商取引法改正が、活字文化の普及・推進の足かせになることがないよう要望したい。
○新聞は店頭に品揃えをして顧客を待つものではない。世界に誇るべき戸別配達制度が維
持されているのは、訪問販売があってのものである。新聞の発行部数および普及度の高
さも、この戸別配達制度があるからであり、今回の法改正が、世界に誇るべき戸別配達
制度の崩壊につながりかねないという危惧をいだいている。新聞の果たしている公共的
な役割を含めて、今回の法改正では新聞業界の意見を十分に反映させるよう、小委員会
での審議に臨んでほしい。
以
上
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