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中国:石油・天然ガス消費鈍化の要因と今後の見通し

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中国:石油・天然ガス消費鈍化の要因と今後の見通し
更新日:2015/3/19
調査部:竹原 美佳
公開可
中国:石油・天然ガス消費鈍化の要因と今後の見通し
 中国の石油需要は 2013 年に続き鈍化。輸送部門におけるガソリン・ジェット燃料の消費は好調だ
が、軽油の消費が低迷。
 石油だけではなく、天然ガス・電力の伸びも鈍化、石炭は減少に転じた。
 エネルギー消費は、①経済の減速、構造の変化、②エネルギー効率の向上・③環境政策(大気汚
染・気候変動)により鈍化した。またエネルギー毎の個別要因も存在する。
 石油需要鈍化の個別要因に電化や天然ガス自動車の隆盛による軽油消費の低迷があげられる。
 今後の石油需要(中期)は油価の変動よりも在庫増強政策や輸送燃料の需要が鍵となる。
 天然ガスは環境政策により発電・熱供給、交通輸送、家庭用消費が伸びた。石油に比べ消費は伸び
ているが、2010 年以降若干鈍化傾向にある。特に 2014 年の消費・輸入の伸びは過去最低。
 天然ガス需要・輸入鈍化の個別要因として価格統制、値上げ、油価の下落があげられる。
 今後の天然ガス需要(中期)は環境・価格政策、電力改革が鍵となる。
1.中国の石油需給
(1)2014 年の需給実績
①中国の石油需要は 2013 年に続き鈍化
IEA の Monthly Oil Market Report(2015 年 2 月)によると 2014 年の石油消費は対前年比 2.8 %
増(28 万b/dの増加)の1,038 万b/dであった。2013 年(同2.9%増)に続き需要の鈍化が鮮明である(図
1)。2014 年下期以降国際原油価格が下落し、中国の原油平均輸入価格は 6 割下落したが、精製処理
量は小幅な上昇にとどまり、油価下落による需要の底上げ効果はこれまでのところ限定的にみえる。
②原油輸入増加に在庫要因。原油輸出の縮小、石油製品輸出の拡大続く。
新華社によると原油の生産は 420 万b/d(同0.7%増、4 万b/d 増加)と横ばいで、中西部の長慶油田の
生産の伸びが堅調であった。海関(通関)統計によると、石油(原油・石油製品)の純輸入は 616 万 b/d
(前年比 6%、33 万 b/d 増加)であり、見かけ消費(原油生産プラス石油純輸入)は 1,036 万 b/d(前年比
3.7%、36 万 b/d 増加)、対外依存度は 58%であった。
原油の純輸入は前年比 10%増の 616 万 b/d で石油消費に比べ高い伸びを示したが、製油所や石油
1
貯蔵設備の新増設など在庫要因があると見られている。輸出は 1 万 b/d(同 63%減)で縮小傾向が続い
ている。統計上は北朝鮮向けの原油輸出が行われていないが、実際は継続しているという見方がある。
石油製品の純輸入は 1 万b/d(97%減、22 万b/d の減少)であった。精製企業は供給過剰や精製マージ
ンの悪化により採算下限付近の稼働率で操業を行い、余剰製品を輸出に回しており、一年の半分は輸
出が輸入を上回った。
12
18%
100万バレル/日
16%
10
14%
8
12%
10%
6
8%
4
6%
4%
2
2%
0
0%
石油消費
国内供給
消費増加率(%)
図 1:石油需給(2000~2015 年)
IEA にもとづき作成(2015 年は見通し)
参考Ⅰ:サウジアラビアからの原油輸入減少、イラク・イラン・ロシアからの輸入増加
原油の上位輸入相手先は順位の変動があった。サウジアラビアからの原油輸入は前年比 8%減(8 万
b/d 減少)の 99 万 b/d で 1998 年以来初めて減少に転じた(図 2)。首位は維持したが、輸入全体に占め
る比率は前年の 18%から 16%に落ちた。
上位国のうちロシア、イラン、イラク、オマーンからの輸入は伸びた。特にロシアからの輸入は長期契約
の増量により前年比 17 万 b/d 増加の 66 万 b/d となった。同国はオマーンを抜き第 3 位の輸入国に浮
上、輸入全体に占める比率は 8%から 11%に上昇した。イランからの輸入は欧米の同国への核開発に
対する制裁が始まった 2012 年以降 2 割程度減少(45 万 b/d 前後)していたが、2014 年は制裁前の水
準(約 55 万 b/d)に戻った。イラクからの輸入は権益原油の輸入が増加したことや売買契約が増量したこ
とで 10 万 b/d 増加の 57 万 b/d となり、イランを上回った。オマーンからの輸入も 9 万 b/d 増加した。2
位のアンゴラからの輸入は横ばいの 81 万 b/d であった。
2
120
100
サウジアラビア
16%
その他
32%
80
60
アンゴラ
13%
イラン
9%
40
20
ロシア
11%
イラク
9%
-
オマーン
10%
2010年
2011年
2012年
2013年
サウジアラビア
アンゴラ
ロシア
イラン
イラク
オマーン
2014年
図 2:中国の主要原油輸入国と輸入推移(2004~2014 年)、新華社 China OGP にもとづき作成
③主要石油製品:ガソリン伸長、軽油低迷、重油減少
中国の石油消費の約 7 割を占める主要石油製品(ガソリン、軽油、ジェット燃料・灯油、重油)の消費は
前年比 4%増(33 万b/d の増加)であった(図3)。モータリゼーションの進展(特に乗用車)を受け、ガソリ
ン消費の伸びは前年比 14%増と主要石油製品中最も高い。石油消費の 3 割を占める軽油の消費は 2%
増にとどまっており、製油所はガソリンの生産を増やしている。ガソリン対軽油比は前年の 1:1.76 から 1:
1.6 に低下した。
航空燃料需要の増加により、ジェット燃料・灯油は前年比 9%増と伸びている。しかし重油の消費は
11%減少した。減少の理由は、主に山東省に存在する小規模独立系製油所が、石油製品の低硫黄化政
策(参考Ⅱ)にもとづき、原料を高硫黄重油(HSFO)などの石油製品から原油に切り替えたことによる。こ
の他本稿では詳述しないが、石化原料をナフサから LPG に切り替える動きがあり、ナフサの見かけ消費
が 2.5%増と低迷する一方で 2014 年の LPG の純輸入量は倍増し、550 万 t となった。
13-14年増減
(万b/d)
13-14年増減
(%)
40
40%
30
30%
20
20%
10
10%
0
0%
-10
-10%
-20
-20%
ガソリン
軽油
ジェット・灯油
重油
主要製品
図 3:主要石油製品消費の増減(2013~2014 年)、Platts 等にもとづき作成
3
参考Ⅱ:低硫黄化政策
中国は大気環境改善のためガソリンと軽油の低硫黄化を進めている。2015 年までに北京、上海、広東
などの三大都市圏で、また 2017 年までに全国で「国 5」基準(硫黄含有 10ppm 以下)のガソリン・軽油を
導入する計画となっており、一部の都市では既に導入されている(表 1)。
表 1:石油製品の品質向上ロードマップ(2014 年 9 月現在)
出所:JOGMEC 石油・天然ガスレビュー(2014 年 9 月)
(3) エネルギー消費鈍化の共通要因:構造転換、エネルギー効率向上・環境政策
消費が鈍化したのは石油だけではない。石炭消費は前年比 2.2%減(13 年は 3.7%増)、天然ガス消費
は 9%増(13 年は 12%増)、電力消費は 3.8%増(13 年は 7.5%増)といずれも成長が鈍化あるいは減少
に転じている。
2015 年 2 月 26 日に国家統計局が発表した「2014 年の国民経済と社会発展の統計公報」(以下、「統
計公報」)によると、2014 年の中国における国内総生産(GDP)の伸び率は 2013 年の 7.7%から 24 年
ぶりの低さとなる 7.4%にとどまった。同国はこの状況を“新常態”(New Normal;経済の減速、重工業か
らハイテク産業、投資主導から消費・サービス産業主導への構造転換)と称している。2015 年 3 月の全
人代において李克強首相は 2015 年の GDP の伸び率について 7%前後を目指す(前年の 7.5%前後か
ら 0.5 ポイント下げ)とした上で、経済の減速はエネルギー政策(エネルギー消費抑制や価格改革)実現
の好機と述べた。
中国は 2011 年から 2015 年までの第 12 次五カ年計画(以下、12・5 計画)において 2015 年の GDP
単位(1 万元創出)あたりのエネルギー消費を 2010 年比で 16%削減する目標を設定しているが、2014
年は 4.8%の削減(累計 13.8%の削減)となり、目標は達成できそうだ(2015 年は 3.1%削減する目標を
4
設定)。また 12・5 計画期間中には石油製品や天然ガス価格制度の見直し、再生可能エネルギーによる
発電の固定買い取り価格制度(FIT)の導入などエネルギー価格改革が行われている。
中国政府は深刻な大気汚染を改善するため、2013 年9 月に「大気汚染防止行動計画」を発表した。石
炭消費の抑制と非化石エネルギー比率の向上、天然ガスの利用拡大、ガソリン・軽油の低硫黄化(前掲、
参考Ⅱ)などの目標が設定されている(参考Ⅲ)。また 2014 年 11 月には「エネルギー発展戦略行動計
画(2014~2020 年)」を公表した。同計画では四点の戦略方針(節約の優先、国内資源への立脚、グリ
ーン・低炭素、技術革新)および 2014 年から 2020 年までのエネルギー消費・排出抑制やインフラ整備
に関する目標が示された(表 2)。
エネルギー発展戦略行動計画では 2020 年に水力・風力・原子力などの非化石エネルギーが一次エ
ネルギーに占める比率を 15%とする目標を設定しているが、「統計公報」によると 2014 年は 11.2%で前
年の 9.8%から順調に伸びている。天然ガスは環境政策において利用を拡大する位置付けだが非化石
エネルギーとの競合にさらされている。このように中国におけるエネルギー消費は経済減速、エネルギ
ー効率向上、環境問題への対応などの要因により鈍化・減少しているが、その他にエネルギー源毎の要
因も存在する。
参考Ⅲ「大気汚染防止行動計画」のポイント(2013 年 9 月 10 日、国務院 国発【2013】37 号)
・2017 年までに全国の PM10 濃度を 10%抑制、排出を 2012 年レベルに抑制。
・一次エネルギー消費に占める石炭の比率を 2017 年までに 65%、非化石エネルギーを 13%とする。
・重点都市(13 地域 47 都市)における石炭火力発電所の新設を禁止。鉄鋼、石化、セメント、有色金属、
化学プラントならびに石炭ボイラー新設の禁止。
・三大都市圏の産業用燃料を石炭から天然ガスに置換(2017 年までに石炭ボイラー、産業用ボイラー、
自家発(石炭)の天然ガスへの転換を基本的に完了)。
・家庭用について石炭から天然ガスへの燃料転換を優先的に行う。
・天然ガスのコジェネレーションを奨励、化学工業への利用は制限。
・ピーク調整用の天然ガス発電所については秩序ある整備は可、ベースロードの天然ガス火力発電所
の新設は原則不可。
・ガソリン、自動車用軽油ともに「国 5」基準、(硫黄含有量の指標規制値をユーロⅤ相当の 10ppm とす
る)の導入を 2017 年までに目指す(三大都市圏(北京・天津・河北ならびに揚子江、珠江デルタ地域)の
重点都市については 2015 年末までに「国 5」基準のガソリン・軽油(硫黄含有量の指標規制値 10ppm)
を供給)。
5
・船舶用重油は徐々に硫黄分を 2000ppm 以下とする。
表 2:中国のエネルギー政策数値目標
エネルギー発展戦
略行動計画
(14年11月公示)
エネルギー産業の大気汚染防止作業計画に関する通知
(14年5月公示)
一次エネル
ギー消費に
占める消費
の比率
石炭
2013年
(実績)
67.5%
天然ガス
原子力発電
設備容量
原子力
発電量
再生可能エ
ネルギー設
備容量、利
用量
2017年
-
2020年
65%以下
62%以下
5.1%
7%
9%
10%以上
9.6%
1,461
3,180
1,106
11.40%
4,000
1,800
2,000
13%
5,000
3,000
2,800
15%
5,800
3,000
28,002
7,548
N.A
N.A
29,000
10,000
3,500
5,000
33,000
15,000
7,000
7,000
N.A
2,000
非化石エネルギー
稼働中(万kW)
建設中(万kW)
(億kWh)
水力(万kW)
風力(万kW)
太陽光(万kW)
バイオ利用
(万toe)
地熱利用
(熱供給)
(万toe)
2015年
-
35,000
20,000
10,000
5,000
「エネルギー産業の大気汚染防止作業計画に関する通知」および「エネルギー発展戦略行動計画」にも
とづき作成(2013 年実績は各種資料にもとづき JOGMEC 加筆)
石油需要鈍化の要因
1-(1)-③で示した通り、中国における石油需要の鈍化は軽油によるところが大きい。軽油消費の 6
~7 割は交通・輸送向けで、需要の鈍化は他のエネルギーとの共通要因である経済減速の他に他の燃
料への代替が進展したことがあげられる。
【石油需要鈍化:他のエネルギーとの共通要因】経済の減速
貨物の道路輸送量は増加しているが、伸びは鈍化している。「2014 国内外油ガス業界発展報告」(以
下、「油ガス報告」)によると、道路における貨物輸送量(2014 年 1-11 月)は 9.8%増加したが、経済減速
と工業生産の低迷に伴い、伸びは前年同期比で 2.9 ポイント下落した。同時期の商用車(主に軽油)の
販売は 7.1%減少しており、同時期の乗用車(主にガソリン)販売の 9.8%増に比べ低迷している。
6
【石油需要鈍化:個別要因(軽油)】他のエネルギーへの代替進展
2014 年11 月 21 日に日本エネルギー経済研究所と CNPC 経済技術研究院が共同で開催したシンポ
ジウムにおいて、CNPC の発表者は軽油需要鈍化の原因について鉄道の電化や天然ガス自動車の隆
盛など石油から他のエネルギーへの転換を指摘した上で、低成長は 2030 年頃まで続く見通しと述べた。
天然ガス自動車は改造車があり全体像を把握することは難しいが、「油ガス報告」によると 2005 年の 9.7
万台から 2014 年に 230 万台に増加(主に CNG 車、LNG 車は推計 14 万台)しており、充填ステーショ
ンも約 6,000 か所(うち LNG 充填ステーションが 2,000 か所)あるようだ。天然ガス自動車は四川(重慶)、
新疆、陝西省など西部の産ガス地周辺に多いが、東・南部沿海地域でも増えている模様である。
「中国能源(エネルギー)発展報告 2014」(以下、「能源報告」)によると、軽油消費は 2005 年から 2012
年にかけて倍増(約 130 万 b/d 増加)したが、農業・漁業、鉄道・水運、鉱工業・建築の消費はいずれも
落ちている(図 4)。農業部門の軽油消費は 2005 年から 2013 年にかけて 4 割(推計 10 万b/d)落ちた。
「油ガス報告」によると 2014 年末の農機具の動力は 10.54 億kW に達しており、電化が進んだことにより
軽油消費が落ちているようだ。鉄道・水運部門の軽油消費は 2005 年から 2013 年にかけて推計 14%(3
万 b/d)落ちた。中国の鉄道における電化区間は 2006 年の 2.4 万キロ(電化率 39%)から 2013 年には
5.6 万キロ(電化率 84%)へと拡大している(日中鉄道友好推進協議会調べ)。ちなみに日本の鉄道の電
化率は 55%で中国はロシアについで鉄道の電化が進んでいるということだ。鉱工業・建築部門の消費は
2005 年から 2013 年にかけて推計 14%(6 万 b/d 相当)落ちた。「油ガス報告」は電力の需給がバランス
したことで発電向けの需要が減少したと分析している。その他 2005 年から 2013 年にかけて推計 14 万
b/d 相当消費が伸びているが詳細は不明である。
15
万b/d
10
5
0
農業・漁業
鉄道・水運
鉱工業・建築
-5
-10
-15
図 4:軽油消費が鈍化した部門(2005 年・2013 年)
7
「中国能源発展報告 2014」(推計)にもとづき作成
(4) 今後の石油需要(中期):輸送燃料が鍵
今後の消費は軽油の消費が伸び悩み、ガソリンを主体とする輸送燃料の需要が鍵を握ると思われる。
IEA は 2015 年 2 月 8 日に公表した Medium Term Oil Market Report において、エネルギー効率
向上により中国の石油需要は 2020 年まで年率 2.6%の伸び(30 万 b/d 増)にとどまり、1,200 万 b/d にと
どまると指摘している(図 5)。同機関は中国の 2009~2014 年の石油需要の伸びは平均 44 万 b/d で世
界の需要の伸びの 35%を占めていたが、気候変動とエネルギー効率向上という二つの側面で需要が影
響を受けた、特に石化、輸送、産業部門における需要が下がると指摘している。その他の機関も前年比
20~30 万 b/d の増加にとどまるという見方が多い。
14
12
百万b/d
10
8
生産
6
需要
4
2
0
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
図 5:中国の石油需要見通し(2014 年~2020 年)
IEA Medium Term Oil Market Report にもとづき作成
【需要抑制要因】
輸送部門(燃費規制、都市部の自動車購入制限)
中国における乗用車の燃費(2012 年)は 13.7km/ℓ だが、日欧並みの燃費基準(2015 年に 14.5km
/ℓ、2020 年20km/ℓ)とする目標を設定している。2014 年には業界全体で燃料消費が 2.7%下がった
が乗用車が大型化・大排気量のトレンドにある中、2015 年の目標達成は難しいという見方がある。
また自動車購入制限政策については「油ガス報告」によると 2013 年時点で北京、上海、広州、貴陽、
天津、杭州、重慶、青島、武漢などの大都市でナンバープレートの抽選などの購入制限政策がとられて
おり、さらに拡大する可能性がある。北京では2010年の自動車購入制限策の導入以降乗用車の保有率
が鈍化している(2008~10 年の 17.1%に対し 2011~13 年は 4.9%増に鈍化)。
8
その他インフラ整備:石炭輸送(鉄道)、長距離送電網の整備など
中国で過去 10 年以上にわたり軽油消費が大幅に伸びたのは政府が鉄道の混雑緩和のため、石炭の
輸送にトラック(軽油)を推奨したことが影響している。しかし内陸部の大規模な石炭炭鉱から沿海部の消
費地向けに石炭を輸送するための鉄道が整備されつつある。また石炭炭鉱付近で発電し、沿海部の消
費地に送電する長距離高圧(UHV)送電網の整備が進んでいる。石炭生産の伸びの低迷に加え、これ
らの要因によりトラック(軽油)の石炭輸送は減少する見通しである。
【需要下支え要因】
輸送部門(乗用車、航空産業)
中国では中流層による乗用車の購買欲や MPV(Multi Purpose Vehicle;ミニバン)、SUV など大型
車への買い替え需要が堅調であり、今後も自動車市場の拡大によるガソリン消費が中国の石油消費の
けん引役となる見通しである(図 6)。
現代文化研究所によると、中国の自動車保有台数は約 1 億 1,000 万台で 1,000 人当たりの自動車保
有台数は 2009 年の 47 台から 2012 年の 80 台と着実に増加したが、世界平均の 147 台、さらに米国
の760 台、日本の600 台との間には依然として大きな隔たりがあり今後も増加する見通しである。また、
運転免許証保有人口は 2012 年に 2 億 4,700 万人に達し、年間平均 2,000 万人ペースで増加してい
るという(「月刊中国経済」2013 年 6 月)。
航空燃料需要は増加しそうである。中国には空港が約190 あるが、北京第2 空港や上海第3 空港など
都市部や地方で空港の拡張、新設計画がある。2008 年以降旅客と貨物・郵便取扱量は二桁成長を続け
ており、2013 年の旅客取扱量は 3.9 億人、貨物・郵便取扱量は 587 万 t であった。
1,400
1,200
万台
1,000
800
600
400
200
2012年
商用車
軽バン
2013年
ミニバン(MPV)
2014年
SUV
普通乗用車
図 6:中国自動車市場の推移(2012~2014 年)
「日中経済産業白書」(現代文化研究所調べ)にもとづき作成
9
在庫(備蓄)インフラ整備・増強政策
政府の方針と経済・投資の減速、低油価の追い風により国家石油備蓄基地や企業の石油商業貯蔵基
地の建設が進み、需要が底上げされる可能性がある。
2014 年 11 月、政府は米国からの戦略石油備蓄の情報公開の呼びかけに応じ、1 期国家石油備蓄基
地の備蓄量を公開した。1 期 4 基地(舟山、鎮海、大連、黄島)の貯蔵容量 1,640 万 kl(約 1 億 332 万
bbl)に対し、原油備蓄量は約 9,074 万 bbl で 2014 年の石油純輸入量の約 15 日分に相当する。また
2014 年 11 月公示の「エネルギー発展戦略行動計画」において、2020 年までに 2 期備蓄基地の建設を
完了し、3 期計画を 2020 年までに開始する方針を明らかにしている。2 期国家備蓄基地や貯蔵容量に
ついての公式発表はないが、各種情報源によると 2 期備蓄基地の貯蔵容量は 2,620 万kl(約1 億6500
万 bbl)で、2014 年の石油純輸入量の約 27 日分に相当する。一部の基地はすでに完成し備蓄が行わ
れていると見られる。
2015 年 2 月、習近平国家主席は国有石油会社に戦略石油備蓄の加速を命じた。国家備蓄基地は供
給途絶懸念の緩和、不動産価格上昇による土地取得の問題等で建設が遅れている基地が複数あったよ
うだが、不動産投資の減速で土地価格が下落しており、備蓄・商業貯蔵基地の用地取得が進展する可
能性がある。この他1月に製油所に精製処理能力の最低15日分の在庫(原油貯蔵能力)を持つよう新た
なガイドラインが制定されたことで商業貯蔵タンクの増設が進む可能性もある。
電子商取引〈EC〉による宅配の増加
電子商取引(EC)による宅配の増加は軽油の需要を下支えする要素となりそうだ。 2014 年 11 月 11
日の独身の日(中国では数字の 1が 4 つ並ぶことから“光棍節”(独身の日)とされ、バーゲンセールが行
われる)に“アリババ”が経営するネットショッピングモール”天猫”の取引額が 1 日で 571 億 1200 万元
(約 1 兆 800 億円)に達し、世界最高記録を更新した。これにより航空貨物による速達小包が増え、同月
はジェット燃料需要が増加したと伝えられる。中国において EC ビジネスは今後も発展する見込みであり、
石油需要を下支えする要因となりそうだ。
2.中国の天然ガス需給
(1)2014 年の需給実績
①天然ガスの需要は急成長から若干鈍化
天然ガスの見かけ消費は前年比 9%増の 1,813 億 m3(17.5Bcfd)で輸入比率は 31%であった。生産
は前年比 7.4%増(86 億 m3 増加)の 1,255 億㎥(12.1Bcfd)で、生産の伸びは 2013 年の 4.7%増に比
10
べ好転した。このうちシェールガスの生産は 12 億 m3 であった。天然ガスの輸入量は前年比 13%増の
584 億㎥(5.6Bcfd)で輸入の内訳はパイプラインが 15%増313 億㎥(3Bcfd)でトルクメニスタン、ウズベ
キスタン、カザフスタン、ミャンマーから輸入した。LNG は 10%増の 271 億㎥(1,990 万トン)であった、
香港への輸出を除く純輸入は前年比 14%増の 558 億 m3(5.4Bcfd)であった。石油に比べ伸びてはい
るが、消費と輸入の伸びは過去最低であった(図 7)。
2,400
国産ガス
LNG
輸入パイプラインガス
輸出
消費成長(%)
30%
25%
1,900
20%
1,400
15%
900
10%
400
5%
(100) 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
(億m3/年)
0%
図 7:天然ガス需給推移(2006~2014 年)
各種資料にもとづき作成
参考Ⅳ:トルクメニスタン伸長、パプアニューギニアからの長期契約による LNG 輸入開始
天然ガスの輸入はパイプラインが 54%、LNG が 46%であった。ミャンマーからの供給増加によりパイ
プラインの比率が1%上昇した。最大の輸入相手先はトルクメニスタンで、輸入量は前年比14 億m3 増加
の 255 億m3(2.5Bcfd)で輸入全体の 44%を占める。LNG はカタールからの輸入が最大で輸入の 16%
を占める。輸入量は前年とほぼ同量の 680 万tであった(図 8)。
2014 年に河北、天津、海南、山東LNG 受入基地が操業を開始した。河北(PetroChina、設計受入能
力 350 万 t/年)と海南(CNOOC、300 万 t/年)は主にカタールの長期契約が主体である。Sinopec
初の LNG 受入基地である山東(300 万 t/年)はパプアニューギニアの長期契約が主体である。天津
FSRU(CNOOC、220 万 t/年)は稼働実績が少ないが、GDF-Suez とのポートフォリオ契約による受
入を行っている模様である。
11
ミャンマー
5%
パプアニューギニア
0.7%
カザフスタン
1%
ウズベキス
タン
4%
ポートフォリ
オ・スポット
8% マレーシア
豪州
7%
9%
インドネシア
6%
ロシア
0.3%
トルクメニス
タン
44%
カタール
16%
図 8:中国の国別天然ガス輸入(2014 年)
(2) 環境政策により天然ガス利用伸長:暖房(発電)、交通輸送、家庭用消費伸長
天然ガス需要は環境問題(大気汚染・気候変動)政策により大きく伸長した(図 9)。消費は 2005 年から
2012 年にかけて 3 倍に増加した。内訳をみると、発電・熱供給、交通輸送、家庭用消費が伸長している。
発電・熱供給の分野では沿海地域における天然ガス火力発電の利用に加え、暖房の石炭から天然ガス
への転換が大きい。中国の東部から北部一帯では冬場に石炭焚きボイラーによる集中暖房が行われて
いるが、天然ガスへの転換が政策的に進められている。また輸送部門は前述の通り天然ガス自動車が
伸びている。ただし、天然ガスの消費の伸びは 2010 年をピークに減速している。
1600
100%
億m3
家庭用,
17%
1400
家庭用,
20%
80%
1200
輸送, 8%
1000
60%
電力・熱,
6%
40%
製造
業,47%
800
600
輸送, 11%
電力・熱,
16%
製造
業,39%
400
20%
200
鉱業,18%
鉱業,10%
0
2005年
2012年
0%
2005年
図 9:用途別天然ガス消費
能源統計年鑑(2013)にもとづき作成
12
2012年
(3) 天然ガス需要鈍化の個別要因:価格統制、値上げ、油価の下落により需要の伸びが鈍化
天然ガス需要は石油より高い伸びを示してはいるが、2010 年以降鈍化している。他のエネルギーとの
共通要因である経済減速の他、価格統制と最近の値上げ、油価の下落が影響していると思われる。
中国は天然ガス価格を統制している。天然ガスは転換を促進するために石油製品より割安に設定され
ていたが、油価上昇により石油に連動した契約の輸入ガスの価格が上昇し逆ザヤ状態になった。政府
は逆ザヤ解消のために増値税〈VAT〉の還付措置などを講じたが、最大の輸入事業者である
PetroChina は 2013 年に天然ガスの輸入により 70 億ドルの損失が生じたという。
このままでは天然ガスの供給に支障が出るため、国家発展改革委員会は 2013 年 7 月と 2014 年 8 月
に非民生用の天然ガスシティゲート価格(北京市など行政区分起点への卸価格)の見直しを実施した。
2013 年 7 月の見直しでは、広東と広西で試行していた上海を基準市場とする石油連動のネットバック
価格制度(以下、上海ネットバック)を全国で導入した。①前年消費量と②増加分の二段階の価格を設定
し、②増加分について上海ネットバックを適用し、各地のシティゲート上限価格を設定した(2012 年の上
海における LPG・重油輸入価格をベースに、石油製品から天然ガスへの転換を促進するため割引係数
0.8 を乗じている)。これにより価格競争力が低下し需要の伸びが鈍化した。
2014 年 8 月の見直しでは非民生用のシティゲート価格のうち①前年消費量(2012 年)について約
18%値上げした。2014 年 9 月以降シティゲート価格(平均)は①前年消費量が 9 ドル/百万 Btu、②増
加分 12.7 ドル/百万 Btu で固定された(図 10)。2014 年下期の油価下落により LPG などの石油製品
に対し価格競争力がさらに低下したと見られる。
環境(大気汚染、
気候変動)対策
輸入ガス増加
油価連動 油価↑
輸入ガス増加
油価連動 油価↓
天然ガス利用促進
石炭・石油代替
価格統制
事業者逆ザヤ拡大
価格統制
天然ガス価格競争
力低下
価格統制
石油より割安
天然ガス価格
見直し ↑
(13・14年)
天然ガス価格
見直しへ ↓
(15年4月~)
図 10:中国の天然ガス価格統制、価格見直し
各種情報にもとづき作成
13
2014 年各月の LNG 輸入・天然ガス消費の伸びを 2011~13 年の消費の伸びの平均と比較すると、
夏場の需要期(発電)と冬場の需要期(集中暖房、発電)を除き消費の伸びが鈍化している(図 11)。
LNG輸入量増減推移
2014年
パイプライン輸入量増減推移
11-13年平均
2014年
100%
100%
80%
80%
60%
60%
40%
40%
20%
20%
11-13年平均
0%
0%
-20%
-20%
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
図 11:LNG 輸入・天然ガス消費の伸び(2014 年・2011~2013 年平均)
China LNG Weekly 等にもとづき作成
(4) 今後の天然ガス需要(中期):環境・価格政策、電力が鍵
今後の天然ガスの需要は環境政策と価格、電力改革が鍵となると思われる。CNPC は 2013~2020 年
の天然ガス需要の伸びを 8.6%、2020 年の需要(標準ケース)を 3, 000 億 m3(29Bcfd)と予測した。過
去 10 年の消費の伸びの 16%に比べ大幅に低いが、まだ高い成長を示している。また IEA の World
Energy Outlook 2014 の新政策シナリオにおける 2020 年の需要シナリオ 2,950 億 m3(29Bcfd)とほ
ぼ合致している(図 12)。
600
500
400
300
200
100
0
2012
High
2015
BAU
2020
Low
2025
2030
参考:IEA WEO2014
図 12:中国の天然ガス需要シナリオ
CNPC(LNG 産消会議 2014、IEEJ 共同シンポジウム)、IEA WEO にもとづき作成
14
【需要促進要因】
環境政策
中国は環境問題、中でも大気汚染改善を重要な政策課題と位置付けており、天然ガスの利用拡大を進
める政策である。特に都市ガスと集中暖房の石炭からの転換が進む見通しである。
価格
2015 年 2 月 28 日、国家発展改革委員会は 4 月 1 日から非民生用(肥料向けを除く)の天然ガスシテ
ィゲート価格を見直す通知を公布した。今回の価格見直しでは①前年消費と②増加分が統合され、シテ
ィゲート平均は 10.6 ドル/MMBtu に統一された(表)。野村(香港)によると①と②の統合によりシティ
ゲート価格は平均5%下がった。この価格をまだ高いと見るアナリストもいる。Sanford Bernstein は輸入
事業者の財務改善にはつながるが、需要喚起にはさらに 10%程度の引き下げが適切とみている。一方、
LNG・パイプラインガス価格は中長期的にシティゲート価格を上回るため輸入事業者は利益を上げるこ
とができないという見方を示すトレーダーもいる。興味深いのは広東省のトレーダーの見解で、シティゲ
ート価格の見直し如何ではなく、油価の下落により 2015 年 3 月以降 LNG の長期契約分の輸入価格が
下がるため、広東市場の需要は増加するという。確かに、油価の下落で天然ガスの輸入価格が昨年の 5
割程度に下がる可能性がある。石炭など競合するエネルギーの価格も下がっているので価格競争力は
それほど好転しないかもしれないが、環境規制が強化されている江蘇省など東・南部の沿海地域におい
て需要期のピーク調整の発電向けなどで LNG の需要が上向く可能性がある。
ガス輸入・シティゲート価格
前年消費
増加分
LNG(CIF)
パイプライン(国境)
14
ドル/MMBtu
13
12
11
10
9
8
7
14年1~8月
14年9~12月
15年4月~
図 13:ガス輸入・シティゲート価格の推移(14 年~15 年 4 月)
China LNG Weekly 等にもとづき作成
15
表 3:非民生シティゲート上限価格の推移と小売価格(15 年 1 月)
非民生小売価格(15年1月)
非民生シティゲート上限価格
北京
天津
河北
山西
内モンゴル
遼寧
吉林
黒竜江
上海
江蘇
浙江
安徽
江西
山東
河南
湖北
湖南
広東
広西
海南
重慶
四川
貴州
雲南
陝西
甘粛
寧夏
青海
新疆
平均
14年9月~15年3月
15年4月~
前年消費
追加分
統合
ドル/MMBtu ドル/MMBtu ドル/MMBtu
9.7
13.5
11.4
9.7
13.5
11.4
9.7
13.5
11.3
9.4
13.2
11.0
6.9
10.7
8.6
9.7
13.5
11.3
8.7
12.5
10.4
8.7
12.5
10.4
10.5
14.3
12.2
10.4
14.2
12.1
10.5
14.3
12.1
10.1
13.9
11.8
9.6
13.4
11.3
9.7
13.5
11.3
9.8
13.6
11.5
9.6
13.4
11.3
9.6
13.4
11.3
11.8
14.3
12.2
11.1
13.6
11.5
8.3
12.0
9.9
8.3
12.0
9.9
8.3
12.0
9.9
8.5
12.3
10.2
8.5
12.3
10.2
6.9
10.7
8.6
7.3
11.1
9.0
7.6
11.4
9.4
6.6
10.4
8.3
6.1
9.9
7.8
9.0
12.7
10.6
北京
天津
河北
石家庄
山西
太原
内モンゴル フフホト
遼寧
瀋陽
上海
江蘇
杭州
江蘇
南京
江蘇
楊州
浙江
湖州市
安徽
合肥
江西
九江
山東
済南
山東
濰坊
山東
徳州
河南
武漢
河南
鄭州
湖北
荊州
湖南
長沙
広東
広州
広東
深圳
広東
中山
広西
南寧
海南
海口
海南
三亜
重慶
四川
成都
陝西
西安
甘粛
蘭州
青海
西寧
新疆
ウルムチ
福建
福州
15年1月
ドル/MMBtu
13.7
15.4
16.1
15.2
8.5
16.5
16.0
20.5
15.4
15.0
16.0
15.2
17.9
17.5
14.0
15.4
14.4
13.7
12.3
14.7
20.5
20.3
22.0
17.8
15.8
19.9
12.0
17.1
9.7
11.2
7.2
8.9
13.7
China LNG Weeklyにもとづき作成
輸入ガスインフラ: 2030 年の天然ガス需要の 5 割に対応
中国は天然ガス消費と輸入の増加を見越し、天然ガス(LNG)輸入インフラの整備を進めている。建設
準備中のものを含めると LNG とパイプラインガスを合わせ、約 2,200 億 m3/年(2030 年の同国の需要
の 5 割相当)を輸入することが可能な計算となる。
LNG 受入基地は稼働中が少なくとも 12 基地(受入能力計 4, 180 万 t/年)、建設中の受入基地が 5
基地(1,060 万 t/年)ある。市場の状況により建設が先送りされる懸念はあるが、さらに建設準備中の基
地が 5 基地あり、全て完成した場合、受入能力は 6,640 万 t/年(約 920 億 m3/年)となる。長期契約量
合意を含めると 5,200 万t/年(約 710 億 m3/年)ある。スポット・短期契約の比率を 1 割程度とすると、
現在建設準備中の基地までの供給はほぼ手当できているように見える。
輸入パイプラインは中央アジアから新疆向けの中央アジアパイプラインならびにミャンマーから雲南省
昆明向けのパイプラインが稼働中(計 650 億 m3/年)である。この他建設準備中のパイプラインとしてロ
16
シアから黒竜江省向けと中央アジア(トルクメニスタン~ウズベク~タジク~キルギス)から新疆向けのパ
イプライン(計 680 億 m3/年)がある。全て完成後の設計輸送能力は 1,330 億 m3/年となる。
2014 年5 月21 日にロシアと天然ガスの供給契約を締結した。契約量は 380 億m3/年(LNG 約2,800
万トン相当)で段階的に増やす。契約期間は 30 年で供給開始は 2019 年前後の見通しである。ロシアか
らの天然ガスは東シベリアのチャヤンダガス田からブラゴヴェシチェンスク経由で中国黒竜江省に向かう
「シベリアの力」パイプラインを建設して供給する計画である。中国国内(黒竜江省黒河から北京・天津・河
北地域向け)についてもパイプラインを建設する。
表 4:LNG 受入基地(稼働・建設・建設準備中)
稼働中
PetroChina
Sinopec
CNOOC
Jovo
広匯
単位:万 t/年
建設中
建設準備中
1,000
300
2,780
100
4,180
計
400
600
600
900
1,000
1,300
4,280
60
1,060
1,500
6,740
各種資料にもとづき作成
表 5:輸入パイプライン(稼働・建設・建設準備中)
稼働中
中央アジア
ロシア
ミャンマー
建設・建設準備中
550
300
380
100
650
680
単位:億 m3
計
850
380
100
1,330
各種資料にもとづき作成
【需要抑制要因】
価格・発電
天然ガス価格の自由化は段階的に進んでいるが、硬直的な価格統制は需要抑制要因につながる。ま
た代替エネルギーの供給・価格により需要が影響を受ける状況が続きそうだ。
2014 年には天然ガス火力発電設備容量が対前年で 3 割増(120 万kW 増加)の 5, 567 万kW となり、
発電設備容量に占める比率は 4%に上昇した。しかし、発電量は約 4%の増加にとどまり稼働率はむしろ
低下した。発電電力量に占める比率は約 2%にとどまり、風力だけでなく設備増強が進む原子力にも追
い越された。発電能力の過剰(水力の高い稼働率)と天然ガス価格の高止まり、冬場の気候が比較的温
暖であったことが主な要因である(参考Ⅳ)。また発電設備の多くは熱電併給(CHP;Combined Heat
17
& Power)で北部などでは冬場の暖房として主に熱供給が行われている状態のようだ。建設中のものが
180 万 kW あるがそれらも大半が CHP のようだ。
参考Ⅳ:中国の発電設備容量と電力消費(2014 年)
発電設備容量:13.6 億 kW(前年比 8.7%増)
発電電力量:5 兆 5459 億 kWh(同 3.6%増)、電力消費:5 兆 5223 億 kWh(同 3.8%増)
原子力
2%
風力
3%
太陽光他
1%
水力
19%
火力
75%
図 14:中国の発電電力量(2014 年)
中電連にもとづき作成
主な参考資料
国内外油ガス業界発展報告 (CNPC 経済技術研究院 2014 年 1 月、2015 年 1 月)
中国能源発展報告 2014 (中国電力出版社 2014 年 9 月)
日中経済産業白書 2013/2014 (日中経済協会 2014 年 6 月)
中国能源統計年鑑 2013 (中国統計出版社 2014 年 3 月)
中国経済データハンドブック 2014 年版(日中経済協会 2014 年 9 月)
IEA、IHSEnergy、新華社 China OGP、China LNG Weekly
18
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