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関西国際空港環境管理計画 - 関西国際空港土地保有株式会社
関西国際空港環境管理計画 (Environmental management project of Kansai international airport) 【背景】 1994 年 9 月、関西国際空港は、「公害の無い、地域と共存共栄する空港」をコンセプ トとして、大阪湾の沖合 5km にオープンした。 即ち、それまで陸域空港で、近隣への騒音公害等様々な環境公害を引き起こしてき た反省から、ネガティブインパクトを最小化させるため、沖合の人工島に空港を誕生 させたのだ。 その誇り高き原点から、さらに環境に対する取り組みを推し進め、エコ・エアポートと しての評価を不動のものとするために策定されたのが、タイトルの「関西国際空港環 境管理計画」である。 その第一段階である2001年~2007年、別名「エコ愛ランドプラン」と名付けられた プロジェクトでは、大気や水質など、様々な環境負荷を大きく低減するため、30項目 にも及ぶ様々な環境施策目標を掲げ、取り組み、達成してきた。 2007年8月、第2滑走路のオープンと共に空港容量が大きくなったことをきっかけに 計画は第二段階へ。 現在のプロジェクトである、「エコ愛ランド推進計画」として発展。 さらに取り組みを強化し、地球環境的視野に立ちながら、これまで以上に環境対策、 エコ活動を推し進めている。 エコ愛ランドの「愛」は日本語で love。 地球愛にあふれる island; love-land を創出するため、 島民が一丸となって活動に取り組んでいる。 1994年9月 2001年6月 関西国際空港開港 関西国際空港環境管理計画の第一段階 「エコ愛ランドプラン」発効。 計画期間は2007年度まで。 2007年8月 第2滑走路運用開始 2008年4月 関西国際空港環境管理計画を第二段階 「エコ愛ランド推進計画」に発展。 計画期間は2012年度まで。 2012年1月現在 新計画策定開始 《表1 関西国際空港の環境管理計画推進年表》 【計画のアウトライン】 計画のアウトラインをまとめるとつぎのとおり。 空港管理者である関西国際空港株式会社だけでなく、空港従業員約 15,000 人が連 携して、空港島全体を対象とした環境対策、エコ活動を推進している。 ○ 名称 :エコ愛ランド推進計画(第二次関西国際空港環境管理計画) ○計画期間:2008年度~2012年度の5か年 ○対象地域:・関西国際空港島全エリア。空港業務に携わるあらゆる事業 者や利用者の活動を対象とする。 ・空港管理者である関西国際空港株式会社の管理範囲外に ついても、空港島内事業者で連携して取り組みを進める。 ○目標設定:・計画に定める取り組みの効果は、わかりやすく把握できるも のとし、可能な限り数値的に評価する。 ・目標の取り組み状況、達成状況については、毎年把握し、ホ ームページや CSR 報告書にて広く公表するとともに、適宜社 会情勢による見直しを行う。 ○推進体制:・図1「環境管理体制」のとおり。 ・社長を委員長とする「環境管理委員会」が計画の諸施策を推 進し、その管理、改善を行う。 ・その下に、部長級にて構成する「環境管理推進者会議」、課 長級にて構成する「環境管理推進員会議」を設置し、各階層 に応じて、きめ細かに推進する。 ・「省エネルギー委員会」が空港施設の省エネルギー対策とそ れによる CO2 排出削減を進める。 ・空港島内事業者43者にて構成する「エコ愛ランド推進協議 会」にて、島内事業者が連携し、広く空港全体で取り組みを 推進する。 《表2 エコ愛ランド推進計画のアウトライン》 《図1 環境管理体制》 【取り組み内容】 エコ愛ランド推進計画は、44 項目にも及ぶ環境施策目標を掲げ、取り組んでいる。 その内容は、大きく分類すると、次の 5 つ。 1. 快適な地域環境を守る空港の為の活動(14目標) 2. 地球環境への負荷の尐ない空港実現の為の活動(13目標) 3. 循環型の空港実現の為の活動(6目標) 4. 自然を大切にし、ふれあいのある空港実現の為の活動(3項目) 5. 地域の人々や利用者と共に生きる空港実現の為の活動(8項目) 計44項目 《表3 エコ愛ランド推進計画の取組分類》 これらすべてについて、計画期間(2008~2012)における目標をできる限り数値で 掲げるとともに、その達成状況を毎年確認し、とりまとめ、広く公表している。 各取組分類の为な活動内容は次の表のとおり。 取組分類 快適な地 1. 域環境を 守る空港 地球環境 への負荷 2. の尐ない 空港 取組項目 活動項目 数値目標 現状(2010年度実績) 航空機騒音 環境基準達成 騒音低減 環境基準達成率 100% 100%を維持 電波障害 航空機による 電波障害への対応 改善対策実施率 100% 100%を維持 大気保全 クリーンセンターの 排ガス対策 NOx濃度70ppm以下 (法基準は180ppm) 37ppm 水質保全 排水による 海域負荷の軽減 COD放流水質 12mg/l以下 7.3ppm 省エネ技術の開発 使用量5%削減 (2006年度比) ターミナルビル空調 の効率化等 新エネルギーの 利用促進 - 水素エネルギー を活用 GPUの利用促進 GPU利用率 75%以上 81.8% 空港施設からの 排出量削減 排出量10%削減 (2006年度比) 10.8%削減 一般廃棄物減量化 リサイクル率 10%以上 10.2% 環境に配慮した 物品購入 - グリーン購入 を実施 省エネルギー 対策 温室効果ガス 排出量削減 資源有効利用 3. 循環型の 空港 水循環 排水の高度処理と 再利用 上水供給量5%削減 (2006年度比) 節水対策の推進 自然を大 4. 切にする 空港 自然環境 情報公開 地域の 人々と共 5. に生きる 空港 地域社会との 対話 全トイレ用水 に再利用 9.4%削減 緩傾斜石積護岸での 藻場の維持、監視 - 藻場の創造等 空港島内緑化 - 積極的に実施 騒音苦情処理体制 の充実 - 24時間365日 の体制を確保 環境監視データ の公開 - 環境センター にて実施 環境学習の場 の提供 - サイエンス教室等 社会貢献活動 の充実 - 出張授業等 《表4 エコ愛ランド推進計画の为な活動内容・目標・進捗状況》 各取組分類の、具体的な活動事例を、次項以降で述べる。 【「快適な地域環境を守る空港」実現の為の活動】 「快適な地域環境を守る空港」実現の為の活動は、「公害の無い、地域と共存共栄 する空港」という関西国際空港のコンセプトそのものであり、その存在の前提である ため、騒音基準遵守、電波障害対策、大気保全、水質保全等そのすべてについて、 環境基準の100%遵守を義務付けており、実際にこれを達成し続けている。 内陸部の空港では達成が困難である騒音についても、基準値よりかなり低いレベル を実現しており、海上空港であることの価値が如実に発揮されている形である。 大気、水質についても、法基準よりもさらに厳しい独自の基準を設け、これをクリアで きるよう、空港に特化した、水浄化施設、ごみ焼却施設を空港管理者自らが整備し、 日本最高レベルの処理水準を維持し続けている。 (FY2010 Results of noise survey, Osaka Regional Civil Aviation Bureau ) Hyogo Prefecture Under 50 WECPNL Under Under 50 Kansai International Airport Under 50 Osaka Prefecture WECPNL Over Under 50 Awaji Island Under 50 Hidaka-chyou Under 50 《図2 騒音観測結果》 Wakayama Prefecture 《図3 ゴミ焼却施設と水処理施設の処理状況》 【「地球環境への負荷の尐ない空港」実現の為の活動】 「地球環境への負荷の尐ない空港」実現の為の活動については、特に省エネルギー の推進、温室効果ガスの排出量削減のための活動を積極的に推進し、成果を上げ 続けている。 事業者空港施設 KIAC管理空港施設 航空機 (万トン) 60 6.1 7.3 6.3 8.0 40 20 41.0 43.9 5.9 7.4 40.3 4.7 6.4 4.5 6.4 31.0 31.4 2009 2010 0 2006 2007 2008 《図4 関西国際空港全体での CO2 発生量》 (年度) 中でも量の大きい、航空機からの排出の大幅減尐については、機材の小型化傾向 や、関西国際空港で先駆けて実施した APU 使用15分間制限等の取り組み、GPU の利用促進が貢献したもの。 国内エアライン 外国エアライン 全体 GPU利用率 100 93.5 88.3 80 76.9 77.3 87.5 91.0 78.1 77.1 68.8 ( 60 % ) 61.1 53.4 87.2 51.9 56.2 61.1 74.6 90.1 81.8 71.8 93.8 81.2 69.7 61.6 47.3 40 39.4 24.7 20 13.1 9.7 10.9 10.0 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 (年度) 《図5 GPU 利用率の推移》 空港管理者としての削減努力が最も発揮される、施設の改善による省エネルギー、 温室効果ガスの削減については、開港当初から不断の努力が続けられ、その削減 積み重ねは、次の表のとおりCO2排出量にして年間2.3万t(開港当初排出量の2 6%に相当)にも達する計算となっている。 《図6 空港施設改善による CO2 削減量の積み重ね》 数ある施設改善の中でも、「情報システムを利用した旅客ターミナルビル空調の効率 運転」については、ゲートラウンジという大空間における空調運転に、航空機の発着 時刻に応じたきめ細かな運転制御を完全自動で実施するシステムを、すべて自社で 企画、設計し、導入したもので、その成果は次のとおり非常に大きいものであった。 ・年あたり260万kWh(原油換算にして年あたり1000kl)の電力量削減 ・空調機のエネルギー消費量を約34%削減。 ・投資費用(約5千万円)は1年以内に回収。 なお、後の実地検証や、お客様の声を聞いても、サービスレベルは下がっておらず、 経済産業大臣賞を受賞する等、外部評価も大変高いものであった。 このシステムの具体的内容については後の【情報システムを利用した旅客ターミナ ルビル空調の効率運転】にて紹介する。 【「循環型の空港」実現の為の活動】 「循環型の空港」実現の為の活動で特筆すべきは、「中水」を導入していることであ る。 関西国際空港の処理水は、日本最高レベルの排水基準が定められている大阪湾の 環境基準よりもさらに厳しいエコ愛ランド推進計画の基準を満たしているため、海や 川の水と遜色ないレベルにまで浄化されている。 このため、法規制等衛生面から利用できない飲食用等以外の「トイレ用水」「道路散 水」「洗車」「植栽用水」のほぼすべてに再利用することができ、その量は40.3万tと、 実に上水利用量の53.2%がリサイクルされていることとなる。 このことが、貴重な資源である上水の使用量削減に大きく貢献していることはもとよ り、同時に大阪湾域への放流水による負荷削減にも寄与している。 (万m3 ) 80 中水供給量と水のリサイクル率※ 【中水供給量】 (%) 100 【リサイクル率】 80 60 50.7 44.0 44.3 47.2 64.1 54.0 54.0 57.6 50.5 47.7 50.5 41.5 40 20 57.4 53.8 53.2 60 50.4 47.1 43.8 40 33.7 40.3 0 20 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 (年度) 《図7 中水の供給量と水のリサイクル率》 【自然を大切にし、ふれあいのある空港実現の為の活動】 「自然を大切にし、ふれあいのある空港」実現の為の活動について、関西国際空港 は公害の無い空港を実現するために、沖合5kmの人工島に建設されたが、このこと 自体が水産資源の消失等、自然破壊につながらないことはもちろん、さらに自然環 境が豊かになるような創造の仕組みがなされている。 その代表が、緩傾斜石積護岸による藻場の造成で、関西国際空港を取り囲む護岸 は、太陽光が広くあたり、また、海藻類が繁茂しやすいよう、なだらかな護岸を採用し た。 《図8 緩傾斜石積護岸及び海藻類付着ブロック模型》 さらに護岸上には、海藻類が付着しやすいように海藻類付着用ブロックを設置し、ま た、早期に藻場が形成されるよう、スポアバッグにより種付けするなどの工夫を実施 した。 《図9 スポアバッグによる種付けイメージ》 これらの活動の結果、豊かな藻場が形成され、現在では、カジメやワカメなど107種 類の海藻と、魚、カニ、エビ、アワビ、ナマコ等天然の岩礁並みである約200種類も の漁業生物が確認されるに至り、海で暮らす生き物のエサ場や産卵場所としても大 きな役割を果たしている。 継続的な観察の結果、この藻場の面積は、空港等周辺だけで約55haにも達し、こ れは広く大阪湾全体の藻場の1割にも相当する面積で、空港の存在が水産資源の 損失ではなく、むしろ周辺水域に貢献するまでに創造されたことを如実に示すことと なった。 実際の藻場の様子を、後の【関西国際空港の藻場の様子】にて紹介する。 【「地域の人々や利用者と共に生きる空港」実現の為の活動】 「地域の人々や利用者と共に生きる空港」実現の為の活動について、騒音苦情等地 元対応窓口を24時間365日体制で確保するとともに、すべての環境監視結果は、 ウェブサイトやCSR報告書などで、広く公開している。 また、騒音等環境監視データや、あらゆるエコ活動の取組成果は、関西国際空港展 望ホールに設置された「環境センター」において、騒音の生音試聴を含め、広く体験 しながら見学してもらえるような体制を整えており、積極的な発信に努めている。 さらに、地域との交流を深めるために、「環境 学習の場の提供」として、子供たちに地球温 暖化やクリーンエネルギーの活用等、空港に 関係する環境と科学についてやさしく学んでも らう「サイエンス教室 in かんくう」を、また、ター ミナルビル屋上部にて実施している緑化実証 実験に関連し、地元小学生を招待して、屋上 緑化によるヒートアイランド現象緩和やリサイ クルの学習、サツマイモの収穫祭を実施した。 《図10 サイエンス教室》 《図11 ターミナルビル屋上でのエコ サツマイモ収穫祭(新聞記事)》 さらに、「社会貢献活動の充実」として、地元小 学校や大学に、空港会社職員を派遣し、関空 の環境活動等様々なことを学んでもらうため の「出張授業」を2002年から毎年実施してお り、その対象生徒数はのべ10000人を超え た。 《図12 出張授業参加人数推移》 【情報システムを利用した旅客ターミナルビル空調の効率運転】 関西国際空港で最もエネルギーを消費している施設は、圧倒的に旅客ターミナルビ ルであり、その中でもほとんどが空調設備によるものである。 しかし、旅客ターミナルビルは連続した間仕切りの無い大空間であり、お客様がとだ えることもないため、基本的には、航空機の始発時刻から最終時刻まで、全域を運 転せねばならず、これが、大きなエネルギー消費となっていた。 《図13 今までのゲートラウンジ空調イメージ》 ここで省エネルギーを行うとすれば、お客様が分散する各ゲートラウンジについて、 お客様の居場所を見ながら、いらっしゃらないゲートの空調をOFFにすることである が、見回り要員を配置するにしても、遠隔監視にて操作するにしても、膨大なランニ ングコストがかかることとなる。 人手をかけずに、ゲートラウンジの空調設備のオンオフをすることができないか、 様々な検討をした結果、当空港で運用されているPIS(旅客案内システム)が航空機 情報をリアルタイムで更新しており、しかもお客様は、これに対応して移動しているこ とがわかり、これに着目した。 よって、このシステムと、各ゲート空調機のオンオフをうまく連動させることにより、完 全自動の省エネ空調システムを完成させることをめざすこととした。 《図14 PISによる空調機自動運転イメージ》 まずは、お客様の動線ルートや移動時間の調査を行い、適切な範囲に限定すること ができないかを検討した。 検討の結果、出発の際、ウィングシャトル等で該当ゲートまで移動したお客様は、と なりのゲートまでは行き来するが、それ以上広がらないため、「となりのゲートラウン ジまでは広範囲に」運転すればよいことがわかった。 《図15 出発時の空調機運転範囲イメージ》 到着の際は、お客様動線が制限されているので、広範囲に設定することなく 「該当ゲートからの動線に沿って」運転すればよいことがわかった。 《図16 到着時の空調機運転範囲イメージ》 さらに、空調の適切な運転時間について、出発便の場合、チェックイン開始時間に合 わせ、出発時刻の120分前から運転し、出発後は旅客が居なくなるので停止するよ うに、到着便の場合は、運転してからゲートラウンジが所定の温度になるのに約30 分かかるので、到着時刻の30分前より運転し、到着後も、旅客がゲートラウンジを 通過する間の30分間を運転するようにした。 これらの検討、検証を繰り返すことにより、航空機の発着時刻などのPIS情報を基に、 ゲートラウンジ毎の空調範囲や空調時間を演算させ、空調機を運転停止させる完全 自動のシステムを構築することができた。 また、構築したシステムを稼働させ、ゲートラウンジの室温検証を行った結果、旅客 が居る時間帯の温度は、すべて管理温度内であることを確認、快適性が損なわれて いないことが実証された。 《図17 システム稼働時のゲートラウンジ温度の検証》 このシステムは、すべて社員によりインハウスで設計、検討されたものであり、綿密 に検証を繰り返すことにより、お客様の快適性を損ねることなく、大きな省エネルギ ーを実現することができた。その実績は次のとおり。 ゲートラウンジ空調機の運転時間 : 一日当たり約6時間短縮 同 エネルギー消費量 : 約34%減 トータルでのエネルギー削減効果 : 年あたり約1000kL(原油換算値) CO2 削減効 : 年あたり約 1500t 光熱費の削減: 年あたり約6,500万円 《表5 PISを利用したラウンジ空調システム 効果まとめ》 【関西国際空港の藻場の様子】 関西国際空港は、環境を保全するのみでなく、創りだすことにも努力している。 緩傾斜護岸や、海藻類付着ブロックの採用、海藻の種付け等による藻場の造成も、 その一つである。 このような努力を 15 年間以上続けることにより、現在関西国際空港の周辺では、見 事な藻場が造成され、たくさんの魚たちが生息するようになった。 それまでは見ることができなかったカサゴ類などの水中動物もみかけられるようにな り、また、産卵場所としての機能も果たすようになり、関西国際空港が存在すること により、水中生物が豊かになることとなった。 以下はその様子である。 《図18~21 藻場の様子》 《図22~29 藻場における海生生物の様子》 このように、関西国際空港の、水中の森は、大阪湾にたくさんの水産資源をもたらせ るに至っている。 【関空パフォーマンスデータ】 関西国際空港環境管理計画を推進することにより実現した、現在の空港島の为な環 境諸元をまとめると、次のとおりである。 《図30 エコ愛ランド パフォーマンスデータ》 いずれも世界に誇るべき数値を達成していると自負しており、環境面での配慮が高 いレベルで維持されている、まさにエコ愛ランドらしい姿が、大阪湾の人工島に具現 化していると考えている。 【結論】 関西国際空港の存在する人工島全体が、エコ愛ランドとして高いレベルで環境配慮 を実現、維持できているのは、「エコ愛ランド推進計画」が中心となって、あらゆる人 や取り組みが有機的に機能しているからであることを述べてきた。 この「エコ愛ランド推進計画」が、特に秀でていると思われる点は、「空港管理会社の 担当部門の取組み」を定めたものではなく、「空港管理者の社長自らが責任者となり、 全社的に取り組む体制を定めた」点であり、これは日本の空港初の取組みであると 自負している。 さらにそれだけにとどまらず、「全階層で推進体制」また「空港事業者全員が連携をと る体制」が取られ、これが成果を上げ続けているのは、世界でもトップレベルの取組 みであると確信している。 2012年は、関西国際空港の環境取り組みにとって、2つの意味で大きな転機の年 である。 まず、エコ愛ランド推進計画が最終年度であり、その集大成が期待されるとともに、 第3次環境管理計画として更なる発展 project を画策する必要がある点 もう一つは、大阪陸域空港である「伊丹空港」の経営を任されることとなり、この運営 を開始することである。 陸域空港のアンチテーゼとして出来、エコ愛ランドを実現してきた関西国際空港が、 環境面で大変課題の多いであろう空港の運営を開始することは、そのままではポリ シーにジレンマを発生させることになる。 しかし、国によりこの空港の運営を任されたことは、今までのエコを中心とした空港運 営が評価されたのだ、また、世間から見ても、我々がこの課題の多い空港をどう料理 するか試されているのだと積極的にとらえ、妥協なき、説得力のある取り組みを実施 し、いずれは日本の、さらには世界の空港運営へと、この環境取り組みを広めていけ ればと考えている。 Eco-island の思い、世界に届け。 This is a message from an eco-island to the globe.