Comments
Description
Transcript
「循環型」音楽産業振興政策の可能性
「循環型」音楽産業振興政策の可能性 ∼地域における職能教育を軸とした音楽政策の提案∼ 渋井満 Mitsuru SHIBUI 龍谷大学大学院法学研究科修士課程NPO・地方行政研究コース 大阪市教育委員会事務局生涯学習部音楽団 私の一音楽家としての経歴 ▲大阪市音楽団 大阪市職員(音楽士) 2002年4月∼2009年現在 ▲フリーランス ホルン奏者 個人事業主 2001年2月∼2002年3月 ▲倉敷チボリ公園専属吹奏楽団 契約楽員 1999年4月∼2001年1月 日本における音楽家と社会の関係 ▲音楽家と聴衆の関係 →音楽政策の「消費型」への誘導 ▲音楽家と教育の関係 →音楽の社会化がされなかった ▲音楽家と資本の関係 →音楽の産業化がされなかった 音楽家と聴衆の関係 ▲音楽を供給する側と消費する側に分かれて、 関係が非対称化している 文化芸術振興基本法(2001年制定) ↓ 音楽の供給が目的化 ↓ 音楽政策の「消費型」への誘導 音楽家と教育の関係 ▲音楽家は職業としては認識されていたが、 産業教育として組み込まれなかった 産業教育振興法(1951年制定) ↓ 芸術教育としての先鋭化 ↓ 音楽の社会化がされなかった 音楽家と資本の関係 ▲音楽家は出演契約などの 非正規雇用や個人事業主として扱われ、 使い捨て同然の人材となった ↓ 音楽の商業化の進展 ↓ 音楽の産業化がされなかった 日本における音楽家と社会の関係 ▲音楽家と聴衆の関係 →音楽政策の「消費型」への誘導 ▲音楽家と教育の関係 →音楽の社会化がされなかった ▲音楽家と資本の関係 →音楽の産業化がされなかった 地域における音楽の産業化 ▲供給と消費を一体となって行う仕組み 供給する側と消費する側の関係を対象化 ▲先鋭教育から幅広い人材の教育へ 世界を目指す人材と地域に根ざす人材 ▲習得した職能を活かすために 熟達度に応じた職能による環をつくる エル・システマの特徴 貧困・犯罪対策としての社会政策 ▲ベネズエラの全小学校における音楽教室 ▲さまざまな音楽に関連する職業の集積 ▲音楽教室で学び、音楽教室のために働く環境 ▲地域での活動から、世界的音楽家の輩出まで ↓ 自分の存在と社会とのつながりを確認 ↓ 循環性の発見 エル・システマの循環性 演奏の指導 小学生が音楽活動の 楽曲の提供 多様性と出会う 参加 楽団の指揮 楽器の供給 機会の創出 専門家としての 能力の発揮 全小学校での 音楽教室 エル・システマ 熟達 体験 それぞれが さまざまな技能を 研鑽 演奏・作曲・指揮・マネジメント・楽器製作など 「音楽家」から「音楽関連職能保有者」へ 音楽家の多面性と他者との関係 ▲ 音楽労働者 興行主・雇用主との関係 ▲ 音楽供給者 聴衆との関係 ▲ 音楽指導者 被指導者との関係 ▲ 音楽研究者 音楽そのものとの関係 社会と隔絶した音楽家 ↓ 地域における 「音楽関連職能保有者」 音楽家が本来持っていた 社会的役割 + 地域における循環性 地続き感 それぞれの関係で完結 音楽関連職能による地続き感イメージ 音楽関連職能の多様性 熟達 ↑ 指導 研鑽 参加 体験 (低年齢) − 市民 − (高年齢) 指導 音楽関連職能を軸とした地域教育 ▲ 音楽関連職能の熟達度による縦の軸 専門職業団体への専門教育機関からのインターンシップ 大阪市地域教育協議会はぐくみネットを活用した、小学校校区での音楽教室 大阪の町工場の技術を活かした、楽器製作や補修の職人育成ネットワーク ▲ 音楽関連活動(=市民文化活動)の多様性による横の軸 演奏 作曲 衣装や舞台美術 照明や音響などの舞台技術 音楽を提供する場を創出するマネジメント能力 ホールなどの施設運営 映像や録音、放送、通信などのメディア 楽器製作や補修の技術 「循環型」音楽産業イメージ 場の提供 記録や周知 施設運営 機会の創出 マネジメント 舞台 技能の指導 演奏 メディア 楽器の供給 楽器製作 補修 楽曲の提供 熟達 音楽大学・専門学校 研鑽 小学校区教育協議会 -はぐくみネット音楽教室 体験 こども 楽曲の提供 作曲 「循環型」音楽産業振興政策の可能性 ∼地域における職能教育を軸とした音楽政策の提案∼ 渋井満 Mitsuru SHIBUI 龍谷大学大学院法学研究科修士課程NPO・地方行政研究コース 大阪市教育委員会事務局生涯学習部音楽団