Comments
Description
Transcript
川崎市における分別収集の拡大による3Rの推進
川崎市における分別収集の拡充 による3Rの推進 ~プラスチック製容器包装分別収集全市拡大に 向けた効率的な輸送体制の構築について~ 平成24年2月6日(月) 川崎市環境局生活環境部 廃棄物政策担当 小林 繁弘 1 はじめに メガソーラー発電所(合計20,000kw) 川崎市の人口:1,431,275人 (H23.11) (H23年から稼働) 川崎市の面積:144.35k㎡ 緑と自然豊かな北部 東京都 (北部) 先端技術産業と高層 マンションの中央部 活気ある工業地域の南部 (中央部) 横浜市 (南部) 東京湾 2 1 はじめに 川崎市のごみ収集・処理の変遷(開始~昭和60年代) • • • • • • • 大正13年市制発足と同時に清掃監視業務を開始 焼却処理業務を開始(S11年) 第二次世界大戦による打撃により、業務を中断 本格的にごみ処理事業を再開、ごみ処理業者を全て買収し全面直営体制で運営(S24年) ごみ収集運搬車を開発し、自動車によるごみ収集を開始(S30年~) 週6日収集の実施(S36年~) 粗大ごみ収集の開始(S43年~) 高度成長期に突入し、日本は大量消費・大量廃棄の時代へ ・ ・ 空き缶の分別収集開始(昭和52年10月~。全市実施は平成10年末~。) 使用済み乾電池の分別収集開始(昭和59年10月~。) 多様化した廃棄 物への対応 生活環境を衛生に保ち、ごみによる環境汚染を防ぐことを目的として、川崎市では 収集したごみを全量焼却し「適正処理」を中心としたごみ処理施策を展開してきた。 3 1 はじめに 川崎市のごみ収集・処理の変遷(平成元年~現在) • • • • • • • • • • • ごみ非常事態宣言の告知(H2年) 空き瓶の収集を開始(H3年3月~、全市実施はH11年10月~) 資源物の日の実施(H6年~) 〔普通ごみ4日、資源物1日〕 鉄道輸送の開始(H7年~) 小物金属の収集を開始(H9年2月~) ペットボトルの収集を開始(H11年2月~、全市実施はH15年9月~) 事業系ごみ許可業者収集への移行(H12年10月~、完全移行はH16年4月~) 粗大ごみ有料化(H16年4月~) ミックスペーパーモデル収集の開始(H18年11月~) 週4日収集の実施(H19年4月~) 〔普通ごみ3日、資源物1日〕 分別収集の拡充(H23年3月~) 〔ミックスペーパー分別全市、プラスチック製容器包装南部3区実施) ・ ごみ非常事態を宣言し市民へごみ排出抑制の協力を得るとともに、 分別収集を徐々に拡大し、焼却対象ごみ(主に普通ごみ)の減量を行ってきた。 ・ また、行財政改革により、収集体制を見直し、民間への委託も進めてきた。 4 1 はじめに 川崎市のごみ焼却体制 :ごみ処理施設 :埋立処分場 焼却能力 600t/日 焼却能力 900t/日 焼却能力 450t/日 焼却能力 600t/日 ごみ燃却場:4か所、埋立処分場:1ヶ所 東京湾 5 2 循環型・低炭素社会に向けた川崎市の取組 川崎市一般廃棄物処理基本計画「かわさきチャレンジ・3R」 に基づく様々な取組 (目的)3Rを基調とした 循環型社会と低炭素社会の実現 (数値目標) 焼却ごみ 50万トン(H15) → 37万トン(H25までに) (※H22は約41万トン)。 達成により ・ 現在4つのごみ焼却場を3つにする3処理センター体制が実 現可能(焼却場のランニングコストと施設稼働に伴う温室効果 ガスの削減が可能。) ・ 焼却灰の削減で1つしかない埋立処分場の延命化も可能。 2 循環型・低炭素社会に向けた川崎市の取組 (目標)3処理センター体制(H27から予定) 焼却能力 600t/日 焼却能力 休止450t/日 新設 ↓ 解体・建替 稼働 (概ね10年間) (概ね30年間) 焼却能力 900t/日 新設 休止 ↓ 解体・建替 稼働 (概ね10年間) (概ね30年間) 休止 新設 ↓ 解体・建替 稼働 (概ね30年間) (概ね10年間) 焼却能力 600t/日 休止 新設 ↓ 解体・建替 稼働 (概ね10年間) (概ね30年間) ごみ燃却場:稼働3か所、建替:1か所 (コスト削減効果) 18億円/年(40年間で720億) 維持管理費用及び建替費用 東京湾 (温室効果ガス削減効果) 1,200t-CO2/年 7 2 循環型・低炭素社会に向けた川崎市の取組 (重点施策)分別収集の拡充 家庭ごみの排出実態 平成20年度市民ごみ排出実態調査 紙類 約37% プラスチック類 約14% (うちプラスチック製容器包装対象物 7.0%) 紙類・プラスチック類 で約51% 8 2 循環型・低炭素社会に向けた川崎市の取組 (重点施策)分別収集の拡充 ○ミックスペーパー分別収集 平成23年3月:全市実施 (計画量約22,000t/年) チラシ、紙箱、包装紙、ダイレクトメール、感熱紙、紙コップ、写真、パンフレット 等 (対象外) ○ 使用済みティッシュ等の汚れた紙、石鹸の包装紙等の臭いが強い紙。 ○ 新聞・雑誌・段ボール等の資源集団回収対象のもの ミックスペーパー分別収集の実施状況 (平成23年3月全市実施) ①市民の分別排出 ④フォークで選別ラインへ ②収集作業(民間委託) ③資源化処理施設に搬入 ⑤異物除去作業(民間委託) ⑥圧縮梱包しリサイクル事業者へ 2 循環型・低炭素社会に向けた川崎市の取組 (重点施策)分別収集の拡充 ○プラスチック製容器包装分別収集 平成23年3月:南部3区(川崎、幸、中原区)で先行実施 平成25年度中:北部4区を含め全市実施を予定(計画量約17,000t/年) 菓子のポリ袋、ペットボトルのラベル、コンビニ弁当の容器、シャンプーの容器 等 (対象外) ○ 汚れたもの、中身の残っているもの ○ プラスチック製品そのもの プラ製容器包装分別収集の実施状況 (平成23年3月南部3区実施) ①市民の分別排出 ④異物除去作業(民間委託) ②収集作業(民間委託) ③資源化処理施設に搬入 ⑤圧縮梱包(ベール化) ⑥リサイクル事業者へ搬出 3 鉄道輸送の活用 ミックスペーパーとプラ製容器包装のリサイクル状況 トイレットペーパー ミックスペーパー 地域内循環 製紙工場 プラリサイ クル事業者 プラ製容器包装 高炉還元剤 13 3 鉄道輸送の活用 ミックスペーパーの収集運搬体制 南部の収集車の動き(臨海部浮島の中間処理施設に搬入) 北部の収集車の動き(市北部の梶ヶ谷ターミナル駅から鉄道で臨海部へ) 多摩区 浮島ミックスペーパー・プラ 資源化処理施設(ミックス ペーパーとプラの中間処 理施設) 高津区 中原区 麻生区 宮前区 幸区 貨物鉄道「クリーンかわさき号」 川崎区 平成7年に全国で初めて導入。環境 に優しい輸送方法(他に普通ごみ、 焼却灰、缶ペット、瓶を輸送) 14 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 プラ製容器包装分別収集の実施エリア(平成23年度現在) 搬入に向う車両(北部) 多摩区 搬入に向う車両(南部) 次の収集に向う車両 複数回の搬入が可能な範囲 高津区 中原区 麻生区 宮前区 幸区 (1日の作業の例) ・収集作業 1.5時間 ・浮島まで搬送 2時間 ・休憩等 1時間 ・事業所まで帰所 2時間 1日1回の搬入で約7時間!! 川崎区 東京湾 ○本市は高度に土地利用され、北部に新たな資源化施設を建設することは難しい。 ○北部から浮島まで直接搬入するには片道約2時間を要するため、1日に複数回の搬入が難しい。 ○1車が1日に1回しか搬入できない場合、北部4区には、相当数の車両が必要となる。 (プラ全市実施の課題)北部からの効率的な輸送体制 15 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 北部から梶ヶ谷に搬入し鉄道輸送 搬入に向う車両 多摩区 次の収集に向う車両 高津区 中原区 麻生区 宮前区 <メリット> ・収集車の遠距離搬入がない。 ・複数回搬入が可能。 ・鉄道は排気ガスが出ない。 幸区 川崎区 <不安要素> かさ比重が小さいプラをコンテナ輸送することによる輸送コスト 16 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 <コスト面の検証> ◎コンテナへの積載量 鉄道輸送コストはコンテナの個数に比例する。 ・検討当初(平成20~21年頃)の予想 比重0.03t/m3(1m3で30㎏) (実施済みの他都市やプラント業者へのヒヤリングより) → 資源物用コンテナ(15.8m3)1個あたり約480㎏ (参考(実績)) 空き缶・ペットボトル 約0.05t/m3:約750㎏/個 ミックスペーパー 約0.14t/m3:約2,200㎏/個 約480kg (15.8m3) 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 <積載実験による検証> 実施時期 場 所 収集地域 使用コンテナ 平成22年6月 横浜市の資源化施設 横浜市 川崎市のコンテナ(15.8m3) 平成23年5月 梶ヶ谷ターミナル駅資源物 積替施設 川崎市(中原区) 川崎市のコンテナ(15.8m3) (23年5月の実験の様子) (実験結果) 1,210㎏ (比重0.077t/ m3) 予想の2.5倍超 (実験で2回とも 同様の結果) 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 <当初予想との年間コスト比較> 積載量 480㎏ (当初予想) 1,200㎏ (実験結果) 差 1日あたりコンテナ必 要数(/日) 67個 27個 ▲40個 年間コンテナ輸送数 (/年) 20,000個 8,000個 ▲12,000個 144個 64個 ▲80個 約4億3,000万円 約1億8,000万円 ▲約2億5,000万円 年間コンテナリース数 (/年) 年間コスト • 北部地区プラスチック製容器包装の鉄道 輸送については、当初の予想よりも相当程 度低コストでの実施が可能と見込まれる。 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 鉄道輸送の優位性の検証 ~直接搬入との比較~ 直接搬入 収集運搬車 ○収集運搬車が浮島の資源化処理施設まで運搬 鉄道輸送 収集運搬車 ○収集運搬車が梶ヶ谷ターミナルまで運搬 ○梶ヶ谷から南部地域の末広町駅まで鉄道輸送 ○末広町駅から浮島まで事業者によりトラックで浮島の資源化 処理施設まで輸送(トラック輸送を含めて資源物積替え委託) 鉄道 トラック 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 直接搬入との年間コスト比較 北部必要車数 収集運搬コスト 鉄道輸送コスト ― 合 計 直接搬入(A) 43車 約8億6千万円 鉄道輸送(B) 17車 約3億4千万円 約1億8千万円 約5億2千万円 ▲26車 ▲約5億2千万円 +約1億8千万円 ▲約3億4千万円 B-A 約8億6千万円 ・直接搬入の場合は、浮島まで1車が1回しか搬入できないので、多くの車両を必要とする。 ・鉄道輸送では、梶ヶ谷までのため、複数回の搬入が可能なことから、車両は少なくてすむ。 ※必要車両数はあくまで概算のもの。 直接搬入に比べ、鉄道輸送を活用する と、約3億4千万円のコスト抑制が可能。 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 直接搬入との環境負荷の比較(年間) 北部必要車数 CO2排出量 NOx排出量 直接搬入(A) 43車 133.37 t-CO2 0.28 t-NOx 鉄道輸送(B) 17車 56.05 t-CO2 0.11 t-NOx ▲26車 ▲77.32 t-CO2 ▲0.17 t-NOx B-A ・多くの車両を必要とする直接搬入では、環境への負荷が大きい。 ・鉄道輸送を活用することで、環境への負荷は小さくなる。また、収集時における交通渋滞 の可能性も小さくなる。 直接搬入に比べ、鉄道輸送を活用する と、CO2、NOxとも削減が可能。 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 <検討結果> 鉄道輸送は、直接搬入に比べ、コスト、環境負 荷の両面において優れている。 北部からのプラ輸送体制の方向性が定まる。 (方向性) 北部からのプラ輸送方法は鉄道輸送とする。 4 プラ製容器包装の鉄道輸送に向けた検討 ○24年1月現在、鉄道輸送用コンテナメーカー により、新型プラ専用コンテナを検討・開発中 <新型コンテナの概要> ・容積の増 (従来型)15.8m3 積載量1,200㎏ (新型) 16.7m3 積載量1,270㎏ ・排出のしやすさ (従来型)下開き式扉 (新型) 観音扉 など 5 おわりに <プラ製容器包装の分別収集> ・ プラ製容器包装はミックスペーパーとともに家庭系廃 棄物の大きな割合を占め、分別によるごみ削減効果 が非常に大きい。 ・ 分別することによる市民の環境意識の向上により、 リサイクルよりも優先すべき2Rの推進も期待できる。 焼却ごみ37万トン、3処理センター体制の実 現に向けた決め手となる重要な施策 全市実施に向けた準備を進めるとともに、市民・事業者 への一層の協力度向上に全市を挙げて取り組んでいく。 川崎市における分別収集の拡充 による3Rの推進 ~プラスチック製容器包装分別収集全市拡大 に向けた効率的な輸送体制の構築について~ END 御清聴ありがとうございました。 26