...

2004年4月号 - 信金中金 地域・中小企業研究所

by user

on
Category: Documents
4

views

Report

Comments

Transcript

2004年4月号 - 信金中金 地域・中小企業研究所
ISSN1346-9479
Shinkin Central Bank Monthly Review
第 3 巻 第 5 号( 通 巻 3 7 3 号 )
● 地域振興計画の立案手順
−信用金庫による地域振興支援の一例として−
● 日本経済の中期展望
−04∼08年度の年平均実質成長率は1.9%と予測−
● 信用金庫のインターネットバンキングの現状と課題
● 中国環渤海地域の投資環境
−青島市の現況−
● 統計
2004. 4
「信金中金月報掲載論文」募集のお知らせ
○対象分野は、当研究所の研究分野でもある「地域金融」「中小企業金融」「協同組織金融」に関
連する分野とし、これら分野の研究の奨励を通じて、研究者の育成を図り、もって我が国にお
ける当該分野の学術研究振興に寄与することを目的としています。
○かかる目的を効果的に実現するため、本論文募集は、①懸賞論文と異なり、募集期限を設けな
い随時募集として息の長い取り組みを目指していること、②要改善点を指摘し、加筆修正後の
再応募を認める場合があること、を特徴としています。
○信金中金月報への応募論文の掲載可否は、編集委員会が委嘱する審査員の審査結果に基づき、
編集委員会が決定するという、いわゆるレフェリー制を採用しており、本月報に掲載された論
文は当研究所ホームページにも掲載することで、広く一般に公表する機会を設けております。
詳しくは、当研究所ホームページ(http://www.scbri.jp/)に掲載されている募集要項等をご参
照ください。
編集委員会 (敬称略、順不同)
委 員 長
堀内昭義
中央大学総合政策学部教授
副委員長
藤野次雄
横浜市立大学商学部教授(信金中金総合研究所長)
委 員
筒井義郎
大阪大学大学院経済学研究科教授
委 員
濱田康行
北海道大学経済学部教授
委 員
吉野直行
慶應義塾大学経済学部教授
問い合わせ先
信金中央金庫総合研究所「信金中金月報掲載論文」募集事務局(担当:落合、里田)
Tel : 03
(3563)7541 / Fax : 03
(3563)7551
Shinkin
Central
B a n k
Monthly
Review
研 究
2004年 4月号 目次
地域振興計画の立案手順
笠原 博
2
角田 匠
22
−信用金庫による地域振興支援の一例として−
調 査
日本経済の中期展望
−04∼08年度の年平均実質成長率は1.9%と予測−
信用金庫のインターネットバンキングの現状と課題
㈱しんきん情報システムセンター
中国環渤海地域の投資環境
40
西嶋尚史
篠崎幸弘
58
−青島市の現況−
信金中金だより
信金中央金庫総合研究所活動状況(2月)
69
統 計
信用金庫統計、金融機関業態別統計
71
2004
4
個人名による掲載文のうち意見にわたる部分は執筆者個人の見解です。
投資・施策実施等についてはご自身の判断によってください。
地域振興計画の立案手順
−信用金庫による地域振興支援の一例として−
信金中央金庫 総合研究所主任研究員
笠原 博
(キーワード)地域振興支援、施策提言、先進事例、住民意向、行動プログラム、地域振興
(視 点)
信用金庫では、従来から地域の祭りの手伝いや清掃の実施などの地域振興支援に積極的に取
り組んでいるが、地域にとって経済的メリットが明確に認識できるとともに、自らの営業や収
益にも寄与する活動としての地域振興支援に取り組む必要性が高まっている。本業に資する地
域振興支援の一策として、信用金庫が地域振興計画の立案に取り組むこと、もしくは関与する
ことが考えられるだろう。実際にこうした活動をしている信用金庫も見られる。
そこで本稿では、地域振興の定義や信用金庫による地域振興計画立案への取組・関与の意義
を概観した後、当研究所で実施した信用金庫本店所在地における地域振興計画の立案業務の事
例を基に架空のモデルを示し、手順や具体的な計画の内容についてまとめ、地域振興計画の立
案業務を具体的に理解できるものとした。なお、今回のモデルは、多くの地域において直面し
ている共通の問題を抱えた典型的な地方都市とした。
(要 旨)
●
地域振興を「地域の定住人口(住民)や交流人口(観光客)を増加させ、賑わいをもたらす
こと」と定義し、地域振興によって地域内事業者には経済的満足感、地域住民には精神的満
足感がもたらされ、地域の存在価値が高まる。
●
信用金庫が地域振興計画立案に取組・関与することで短期的に地域内における信用金庫の存
在感を高められ、さらに計画の実行に寄与し効果をあげることで長期的には営業基盤の強化
を通じた自金庫の収益力向上を図ることが可能になる。
●
地域振興計画立案の手順は、
(1)現状把握と問題点抽出、
(2)目指すべき将来像・計画の方
向性の明確化、
(3)具体的施策策定のための要因分析と意向把握、
(4)具体的な施策と行動
プログラムの策定である。
●
地域振興計画を立案する際には、地域関係者が受け入れやすく、動きやすい計画とすること
が重要となる。
2
信金中金月報 2004.4
誇りを持つなど精神的に満たされることにな
1.地域振興の定義と信用金庫による
計画立案への取組・関与の意義
るはずである。こうして地域の存在価値は高
まるであろう。
(1)地域振興とは
イ.地域振興の定義
地域振興計画について紹介する前に、地域
振興のとらえ方についてみておこう。
ロ.地域振興の成功とは
地域振興の成功とは、
「ある主体」が「その
他の地域構成員(行政・企業・住民)と協力
地域振興という言葉は、住環境整備やコミ
して」
「何らかの施策を講じて」人口(住民・
ュニティ再生、文化伝承、経済振興、雇用拡
観光客等の来街者)を増加させ、賑わってい
大など多くの言葉と同意に使われており、非
る地域になることといえる。人口については
常に幅広くとらえられる。ただ、地域振興策
その実数によって増加したか確認できる。賑
として何かに取り組む場合、その目的として
わいについては事業活動、消費活動、文化・
は、地域の存在価値を高めることで共通して
福祉活動等の増加ということから、事業所数、
いるだろう。この存在価値を高めるためには、
従業者数、小売業・サービス業売上高、生産
地域産業を振興させ事業者に経済的満足感を
高、利用した顧客数、通行者数、参加したボ
与えること、地域住民に誇りや愛郷心、生き
ランティア数といった地域内の数値で成果を
がいを持たせて精神的満足感を与えることな
測ることができる。
どが必要になるはずである。
また、地域の課題によっては個別の数値で
こうした点を踏まえ、本稿では地域振興を
も成果が測定できる。たとえば、商店街関係
「地域の定住人口(住民)や交流人口(観光客
の課題であれば空き店舗数、農業関係であれ
等の来街者)を増加させ、賑わいをもたらす
ば耕地面積、観光関係であれば宿泊施設の客
こと」と定義し、地域の賑わいは「地域内で
室稼働率といった数値があげられよう。
実践される事業活動、消費活動、文化・福祉
活動等が増えること」と定義する。
実際の地域振興活動に取り組む際には、そ
の内容に応じて、こうした数値の中から効果
地域が賑わうことによって地域事業者は売
測定のための指標をいくつか設定し定期的に
上を拡大するチャンスを得ることができる。も
チェックすることで、その活動が地域振興に
ちろん、地域のすべての事業者が売上を拡大
貢献しているか評価することができる。
できるわけではないが、個別事業者の経営努
地域振興の主体としては、市町村役場(第
力によっては経済的なメリットを享受するこ
三セクター等も含む)
、民間事業者団体(商工
とは可能である。また地域振興のための施策
会・商工会議所、青年会議所、振興組合、協
によって、住環境が整備されたり、知名度が
同組合、協会等)
、地域住民(NPO、ボランテ
向上することになるため、地域住民が地域に
ィア団体等)の中から適任者がリーダーとな
研 究
3
って組織される。また新たな住民や観光客と
本稿は信用金庫役職員が主体的に地域振興
接する地域構成員の対応や態度によって定着
計画の立案に取り組む場合はもちろん、市町
率やリピート率が左右されることになる。そ
村役場や商工会議所職員などが主体となって
のため、地域構成員に地域振興の意識や意欲
地域振興計画を立案する過程に信用金庫役職
を持たせる必要があり、地域振興計画を立案
員が関与する場合にも参考になるような内容
したり、実際に施策を講じる際には地域構成
としている。
員間の協力が不可欠になる。何らかの施策と
は施設建設(既存施設の見直し)
、交通基盤整
備、イベント開催、ブランド品づくりなどが
考えられる。
(2)信用金庫が地域振興計画立案に取り組む・
関与する意義
イ.信用金庫の役割
長山宗広「地域振興支援への示唆―地域活
ハ.地域の範囲等
性化の成功モデルと信用金庫の関わり―」
『地
本稿では地域という範囲を、一般的な住民
域調査情報15-1』信金中金総合研究所(2003年
の経済活動や愛郷心、帰属意識などを踏まえ、
4月)では、信用金庫における地域振興支援の
市町村単位か自治会単位でとらえており、そ
役割として①地域環境の変化をとらえる、②
の範囲での具体的な振興策を立案していくこ
地域のニューリーダー(起街家)を育む、③
とを想定している。こうした範囲であれば、信
異業種交流会などを通じて既存産業・企業へ
用金庫の営業範囲の一部分であり、取組主体
イノベーションを持ち込む、④コーディネー
に対して、本業である資金面での支援はもち
ターとなり地域活性化の担い手を広く発掘し
ろん、労働面(人材面)や情報面(知識面)で
てつなぎあわせる、⑤地域構成員の一員とし
の支援も可能なはずである。
て主体的に地域振興を支援する(地域振興計
こうした定義や範囲を踏まえて、
・定住人口増加と交流人口増加のどちらを目
指すべきか。
画立案への取組・関与)
、を例示している。
すでに地域全体の地域振興に関する行動プ
ログラムが作成され、それに沿った具体的な
・誰が地域振興の主体となるべきか。
施策の実行段階にある場合には、こうした役
・地域振興策として実際に何をすべきか。
割にはとらわれず、具体的な施策に関して情
・地域振興策を実行するためには誰がいつ何
報収集を行い、信用金庫として支援できる施
をすべきか。
・地域住民や事業者に参加してもらうために
は何をすべきか。
策を検討し協力することで地域振興支援は実
現できる。
しかし、地域振興に関する動きがあまり見
といった具体的な地域振興計画を立案するた
えない地域や、個別の地域振興活動は見られ
めの方法を、事例を基に紹介する。
るが地域全体として実効性のある体系的な計
4
信金中金月報 2004.4
画がないような地域では、信用金庫が地域振
金庫の収益力向上にも直結するはずである。
興支援の役割を担うことの意義は大きい。こ
しかし、実際に信用金庫が地域振興に取り
うした役割を担うことで、地域構成員が地域
組む・関与する場合には、自金庫が相応の効
振興の活動を始めるきっかけとなる可能性が
果(特に経済的効果)を得られなければ長続
生まれるからである。
きさせることは難しく、逆に地域構成員との
特に、信用金庫が地域構成員の一員として
信頼関係を損なう事態に陥りかねない。たと
主体的に地域振興を支援すること、つまり地
えば、①本支店が産業集積地(商店街等)に
域振興計画立案に取り組む・関与することは、
存在し周辺事業者との取引密度が濃い、②
その他の①∼④にも取り組むことにもなるた
NPOや街づくり組織等これまで取引が少なか
め、地域へのインパクトが強く、具体的な活
った組織と接触できる機会を得られる、③行
動が動き出すきっかけとなる可能性が高い。た
政や商工会議所等との関係が強化され取引関
とえば、計画立案後、信用金庫が行政や住民、
係が活発化することが見込める、といった状
事業者と地域振興について検討する場をつく
況であれば、地域振興計画立案に取り組む・
り、立案した地域振興計画をたたき台として
関与することで預貸金の増加などが期待でき
話し合うことで、具体的な活動が出始めるの
るため、地域振興に取り組む意義があるとい
ではないだろうか。信用金庫では行政、住民、
える。
多様な業種の事業者を取引先としており、信
用金庫が検討の場をコーディネートすること
で、さまざまな視点、立場から意見が出され、
2.地域振興計画の立案手順
地域振興の対象としては、商店街、観光、産
結果として地域構成員の多くがより受け入れ
業集積(既存産業・新産業)
、福祉、教育、コ
やすく、より動きやすい計画が立案できるの
ミュニティビジネスなど多岐にわたるが、地
ではないだろうか。信用金庫が地域振興計画
域振興計画立案の一般的手順としては、図表
立案に取り組む・関与することは、地域振興
1のとおりで共通している。
実現の第一歩となるのである。
現状を把握し、地域振興の方向性を見出せ
た段階で、ヒアリングをした関係者に対して
ロ.信用金庫が地域振興に取り組む効果・意義
中間報告を実施して、現状・課題の認識が正
信用金庫が地域振興計画立案に取り組む・
しいか、提言しようとしている内容が地域に
関与することは、短期的には知識面・人材面
受け入れられそうか確認することが必要にな
からの地域振興支援といえ、こうした活動で
る。特に地域振興に活用する地域資源に対す
地域における存在感を高められるのではない
る評価を確認しておきたい。地域構成員が誇
だろうか。さらに長期的に見れば、計画が実
りを持てる資源を有効に活用すれば、地域構
現に結びつくことで営業基盤が強化され、自
成員からの参加、協力が得やすい。
研 究
5
図表1 地域振興計画立案の一般的期間と手順
(1)現状把握と問題点抽出
・地域経済に関する既存統計の整理、実地調査でのデータ収集等による
地域環境の動向把握
・地域構成員(特に地域に注目されている取り組みをしている企業・住
民等)へのヒアリングによる地域振興活動の現状把握・問題点整理
2
カ
(2)目指すべき将来像・計画の方向性の明確化
・現状を踏まえた将来像(定住人口の増加・交流人口の増加など)設定
月
・問題点と将来像を踏まえた上での課題設定
・地域振興の中心として使える地域資源(人・歴史・産業・施設等)の
選定および計画の方向性の明確化
中 間 報 告
2
カ
月
(3)具体的施策策定のための要因分析と意向把握
・方向性に沿った地域振興の先進事例の調査による地域振興の成功要因
分析
・一般住民や勤労者に受け入れられやすい地域振興策とするための、具
体策に対する意向の把握
(4)具体的な施策と行動プログラムの策定
・調査結果を踏まえた上での具体的施策の策定
2
・地域構成員別年度別の行動プログラムの作成
カ
・報告書としての取りまとめ
月
最 終 報 告
(備考)信金中金総合研究所作成
6
信金中金月報 2004.4
また対象によっては、行政による支援が必
地域構成員に受け入れやすく動きやすい計画
要になることもある。その場合、計画立案の
となる可能性や、普段は見えにくい地域の現
際には行政と意見交換を緊密に行い、方向性
状や問題、地域内資源などを発見できる可能
をすり合わせることで、行政の協力を得やす
性が高まる。
い内容となるよう留意しなければならない。
特に、具体的な地域振興のための活動(情
報発信や特産品開発など)を計画・実践して
(1)現状把握と問題点抽出
いる人(キーマン)へのヒアリングは必ず実
地域振興計画を立案するためには、まず地
施する。キーマンは地域の課題や将来像を的
域の現状や環境の変化を把握し問題点を抽出
確に把握していることがあり、計画立案には
する必要がある。問題点を抽出すると、地域
参考になる点が多い。また地域のニューリー
振興の必要性が認識できるはずである。現状
ダー(起街家)となる可能性もあり、こうし
把握、環境変化、問題点を抽出する方法とし
た人材を計画立案に巻き込むことで、計画立
ては、
案後の実行段階での活動が推進しやすくなる
イ.総合振興計画、国勢調査、農林水産統計、
だろう。
工業統計調査、商業統計調査、事業所・企
またヒアリングや実地調査において、日本
業統計調査、観光入込調査等行政資料から
一や地域初、最大、唯一などをキーワードに、
データの確認
地域振興に使えると思われる地域資源(人材
ロ.市町村役場、商工会・商工会議所、観光
協会、青年会議所、農業協同組合、漁業協
や歴史的資源、地場産業、文化的施設、名産
品など)も発掘しておく。
同組合、製造業協同組合、商店街振興組合、
第三セクター・TMO、農業者、漁業者、民
(2)目指すべき将来像・計画の方向性の明確化
間事業者、住民、NPO等地域構成員へのヒ
この後策定する地域振興施策を実効性があ
アリング
り、効果的なものとするためには、地域の課
ハ.地域内への実地調査(駅利用者、地域内
題を設定し、その課題を解決する方向性を示
歩行者、商店街利用者、観光客等の調査)
し、その方向性に沿って具体策を検討する必
があげられる。
この中で重要なのは地域構成員へのヒアリ
ングである。ヒアリングでは、地域の現状、課
要がある。地域の将来像を明確にし、その将
来像と現状の問題点とのギャップを整理する
ことで地域の課題が設定できる。
題、あるべき将来像、自らの活動状況、今後
そこで現状把握、問題点抽出の後には、地
の取り組み予定、地域内での連携状況などに
域の将来像を掲げ、将来像と問題点から地域
ついて意見を聞くことになる。このとき、可
の課題を設定し、課題解決の方向性を明確化
能な限り多様な立場の人から話を聞くことで、
することになる。将来像としては、目標年次
研 究
7
(5年後など)における地域内の定住人口や交
となる住民等から協力が得られず、計画実現
流人口の具体的目標値が明記されることが望
が困難なケースも少なくなかった。実際に地
ましい。加えて、ターゲットの年齢層や現住
域振興施策を実施するのは地域住民等となる
地なども設定できれば、より効果的な施策を
ため、信用金庫が関与して策定する施策は地
立案できるであろう。
元住民等の意向を踏まえたものとし、理解や
現状と将来像の比較から、将来像を実現す
納得を得られるものとすることが望ましい。
るために解決しなければならない課題が浮か
そこで、現状把握の時点でキーとなる住民
び上がってくるはずである。その課題の裏返
や事業者から意見をヒアリングしているが、よ
しが地域が進むべき方向性となる。方向性で
り多くの声を集めるため、アンケートを実施
は、現状把握で抽出した地域資源の中から、有
する。この場合、信用金庫の地域に張り巡ら
用だと思われる資源を選定し、どのような使
せたネットワークを活用すれば、効率的にア
い方をするかも内容に含めるようにする。
ンケートが実施できる。
こうした将来像や課題、計画の方向性につ
ただし、ここまで検討してきた地域振興の
いては、地域構成員からのヒアリング結果を
方向性に合致する回答を得られるよう、方向
十分踏まえた上で検討し取りまとめる。
性を前提としたより具体的な提言内容に直結
するような質問内容や選択肢とし、さらにこ
(3)具体的施策策定のための要因分析と意向
把握
れらの順番にも十分留意したアンケート用紙
を作成する必要がある。
地域振興の方向性が整理できたところで、方
向性に沿った具体的な施策を考える際の参考
(4)具体的な施策と行動プログラムの策定
になるよう、可能な限り多くの先進地域の事
ここまでの方向性、先進事例、住民等の意
例調査を行い紹介する。これによって地域に
向を踏まえて、より具体的な施策を抽出する。
イノベーションを持ち込めよう。さらにそこ
具体策については、より多くのメンバーで考
から成功要因を抽出することで、計画立案の
えたほうが多様な施策を抽出できるため、多
参考となる。当然、方向性に合致した施策に
くの参加者を集めて議論する機会を設けたい。
取り組んでいる地域を選定する必要があるが、
施策立案においては、
先進地域の調査候補先に関する情報は、イン
イ.ヒアリングやアンケートなどで把握した
ターネットや関連書籍・雑誌、新聞記事等か
ら抽出する。
住民等の意向を踏まえる。
ロ.地域振興の効果が波及するよう地域全体
また、以前には行政等が策定した地域に関
で取り組みやすい施策を立案する(信用金
する計画には地域住民や事業者の意見が反映
庫の取引先同士を結びつけることも視野に
されていないことも多く、地域振興の担い手
入れる)。
8
信金中金月報 2004.4
ハ.厳しい財政状況を踏まえ、既存の施設や
資源、人材を十分に活用する。
などの視点を持つ必要がある。
候も海流の関係で比較的温暖で穏やかである
ため、周辺からは住みやすいといわれている。
人材にも恵まれており、世界的な知名度を誇
さらに実際の行動を促せるよう、誰が、い
る陶芸家も輩出している。県庁所在地からの
つ、何をやるかを定めた行動プログラムまで
交通としては、鉄道(単線)が通っているほ
作成する必要がある。プログラム作成におい
か、国道(片側一車線)も整備されている。面
ては、資金や場所、人員などの負担が少ない
積は約150km で、田・畑・山林が80%以上を
などの取り組みやすさと得られる効果のバラ
占め、主要な産業は農業および農産品加工業
ンスを見て優先順位を決める。基本的には、成
となっている。
2
功体験を地域内に積み上げ、自信と意欲を持
信用金庫では常日頃からA市内の事業者や地
てるよう、効果はあまり大きくなくても比較
域住民と接しているが、地域経済の衰退など
的簡単に実施できそうな施策から始めるとい
厳しい実態にもかかわらず、地域内の危機感
った点に留意する。
が希薄だと感じていた。財政難等の影響によ
また、具体的に施策を実施する際には、効
って、市役所や商工会議所などによる地域振
果測定や施策の見直しの参考とするため、人
興への主体的な取り組みが見られないため、信
口、事業所数、売上高、ボランティア数など
用金庫自らが地域振興計画を立案することを
のデータを定期的に収集しておく。これらの
決め、当研究所もその取り組みを支援した。今
データや具体的な取組内容に関して、行政や
回作成した地域振興計画は市長をはじめとし
商工会議所などの利害関係者に積極的に情報
た市役所職員、商工会議所理事等に提言する
を公開し、評価・チェックを受けながら進め
とともに、広く地域住民にも公表した。
ることも、地域構成員から協力を得る上では
必要になろう。
(1)現状把握と問題点抽出
イ.現状把握
3.地域振興計画の立案事例
ここでは実際に当研究所と信用金庫が協働
で地域振興計画の立案に取り組んだ事例を基
A市役所で収集したデータの分析や地域構成
員へのヒアリング、実地調査によって、以下
のような現状を把握した(図表2)。
に、架空の信用金庫の本店所在地A市をモデル
として想定し、地域振興計画の立案内容を紹
介する(当該事例中の固有名詞は架空のもの
である)。
A市は、人口30万人超の県庁所在地から30km
圏内にある地方都市で、地形は比較的平坦、気
(イ)人口・世帯数
A市の人口は約30,000人、世帯数は約12,000
世帯で、5年前と比較すると、人口は5%減、世
帯数は5%増となっている。
県庁所在地と結ぶ鉄道(私鉄)は単線で本
研 究
9
数も1時間に1本程度である。さらに片側一車
加工品に利用できることもあって収穫量は増
線の国道も土日等には渋滞が激しく、A市の交
加し、いまでは全国トップ水準の収穫量を誇
通利便性は低い。そのため若年層を中心に県
っている。水分に気を使うなど手間をかけて
庁所在地に移住するケースが多く、出生率の
生産しているため、品質も非常に高く、市場
低下と相まって、人口の減少と高齢化が同時
段階では海外からの輸入品よりも数段甘みが
進行している(2000年で65歳以上人口比率約
あって美味しいと評判になっているが、その
25%)。
評判は消費者までは届いておらず、手間を小
市内唯一のA駅の東側では土地区画整理事業
を行い宅地分譲を進めているが、販売率は30%
程度にとどまり、宅地造成による人口増加も
難しい状況となっている。
売価格には転嫁できず、収益性は低くなって
いる。
さらに、農業者の高齢化等の影響によって、
耕地面積は約2,000haと5年間で約20%も減少
し、農家数、農業人口も大幅に減少している。
(ロ)農業
農業生産品目が市場動向に大きく左右され、し
A市は肥沃な土壌に恵まれ、土質も良い上、
かも主力品目に過度に集中するケースが多く、
日照量・降水量も適切で、1日の寒暖の差が激
地域内ですら農家間競争によって値崩れを招
しいため、農業では野菜栽培に適し、豊富な
くこともある。
野菜が主力となっている。特にネギは発祥の
地ともいわれており、相応の収穫量がある。し
(ハ)工業
かし、他地域での品質改良に追い越され、ま
A市の事業所数は約100で5年間に10%以上も
た品種開発着手にも出遅れるなど、産地間競
減少し、この間従業員数も15%近く減少して
争に巻き込まれ、収穫量は年々減少している。
いる。工業では事業所数全体の90%を農産品
トマトは数十年前から生産を始め、幅広く
加工業が占めている。農産加工品としては、野
菜(特にトマト)を使ったジュースやジャム、
図表2 A市の現状
アイスクリーム、おやき、せんべいなどが作
・人口
約30,000人(5年前比5%減)
・世帯数
約12,000世帯( 同 5%増)
・耕地面積
約2,000ha( 同 20%減)
・事業所数
約100事業所( 同 10%減)
・小売店数
約500店( 同 15%減)
・年間観光客数
・財政力指数
約50万人( 同 25%増)
約0.5( 同 0.1悪化)
られており、市内土産物販売店で土産品等と
して販売されている。トマトの質が高いため
加工品も非常に美味しく、ジュースやジャム
などは東京の大手百貨店でも販売されている
ほどだが、PR不足で全国的な知名度は非常に
低い。市民の中にも、トマトの質の高さを認
識している人は少ない。
(備考)信金中金総合研究所作成
10
信金中金月報 2004.4
また、A市では稲作も行われているが、その
藁の焼却灰を釉薬として利用した焼物に取り
ーが管理運営)、土産品販売店(A駅前、観光
組む陶芸家が集まりつつあり、
「藁焼」と呼ば
案内を併設、陶芸館とは違う第三セクターが
れ独特の色合いを持つ作品で注目されている
管理運営)
、民間の宿泊施設等があり、年間50
人もいる。
万人の観光客を県内周辺都市から集客し、5年
前と比べて25%も増えている。観光客の利用
(ニ)商業
が最も多いのは道の駅であるが、道の駅の売
A市では小売店数が500店と5年間で15%近く
も減少している。当然、空き店舗率も高く市
店は規模が小さく、駅前の土産品販売所の方
が土産品の品揃えは充実している。
全体で20%近くなっており、活気が乏しくな
しかし、隣接市町村には自然景観や歴史的
っている。市内で最も活気のあった本町銀座
な蔵等をテーマにして観光振興に取り組んで
商店街はA駅西口から500m程度離れた国道沿
いる市町村があり、そうした市町村では年間
いに見られるが、ここでも空き店舗は目立ち、
100万人以上集客していることを考えると、A
人通りも少なくなっている。一方で、A駅東側
市の観光客は少ない。さらに、各観光施設の
の土地区画整理事業地の隣接には、ここ2∼3
管理運営主体が異なるため連携した企画など
年の間に駐車場が豊富な大規模小売店が5店ほ
はなく、A市に来る多くの観光客は目的とする
ど出店し、周辺市町村も含めた広域商圏を形
施設のみに立寄り、回遊して観光するといっ
成している。
た行動は見られない。加えて、A市民全体に観
A駅前には、マスコミに取り上げられるほど
有名な藁焼工房の販売所があり、時期によっ
ては観光客が殺到し混雑している。
光客へのもてなしや親切さが不足しており、観
光客に不満感をいだかせてしまうこともある。
観光協会は組織されておらず、観光客への
また本町銀座商店街には延床面積約5,000m
2
情報発信、観光客からの問合せ対応などに関
(敷地面積約2,500m2)の3階建て・大型量販店
しては各施設が個別に対応しており、市とし
があったが、1年ほど前に撤退し、現在は廃墟
ての統一的な施策は講じられていない。
化している建物が残っている。中心部にある
ため、市で土地建物を購入したが活用方法は
未定である。
(ヘ)財政状況
A市の財政力指数(指数が高いほど自主財源
割合が高く財政力が豊かな市町村)は0.5程度
(ホ)観光
とかなり低い水準で、しかも5年前より悪化し
A市には観光施設として道の駅(A駅から
ている。公債費比率(一般財源のうち地方債
1,000m程度離れた国道沿い、トイレと売店の
返還に充てられる金額の割合)
、経常収支比率
み、市役所が管理運営)
、陶芸館(地元出身の
(比率が高いほど道路・公園整備など住民の新
陶芸家の記念館、道の駅に隣接、第三セクタ
しいニーズに対応する余力がない)
、地方債残
研 究
11
高等を見ても、市の財政は硬直化し、極めて
の低下などが生じ、
「住みにくい市」になって
厳しい状況である。市では財政再建のため、人
存在価値を下げる危険性が増大しており、地
件費削減などの徹底した経費削減策、効果的
域一体となった地域振興に取り組む必要があ
な支出配分、新しい財源の捻出などに取り組
ることを強く認識できた。
もうとしている。
市長は地域振興に積極的であるが、財政状
況が非常に厳しいため、財政再建を優先する
あまり、必要性の高い新規投資も抑制してい
るようにも見受けられる。
ロ.問題点の抽出
このような現状を踏まえ、A市の問題点とし
(2)目指すべき将来像・計画の方向性の明確化
イ.将来像と達成のための課題
ここでは現状を踏まえて、A市の将来像を以
下のように掲げた。
農業・製造業等の地域産業によって「A
市」の認知度が高まり、増加した交流人
て以下の点を指摘した。
口(観光客)によって地域経済が活性化
・人口は減少傾向にある上、人口増加の兆し
している観光都市
は見えない。
・農産品や農産加工品は品質が高いものの、消
A市における問題点と将来像のギャップを整
費者の認知度が低いため、農家や製造業者
理したところ、将来像を達成するためには以
は安定的な収入確保が困難になっている。
下の3つの課題が設定できた。
・観光施設は複数見られるが、魅力的な施設
(イ)知名度向上の活動主体となる
「組織づくり」
が少ないため、観光客は短時間滞在となり、
(ロ)観光客が長時間滞在する「拠点づくり」
地域経済全体への波及は少ない。
(ハ)観光客に満足感を与える
「歓迎意識づくり」
・観光施設や観光資源に関する情報発信が不
十分であるため、周辺市町村に観光客を奪
われている。
・市の財政状況は厳しく、まちづくりのため
ロ.地域振興の3つの方向性
3つの課題に対して、それぞれの解決の方向
性として以下のものをあげた。
の資金を十分には確保できない。
・市民や観光関係業者に、観光客を迎える心
(イ)観光関連組織の整理統合による新組織設立
(ホスピタリティ)が十分醸成されていると
A市には豊富な産業資源(農産品・農産加工
は言い難い。
品)や観光資源があるにもかかわらず、市役
所、商工会議所、第三セクター、民間企業(農
こうした問題点を改めて整理すると、A市は
家、製造業者、旅館・ホテル等)などが別々
今後地域活力が低下し、税収不足、福祉水準
に情報発信をしているため、相乗効果が得ら
12
信金中金月報 2004.4
れず、市全体の知名度は高いとはいえない。そ
前の土産品販売店は既存の観光案内・土産品
のため周辺市町村からの観光客の入込みが少
販売の機能を道の駅に移管し縮小させ、空い
なくなっている。
たスペースは立地条件を活かして売上増加が
そこで民間企業の協力も得ながら複数ある
期待できる施設とする。商店街の大型店跡は
観光関係組織を一本化し、観光客増加のため
商店街や居住者、観光客のニーズに合致した
の総合的な施策を講じることができる新組織
施設とする。
を設立する。新組織では、観光に関する情報
収集と効果的なPR、農産品を利用した新商品
(ハ)新組織の働きかけによる市民の意識改革
企画、各観光施設と連携したツアー企画等が
A市には年間50万人超の観光客が来るにもか
主力業務となる。
かわらず、市内事業者の中には観光客に不親
この際、市役所では資金力、迅速性、機動
切な対応をしているところも見受けられる。ま
性に劣り、民間企業では公益性、関係者間の
た一般市民も観光客に対するホスピタリティ
調整力に劣ると考えられるため、それぞれの
(もてなす気持ち)が必ずしも十分でないと思
長所を活かし短所を補えるよう第三セクター
われる。
による運営とする。ただし地域振興事業の責
そこで、新組織が中心となって、地域振興
任は行政が担うべきと考えるため、市役所が
計画の立案過程や実際の活動への資金面、労
過半の出資を行う。
力面での住民参加、市内の地域資源に関する
住民教育等を行いながら意識改革を行い、ホ
(ロ)既存施設の再編・見直し等による拠点整備
スピタリティを持たせることとする。第一ス
A市には道の駅、土産品販売店があるにもか
テップとしては、市役所職員と住民、企業が
かわらず、各施設の魅力不足や施設内容の重
市の将来像、地域振興の組織体制などについ
複があるなど特徴が見えにくい部分もある。ま
て話し合う場を設ける。実際に地域振興の活
た、他に長時間滞在が期待できる施設も見当
動に対して住民参加を呼びかける場合には、す
たらないため、観光客の回遊等による地域へ
でにホスピタリティや地域振興への参加意識
の経済効果が低い。
が醸成されているボランティア団体、サーク
そこで観光施設を、次のように再編・見直
し、新設することによって、各施設を特徴の
明確な拠点として整備する。
ル組織と最初に行い、成功体験を積み上げる。
住民教育は小中高校生・大学生を主な対象
とし、農業、芸術館などの地域資源に触れ合
道の駅は、観光客向け玄関口として売店を
える機会を通じて、地域への愛着を持たせる
拡張し、市内での製造品・農産加工品や特産
と同時に、将来のA市を担える人材の育成も目
品を豊富にするなど品揃えを充実させる。さ
的とする。
らに売店に観光情報受発信施設を併設する。駅
研 究
13
(3)具体的施策策定のための要因分析と意向
把握
(ハ)住民の意識改革の成功要因
・企画・計画段階からの、リーダーによる住
イ.先進事例からの成功要因分析
A市の地域振興の参考になるよう、方向性と
合致している先進事例を10地域以上調査した
上で、「第三セクターによる施設運営」「利用
される施設づくり」
「住民の意識改革」の成功
要因として以下のものを抽出した。具体的な
先進事例については4.
で紹介している。
(イ)第三セクターが施設運営する際の成功要因
・自助努力および行政支援の有効活用による、
収益状況の安定・収入源の確保
民に対する積極的な働きかけ・情報発信
・学校教育等による住民のまちづくりへの関
心の高まり
・住民の日常活動の延長線上にまちづくり活
動を置き、参加しやすい内容構成
・実際のまちづくり活動における住民の役割
提供
ロ.意向の把握
具体的な施策立案を行うにあたり、A市市
民・事業者の意向を把握するため、信用金庫
・まちづくりへの意欲、企業経営のセンス、周
の取引先である地域住民と地域事業者合計約
囲への影響力を持ち、リーダーシップを発
300人にアンケートを実施した。アンケートで
揮できるリーダーの存在
は、商店街周辺および駅周辺に欲しい施設、ま
・地域内の広範囲にプラスの効果が波及する
ちづくり活動への参加意欲について聞いた。
ことが見込まれるものに業務内容を限定
(イ)商店街周辺に欲しい施設
(ロ)利用される施設づくりの成功要因
・想定される利用者の多様なニーズを踏まえ
た施設構成、商品構成
商店街周辺に欲しい施設として、
「地物のレ
ストラン」をあげる人が41%と多く、駐車場
35%、トイレ・休憩所33%、仮設屋根付き広
・行政の積極的な支援、施設づくり・施設運
場25%、直売所23%と続いている。農産物が
営の工夫、ボランティアの活用等による利
名産であり、それらを利用した施設が望まれ
用者負担の軽減
ているのではないだろうか。
・開業後も利用者ニーズに合わせた柔軟な対
応、積極的な投資
商店街内にある大型店跡では、これらの施設
をミックスさせることが検討できる(図表3)
。
・地域還元、地元重視、信用・信頼・安全な
ど明快なコンセプトの設定と徹底したコン
セプト遵守
(ロ)駅周辺に欲しい施設
駅周辺に欲しい施設としては、アミューズ
メント施設45%、喫茶店30%となっている。現
在駅前にある土産品販売、観光案内の必要性
14
信金中金月報 2004.4
も低くはない。現在の機能は残しながらも、さ
図表3 商店街周辺に欲しい施設
らなる施設の充実が望まれている(図表4)。
地物のレストラン
映画館やゲームセンターなど若年層が集まれ
駐車場
る施設が不足していると実感している人が多
トイレ・休憩所
いのではないか。
41
35
33
25
仮設屋根付広場
直売所
(ハ)地域振興活動への参加意欲
23
0
10
20
30
40
参加してみたい地域振興活動としては、
「実
際の活動」および「活動協力へのボランティ
50
(%)
(備考)信金中金総合研究所作成、以下図表5まで同じ
ア」をあげる人が26%と多くなっている。地
図表4 駅周辺に欲しい施設
域振興への参加意欲を持つ町民は少なくはな
アミューズメント
45
く、実際に活動を進める際には協力を得られ
る可能性が高い。地域振興計画の立案にも13%
喫茶店
が参加を希望しており、実際の活動時だけで
土産品販売店
はなく、当初の計画立案段階から参加しても
観光案内所
らうことも可能といえる(図表5)。
30
23
21
0
10
20
30
40
50
(%)
(4)具体的な施策と行動プログラムの策定
イ.具体的な施策の策定
図表5 地域振興活動への参加意欲
実際の活動
26
ボランティア
26
先進事例および市民等の意向を踏まえて、
地域
振興の方向性に沿って、
A市の地域振興のために
以下の3つを具体的な施策としてとりまとめた。
「組織づくり」
小中学生教育
13
地域振興計画立案
13
0
5
10
15
20
25
30
(%)
=仮称・㈱地域振興センターの設立
今回は観光がテーマであったため、笠原博
「拠点づくり」
=道の駅・土産品販売店・大型店跡の機能整理
「地域一体内発型の観光振興―地域資源を活か
した住民・地元民間企業・行政一体の地域活
性化の取り組み―」
『信金中金月報』
(2003年6
「歓迎意識づくり」
=住民参加・住民教育体制整備
月号)で見た地域資源を活かす観光振興にも
留意している。
また、具体的な施策内容を考える上では、重
研 究
15
要な地域資源である「トマト」を利用するこ
ームを発生させる品質の低い施設には経営改
とを中心に考え、さらに有名な陶芸家の集積
善を指導し品質を向上させることを要求する。
なども利用することを視野にいれて検討した。
新商品の企画・開発では、トマトを使った
新しい加工品を開発したり、周遊型旅行商品
(イ)仮称・㈱地域振興センターの設立
観光関連組織(市役所、商工会議所、既存
の第三セクター等)の機能(施設の管理運営・
の開発、学校教育に市内の施設や産業での体
験プログラムの導入を提案することなどが考
えられる。
観光客からの問合せ対応等)を集約・一本化
した新しい第三セクター(仮称・㈱地域振興
センター)を設立する。地域振興センターの
(ロ)道の駅・土産品販売店等の機能整理
道の駅、土産品販売店、大型店跡に関して、
業務内容としては、①A市関連の情報発信、②
観光客の利便性を高めるとともに、各施設の
観光客からの情報収集・対応、③新商品の企
個性を全面に出し回遊性を高めるため、各施
画・開発があげられる。
設の機能を見直す。
A市関連の情報発信では、特産品のトマトお
道の駅は、国道に面しマイカーでの観光客
よび加工品の高い品質を広く認知してもらう
が多く立寄っており、観光客を迎える玄関口
ため、小売店、飲食店・料理人、ホテル、市
と位置づける。売店を拡張し、駅前の土産品
場関係者、一般消費者等を招待した試食会の
販売店での取扱商品をここに集中させる(土
開催や、県内で行われる農業関係イベント・
産品販売店は機能縮小)
。農産品・農産加工品、
展示会に参加し消費者への直接販売の実施な
アルコールの他、陶芸館関連グッズ、お菓子、
どを行う。
おみやげ品等の品揃えで観光客のニーズに対
またセンターがホームページを作成し、そ
応する。
こで観光施設案内や当日の天気、道路の混雑
駅前の土産品販売店では、周辺に有名工房
状況などの情報を広く発信するとともに、ト
の販売所がある立地条件を活かした施設活用
マト・加工品の通信販売も実施する。さらに
を行う。具体的には、現在ある物産販売・観
観光パンフレットや観光ポスターも作成する。
光案内・事務所の規模を縮小して1階に集約し、
観光客からの情報収集・対応は、観光地と
2階にアミューズメント施設(陶芸体験館)お
しての品質(観光客の満足度)を維持・向上
するための業務となる。具体的には宿泊施設、
よび陶芸作品直売所を開設する。
商店街の大型店跡は、アンケートで地物の
タクシー、飲食店、観光ボランティアなどの
レストラン、トイレ・休憩所、駐車場、屋根
予約窓口とクレーム受付窓口を一本化する。窓
付き広場、直売所を望む声が多かったことを
口を一本化することで、一定の品質以上の施
受けて、現施設の1階部分を建物に覆われた駐
設のみを観光客に紹介できるとともに、クレ
車場およびイベント広場として利用できるよ
16
信金中金月報 2004.4
うリニューアルし、2階を野菜(トマト)直売
設清掃等は住民のボランティアでの参加を要
所、トイレ・休憩所、直営レストラン(トマ
請するとともに、高齢者等に観光ボランティ
トを利用したメニューが中心、地元陶芸家の
アに就任してもらうよう要請する。さらに、市
作品を利用して提供)とし、3階は団体用食事
民等の主体的な参加を促すため、イベント開
スペースとしても利用できる研修所・ミーテ
催時や施設の運営スタッフとして、市内のサ
ィングスペースとして利用する。
ークル組織や福祉施設等が参加しやすい役割
提供をすることが考えられる。
(ハ)住民参加・住民教育体制整備
住民教育では、意識改革への着手は若年層
市民のホスピタリティを高めるよう、地域
ほど効果的なため、若年層に地域への関心・
振興における住民参加施策の立案ならびに住
誇り・愛着心を持たせるような施策を実施す
民への地域教育の体制整備をする。
る。たとえば観光パンフレット、観光マップ、
まずは、市役所が主体となって、地域振興
観光ポスターなどの作成を地元の高校生に依
の推進母体となる組織(地域振興検討会)を
頼することや小中学生を対象とする農業、陶
立ち上げる。この検討会はセンター設立の母
芸家と連携した体験型教育メニューを開発す
体となることやリーダーとなる人材を発掘す
ることが考えられる。
ること、地域振興の担い手になるだろうメン
バーを交流させることを目的としている。メ
ロ.行動プログラム
ンバーは20歳∼30歳代の若年者中心の10∼15
これまで見てきた施策を計画的に実施でき
人で、候補としては市役所係長クラス、青年
るよう、以下のような各主体者別年次別の行
会議所メンバー、小中学校教職員、ボランテ
動プログラムを作成した(図表6)。
ィア活動参加者、農家・加工品業者の後継ぎ、
今回は地域振興検討会を開催することから
NPOメンバーなどである。検討するテーマは、
始め、検討会をベースに新組織を設立し、新
市の将来像・目標、大型店跡利用計画、地域
組織を中心として地域振興活動を展開してい
振興推進のための組織づくり(官民の役割分
く行動プログラムを作成した。
担)などがあるだろう。
また、新組織が活動を開始した後は、観光
実際に地域振興活動が始動した場合の住民
人口、市内事業所数、市内小売・サービス業
参加としては、資金面と労力面から参加協力
売上高、イベント等への参加ボランティア数
を要請する。資金面では、仮称・㈱地域振興
を定期的に把握することとし、さらに見直し
センターの設立時に、経営体質の強化ととも
た施設の利用人数、売上高、新組織への出資
に住民の参加意欲を高めるため一口5万円の出
者数、教育メニューに参加した小中学生数な
資を要請する。
ども把握することとした。こうしたデータは、
労力面では、経費削減のため、公園管理、施
新組織の株主のA市市役所や市民、事業所には
研 究
17
図表6 行動プログラム
初年度
行
政
企
業
・
団
体
2 年度
3 年度以降
●地域振興検討会設置
●観光客アンケート実施
●センター設立支援
●町民への地域振興アンケ
ート実施
●検討会への参加
●トマトおよび加工品の品
質向上
●新しい加工品の研究開発
●センターへの出資
●新しい加工品の製造販売
開始
●検討会への参加
●観光ボランティアとして
応募・活動開始
●新組織への出資
●芝生、花壇等公共施設管
理業務への参加
●インターネットによる観
光情報HPの作成、開設
●試食会の開催
●施設予約窓口の一本化
●周遊型新商品の開発
住
民
新
組
織
(備考)信金中金総合研究所作成
積極的に情報発信を行い、取組内容や進捗状
信用金庫550万円、その他民間企業7,950万円)
況などについて評価を受ける仕組みも盛り込
である。常勤社員11名(プロパー社員10名、の
んだ。
と共栄信用金庫からの出向1名)、パート8人
(繁忙期)を地元から採用し、これらによって
4.地域振興の先進事例
ここではA市の地域振興の先進事例として取
材したものの中から、
「第三セクターによる施
設運営」「大型施設の再利用」「出資による住
民参加」の3事例を紹介する。
業務を遂行している。
業務内容はフィッシャーマンズワーフ「能
登食祭市場(図表7)」の運営・管理である。
「能登食祭市場」は七尾青年会議所等民間人が
中心となって作成した地域活性化のための構
想「七尾マリンシティ構想」の一環として、観
(1)第三セクター㈱香島津による施設運営
(石川県七尾市)
株式会社香島津は1990年6月に設立された、
光名所となる集客施設づくりおよび、地元の
祭りの情報発信スペースづくりを目的として
2
1991年9月開業した。施設の延べ面積は5,384m
資本金1億3,500万円の第三セクター(出資内
で、総工費15億5,000万円(土地は県・市所有、
訳:七尾市3,000万円、石川県1,000万円、鹿島
建物のみ㈱香島津所有)である。
郡6町600万円、商工会議所400万円、のと共栄
18
信金中金月報 2004.4
施設構成は、1階が能登祭歳時館(管理運営
図表7 能登食祭市場
は七尾市からの委託)
、広場・ホール、能登銘
販促活動を行っており、隣接する年間100万人
産工芸館(直営)、能登生鮮市場(地元企業8
以上の観光客の入込みがある和倉温泉各旅館
社に委託、浜焼きコーナーのみ直営)、2階が
との連携、施設のリニューアル(2002年)等
研修室、団体食事等会場(以上直営)
、能登グ
を実施している。
ルメ館(地元企業6社に委託)となっている。
年間80万∼90万人の入館者があり、開業後
(2)商店街内の旧大型店施設を福祉施設にリ
11年あまりで累計入館者1,000万人を突破した。
ニューアル(愛媛県新居浜市登道地区)
2002年度で施設全体の売上は約11億円となっ
社会福祉法人「はぴねす福祉会」は、2002
ている。当社の売上は直営施設の売上、テナ
年4月、新居浜市の中心市街地である登道商店
ントからの家賃(売上スライド)
・共益費であ
街の大型店舗跡をリニューアルして、高齢者・
り、直営およびテナントの売上が好調なこと
保健福祉総合施設「若水館」を整備した。施
もあって、開業以来、毎期黒字を確保してい
設の延床面積は約14,500m で、物件取得費約4
る。
億円を含めて総工費約25億円を要している。
2
施設内の飲食用品、物販用品の仕入れは地
施設構成は、デイサービスセンター、特別
元を優先させることで地域経済の活性化に寄
養護老人ホーム(定員70人、70人入所)
、介護
与しており、地元の仕入れ業者は半数以上の
老人保健施設(定員100人、100人入所)
、グル
36社となっている。またホールでは産品の商
ープホーム(定員27人、26人入所)
、ヘルパー
品展示会が開催されるなど、地域の情報発信
ステーション、居宅介護支援事務所等となっ
拠点ともなっている。本施設の完成が契機と
ている。
なり、駅前での再開発事業も進捗し、1995年
地元商店街では、当初複合型商業施設とし
に完成した。最近では能登食祭市場と駅前再
てリニューアルすることを検討していたが、入
開発ビルを結ぶ道路をシンボルロードとして
居するテナントを確保できず、社会福祉法人
整備が進められている。
によるリニューアルを決断した。当法人でも、
当社では、集客力を高めるため、精力的に
すでに市内郊外で複数の福祉施設を運営して
研 究
19
いるが、郊外ではなく利便性の高い中心部の
行うために設立されたが、施設がある花咲地
都市型施設を望む利用者の声に対応すること
区全世帯の250戸が各3千円を出資している。当
を考えており、両者の意向が合致し当館が開
社の社長は村長であるが、実際の責任者は村
業された。
外から着任した支配人である。
当館の特別養護老人ホームや介護老人保健
花の駅周辺にはスキー場が多数ある立地で、
施設等の待機者数が、当法人の既存施設の待
当初は地域住民が10年来続けてきた花植え活
機者数をはるかに上回り(特養:待機約750人、
動(ボランティア)の活動拠点確保が建設の
介護:待機約180人)、利便性の高い中心部で
目的であったが、計画策定を進めるに伴い、特
の福祉施設需要の大きさがうかがえる。本館
産品の販売などまちづくりの拠点とすること
への入所者を訪問する家族数も、他の郊外施
に発展した。施設の延べ面積は1,782m で、総
設に比べて都市中心部の施設である当館では
工費8億7,000万円で村負担となっている。
相当に多くなっている。
2
施設は、地下1階にギャラリー(著名な版画
また、当館では周辺から職員約180人を採用
家)、大広間、温泉があり、1階にはイベント
し、就労機会拡大にも貢献している。さらに
ホール、レストラン花咲(60席)
、おみやげコ
当館は食料品や日用品、食事などを地元商店
ーナー、展望テラスがある。おみやげコーナ
街から購入することで、地域経済の活性化に
ーおよび駐車場では地元企業、農家が山菜、農
も寄与している。
山林品、農産加工品を直接販売している(販
登道商店街は、廃虚となっていた旧大型店
売手数料として売上の5∼10%を当社が徴収)
。
施設のリニューアルによって、イメージチェ
2002年年間利用者数は約17万人で、約92%
ンジが図れ、歩行者も増加すると歓迎した。実
が村外からの利用者である。施設売上は年間2
際、入所者約200人および訪れるその家族、1
億円程度で、毎期黒字は確保している。収益
日平均30人以上の通所者が歩行することによ
源は入浴料(500円)
、売店・レストラン売上、
って商店街にも賑わいが出てきた。登道商店
体験イベント参加料、販売手数料など(役場
街振興組合ではすでにアーケードの改修を実
施したが、その後、高齢者や環境に優しい商
店街・商店づくりを積極的に進めるため、周
辺2商店街振興組合と合併した。
(3)地区内全住戸が出資、会社運営にも参画
(群馬県利根郡片品村花咲地区)
株式会社片品村振興公社は、1998年10月に
開業した花の駅・片品(図表8)の管理運営を
20
信金中金月報 2004.4
図表8 花の駅・片品
からの補助はなし)
。集客力向上のため、自然
観察会、かかし祭り、鯉のぼり、スノーウォー
企業から仕入れている。
住民出資型会社の設立目的は、住民の手に
キングなどのイベントを絶えず企画している。
よる施設運営が成功の近道と考えたためであ
パートは地域住民(特に女性)を採用し、レ
る。住民は出資することによって施設をより
ストランでは従業員の手作りの食事を提供し
身近なものとして受け止め、さらに農家は山
ている。また、周辺のペンション利用者には
菜や農産品を当施設で積極的に販売している
入浴料を2割引とするなど協調関係も構築し、
ほか、100名程度はボランティアで施設内広場
レストランでは可能な限り地元産(ざる豆腐、
の植栽や除草、イベント手伝いなどを行って
湧き水のコーヒー等)の食材を利用し、地元
いる。
研 究
21
日本経済の中期展望
−04∼08年度の年平均実質成長率は1.9%と予測−
信金中央金庫 総合研究所主任研究員
角田 匠
(要 旨)
1.今後5年間の年平均実質成長率は1.9%と予測―民需主導の自律回復は07年度以降
04年度から05年度の景気は、輸出と設備投資を中心に堅調な推移が予想されるが、個人消費
の本格回復までは期待できない。06年度には、米景気の減速などで日本の景気も調整局面とな
ろうが、構造調整が一巡する07年度以降は、企業部門の回復が家計の所得増を通じて個人消費
に波及するといった景気の自律回復メカニズムが働き始める可能性が大きい。
2.家計部門の回復力は緩慢―税・社会保障負担増が個人消費の抑制要因
雇用・所得環境は足元で悪化に歯止めがかかったが、企業のコスト削減姿勢は根強く、05年
度までは下押し圧力が大きい。06年度以降は、景気回復に応じた雇用・所得の回復が期待でき
るが、家計の税・社会保障負担の増加が続くため、可処分所得の回復テンポは抑制されよう。
実質個人消費は予測期間を通して1%台の伸びにとどまると予想される。
3.設備投資は引き続き景気回復のけん引役―05年度以降は非製造業も回復へ
設備投資は企業収益の回復を背景に回復テンポを高めている。一方、過剰設備の廃棄も続け
ており、製造業を中心にストック調整は進展している。スクラップ・アンド・ビルドによる産
業の活性化で、企業部門は好循環に入ってきたとみられる。非製造業のストック調整がほぼ一
巡すると想定している05年度以降は、設備投資の裾野が広がる可能性がある。
4.需給ギャップの縮小テンポは緩やか―GDPデフレーターのプラス転換は07年度と予測
コア消費者物価(生鮮食品を除く総合)でみたデフレは05年度中に解消すると想定した。
GDPギャップが解消するにはなお時間を要するが、07年度にはGDPデフレーターもプラスに
転換しよう。当研究所の予測を前提に、量的緩和の解除は05年度下期と想定した。長期金利も
名目成長率の回復に応じて、徐々に水準を切り上げると予想される。
(注)
1.本稿は2004年2月末現在のデータに基づき記述されている。
22
信金中金月報 2004.4
図表1 GDP成長率の推移と予測
(単位:%)
2002年度
03年度
04年度
05年度
06年度
07年度
08年度
〈実績〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉
1.2
2.8
2.1
2.0
1.4
2.4
1.7
実 質 G D P
1.0
1.3
1.2
1.3
1.3
1.8
0.6
個 人 消 費
△ 2.1
0.1
△ 0.1
△ 0.1
△ 0.1
2.3
0.1
住 宅 投 資
△
3.3
10.2
7.1
7.6
3.7
6.5
7.1
設 備 投 資
△ 5.0
△ 10.6
△ 7.6
△ 5.3
△ 3.9
△ 2.3
△ 2.6
公 共 投 資
0.8 )(
0.8 )(
0.4 )(
0.0 )(
0.2 )( △ 0.0 )( △ 0.1 )
純輸出(寄与度) (
△ 0.7
0.5
0.4
0.9
0.7
2.5
2.3
名 目 G D P
(備考)内閣府『国民経済計算年報』より作成。予測は信金中金総合研究所
ぶりのマイナスとなったが、7∼9月は1.3%増
1.今後5年間の年平均実質成長率は
1.9%と予測―民需主導の自律回復は
07年度以降
とプラスに転じ、10∼12月は3.6%増と87年7∼
9月以来、約16年ぶりの高い伸びを記録した
(図表2)。
(1)足元の景気は回復基調―輸出、生産は持
輸出、生産の回復を背景に企業マインドは
ち直しの動きを強める
底堅く、設備投資も回復傾向にある。設備投
景気回復のけん引役である輸出は、03年前
資の先行指標である機械受注(船舶・電力を
半の調整局面を脱し、持ち直しの動きを強め
除く民需)は、03年7∼9月に前期比マイナス
ている。輸出数量指数(季節調整値)の前期
となったものの、10∼12月は11.3%増と現行統
比をみると、03年1∼3月の0.1%増をボトムに、
計開始以来、最も高い伸びを示した(図表3)
。
4∼6月0.9%増、7∼9月1.1%増、10∼12月4.8%
こうしたなか、04年2月18日に発表された03年
増と期を追って伸びを高めた。輸出の増加を
10∼12月の実質成長率は、前期比1.7%(前期
受けて、生産活動の回復も鮮明になっている。
比年率7.0%)と7∼9月の前期比0.6%から加速
鉱工業生産の前期比は、03年4∼6月に6四半期
した。輸出から輸入を差し引いた純輸出が実
図表2 鉱工業生産指数と輸出数量指数の推移
(季節調整値)
図表3 機械受注と名目設備投資の推移
(年率換算値)
(兆円)
(2000年=100)
110
(兆円)
13
85
輸出数量指数
生産指数
機械受注
1∼3月
見通し
80
105
100
12
75
11
70
10
95
90
設備投資(名目GDPベース)左目盛
機械受注(船舶・電力を除く民需)右目盛
85
98
99
00
01
02
(備考)1.シャドー部分は景気後退期
2.財務省『貿易統計』などより作成
03
04
65
98
99
00
01
02
03
(年)
04
9
(年)
(備考)内閣府『四半期別GDP速報』、
『機械受注統計』より作成
調 査
23
質成長率を0.4ポイント押し上げるなど、引き
10∼12月も前期比プラスとなった。このとこ
続き外需主導ではあるが、日本経済は回復の
ろのユーロ高が懸念材料ではあるが、企業マ
テンポを高めた。
インドが持ち直していることや所得税減税の
実施などで、04年の実質成長率は1.3%と回復
(2)米国を中心に04年の海外景気は回復テン
に向かうとみられる。
ポを高めると予測
アジア経済も対米輸出の増加や中国を中心
米景気は着実に回復軌道をたどっている。03
とした域内需要の拡大で、04年も景気拡大が
年10∼12月の実質成長率(暫定推定値)は前
続くとみられる。米国、英・独・仏、アジア
期比年率4.1%と7∼9月の8.2%から鈍化したが、
主要9カ国(注)2のGDPを加重平均した海外の実
追加減税で7∼9月に急増した個人消費の反動
質成長率は、01年の1.3%をボトムに02年2.2%、
による影響が大きい。減税に伴う税還付が実
03年2.5%と持ち直し、04年は3.7%まで回復す
施される04年1∼3月は、再び個人消費の伸び
ると予想される(図表4)。
が高まる可能性がある。雇用情勢にも底打ち
日本の輸出企業にとって、円高・ドル安が
感が出てきたことに加え、設備投資もIT関連
懸念材料であるが、輸出競争力の低下は海外
をけん引役に回復傾向を強めているため、今
景気の回復テンポの高まりである程度は相殺
後も米景気は前期比年率3∼4%程度の巡航速
される。極端な円高の定着が回避されること
度での成長を維持できると予想される。
が条件ではあるが、海外経済の順調な回復を
ヨーロッパ経済も米景気の回復を受けて持
ち直してきた。03年のドイツの実質成長率は
背景に、日本の輸出は、04年度にかけて伸び
を高めよう。
0.1%減と10年ぶりのマイナス成長を余儀なく
されたが、四半期ベースでは7∼9月に続いて
図表4 海外の実質成長率と日本の輸出数量の前年比
(%)
6
5
4
3
2
1
0
-1
-2
-3
-4
(%)
予測
海外の実質成長率(左目盛)
日本の輸出数量の前年比(右目盛)
82
84
86
88
90
92
94
96
98
00
02
04
16
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
-10
(年)
(備考)1.海外の実質成長率は米国、英独仏、アジア主要9カ国の実質成長率を加重平均して算出
2.予測は信金中金総合研究所
(注)
2.アジア主要9カ国は、韓国、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、中国
24
信金中金月報 2004.4
(3)04∼05年度の日本経済は企業部門を中心
も家計の税・社会保障負担増が1兆円に達する
に回復が続く
とみられ、可処分所得の本格回復は期待でき
04年度は、03年度に続き輸出主導でプラス
ない。個人消費は実質で1%台前半の緩やかな
成長を維持しよう。企業収益は輸出競争力の
回復にとどまろう。
高い大企業製造業を中心に増益基調が続くと
今回の予測では、02年1月を景気の「谷」と
みられ、設備投資は堅調な推移が予想される。
する回復局面が、輸出と設備投資をけん引役
ただ、04年度も不良債権の最終処理に伴う不
に05年度まで継続すると想定している。回復
振企業の整理・淘汰が続くなど、構造調整圧
期間としては50カ月超となり、戦後の平均的
力は残る。国際競争が激化するなか、企業はコ
な回復期間(33.1カ月)を上回ることになる
スト削減の姿勢を継続すると考えられ、雇用者
が、これは、03年前半に米景気減速で生産の
所得の伸びは今後も抑制される可能性が大き
前年比が一時マイナスとなるなど調整局面を
い。また、家計の税・社会保障負担の増加は04
経ていることが一因である。たとえば、90年
年度も1兆円を上回ると試算される。個人消費
代半ばの景気回復(93年10月「谷」∼97年5月
は04年度も横ばい圏の動きが続くと予測した。
「山」)は、回復途上に円高の影響で一時的な
05年度は、海外景気の拡大テンポがやや鈍
調整局面があったため、拡張期間は43カ月の
化すると予想されるが、アジア向けを中心に
長期に及んだ(図表5)。しかも、97年の景気
輸出は底堅い推移を続けよう。構造調整が山
後退は、4月からの消費税率引き上げ(5兆円
場を越えることで、設備投資の裾野は徐々に
の増税)
、特別減税の廃止(2兆円の増税)
、社
広がりをみせると考えられる。設備投資は引
会保険料の引き上げ(2兆円の負担増)など、
き続き景気拡大のけん引役となろう。一方、企
合計9兆円程度の家計負担増があったためで、
業のリストラ圧力は徐々に弱まるが、雇用情
こうした大規模な増税策が実施されなければ
勢の改善テンポは緩やかと想定した。05年度
景気拡大はさらに長期化した可能性もあった。
図表5 鉱工業生産の前年比と景気循環
(%)80/2
15
「山」
83/2
「谷」
85/6 86/11
「山」 「谷」
91/2
「山」
93/10
「谷」
97/5
99/1
「山」 「谷」
00/10 02/1
「山」「谷」
10
5
0
-5
-10
一時的な調整局面
-15
80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(備考)シャドー部分は景気後退期。経済産業省『生産・出荷・在庫』より作成
(年)
調 査
25
また、足元の在庫水準は低く、当面は在庫調
構造調整の一巡で、07年度以降は、輸出や
整に起因する景気後退も考えにくい。過去の
設備投資など企業部門の回復が、家計の所得
局面との単純な比較はできないが、一時的な
増を通じて個人消費に波及するといった景気
調整局面から持ち直したことで、今回の景気
の自律回復メカニズムが働き始める可能性が
回復は長期化すると考えられる。
大きい。07年度の実質成長率は、設備投資と
ただ、予測どおりに推移したとしても、景
個人消費の回復で2.4%と予測した(図表6)
。
気の本格回復を実感できる状況には達しない
順調に成長軌道をたどれば、需給ギャップ
可能性が大きい。実質成長率は03年度2.8%、
は07年度に解消されるとみられ、名目成長率
04年度2.1%、05年度2.0%と3年連続で2%台の
も2%を上回ってこよう。デフレの解消で、家
伸びを予想しているが、GDPデフレーターの
計の景況感も大きく上向くとみられる。ただ、
大幅な下落で嵩上げされている。名目ベース
予測の前提として、06∼07年度に定率減税の
では、03年度0.5%、04年度0.4%、05年度0.9%
段階的廃止(国税、地方税合計で3.3兆円の増
と緩やかな景気回復にとどまると予測した。
税)
、08年度に消費税率の1%引き上げ(1%で
2.4兆円の増税)を想定している。このため、
(4)民需主導の自律回復は07年度以降
07年度は、年度末にかけて駆け込み需要があ
06年度は、米国の実質成長率が利上げの影
るが、08年度はその反動で成長率はやや鈍化
響などから2%台に鈍化すると想定しており、
すると予想される。なお、08年度までの年平
国内生産も輸出の伸び鈍化と在庫調整を主因
均実質成長率は1.9%と予測した。
に調整局面となろう。ただ、雇用・債務・設
備の3つの過剰の調整は、05年度にほぼ終了す
るとみられ、バブル崩壊後のような厳しい景
2.家計部門の回復力は緩慢―税・社
会保障負担増が個人消費の抑制要因
(1)雇用・所得環境の悪化に歯止め。ただ、
気後退は避けられると予想される。
引き続き雇用調整圧力は強い
図表6 今後5年間のGDP成長率の予測
足元の雇用情勢は、生産活動の回復などで
(%)
予測
3
悪化に歯止めがかかっている。雇用情勢に敏
2
感に反応する有効求人倍率は、02年2月の0.51
1
倍をボトムに04年1月には0.77倍まで上昇した。
0
失業率は03年1月の5.5%をピークに低下傾向で
-1
推移し、03年12月には4.9%、04年1月は5.0%
実質GDP
名目GDP
-2
-3
00
01
02
03
04
05
06
07
となった(図表7)。
08
(年度)
(備考)内閣府資料より作成。予測は信金中金総合研究所
26
信金中金月報 2004.4
所得面をみると、03年度は大企業のボーナ
スが増加に転じるなど持ち直しの動きがうか
がえる。名目賃金指数の前年比をみると、比
際に、企業からみた雇用の過剰感は依然とし
較的規模の大きい事業所(従業員数30人以上)
て解消されていない。雇用の過不足を示す雇
に限定すると、10∼12月は前年比0.5%増とプ
用人員判断D.I.(日銀短観、全規模・全産業)
ラスに転じた。ただ、中小企業の賃金は依然
をみると、01年12月調査の21%ポイントの過
として減少しており、小規模事業所を含むベ
剰「超」から徐々に低下してきたが、直近の
ース(事業所規模5人以上)では、前年比0.8%
03年12月も9%ポイントの過剰「超」と、雇用
減(10∼12月)と低迷している(図表8)。
の過剰感が払拭される状況には至っていない。
足元の雇用・所得環境の悪化には歯止めが
企業の売上高に対する人件費の比率をみても、
かかったが、企業は引き続き人件費の抑制な
03年7∼9月は13.5%と過去と比較して高水準で
どコスト削減の姿勢を継続するとみられる。実
ある(図表9)。雇用の過剰感が解消されるま
図表7 雇用者数の前年差と失業率
図表8 名目賃金指数の前年比
(万人)
(%)
(%)
100
80
4
5
3
60
2
40
4
1
20
0
0
3
-1
-20
-2
-40
2
-60
-80
-3
雇用者数の前年差(左目盛)
失業率(右目盛)
95
96
97
98
事業所規模30人以上
事業所規模5人以上
-4
99
00
01
02
03
1
(年)
(備考)総務省『労働力調査』より作成
-5
95
96
97
98
99
00
01
(備考)厚生労働省『毎月勤労統計』より作成
02
03
(年)
図表9 売上高に対する人件費の比率と雇用人員判断D.I.
(%)
(%ポイント)
試算
40
14.3
30
13.8
20
13.3
雇用過剰
10
12.8
0
12.3
-10
過少
-20
-30
①00年のペース
05年1∼3月
雇用人員判断D.I.(左目盛)
売上高人件費比率(右目盛)
-40
-50
11.8
雇用人員判断D.I.がゼロとなる
売上高人件費比率(12.3%)
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
②足元のペース
06年1∼3月
00
01
02
03
04
11.3
10.8
10.3
05 06
9.8
(年)
(備考)1.雇用人員判断D.I.を売上高人件費比率で推計し、D.I.がゼロとなる人件費比率(12.3%)
を企業の雇用調整が一巡するラインとし、雇用調整終了時期を試算した。
2.①は03年10∼12月以降の売上高増加率と人件費減少率を00年と等しいと仮定
②は03年10∼12月以降の売上高増加率と人件費減少率を03年7∼9月と等しいと仮定
3.財務省『法人企業統計季報』、日本銀行『短観』より作成。試算は信金中金総合研究所
調 査
27
では、企業は不採算部門の雇用削減や、新規
保険料の引き上げも決定しており、04年度の家
採用、賃金の抑制を継続すると考えられる。
計の負担増(給付増減を含む)は、1.13兆円程
そこで、雇用調整が終了する時期を雇用人
度と03年度に続き1兆円を上回ると試算される。
員判断D.I.と売上高人件費比率の関係から推計
厚生年金の保険料率は毎年0.354%(労使折
してみた。推計結果によると、D.I.がゼロ(過
半)ずつ引き上げられるため、05年度以降も
剰雇用解消)となるためには、人件費比率を
毎年4,000億円の負担増となる。さらに、05年
12.3%まで低下させる必要があり、今後の売上
4月からは自営業者などが加入する国民年金保
高増加率と人件費減少率を03年7∼9月と同じ
険料の引き上げが開始されるほか、雇用保険
ペースと仮定した場合、その水準に達する時
料も引き上げられるため、05年度の家計の負
期は06年1∼3月となる。前回の景気拡大期で
担増も1.00兆円に達しよう。
ある2000年のペースを見込んでも、雇用の過
06年度の家計の負担増は、厚生年金、国民
剰感が解消されるのは05年1∼3月となる。雇
年金など合計で6,200億円とやや減少するが、3
用調整が一巡するためには、少なくとも1年程
年に1度の介護保険の見直しが予定されており
度を要すると考えられる。
負担増は膨らむ見通しである。また、今回の
過剰雇用が解消する06年度以降は、景気拡
予測の前提として、06∼07年度にかけて、現
大に応じた雇用増が期待できる。景気の回復
行の定率減税が段階的に廃止されると想定し
テンポが高まると想定している07年度以降は、
ている。全廃すれば、国、地方合計で3.3兆円
雇用情勢も本格的な回復局面を迎えよう。
の負担増となるだけに影響は大きい。06年度
以降は雇用調整の一巡で雇用者所得の回復も
(2)税・社会保障負担増が可処分所得の回復
を抑制
期待できるが、税負担の増加で可処分所得の
回復テンポは抑制されるとみられる。
雇用者所得など家計の収入が伸び悩むうえ
に、税・社会保障負担の増加が家計の可処分
(3)個人消費の回復テンポは緩やか―現役世
所得の回復を抑制しよう。03年度は健康保険料
代の貯蓄補填の動きが消費を抑制
や医療費の自己負担比率が引き上げられたほ
賃金の伸び悩み、税・社会保障負担の増加
か、酒税・たばこ税が相次いで増税となったこ
で可処分所得は一段と抑制されているものの、
となどで、家計の税・社会保障負担(給付減を
足元の個人消費は意外に底堅い。03年10∼12
含む)は1.86兆円程度増加している(図表10)
。
月の実質個人消費は、前期比0.8%増(前年比
04年度には配偶者特別控除の上乗せ部分廃
2.1%増)と堅調に推移した。衣料品や食料品
止で4,000億円程度(平年度5,000億円)の増税
は天候不順などの影響で低迷したが、DVDレ
となる。年金給付の減額(03年物価下落分、
コーダー、デジタルカメラ、薄型テレビとい
0.3%減)や、公的年金等控除の縮小、厚生年金
ったデジタル家電の需要増が個人消費を下支
28
信金中金月報 2004.4
図表10 今後の税・社会保障制度の変更に伴う家計の負担増減額
実施年月
ポ イ ン ト
04年 1 月 配偶者特別控除・上乗せ分(最高38万円)の所得控除廃止
(平年度、国税5,000億円+地方税2,000億円)
04年 4 月 年金給付額の物価スライド適用(03年△0.3%)
負担額
(※)年度計
1,000億円
03年度計
健保、タバコ他 1.86兆円
1,200億円給付減
消費税の事業者免税点の上限引き下げなど
上限3,000万円→1,000万円
5,000億円
〃 児童手当(支給対象年齢延長)〈就学前→小3終了時〉
1,700億円給付増
〃 住民税均等割り(市町村)の人口区分廃止
6 月
(年2,000∼3,000円→一律3,000円)
400億円
厚生年金保険料の引き上げ(毎年0.354%労使折半)
10月 13.58%→2017年度18.30%(労使折半)
(平年度、家計負担4,000億円)
2,000億円
高齢者への所得課税強化
(公的年金等控除の最低控除額を140→120万円)
05年 1 月
(65歳以上・老年者控除50万円の廃止)
(平年度、国税2,400億円+住民税1,400億円)
05年 4 月
400億円
国民年金保険料の引き上げ(月280円)
月1万3,300円→2017年度・月1万6,900円
700億円
〃 雇用保険料引き上げ(1.4%→1.6%労使折半)
6 月 配偶者特別控除・上乗せ分控除廃止(住民税)
10月 厚生年金保険料の引き上げ(毎年0.354%労使折半)
06年 4 月
1,500億円
1,700億円
4,000億円
介護保険見直し(自己負担比率1割→2∼3割)
(徴収対象年齢40歳以上→20歳以上)
〃 国民年金保険料の引き上げ(月280円)
6 月 高齢者への所得課税強化(住民税)
10月 厚生年金保険料の引き上げ(毎年0.354%労使折半)
04年度税制改正で先送りされた主な増税策
定率減税の縮減・廃止
(平年度、国税2兆5,000億円、住民税8,000億円)
消費税率引き上げ(1%で2兆4,000億円)
その他
04年度計
1.13兆円
05年度計
1.00兆円
未定
700億円
1,200億円
4,000億円
06年度計
0.62兆円+α
廃止で3.3兆円
1%で2.4兆円
年金給付減の凍結分(6,800億円)…物価上昇時に調整
収入100万円超の配偶者の住民税均等割りの新規負担
(備考)1.(※)年度計には、制度変更の平年度化に伴う負担増を含むため、内訳の合計とは一致しない。
2.信金中金総合研究所作成
えした(図表11)。
ただ、堅調な消費は、貯蓄の取り崩しで支
ット効果(注)3」が働き、個人消費は堅調に推移
している。
えられている面も少なくない。01年後半から
この結果として、90年代半ばから00年度ま
02年にかけて、雇用者所得は前年比で3%前後
で10%前後で推移してきた家計貯蓄率は、02
のマイナスで推移したが、名目消費は同1%程
年度に6.2%まで低下した(図表13)
。また、貯
度の減少にとどまった(図表12)
。足元でも雇
蓄を取り崩して生計を営む高齢者世帯の増加
用者所得が減少するなか、貯蓄の抑制や取り
も貯蓄率低下の一因である。中長期的にも高
崩しで消費水準を維持しようとする「ラチェ
齢化の進行が貯蓄率の低下要因となろう。
(注)
3.消費は過去の水準に依存する傾向があるため、景気低迷で所得が落ち込む局面では、貯蓄を抑制して消費水準を維持しよう
とする。所得の落ち込みに比べて個人消費の落ち込みは相対的に小さくなり、景気全体の落ち込みを緩和することとなる。景
気の悪化に歯止め(ratchet)をかけるという意味で、ラチェット効果と呼ばれている。
調 査
29
図表11 主なデジタル家電の出荷台数
図表12 雇用者所得と個人消費の前年比
(単位:上段;国内出荷・万台、下段;前年比・%)
01年
デジタルカメラ
DVDレコーダー・
プレーヤー
02年
5
03年
483
655
844
4
63.8
35.6
28.8
3
171
338
520
2
103.5
97.7
54.0
1
0
デジタルビデオ
カメラ
128
136
164
△ 4.4
6.4
20.9
プラズマテレビ
7
19
24
―
177.0
24.7
液晶テレビ
(%)
68
101
153
59.0
48.4
51.9
-1
-2
実質個人消費
名目個人消費
雇用者所得
-3
-4
(備考)電子情報技術産業協会資料などより作成
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
(年)
(備考)内閣府『四半期別GDP速報』より作成
ただ、雇用調整が一巡し、雇用・所得環境
る。このため、07年度は後半にかけて駆け込
の改善が進んだ段階で、現役世代はこれまで
み需要が押し上げ要因となり、実質個人消費
の貯蓄不足を補填する動きに転じると考えら
は前年比1.8%増まで伸びを高めるとみられる
れる。所得の増加分を消費に回さず、貯蓄率
が、08年度にはその反動で0.6%増へ鈍化する
を高めるような行動を選択すると予想される。
と予測した(図表14)。
今後5年間の家計貯蓄率は、高齢化による押し
なお、04年度税制改正では、05∼06年度に
下げ要因を現役世代の貯蓄補填の動きが相殺
定率減税の縮減・廃止、07年度に消費税を含
するため、6%台前半の横ばい圏で推移しよう。
む抜本改革というシナリオが議論された。た
現役世代が貯蓄率を維持・改善しようとす
だ、この場合、雇用調整が一巡する前の大規
る結果、予測期間中の個人消費が大幅に増加
模増税、民需主導の自律回復が実現する直前
する可能性は低い。また、予測の前提として、
の消費税率引き上げになる可能性が大きく、こ
08年度に1%の消費税率引き上げを想定してい
のタイミングの増税は、景気の自律回復を阻
図表13 家計貯蓄率の推移(GDPベース)
図表14 実質個人消費の前年比(予測)
(%)
(%)
16
14.4
14
13
1.8
15.0
15
13.1
13.1
1.4
12.9
12
1.2
11
11.0
10.8
予測
10.7
1.0
10.7
10
9.7
9
0.8
9.1
8
7
6.5
6
5
90
92
94
95
98
00
6.7
6.2 6.2
02
6.4
6.4
04
06
6.1
信金中金月報 2004.4
08
(年度)
〈メインシナリオ〉
0.6
定率減税段階的廃止(06∼07年度)
消費税率引き上げ(08年度)
0.4
〈リスクシナリオ〉
0.2
定率減税段階的廃止(05∼06年度)
消費税率1%引き上げ(07年度)
6.3
(備考)内閣府資料より作成。予測は信金中金総合研究所
30
予測
1.6
0.0
00
01
02
03
04
05
06
07
(備考)内閣府資料より作成。予測は信金中金総合研究所
08
(年度)
害することになろう。
譲住宅は一次取得者が中心で、地価下落によ
る既存住居の売却損などの影響を受けないこ
(4)持ち家の買い替え、建て替えは進まず、
とも一因である。
住宅投資は底ばい圏の動き
住宅投資は、06年度まで底ばい圏の推移が
03年4∼12月の住宅着工件数は、住宅ローン
続くと予測した。雇用・所得環境の本格的な
減税の期限切れ(03年12月末入居)を前にし
好転が期待できないうえ、地価の下落も続く
た駆け込み需要が寄与し、年率換算で116.4万
とみられ、持ち家の建て替えや、買い替えが
戸と02年度の114.6万戸を上回った。ただ、そ
本格回復に向かう可能性は小さい。分譲住宅
の水準は低く、98年度以降の底ばい状態は脱
についても、ここ数年、大規模マンションの
し切れていない(図表15)
。この主因は、持ち
供給が続いてきたこともあって、一段の増加
家の着工低迷である。持ち家は95年度前後に
は期待できない。
年間50∼60万戸で推移したが、その後は低迷
一方、住宅ローン減税が継続されることは
が続き02年度は36.6万戸まで落ち込んだ。持ち
プラス材料である(図表16)
。これまでの減税
家建設は建て替え需要が中心で、雇用や所得
制度は、04年に減税額が大幅に縮小され、05
の将来不安から老朽化した住宅の建て替えを
年には廃止される予定であったが、やや規模
先送りしていることが背景にある。一方、マ
を縮小して08年まで継続されることとなった
ンションを中心とした分譲住宅は、バブル崩
(法案通過後)。ただ、一次取得者の需要が一
壊以降、おおむね30万戸台で推移しており、歴
巡していることもあって、減税継続による住
史的にみても高水準が続いている。地価の下
宅投資の刺激効果は限定的と考えられる。
落を背景に、低価格で好立地の物件の供給が
07年度には、景気の本格回復で家計のマイン
増えていることなどが要因である。また、分
ドも上向こう。地価の下落にも歯止めがかかる
図表15 住宅着工戸数の推移(総合計、持ち家、分譲住宅)
〈住宅着工戸数〉
〈持家〉
(万戸)
(万戸)
70
60
50
40
30
20
10
0
180
160
140
65
70
75
80
85
90
95
00(年度)
90
95
00(年度)
120
〈分譲住宅〉
(万戸)
100
80
60
65
70
75
80
85
90
95
(備考)1.03年度は03年4∼12月の年率換算値
2.国土交通省『建設統計月報』より作成
40
35
30
25
20
15
00(年度) 10
5
0
65
70
75
80
85
調 査
31
図表16 住宅ローンの減税案(04年度税制改正)
入居時期
04年末
借入残高最高額
5,000万円
05年末
4,000万円
06年末
3,000万円
07年末
2,500万円
08年末
2,000万円
(参考)旧制度
03年末
5,000万円
期 間
10年
1 ∼ 8 年目
9 ∼10年目
1 ∼ 7 年目
8 ∼10年目
1 ∼ 6 年目
7 ∼10年目
1 ∼ 6 年目
7 ∼10年目
控除率
1.0%
1.0%
0.5%
1.0%
0.5%
1.0%
0.5%
1.0%
0.5%
減税最高額
50万円×10年
=500万円
40万円× 8 年
=360万円
20万円× 2 年
30万円× 7 年
=255万円
15万円× 3 年
25万円× 6 年
=200万円
12.5万円× 4 年
20万円× 6 年
=160万円
10万円× 4 年
10年
1.0%
50万円×10年
=500万円
1.0%
20万円× 6 年
04年末
3,000万円
6年
=150万円
0.5%
5 万円× 6 年
※04年の控除率は借入残高2,000万円以下の部分が1%、2,000万円超から3,000万円以下の部分が0.5%
05年∼
減税廃止
(備考)財務省資料より作成
とみられる。ただ、65歳未満の世帯数は、04年
実質設備投資は前年比10.2%増と大幅な増加に
をピークに減少に転じる見通しで、住宅建設が
転じると予想される。
過去のブーム期のような盛り上がりを示す可能
設備投資の回復をけん引しているのは、IT
性は小さい。実質住宅投資の5年間の平均増加
(情報技術)投資である。アジアを中心とした
率は0.4%とほぼ横ばいにとどまると予測した。
電子部品の需要回復やデジタル家電の需要増
に対応して、電気機械を中心にIT投資が拡大
3.設備投資は引き続き景気回復のけ
ん引役―05年度以降は非製造業も回
復へ
している。実際に、機械受注統計からIT産業
によるIT投資(注)5を抽出してみると、02年前半
図表17 企業収益と設備投資の前年比
(1)IT関連を中心に設備投資の回復が続く
家計部門の回復力が緩慢にとどまる一方、景
気のけん引役として期待できるのは設備投資
(%)
(%)
20
40
15
30
10
20
である。法人企業統計季報(注)4によれば、輸出、
5
10
生産の回復を背景とした企業収益の拡大を主
0
0
因に、設備投資は03年4∼6月に前年比プラス
-5
-10
-10
-20
-15
-30
に転じた(図表17)
。実質GDPベースでは、03
年10∼12月に前期比5.1%増と拡大した。研究
-20
92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03
開発・IT投資減税や排ガス規制に伴うトラッ
設備投資(左目盛)
クの買い換え需要も加わって、03年度平均の
信金中金月報 2004.4
経常利益(右目盛)
(備考)財務省『法人企業統計季報』より作成
(注)
4.金融・保険を除く資本金1,000万円以上の営利法人
5.IT産業は、電気機械、通信、情報サービス。IT投資は電子・通信機器への投資
32
-40
(年)
に底入れし、03年に入ってから急速に回復テ
ンポを高めている(図表18)。
図表18 IT関連投資(機械受注)の推移
(95年=100)
IT産業によるIT投資(27.4%)
IT産業以外の産業によるIT投資(27.6%)
非IT投資(45.1%)
150
過剰設備の調整が進展してきたことも設備
140
投資が回復に転じた一因である。法人企業統
130
計季報から売上高に対する資本ストック(有
110
形固定資産+建設仮勘定)の比率を算出し、そ
のトレンドからのかい離を過剰設備とすると、
製造業の過剰設備は直近(03年9月末)で9.6兆
円とバブル崩壊以降の最低水準まで縮小して
いる(図表19)
。非製造業の過剰設備は同19.4
兆円とバブル崩壊後のボトム水準には達して
いないが、直近のピーク(02年12月末30.3兆
円)からは約11兆円縮小している。
120
100
90
80
70
60
50
96
97
98
99
01
02
03
(年)
図表19 過剰設備の推移
(兆円)
70
60
とらえても、ストック調整の進展が確認でき
50
45.5
非製造業
製造業
31.6
40
30.3
30
増まで鈍化した(図表20)
。特に、製造業は03
00
(備考)1.各指数とも、6カ月移動平均。IT産業は(注)5.
参照
2.カッコ内は2002年の民需に占める構成比
3.内閣府『機械受注統計』より作成
資本ストックの動向を設備投資循環図から
る。03年7∼9月の資本ストックは前年比1.4%
95
17.9
20
年4∼6月に前年比1.1%減と、統計調査開始以
10
来、初めてマイナスに転じ、7∼9月も1.2%減
0
となった。一方、縦軸にプロットした実質設
-10
19.4
22.9
11.1
21.8
12.6
11.7
15.3
9.6
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03
(年)
備投資は、前年比10%前後で増加している。過
去のケースでは、設備投資が2ケタの増加に達
すると資本ストックの前年比増加率は高まっ
たが、今回は逆に低下している。これは、デジ
(備考)1.対売上高資本ストック
(有形固定資産+建設仮勘定)
比率のトレンドからのかい離を過剰設備とした。
2.財務省『法人企業統計季報』より作成
図表20 設備投資循環図(前年比)
(%)
タル家電など需要の拡大している分野の投資
15
を積み増す一方で、企業が過剰設備の廃棄を続
10
けている結果と考えられる。スクラップ・アン
ド・ビルドによって産業の活性化が進み、それ
によって国際競争力が高まり、企業収益が拡大
するといった好循環に入ってきたといえよう。
04年度の設備投資は、輸出競争力の高い電
00.4Q
(山)
20
実
質 5
設
備 0
投
資 -5
97.1Q
97.2Q
(山)
00.1Q
03.3Q
01.1Q
95.1Q
03.1Q
98.1Q
96.1Q
-10
99.1Q
(谷)
02.1Q
(谷)
-15
93.4Q
(谷)
94.1Q
-20
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
気機械を中心としたIT投資がけん引しよう。た
4.5
(%)
資本ストック
(備考)内閣府『民間企業資本ストック』より作成
調 査
33
だ、03年度の設備投資がトラック特需や減税
在庫循環などで成長率はやや鈍化するとみら
で実勢以上に増加する見通しで、伸び率はや
れるが、2000年から02年にみられたような資
や鈍化するとみられる。05年度には非製造業
本ストックや雇用の本格調整を必要としない
のストック調整がほぼ一巡すると想定してお
ことから、景気の減速も軽微となろう(図表
り、設備投資の裾野が広がる可能性がある。06
21)
。在庫調整の一巡などで、07年以降の米景
年度には、景気の減速で設備投資も抑制され
気は再び伸びを高めると予測した。
るが、07年度以降は幅広い分野で設備投資が
堅調な海外景気を背景に、日本の輸出は今
回復すると予測した。実質設備投資の5年間の
後も増加傾向で推移すると予想される。輸入
平均増加率は6.4%と景気回復をけん引しよう。
も国内景気の回復に伴って増加傾向で推移す
るが、米国やアジアの成長率が日本を上回る
(2)米国景気は着実に成長、日本の経常黒字
状況が続くため、貿易黒字は06年度まで高水
は引き続き高水準
準が続くと予測した。対外資産が年々積み上
日本経済が民需主導の自律回復軌道に復帰
がっていくことに加え海外の景気拡大で、利
するまでには、なお時間を要するだけに、引
子・配当などの所得収支の受取は引き続き増
き続き米景気の動向が重要なカギを握ると考
加するとみられる。この結果、経常収支の黒
えられる。
字は06年度(17.20兆円、名目GDP比3.4%)ま
前述したように、04年の米景気はIT関連を
で増加が続こう。ただ、日本経済が自律回復
中心とした設備投資の回復や、雇用情勢の底
に向かう07年度以降は、輸入の増加を背景に
入れで、前期比年率3∼4%程度の巡航速度で
経常収支の黒字が縮小に転じると予想される。
の成長を維持すると予想され、年平均の実質
08年度の経常収支の黒字は13.2兆円、名目GDP
成長率は4.3%に加速しよう(03年は3.1%)
。05
比で2.5%まで縮小すると予測した(図表22)
。
年から06年にかけては利上げの影響や短期の
図表21 米実質成長率の推移と予測
図表22 経常収支の推移と予測
(%)
(兆円)
5.0
4.5
4.0
4.0
3.7
3.3
3.0
4.2
4.5
4.3
3.7
3.1
2.7
3.6
3.2
3.4
20
15
2.2
10
5
1.0
-1.0
25
2.7
2.5
2.0 1.9
0.0
予測
予測
0.5
0
-5
-0.2
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
(年)
(備考)米商務省資料より作成。予測は信金中金総合研究所
-10
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
所得収支
貿易収支
サービス収支
経常移転収支
経常収支
(年度)
(備考)日本銀行資料より作成。予測は信金中金総合研究所
34
信金中金月報 2004.4
この回復ペースを維持することは難しい。
4.需給ギャップの縮小テンポは緩や
か―GDPデフレーターのプラス転換
は07年度と予測
そこで、今後の予想実質成長率を前提に、
GDPギャップの推移を試算してみると、コア
消費者物価(生鮮食品を除く総合)の前年比
(1)デフレ脱却にはなお時間を要する
がプラスで、かつGDPギャップが90年代半ば
製造業の過剰供給力の削減が進むなど、デ
以降で最小であった96年10∼12月の水準(マ
フレ脱却に向けた動きが着実に進んでいるの
イナス2.3%)まで縮小する時期は05年4∼6月
は確かだが、マクロベースの需給ギャップ
となる。これは、コア消費者物価でみたデフ
(GDPギャップ)は依然として残っており、近
レが05年度中に解消する可能性を示唆してい
くデフレが解消するとは考えにくい。
る。ただ、GDPギャップが完全に解消するの
GDPギャップは、潜在GDP(注)6(現存する資
は、07年度と試算されるなど、デフレからの
本と労働をすべて利用した場合に可能となる
完全脱却にはなお時間を要するとみられる。
供給力)に対する実際のGDPのかい離率とし
コア消費者物価の前年比下落率は徐々に縮
て定義され、物価変動圧力を評価する基本的
小しており、03年度下期はゼロ前後で推移し
な指標の一つとなっている。ここ数年のGDP
ている。ただ、医療費や増税による特殊要因
ギャップの推移をみると(図表23)、02年1∼
が一巡する04年度は再びマイナス幅が拡大す
3月にマイナス6.8%まで拡大した後、景気の回
るとみられる。特殊要因以外の物価下落率は、
復で徐々に縮小してきた。直近の03年10∼12
GDPギャップの改善に伴って緩やかに縮小す
月は年率7.0%成長を達成したため、需給ギャ
るとみられるが、04年度の下落率は0.2%と03
ップはマイナス2.6%まで急速に縮小したが、
年度見通し(0.1%の下落)に比べ拡大すると
図表23 GDPギャップ(需給ギャップ)とコア消費者物価の前年比
(%)
3.0
2.0
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
-4.0
-5.0
-6.0
-7.0
潜在成長率1.1%を前提とし、今後の成長率を当
研究所の予測値とした場合、GDPギャップが96
年10∼12月の水準まで縮小するのは05年4∼6月
消費者物価の前年比
GDPギャップ
▲2.3%
07年10∼12月
GDPギャップ解消
03年10∼12月の
GDPギャップは
▲2.6%
85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
(年)
(備考)1.GDPギャップ=(実際のGDP−潜在GDP)÷潜在GDP×100
2.消費者物価は消費税の影響を除くベース。内閣府資料より信金中金総合研究所推計
(注)
6.潜在GDPは、コブ・ダグラス型生産関数を前提に、実際のGDPから資本と労働の寄与以外の部分である全要素生産性(TFP)
を求め、そのTFPに資本と労働の最大投入量を加えて算出した。
調 査
35
図表24 05年度までのコア消費者物価の前年比と予測
(%)
0.6
予測
0.4
0.2
酒・たばこ・米・肉
保健医療
電気・ガス・石油製品
特殊要因以外の寄与
0.0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1.0
-1.2
01
02
03
04
05
(年度)
(備考)総務省『消費者物価指数月報』より作成。予測は信金中金総合研究所
予想される(図表24)
。コア消費者物価がプラ
黒字化を目指しており、経済財政諮問会議の
スに転じるのは、需給ギャップが96年度の水
「構造改革と経済財政の中期展望」では、08年
度のプライマリーバランスのGDP比はマイナ
準まで縮小する05年度となろう。
一方、総合的な物価指標であるGDPデフレ
ス2.5%まで縮小すると試算している。ただ、
ーターは、06年度までマイナスが続くと予想
政府は税収予測の前提となる名目成長率(注)8を
される。IT関連を中心とした技術革新を背景
やや高めに想定しており、目標達成は容易で
に、設備投資デフレーターの大幅な下落が続
ないと考えられる。当研究所でもプライマリ
くことが主因である。ただ、07年度以降は民
ーバランスのGDP比は08年度まで改善傾向で
需主導の自律回復で需給ギャップが解消する
推移すると予測しているが、その水準は政府
ほか、IT以外の設備投資が本格回復することで
の試算を下回ると予測した(図表25)。
設備投資デフレーターの下落幅は縮小しよう。
07年度のGDPデフレーターは、消費
税率引き上げの影響でプラスとなっ
図表25 国・地方合計のプライマリーバランスのGDP比
(%)
3
た97年度を除くと、93年度以来14年
2
ぶりのプラスに転じると予測した。
1
0
名目成長率が06年度まで1%を下回
-1
る回復にとどまるとの予測を前提に
-2
すると、税収の本格回復は期待でき
ず、財政赤字の改善は遅れよう。政
府は2010年代初頭までに基礎的財政
(注)
7
収支(プライマリーバランス
)の
-3
-4
-5
-6
予測
(-2.5)
(-2.9)
(-3.4)
(-4.1)
-3.3
(-4.6)
-3.6
-4.1
-4.3
-4.7
-5.4
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
(備考)1.( )内は経済財政諮問会議における試算
2.国民経済計算ベース。予測は信金中金総合研究所
(年度)
(注)
7.
「借り入れを除く税収等の歳入」から「過去の借り入れに対する元利払いを除いた歳出」を差し引いた財政収支
8.経済財政諮問会議の「構造改革と経済財政の中期展望」では、名目成長率を04年度0.5%、05年度1.4%、06年度2.1%、07年
度2.5%、08年度2.9%と想定している。
36
信金中金月報 2004.4
(2)量的緩和の解除は早くとも05年度下期
在30∼35兆円)を切り下げていくには、ある
日銀は01年3月19日の金融政策決定会合で量
程度の時間を要するとみられ、場合によって
的緩和政策を導入し、コア消費者物価が安定
は量的緩和の解除が想定よりも遅れる可能性
的にプラスに転じるまで継続すると公約した。
があろう。
最近のコア消費者物価の下落率縮小に関して
07年度以降は、民需の自律回復とデフレ脱
は、
「特殊要因の影響が大きい」との考えを示
却が実現すると予測しており、無担保コール
すなど、量的緩和の長期化を示唆している。ま
翌日物金利の誘導目標は07年度に0.5%へ、08
た、03年10月31日に発表された日銀の展望レ
年度に1.0%へ引き上げられると想定した。
ポート(経済・物価の将来展望とリスク評価)
景気回復に伴って長期金利(10年国債利回
によると、政策委員による消費者物価の「大
り)も徐々にその水準を切り上げよう。ただ、
勢見通し」は、04年度も下落が続き、下落率
長期金利の水準に大きな影響を与える名目成
は03年度に比べて拡大すると予想されている。
長率は、06年度まで1%を下回ると予測してお
政策委員の多くがプラスの物価見通しを持つ
り、長期金利が安定的に2%を上回るのは07年
までは量的緩和が継続される公算が大きい。
度以降となろう(図表26)
。
量的緩和が解除されるためには、消費者物
価の前年比が明確かつ安定的にプラスとなる
(3)日本経済の基盤は依然として脆弱
ことが第一の条件となる。消費者物価が上方
05年度までの景気は、輸出主導型の企業部
バイアスを持つことを考慮すると、0.5%程度
門を中心とした回復を想定しているため、外
の上昇が数カ月続くことが必要と考えられる。
的ショックに対しては脆弱である。米国や中
第二に、景気の自律回復が展望できる状況に
国など海外景気の下振れ、円高の加速などで
至ることが条件となろう。名目成長率が年度
輸出が失速すれば、持続的回復は困難となる。
ベースで1%程度のプラスとなることが条件と
また、前述したように、家計部門の所得回復
考えられる。
が本格化する前に定率減税の縮減・廃止に踏
当研究所では05年度の名目成長率を0.9%(上
み切った場合、個人消費の失速は避けられな
期0.6%、下期1.2%)、消費者物価の前年比を
くなる。社会保障負担の増加が続くだけに、当
0.3%(上期0.2%、下期0.5%)と予想してお
面は税収確保よりも景気回復を促す税制改正
り、これを前提とすれば量的緩和の解除は05
が望まれる。
年度下期と予想される。ただ、日銀は00年8月
不良債権問題は大手行に限れば04年度中に
にゼロ金利を解除して失敗したという経緯も
解決に向かおうが、中小金融機関に関しては
あって、量的緩和の解除に関する判断は慎重
引き続き不安が残る。景気動向次第では、05
を期すと予想される。また、市場への影響を
年4月から実施が予定されているペイオフ全面
最小限に抑えながら当座預金の残高目標(現
解禁で、金融不安が再燃する可能性は排除で
調 査
37
図表26 名目成長率と長期金利(10年国債利回り)の予想レンジ
(%)
8
7
6
5
4
3
2
1
0
-1
-2
予測
10年国債利回り
名目成長率
10年国債利回りの
予測レンジ
-3
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
03 04
05 06
07 08
(年度)
(備考)予測は信金中金総合研究所
きない。
いくことが必要である。規制緩和のスピード
足元の景気回復に関しても、大企業や大都
を上げて、成長性のあるサービス部門を中心
市圏に偏っており、中小企業や地方圏の回復
とした新たな産業構造を構築することで、中
は進んでいない。景気の自律回復メカニズム
小企業や地域経済の活性化を進めることが重
を機能させるためには、回復の裾野を広げて
要といえよう。
38
信金中金月報 2004.4
〈予測総括表〉04∼08年度の日本経済の中期予測
02年度
実質GDP
個人消費
住宅投資
設備投資
在庫投資(寄与度)
政府最終消費
公共投資
純輸出(寄与度)
〈輸出〉
〈輸入〉
内需(寄与度)
名目GDP
GDPデフレーター
為替レート(円/ドル)
完全失業率
消費者物価(除く生鮮食品)
経常収支(兆円)
貿易収支
サービス収支
所得収支
無担保コール翌日物
10年国債利回り(年平均)
(レンジ)
03年度
04年度
05年度
06年度
07年度
08年度
04∼08年度
〈実績〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 平均成長率
1.2
2.8
2.1
2.0
1.4
2.4
1.7
1.9
1.0
1.3
1.2
1.3
1.3
1.8
0.6
1.2
△ 2.1
0.1 △ 0.1 △ 0.1 △ 0.1
2.3
0.1
0.4
△ 3.3
10.2
7.1
7.6
3.7
6.5
7.1
6.4
0.4
0.2
0.1
0.1 △ 0.2
0.1
0.1
0.0
2.1
1.1
1.0
1.0
1.0
1.2
1.3
1.1
△ 5.0 △ 10.6 △ 7.6 △ 5.3 △ 3.9 △ 2.3 △ 2.6 △ 4.3
0.8
0.8
0.4
0.0
0.2 △ 0.0 △ 0.1
0.1
12.0
9.5
9.6
5.6
4.1
4.4
4.7
5.7
5.5
3.8
8.7
7.3
3.2
6.5
7.5
6.6
0.4
2.1
1.7
2.0
1.2
2.4
1.9
1.9
△ 0.7
0.5
0.4
0.9
0.7
2.5
2.3
1.4
△ 1.8 △ 2.3 △ 1.7 △ 1.1 △ 0.7
0.1
0.6 △ 0.6
121.9
112.6
115.0
118.0
118.0
116.0
115.0
5.4
5.2
5.2
5.2
5.1
5.0
4.9
△ 0.8 △ 0.1 △ 0.2
0.3
0.5
0.8
1.8
13.39
16.56
17.11
17.14
17.20
15.66
13.22
11.59
12.84
14.11
14.11
14.05
12.60
10.60
△ 5.23 △ 3.83 △ 4.79 △ 4.88 △ 4.87 △ 5.10 △ 5.55
8.02
8.35
8.65
8.80
8.93
9.07
9.07
0.001
0.001
0.001
0.25
0.25
0.50
1.00
1.11
1.12
1.60
2.00
2.00
2.50
3.00
0.70-1.43 0.45-1.67 1.20-2.00 1.50-2.50 1.50-2.50 2.00-3.00 2.50-3.50
(備考)内閣府『国民経済計算年報』より作成。予測は信金中金総合研究所
調 査
39
信用金庫のインターネットバンキングの現状と課題
㈱しんきん情報システムセンター しんきん情報システム研究所長
西嶋 尚史
(キーワード)インターネットバンキング、個人向けインターネットバンキング、事業者向け
インターネットバンキング、信用金庫の経営戦略
(視 点)
インターネットバンキング(以下「IB」という)が普及してきているが、信用金庫の取り組
みをみると個人向けIBについては他業態に比較して低調である。事業者向けIBについては、こ
こ1∼2年が勝負どころとなる。いずれも必須なサービスとして先行き定着することが見込ま
れ、推進に万全を期する必要がある。
(要 旨)
●
個人向けIBでは個別金融機関の取組姿勢によって大きな格差が出ている。都銀等では給与振
込先へのIB開設推進で驚異的に口数を伸ばしている。信用金庫は伸びがいま一つで、セット
率0.37%と昨年にスタートした後発の郵貯IBに追い上げられている。
●
信用金庫のIBへの取り組みでは、①IBを単なる品揃えのひとつとして位置づけて顧客が求め
たら対応するといった姿勢にとどまっている。②顧客接点の「チャネルミックス」でみて、
IB利活用推進による取引コスト削減で全体コストを削減するといった戦略的な思考が薄い。
③IBを顧客との双方向なコンタクト・ツールとして有効性を認識して工夫活用する姿勢が見
えない。④実取引がなくてはシステム利用料金負担が発生するとして、そもそも開設勧誘の
意欲自体が低いケースがある。⑤顧客からは活用したいのだが、ちょっとしたサポートが欲
しい―などと課題が多い。
●
IBサービスの利活用推進については長期的に自然増を見込むとしても、積極的な対策なくし
ては中期的にみて期待するような増加は望めず、結果的に他業態に遅れをとることになる可
能性が大きい。一段と腰の入った取り組みが求められる所以である。
●
40
「信用金庫のIB」として業界一体でPRし内容的にも魅力付けしてゆくことが肝要である。
信金中金月報 2004.4
用しており、事業所(従業者数5人以上)普及
1.インターネットの普及状況について
率も79%と前年比11ポイント上昇している。
(1)インターネット利活用の現状
『平成15年版情報通信白書』(総務省)によ
(2)インターネットの世代別利用状況
れば、2002年度末におけるわが国のインター
自宅でのインターネット利用率を性別・年
ネット利用人口(注)1は約6,942万人で、ここ1年
代別にみると、最も利用率が高いのは女性30
間で1,349万人、前年比で24%増加した。これ
代(68.0%)
、次いで男性30代(67.4%)
、男性
は全人口の55%で、国民2人に1人がインター
40代(63.6%)女性10代(63.2%)となってお
ネットを活用している状況である(注)2。
り、男女10代・男性40代は今回調査(ビデオ
また、インターネットの世帯普及率は81%
リサーチネットコム社が半年ごとに実施)で
と1年間で21ポイント上昇し、企業(従業者300
初めて60%を超え、世代全般にわたり利用率
人以上)普及率は98%とほとんどの企業で利
は高まっている。
図表1 インターネット普及率の推移
(%)
100
88.6
80
60
98.4
81.4
97.6
95.8
80.0
79.1
68.0
68.2
60.5
44.8
40
20
31.8
34.0
企業(300人以上)
事業所(5人以上)
世帯普及率
19.2
12.3
19.1
11.0
6.4
0
1997
1998
1999
2000
2001
2002
(年度末)
(出所)『情報通信白書』
図表2 男女別・世代別インターネット利用状況
〈男性〉
60代以上
〈女性〉
18.4
50代
60代以上
40.4
40代
6.5
25.4
50代
63.6
30代
49.1
40代
67.4
30代
68.0
20代
60.2
20代
62.5
10代
61.6
10代
63.2
10才未満
10才未満
6.4
4.9
(%)
(%)
(出所)ビデオリサーチネットコム社『インターネットビジネス白書』
(注)
1.パソコン、携帯電話、PHS、携帯情報端末、ゲーム機等からアクセスしている者が対象
2.全インターネット利用人口の82%がパソコンを利用、携帯(電話)端末は40%が利用
調 査
41
(3)インターネットの都道府県別(世帯)利
2.わが国におけるIBサービスの現状
用状況
インターネットの世帯普及率は全国平均が
51.6%で、
都道府県別にみると、
最も普及率が高
いのは奈良県の65.0%、以下兵庫県(63.2%)、
(1)金融業態別IBサービスの現状
金融機関におけるIBサービスの取組状況を
業態別にみると、つぎのとおり。
滋賀県(63.0%)、福井県(62.5%)、大阪府
(61.4%)となっており、近畿圏で軒並み高い
普及率を示している。また、政令指定都市(含
イ.個人向けIBサービス
(財)
金融情報システムセンター
(以下
「FISC」
特別区)の54.4%と政令指定都市以外の都市の
という)の2003年度調査によると、金融機関全
36.4%とでは普及率で大きな差が見られる。
体の60.0%が個人向けIBサービスを提供してい
る。業態別には信用金庫が53.7%、都銀100%、
地銀98.3%、第二地銀91.3%の実施率である。
図表3 都道府県別インターネット利用状況
全 国
北海道
青 森
51.6
滋 賀
51.8
京 都
47.0
秋 田
栃 木
47.9
岡 山
群 馬
48.6
広 島
埼 玉
51.1
山 口
千 葉
50.2
徳 島
51.7
石 川
福 井
山 梨
長 野
48.7
岐 阜
48.1
42
43.0
35.0
42.4
37.8
40.2
37.2
大 分
宮 崎
31.7
33.7
鹿児島
54.0
51.0
60.0
43.9
熊 本
50.0
信金中金月報 2004.4
49.6
長 崎
59.5
(備考)インターネット接続の全端末が対象
(出所)『インターネットビジネス白書』
40.5
佐 賀
62.5
40.0
43.2
福 岡
59.6
20.0
55.3
高 知
55.9
愛 知
57.7
愛 媛
45.1
富 山
三 重
0.0
52.5
香 川
55.4
神奈川
静 岡
36.9
島 根
45.0
新 潟
50.8
鳥 取
53.3
東 京
65.0
和歌山
56.7
宮 城
茨 城
63.2
奈 良
53.3
福 島
61.4
兵 庫
48.0
山 形
59.0
大 阪
46.0
岩 手
63.0
37.9
沖 縄
80.0
(%)
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
(%)
図表4 IBサービスの実施状況(個人向け)
全 体
60.0
15.6
12.9
都 銀
実施済
2003年度 実施予定
検討中
実施予定なし
11.5
100.0
長信銀等
33.3
信 託
33.3
33.3
40.0
60.0
地 銀
98.3
第二地銀
1.7
91.3
信用金庫
6.5 2.2
53.7
信 組
23.0
21.0
2.7
17.4
33.8
労 金
7.8
40.5
95.0
0
10
20
30
40
5.0
50
60
70
80
90
100
(%)
(出所)FISC調査
ロ.事業者向けIBサービス
(2)IBサービスの推進状況
事業者向けは金融機関全体の12.9%が提供し
IBサービスの推進状況を見てみる。IB契約
ており、
「個人向けIBサービス」に比べ、実施
口座数を2003年3月末現在のサービス提供金融
状況はこれからといったところである。
機関一機関当たり平均でみると、個人向けでは
ここでも都銀は100%が実施済であるが、
都銀が165万口座、地銀1.8万口座、第二地銀3,000
「2003年度実施予定」が地銀33.3%、第二地銀
口座、信用金庫800口座。事業者向けでは都銀
15.2%、信用金庫が26.2%となっており、対応
が1万口座、地銀2,500口座、第二地銀1,900口座、
姿勢にバラツキがみられる。
信用金庫600口座といった状況にある。
図表5 IBサービスの実施状況(法人向け)
全 体
12.9
40.0
23.9
都 銀
11.5
100.0
長信銀等
33.3
33.3
信 託
20.0
地 銀
18.3
第二地銀 6.5
信用金庫
信 組
60.0
43.3
33.3
15.2
2.7
15.2
46.8
13.5
17.4
67.6
10.0
0
5.0
63.0
26.2
16.2
労 金
33.3
20.0
9.6
80.0
10
20
実施済
2003年度 実施予定
検討中
実施予定なし
30
40
50
10.0
60
70
80
90
100
(%)
(出所)FISC調査
調 査
43
イ.個人向けIBサービスの推進状況
年夏にかけて各業態での取り組みがスタート
個人向けIBでは各業態とも契約口座数は一
しているが、金融機関からみて省力化に有効
定の伸びを示しているが、セット率(=IB契
であり、企業側から見ても利便性があるとい
約口座数/要求払預金口数)でみると、都銀が
った、両者のWin-Win構造があり、ここ1∼2年
10.53%と群を抜いて高く、地銀が0.90%、あ
のうちに零細事業を含むビジネスに不可欠の
と第二地銀と信用金庫が並んで各0.37%と浸透
ツールになることが見込まれる。
度は今一つといったところである。昨年スタ
ハ.個別金融機関の取り組み
ートしたばかりの郵貯IB(セット率0.34%)に
追い上げられている。
個人向けIBでは、当初の各行庫の取り組み
にばらつきがあったが、その後の口座数増加
ロ.事業者向けIBサービスの推進状況
についても業態や個別金融機関の取組姿勢に
事業者向けIBについては、2002年秋から2003
よって大きな格差が出て来ている。都市銀行
図表6 個人向けインターネットサービスの契約口座数(2003年3月末)
業 態
有効回答数
機関合計口座数
1機関あたり口座数
信用金庫
121
96,631
799
都市銀行
5
8,244,412
1,648,882
地方銀行
56
986,890
17,623
第二地銀
37
110,697
2,992
(出所)FISC調査
図表7 個人向けIBサービスの契約口座数推移(一金融機関あたり)
業 態
2002年3月
2003年3月
増加率(%) セット率(推計、%)
信用金庫
475
799
68
0.37
都市銀行
1,417,500
地方銀行
14,131
1,648,882
16
10.53
17,623
25
0.90
第二地銀
2,119
2,992
41
0.37
郵便貯金
−
400,000
−
0.34
(備考)セット率=IB契約口座数/要求払預金口座数
(出所)FISC調査
図表8 事業者向けIBサービスの契約口座数(2003年3月末)
業 態
信用金庫
機関合計口座数
1機関あたり口座数
22
12,244
557
都市銀行
6
61,429
10,238
地方銀行
12
29,955
2,496
第二地銀
5
9,337
1,867
(出所)FISC調査
44
有効回答数
信金中金月報 2004.4
図表9 個人向けIBサービスの推進状況
業 態
信用金庫
都市銀行
地方銀行
第二地銀
2002年3月
2003年3月
増加率(%)
A庫
28,167
53,362
89
B庫
3,950
6,394
62
C庫
2,300
4,827
110
A行
468,000
3,300,000
605
B行
−
1,945,000
C行
250,000
467,000
87
A行
67,714
128,640
90
B行
70,649
107,972
53
C行
25,000
44,401
78
A行
−
15,345
B行
6,711
11,266
68
C行
3,977
9,575
141
は、親密企業への職域取引や給与振込先口座
図表10 IBの利用経験
へのIB開設の推進で驚異的にインターネット
60
(%)
58.7
契約口座数を伸ばし(年間2∼7倍)
、利用件数
も増加している。地銀、第二地銀、信用金庫
においても突出しているところは年間倍増ペ
44.0
40
21.7
20
8.6
ースで伸ばしている。
0
(3)一般ユーザーから見たIBサービス
一般ユーザーからみたIBサービスについて
マイボイスコム㈱が行ったウェブ形式のアン
ト増加し、IB利用意向がある者も70%を超え、
地銀に期待するサービスのトップにインター
第2回
第3回
今回
2001/1
2002/1
2003/1
(n=7,195) (n=104,471) (n=8,404)
(出所)マイボイスコム㈱調査、図表11以下15まで同じ
(備考)nは回答者数、図表11以下15まで同じ
ロ.IBの利用意向(図表11)
ケート調査(回答者数 8,404名)によると、IB
利用経験があるという回答が年間で15ポイン
第1回
1999/9
(n=3,470)
今後、IBサービスを利用する意向が「ある」
と答えたのは、70%である。
図表11 IBの利用意向
(%)
80
70.4
ネットバンキングがノミネートされるなど、一
般消費者のIBサービスへの期待と関心の深ま
りが見て取れる。
イ.IBの利用経験(図表10)
「利用したことがある」は59%で、前回調査
時
(2002年1月)
に比べ15ポイント増加している。
64.8
60
54.0
51.6
40
20
0
第1回
1999/9
(n=3,470)
第2回
第3回
今回
2001/1
2002/1
2003/1
(n=7,195) (n=104,471) (n=8,404)
調 査
45
ハ.地銀のサービスとして利用してみたいもの
ニ.現在利用しているIB(図表13)
(図表12)
「イーバンク銀行」
(66%)が飛躍的に伸び、
地方銀行に期待するサービスの1番にIBがあ
トップになった。前回トップの「ジャパンネ
がっている。
ット銀行」は今回2位、あと三井住友銀行、UFJ
銀行、みずほ銀行が続く。
図表12 地銀のサービスとして利用してみたいもの
インターネットバンキング
27
20
各種証明書の自動交付機設置
10
住宅ローン等資金調達面の相談窓口
7
年金の振込み
6
個人年金・保険の相談窓口
5
個人宅に出向いての相談サービス
4
資産運用などの相談窓口
3
国債、投資信託などの購入
1
その他
50
特にない
1
無回答
0
20
40
60
(%)
(備考)各種証明書は住民票・印鑑証明など
図表13 現在利用しているIB
イーバンク銀行
65.8
18.3
34.0
ジャパンネット銀行
三井住友銀行
13.1
13.1
UFJ銀行
11.9
15.3
みずほ銀行
ソニー銀行
4.2
8.1
8.1
8.3
東京三菱銀行
あさひ銀行
7.1
5.7
新生銀行
7.1
シティバンク
5.3
7.2
アイワイバンク銀行 0.7
3.5
大和銀行
1.6
1.6
スルガ銀行
1.5
1.7
オリックス信託銀行
1.2
0.9
今回(2003/1)
利用者 n=4,928
前回(2002/1)
利用者 n=4,580
9.8
11.9
その他
0
20
40
(備考)1.UFJ銀行の前回値は三和銀行と東海銀行の合算
2.みずほ銀行の前回値は、第一勧業銀行と富士銀行の合算
3.新生銀行は前回調査まで選択肢に含まれていない。
46
信金中金月報 2004.4
57.9
18.0
16.9
60
80
(%)
ホ.回答者のコメントから(図表14)
ヘ.IBサービスの銀行選択時の重視点(図表15)
各金融機関取引の中でIBを選んだ理由のう
「手数料が安い」が72%でもっとも多く、
「信
ち、1番多かったのは「振込手数料が安い」で、
頼できる」(49%)、ついで「銀行に取引口座
がある」
(45%)
、
「セキュリティ対策が充実し
「口座維持費が無料」や「便利で楽しい」等が
ている」(40%)が続いている。
あげられている。
図表14 IBを選んだ理由
銀行名
選定の理由
【男性・40歳】 手数料が安く、口座維持費がかからない
【女性・31歳】 メールアドレスだけで送金できるシステムなどサービスが充実している
イーバンク銀行
から
【男性・17歳】 金利が高いし、口座数が増えているので取引をするときに有利だから
【男性・26歳】 振込手数料が安いため
ジャパンネット銀行
【女性・44歳】 携帯電話からの振込料が安い
【女性・32歳】 口座維持手数料はかかるが、郵便局や三井住友など対応するATMがた
くさんあり、入出金の点で特に不便を感じた事がないから
【女性・42歳】 母体の銀行が手堅い気がするから
三井住友銀行
【男性・79歳】 長年の愛用
【男性・20歳】 知名度が高いので
【女性・22歳】 ATM設置個所や支店なども多くて、利用しやすそう
【男性・24歳】 すべての携帯電話から利用できるから
UFJ銀行
【女性・32歳】 数カ月間振込手数料を無料にするなどのキャンペーンは顧客へのサービ
ス対応に熱心さを感じます
【女性・33歳】 ポストペットのキャラクターで楽しく取り引きできる
ソニー銀行
【男性・27歳】 ソニー・ブランドの信頼性と、為替売買手数料の安さ
【女性・31歳】 住宅ローンの繰り上げ返済が魅力的
図表15 IBサービスの重視点
72.1
手数料が安い
48.8
信頼できる
44.5
銀行に取引口座がある
40.1
セキュリティ対応が充実している
29.2
利用できるATMが多い
24.3
預金の金利が高い
18.4
株式売買やネットショッピングなどの決済が便利
14.5
知名度が高い
8.7
iモードなどモバイル対応が充実
5.0
ローンの金利が低い
資産運用管理サービスがある
2.8
その他
3.1
分からない(利用しない)
0
14.2
20
40
60
80
(%)
調 査
47
を見たものである。地銀では情報提供、税金・
3.信用金庫のインターネットバンキ
ングの現状と課題
公共料金等支払、資料請求、定期預金取引に
(1)インターネットバンキングのサービス別
では、これらのサービスの導入状況は現状2∼
ついてはほとんどが提供している。信用金庫
実施状況
3割であるが、導入を検討中の先を加えると過
ここでは、インターネットによるサービス
半数になる。あと、各種届出受付、カードロ
提供の内容について信用金庫のIBサービスを
ーン申込、24時間稼動、無担保ローン申込な
地銀のケースと比較してみる。
どについては、地銀は過半が提供しているが
信用金庫は1割に満たない。携帯によるモバイ
イ.個人向けIBサービスおよびモバイルバン
ルバンキングについては、地銀は24時間稼動
キング
サービスや情報提供に関心が強い。信用金庫
図表16、17は、サービス内容別に実施状況
は24時間稼動を考えていない。
図表16 個人向けインターネットバンキングのサービス別実施状況
(単位:%)
サービス内容
情報提供(商品案内、金利情報等)
税金・公共料金等支払(マルチペイメントネットワーク)
資料請求
住宅ローン申込
定期預金取引(預入、解約)
各種届出受付(公共料金自動振替、住所変更等)
カードローン申込
24時間稼動
無担保ローン申込
外貨預金取引(預入、解約)
資産運用相談受付
投資信託(購入、売却)
eメールによる各種勧誘(年金・給与振込)
eメールによる各種商品新規・継続契約者へのフォロー
信用金庫
実施済
含検討中
46
68
44
82
30
58
27
21
24
54
10
43
4
29
4
30
3
22
1
8
1
16
0
8
0
5
0
4
地方銀行
実施済
含検討中
92
97
55
95
87
93
10
38
75
97
60
73
65
78
65
88
62
77
8
52
12
34
15
50
3
20
7
27
(出所)FISC調査
図表17 個人向け携帯電話バンキングのサービス別実施状況
サービス内容
税金・公共料金等支払(マルチペイメントネットワーク)
情報提供(商品案内、金利情報等)
定期預金取引(預入、解約)
資料請求
各種届出受付(公共料金自動振替、住所変更等)
24時間稼動
カードローン申込
外貨預金取引(預入、解約)
投資信託(購入、売却)
無担保ローン申込
住宅ローン申込
資産運用相談受付
(出所)FISC調査
48
信金中金月報 2004.4
(単位:%)
信用金庫
地方銀行
27
20
14
13
5
3
1
0
0
0
0
0
33
47
19
37
10
64
12
2
0
12
2
4
図表18 事業者向けインターネットバンキングのサービス別実施状況
(単位:%)
サービス内容
照会(残高・取引明細)
即時資金移動
都度指定振込
通知連絡
一括データ伝送
定期・通知預金預入
税金(住民税等)納入サービス
公共料金収納サービス
売掛金の消し込み
資金集中・管理
給与計算
海外送金
L/C開設
金融経済情報提供
投資信託の購入
信用金庫
地方銀行
97
90
74
60
57
28
23
18
2
1
1
0
0
0
0
97
97
94
19
77
13
45
13
0
3
0
7
3
10
3
(出所)FISC調査
ロ.事業者向けIBサービス
図表18は事業者向けインターネットバンキ
(2)信用金庫の取組姿勢と顧客像
インターネットバンキングの取組姿勢につ
ングの、サービス別の実施状況を示している。
いてヒアリングをした結果を以下にとりまと
照会、即時資金移動、都度指定振込、一括デ
めた。都銀・地銀・信用金庫とりまぜて聴取し
ータ伝送など基本的なサービスについては地
た内容を要約すると以下のとおりである。
銀と信用金庫の間には違いが見られない。
イ.ヒアリングの結果(図表19、20)
図表19 IBサービス拡販にかかる金融機関の共通認識
個人・事業者
共通事項
個人向け
サービス
事業者向け
サービス
・IBは、テレホンバンキング、モバイルバンキングと一体化したサービスとして提供中(顧
客は自分が使いやすいものを選ぶ)。
・事業者向けIBは日常継続取引が望めるが、個人の単発利用では(サービス基本利用料が無
料の場合が多いため)口座維持コストが負担になる。
・新規取引時の口座開設申込書上で、記載項目のレイアウトが自然にIB契約の申込も完了す
るように工夫されている(都銀)。
・IBサービスを展開する限り、収益は無視できない。
・投下コストは必ず回収(できるだけ早期に)
・口座開設後の利用(稼動)率が問題である。
・ポスター、パンフレット、DM等の一般的なPR活動はしているが、日常、特別な推進活動は
行っていない。
・IBは、顧客自身のニーズで利用するもので、顧客ニーズ発生時への対応が図れる状態にし
ている。
・金融機関側は、従来のFB/HBサービス利用顧客をIBに切替えていく方向で、顧客からの問
合せ等の機会を契機にしてIBを売込んでいる。
・利用料金は無料が多い。
・従来のFB利用顧客を主体に新規開拓を含めIBを売込む。
・FBサービスに比べ、顧客側の負担軽減(専用ソフトの更新やPC機器更改による、ソフトの
インストール作業等が不要)、金融機関側の取引コスト面(顧客サポートやサービス・保守
等の軽減)からも顧客囲い込みの手段として積極的な展開を行う。
・利用料金が徴求できるので、販促活動はやりやすい。
調 査
49
図表20 個別金融機関の推進ポイントや方向性
・事業者向けIBは明確な収益源として取引採算を重視する(都銀)。
・事業者向けIBは、ANSER利用先および伝送機能利用先が事業者向けIBにシフト(信用金庫)。
・中小取引先には店頭(窓口)、DM・フォローコール等でIB利用を推進中。
・EBセット率を現状の十数%から30%に引上げたい(地銀)。
・店頭客(上得意先)にはIBの売込み等は考えていない(信用金庫)。
・取引実績(残高異動等)の少ない顧客、あるいは非稼動口座先や店頭に来ない客にIBを勧
IB推進における
スタンス・方向性等
める(信用金庫)。
・FBサービス全体として今後大半がIBに移行すると予想しているが、肝心なのは契約ではな
くIB稼動率であり、利用されない顧客を抱えるのは歓迎できない。
・事業者向けIBには200∼300先から問合せが来ている。推進はこれからであるが、重要視し
ている。法人IBの受入体制として、電話窓口(コールセンター機能はアウトソース)を活
用する。
・事業者向けIBは、昨年春にサービスを開始し、紙ベースの「総合振込」をインターネット
に移行できる点をアピールしてやっている。顧客のメリットと金庫の省力化に大変有効であ
る(信用金庫)。
ロ.ヒアリング結果からの考察
(イ)IB利用の顧客像について
a.IB利用顧客はインターネットを日常利用す
る人で、年齢・性別、職業等で特段の傾向は
ない。
PC等を使用)
の利用者が契約者の主体である。
c.各自の取引ニーズに適合した(都合の良い
時間や場所で、簡単・迅速に)利用ができる
ことを評価している。
d.IBの利用特典(振込手数料や預金金利の優
b.従来のEBサービス
(電話、
FAX、
専用端末機、
遇、ポイント蓄積等)を期待する。
〈参考〉
個人向けIBの顧客
事業者向け
IBの顧客
50
・従来からのEBサービス(電話、FAX、専用端末機、PC等を使用)の既存顧客が契約者の
主体となっている。
・都銀に集中しているこうした客層は、大都市(政令指定都市)に勤務のサラリーマン層
が主体と想定されるが、インターネットによる金融取引への不安・抵抗感は薄く、個々
の取引状況に応じたリアルチャネルとの併用者である。
・取引状況の把握については、週末、5・10日での利用増加傾向はみられるが、取引顧客の
属性や利用頻度、時間帯等のトランザクション分析はできていない。
・都銀においては、企業規模に応じたサービス機能を提供しているが、信用金庫では、事
業者向けといっても個人事業主(個人商店)など法人・個人の区別を明確にしていない
場合が多い。
・契約者は従来のFBサービス利用顧客からの移行が主体で、FBサービスに比べ、手間、コ
スト等の負担が軽く操作性の良いIBサービスに顧客の抵抗感は少ない。
・個人事業主は、振込手数料の優遇やデータ伝送機能、マルチペイメント機能等に利便性
を感じている様子。
・個人IBとは違い、システム維持・管理コストも重いため、利用料金は“定額徴求”であ
るが、その利便性によって料金負担への不満などはない。
・各金融機関揃って法人IBの重要性は認識しており、収益事業の対象と位置づけた推進を
図っている。
・今後1∼2年内に利用者急増は必至であり、データ伝送、給与・賞与振込等、従来からの
FBサービス機能の他に、利用者ニーズに適合した新しい機能・サービスを提供すること
が利用先金融機関の選別要因となる。
・特に法人顧客は日常の業務運営に直接関連するので、IBについて使いやすく、サービス
機能が充実し、サポート対応が的確であることを求めている。
信金中金月報 2004.4
(ロ)IBサービスの意義について
a.信用金庫顧客にとってのIBサービスの意義
IBサービスが開始された当初は、「店頭・
ATMに次ぐ第3のチャネルである」や「今後の
インターネット社会ではIBがチャネルの主力
となる」とも言われたが、現段階での位置づ
けは以下のとおりとなっている。
・まだまだ顧客全般に浸透して(ニーズとし
て認識されて)いない。
・顧客の意識は、リアルチャネルが前提でIB
はあくまでも付加的サービスである。
・認知度的にはPCを使った従来のFB・HBと
何ら変わらないイメージである。
・個人IBについて顧客は、特別な利便性を実
感していない。法人IBについては、利便性
ならない。
・顧客の顔の見えない取引はしない。
・現行の店舗、渉外、自動機、EB等のチャ
ネル展開で十分対応できている。
・取引頻度の低い顧客にはIB取引を勧め、来
店客にはIBを勧めない。
(b)事業者向けIB
・個人と判別のつかない個人事業主へのIB
であるが、日常の取引頻度から顧客囲い
込みの意識は強い。今後、力をいれるべ
きサービスと考える。
・他業態からの勧誘等に対抗すべく、推進
を図っている。
・サービスコストは回収すべく、取引内容や
回数を見て各種アプローチを図っている。
を感じている。
b.信用金庫にとってのIBサービス
訪問や電話聴取による、信用金庫における
IBへの意識を総合すると「顧客チャネルの一
つとして、他に劣らない程度の展開は図る」、
4.信用金庫において個人IBサービス
は必要か
(1)信用金庫の取引顧客層からみたIB取引
信用金庫顧客を年代層別に分け、IBのイン
「顧客ニーズに迅速な対応が図れるよう準備す
フラであるインターネット利用人口の分布、さ
る」としており、対応は積極的と言えない。
らには国民の年代層別との関連をみたものが、
「IBが必要商品である」「IBにより収益改善
図表21である。
する」といった、金庫自身の経営戦略の一環
イ.信用金庫の顧客年齢層は国民全体の年齢
として検討する方向感は感じられず、IBを戦
構成比にほぼ近く、30∼50代の取引推進す
略的に活用しようとは考えていない様子であ
べき対象年齢層は比率が上回っている。
った。
信用金庫の主な意見はつぎのとおり。
(a)個人向けIB
・現状では、喫緊対応(サービス開始)の
必要性は低い。
ロ.この年齢層はインターネット利用者の年
齢層にシンクロしており、IBの推進環境と
しては、全く問題ないと言える。即ちIBの
利用層は信用金庫顧客には少ないという仮
説は妥当でない(図表22)。
・IB展開の有無で、メイン取引の流出とは
調 査
51
図表21 信用金庫顧客の年代別内訳
(%)
80
全国民
A信用金庫
B信用金庫
C信用金庫
インターネット
利用者
60
40
20
0
20
30
40
60 (歳代)
50
図表22 〈仮説1〉
信用金庫顧客は
高齢者層が主体
IBの利用者は
信用金庫顧客に少ない
高齢者は
インターネットを使わない
(2)個人IBとチャネルミックス
≠
顧客の年齢構成からみて、
IBの拡販推進は十分可能
によって、取引コストの削減、すなわち収益
現行の顧客チャネルとしては、店舗(テラ
増加を図るよう対応すべきである。
ー)、渉外訪問、ATM、テレホンバンキング、
FB/HBといったものが提供されているが、そ
イ.信用金庫のチャネルコスト
のチャネルの使い方は、偏った使い方をして
信用金庫のチャネルコストについて、感覚
いる人もいる一方で、すべてのチャネルをう
的ではあるが図表24のとおりイメージしてみ
まく使い分けている人もいる。
IBの一件あたり取引コストが、
図表23 取引コスト(米銀の数字より)
(単位:店頭を100とした場合のそれぞれのコスト)
100.0
100.0
チャネルの中で一番安いことは図
表23のとおり明白であるが、まだ
まだ顧客全般に浸透していないこ
80.0
70.0
60.0
とも確かである。IBチャネル自体
は利益をもたらすものではない
40.0
28.0
が、やはり、顧客層の大半を占め
20.0
る低採算の顧客をローコストのIB
チャネルにどれだけ誘導できるか
52
信金中金月報 2004.4
0.0
0.7
店頭
渉外訪問
ATM
テレフォン
0.2
0.1
FB/HB
IB
図表24 サービスチャネルのコスト感覚
導入コスト
機械・設備
◎
△
◎
○
人件費
◎
◎
×
○
維持・運用コスト
保守・管理
△
×
○
△
教育
◎
◎
×
△
FB/HB
○
△
△
×
IB
△
×
△
×
店頭(テラー)
渉外(訪問)
ATM
テレフォンバンキング
サービス負担
方式
割合
自前
◎
自前
◎
自前
◎
委託
△
自前
◎
委託
△
自前
◎
委託
△
◎…大きい(高い)、○…普通(一般的)、△…軽い(少ない)、×…不要(無料または無料に近い)
(備考)「委託」は、外部システムの利用により自前の開発/運用管理のコストを利用料金支払で負担軽減するもの
た。
(ただし、個別金庫の実情により、コスト
IB取引によって得た個(顧)客情報により、
計算の内訳項目は多種多様であり、実態を分
EメールやDM、電話、訪問といったアプロー
析した結果ではない。
)
チを組み合わせた営業推進態勢をとれるのは
信用金庫ならではであり、他業態では不可能
ロ.チャネルミックス戦略(図表25)
信用金庫の特徴である、
「訪問渉外(戸別訪
なサービスといえる。
まさに、バーチャルとリアルを融合した“ク
問)
」は言うまでもなく高コストで、
「店舗(店
(注)3
の世界であり、信用金
リック&モルタル”
頭)
」はその金庫の顔としての人員配置や設備
庫の訪問渉外のノウハウがIBによって一段と
維持費が大きな負担である。しかし、IBがい
活かされると思われる。
かに低コストとわかっていてもIBのみに特化
することはできない。既存の店舗網や渉外担
(3)「ミックスビジネス」への展開
当者の地道な営業活動によって築かれた、信
わが国の金融機間の利益構造をみたとき、欧
頼感やブランド力がベースとなってIBチャネ
米の金融機関に比べて金利収入への依存度が
ルが成立しているのである。
高く、非金利収入あるいは手数料ビジネスが
図表25 〈仮説2〉
IB拡販による
低コスト取引の拡大
信用金庫ブランドの
維持・向上
収集情報に対応した
情報の提供(アプローチ)
IB推進による
顧客情報の収集
高コストチャネルの
資源再配分による全
体コストの引下げ
(注)
3.クリック&モルタルは、インターネットによる販売と、既存の物理的販売網(店舗など)を有機的に組み合わせたビジネス
モデルのこと
調 査
53
十分育っていないことが常に指摘されるとこ
が今日のインターネットバンキングの彼方に
ろである。信用金庫もその埒外ではない。イ
広がっている。このところのIB推進の流れに
ンターネットバンキング・サービスをみたと
乗り遅れ重要なタイミングを失すると、永久
き為替手数料は大切な収入源である。個人IB
に周辺のビジネスから発生してくるであろう
については、今日サービス手数料の「免除」あ
役務手数料による収益機会を失うことになろ
るいは当初一定期間の免除などあるが、これ
う。この意味でも個別金庫において、あるい
も長期的にみると普及・安定化するにともな
は業界としてもインターネットを基盤とした
って有料化し重要な収益源に転化していくこ
新たなビジネス・チャンスを体系的に検討す
とが見込まれる。タイミングによって価格や
る必要があるのではないか。
金利が変動する商品、投資信託や外貨預金な
インターネットバンキングを使うことで既
どは、瞬時に出し入れできるインターネット
存のデリバリーチャネルと併存しながら、新
ならではの商品で、IBサービスと融合するこ
たなビジネスの融合を創生できる。今や、決
とで顧客にとって不可欠なサービスとなる。ア
済だけでなく物の流れ・金の流れ・情報の流
カウント・アグリゲーションによって複数預
れを考えていかないと金融機関が生き残れな
金口座、あるいは証券口座、保険口座などの
い。決済+Eコマース+マッチングなどトータ
一元管理サービスを提供して、ポートフォリ
ルなソリューションの提供体制をつくる。金
オ分析サービスなどによってアドバイスをし
利収入への過度の依存から脱却して収入の多
てあげる。個別のお客にあった推奨商品を提
角化を図るためには「ミックスビジネス」が
案すれば、きっと顧客は気のきいた提案に満
格好の材料を提供してくれる。こうした展望
足しロイヤリティーを深めてくれる。こうし
のなかで今日のインターネットバンキングの
た展開のなかでこそ、今後の非金利収入の収
推進を位置づけ、顧客の動きをよくみて次の
益機会が広がってくるということを認識すべ
より適切なアプローチにつなげていくといっ
きである。
た一貫した継続的姿勢が肝要である。
投資信託や外貨預金はもちろんであるが、
「Eコマース」や「マッチング・サービス」の
提供も先行き個人や事業者に向けたトータル
5.インターネットバンキングの推進
に向けて
なソリューション提供のプラットホームとな
見てきたように、インターネットの利活用
ることが見込まれる。これらが顧客の利便性
の状況は都市部・郡部の別なく各年代層にわ
を高め、顧客の生活満足度を上げることにな
たって広範に使われるようになって来ている。
る。こうした「ネットを介して融合したソリ
こうした環境において、インターネットバン
ューション・セットとしての一連のサービス」
、
キングの利用は、徐々に浸透している。
いってみれば「ミックスビジネス」の地平線
54
信金中金月報 2004.4
個人向けIBついては一般に着実な拡大のフ
ェーズにあるが、信用金庫においてはIBチャ
①「個人向けIB」をチャネルミックスによる
ネルの重要性についての認識は低調といえる。
コスト削減の一環としてとらえこれに基づ
あくまでも、顧客ニーズにもとづく商品対応
く推進策を打つ。顧客は都合で店頭・電話・
的な認識が強く、図表22および図表25のとお
インターネットとチャネルを自分に合った
り、信用金庫がIBの商品価値を戦略的にとら
ミックスで利用する。サービス提供側はト
えるか否かが重要である。信用金庫顧客への
ータルコストからみて自身の推奨プライオ
IBの周知とサポート、IBで得た顧客情報を活
リティーを明確に持つべき。
用しつぎの取引に結びつけることなど、リア
②個別のお客のIB取引をライバルにもって行
ルとバーチャルのミックスによって顧客満足
かれないための、先行取り組みの大切さを
度をいかに維持・向上させるかがポイントに
認識する。対策として広告宣伝活動など
なる。
(含、業界PR)推進策を実施する。
信用金庫業界の個人向けIBが低調な要因を
③インターネットバンキングの取り組みにつ
要約すると、図表26のとおりとなる。
いて将来ビジョンを持つ。先行き顧客にネ
こうした状況では、
「金庫に個人向けIBが本
ットでトータルなソリューション・セット
当に必要なのか」といった疑問が出てくるの
を提供することで、これが重要な非金利役
も止むをえない状況である。
務収益の柱に育つとの理解が欠かせない。
したがって、信用金庫がIB利活用を振興す
個人顧客に対して
るためには戦略的思考を持つことが欠かせな
①信用金庫顧客の年齢分布は、国民全体の年
い。個別金庫において以下の推進策を経営方
代構成比にほぼ一致しており、コンピュー
針として明確にする必要がある。
タリテラシーの面からIBインフラの利活用
図表26
対 象
個人IB低調の原因
①IBを単なる品揃えのひとつとして位置づけて顧客が求めたら対応するといった姿勢にとどまる。
②顧客接点の「チャネルミックス」でみて、全体コストが下がるといった総合的なメリット認識、
あるいは全体コスト削減につなげるといった戦略的思考が薄い。
信用金庫
③IBを顧客とのインタラクティブなコンタクト・ツールとして有効であるとの認識や、それを工
夫活用する姿勢が見えないことが多い。
④口座開設だけで、実取引がなくてもシステム利用料金負担が発生するとして開設勧誘の意欲が低
いケースがままある。
①給与口座を信用金庫に持つケースが限られており、インターネットバンキングの必要性が低い。
②地域内活動が主体であり、ネットによって距離・時間を超越する必要性が低く、食わず嫌いも手
信用金庫
個人顧客
伝ってIBのメリット感を把握出来ていない人が多い。
③PCや携帯・モバイルを活用したい。ちょっとしたサポートがあればできるのだが…気軽に教え
てもらいたいとの希望も多い。
調 査
55
で親切なサポートあるいはフォローアップ
金庫の中核顧客である中小零細事業者にとっ
が欠かせない。信用金庫側にこのための体
ても、極めて利便性が実感できるサービスで
制づくりが必要である。
あり、同時に他業態からのアプローチも激化
②インターネットバンキングの利便性を実感
してもらう。デモをするなど。また、簡単
するなど、金庫としても積極的な対応姿勢を
確立する必要がある。
な申込手続きで利用開始できるようにする。
③給振・年金口座先を中心にメールオーダー
を同封し、DMを送る。
などの対策を打つ必要があると思われる。
個人向け、事業者向けを問わずインターネ
ットバンキング・サービスを「信用金庫ブラ
ンドのIB」として、PRの面でも内容的にも魅
力を付けていくことが肝要である。IBサービ
一方、事業者向けIBについてはサービスが
スの利活用推進については長期での自然増を
提供されてから日は浅いが、金融機関からみ
見込むとしても、積極的な対策なくしては中
て省力化に有効であり企業側からみても利便
期的にみて期待するような増加は望めず、結
性があるといった、両者のWin-Win構造があ
果的に他業態に遅れをとることになる可能性
り、いましばらく(ここ1∼2年)の間に爆発
が大きい。一段と腰の入った取り組みが求め
的な普及進展が見込まれる。事業者向けIBは、
られる所以である。
56
信金中金月報 2004.4
以下に信用金庫あるいは業界において取り組むべき施策案を取りまとめた。
施策主体
(1)信用金庫の施策と
して推奨すべきもの
施 策 内 要
①給振・年金口座先にメールオーダーを同封したDMを送付する。
②IB推進に向けた体制整備
→システム営業部・課の設置など
③店頭でのデモ・相談コーナー設置
④客先への出張サービス
⑤IBに関するヘルプデスクの設置(金庫顧客向け)
⑥IB体験画面の提供
⑦他金庫成功事例の研究
(2)業界として対応す
べきもの
①全信協や地区協会と連携して広報面で対応する。
・TV/雑誌などでの宣伝
・地区での説明会、デモンストレーション
・ホームページでの宣伝、主要サイトとのリンク
②「特別利用キャンペーン」を実施する。
③モデル金庫を選定し、IB利用推進の具体的な各種施策を相対で検討し
推進活動を支援する。
〈例〉
取引データ(トランザクション)を加工した推進情報を金庫に還元して
拡販施策につなげる。
・金庫のIB契約セット率、個別契約口座の利活用状況、利用時間、曜日、
回数
・IB顧客の実像分析(取引傾向、年齢、性別、職業、地域等)を反映
した推進方策を確立する。
(3)
その他
①IBサービスの機能充実により差別化を図る。
・ECサイト、通販サイト、証券(オンライントレード)サイトへのリ
ンクをする。
・公共料金、定積、小口ローン、投資信託、外貨預金、外国為替、電子
手形等の機能を追加する。
・個人向けマッチング・サービス、ビジネスマッチング・サービス
・メールマガジンによるキャンペーン広告
②IBに関するFAQの充実(金庫宛・顧客宛)
→よくある質問の開示
③IBに関するヘルプデスクの設置
信用金庫宛:メールおよび音声でのサポート
→サービス内容・利用開始時サポート
調 査
57
中国環渤海地域の投資環境
−青島市の現況−
信金中央金庫 総合研究所アジア業務相談室室長
篠崎 幸弘
(要 旨)
アジア業務相談室では、2003年10月14日
(火)
から15日
(水)
と山東省の青島を訪問した。日本
に最も近く、中国北部の物流拠点を目指す青島市の現況について報告する。
1.山東省の現況
山東省の2002年末の人口は、4直轄市・22省・5自治区の中で河南省に次いで第2位であり、
昨年のGDP総額および投資実行額は、いずれも広東省、江蘇省に次いで第3位となっている。
2.青島市の現況
(1)青島市は7区5市からなり、旧市街地は市南区、市北区、四方区、李滄区の4区から構成さ
れ、ヨーロッパ風の建物が多く残っている。青島市の常駐日本人は約1,300人であり、現在
日本人学校および在中国日本国大使館領事部の設置について検討されている。
(2)2002年の青島市のGDPは1,518億元となり、成長率14.6%を達成した。青島市は2008年の北
京オリンピックのヨット競技の会場となっており、急ピッチでインフラ整備が行われてい
る。2003年の1月から9月までのGDP成長率は前年同期比15.6%増加の高い伸びとなった。
(3)2002年の輸出入総額は339.4億ドルと前年比17.2%の増加となった。日本との貿易は、中国
側の大幅な輸出超となっており、韓国系企業の日本への輸出に加え、現地の進出した日系企
業や日本からの委託生産先は、山東省の農水産資源等を利用した製品(農水産加工品、繊維
等)を日本に輸出している。
(4)2002年の青島市への外国投資は契約件数1,832件(前年比46.1%増)
、契約金額55.24億ドル
(前年比53.9%増)実行金額23.12億ドル(前年比46.2%増)となった。国別では山東省の地
理的関係から韓国からの投資が約3分の1を占めており、日本からの投資は2002年が5位とな
っている。ここ2年は大手家電メーカーや自動車メーカーの中国進出に伴い部品メーカーが
進出し、業種が急激に拡大している。
(5)青島港は世界のほとんどの主要港に向けた直行便を有し、2002年の国際コンテナの取扱量
は341万TEUと上海港、深 に次いで国内第3位、世界第15位であり、北のハブ港に向けた整
備が進んでいる。
58
信金中金月報 2004.4
山東省の現況
3.人口および行政区画等
1.政治体制
山東省の人口は、4直轄市・22省・5自治区
(1)党委員会書記
張高麗
の中で河南省に次いで第2位となっている。省
(2)省長
韓寓群
内には17の市があり、その下に31の県級市、48
の市轄区、60の県がある。山東省のGDP総額
2.位置および気候
は、1兆元を超え、投資実行額は約56万ドルで
山東省は渤海の南側に位置し、東は黄海に
ある。GDP総額投資実行額いずれも広東省、
面している。気候は温暖冬季少雨気候であり、
江蘇省に次いで第3位となっている(図表2)
。
南東北から北関東ぐらいと同じ気温と言える
(図表1)。
図表1 気象データの比較(2002年)
(単位:℃、時間、mm)
位 置
東経
117.00
120.22
118.10∼102.01
119.34∼121.67
140.21
140.28
140.28
139.46
済南市
青島市
坊市
煙台市
山形市
福島市
水戸市
東京都
北緯
36.4
36.4
35.43∼37.26
36.16∼38.23
38.15
37.46
36.23
35.41
年
15.2
13.6
13.1
13.7
12.0
13.3
13.4
16.7
平均気温
1月
2.5
2.7
-0.2
1.9
-0.5
1.4
2.8
5.8
8月
25.3
25.2
25.4
24.8
24.6
25.2
25.0
27.1
年
日照時間
2,382.0
2,246.6
2,497.8
2,621.4
1,625.3
1,755.7
1,886.8
1,990.0
年
降水量
456.6
424.6
330.1
452.7
1,215.0
1,188.0
1,326.0
1,294.5
(備考)1.『山東統計年鑑2003』、気象庁電子閲覧室データより信金中金総合研究所作成
2.1月および8月の平均気温は大連が2002年、日本の各都市が1971∼2000年の30年間の平均
図表2 山東省各市の面積、人口、GDP(2002年)
山東省
済南市
青島市
坊市
煙台市
博市
棗庄市
東営市
済寧市
泰安市
威海市
日照市
菜莞市
臨沂市
徳州市
聊城市
浜州市
荷澤市
面積
156,720
8,180
11,026
15,941
13,715
5,940
4,550
7,923
11,285
7,761
5,436
5,314
2,262
17,295
10,356
8,714
9,442
12,236
人口
9,069
575.0
715.7
847.5
646.7
412.0
362.2
175.4
796.8
546.4
247.6
277.5
123.9
1,008.4
543.6
561.3
364.8
864.4
(単位:km2、万人、人/km2、億元、万ドル)
人口密度
579
703
649
532
472
694
796
221
706
704
455
522
545
583
525
644
386
706
GDP
10,552.06
1,200.83
1,518.17
895.00
1,115.00
780.00
313.86
540.30
743.50
515.20
703.50
261.43
141.90
702.13
460.50
375.50
340.60
249.84
投資実行額
558,603
19,796
244,949
25,898
120,271
20,021
4,661
7,294
8,302
5,572
60,104
5,573
2,806
6,639
10,153
6,004
6,658
3,990
(備考)1.『山東統計年鑑2003』にもとづき作成
2.各市の面積は管轄区市県の面積の合計、人口密度は人口を面積で徐したもの。
調 査
59
青島市の現況
図表3 青島市の区市県別面積、人口
(2002年末)
2
2
(単位:km 、万人、人/km )
1.政治体制
区県名
戸籍人口
人口密度
11,026
715.7
649
市南区
30
45.6
15,200
市北区
29
46.7
16,103
四方区
35
37.1
10,600
黄島区
217
21.2
977
山区
389
19.6
504
青島市は7区5市からなり、旧市街地は市南
李滄区
98
27.8
2,837
区、市北区、四方区、李滄区の4区から構成さ
城陽区
553
43.6
788
州市
1,313
76.3
581
即墨市
1,780
107.5
604
山区には、青島市人民政府を始めとして新市
平度市
3,166
134.0
423
街地が広がり、高新技術開発区がある。黄島
南市
1,894
83.7
442
菜西市
1,522
72.3
475
(1)党委員会書記
杜世成
(2)市長
夏耕
2.行政区画
れ、ヨーロッパ風の建物が多く残っている。
青島市
面積
区には経済技術開発区があり、工業の発展に
(備考)『山東統計年鑑2003』にもとづき作成
伴い港湾設備の充実が図られている。城陽区
には空港があり、高速道路および鉄道が通り
交通の要所となっている。周辺の市には小規
図表4 青島市概図
模開発区がある(図表3、4)。
3.経済動向
菜西市
平度市
(1)GDPの推移
2002年の青島市のGDPは1,518億元となり、
即墨市
成長率14.6%を達成し、中国全体の成長率8.0%
膠州市
◎
市南区、市北区
四方区、 山区
李滄区、城陽区
を大きく上回った。97年以降、GDP成長率は
2桁成長率を維持している。青島市の人口が中
膠南市
国全体の人口に占める割合は0.6%であり、同
様に青島市のGDPが中国全体に占める割合は
1.4%となっている(図表5)。
また、青島市は2008年の北京オリンピック
のヨット競技の会場となっており、急ピッチで
インフラ整備が行われている。住宅建設も活発
であり、
2003年の1月から9月までのGDP成長率
は前年同期比15.6%増加の高い伸びとなった。
60
信金中金月報 2004.4
青島市 ●
黄島区
図表5 GDP成長率推移
年
青島市
中国全体
(単位:%)
1996
8.0
9.6
1997
12.6
8.8
1998
12.8
7.8
1999
13.8
7.1
2000
15.1
8.2
2001
13.7
7.3
2002
14.6
8.0
2003(1-9)
15.6
8.5
(備考)『中国統計年鑑』、
『山東統計年鑑』にもとづき作成
(2)産業構造の変化
入額は韓国に次いで73.7億ドルと全体の21.7%
2002年、青島市のGDP産業別割合は、初め
を占めている。韓国との貿易は輸入超となっ
て第1次産業が10%を下回り、第2次産業が50%、
ており、青島市に進出した韓国系企業が母国
第3次産業が40%をそれぞれ上回った。第1次
から部品を輸入し、生産した完成品を日本、米
産業は微増が続いているものの、第2次および
国に輸出している構図となっている(図表7)
。
第3次産業の伸びが第1次産業の伸びを大きく
一方、日本との貿易は、中国側の大幅な輸
上回っているため、第1次産業のGDP全体に占
出超となっており、韓国系企業の日本への輸
める割合が年々低下している(図表6)
。
出に加え、現地の進出した日系企業や日本か
らの委託生産先は、山東省の農水産資源等を
(3)貿易
利用した製品(農水産加工品、繊維等)を日
2002年の輸出入総額は339.4億ドルと前年比
本に輸出している。
17.2%の増加となった。そのうち日本との輸出
図表6 GDPにおける産業別割合の推移
年
GDP
(単位:億元、%)
第1次産業
第2次産業
第3次産業
1996
710.20
18.7
46.3
35.0
1997
797.10
14.7
47.9
37.4
1998
888.39
15.8
46.6
37.6
1999
992.83
13.8
47.6
38.6
2000
1,150.07
12.2
48.7
39.1
2001
1,316.08
10.9
49.3
39.8
2002
1,518.17
9.6
50.4
40.0
(備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成
図表7 輸出入動向
(単位:億ドル)
2000年
輸出
総計
2001年
輸入
輸出
2002年
輸入
輸出
輸入
155.3
94.6
181.3
108.3
211.2
128.2
うち日本
43.6
16.0
51.9
17.5
53.7
20.0
韓国
22.7
33.9
25.9
35.6
32.7
41.4
米国
29.0
8.8
32.3
12.3
37.3
12.1
香港
8.1
1.5
9.2
2.2
10.8
1.9
ドイツ
5.2
3.2
5.5
3.9
5.8
5.3
(備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成
調 査
61
(4)日本との関係
一方、経済開発区がある黄島区は、旧市街
イ.友好都市
下関市
地から船で約30分であるものの、車では1時間
ロ.青島日本人会
202社(2003年9月
30分と通勤は難しい状況にある。現在、
末現在)
州
湾を跨ぐ大橋が計画中であり、完成後は旧市
ハ.日本からの直行便
週16便(東京・成
街地から経済開発区への車通勤が可能となる。
田8便、大阪・関西5便、福岡3便)
黄島区は経済開発区に進出する企業が増加
し、ホテル、銀行等ができ住環境は徐々に改
(5)生活環境
善している。
青島市の常駐日本人は約1,300人であり、現
(6)投資動向
在日本人学校の2004年開校に向け準備が進め
られている。また、在中国日本国大使館領事部
青島市への外国投資は年々増加しており、
の青島市設置についても調整が行われている。
2002年は契約件数1,832件(前年比46.1%増)、
また、青島市人民政府がある 山区は新市
契約金額55.24億ドル(前年比53.9%増)実行
街地として開発され、マンション、スーパー
金額23.12億ドル(前年比46.2%増)となった。
等生活環境の整備が進んでいる。常駐日本人
うち独資(100%外資)企業への投資は、件数
が少ないため、日系スーパーはあるものの、日
が1,432件(投資契約総数の78.2%)
、契約金額
本人向け商品は少ない。新市街地は空港から
が42.10億ドル(投資契約総額の76.2%)
、実行
は高速道路経由で30分と近く、青島港、青島
金額が18.63億ドル(投資実行総額の80.6%)を
駅がある旧市街地にも10分と便利である。
占めている(図表8、9)。
図表8 外国投資の推移
(単位:件、億ドル)
年
1998
553
9.84
714
17.27
2000
1,128
26.62
17,794
24,188
23,599
28,620
30,153
7.83
9.30
12.61
15.81
23.12
契約件数
契約金額
1件当たりの金額
(単位:百万ドル)
実行金額
1999
2001
1,254
35.89
2002
1,832
55.24
(備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成
図表9 外国投資の投資形態
年
2001
2002
契約件数
契約金額
実行金額
契約件数
契約金額
実行金額
292
6.99
4.46
356
10.70
3.73
(備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成
62
(単位:件、億ドル、%)
合 弁
信金中金月報 2004.4
合 作
比率
23.3
19.5
28.2
19.4
19.4
16.1
46
1.45
0.22
44
2.44
0.71
独 資
比率
3.7
4.0
1.4
2.4
4.4
3.1
916
27.44
11.10
1,432
42.10
18.63
株 式
比率
73.0
76.5
70.2
78.2
76.2
80.6
比率
―
―
0.03
―
―
0.06
―
―
0.2
―
―
0.3
2002年の第3次産業(サービス業)に対する
(7)開発区
投資は契約金額、実行金額とも投資全体の20%
青島市には、経済技術開発区、保税区、高
を下回っており、第3次産業に対する対外開放
新技術開発区、輸出加工区といった4つの国家
はこれからというところである。
級開発区がある。保税区は経済技術開発区の
また、国別では山東省の地理的関係から韓
中にあり、すでに第1期工事を完売し、第2期
国からの投資が約3分の1を占めており、青島
工事に取り組んでいる。保税区には日系企業
市周辺には3∼4万人の韓国人が常駐している
が20社程度進出しているようである。輸出加
と言われている。日本からの投資は2002年が5
工区は2003年3月に国務院から正式に認可され、
位、累計で3位となっている(図表10)
。
現在第1期工事1.7km2を開発した。
2001年まで青島市の企業と日系企業との関
青島市には国家級開発区のほか6つの省級開
わりは委託加工が中心であり、投資は繊維、食
発区があり、20ぐらいの市級工業団地も用意
料品ぐらいであった。ここ2年は大手家電メー
されている。市級工業団地の中には、空港周
カーや自動車メーカーの中国進出に伴い部品
辺の交通の便が良いところに鍍金専用工業団
メーカーが進出し、業種が急激に拡大してい
地が新たに計画されている。また、中小企業
る。さらに、2年前までは中小企業の進出が多
向けに開発された3つの工業団地(膠南市海浜
かったものの、業種が拡大するなかで日系大
工業団地、城陽区紅島工業団地、城陽区青大
手メーカーの進出が目立ってきている。
工業団地)といった特色ある開発区等が数多
く用意され外国投資者を受け入れている(図
表11)。
図表10 業種別・国別投資状況
(単位:件、億ドル、%)
2002年
契約件数
契約金額
実行金額
契約件数
契約金額
実行金額
1,832
55.24
23.12
10,760
229.22
106.99
第1次産業
61
2.17
0.63
297
7.71
2.20
第2次産業
1,545
43.21
18.38
8,532
165.75
81.39
第3次産業
226
9.87
4.11
1,931
55.76
22.34
韓国
1,010
21.97
9.32
3,921
64.64
35.66
香港
167
8.26
3.26
2,278
54.66
22.14
日本
155
3.81
2.19
849
16.44
10.56
米国
163
7.20
3.06
800
26.19
9.26
台湾
135
4.07
1.79
1,282
11.46
7.97
総 計
産業別
国 別
累 計
(備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成
調 査
63
図表11 青島市の開発区
開発区名
2
(単位:km 、件、億ドル)
クラス
開発面積
青島経済技術
国家級
35.0
青島高新技術
国家級
青島輸出加工区
国家級
環海
州
外商投資
件数
輸 出
契約金額
実行金額
うち外資
1,497
12.38
4.73
7.69
3.71
5.5
827
2.40
0.98
7.10
3.20
2.8
−
−
−
−
−
省 級
3.2
96
0.64
0.38
1.48
1.48
省 級
10.0
98
0.68
0.40
3.78
3.78
即墨
省 級
8.8
113
1.62
0.69
0.98
0.96
平度
省 級
8.3
102
0.66
0.38
1.69
1.69
南
省 級
8.0
87
1.32
0.36
1.37
0.89
菜西
省 級
8.3
87
0.42
0.26
0.61
0.61
(備考)1.『青島統計年鑑』にもとづき作成
2.経済技術開発区には保税区を含む。
(8)物流機能
ばれている。
イ.陸上交通
青島市から山東省各都市との物流は車が中
ロ.空港(青島流亭国際空港)
心となっている。青島から西の済南市へは高
空港は市街地の北側にあり、車で30分程度
速道路が通じ、北京・上海間の高速道路に接
と便利である。現在、空港ビルディング等北
続している。北の煙台市へは一般道(片側3車
京オリンピックに向けて大幅な改造が行われ
線)210kmで3時間、南の日照市へは一般道で
ている。青島からは、東京、大阪、福岡、ソ
2時間かかる。旧市街地から経済技術開発区が
ウル、釜山、大邱、パリ、シンガポール、バ
ある黄島区へは膠州湾高速道路で1時間半かか
ンコク、香港、マカオなど13の国と地域へは
る。南北を結ぶ高速道路は計画されているもの
毎週130便、北京、上海、広州など47の国内主
の、
東西を結ぶ道路に比べて整備が遅れている。
要都市へは、毎週748便がフライトしている。
また、旧市街地から黄島区へは膠州湾高速
道路のほか、船を利用して30分で行くことが
ハ.海運(青島港)
できるが、その後の交通の便を考えると利用
青島港の貨物取扱量は1.22億トンに達し、国
しづらい面がある。そこで、膠州湾の跨ぐ海
内第5位に位置している。青島港は世界のほと
湾大橋が計画され、市政府は北京オリンピッ
んどの主要港に向けた直行便を有し、2002年
クまでに開通したいと考えているようである。
の国際コンテナの取扱量は341万TEUであり、
鉄道は青島市から済南市までの膠済鉄道を
上海港(861万TEU)
、深 (761万TEU)に次
通じて全国各地と結ばれている。経済技術開
いで国内第3位、世界第15位となっている。さ
発区(黄島)へは膠州市から膠黄鉄道が開通
らに、外貿貨物の取扱量は8,236万トンで、上
している。膠州市からは煙台市へも鉄道で結
海港(10,571万トン)に次いで国内第2位の取
64
信金中金月報 2004.4
扱量を誇っている。連雲港のコンテナ取扱量
は土曜の9時∼11時が申告可能となっているが、
が100万TEU程度であり、コンテナの取扱量か
海上貨物の輸入および空港の通関は休日の取
らみて、青島港は中西部への玄関口としての
り扱いがない。
役割も果たしている。青島市の港湾局は、華
青島港では、松くい虫に関する検疫が非常
北の大きな港(青島、天津、大連)の中で北
に厳格に運用されており、商品検査局が材木の
米航路への直行便があるのは青島のみであり、
一部を切って持ち帰り研究所で検査している。
青島港を2003年の上海港取扱量を上回るぐら
また、中古設備の輸入が環境問題から非常
いまで持っていき、華北のハブ港にしたいと
に厳しくなっており、中国側で輸入できるか
考えているようである。
事前に調べておくことが大切である。船積み
また、青島港は旧市街地に旅客バースを残
前検査は、日本から出す前に中国の商品検査
し、貨物用バースを経済開発区がある黄島に
局の人を呼んで検査してもらうことになる。当
その機能を移しつつある。黄島区の前湾港を
該検査の費用は投資する会社の負担となるた
埋め立ててコンテナバースを拡張しており、す
め、中国で新品を購入した方が良いケースが
でに3期まで稼動している。青島市の港湾局は、
ある。中国製機械が故障した場合、メンテナ
今後5期まで埋め立てコンテナ取扱量を1,000万
ンスの対応が早いので、この点においても投
TEU規模まで上げる予定である。
資計画をよく吟味してみる必要がある。
日本への航路は6大港を含む10港(東京、横
浜、名古屋、大阪、神戸、博多、門司、下関、
中国人管理者が定着している信用
那覇、新潟)に直行便があり、釜山トラジッ
金庫取引先現地子会社
トで敦賀、直江津、苫小牧、青森、仙台への
便がある。所要時間は下関が36時間と一番早
今回は、信用金庫取引先現地法人2社を訪問
く、門司が2日、大阪・神戸が2∼4日、東京・
した。訪問した2社は進出後5年以上を経過し
横浜が4∼5日、名古屋が4∼5日ぐらいである。
ており、中国人管理者が定着していた。
通関事務の取り扱いは原則として月∼金の9
時∼17時となっており、海上貨物の輸出だけ
1.訪問先概要(図表12)
図表12
業 種
進出形態
設立
従業員
所在地
市内からの
所要時間
工場
A
社
電子部品製造
独資
(100%)
95年
820人
青島経済技術
開発区
車で
約90分
賃貸工場
B
社
金属加工品の製造
独資
(100%)
01年
50人
青島国際空港
工業区
車で
約30分
自社工場
(備考)進出形態のカッコ書きは信用金庫取引先の出資比率
調 査
65
日系企業にも影響がでており、2006年から
2.ヒアリング結果
(1)A社
基準が厳しくなる。はんだ等を使ってはな
らないと客から要求されるので、薬物など
イ.進出経緯
(イ)納入先から出てこないかと誘われ、1993
年から準備し1995年から稼動した。
は資料を出して承認をもらってやる。そう
いう客からの要求が厳しくなりコストは上
がるが、客はその分を見てくれない。
(ロ)最初から黄島区の開発区に出てきた。標
(ヘ)商品開発はこちらではしていない。金型
準貸工場を利用し、独資会社3社、合弁会社
はこちらで作っており、日本で作って持っ
2社を設立した。各階700m 2の5階建てであ
てくる金型は少なくなった。
る。
(ト)勤務時間は8時間3交代制で、中国の法律
にもとづき週休2日制3直4班で回転させてい
ロ.業況等
(イ)同社は主に家電(キーボードの部分、携
る。また、残業代をしたがらない。金型工
場は納期に間に合わせるため残業している
帯電話の充電器の置き台)のプラスチック
が、係長以上15名は残業代がつかない。
金型設計製作成形・加工を行っている。製
(チ)生産設備は当初中古機械を日本から持っ
品は、日本へ輸出50%、中国国内の外資系
てきたが、今は中国製を使っている。成形
企業30%、台湾ほか東南アジア20%である。
機とプレス機は関税12%と増値税17%を払
(ロ)現在の従業員は820人で、昨年は1,200人
えば持ってこられる。残存価値がない機械
であった。そのうち、正社員312名、残りが
の輸入でも商品検査局により中国国内と同
臨時工である。仕事次第で明日は1,000人に
じ価値とみなされ、税金をかけられる。物
なるかもしれない。職業学校から学生をグ
にもよるが、中国製の機械で十分間に合う。
ループで連れてきて安く使っている。南の
(リ)当社の製品は納期が短い。青島港から門
方は寮を作って押し込めるがここではその
司港に客船(週2便)で運び、門司から国内
必要はない。
陸送している。混載でやると50万円近く浮
(ハ)最低賃金は、昨年は380元で、今年は420
くが、20日間かかってしまうので、このや
元である。正社員も臨時工も同じである。新
り方でやっている。航空便に近い動きだが、
卒は、技術系大卒1,000元、文系大卒800元、
航空便は高いのでお客持ちとしている。
高卒中卒420元/月(最低賃金)である。
(ニ)青島市の福利費(雇用・健康保険・年金)
は、失業保険1%+健康保険年金24%+個人
負担10%=35%である。
(ホ)環境対応についてはヨーロッパの影響で
66
信金中金月報 2004.4
(2)B社
イ.進出経緯
(イ)大きな会社について来れば楽だが、そう
ではなくひとりで来た。情報も何もないと
ころからスタートしたので、いわば「エイ
ヤー」で来た。
(ロ)青島に決めたのは、日本に近いからで、
荷物は4日で東京・横浜に着く。
強い。今は班長をつけ教育させている。
(ハ)蒸気アイロンに使うホースを日本国内で
作っていたが、縫製工場とクリーニング店
がなくなってきたので中国でホースを売り
(ハ)青島は当社のような金属加工業には向か
始めた。韓国より3倍高くても売れた。代金
ない。鋼材、アルミ、ステンレスなどすべ
回収については、ほとんど回収している。掛
て調達できると思っていたが、探しまわっ
売りに関しては最初からわかっていたので
て蘇州まで調達に行っている。設備もこち
やっていない。
らで使えるものはなく、刃物、ドリル、チ
(ニ)会社は軌道に乗ってきたが、材料の調達
ップなど中国には全くなく、日本から持っ
ができない。いい材料は蘇州までトラック
てきた。
を仕立てて買いに行っている。
(ニ)1997年に開発区に進出し、2001年にここ
(ホ)進出の目的は、作ったものを日本に持っ
を買い新会社を立ち上げた。ここは空港ま
て行くのか、こちらで商売したいのかであ
で2kmと近い。しかし、冬は開発区から空
る。当社は後者で、材料の調達先が遠くて
港までの道路は凍結し普段の倍かかって時
も山東省でできる商売がある。販路の拡大
間が読めない。
は進出する日系企業を対象にしていく。日
系現地子会社に機械のパイプを納めている。
ロ.業況等
(イ)敷地は5,000坪、坪3,000円で買いとった。
パイプの両脇にホースをつけ、ホースの先
にバルブ、配管がつくものである。
現在、工場北側に寮を建てている。ワンル
(ヘ)社長は1カ月のうち10日間青島にいる。中
ーム居室45部屋と食堂ほか48室で建築費は
小企業が進出する時、任せる人がいないの
安いが、部屋の間仕切り壁(れんが)の幅
が問題である。当社の場合、大学院を卒業
など言ったとおりに職人がやらない。
した中国人候補者が3人いた。一番頭がきれ
(ロ)給与水準は専門学校卒の正社員で750元
そうな者は何をするかわからない不安があ
である。従業員は60人で、やめさせたり、雇
ったので別の人間を雇い総経理にした。1,000
ったりである。機械をあてがって指示して
万円あれば一生食べていけるので、契約す
も、遊びに行ったりして居なかったりする
る時、工場を建てる時など、一回では振込
従業員もいるので、解雇して20人増やせば、
みをしていない。
10人減るといった状況である。従業員は歩
(ト)契約書は、こちらではないも同然という
合給を求める。会社が良くなれば工業団地
考え方をとっている。作っても相手は契約
で1番の給与を払うと言っても理解されない。
書を捨ててしまう世界である。日本人は契
自分の給料にのみ関心があり、個人主義が
約書をたてにとれないが、中国人は弁護士
調 査
67
を使って片付ける。当社は法律事務所へ行
国人には緻密さがなく誤差に対する考え方
くようなトラブルはなかった。12月はマイ
が違う。専門学校に通っていると、精密の
ナス7∼8度になり、疲れる。
大切さがわかる。
(チ)ホースの要が5/100ミリ大きいか、小さ
(リ)2免3半減の優遇政策は、まだ享受してい
いかを問題にするのが我々の感覚だが、中
ない。今年ようやく単年度黒字計上となる。
青島市の主な開発区のデータ(参考資料)
青島経済技術開発区
(2003年2月現在)
青島保税区
青島高新技術産業開発区
青島輸出加工区
国家級・省級等区分
国家級
国家級
国家級
国家級
批准年月
1985年3月
1992年11月
1992年8月
2003年3月
空港
立
地 高速道路IC
条 鉄道
件
港
青島空港まで53km
青島空港まで53km
青島空港まで17km
青島空港まで19km
区内にあり
区内にあり
区内にあり
区内にあり
黄島駅まで2km
黄島駅まで6km
青島駅まで12km
城陽駅まで6km
青島港まで5km
青島港まで5km
青島港まで15km
青島港まで36km
105元
150∼360元
97∼296元
N.A.
8∼18元
12∼16元
応相談
10.5∼12.5元
土地使用権取得価格
2
(元/m /50年)
標準工場賃借料
2
(元/m /月)
費 電力料(元/KWH) 0.579∼0.595元
1.35元
用 工業水(元/屯)
N.A.
0.582∼0.688元
0.647元
N.A.
1.80元
2.5元
誘致奨励産業
物流、貿易
電 子 情 報 、バ イ オ 医
電子情報、精密機械、
薬、新材料
新 素 材 、フ ァ イ ン ケ
電 子 情 報 、バ イ オ 医
薬、新材料
ミカル
進出外資系企業数
1,235社
690社
824社
N.A.
主な進出日系企業
ミ ツ ミ 電 機 、松 下 電
松下電器、住商、三菱
三菱重工、ふそう、大
N.A.
子、日毛、三葉電機
商事、丸紅
日本インキ
電子関連業業種が多
海 路 、空 路 と も に 日
区内に中国を代表す
い。 区内に中国最大
本 へ の 直 行 便 あ り 、 る家電メーカー海爾、
の原油バースと石化
利便性高い。
その他特記事項
工業区がある。
海信の工業園とソフ
ト パ ー ク 、大 学 テ ク
ノパークがある。
(備考)国際協力銀行「中国の主要工業団地(環渤海経済圏)」、青島市城陽区ホームページより
68
信金中金月報 2004.4
N.A.
信金中央金庫総合研究所活動状況(2月)
1.レポート等の発行
発行日
04.1.7
レポート分類
信用金庫預貸金予測
通巻
タ
イ
ト
ル
15-11 緩やかな回復傾向で推移する信用金庫の預貸金
04.2.2
04.2.12
04.2.13
04.2.23
内外金利・為替見通し
アジア業務相談室情報
貿易投資相談ニュース
経済見通し
15-11
15-6
106
15-4
執筆者
角田匠、
成瀬智
斎藤大紀
篠崎幸弘
―
角田匠
―
中国環渤海地域の投資環境―大連市の現況―
―
実質成長率は2003年度2.8%、04年度2.1%と予測
2.講座・講演・放送等の実施
実施日
04.2.4
04.2.9
種類
タ イ ト ル
放送 シリコンバレーは今
講演 中小企業の経営改善支援
講座・講演会・番組名称 場所・放送局
ラジオ深夜便
NHKラジオ
講 師 等
青木武
東京営業第1部管内信用金庫 信金中央金庫
第2回経営改善支援担当者 八重洲別館
情報連絡会
藤津勝一
04.2.13
講演
創業支援の現状
鉢嶺実
04.2.14
講演
創業支援の現状
04.2.17
講演
産業再生機構を活用した再生手法等
下関信用金庫創業支援
研究会
吉南信用金庫リレバン
勉強会
企業再生に係る説明会
04.2.18
04.2.18
放送
講演
BSE問題の米国経済への影響
新年度の経済展望
ラジオ深夜便
豊田経営研究会
04.2.18
講演
リレーションシップバンキングの機 横浜信用金庫講演会
能強化に向けて―収益力確保策のひ
とつとして『伸びる産業』に注目を―
04.2.18
講演
地域貢献のあり方
04.2.19
講演
04.2.19
講演
04.2.19
講演
04.2.21
講演
04.2.23
講演
04.2.24
講演
八戸信用金庫研修会
下関信用金庫
本部
山口県セミナー
パーク
三島信用金庫
本店
NHKラジオ
ホテル豊田
キャッスル
横浜信用金庫
本店
八戸信用金庫
本部
新年度の経済展望
墨田区・江東区
東京東信用金庫
しんきん協議会
本店
観光業等における活性化と企業支援 中小企業経営支援の
諏訪信用金庫
研修会
本部
事業再生のための金融スキーム
長岡信用金庫研修会
長岡信用金庫
DIPファイナンス・DIS・DDS
本店
信用金庫取引先の海外進出に対する 仙南信用金庫研修会
仙南信用金庫
支援業務
本店
伊豆信用金庫
中小企業経営改善支援(工務店事例) 伊豆信用金庫取引先
(工務店)向けセミナー 本店
中小企業の経営への示唆
信金ニューリーダーズ 大川信用金庫
クラブ講演会
本店
鉢嶺実
長山宗広
青木武
斎藤大紀
澤山弘
服部秀樹
斎藤大紀
長山宗広
間下聡
篠崎幸弘
長山宗広
藤津勝一
3.原稿掲載
発行日
04.2.10
タ
イ
ト
ル
ズームアップ・アジア「タイのFTA戦略―貿
易自由化に消極的な日本はアジアの中でも取
り残される!―」
掲 載 誌
信用金庫2月号
発
行
全国信用金庫協会
信金中金だより
執筆者
黒岩達也
69
1.信用金庫統計
(1)信用金庫の主要勘定概況…………71
(2)信用金庫の店舗数、合併等………73
(3)信用金庫の預金種類別預金、地区別預金 ……74
(4)信用金庫の預金者別預金…………75
(5)信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金 ……76
(6)信用金庫の貸出先別貸出金………77
(7)信用金庫の余裕資金運用状況……78
2.金融機関業態別統計
(1)業態別預貯金等……………………79
(2)業態別貸出金………………………80
統計資料の照会先:信金中央金庫 総合研究所
Tel 03-3563-7541 Fax 03-3563-7551
(凡 例)
1.金額は、単位未満切捨てとした。
2.比率は、原則として小数点以下第1位までとし第2位以下切捨てとした。
3.記号・符号表示は次のとおり。
〔 0 〕ゼロまたは単位未満の計数 〔―〕該当計数なし 〔△〕減少または負
〔…〕不詳または算出不能 〔*〕1,000%以上の増加率
〔p〕速報数字
〔r〕訂正数字 〔b〕b印までの数字と次期以降との数字は不連続
4.地区別統計における地区のうち、関東には山梨、長野、新潟を含む。東海は静岡、愛知、岐阜、三重の4
県、九州北部は福岡、佐賀、長崎の3県、南九州は熊本、大分、宮崎、鹿児島の4県である。
※先月号まで掲載していた金融機関業態別統計の業態別預金者別預金(月中平残)および業態別貸出先別貸出金については、
出所である日本銀行において2004年1月以降、データの更新が中止されたことから、本誌においても今月号以降の掲載を中
止いたします。
1.
(1)信用金庫の主要勘定概況(2004年1月末)
○預 金
1月の全国信用金庫の預金は、月中1兆2,150億円、1.1%減と、前年同月(1兆7,014億円、1.6%減)と同様に減
少した。
① 要求払預金は、年金振込金やボーナス預金の流出、営業資金および決済資金のための流出等から、月中1兆
1,621億円、3.4%減と、前年同月(1兆6,458億円、5.1%減)と同様に減少した。
② 定期性預金は、定期積金の掛込みがみられたものの、営業資金および決済資金のための流出等から、月中
513億円、0.0%減と、前年同月(626億円、0.0%減)と同様わずかながら減少した。
③ 外貨預金等は、月中15億円、0.3%減少した。
なお、2004年1月末の預金の前年同月比増減率は、2.4%増となった。
○貸出金
貸出金は、月中5,375億円、0.8%減と、前年同月(8,980億円、1.4%減)と同様に減少した。
① 割引手形は、売上低下等による受取・持込手形の減少や、期日落込みの増加等から、月中705億円、2.7%
減と、前年同月(3,012億円、10.7%減)と同様に減少した。
② 貸付金は、住宅ローンの実行がみられたものの、季節的要因による資金需要の減退等から、月中4,670億円、
0.7%減と、前年同月(5,968億円、0.9%減)と同様に減少した。
なお、2004年1月末の貸出金の前年同月比増減率は、0.2%減となった。
○余資運用資産
余資運用資産は、月中7,010億円、1.4%減と、前年同月(8,230億円、1.7%減)と同様に減少した。
主な内訳をみると、預け金は、信金中金預け金の減少等から、月中3,611億円、1.8%減となった。
金融機関貸付等は、コールローンの増加等から、月中161億円、27.7%増となった。
有価証券は、社債(370億円減)
、投資信託(263億円減)
、外国証券(226億円減)等が減少したものの、国債
(672億円増)や地方債(313億円増)が増加したため、月中87億円、0.0%増となった。
統 計
71
信用金庫の主要勘定増減状況(2004年1月末)
(単位:百万円、%)
前 月 比 増 減
区
分
現
金
(小 切 手 ・ 手 形)
預
け
金
(信 金 中 金 預 け 金)
(譲 渡 性 預 け 金)
金 融 機 関 貸 付 等
金 融 機 関 貸 付 金
買
入
手
形
資
コ ー ル ロ ー ン
買 現 先 勘 定
債券貸借取引支払保証金
買 入 金 銭 債 権
金 銭 の 信 託
産 商 品 有 価 証 券
有
価
証
券
国
債
地
方
債
短
期
社
債
社
債
項
株
式
貸
付
信
託
投
資
信
託
外
国
証
券
そ の 他 の 証 券
貸 付 有 価 証 券
目
小
計 貸
出
金
(月
中
平
残)
割
引
手
形
貸
付
金
手
形
貸
付
証
書
貸
付
当
座
貸
越
預 金 ・ 積 金
(月
中
平
残)
要 求 払 預 金
当
座
預
金
負
普
通
預
金
貯
蓄
預
金
通
知
預
金
債
別
段
預
金
納 税 準 備 預 金
定 期 性 預 金
項
定
期
預
金
定
期
積
金
外 貨 預 金 等
目
実
質
預
金
譲 渡 性 預 金
借
用
金
預
貸
率
高
員
勘
定
増 減 額
1,556,650
△
(△
258,739 )
19,636,631
△
(△
18,615,700 )
(△
55,004 )
74,465
0
0
59,760
5,999
△
8,704
422,931
△
326,228
△
19,724
△
26,764,790
6,946,372
2,655,097
0
11,245,095
△
456,546
△
398
△
584,268
△
4,815,381
△
61,629
△
0
48,801,421
△
62,763,791
△
(
62,570,717 )
2,538,836
△
60,224,955
△
7,831,062
△
49,264,752
△
3,129,139
△
105,594,948
△
(
105,542,885 )
32,445,272
△
2,414,362
△
28,048,940
△
1,324,137
178,971
△
441,964
△
36,893
△
72,735,953
△
65,312,459
△
7,423,493
413,722
△
105,336,208
△
96,588
497,496
△
59.3
(
(
(
(
(
会
会
員
勘
定
普 通 出 資 金
優 先 出 資 金
優 先 出 資 払 込 金
資 本 準 備 金
そ の 他 資 本 剰 余 金
利 益 準 備 金
特 別 積 立 金
前 期 繰 越 金
未 処 分 剰 余 金
土 地 再 評 価 差 額 金
株 式 等 評 価 差 額 金
処 分 未 済 持 分
自己優先出資払込金
自 己 優 先 出 資
残
△
5,526,980
564,411
17,590
0
13,662
1
359,720
4,263,608
99,725
1,969
206,811
0
520
0
0
△
△
増 減 率
327,576
△
(△
33,258 )
361,193
△
(△
312,864 )
(△
5,500 )
16,191
0
0
14,795
1,000
△
2,395
32,570
△
3,523
△
1,155
△
8,781
67,290
31,308
0
37,092
△
2,225
△
22
△
26,367
△
22,688
△
1,424
△
0
701,047
△
537,589
△
(
66,288 )
70,553
△
467,036
△
175,610
△
243,076
△
48,350
△
1,215,070
△
(
105,209 )
1,162,131
△
251,982
△
602,371
△
2,667
52,241
△
255,830
△
2,375
△
51,378
△
147,125
△
95,746
1,561
△
1,181,813
△
19,920
22,908
△
620
949
0
0
0
0
0
0
0
349
16
0
36
0
0
△
△
0.0
0.1
0.0
―
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
15.0
0.0
0.0
―
―
―
信金中金月報 2004.4
△
△
△
△
△
1.3
4.8
681.7
―
172.6
―
0.4
2.8
1.9
―
2.1
100.0
―
―
―
年
月中増減額
17.3
5.1
△
(
(△
11.3 )
59.2 )
1.8
1.9
△
(
(△
1.6 )
2.2 )
( △ 41.3 )
(△
9.0 )
27.7
△ 49.2
─
─
─
─
32.9
△ 57.8
14.2
20.1
37.9
─
7.1
△ 16.3
△
1.0
△
0.7
5.5
18.0
0.0
9.2
0.9
25.5
1.1
7.5
△
─
─
0.3
3.4
0.4
△ 12.9
△
5.2
△ 85.1
△
4.3
△ 19.7
△
0.4
11.5
△
2.2
1.0
△
─
△ 100.0
1.4
5.5
△
0.8
△
0.2
△
(△
(
0.1 )
0.7 )
2.7
1.0
△
0.7
△
0.2
△
2.1
△
7.7
△
0.4
1.3
△
1.5
△
5.9
△
1.1
2.4
△
(
(
0.0 )
2.1 )
3.4
6.7
△
9.4
20.0
△
2.1
7.0
△
0.2
△
2.4
22.5
9.8
△
36.6
△ 31.1
△
6.0
6.3
△
0.0
0.7
△
0.2
1.4
△
1.3
△
4.5
0.3
△ 14.6
1.1
2.3
△
25.9
225.6
△
4.4
57.1
(備考)預貸率=貸出金/預金・積金×100(預金には譲渡性預金を含む。)
72
前年同月比
増 減 率
前
△
△
△
△
△
同
513,778
△
(△
239,066 )
699,244
△
(△
523,417 )
(△
16,500 )
16,639
0
0
11,644
4,994
─
15,439
△
6,285
227
382,247
322,426
26,622
△
─
128,508
932
△
4
△
23,236
△
15,481
△
2,411
△
0
823,063
△
898,086
△
(
38,987 )
301,283
△
596,803
△
209,198
△
383,259
△
4,346
△
1,701,413
△
(
94,757 )
1,645,829
△
612,999
△
895,803
△
2,621
84,359
△
52,173
△
3,114
△
62,617
△
172,260
△
109,643
7,033
1,462,348
△
2,530
△
11,010
1,476
2,063
0
0
0
―
386
753
155
68
3
604
11
―
0
月
前年同月比
増 減 率
25.7
△
0.3
(
59.5 )
1.6 )
3.5
0.0
(△
2.7 )
0.3 )
(△
14.9 )
9.7 )
12.7
25.8
─
─
─
─
8.9
27.0
─
△
0.1
─
─
2.9
20.9
1.9
△ 32.0
1.3
△ 26.7
1.5
1.3
6.1
4.1
1.0
△
0.1
─
─
1.1
5.7
0.1
△
5.6
0.1
△ 14.0
3.0
△ 39.6
0.3
0.5
3.8
25.8
0.0
△ 98.1
1.7
0.5
1.4
△
2.4
(△
0.0 )
2.4 )
10.7
△
9.0
0.9
△
2.1
2.4
△
8.6
0.7
△
0.7
0.1
△
4.4
1.6
△
1.1
(△
0.0 )
1.2 )
5.1
26.5
23.3
3.9
3.3
33.8
0.1
△ 13.4
34.1
△ 30.1
7.5
△
5.7
8.2
△
3.2
0.0
△
9.3
0.2
△
9.6
1.4
△
5.9
1.4
△ 21.1
1.4
△
1.1
7.8
123.0
3.6
6.6
月中増減率
△
△
△
△
0.0
0.3
0.0
―
0.0
―
0.1
0.0
0.1
―
0.0
―
―
―
―
△
△
△
△
△
△
△
3.1
0.0
―
―
*
―
1.9
3.1
13.2
248.5
8.6
―
―
―
―
1.
(2)信用金庫の店舗数、合併等
信用金庫の店舗数、会員数、常勤役職員数
店
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2
本 店
支 店
(信用金庫数)
386
8,004
371
7,842
349
7,781
343
7,760
340
7,736
330
7,707
327
7,683
326
7,673
326
7,670
326
7,662
326
7,655
321
7,648
321
7,633
321
7,595
315
7,529
314
7,514
314
7,513
309
7,508
p
307
舗
(単位:店、人)
数
常
出張所
合 計
248
267
270
269
265
267
263
264
258
258
258
255
250
258
262
265
266
267
8,638
8,480
8,400
8,372
8,341
8,304
8,273
8,263
8,254
8,246
8,239
8,224
8,204
8,174
8,106
8,093
8,093
8,084
8,078
会 員 数
常勤役員
8,876,360
8,941,138
8,981,084
8,933,646
8,946,274
8,982,770
8,999,920
9,001,391
9,012,732
9,024,328
9,032,713
9,039,955
9,048,504
9,058,720
9,067,020
9,073,614
9,083,334
9,086,064
9,093,543
2,900
2,804
2,734
2,664
2,651
2,606
2,583
2,556
2,553
2,547
2,507
2,495
2,493
2,487
2,462
2,458
2,454
2,425
勤
男 子
98,124
94,112
91,451
91,712
90,665
89,712
89,014
87,922
89,124
88,799
88,196
87,840
87,502
87,065
86,761
86,522
86,194
85,865
役
職
職
員
女 子
43,781
41,004
38,851
40,844
39,599
38,706
38,193
37,086
39,164
38,996
38,559
38,151
37,858
37,429
37,204
37,095
36,622
36,380
員
数
計
141,905
135,116
130,302
132,556
130,264
128,418
127,207
125,008
128,288
127,795
126,755
125,991
125,360
124,494
123,965
123,617
122,816
122,245
合
計
144,805
137,920
133,036
135,220
132,915
131,024
129,790
127,564
130,841
130,342
129,262
128,486
127,853
126,981
126,427
126,075
125,270
124,670
124,145
信用金庫の合併等
年 月 日
2002年 7 月15日
2002年 7 月15日
2002年 7 月15日
2002年 7 月15日
2002年 7 月22日
2002年 8 月 5 日
2002年 8 月 5 日
2002年 8 月12日
2002年 9 月17日
2002年 9 月17日
2002年 9 月17日
2002年 9 月24日
2002年10月14日
2002年10月15日
2002年10月15日
2002年11月 5 日
2002年11月18日
2002年11月18日
2002年11月18日
2002年12月16日
2003年 1 月 1 日
2003年 1 月 6 日
2003年 1 月14日
2003年 3 月10日
2003年 3 月24日
2003年 3 月24日
2003年 7 月 7 日
2003年 7 月 7 日
2003年 7 月22日
2003年 7 月22日
2003年10月20日
2003年10月20日
2003年10月20日
2003年11月 4 日
2004年 1 月13日
2004年 1 月19日
2004年 1 月19日
2004年 2 月 9 日
2004年 2 月 9 日
2004年 2 月16日
甲府商工
たちばな
筑後
興産
秋田
長野
上田
平塚
西武
東京東
昭和
石岡*
豊川
東都中央
伊豆
京都北都
群馬中央
銚子
徳島
足立
札幌
水戸
かもめ
摂津
金沢
能登
芝
一宮
東京東
赤穂
秋田
富山
福岡ひびき
能登
王子
直江津
北伊勢
高松
鹿児島相互
興能
異
動
大月
(島原信組)
(両筑信組)
(第三信組)
(秋田中央信組)
(上田商工信組)
(上田商工信組)
(厚木信組)
平成
(永代信組)
(永代信組)
(岡崎市民信組)
東京産業
下田
福知山
大栄
旭
鳴門
成和
石狩中央
土浦
福鞆
水都
(石川銀行)
(石川銀行)
東調布
愛北
小岩
伊那
五城目
射水
新北九州
共栄
太陽
高田
上野
さぬき
川内
(高浜信組)
東舞鶴
金
庫
名
舞鶴
綾部
門司
築上
直方
荒川
日興
津島
新金庫名
山梨
たちばな
筑後
興産
秋田
長野
上田
平塚
西武
東京東
昭和
水戸
豊川
さわやか
伊豆
京都北都
ぐんま
銚子
徳島
足立成和
札幌
水戸
しまなみ
摂津水都
金沢
能登
芝
いちい
東京東
アルプス中央
秋田
富山
福岡ひびき
のと共栄
城北
上越
北伊勢上野
高松
鹿児島相互
興能
金庫数
342
342
342
342
342
342
342
342
341
341
341
340
340
339
338
334
333
332
331
330
329
328
327
326
326
326
325
323
322
321
320
319
315
314
311
310
309
308
307
307
異動の種類
合併
事業譲受
事業譲受
事業譲受
事業譲受
事業譲受
事業譲受
事業譲受
合併
事業譲受
事業譲受
事業譲渡解散
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
事業譲受
事業譲受
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
(備考)1.*印は預金保険法にもとづく破綻信用金庫である。
2.信用組合等からの事業譲受日は、金融庁公表資料による。
統 計
73
1.
(3)信用金庫の預金種類別預金、地区別預金
預金種類別預金
預金計
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2 p
1,020,320
1,038,043
1,028,198
1,035,283
1,031,142
1,047,505
1,035,076
1,035,536
1,044,809
1,044,410
1,054,744
1,050,575
1,056,653
1,053,808
1,050,779
1,055,159
1,068,100
1,055,949
1,061,010
(単位:億円、%)
前年同月比
増 減 率
1.4
1.7
△ 0.9
△ 2.1
△ 2.1
△ 1.2
△ 0.4
0.7
1.3
1.9
1.8
2.2
2.3
2.1
2.2
2.3
1.9
2.4
2.5
要求払
214,497
230,205
297,903
313,936
308,290
320,432
310,616
312,842
322,051
319,924
325,170
317,343
323,633
322,502
322,398
327,046
336,074
324,452
331,166
前年同月比
増 減 率
4.1
7.3
29.4
31.9
30.3
27.1
23.6
5.0
4.0
4.6
3.5
4.4
4.7
4.6
5.0
5.4
4.8
6.7
6.6
定期性
797,284
801,008
723,681
716,726
717,273
722,295
719,896
716,192
718,100
719,717
724,946
728,742
728,684
726,178
723,891
723,409
727,873
727,359
725,787
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
0.8
8,539 △ 9.2
0.4
6,829 △ 20.0
△ 9.6
6,613 △ 3.1
△ 11.9
4,620 △ 14.1
△ 11.6
5,579
3.0
△ 10.0
4,776 △ 10.0
△ 8.0
4,563 △ 27.2
△ 1.0
6,500 △ 1.7
0.3
4,656 △ 12.9
0.8
4,768 △ 8.6
1.1
4,627
0.1
1.2
4,489 △ 0.9
1.4
4,334 △ 8.6
1.2
5,127 △ 8.1
1.2
4,489 △ 13.4
1.1
4,703 △ 11.4
0.7
4,152 △ 13.0
0.7
4,137 △ 14.6
0.8
4,056 △ 11.1
実質預金
1,016,862
1,033,760
1,024,192
1,032,619
1,028,558
1,043,490
1,033,425
1,032,788
1,043,194
1,041,788
1,053,240
1,049,149
1,054,039
1,051,883
1,049,323
1,052,500
1,065,180
1,053,362
1,058,358
前年同月比
増 減 率
1.4
1.6
△ 0.9
△ 2.0
△ 2.0
△ 1.2
△ 0.4
0.8
1.4
1.8
1.9
2.2
2.3
2.2
2.2
2.3
2.0
2.3
2.4
譲渡性預金
122
105
114
225
302
321
325
244
383
507
650
647
891
915
1,005
1,084
766
965
855
前年同月比
増 減 率
△ 36.7
△ 13.3
7.9
71.5
73.3
129.4
136.8
113.7
124.1
120.9
189.0
149.9
250.1
202.8
177.5
230.4
138.1
225.6
162.7
(備考)1.預金計には譲渡性預金を含まない。
2.実質預金は預金計から小切手・手形を差引いたもの。
地区別預金
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2 p
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2 p
(単位:億円、%)
北海道
51,708
53,392
54,596
55,636
55,300
56,826
55,020
55,302
56,105
55,723
56,473
55,801
56,148
55,749
55,624
56,645
57,719
55,985
56,167
近 畿
206,301
207,950
201,814
201,714
201,308
203,462
201,019
201,600
202,506
202,952
204,930
204,352
205,269
205,386
204,412
205,232
207,067
205,239
206,117
前年同月比
増 減 率
2.5
3.2
2.2
0.7
0.5
0.4
0.9
1.2
1.4
2.1
1.5
1.6
2.0
0.8
1.6
1.9
1.5
2.3
2.0
前年同月比
増 減 率
0.7
0.7
△ 2.9
△ 4.2
△ 4.3
△ 3.3
△ 2.2
△ 0.1
0.3
0.8
1.5
2.0
2.1
2.0
2.0
2.2
1.7
2.3
2.5
東 北
38,831
39,684
39,036
39,953
39,703
40,360
39,863
39,462
40,151
39,950
40,347
40,118
40,336
40,145
40,170
40,281
40,851
40,355
40,619
中 国
49,526
49,578
49,651
50,042
49,920
50,632
49,949
50,175
50,383
50,363
51,036
50,717
51,017
50,844
50,300
50,480
51,138
50,337
50,618
前年同月比
増 減 率
1.7
2.1
△ 1.6
△ 1.5
△ 1.5
△ 0.5
0.1
1.0
1.4
1.9
0.9
1.0
1.2
1.1
1.2
1.3
1.2
1.7
1.8
前年同月比
増 減 率
0.8
0.1
0.1
△ 1.8
△ 1.1
△ 0.7
△ 0.4
1.0
1.4
2.1
1.9
2.1
2.3
1.8
1.5
1.6
0.9
1.1
1.3
東 京
192,017
194,416
190,125
192,124
191,804
194,208
192,561
193,270
194,493
195,195
196,425
195,738
197,315
196,553
196,386
197,385
199,155
197,620
198,294
四 国
17,198
17,773
18,064
18,137
18,119
18,341
18,193
18,206
18,313
18,320
18,483
18,468
18,540
18,491
18,438
18,494
18,769
18,634
18,730
前年同月比
増 減 率
0.3
1.2
△ 2.2
△ 3.4
△ 3.0
△ 1.8
△ 0.6
0.8
1.8
2.7
2.2
2.7
3.2
2.4
2.7
2.8
2.5
3.1
2.9
前年同月比
増 減 率
2.0
3.3
1.6
△ 0.8
△ 0.5
△ 0.4
0.5
0.7
1.6
2.0
1.9
2.4
2.5
2.0
2.2
2.2
2.3
2.8
2.9
関 東
197,800
199,809
198,309
199,562
197,699
201,075
198,756
197,820
199,922
199,633
201,691
200,888
202,145
201,450
201,355
201,837
204,715
202,305
203,450
九州北部
17,411
17,940
17,916
18,191
18,085
18,439
18,171
17,984
18,414
18,389
18,597
18,454
18,612
18,452
18,455
18,486
18,766
18,558
18,645
前年同月比
増 減 率
0.9
1.0
△ 0.7
△ 1.3
△ 1.9
△ 0.9
△ 0.6
0.4
0.9
1.3
2.3
1.4
1.3
1.8
2.0
2.0
1.8
2.2
2.3
前年同月比
増 減 率
2.5
3.0
△ 0.1
△ 1.7
△ 1.4
△ 0.6
0.2
0.3
1.7
2.4
2.2
2.1
2.4
2.0
2.3
2.2
1.7
2.8
2.6
(備考)1.沖縄地区は全国に含めた。
2.東京・関東地区の2002年6月以降の増減率は、地区間の事業譲渡を調整して算出
74
信金中金月報 2004.4
北 陸
30,732
31,560
31,829
32,404
32,016
32,600
32,106
32,313
32,587
32,673
32,818
32,769
32,994
32,778
32,774
32,796
33,108
32,812
32,992
南九州
24,139
24,392
23,556
23,807
23,793
24,424
23,658
23,746
24,023
24,041
24,269
24,141
24,274
24,306
24,119
24,230
24,855
24,312
24,226
前年同月比
増 減 率
1.6
2.6
0.8
0.4
△ 0.1
0.4
△ 0.2
1.5
1.5
2.5
1.2
1.7
1.8
2.3
2.4
2.1
1.5
2.6
2.7
前年同月比
増 減 率
1.2
1.0
△ 3.4
△ 4.8
△ 3.3
△ 1.9
△ 1.0
0.8
1.5
2.3
1.9
1.7
1.8
2.1
1.9
1.9
1.7
2.5
2.4
東 海
193,122
200,034
201,901
202,346
201,980
205,777
204,427
204,281
206,551
205,823
208,291
207,712
208,601
208,248
207,358
207,916
210,580
208,431
209,789
全国計
1,020,320
1,038,043
1,028,198
1,035,283
1,031,142
1,047,505
1,035,076
1,035,536
1,044,809
1,044,410
1,054,744
1,050,575
1,056,653
1,053,808
1,050,779
1,055,159
1,068,100
1,055,949
1,061,010
前年同月比
増 減 率
3.4
3.5
0.9
△ 0.3
△ 0.5
0.2
1.0
1.1
2.3
2.6
2.9
3.1
3.2
3.1
2.7
2.9
2.3
2.5
2.6
前年同月比
増 減 率
1.4
1.7
△ 0.9
△ 2.1
△ 2.1
△ 1.2
△ 0.4
0.7
1.3
1.9
1.8
2.2
2.3
2.1
2.2
2.3
1.9
2.4
2.5
1.
(4)信用金庫の預金者別預金
(単位:億円、%)
預金計
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
1,019,963
1,037,617
1,027,696
1,035,281
1,031,041
1,047,491
1,030,489
1,035,075
r 1,035,334
1,044,807
1,044,408
1,054,739
1,050,573
1,056,651
1,053,806
1,050,777
1,055,157
1,068,098
1,055,947
個人預金
前年同月比
増 減 率
1.4
1.7
△ 0.9
△ 2.1
△ 2.1
△ 1.2
△ 1.1
△ 0.4
0.7
1.3
1.9
1.8
2.2
2.3
2.2
2.2
2.3
1.9
2.4
一般法人預金
r 201,155
r 200,268
182,602
179,737
177,263
182,904
171,212
170,581
r 173,622
177,167
179,129
174,582
172,593
176,231
176,942
173,553
179,661
183,661
177,071
要求払
3,433
3,569
12,046
14,833
14,413
12,262
12,930
13,046
11,804
13,004
12,681
14,234
13,611
11,572
11,960
11,363
11,290
9,971
9,673
前年同月比
増 減 率
△ 1.0
△ 0.4
△ 8.8
△ 10.8
△ 11.6
△ 7.4
△ 7.7
△ 6.4
△ 4.9
△ 1.9
1.7
△ 2.8
△ 0.4
△ 0.1
△ 0.1
△ 0.0
0.2
0.4
3.4
前年同月比
増 減 率
10.7
3.9
237.4
444.6
445.2
361.3
290.3
222.7
△ 2.0
△ 14.2
△ 24.1
△ 4.0
△ 12.5
△ 20.3
△ 17.0
△ 15.3
△ 15.7
△ 18.6
△ 25.1
r 768,266
r 792,296
802,012
809,100
806,218
821,867
817,291
822,478
820,195
825,985
823,407
832,512
831,375
837,644
833,099
836,650
835,115
846,003
842,122
要求払
62,619
69,649
85,538
86,645
85,695
92,675
81,123
80,922
r 84,315
87,519
89,595
85,598
83,788
87,649
88,331
85,307
91,736
96,030
89,515
定期性
20,770
20,719
10,738
14,863
13,848
13,047
12,676
11,980
10,366
11,322
13,049
15,932
16,121
15,611
13,747
13,323
13,145
12,817
12,672
前年同月比
増 減 率
2.0
3.1
1.2
0.6
0.1
0.6
0.9
1.5
2.2
2.7
3.0
2.8
3.1
3.4
3.3
3.3
3.3
2.9
3.0
要求払
前年同月比
増 減 率
△ 0.2
11.2
22.8
26.5
23.4
27.2
30.0
29.5
△ 1.4
2.3
9.0
△ 1.2
3.4
3.4
3.0
3.3
3.4
3.6
10.3
定期性
141,879
153,271
195,149
208,748
202,900
211,302
206,585
212,411
211,169
217,273
214,709
221,079
216,059
221,570
217,690
222,508
220,874
226,794
222,961
138,202
130,298
96,760
92,702
91,211
89,865
89,712
89,292
88,922
89,281
89,157
88,622
88,441
88,208
88,215
87,859
87,551
87,249
87,182
前年同月比
増 減 率
6.2
8.0
27.3
27.3
25.8
22.3
20.7
17.8
8.2
6.5
7.2
5.9
6.7
7.4
7.2
7.3
7.7
7.3
7.9
定期性
626,134
638,772
606,630
600,112
603,054
610,303
610,434
609,789
608,742
608,428
608,383
611,104
614,967
615,716
614,990
613,669
613,754
618,654
618,597
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
1.1
238
119.2
2.0
240
0.5
△ 5.0
220
△ 8.3
△ 6.2
228
8.8
△ 6.2
252
9.0
△ 5.1
250
16.2
△ 4.3
259
14.4
△ 3.1
266
18.3
0.3
273
24.1
1.4
272
24.1
1.6
303
34.7
1.8
318
39.5
1.9
337
33.7
2.0
346
34.6
1.9
407
61.7
1.9
462
87.3
1.7
476
93.9
1.3
544
117.4
1.3
552
112.9
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
△ 1.4
323
8.9
△ 5.7
309
△ 4.1
△ 25.7
293
△ 5.0
△ 30.2
380
44.5
△ 30.2
347
△ 6.8
△ 27.8
354
9.0
△ 26.9
367
△ 8.9
△ 25.2
358
△ 6.5
△ 8.1
376
28.2
△ 5.8
358
19.6
△ 4.7
367
10.4
△ 4.4
353
△ 7.1
△ 3.8
354
0.5
△ 3.5
364
2.3
△ 3.2
386
11.3
△ 3.1
377
8.2
△ 2.9
365
4.2
△ 2.9
373
5.2
△ 2.8
365
△ 0.5
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
10.3
456
27.2
△ 0.2
611
33.9
△ 48.1
200
△ 67.1
△ 50.5
105
△ 71.9
△ 47.6
38
△ 87.4
△ 47.0
37
△ 70.7
△ 48.3
33
△ 80.4
△ 47.2
35
△ 84.0
△ 3.4
118
△ 41.2
4.5
2
△ 91.3
2.9
77
27.1
7.1
208
98.3
5.8
15
△ 73.1
4.4
36
△ 67.8
△ 0.7
51
35.2
0.9
16
105.5
0.5
201
342.4
△ 1.7
57
54.1
△ 0.0
12
△ 63.9
金融機関預金
25,857
20,141
20,084
16,631
19,248
17,361
16,334
16,942
19,217
17,316
16,054
17,259
16,845
15,546
17,995
15,861
15,733
15,577
14,386
公金預金
r 24,663
r 24,903
22,990
29,805
28,304
25,350
25,644
25,065
22,292
24,331
25,812
30,379
29,752
27,223
25,763
24,706
24,640
22,850
22,361
政府関係
前年同月比 預 り 金
増 減 率
△ 4.8
14
△ 22.1
2
△ 0.2
2
△ 11.8
1
3.8
2
△ 7.9
1
△ 13.0
1
△ 17.6
1
△ 4.3
1
△ 12.7
1
△ 20.3
1
3.7
1
△ 5.3
1
△ 4.6
0
△ 6.5
1
△ 7.8
1
△ 5.4
1
△ 10.2
0
△ 11.9
0
前年同月比
増 減 率
10.6
0.9
△ 7.6
△ 10.1
△ 3.6
△ 7.5
△ 8.4
△ 7.0
△ 3.0
△ 6.5
△ 12.4
1.9
△ 3.5
△ 8.0
△ 8.9
△ 7.2
△ 7.1
△ 9.8
△ 12.8
譲渡性預金
122
105
114
225
302
321
296
325
244
383
507
650
647
891
915
1,005
1,084
766
965
(備考)日本銀行『預金現金貸出金調査表』より作成。このため、
『日計表』による(3)預金種類別預金、地区別預金の預金計とは一
致しない。
統 計
75
1.
(5)信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金
科目別貸出金
(単位:億円、%)
貸出金計
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2 p
687,159
661,879
639,805
627,349
629,551
638,093
627,658
626,342
620,951
621,691
619,691
621,145
624,062
625,431
623,438
626,852
633,013
627,637
626,366
割引手形
前年同月比
増 減 率
△ 3.4
△ 3.6
△ 3.3
△ 3.6
△ 3.6
△ 2.6
△ 2.1
△ 2.1
△ 1.3
△ 0.6
△ 1.2
△ 0.6
△ 0.6
△ 0.6
△ 0.5
△ 0.5
△ 0.7
△ 0.2
△ 0.2
31,785
33,932
28,762
27,376
24,168
28,125
24,382
24,051
23,207
25,495
23,054
22,745
24,578
22,238
22,256
24,592
26,093
25,388
24,828
貸付金
前年同月比
増 減 率
△ 4.9
6.7
△ 15.2
△ 14.8
△ 20.8
△ 9.9
△ 8.5
△ 16.3
△ 7.1
1.5
△ 15.7
△ 8.1
△ 8.3
△ 7.9
△ 7.7
△ 7.7
△ 7.2
1.0
1.8
655,373
627,946
611,043
599,973
605,383
609,968
603,275
602,291
597,743
596,196
596,636
598,400
599,483
603,192
601,182
602,259
606,919
602,249
601,538
前年同月比
増 減 率
△ 3.4
△ 4.1
△ 2.6
△ 3.0
△ 2.7
△ 2.2
△ 1.8
△ 1.4
△ 1.0
△ 0.7
△ 0.5
△ 0.3
△ 0.3
△ 0.3
△ 0.2
△ 0.2
△ 0.4
△ 0.2
△ 0.2
手形貸付
107,804
97,975
90,943
83,823
86,444
86,970
85,079
84,739
81,140
78,408
78,219
78,489
78,595
79,940
79,025
78,708
80,066
78,310
78,116
前年同月比
増 減 率
△ 8.7
△ 9.1
△ 7.1
△ 8.6
△ 8.2
△ 8.4
△ 8.0
△ 6.8
△ 7.3
△ 6.9
△ 6.6
△ 7.0
△ 7.3
△ 7.5
△ 7.3
△ 7.5
△ 7.9
△ 7.7
△ 8.1
証書貸付
509,049
493,986
485,532
483,103
484,104
489,691
484,954
484,045
484,106
485,679
486,415
487,873
489,172
490,191
490,176
491,561
495,078
492,647
492,181
前年同月比
増 減 率
△ 2.2
△ 2.9
△ 1.7
△ 1.8
△ 1.6
△ 0.8
△ 0.5
△ 0.3
0.2
0.5
0.6
1.0
1.1
1.2
1.3
1.3
1.0
1.3
1.4
地区別貸出金
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2 p
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2 p
38,520
35,984
34,567
33,045
34,833
33,306
33,242
33,506
32,496
32,108
32,001
32,037
31,715
33,060
31,980
31,988
31,774
31,291
31,239
前年同月比
増 減 率
△ 2.9
△ 6.5
△ 3.9
△ 5.1
△ 2.9
△ 4.6
△ 4.0
△ 3.0
△ 3.7
△ 4.7
△ 3.1
△ 4.3
△ 4.5
△ 5.0
△ 5.1
△ 4.4
△ 4.5
△ 5.9
△ 6.0
(単位:億円、%)
北海道
30,197
29,377
29,521
28,116
28,972
29,862
28,966
29,628
28,819
28,362
28,255
28,374
28,742
29,083
29,346
29,451
30,095
29,461
29,472
近 畿
144,784
136,814
130,271
126,965
126,280
127,566
125,115
124,418
123,782
124,329
123,725
123,816
124,396
124,171
123,680
124,553
125,340
124,471
124,035
前年同月比
増 減 率
△ 1.3
△ 2.7
0.4
△ 0.1
1.0
1.0
1.1
0.3
0.4
1.3
0.4
1.0
1.1
0.3
1.1
1.1
0.7
1.7
1.7
前年同月比
増 減 率
△ 3.1
△ 5.5
△ 4.7
△ 6.0
△ 6.8
△ 5.9
△ 5.4
△ 4.4
△ 3.4
△ 2.4
△ 2.5
△ 1.7
△ 1.6
△ 1.6
△ 1.4
△ 1.4
△ 1.7
△ 0.9
△ 0.8
東 北
25,091
24,875
24,520
23,975
24,268
24,506
24,260
24,413
24,043
23,832
23,735
23,819
23,873
23,944
23,930
23,993
24,136
23,941
23,952
中 国
33,451
31,863
30,826
30,181
30,356
30,692
30,215
30,140
29,659
29,598
29,641
29,793
29,927
29,978
29,740
29,797
30,114
29,880
29,904
前年同月比
増 減 率
△ 1.2
△ 0.8
△ 1.4
△ 1.1
△ 1.1
△ 0.7
△ 0.1
△ 0.4
0.2
0.2
△ 0.9
△ 0.9
△ 1.2
△ 1.3
△ 1.1
△ 1.3
△ 1.5
△ 1.2
△ 1.2
前年同月比
増 減 率
△ 4.4
△ 4.7
△ 3.2
△ 2.9
△ 2.8
△ 1.6
△ 1.8
△ 2.2
△ 1.5
△ 1.4
△ 1.7
△ 1.0
△ 1.0
△ 1.2
△ 1.2
△ 1.3
△ 1.8
△ 1.0
△ 1.0
東 京
135,174
131,381
125,915
125,840
126,092
127,252
125,199
124,445
124,109
124,697
124,278
124,577
125,078
124,861
124,624
125,315
126,390
125,432
124,884
四 国
11,098
11,060
10,974
10,749
10,814
10,901
10,798
10,823
10,748
10,801
10,788
10,826
10,850
10,867
10,808
10,856
10,893
10,838
10,799
前年同月比
増 減 率
△ 6.0
△ 2.8
△ 4.1
△ 4.1
△ 3.6
△ 2.8
△ 2.3
△ 2.1
△ 1.1
△ 0.5
△ 1.2
△ 0.7
△ 0.6
△ 0.9
△ 0.6
△ 0.7
△ 0.6
△ 0.1
△ 0.2
前年同月比
増 減 率
△ 0.6
△ 0.3
△ 0.7
△ 1.6
△ 2.0
△ 1.5
△ 0.8
△ 1.3
0.0
0.5
0.3
0.9
0.8
0.4
0.4
0.4
△ 0.0
0.2
0.0
関 東
133,558
125,418
120,357
117,157
117,269
118,814
117,301
116,756
115,865
115,912
115,768
116,072
116,496
116,985
116,639
117,227
118,457
117,704
117,604
九州北部
12,030
11,797
11,551
11,384
11,474
11,736
11,542
11,575
11,431
11,463
11,389
11,404
11,462
11,434
11,416
11,478
11,553
11,453
11,469
前年同月比
増 減 率
△ 3.7
△ 6.0
△ 4.0
△ 3.7
△ 3.8
△ 2.7
△ 2.0
△ 1.9
△ 1.3
△ 0.7
△ 1.1
△ 0.7
△ 0.7
△ 0.2
△ 0.2
△ 0.0
△ 0.3
0.1
0.2
前年同月比
増 減 率
△ 1.7
△ 1.9
△ 2.0
△ 1.6
△ 1.4
△ 0.1
0.5
0.2
0.6
1.2
0.0
0.0
△ 0.1
△ 0.3
△ 0.3
△ 0.7
△ 1.5
△ 0.6
△ 0.6
(備考)1.沖縄地区は全国に含めた。
2.東京・関東地区の2002年6月以降の増減率は、地区間の事業譲渡を調整して算出
76
当座貸越
信金中金月報 2004.4
北 陸
20,387
20,088
19,287
18,988
19,005
19,419
19,024
19,061
18,829
18,811
18,720
18,813
18,839
18,847
18,773
18,879
19,077
18,939
18,942
南九州
16,971
16,530
15,972
15,415
15,527
15,874
15,631
15,489
15,273
15,260
15,232
15,295
15,380
15,498
15,505
15,594
15,788
15,584
15,560
前年同月比
増 減 率
△ 2.0
△ 1.4
△ 3.9
△ 3.1
△ 3.5
△ 1.3
△ 1.6
△ 1.1
△ 0.7
△ 0.5
△ 1.4
△ 0.3
△ 0.9
△ 0.8
△ 1.0
△ 1.1
△ 1.7
△ 0.7
△ 0.4
前年同月比
増 減 率
△ 3.1
△ 2.5
△ 3.3
△ 4.7
△ 5.3
△ 4.2
△ 3.5
△ 3.0
△ 2.0
△ 1.3
△ 1.1
△ 0.9
△ 0.6
△ 0.1
△ 0.2
△ 0.0
△ 0.5
△ 0.5
△ 0.4
東 海
123,154
121,487
119,553
117,533
118,442
120,414
118,549
118,573
117,386
117,613
117,141
117,339
118,000
118,739
117,963
118,694
120,157
118,923
118,736
全国計
687,159
661,879
639,805
627,349
629,551
638,093
627,658
626,342
620,951
621,691
619,691
621,145
624,062
625,431
623,438
626,852
633,013
627,637
626,366
前年同月比
増 減 率
△ 2.1
△ 1.3
△ 1.5
△ 1.9
△ 1.6
△ 0.2
0.1
△ 0.8
△ 0.0
0.5
△ 0.3
0.2
0.0
0.2
0.1
0.1
△ 0.2
0.1
0.1
前年同月比
増 減 率
△ 3.4
△ 3.6
△ 3.3
△ 3.6
△ 3.6
△ 2.6
△ 2.1
△ 2.1
△ 1.3
△ 0.6
△ 1.2
△ 0.6
△ 0.6
△ 0.6
△ 0.5
△ 0.5
△ 0.7
△ 0.2
△ 0.2
1.
(6)信用金庫の貸出先別貸出金
(単位:億円、%)
貸出金計
企業向け計
年 月 末
製造業
建設業
1999. 3
712,981
前年同月比
構成比
増 減 率
1.2
100.0
503,366
前年同月比
構成比
増 減 率
1.5
70.6
113,230
前年同月比
構成比
増 減 率
△ 0.0
15.9
2000. 3
687,157
△ 3.6
100.0
480,319
△
4.5
69.8
106,973
△
5.5
15.5
82,844
△
5.5
12.0
01. 3
661,876
△ 3.6
100.0
459,367
△
4.3
69.4
102,550
△ 4.1
15.4
78,299
△
5.4
11.8
02. 3
6
639,803
627,347
△ 3.3
△ 3.6
100.0
100.0
435,084
424,004
△ 5.2
△ 5.7
68.0
67.5
94,053
91,671
△ 8.2
△ 8.6
14.7
14.6
71,366
67,016
△ 8.8
△ 9.5
11.1
10.6
△ 3.6
2.6
2.1
1.2
0.6
0.7
100.0
423,123
△
6.2
67.2
90,024
△
9.5
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
430,011
415,696
410,032
412,646
418,470
△
△
△
△
△
4.9
4.4
3.2
2.4
2.6
67.3
66.3
66.1
65.9
66.1
91,584
86,168
84,676
84,541
86,344
△
△
△
△
△
7.6
7.9
7.1
5.5
5.1
14.2
14.3
13.7
13.6
13.5
13.6
67,526
67,981
65,371
62,121
63,252
64,107
△ 9.8
△ 9.2
△ 8.4
△ 7.3
△ 6.3
△ 5.6
10.7
10.6
10.4
10.0
10.1
10.1
9
629,549
12
03. 3
6
9
12
638,092
626,340
619,689
625,429
633,012
年 月 末
卸売業
1999.
2000.
01.
02.
3
3
3
3
6
9
12
03. 3
6
9
12
年 月 末
43,569
40,922
39,320
36,758
35,792
35,401
36,235
34,255
33,818
34,004
34,927
△
△
△
△
△
前年同月比
構成比
増 減 率
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
0.4
6.0
3.9
6.5
6.8
7.9
6.2
6.8
5.5
3.9
3.6
6.1
5.9
5.9
5.7
5.7
5.6
5.6
5.4
5.4
5.4
5.5
小売業
52,836
49,905
46,557
42,824
41,643
41,245
40,983
39,648
38,977
38,752
38,757
前年同月比
構成比
増 減 率
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
1.9
5.5
6.7
8.0
8.3
8.5
8.2
7.4
6.4
6.0
5.4
7.4
7.2
7.0
6.6
6.6
6.5
6.4
6.3
6.2
6.1
6.1
17,331
16,654
15,622
14,524
14,229
14,108
14,008
13,653
13,415
13,300
13,145
前年同月比
構成比
増 減 率
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
1.2
3.9
6.1
7.0
7.3
7.0
7.1
5.9
5.7
5.7
6.1
2.4
2.4
2.3
2.2
2.2
2.2
2.1
2.1
2.1
2.1
2.0
不動産業
74,071
73,187
71,861
74,989
74,924
76,218
77,439
78,217
79,366
80,787
81,889
前年同月比
構成比
増 減 率
0.6
△ 1.1
△ 1.8
4.3
3.7
2.9
2.8
4.3
5.9
5.9
5.7
10.4
10.6
10.8
11.7
11.9
12.1
12.1
12.4
12.8
12.9
12.9
個 人
地方公共団体
サービス業 前年同月比
(各種サービス) 増 減 率 構成比
飲食店
87,712
前年同月比
構成比
増 減 率
3.1
12.3
前年同月比
構成比
増 減 率
前年同月比
構成比
増 減 率
住宅ローン 前年同月比
構成比
増 減 率
1999. 3
2000. 3
01. 3
85,769
83,373
80,128
3.5
△ 2.7
△ 3.8
12.0
12.1
12.1
11,404
11,695
11,762
9.8
2.5
0.5
1.5
1.7
1.7
198,211
195,143
190,747
△ 0.0
△ 1.5
△ 2.2
27.8
28.3
28.8
115,469
121,253
123,501
4.7
5.0
1.8
16.2
17.6
18.6
02. 3
6
9
12
03. 3
77,123
75,835
75,897
76,674
86,254
△
△
△
△
3.7
4.4
4.4
4.0
―
12.0
12.0
12.0
12.0
13.7
13,527
12,303
12,824
13,426
15,680
15.0
18.1
21.7
23.5
15.9
2.1
1.9
2.0
2.1
2.5
191,192
191,040
193,602
194,655
194,964
0.2
0.2
1.1
1.4
1.9
29.8
30.4
30.7
30.5
31.1
127,347
128,835
130,858
133,267
134,672
3.1
3.6
4.2
4.6
5.7
19.9
20.5
20.7
20.8
21.5
―
―
―
13.8
13.7
13.6
13,637
13,957
14,630
10.8
8.8
8.9
2.2
2.2
2.3
196,020
198,825
199,911
2.6
2.6
2.7
31.6
31.7
31.5
136,530
139,484
142,207
5.9
6.5
6.7
22.0
22.3
22.4
6
9
12
b
85,633
85,831
86,476
(備考)1.日本銀行『業種別貸出金調査表』より作成。このため、『日計表』による(5)科目別貸出金、地区別貸出金の貸出金計と
は一致しない。
2.企業向け計には、海外円借款、国内店名義現地貸を含む。
3.2003年3月の業種分類の見直しに伴い、製造業の対象業種から「出版業」が除かれ、従来の「出版・印刷業」に代えて
「印刷業」のみが対象となったことから、増減率の算出においては、出版業・印刷業とも除いて算出した。また「サービ
ス業」は「各種サービス」となり、飲食店等を含む。
統 計
77
1.
(7)信用金庫の余裕資金運用状況
(単位:億円、%)
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2 p
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2 p
年 月 末
2000.
01.
02.
02.
3
3
3
6
9
12
03. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
04. 1
2 p
現 金
14,277
14,238
19,391
16,560
16,204
19,941
13,810
17,492
15,442
15,425
15,863
14,732
14,438
15,148
13,522
14,936
18,842
15,566
14,080
金融機関
預 け 金
買入金銭
貸 付 等 うちコール う ち 債 券 貸 借
うち譲渡性
うち信金中金預け金
債
権
預 け 金
ロ ー ン 取引支払保証金
146,973(
8.5)
1,373
129,402( 12.8) 24,425
5,900
―
4,182
183,867( 25.1)
2,553
166,783( 28.8) 11,180
7,556
―
4,134
182,044(△ 0.9)
845
159,156(△ 4.5)
3,004
2,104
―
2,084
209,393(△ 1.4)
1,175
197,322(△ 2.3)
1,028
730
―
3,949
197,381(△ 0.6)
799
174,030(△ 7.7)
1,888
1,580
―
3,828
199,514(△ 0.3)
1,103
187,256(△ 0.9)
1,301
1,301
―
5,213
198,499(
1.1)
763
187,945(
0.8)
1,515
1,465
―
4,918
194,070(
6.6)
883
159,131(△ 0.0)
2,654
1,654
1,000
3,274
207,647(
3.8)
943
196,279(
4.4)
1,088
596
99
5,105
202,518(
2.4)
1,013
191,507(
3.5)
1,039
725
99
5,835
208,191(△ 0.5)
853
195,676(△ 0.8)
1,205
905
99
6,188
200,749(△ 0.7)
953
190,063(△ 0.0)
1,099
810
89
5,804
198,658(△ 2.9)
933
188,171(△ 2.3)
969
660
89
5,514
192,727(△ 2.3)
853
163,256(△ 6.1)
1,424
945
89
4,579
194,467(△ 1.4)
880
184,147(△ 0.8)
613
443
89
4,789
195,734(△ 0.7)
775
185,067(△ 0.4)
662
511
80
4,536
199,978(
0.2)
605
189,285(
1.0)
582
449
63
4,555
196,366(
1.9)
550
186,157(
2.2)
744
597
87
4,229
206,613(
4.0)
550
195,765(
4.1)
745
595
90
4,020
金銭の
信 託
4,725
4,057
3,103
3,406
3,349
3,223
3,223
2,463
2,560
2,587
2,673
2,689
2,691
2,601
3,332
3,318
3,297
3,262
3,257
535
198
188
212
189
164
167
197
221
226
263
250
287
272
255
223
208
197
168
有価証券
国 債
198,272(
221,566(
236,169(
231,391(
239,826(
241,184(
246,371(
248,064(
249,064(
252,731(
258,273(
262,355(
269,405(
270,957(
269,930(
269,250(
267,560(
267,647(
265,686(
投資信託
15,654
14,226
8,034
8,593
8,155
7,517
6,839
5,176
5,913
6,020
6,149
6,101
6,124
5,976
6,003
6,146
6,106
5,842
6,033
9.8)
11.7)
6.5)
2.1)
0.7)
0.9)
2.0)
5.0)
6.7)
8.0)
11.6)
11.8)
14.6)
12.9)
12.6)
12.1)
10.9)
9.2)
7.8)
37,723(
50,807(
58,911(
49,193(
54,280(
52,105(
57,794(
62,730(
61,000(
60,632(
62,868(
65,164(
69,681(
72,767(
71,365(
69,919(
68,790(
69,463(
68,346(
地方債
社 債
18,507
20,554
24,778
25,003
24,997
24,942
24,671
24,914
24,328
24,898
25,476
25,712
26,033
26,233
26,288
26,116
26,237
26,550
26,480
86,672(△
92,497(
99,328(
100,596(
103,952(
107,394(
108,245(
108,534(
109,638(
111,596(
112,671(
112,992(
114,679(
113,131(
113,106(
113,566(
112,821(
112,450(
111,599(
公社公団債
5.4) 13,679
6.7) 15,595
7.3) 21,166
3.3) 21,142
5.4) 22,628
5.0) 24,993
6.7) 26,047
9.2) 27,267
9.3) 27,957
11.1) 29,374
12.0) 30,091
10.1) 30,695
11.4) 31,457
8.8) 32,126
6.6) 32,526
6.6) 33,066
5.0) 33,364
3.4) 33,538
3.0) 33,597
余資運用 信金中金
その他の 貸
付 資 産 計 利 用 額
(B)
証
券 有価証券 (A)
16.0)
―
5
393,392
147,096
7.4)
346
5
439,243
166,783
7.9)
442
0
445,987
159,156
6.0)
545
23
465,942
197,322
0.9)
588
0
462,667
174,030
1.2)
633
0
470,543
187,256
1.9)
609
0
468,507
187,945
5.6)
565
0
468,216
159,131
5.2)
601
0
481,131
196,279
6.2)
607
0
480,364
191,507
8.5)
619
0
492,659
195,676
9.8)
621
0
487,682
190,063
10.6)
623
0
491,965
188,171
12.1)
627
0
487,710
163,256
12.1)
632
0
486,910
184,147
12.0)
634
0
488,662
185,067
11.7)
630
0
495,024
189,285
11.5)
616
0
488,014
186,157
11.6)
622
0
494,572
195,765
外 国 証 券
34,184(
36,743(
39,660(
42,281(
42,567(
43,306(
42,938(
41,917(
42,934(
44,377(
45,895(
47,212(
47,698(
47,723(
47,916(
48,223(
48,380(
48,153(
47,939(
41.0)
34.6)
15.9)
23.9)
14.1)
3.7)
3.6)
6.4)
14.8)
15.6)
27.7)
31.0)
40.1)
34.0)
37.6)
34.2)
32.0)
25.5)
18.2)
金融債
29,579
31,849
34,374
35,403
37,179
37,994
38,090
37,894
38,041
38,016
37,722
37,199
37,440
36,287
35,526
35,479
35,081
34,922
34,644
その他
43,412
45,052
43,787
44,049
44,143
44,406
44,107
43,372
43,639
44,205
44,858
45,097
45,780
44,717
45,053
45,019
44,376
43,990
43,357
株 式
信金中金月報 2004.4
5,467
6,325
4,987
5,133
5,260
5,256
5,247
4,206
4,632
4,583
4,581
4,529
4,548
4,492
4,610
4,640
4,587
4,565
4,660
貸付信託
57
58
24
21
23
26
24
17
13
15
10
9
6
4
4
4
4
3
3
預貸率 (A)/預金 預証率 (B)/預金(B)/(A)
67.3
63.7
62.2
60.5
61.0
60.8
60.6
60.4
59.4
59.4
58.7
59.0
59.0
59.2
59.2
59.3
59.2
59.3
58.9
38.5
42.3
43.3
44.9
44.8
44.9
45.2
45.2
46.0
45.9
46.6
46.3
46.5
46.2
46.2
46.2
46.3
46.1
46.5
19.4
21.3
22.9
22.3
23.2
23.0
23.7
23.9
23.8
24.1
24.4
24.9
25.4
25.6
25.6
25.4
25.0
25.3
25.0
(備考)1.( )内は前年同月比増減率
2.預貸率=貸出金/預金×100(%)、預証率=有価証券/預金×100(%)(預金には譲渡性預金を含む。)
78
商品有価
証
券
14.4
16.0
15.4
19.0
16.8
17.8
18.1
15.3
18.7
18.3
18.5
18.0
17.7
15.4
17.5
17.5
17.7
17.6
18.4
37.3
37.9
35.6
42.3
37.6
39.7
40.1
33.9
40.7
39.8
39.7
38.9
38.2
33.4
37.8
37.8
38.2
38.1
39.5
2.
(1)業態別預貯金等
(単位:億円、%)
年 月 末
信用金庫
国内銀行
前年同月比
増 減 率
(債券、信託
を含む) 前年同月比
増 減 率
大手銀行
(債券、信託
を含む) 前年同月比
増 減 率
うち預金
前年同月比 うち都市銀行 前年同月比
増 減 率
増 減 率
地方銀行
前年同月比
増 減 率
2000. 3
1,020,320
1.4
6,639,673
1.0
4,298,016
1.7
2,433,587
0.8
2,090,975
0.4
1,742,961
1.5
01. 3
1,038,043
1.7
6,641,871
0.0
4,288,153
△ 0.2
2,466,900
1.3
2,102,820
0.5
1,785,742
2.4
02. 3
1,028,198
△
0.9
6,790,535
2.2
4,416,792
2.9
2,699,067
9.4
2,308,919
9.8
1,813,848
1.5
02. 6
1,035,283
△
2.1
6,747,958
1.4
4,357,159
2.0
2,685,688
8.3
2,333,015
10.0
1,829,055
1.1
9
1,031,142
△
2.1
6,696,188
1.1
4,341,360
1.8
2,669,637
7.2
2,303,682
8.2
1,790,940
0.1
0.5
12
1,047,505
△
1.2
6,701,855
1.0
4,323,991
1.3
2,666,605
5.4
2,292,954
5.9
1,806,287
03. 2
1,035,076
△
0.4
6,728,173
0.4
4,390,499
0.4
2,728,481
4.6
2,348,525
5.3
1,777,264
3
1,035,536
0.7
6,798,976
0.1
4,424,063
0.1
2,760,299
2.2
2,377,699
2.9
1,813,487
4
1,044,809
1.3
6,653,145
△
4.0
4,270,916
△ 6.5
2,780,765
△ 3.5
2,401,926
△ 5.3
1,831,373
1.3
5
1,044,410
1.9
6,657,431
△
1.7
4,274,314
△ 3.2
2,783,791
1.6
2,401,142
0.6
1,833,404
1.7
6
1,054,744
1.8
6,644,211
△
1.5
4,239,210
△ 2.7
2,753,332
2.5
2,365,201
1.3
1,850,150
1.1
7
1,050,575
2.2
6,638,554
△
1.0
4,264,200
△ 2.1
2,760,310
2.7
2,371,542
2.0
1,823,556
1.6
8
1,056,653
2.3
6,653,041
△
0.4
4,268,686
△ 1.4
2,768,453
3.9
2,383,157
3.6
1,831,946
2.1
9
1,053,808
2.1
6,641,341
△
0.8
4,271,387
△ 1.6
2,770,950
3.7
2,385,332
3.5
1,816,601
1.4
10
1,050,779
2.2
6,580,434
△
0.9
4,241,987
△ 1.7
2,733,683
2.8
2,353,812
2.8
1,792,664
1.5
11
1,055,159
2.3
6,653,866
△
0.8
4,288,017
△ 1.7
2,767,642
2.3
2,385,727
2.3
1,816,427
1.6
12
1,068,100
1.9
6,673,286
△
0.4
4,289,361
△ 0.8
2,757,888
3.4
2,368,299
3.2
1,825,041
1.0
04. 1
1,055,949
2.4
6,651,254
△
0.4
4,302,101
△ 1.2
2,760,911
2.6
2,378,636
2.9
1,799,432
1.6
1,061,010
2.5
2 p
年 月 末
第二地銀
信用組合
前年同月比
増 減 率
労働金庫
前年同月比
増 減 率
農業協同組合
前年同月比
増 減 率
郵便貯金
前年同月比
増 減 率
0.5
△
0.0
預貯金等合計
前年同月比
増 減 率
前年同月比
増 減 率
2000. 3
598,696
△
5.1
191,966
△
4.9
111,791
4.4
702,555
1.8
2,599,702
2.9
11,266,007
1.4
01. 3
567,976
△
5.1
180,588
△
5.9
117,212
4.8
720,944
2.6
2,499,336
△ 3.8
11,197,994
△ 0.6
02. 3
559,895
△
1.4
153,541
△ 14.9
125,200
6.8
735,373
2.0
2,393,418
△ 4.2
11,226,265
0.2
02. 6
561,744
△
1.8
151,983
△ 15.6
132,948
7.3
745,193
1.2
2,392,298
△ 3.3
11,205,663
△ 0.1
△ 0.1
9
563,888
△
1.1
148,848
△ 15.2
130,795
6.3
738,729
0.8
2,365,559
△ 2.2
11,111,261
12
571,577
△
0.3
149,872
△ 10.8
134,012
5.5
751,811
0.7
2,359,130
△ 1.8
11,144,185
0.0
03. 2
560,410
0.4
148,437
△
7.2
132,861
4.9
747,533
0.9
2,351,249
△ 2.1
11,143,329
△ 0.2
3
561,426
0.2
148,362
△
3.3
131,619
5.1
744,202
1.2
2,332,465
△ 2.5
11,191,160
△ 0.3
4
550,856
△
1.0
149,574
△
2.3
134,006
4.8
748,586
1.5
2,331,069
△ 2.6
11,061,189
△
2.7
5
549,713
△
0.7
149,717
△
1.4
133,466
2.5
748,571
1.6
2,317,870
△ 2.7
11,051,465
△
1.3
6
554,851
△
1.2
150,940
△
0.6
136,476
2.6
757,417
1.6
2,322,076
△ 2.9
11,065,864
△
1.2
7
550,798
△
0.7
150,749
0.7
136,115
2.5
754,711
1.7
2,313,523
△ 2.8
11,044,227
△ 0.8
8
552,409
△
1.0
151,677
1.4
135,935
3.1
757,023
1.8
2,314,695
△ 2.7
11,069,024
△
0.4
9
553,353
△
1.8
151,772
1.9
135,179
3.3
752,178
1.8
2,299,381
△ 2.7
11,033,659
△
0.6
10
545,783
△
1.8
151,407
2.1
134,787
3.1
756,441
1.9
2,300,260
△ 2.7
10,974,108
△ 0.7
11
549,422
△
2.1
151,575
2.2
134,809
3.4
757,171
2.0
2,289,603
△ 2.6
11,042,183
△
12
558,884
△
2.2
153,408
2.3
137,941
2.9
766,812
1.9
2,299,689
△ 2.5
11,099,236
△ 0.4
04. 1
549,721
△
1.6
137,193
3.1
2 p
2,293,052
△ 2.5
2,294,104
△ 2.4
0.6
(備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』、日本郵政公社ホームページ等より作成
2.大手銀行は、国内銀行−(地方銀行+第二地銀)の計数
3.国内銀行・大手銀行には、全国内銀行の債券および信託勘定の金銭信託・貸付信託・年金信託・財産形成給付信託を含
めた。
4.預貯金等合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の預貯金残高の合計により算出した。
統 計
79
2.
(2)業態別貸出金
(単位:億円、%)
年 月 末
信用金庫
大手銀行
前年同月比
増 減 率
地方銀行
前年同月比
増 減 率
都市銀行
前年同月比
増 減 率
第二地銀
前年同月比
増 減 率
信用組合
前年同月比
増 減 率
前年同月比
増 減 率
2000. 3
687,159
△
3.4
2,788,233
△
1.0
2,151,274
1.9
1,340,878
△ 3.0
505,738
△ 4.0
142,433
△ 7.6
01. 3
661,879
△
3.6
2,746,303
△
1.5
2,133,507
△ 0.8
1,357,418
1.2
465,931
△ 7.8
133,612
△ 6.1
02. 3
639,805
△
3.3
2,601,800
△
5.2
2,035,627
△ 4.5
1,359,864
0.1
444,432
△ 4.6
119,082
△ 10.8
02. 6
627,349
△
3.6
2,549,726
△
5.1
2,166,966
4.2
1,332,817
△ 0.5
435,877
△ 2.1
104,857
△ 18.8
9
629,551
△
3.6
2,489,833
△
8.0
2,105,103
0.5
1,337,110
△ 0.9
435,113
△ 2.9
96,509
△ 24.7
△ 24.8
12
638,093
△
2.6
2,519,538
△
5.5
2,135,044
3.0
1,354,958
△ 0.5
441,929
△ 2.0
93,079
03. 2
627,658
△
2.1
2,470,822
△
6.0
2,091,066
2.1
1,342,095
△ 0.5
435,069
△ 1.9
92,194
△ 24.1
3
626,342
△
2.1
2,451,214
△
5.7
2,072,578
1.8
1,352,514
△ 0.5
429,130
△ 3.4
91,512
△ 23.1
4
620,951
△
1.3
2,404,547
△
6.6
2,033,740
△ 6.7
1,337,796
0.2
413,662
△ 5.4
90,911
△ 21.4
5
621,691
△
0.6
2,386,046
△
6.4
2,016,538
△ 6.7
1,334,349
0.4
413,458
△ 4.9
90,803
△ 20.0
6
619,691
△
1.2
2,379,564
△
6.6
2,006,581
△ 7.4
1,330,607
△ 0.1
413,407
△ 5.1
90,545
△ 13.6
7
621,145
△
0.6
2,345,999
△
7.5
1,974,348
△ 8.4
1,335,036
0.5
414,468
△ 4.7
90,841
△ 11.5
8
624,062
△
0.6
2,359,386
△
7.2
1,986,811
△ 8.1
1,339,580
0.5
415,777
△ 4.7
91,103
△ 7.4
9
625,431
△
0.6
2,375,563
△
4.5
1,993,783
△ 5.2
1,345,276
0.6
416,370
△ 4.3
91,511
△ 5.1
10
623,438
△
0.5
2,336,226
△
6.4
1,962,538
△ 7.1
1,335,550
0.4
414,822
△ 4.3
91,409
△ 4.9
11
626,852
△
0.5
2,356,647
△
6.2
1,985,128
△ 6.8
1,340,065
0.2
417,592
△ 4.1
91,770
△ 4.7
12
633,013
△
0.7
2,361,749
△
6.2
1,991,686
△ 6.7
1,352,962
△ 0.1
423,823
△ 4.0
92,384
△ 0.7
04. 1
627,637
△
0.2
2,341,942
△
6.1
1,971,502
△ 6.7
1,346,007
0.3
420,122
△ 3.6
626,366
△
0.2
前年同月比
増 減 率
うち中小
企業向け
2 p
年 月 末
労働金庫
農業協同組合
前年同月比
増 減 率
公的金融機関
前年同月比
増 減 率
2000. 3
73,830
4.0
220,863
01. 3
76,213
3.2
220,078
△
前年同月比
増 減 率
うち住宅
金融公庫
合 計
前年同月比
増 減 率
前年同月比
増 減 率
0.2
1,729,489
8.0
297,448
4.3
745,413
3.3
7,488,623
0.0
0.3
1,731,885
0.1
293,556
△ 1.3
759,220
1.8
7,393,319
△ 1.2
02. 3
81,054
6.3
217,357
△
1.2
1,693,486
△ 2.2
288,025
△ 1.8
726,516
△ 4.3
7,156,880
△ 3.1
02. 6
81,133
6.8
215,119
△
1.6
1,685,609
△ 2.8
285,471
△ 2.0
718,620
△ 5.5
7,032,487
△ 3.4
△ 4.9
9
82,728
7.7
215,552
△
1.8
1,656,860
△ 3.6
282,568
△ 2.8
701,480
△ 6.7
6,943,256
12
85,122
7.8
213,487
△
1.7
1,645,069
△ 3.7
284,652
△ 2.4
690,486
△ 7.0
6,991,275
△ 3.7
03. 2
85,934
8.3
213,437
△
1.2
1,621,662
△ 4.1
279,335
△ 2.4
678,797
△ 7.3
6,888,871
△ 3.9
3
87,266
7.6
215,147
△
1.0
1,617,238
△ 4.5
279,743
△ 2.8
671,999
△ 7.5
6,870,363
△ 4.0
4
87,569
7.8
214,142
△
0.6
1,609,421
△ 4.4
277,393
△ 2.3
667,477
△ 7.6
6,778,999
△ 4.1
5
87,748
8.4
213,791
△
0.8
1,615,500
△ 4.3
277,483
△ 1.6
666,699
△ 7.8
6,763,386
△ 3.9
6
87,930
8.3
213,430
△
0.7
1,606,884
△ 4.6
278,349
△ 2.4
659,966
△ 8.1
6,742,058
△ 4.1
7
88,245
8.5
213,914
△
0.6
1,593,666
△ 4.9
277,051
△ 1.7
650,957
△ 8.5
6,703,314
△ 4.2
8
88,882
8.5
214,368
△
0.5
1,583,101
△ 5.1
276,547
△ 1.6
642,128
△ 9.1
6,716,259
△ 4.1
9
89,637
8.3
214,601
△
0.4
1,569,865
△ 5.2
277,987
△ 1.6
634,452
△ 9.5
6,728,254
△ 3.0
10
90,443
8.1
214,696
△
0.1
1,560,756
△ 5.3
275,448
△ 1.4
629,594
△ 9.7
6,667,340
△ 3.8
11
91,205
7.7
214,889
0.0
1,559,932
△ 5.2
277,480
△ 1.3
626,931
△ 9.7
6,698,952
△ 3.7
12
91,749
7.7
213,529
0.0
6,726,110
△ 3.7
04. 1
91,394
7.6
1,556,901
△ 5.3
279,855
△ 1.6
622,745
△ 9.8
1,546,860
△ 5.1
276,757
△ 1.1
618,112
△ 9.7
2 p
(備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』より作成
2.大手銀行は、国内銀行−(地方銀行+第二地銀)の計数
3.公的金融機関は、日本政策投資銀行、国際協力銀行、国民生活金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業
金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫の合計
4.公的金融機関のうち中小企業向けは、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の合計
5.合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の貸出金残高の合計により算出した。
80
信金中金月報 2004.4
ホームページのご案内
当研究所のホームページは、既存の信金中央金
庫のホームページから独立したもので、当研究所
が発行する各種レポート、信金中金月報等の刊行
物を掲載しているほか、当研究所業務の概要、講
演内容、活動記録などを掲載しています。
また、キーワードによるサイト内検索機能によ
って、必要な情報が探しやすくなっており、地域
金融、中小企業金融、協同組織金融という当研究
所の研究成果につき、これまで以上に多くの方々
にご覧いただけます。
URLは
http://www.scbri.jp/
です。
ISSN 1346−9479
2004年( 平 成16年 )
4月1日 発行
2004年4月号 第3巻 第5号( 通 巻373号 )
発 行 信金中央金庫
編 集 信金中央金庫 総合研究所
〒1 0 4−0031 東京都中央区京橋3−8−1
T E L 0 3( 3 5 6 3 )7 5 4 1 F A X 0 3( 3 5 6 3 )7 5 5 1
<本誌の無断転用、転載を禁じます>
Fly UP