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2004年4月号 - 信金中金 地域・中小企業研究所
ISSN1346-9479 Shinkin Central Bank Monthly Review 第 3 巻 第 5 号( 通 巻 3 7 3 号 ) ● 地域振興計画の立案手順 −信用金庫による地域振興支援の一例として− ● 日本経済の中期展望 −04∼08年度の年平均実質成長率は1.9%と予測− ● 信用金庫のインターネットバンキングの現状と課題 ● 中国環渤海地域の投資環境 −青島市の現況− ● 統計 2004. 4 「信金中金月報掲載論文」募集のお知らせ ○対象分野は、当研究所の研究分野でもある「地域金融」「中小企業金融」「協同組織金融」に関 連する分野とし、これら分野の研究の奨励を通じて、研究者の育成を図り、もって我が国にお ける当該分野の学術研究振興に寄与することを目的としています。 ○かかる目的を効果的に実現するため、本論文募集は、①懸賞論文と異なり、募集期限を設けな い随時募集として息の長い取り組みを目指していること、②要改善点を指摘し、加筆修正後の 再応募を認める場合があること、を特徴としています。 ○信金中金月報への応募論文の掲載可否は、編集委員会が委嘱する審査員の審査結果に基づき、 編集委員会が決定するという、いわゆるレフェリー制を採用しており、本月報に掲載された論 文は当研究所ホームページにも掲載することで、広く一般に公表する機会を設けております。 詳しくは、当研究所ホームページ(http://www.scbri.jp/)に掲載されている募集要項等をご参 照ください。 編集委員会 (敬称略、順不同) 委 員 長 堀内昭義 中央大学総合政策学部教授 副委員長 藤野次雄 横浜市立大学商学部教授(信金中金総合研究所長) 委 員 筒井義郎 大阪大学大学院経済学研究科教授 委 員 濱田康行 北海道大学経済学部教授 委 員 吉野直行 慶應義塾大学経済学部教授 問い合わせ先 信金中央金庫総合研究所「信金中金月報掲載論文」募集事務局(担当:落合、里田) Tel : 03 (3563)7541 / Fax : 03 (3563)7551 Shinkin Central B a n k Monthly Review 研 究 2004年 4月号 目次 地域振興計画の立案手順 笠原 博 2 角田 匠 22 −信用金庫による地域振興支援の一例として− 調 査 日本経済の中期展望 −04∼08年度の年平均実質成長率は1.9%と予測− 信用金庫のインターネットバンキングの現状と課題 ㈱しんきん情報システムセンター 中国環渤海地域の投資環境 40 西嶋尚史 篠崎幸弘 58 −青島市の現況− 信金中金だより 信金中央金庫総合研究所活動状況(2月) 69 統 計 信用金庫統計、金融機関業態別統計 71 2004 4 個人名による掲載文のうち意見にわたる部分は執筆者個人の見解です。 投資・施策実施等についてはご自身の判断によってください。 地域振興計画の立案手順 −信用金庫による地域振興支援の一例として− 信金中央金庫 総合研究所主任研究員 笠原 博 (キーワード)地域振興支援、施策提言、先進事例、住民意向、行動プログラム、地域振興 (視 点) 信用金庫では、従来から地域の祭りの手伝いや清掃の実施などの地域振興支援に積極的に取 り組んでいるが、地域にとって経済的メリットが明確に認識できるとともに、自らの営業や収 益にも寄与する活動としての地域振興支援に取り組む必要性が高まっている。本業に資する地 域振興支援の一策として、信用金庫が地域振興計画の立案に取り組むこと、もしくは関与する ことが考えられるだろう。実際にこうした活動をしている信用金庫も見られる。 そこで本稿では、地域振興の定義や信用金庫による地域振興計画立案への取組・関与の意義 を概観した後、当研究所で実施した信用金庫本店所在地における地域振興計画の立案業務の事 例を基に架空のモデルを示し、手順や具体的な計画の内容についてまとめ、地域振興計画の立 案業務を具体的に理解できるものとした。なお、今回のモデルは、多くの地域において直面し ている共通の問題を抱えた典型的な地方都市とした。 (要 旨) ● 地域振興を「地域の定住人口(住民)や交流人口(観光客)を増加させ、賑わいをもたらす こと」と定義し、地域振興によって地域内事業者には経済的満足感、地域住民には精神的満 足感がもたらされ、地域の存在価値が高まる。 ● 信用金庫が地域振興計画立案に取組・関与することで短期的に地域内における信用金庫の存 在感を高められ、さらに計画の実行に寄与し効果をあげることで長期的には営業基盤の強化 を通じた自金庫の収益力向上を図ることが可能になる。 ● 地域振興計画立案の手順は、 (1)現状把握と問題点抽出、 (2)目指すべき将来像・計画の方 向性の明確化、 (3)具体的施策策定のための要因分析と意向把握、 (4)具体的な施策と行動 プログラムの策定である。 ● 地域振興計画を立案する際には、地域関係者が受け入れやすく、動きやすい計画とすること が重要となる。 2 信金中金月報 2004.4 誇りを持つなど精神的に満たされることにな 1.地域振興の定義と信用金庫による 計画立案への取組・関与の意義 るはずである。こうして地域の存在価値は高 まるであろう。 (1)地域振興とは イ.地域振興の定義 地域振興計画について紹介する前に、地域 振興のとらえ方についてみておこう。 ロ.地域振興の成功とは 地域振興の成功とは、 「ある主体」が「その 他の地域構成員(行政・企業・住民)と協力 地域振興という言葉は、住環境整備やコミ して」 「何らかの施策を講じて」人口(住民・ ュニティ再生、文化伝承、経済振興、雇用拡 観光客等の来街者)を増加させ、賑わってい 大など多くの言葉と同意に使われており、非 る地域になることといえる。人口については 常に幅広くとらえられる。ただ、地域振興策 その実数によって増加したか確認できる。賑 として何かに取り組む場合、その目的として わいについては事業活動、消費活動、文化・ は、地域の存在価値を高めることで共通して 福祉活動等の増加ということから、事業所数、 いるだろう。この存在価値を高めるためには、 従業者数、小売業・サービス業売上高、生産 地域産業を振興させ事業者に経済的満足感を 高、利用した顧客数、通行者数、参加したボ 与えること、地域住民に誇りや愛郷心、生き ランティア数といった地域内の数値で成果を がいを持たせて精神的満足感を与えることな 測ることができる。 どが必要になるはずである。 また、地域の課題によっては個別の数値で こうした点を踏まえ、本稿では地域振興を も成果が測定できる。たとえば、商店街関係 「地域の定住人口(住民)や交流人口(観光客 の課題であれば空き店舗数、農業関係であれ 等の来街者)を増加させ、賑わいをもたらす ば耕地面積、観光関係であれば宿泊施設の客 こと」と定義し、地域の賑わいは「地域内で 室稼働率といった数値があげられよう。 実践される事業活動、消費活動、文化・福祉 活動等が増えること」と定義する。 実際の地域振興活動に取り組む際には、そ の内容に応じて、こうした数値の中から効果 地域が賑わうことによって地域事業者は売 測定のための指標をいくつか設定し定期的に 上を拡大するチャンスを得ることができる。も チェックすることで、その活動が地域振興に ちろん、地域のすべての事業者が売上を拡大 貢献しているか評価することができる。 できるわけではないが、個別事業者の経営努 地域振興の主体としては、市町村役場(第 力によっては経済的なメリットを享受するこ 三セクター等も含む) 、民間事業者団体(商工 とは可能である。また地域振興のための施策 会・商工会議所、青年会議所、振興組合、協 によって、住環境が整備されたり、知名度が 同組合、協会等) 、地域住民(NPO、ボランテ 向上することになるため、地域住民が地域に ィア団体等)の中から適任者がリーダーとな 研 究 3 って組織される。また新たな住民や観光客と 本稿は信用金庫役職員が主体的に地域振興 接する地域構成員の対応や態度によって定着 計画の立案に取り組む場合はもちろん、市町 率やリピート率が左右されることになる。そ 村役場や商工会議所職員などが主体となって のため、地域構成員に地域振興の意識や意欲 地域振興計画を立案する過程に信用金庫役職 を持たせる必要があり、地域振興計画を立案 員が関与する場合にも参考になるような内容 したり、実際に施策を講じる際には地域構成 としている。 員間の協力が不可欠になる。何らかの施策と は施設建設(既存施設の見直し) 、交通基盤整 備、イベント開催、ブランド品づくりなどが 考えられる。 (2)信用金庫が地域振興計画立案に取り組む・ 関与する意義 イ.信用金庫の役割 長山宗広「地域振興支援への示唆―地域活 ハ.地域の範囲等 性化の成功モデルと信用金庫の関わり―」 『地 本稿では地域という範囲を、一般的な住民 域調査情報15-1』信金中金総合研究所(2003年 の経済活動や愛郷心、帰属意識などを踏まえ、 4月)では、信用金庫における地域振興支援の 市町村単位か自治会単位でとらえており、そ 役割として①地域環境の変化をとらえる、② の範囲での具体的な振興策を立案していくこ 地域のニューリーダー(起街家)を育む、③ とを想定している。こうした範囲であれば、信 異業種交流会などを通じて既存産業・企業へ 用金庫の営業範囲の一部分であり、取組主体 イノベーションを持ち込む、④コーディネー に対して、本業である資金面での支援はもち ターとなり地域活性化の担い手を広く発掘し ろん、労働面(人材面)や情報面(知識面)で てつなぎあわせる、⑤地域構成員の一員とし の支援も可能なはずである。 て主体的に地域振興を支援する(地域振興計 こうした定義や範囲を踏まえて、 ・定住人口増加と交流人口増加のどちらを目 指すべきか。 画立案への取組・関与) 、を例示している。 すでに地域全体の地域振興に関する行動プ ログラムが作成され、それに沿った具体的な ・誰が地域振興の主体となるべきか。 施策の実行段階にある場合には、こうした役 ・地域振興策として実際に何をすべきか。 割にはとらわれず、具体的な施策に関して情 ・地域振興策を実行するためには誰がいつ何 報収集を行い、信用金庫として支援できる施 をすべきか。 ・地域住民や事業者に参加してもらうために は何をすべきか。 策を検討し協力することで地域振興支援は実 現できる。 しかし、地域振興に関する動きがあまり見 といった具体的な地域振興計画を立案するた えない地域や、個別の地域振興活動は見られ めの方法を、事例を基に紹介する。 るが地域全体として実効性のある体系的な計 4 信金中金月報 2004.4 画がないような地域では、信用金庫が地域振 金庫の収益力向上にも直結するはずである。 興支援の役割を担うことの意義は大きい。こ しかし、実際に信用金庫が地域振興に取り うした役割を担うことで、地域構成員が地域 組む・関与する場合には、自金庫が相応の効 振興の活動を始めるきっかけとなる可能性が 果(特に経済的効果)を得られなければ長続 生まれるからである。 きさせることは難しく、逆に地域構成員との 特に、信用金庫が地域構成員の一員として 信頼関係を損なう事態に陥りかねない。たと 主体的に地域振興を支援すること、つまり地 えば、①本支店が産業集積地(商店街等)に 域振興計画立案に取り組む・関与することは、 存在し周辺事業者との取引密度が濃い、② その他の①∼④にも取り組むことにもなるた NPOや街づくり組織等これまで取引が少なか め、地域へのインパクトが強く、具体的な活 った組織と接触できる機会を得られる、③行 動が動き出すきっかけとなる可能性が高い。た 政や商工会議所等との関係が強化され取引関 とえば、計画立案後、信用金庫が行政や住民、 係が活発化することが見込める、といった状 事業者と地域振興について検討する場をつく 況であれば、地域振興計画立案に取り組む・ り、立案した地域振興計画をたたき台として 関与することで預貸金の増加などが期待でき 話し合うことで、具体的な活動が出始めるの るため、地域振興に取り組む意義があるとい ではないだろうか。信用金庫では行政、住民、 える。 多様な業種の事業者を取引先としており、信 用金庫が検討の場をコーディネートすること で、さまざまな視点、立場から意見が出され、 2.地域振興計画の立案手順 地域振興の対象としては、商店街、観光、産 結果として地域構成員の多くがより受け入れ 業集積(既存産業・新産業) 、福祉、教育、コ やすく、より動きやすい計画が立案できるの ミュニティビジネスなど多岐にわたるが、地 ではないだろうか。信用金庫が地域振興計画 域振興計画立案の一般的手順としては、図表 立案に取り組む・関与することは、地域振興 1のとおりで共通している。 実現の第一歩となるのである。 現状を把握し、地域振興の方向性を見出せ た段階で、ヒアリングをした関係者に対して ロ.信用金庫が地域振興に取り組む効果・意義 中間報告を実施して、現状・課題の認識が正 信用金庫が地域振興計画立案に取り組む・ しいか、提言しようとしている内容が地域に 関与することは、短期的には知識面・人材面 受け入れられそうか確認することが必要にな からの地域振興支援といえ、こうした活動で る。特に地域振興に活用する地域資源に対す 地域における存在感を高められるのではない る評価を確認しておきたい。地域構成員が誇 だろうか。さらに長期的に見れば、計画が実 りを持てる資源を有効に活用すれば、地域構 現に結びつくことで営業基盤が強化され、自 成員からの参加、協力が得やすい。 研 究 5 図表1 地域振興計画立案の一般的期間と手順 (1)現状把握と問題点抽出 ・地域経済に関する既存統計の整理、実地調査でのデータ収集等による 地域環境の動向把握 ・地域構成員(特に地域に注目されている取り組みをしている企業・住 民等)へのヒアリングによる地域振興活動の現状把握・問題点整理 2 カ (2)目指すべき将来像・計画の方向性の明確化 ・現状を踏まえた将来像(定住人口の増加・交流人口の増加など)設定 月 ・問題点と将来像を踏まえた上での課題設定 ・地域振興の中心として使える地域資源(人・歴史・産業・施設等)の 選定および計画の方向性の明確化 中 間 報 告 2 カ 月 (3)具体的施策策定のための要因分析と意向把握 ・方向性に沿った地域振興の先進事例の調査による地域振興の成功要因 分析 ・一般住民や勤労者に受け入れられやすい地域振興策とするための、具 体策に対する意向の把握 (4)具体的な施策と行動プログラムの策定 ・調査結果を踏まえた上での具体的施策の策定 2 ・地域構成員別年度別の行動プログラムの作成 カ ・報告書としての取りまとめ 月 最 終 報 告 (備考)信金中金総合研究所作成 6 信金中金月報 2004.4 また対象によっては、行政による支援が必 地域構成員に受け入れやすく動きやすい計画 要になることもある。その場合、計画立案の となる可能性や、普段は見えにくい地域の現 際には行政と意見交換を緊密に行い、方向性 状や問題、地域内資源などを発見できる可能 をすり合わせることで、行政の協力を得やす 性が高まる。 い内容となるよう留意しなければならない。 特に、具体的な地域振興のための活動(情 報発信や特産品開発など)を計画・実践して (1)現状把握と問題点抽出 いる人(キーマン)へのヒアリングは必ず実 地域振興計画を立案するためには、まず地 施する。キーマンは地域の課題や将来像を的 域の現状や環境の変化を把握し問題点を抽出 確に把握していることがあり、計画立案には する必要がある。問題点を抽出すると、地域 参考になる点が多い。また地域のニューリー 振興の必要性が認識できるはずである。現状 ダー(起街家)となる可能性もあり、こうし 把握、環境変化、問題点を抽出する方法とし た人材を計画立案に巻き込むことで、計画立 ては、 案後の実行段階での活動が推進しやすくなる イ.総合振興計画、国勢調査、農林水産統計、 だろう。 工業統計調査、商業統計調査、事業所・企 またヒアリングや実地調査において、日本 業統計調査、観光入込調査等行政資料から 一や地域初、最大、唯一などをキーワードに、 データの確認 地域振興に使えると思われる地域資源(人材 ロ.市町村役場、商工会・商工会議所、観光 協会、青年会議所、農業協同組合、漁業協 や歴史的資源、地場産業、文化的施設、名産 品など)も発掘しておく。 同組合、製造業協同組合、商店街振興組合、 第三セクター・TMO、農業者、漁業者、民 (2)目指すべき将来像・計画の方向性の明確化 間事業者、住民、NPO等地域構成員へのヒ この後策定する地域振興施策を実効性があ アリング り、効果的なものとするためには、地域の課 ハ.地域内への実地調査(駅利用者、地域内 題を設定し、その課題を解決する方向性を示 歩行者、商店街利用者、観光客等の調査) し、その方向性に沿って具体策を検討する必 があげられる。 この中で重要なのは地域構成員へのヒアリ ングである。ヒアリングでは、地域の現状、課 要がある。地域の将来像を明確にし、その将 来像と現状の問題点とのギャップを整理する ことで地域の課題が設定できる。 題、あるべき将来像、自らの活動状況、今後 そこで現状把握、問題点抽出の後には、地 の取り組み予定、地域内での連携状況などに 域の将来像を掲げ、将来像と問題点から地域 ついて意見を聞くことになる。このとき、可 の課題を設定し、課題解決の方向性を明確化 能な限り多様な立場の人から話を聞くことで、 することになる。将来像としては、目標年次 研 究 7 (5年後など)における地域内の定住人口や交 となる住民等から協力が得られず、計画実現 流人口の具体的目標値が明記されることが望 が困難なケースも少なくなかった。実際に地 ましい。加えて、ターゲットの年齢層や現住 域振興施策を実施するのは地域住民等となる 地なども設定できれば、より効果的な施策を ため、信用金庫が関与して策定する施策は地 立案できるであろう。 元住民等の意向を踏まえたものとし、理解や 現状と将来像の比較から、将来像を実現す 納得を得られるものとすることが望ましい。 るために解決しなければならない課題が浮か そこで、現状把握の時点でキーとなる住民 び上がってくるはずである。その課題の裏返 や事業者から意見をヒアリングしているが、よ しが地域が進むべき方向性となる。方向性で り多くの声を集めるため、アンケートを実施 は、現状把握で抽出した地域資源の中から、有 する。この場合、信用金庫の地域に張り巡ら 用だと思われる資源を選定し、どのような使 せたネットワークを活用すれば、効率的にア い方をするかも内容に含めるようにする。 ンケートが実施できる。 こうした将来像や課題、計画の方向性につ ただし、ここまで検討してきた地域振興の いては、地域構成員からのヒアリング結果を 方向性に合致する回答を得られるよう、方向 十分踏まえた上で検討し取りまとめる。 性を前提としたより具体的な提言内容に直結 するような質問内容や選択肢とし、さらにこ (3)具体的施策策定のための要因分析と意向 把握 れらの順番にも十分留意したアンケート用紙 を作成する必要がある。 地域振興の方向性が整理できたところで、方 向性に沿った具体的な施策を考える際の参考 (4)具体的な施策と行動プログラムの策定 になるよう、可能な限り多くの先進地域の事 ここまでの方向性、先進事例、住民等の意 例調査を行い紹介する。これによって地域に 向を踏まえて、より具体的な施策を抽出する。 イノベーションを持ち込めよう。さらにそこ 具体策については、より多くのメンバーで考 から成功要因を抽出することで、計画立案の えたほうが多様な施策を抽出できるため、多 参考となる。当然、方向性に合致した施策に くの参加者を集めて議論する機会を設けたい。 取り組んでいる地域を選定する必要があるが、 施策立案においては、 先進地域の調査候補先に関する情報は、イン イ.ヒアリングやアンケートなどで把握した ターネットや関連書籍・雑誌、新聞記事等か ら抽出する。 住民等の意向を踏まえる。 ロ.地域振興の効果が波及するよう地域全体 また、以前には行政等が策定した地域に関 で取り組みやすい施策を立案する(信用金 する計画には地域住民や事業者の意見が反映 庫の取引先同士を結びつけることも視野に されていないことも多く、地域振興の担い手 入れる)。 8 信金中金月報 2004.4 ハ.厳しい財政状況を踏まえ、既存の施設や 資源、人材を十分に活用する。 などの視点を持つ必要がある。 候も海流の関係で比較的温暖で穏やかである ため、周辺からは住みやすいといわれている。 人材にも恵まれており、世界的な知名度を誇 さらに実際の行動を促せるよう、誰が、い る陶芸家も輩出している。県庁所在地からの つ、何をやるかを定めた行動プログラムまで 交通としては、鉄道(単線)が通っているほ 作成する必要がある。プログラム作成におい か、国道(片側一車線)も整備されている。面 ては、資金や場所、人員などの負担が少ない 積は約150km で、田・畑・山林が80%以上を などの取り組みやすさと得られる効果のバラ 占め、主要な産業は農業および農産品加工業 ンスを見て優先順位を決める。基本的には、成 となっている。 2 功体験を地域内に積み上げ、自信と意欲を持 信用金庫では常日頃からA市内の事業者や地 てるよう、効果はあまり大きくなくても比較 域住民と接しているが、地域経済の衰退など 的簡単に実施できそうな施策から始めるとい 厳しい実態にもかかわらず、地域内の危機感 った点に留意する。 が希薄だと感じていた。財政難等の影響によ また、具体的に施策を実施する際には、効 って、市役所や商工会議所などによる地域振 果測定や施策の見直しの参考とするため、人 興への主体的な取り組みが見られないため、信 口、事業所数、売上高、ボランティア数など 用金庫自らが地域振興計画を立案することを のデータを定期的に収集しておく。これらの 決め、当研究所もその取り組みを支援した。今 データや具体的な取組内容に関して、行政や 回作成した地域振興計画は市長をはじめとし 商工会議所などの利害関係者に積極的に情報 た市役所職員、商工会議所理事等に提言する を公開し、評価・チェックを受けながら進め とともに、広く地域住民にも公表した。 ることも、地域構成員から協力を得る上では 必要になろう。 (1)現状把握と問題点抽出 イ.現状把握 3.地域振興計画の立案事例 ここでは実際に当研究所と信用金庫が協働 で地域振興計画の立案に取り組んだ事例を基 A市役所で収集したデータの分析や地域構成 員へのヒアリング、実地調査によって、以下 のような現状を把握した(図表2)。 に、架空の信用金庫の本店所在地A市をモデル として想定し、地域振興計画の立案内容を紹 介する(当該事例中の固有名詞は架空のもの である)。 A市は、人口30万人超の県庁所在地から30km 圏内にある地方都市で、地形は比較的平坦、気 (イ)人口・世帯数 A市の人口は約30,000人、世帯数は約12,000 世帯で、5年前と比較すると、人口は5%減、世 帯数は5%増となっている。 県庁所在地と結ぶ鉄道(私鉄)は単線で本 研 究 9 数も1時間に1本程度である。さらに片側一車 加工品に利用できることもあって収穫量は増 線の国道も土日等には渋滞が激しく、A市の交 加し、いまでは全国トップ水準の収穫量を誇 通利便性は低い。そのため若年層を中心に県 っている。水分に気を使うなど手間をかけて 庁所在地に移住するケースが多く、出生率の 生産しているため、品質も非常に高く、市場 低下と相まって、人口の減少と高齢化が同時 段階では海外からの輸入品よりも数段甘みが 進行している(2000年で65歳以上人口比率約 あって美味しいと評判になっているが、その 25%)。 評判は消費者までは届いておらず、手間を小 市内唯一のA駅の東側では土地区画整理事業 を行い宅地分譲を進めているが、販売率は30% 程度にとどまり、宅地造成による人口増加も 難しい状況となっている。 売価格には転嫁できず、収益性は低くなって いる。 さらに、農業者の高齢化等の影響によって、 耕地面積は約2,000haと5年間で約20%も減少 し、農家数、農業人口も大幅に減少している。 (ロ)農業 農業生産品目が市場動向に大きく左右され、し A市は肥沃な土壌に恵まれ、土質も良い上、 かも主力品目に過度に集中するケースが多く、 日照量・降水量も適切で、1日の寒暖の差が激 地域内ですら農家間競争によって値崩れを招 しいため、農業では野菜栽培に適し、豊富な くこともある。 野菜が主力となっている。特にネギは発祥の 地ともいわれており、相応の収穫量がある。し (ハ)工業 かし、他地域での品質改良に追い越され、ま A市の事業所数は約100で5年間に10%以上も た品種開発着手にも出遅れるなど、産地間競 減少し、この間従業員数も15%近く減少して 争に巻き込まれ、収穫量は年々減少している。 いる。工業では事業所数全体の90%を農産品 トマトは数十年前から生産を始め、幅広く 加工業が占めている。農産加工品としては、野 菜(特にトマト)を使ったジュースやジャム、 図表2 A市の現状 アイスクリーム、おやき、せんべいなどが作 ・人口 約30,000人(5年前比5%減) ・世帯数 約12,000世帯( 同 5%増) ・耕地面積 約2,000ha( 同 20%減) ・事業所数 約100事業所( 同 10%減) ・小売店数 約500店( 同 15%減) ・年間観光客数 ・財政力指数 約50万人( 同 25%増) 約0.5( 同 0.1悪化) られており、市内土産物販売店で土産品等と して販売されている。トマトの質が高いため 加工品も非常に美味しく、ジュースやジャム などは東京の大手百貨店でも販売されている ほどだが、PR不足で全国的な知名度は非常に 低い。市民の中にも、トマトの質の高さを認 識している人は少ない。 (備考)信金中金総合研究所作成 10 信金中金月報 2004.4 また、A市では稲作も行われているが、その 藁の焼却灰を釉薬として利用した焼物に取り ーが管理運営)、土産品販売店(A駅前、観光 組む陶芸家が集まりつつあり、 「藁焼」と呼ば 案内を併設、陶芸館とは違う第三セクターが れ独特の色合いを持つ作品で注目されている 管理運営) 、民間の宿泊施設等があり、年間50 人もいる。 万人の観光客を県内周辺都市から集客し、5年 前と比べて25%も増えている。観光客の利用 (ニ)商業 が最も多いのは道の駅であるが、道の駅の売 A市では小売店数が500店と5年間で15%近く も減少している。当然、空き店舗率も高く市 店は規模が小さく、駅前の土産品販売所の方 が土産品の品揃えは充実している。 全体で20%近くなっており、活気が乏しくな しかし、隣接市町村には自然景観や歴史的 っている。市内で最も活気のあった本町銀座 な蔵等をテーマにして観光振興に取り組んで 商店街はA駅西口から500m程度離れた国道沿 いる市町村があり、そうした市町村では年間 いに見られるが、ここでも空き店舗は目立ち、 100万人以上集客していることを考えると、A 人通りも少なくなっている。一方で、A駅東側 市の観光客は少ない。さらに、各観光施設の の土地区画整理事業地の隣接には、ここ2∼3 管理運営主体が異なるため連携した企画など 年の間に駐車場が豊富な大規模小売店が5店ほ はなく、A市に来る多くの観光客は目的とする ど出店し、周辺市町村も含めた広域商圏を形 施設のみに立寄り、回遊して観光するといっ 成している。 た行動は見られない。加えて、A市民全体に観 A駅前には、マスコミに取り上げられるほど 有名な藁焼工房の販売所があり、時期によっ ては観光客が殺到し混雑している。 光客へのもてなしや親切さが不足しており、観 光客に不満感をいだかせてしまうこともある。 観光協会は組織されておらず、観光客への また本町銀座商店街には延床面積約5,000m 2 情報発信、観光客からの問合せ対応などに関 (敷地面積約2,500m2)の3階建て・大型量販店 しては各施設が個別に対応しており、市とし があったが、1年ほど前に撤退し、現在は廃墟 ての統一的な施策は講じられていない。 化している建物が残っている。中心部にある ため、市で土地建物を購入したが活用方法は 未定である。 (ヘ)財政状況 A市の財政力指数(指数が高いほど自主財源 割合が高く財政力が豊かな市町村)は0.5程度 (ホ)観光 とかなり低い水準で、しかも5年前より悪化し A市には観光施設として道の駅(A駅から ている。公債費比率(一般財源のうち地方債 1,000m程度離れた国道沿い、トイレと売店の 返還に充てられる金額の割合) 、経常収支比率 み、市役所が管理運営) 、陶芸館(地元出身の (比率が高いほど道路・公園整備など住民の新 陶芸家の記念館、道の駅に隣接、第三セクタ しいニーズに対応する余力がない) 、地方債残 研 究 11 高等を見ても、市の財政は硬直化し、極めて の低下などが生じ、 「住みにくい市」になって 厳しい状況である。市では財政再建のため、人 存在価値を下げる危険性が増大しており、地 件費削減などの徹底した経費削減策、効果的 域一体となった地域振興に取り組む必要があ な支出配分、新しい財源の捻出などに取り組 ることを強く認識できた。 もうとしている。 市長は地域振興に積極的であるが、財政状 況が非常に厳しいため、財政再建を優先する あまり、必要性の高い新規投資も抑制してい るようにも見受けられる。 ロ.問題点の抽出 このような現状を踏まえ、A市の問題点とし (2)目指すべき将来像・計画の方向性の明確化 イ.将来像と達成のための課題 ここでは現状を踏まえて、A市の将来像を以 下のように掲げた。 農業・製造業等の地域産業によって「A 市」の認知度が高まり、増加した交流人 て以下の点を指摘した。 口(観光客)によって地域経済が活性化 ・人口は減少傾向にある上、人口増加の兆し している観光都市 は見えない。 ・農産品や農産加工品は品質が高いものの、消 A市における問題点と将来像のギャップを整 費者の認知度が低いため、農家や製造業者 理したところ、将来像を達成するためには以 は安定的な収入確保が困難になっている。 下の3つの課題が設定できた。 ・観光施設は複数見られるが、魅力的な施設 (イ)知名度向上の活動主体となる 「組織づくり」 が少ないため、観光客は短時間滞在となり、 (ロ)観光客が長時間滞在する「拠点づくり」 地域経済全体への波及は少ない。 (ハ)観光客に満足感を与える 「歓迎意識づくり」 ・観光施設や観光資源に関する情報発信が不 十分であるため、周辺市町村に観光客を奪 われている。 ・市の財政状況は厳しく、まちづくりのため ロ.地域振興の3つの方向性 3つの課題に対して、それぞれの解決の方向 性として以下のものをあげた。 の資金を十分には確保できない。 ・市民や観光関係業者に、観光客を迎える心 (イ)観光関連組織の整理統合による新組織設立 (ホスピタリティ)が十分醸成されていると A市には豊富な産業資源(農産品・農産加工 は言い難い。 品)や観光資源があるにもかかわらず、市役 所、商工会議所、第三セクター、民間企業(農 こうした問題点を改めて整理すると、A市は 家、製造業者、旅館・ホテル等)などが別々 今後地域活力が低下し、税収不足、福祉水準 に情報発信をしているため、相乗効果が得ら 12 信金中金月報 2004.4 れず、市全体の知名度は高いとはいえない。そ 前の土産品販売店は既存の観光案内・土産品 のため周辺市町村からの観光客の入込みが少 販売の機能を道の駅に移管し縮小させ、空い なくなっている。 たスペースは立地条件を活かして売上増加が そこで民間企業の協力も得ながら複数ある 期待できる施設とする。商店街の大型店跡は 観光関係組織を一本化し、観光客増加のため 商店街や居住者、観光客のニーズに合致した の総合的な施策を講じることができる新組織 施設とする。 を設立する。新組織では、観光に関する情報 収集と効果的なPR、農産品を利用した新商品 (ハ)新組織の働きかけによる市民の意識改革 企画、各観光施設と連携したツアー企画等が A市には年間50万人超の観光客が来るにもか 主力業務となる。 かわらず、市内事業者の中には観光客に不親 この際、市役所では資金力、迅速性、機動 切な対応をしているところも見受けられる。ま 性に劣り、民間企業では公益性、関係者間の た一般市民も観光客に対するホスピタリティ 調整力に劣ると考えられるため、それぞれの (もてなす気持ち)が必ずしも十分でないと思 長所を活かし短所を補えるよう第三セクター われる。 による運営とする。ただし地域振興事業の責 そこで、新組織が中心となって、地域振興 任は行政が担うべきと考えるため、市役所が 計画の立案過程や実際の活動への資金面、労 過半の出資を行う。 力面での住民参加、市内の地域資源に関する 住民教育等を行いながら意識改革を行い、ホ (ロ)既存施設の再編・見直し等による拠点整備 スピタリティを持たせることとする。第一ス A市には道の駅、土産品販売店があるにもか テップとしては、市役所職員と住民、企業が かわらず、各施設の魅力不足や施設内容の重 市の将来像、地域振興の組織体制などについ 複があるなど特徴が見えにくい部分もある。ま て話し合う場を設ける。実際に地域振興の活 た、他に長時間滞在が期待できる施設も見当 動に対して住民参加を呼びかける場合には、す たらないため、観光客の回遊等による地域へ でにホスピタリティや地域振興への参加意識 の経済効果が低い。 が醸成されているボランティア団体、サーク そこで観光施設を、次のように再編・見直 し、新設することによって、各施設を特徴の 明確な拠点として整備する。 ル組織と最初に行い、成功体験を積み上げる。 住民教育は小中高校生・大学生を主な対象 とし、農業、芸術館などの地域資源に触れ合 道の駅は、観光客向け玄関口として売店を える機会を通じて、地域への愛着を持たせる 拡張し、市内での製造品・農産加工品や特産 と同時に、将来のA市を担える人材の育成も目 品を豊富にするなど品揃えを充実させる。さ 的とする。 らに売店に観光情報受発信施設を併設する。駅 研 究 13 (3)具体的施策策定のための要因分析と意向 把握 (ハ)住民の意識改革の成功要因 ・企画・計画段階からの、リーダーによる住 イ.先進事例からの成功要因分析 A市の地域振興の参考になるよう、方向性と 合致している先進事例を10地域以上調査した 上で、「第三セクターによる施設運営」「利用 される施設づくり」 「住民の意識改革」の成功 要因として以下のものを抽出した。具体的な 先進事例については4. で紹介している。 (イ)第三セクターが施設運営する際の成功要因 ・自助努力および行政支援の有効活用による、 収益状況の安定・収入源の確保 民に対する積極的な働きかけ・情報発信 ・学校教育等による住民のまちづくりへの関 心の高まり ・住民の日常活動の延長線上にまちづくり活 動を置き、参加しやすい内容構成 ・実際のまちづくり活動における住民の役割 提供 ロ.意向の把握 具体的な施策立案を行うにあたり、A市市 民・事業者の意向を把握するため、信用金庫 ・まちづくりへの意欲、企業経営のセンス、周 の取引先である地域住民と地域事業者合計約 囲への影響力を持ち、リーダーシップを発 300人にアンケートを実施した。アンケートで 揮できるリーダーの存在 は、商店街周辺および駅周辺に欲しい施設、ま ・地域内の広範囲にプラスの効果が波及する ちづくり活動への参加意欲について聞いた。 ことが見込まれるものに業務内容を限定 (イ)商店街周辺に欲しい施設 (ロ)利用される施設づくりの成功要因 ・想定される利用者の多様なニーズを踏まえ た施設構成、商品構成 商店街周辺に欲しい施設として、 「地物のレ ストラン」をあげる人が41%と多く、駐車場 35%、トイレ・休憩所33%、仮設屋根付き広 ・行政の積極的な支援、施設づくり・施設運 場25%、直売所23%と続いている。農産物が 営の工夫、ボランティアの活用等による利 名産であり、それらを利用した施設が望まれ 用者負担の軽減 ているのではないだろうか。 ・開業後も利用者ニーズに合わせた柔軟な対 応、積極的な投資 商店街内にある大型店跡では、これらの施設 をミックスさせることが検討できる(図表3) 。 ・地域還元、地元重視、信用・信頼・安全な ど明快なコンセプトの設定と徹底したコン セプト遵守 (ロ)駅周辺に欲しい施設 駅周辺に欲しい施設としては、アミューズ メント施設45%、喫茶店30%となっている。現 在駅前にある土産品販売、観光案内の必要性 14 信金中金月報 2004.4 も低くはない。現在の機能は残しながらも、さ 図表3 商店街周辺に欲しい施設 らなる施設の充実が望まれている(図表4)。 地物のレストラン 映画館やゲームセンターなど若年層が集まれ 駐車場 る施設が不足していると実感している人が多 トイレ・休憩所 いのではないか。 41 35 33 25 仮設屋根付広場 直売所 (ハ)地域振興活動への参加意欲 23 0 10 20 30 40 参加してみたい地域振興活動としては、 「実 際の活動」および「活動協力へのボランティ 50 (%) (備考)信金中金総合研究所作成、以下図表5まで同じ ア」をあげる人が26%と多くなっている。地 図表4 駅周辺に欲しい施設 域振興への参加意欲を持つ町民は少なくはな アミューズメント 45 く、実際に活動を進める際には協力を得られ る可能性が高い。地域振興計画の立案にも13% 喫茶店 が参加を希望しており、実際の活動時だけで 土産品販売店 はなく、当初の計画立案段階から参加しても 観光案内所 らうことも可能といえる(図表5)。 30 23 21 0 10 20 30 40 50 (%) (4)具体的な施策と行動プログラムの策定 イ.具体的な施策の策定 図表5 地域振興活動への参加意欲 実際の活動 26 ボランティア 26 先進事例および市民等の意向を踏まえて、 地域 振興の方向性に沿って、 A市の地域振興のために 以下の3つを具体的な施策としてとりまとめた。 「組織づくり」 小中学生教育 13 地域振興計画立案 13 0 5 10 15 20 25 30 (%) =仮称・㈱地域振興センターの設立 今回は観光がテーマであったため、笠原博 「拠点づくり」 =道の駅・土産品販売店・大型店跡の機能整理 「地域一体内発型の観光振興―地域資源を活か した住民・地元民間企業・行政一体の地域活 性化の取り組み―」 『信金中金月報』 (2003年6 「歓迎意識づくり」 =住民参加・住民教育体制整備 月号)で見た地域資源を活かす観光振興にも 留意している。 また、具体的な施策内容を考える上では、重 研 究 15 要な地域資源である「トマト」を利用するこ ームを発生させる品質の低い施設には経営改 とを中心に考え、さらに有名な陶芸家の集積 善を指導し品質を向上させることを要求する。 なども利用することを視野にいれて検討した。 新商品の企画・開発では、トマトを使った 新しい加工品を開発したり、周遊型旅行商品 (イ)仮称・㈱地域振興センターの設立 観光関連組織(市役所、商工会議所、既存 の第三セクター等)の機能(施設の管理運営・ の開発、学校教育に市内の施設や産業での体 験プログラムの導入を提案することなどが考 えられる。 観光客からの問合せ対応等)を集約・一本化 した新しい第三セクター(仮称・㈱地域振興 センター)を設立する。地域振興センターの (ロ)道の駅・土産品販売店等の機能整理 道の駅、土産品販売店、大型店跡に関して、 業務内容としては、①A市関連の情報発信、② 観光客の利便性を高めるとともに、各施設の 観光客からの情報収集・対応、③新商品の企 個性を全面に出し回遊性を高めるため、各施 画・開発があげられる。 設の機能を見直す。 A市関連の情報発信では、特産品のトマトお 道の駅は、国道に面しマイカーでの観光客 よび加工品の高い品質を広く認知してもらう が多く立寄っており、観光客を迎える玄関口 ため、小売店、飲食店・料理人、ホテル、市 と位置づける。売店を拡張し、駅前の土産品 場関係者、一般消費者等を招待した試食会の 販売店での取扱商品をここに集中させる(土 開催や、県内で行われる農業関係イベント・ 産品販売店は機能縮小) 。農産品・農産加工品、 展示会に参加し消費者への直接販売の実施な アルコールの他、陶芸館関連グッズ、お菓子、 どを行う。 おみやげ品等の品揃えで観光客のニーズに対 またセンターがホームページを作成し、そ 応する。 こで観光施設案内や当日の天気、道路の混雑 駅前の土産品販売店では、周辺に有名工房 状況などの情報を広く発信するとともに、ト の販売所がある立地条件を活かした施設活用 マト・加工品の通信販売も実施する。さらに を行う。具体的には、現在ある物産販売・観 観光パンフレットや観光ポスターも作成する。 光案内・事務所の規模を縮小して1階に集約し、 観光客からの情報収集・対応は、観光地と 2階にアミューズメント施設(陶芸体験館)お しての品質(観光客の満足度)を維持・向上 するための業務となる。具体的には宿泊施設、 よび陶芸作品直売所を開設する。 商店街の大型店跡は、アンケートで地物の タクシー、飲食店、観光ボランティアなどの レストラン、トイレ・休憩所、駐車場、屋根 予約窓口とクレーム受付窓口を一本化する。窓 付き広場、直売所を望む声が多かったことを 口を一本化することで、一定の品質以上の施 受けて、現施設の1階部分を建物に覆われた駐 設のみを観光客に紹介できるとともに、クレ 車場およびイベント広場として利用できるよ 16 信金中金月報 2004.4 うリニューアルし、2階を野菜(トマト)直売 設清掃等は住民のボランティアでの参加を要 所、トイレ・休憩所、直営レストラン(トマ 請するとともに、高齢者等に観光ボランティ トを利用したメニューが中心、地元陶芸家の アに就任してもらうよう要請する。さらに、市 作品を利用して提供)とし、3階は団体用食事 民等の主体的な参加を促すため、イベント開 スペースとしても利用できる研修所・ミーテ 催時や施設の運営スタッフとして、市内のサ ィングスペースとして利用する。 ークル組織や福祉施設等が参加しやすい役割 提供をすることが考えられる。 (ハ)住民参加・住民教育体制整備 住民教育では、意識改革への着手は若年層 市民のホスピタリティを高めるよう、地域 ほど効果的なため、若年層に地域への関心・ 振興における住民参加施策の立案ならびに住 誇り・愛着心を持たせるような施策を実施す 民への地域教育の体制整備をする。 る。たとえば観光パンフレット、観光マップ、 まずは、市役所が主体となって、地域振興 観光ポスターなどの作成を地元の高校生に依 の推進母体となる組織(地域振興検討会)を 頼することや小中学生を対象とする農業、陶 立ち上げる。この検討会はセンター設立の母 芸家と連携した体験型教育メニューを開発す 体となることやリーダーとなる人材を発掘す ることが考えられる。 ること、地域振興の担い手になるだろうメン バーを交流させることを目的としている。メ ロ.行動プログラム ンバーは20歳∼30歳代の若年者中心の10∼15 これまで見てきた施策を計画的に実施でき 人で、候補としては市役所係長クラス、青年 るよう、以下のような各主体者別年次別の行 会議所メンバー、小中学校教職員、ボランテ 動プログラムを作成した(図表6)。 ィア活動参加者、農家・加工品業者の後継ぎ、 今回は地域振興検討会を開催することから NPOメンバーなどである。検討するテーマは、 始め、検討会をベースに新組織を設立し、新 市の将来像・目標、大型店跡利用計画、地域 組織を中心として地域振興活動を展開してい 振興推進のための組織づくり(官民の役割分 く行動プログラムを作成した。 担)などがあるだろう。 また、新組織が活動を開始した後は、観光 実際に地域振興活動が始動した場合の住民 人口、市内事業所数、市内小売・サービス業 参加としては、資金面と労力面から参加協力 売上高、イベント等への参加ボランティア数 を要請する。資金面では、仮称・㈱地域振興 を定期的に把握することとし、さらに見直し センターの設立時に、経営体質の強化ととも た施設の利用人数、売上高、新組織への出資 に住民の参加意欲を高めるため一口5万円の出 者数、教育メニューに参加した小中学生数な 資を要請する。 ども把握することとした。こうしたデータは、 労力面では、経費削減のため、公園管理、施 新組織の株主のA市市役所や市民、事業所には 研 究 17 図表6 行動プログラム 初年度 行 政 企 業 ・ 団 体 2 年度 3 年度以降 ●地域振興検討会設置 ●観光客アンケート実施 ●センター設立支援 ●町民への地域振興アンケ ート実施 ●検討会への参加 ●トマトおよび加工品の品 質向上 ●新しい加工品の研究開発 ●センターへの出資 ●新しい加工品の製造販売 開始 ●検討会への参加 ●観光ボランティアとして 応募・活動開始 ●新組織への出資 ●芝生、花壇等公共施設管 理業務への参加 ●インターネットによる観 光情報HPの作成、開設 ●試食会の開催 ●施設予約窓口の一本化 ●周遊型新商品の開発 住 民 新 組 織 (備考)信金中金総合研究所作成 積極的に情報発信を行い、取組内容や進捗状 信用金庫550万円、その他民間企業7,950万円) 況などについて評価を受ける仕組みも盛り込 である。常勤社員11名(プロパー社員10名、の んだ。 と共栄信用金庫からの出向1名)、パート8人 (繁忙期)を地元から採用し、これらによって 4.地域振興の先進事例 ここではA市の地域振興の先進事例として取 材したものの中から、 「第三セクターによる施 設運営」「大型施設の再利用」「出資による住 民参加」の3事例を紹介する。 業務を遂行している。 業務内容はフィッシャーマンズワーフ「能 登食祭市場(図表7)」の運営・管理である。 「能登食祭市場」は七尾青年会議所等民間人が 中心となって作成した地域活性化のための構 想「七尾マリンシティ構想」の一環として、観 (1)第三セクター㈱香島津による施設運営 (石川県七尾市) 株式会社香島津は1990年6月に設立された、 光名所となる集客施設づくりおよび、地元の 祭りの情報発信スペースづくりを目的として 2 1991年9月開業した。施設の延べ面積は5,384m 資本金1億3,500万円の第三セクター(出資内 で、総工費15億5,000万円(土地は県・市所有、 訳:七尾市3,000万円、石川県1,000万円、鹿島 建物のみ㈱香島津所有)である。 郡6町600万円、商工会議所400万円、のと共栄 18 信金中金月報 2004.4 施設構成は、1階が能登祭歳時館(管理運営 図表7 能登食祭市場 は七尾市からの委託) 、広場・ホール、能登銘 販促活動を行っており、隣接する年間100万人 産工芸館(直営)、能登生鮮市場(地元企業8 以上の観光客の入込みがある和倉温泉各旅館 社に委託、浜焼きコーナーのみ直営)、2階が との連携、施設のリニューアル(2002年)等 研修室、団体食事等会場(以上直営) 、能登グ を実施している。 ルメ館(地元企業6社に委託)となっている。 年間80万∼90万人の入館者があり、開業後 (2)商店街内の旧大型店施設を福祉施設にリ 11年あまりで累計入館者1,000万人を突破した。 ニューアル(愛媛県新居浜市登道地区) 2002年度で施設全体の売上は約11億円となっ 社会福祉法人「はぴねす福祉会」は、2002 ている。当社の売上は直営施設の売上、テナ 年4月、新居浜市の中心市街地である登道商店 ントからの家賃(売上スライド) ・共益費であ 街の大型店舗跡をリニューアルして、高齢者・ り、直営およびテナントの売上が好調なこと 保健福祉総合施設「若水館」を整備した。施 もあって、開業以来、毎期黒字を確保してい 設の延床面積は約14,500m で、物件取得費約4 る。 億円を含めて総工費約25億円を要している。 2 施設内の飲食用品、物販用品の仕入れは地 施設構成は、デイサービスセンター、特別 元を優先させることで地域経済の活性化に寄 養護老人ホーム(定員70人、70人入所) 、介護 与しており、地元の仕入れ業者は半数以上の 老人保健施設(定員100人、100人入所) 、グル 36社となっている。またホールでは産品の商 ープホーム(定員27人、26人入所) 、ヘルパー 品展示会が開催されるなど、地域の情報発信 ステーション、居宅介護支援事務所等となっ 拠点ともなっている。本施設の完成が契機と ている。 なり、駅前での再開発事業も進捗し、1995年 地元商店街では、当初複合型商業施設とし に完成した。最近では能登食祭市場と駅前再 てリニューアルすることを検討していたが、入 開発ビルを結ぶ道路をシンボルロードとして 居するテナントを確保できず、社会福祉法人 整備が進められている。 によるリニューアルを決断した。当法人でも、 当社では、集客力を高めるため、精力的に すでに市内郊外で複数の福祉施設を運営して 研 究 19 いるが、郊外ではなく利便性の高い中心部の 行うために設立されたが、施設がある花咲地 都市型施設を望む利用者の声に対応すること 区全世帯の250戸が各3千円を出資している。当 を考えており、両者の意向が合致し当館が開 社の社長は村長であるが、実際の責任者は村 業された。 外から着任した支配人である。 当館の特別養護老人ホームや介護老人保健 花の駅周辺にはスキー場が多数ある立地で、 施設等の待機者数が、当法人の既存施設の待 当初は地域住民が10年来続けてきた花植え活 機者数をはるかに上回り(特養:待機約750人、 動(ボランティア)の活動拠点確保が建設の 介護:待機約180人)、利便性の高い中心部で 目的であったが、計画策定を進めるに伴い、特 の福祉施設需要の大きさがうかがえる。本館 産品の販売などまちづくりの拠点とすること への入所者を訪問する家族数も、他の郊外施 に発展した。施設の延べ面積は1,782m で、総 設に比べて都市中心部の施設である当館では 工費8億7,000万円で村負担となっている。 相当に多くなっている。 2 施設は、地下1階にギャラリー(著名な版画 また、当館では周辺から職員約180人を採用 家)、大広間、温泉があり、1階にはイベント し、就労機会拡大にも貢献している。さらに ホール、レストラン花咲(60席) 、おみやげコ 当館は食料品や日用品、食事などを地元商店 ーナー、展望テラスがある。おみやげコーナ 街から購入することで、地域経済の活性化に ーおよび駐車場では地元企業、農家が山菜、農 も寄与している。 山林品、農産加工品を直接販売している(販 登道商店街は、廃虚となっていた旧大型店 売手数料として売上の5∼10%を当社が徴収) 。 施設のリニューアルによって、イメージチェ 2002年年間利用者数は約17万人で、約92% ンジが図れ、歩行者も増加すると歓迎した。実 が村外からの利用者である。施設売上は年間2 際、入所者約200人および訪れるその家族、1 億円程度で、毎期黒字は確保している。収益 日平均30人以上の通所者が歩行することによ 源は入浴料(500円) 、売店・レストラン売上、 って商店街にも賑わいが出てきた。登道商店 体験イベント参加料、販売手数料など(役場 街振興組合ではすでにアーケードの改修を実 施したが、その後、高齢者や環境に優しい商 店街・商店づくりを積極的に進めるため、周 辺2商店街振興組合と合併した。 (3)地区内全住戸が出資、会社運営にも参画 (群馬県利根郡片品村花咲地区) 株式会社片品村振興公社は、1998年10月に 開業した花の駅・片品(図表8)の管理運営を 20 信金中金月報 2004.4 図表8 花の駅・片品 からの補助はなし) 。集客力向上のため、自然 観察会、かかし祭り、鯉のぼり、スノーウォー 企業から仕入れている。 住民出資型会社の設立目的は、住民の手に キングなどのイベントを絶えず企画している。 よる施設運営が成功の近道と考えたためであ パートは地域住民(特に女性)を採用し、レ る。住民は出資することによって施設をより ストランでは従業員の手作りの食事を提供し 身近なものとして受け止め、さらに農家は山 ている。また、周辺のペンション利用者には 菜や農産品を当施設で積極的に販売している 入浴料を2割引とするなど協調関係も構築し、 ほか、100名程度はボランティアで施設内広場 レストランでは可能な限り地元産(ざる豆腐、 の植栽や除草、イベント手伝いなどを行って 湧き水のコーヒー等)の食材を利用し、地元 いる。 研 究 21 日本経済の中期展望 −04∼08年度の年平均実質成長率は1.9%と予測− 信金中央金庫 総合研究所主任研究員 角田 匠 (要 旨) 1.今後5年間の年平均実質成長率は1.9%と予測―民需主導の自律回復は07年度以降 04年度から05年度の景気は、輸出と設備投資を中心に堅調な推移が予想されるが、個人消費 の本格回復までは期待できない。06年度には、米景気の減速などで日本の景気も調整局面とな ろうが、構造調整が一巡する07年度以降は、企業部門の回復が家計の所得増を通じて個人消費 に波及するといった景気の自律回復メカニズムが働き始める可能性が大きい。 2.家計部門の回復力は緩慢―税・社会保障負担増が個人消費の抑制要因 雇用・所得環境は足元で悪化に歯止めがかかったが、企業のコスト削減姿勢は根強く、05年 度までは下押し圧力が大きい。06年度以降は、景気回復に応じた雇用・所得の回復が期待でき るが、家計の税・社会保障負担の増加が続くため、可処分所得の回復テンポは抑制されよう。 実質個人消費は予測期間を通して1%台の伸びにとどまると予想される。 3.設備投資は引き続き景気回復のけん引役―05年度以降は非製造業も回復へ 設備投資は企業収益の回復を背景に回復テンポを高めている。一方、過剰設備の廃棄も続け ており、製造業を中心にストック調整は進展している。スクラップ・アンド・ビルドによる産 業の活性化で、企業部門は好循環に入ってきたとみられる。非製造業のストック調整がほぼ一 巡すると想定している05年度以降は、設備投資の裾野が広がる可能性がある。 4.需給ギャップの縮小テンポは緩やか―GDPデフレーターのプラス転換は07年度と予測 コア消費者物価(生鮮食品を除く総合)でみたデフレは05年度中に解消すると想定した。 GDPギャップが解消するにはなお時間を要するが、07年度にはGDPデフレーターもプラスに 転換しよう。当研究所の予測を前提に、量的緩和の解除は05年度下期と想定した。長期金利も 名目成長率の回復に応じて、徐々に水準を切り上げると予想される。 (注) 1.本稿は2004年2月末現在のデータに基づき記述されている。 22 信金中金月報 2004.4 図表1 GDP成長率の推移と予測 (単位:%) 2002年度 03年度 04年度 05年度 06年度 07年度 08年度 〈実績〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 1.2 2.8 2.1 2.0 1.4 2.4 1.7 実 質 G D P 1.0 1.3 1.2 1.3 1.3 1.8 0.6 個 人 消 費 △ 2.1 0.1 △ 0.1 △ 0.1 △ 0.1 2.3 0.1 住 宅 投 資 △ 3.3 10.2 7.1 7.6 3.7 6.5 7.1 設 備 投 資 △ 5.0 △ 10.6 △ 7.6 △ 5.3 △ 3.9 △ 2.3 △ 2.6 公 共 投 資 0.8 )( 0.8 )( 0.4 )( 0.0 )( 0.2 )( △ 0.0 )( △ 0.1 ) 純輸出(寄与度) ( △ 0.7 0.5 0.4 0.9 0.7 2.5 2.3 名 目 G D P (備考)内閣府『国民経済計算年報』より作成。予測は信金中金総合研究所 ぶりのマイナスとなったが、7∼9月は1.3%増 1.今後5年間の年平均実質成長率は 1.9%と予測―民需主導の自律回復は 07年度以降 とプラスに転じ、10∼12月は3.6%増と87年7∼ 9月以来、約16年ぶりの高い伸びを記録した (図表2)。 (1)足元の景気は回復基調―輸出、生産は持 輸出、生産の回復を背景に企業マインドは ち直しの動きを強める 底堅く、設備投資も回復傾向にある。設備投 景気回復のけん引役である輸出は、03年前 資の先行指標である機械受注(船舶・電力を 半の調整局面を脱し、持ち直しの動きを強め 除く民需)は、03年7∼9月に前期比マイナス ている。輸出数量指数(季節調整値)の前期 となったものの、10∼12月は11.3%増と現行統 比をみると、03年1∼3月の0.1%増をボトムに、 計開始以来、最も高い伸びを示した(図表3) 。 4∼6月0.9%増、7∼9月1.1%増、10∼12月4.8% こうしたなか、04年2月18日に発表された03年 増と期を追って伸びを高めた。輸出の増加を 10∼12月の実質成長率は、前期比1.7%(前期 受けて、生産活動の回復も鮮明になっている。 比年率7.0%)と7∼9月の前期比0.6%から加速 鉱工業生産の前期比は、03年4∼6月に6四半期 した。輸出から輸入を差し引いた純輸出が実 図表2 鉱工業生産指数と輸出数量指数の推移 (季節調整値) 図表3 機械受注と名目設備投資の推移 (年率換算値) (兆円) (2000年=100) 110 (兆円) 13 85 輸出数量指数 生産指数 機械受注 1∼3月 見通し 80 105 100 12 75 11 70 10 95 90 設備投資(名目GDPベース)左目盛 機械受注(船舶・電力を除く民需)右目盛 85 98 99 00 01 02 (備考)1.シャドー部分は景気後退期 2.財務省『貿易統計』などより作成 03 04 65 98 99 00 01 02 03 (年) 04 9 (年) (備考)内閣府『四半期別GDP速報』、 『機械受注統計』より作成 調 査 23 質成長率を0.4ポイント押し上げるなど、引き 10∼12月も前期比プラスとなった。このとこ 続き外需主導ではあるが、日本経済は回復の ろのユーロ高が懸念材料ではあるが、企業マ テンポを高めた。 インドが持ち直していることや所得税減税の 実施などで、04年の実質成長率は1.3%と回復 (2)米国を中心に04年の海外景気は回復テン に向かうとみられる。 ポを高めると予測 アジア経済も対米輸出の増加や中国を中心 米景気は着実に回復軌道をたどっている。03 とした域内需要の拡大で、04年も景気拡大が 年10∼12月の実質成長率(暫定推定値)は前 続くとみられる。米国、英・独・仏、アジア 期比年率4.1%と7∼9月の8.2%から鈍化したが、 主要9カ国(注)2のGDPを加重平均した海外の実 追加減税で7∼9月に急増した個人消費の反動 質成長率は、01年の1.3%をボトムに02年2.2%、 による影響が大きい。減税に伴う税還付が実 03年2.5%と持ち直し、04年は3.7%まで回復す 施される04年1∼3月は、再び個人消費の伸び ると予想される(図表4)。 が高まる可能性がある。雇用情勢にも底打ち 日本の輸出企業にとって、円高・ドル安が 感が出てきたことに加え、設備投資もIT関連 懸念材料であるが、輸出競争力の低下は海外 をけん引役に回復傾向を強めているため、今 景気の回復テンポの高まりである程度は相殺 後も米景気は前期比年率3∼4%程度の巡航速 される。極端な円高の定着が回避されること 度での成長を維持できると予想される。 が条件ではあるが、海外経済の順調な回復を ヨーロッパ経済も米景気の回復を受けて持 ち直してきた。03年のドイツの実質成長率は 背景に、日本の輸出は、04年度にかけて伸び を高めよう。 0.1%減と10年ぶりのマイナス成長を余儀なく されたが、四半期ベースでは7∼9月に続いて 図表4 海外の実質成長率と日本の輸出数量の前年比 (%) 6 5 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 (%) 予測 海外の実質成長率(左目盛) 日本の輸出数量の前年比(右目盛) 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 16 14 12 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 -10 (年) (備考)1.海外の実質成長率は米国、英独仏、アジア主要9カ国の実質成長率を加重平均して算出 2.予測は信金中金総合研究所 (注) 2.アジア主要9カ国は、韓国、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、中国 24 信金中金月報 2004.4 (3)04∼05年度の日本経済は企業部門を中心 も家計の税・社会保障負担増が1兆円に達する に回復が続く とみられ、可処分所得の本格回復は期待でき 04年度は、03年度に続き輸出主導でプラス ない。個人消費は実質で1%台前半の緩やかな 成長を維持しよう。企業収益は輸出競争力の 回復にとどまろう。 高い大企業製造業を中心に増益基調が続くと 今回の予測では、02年1月を景気の「谷」と みられ、設備投資は堅調な推移が予想される。 する回復局面が、輸出と設備投資をけん引役 ただ、04年度も不良債権の最終処理に伴う不 に05年度まで継続すると想定している。回復 振企業の整理・淘汰が続くなど、構造調整圧 期間としては50カ月超となり、戦後の平均的 力は残る。国際競争が激化するなか、企業はコ な回復期間(33.1カ月)を上回ることになる スト削減の姿勢を継続すると考えられ、雇用者 が、これは、03年前半に米景気減速で生産の 所得の伸びは今後も抑制される可能性が大き 前年比が一時マイナスとなるなど調整局面を い。また、家計の税・社会保障負担の増加は04 経ていることが一因である。たとえば、90年 年度も1兆円を上回ると試算される。個人消費 代半ばの景気回復(93年10月「谷」∼97年5月 は04年度も横ばい圏の動きが続くと予測した。 「山」)は、回復途上に円高の影響で一時的な 05年度は、海外景気の拡大テンポがやや鈍 調整局面があったため、拡張期間は43カ月の 化すると予想されるが、アジア向けを中心に 長期に及んだ(図表5)。しかも、97年の景気 輸出は底堅い推移を続けよう。構造調整が山 後退は、4月からの消費税率引き上げ(5兆円 場を越えることで、設備投資の裾野は徐々に の増税) 、特別減税の廃止(2兆円の増税) 、社 広がりをみせると考えられる。設備投資は引 会保険料の引き上げ(2兆円の負担増)など、 き続き景気拡大のけん引役となろう。一方、企 合計9兆円程度の家計負担増があったためで、 業のリストラ圧力は徐々に弱まるが、雇用情 こうした大規模な増税策が実施されなければ 勢の改善テンポは緩やかと想定した。05年度 景気拡大はさらに長期化した可能性もあった。 図表5 鉱工業生産の前年比と景気循環 (%)80/2 15 「山」 83/2 「谷」 85/6 86/11 「山」 「谷」 91/2 「山」 93/10 「谷」 97/5 99/1 「山」 「谷」 00/10 02/1 「山」「谷」 10 5 0 -5 -10 一時的な調整局面 -15 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 (備考)シャドー部分は景気後退期。経済産業省『生産・出荷・在庫』より作成 (年) 調 査 25 また、足元の在庫水準は低く、当面は在庫調 構造調整の一巡で、07年度以降は、輸出や 整に起因する景気後退も考えにくい。過去の 設備投資など企業部門の回復が、家計の所得 局面との単純な比較はできないが、一時的な 増を通じて個人消費に波及するといった景気 調整局面から持ち直したことで、今回の景気 の自律回復メカニズムが働き始める可能性が 回復は長期化すると考えられる。 大きい。07年度の実質成長率は、設備投資と ただ、予測どおりに推移したとしても、景 個人消費の回復で2.4%と予測した(図表6) 。 気の本格回復を実感できる状況には達しない 順調に成長軌道をたどれば、需給ギャップ 可能性が大きい。実質成長率は03年度2.8%、 は07年度に解消されるとみられ、名目成長率 04年度2.1%、05年度2.0%と3年連続で2%台の も2%を上回ってこよう。デフレの解消で、家 伸びを予想しているが、GDPデフレーターの 計の景況感も大きく上向くとみられる。ただ、 大幅な下落で嵩上げされている。名目ベース 予測の前提として、06∼07年度に定率減税の では、03年度0.5%、04年度0.4%、05年度0.9% 段階的廃止(国税、地方税合計で3.3兆円の増 と緩やかな景気回復にとどまると予測した。 税) 、08年度に消費税率の1%引き上げ(1%で 2.4兆円の増税)を想定している。このため、 (4)民需主導の自律回復は07年度以降 07年度は、年度末にかけて駆け込み需要があ 06年度は、米国の実質成長率が利上げの影 るが、08年度はその反動で成長率はやや鈍化 響などから2%台に鈍化すると想定しており、 すると予想される。なお、08年度までの年平 国内生産も輸出の伸び鈍化と在庫調整を主因 均実質成長率は1.9%と予測した。 に調整局面となろう。ただ、雇用・債務・設 備の3つの過剰の調整は、05年度にほぼ終了す るとみられ、バブル崩壊後のような厳しい景 2.家計部門の回復力は緩慢―税・社 会保障負担増が個人消費の抑制要因 (1)雇用・所得環境の悪化に歯止め。ただ、 気後退は避けられると予想される。 引き続き雇用調整圧力は強い 図表6 今後5年間のGDP成長率の予測 足元の雇用情勢は、生産活動の回復などで (%) 予測 3 悪化に歯止めがかかっている。雇用情勢に敏 2 感に反応する有効求人倍率は、02年2月の0.51 1 倍をボトムに04年1月には0.77倍まで上昇した。 0 失業率は03年1月の5.5%をピークに低下傾向で -1 推移し、03年12月には4.9%、04年1月は5.0% 実質GDP 名目GDP -2 -3 00 01 02 03 04 05 06 07 となった(図表7)。 08 (年度) (備考)内閣府資料より作成。予測は信金中金総合研究所 26 信金中金月報 2004.4 所得面をみると、03年度は大企業のボーナ スが増加に転じるなど持ち直しの動きがうか がえる。名目賃金指数の前年比をみると、比 際に、企業からみた雇用の過剰感は依然とし 較的規模の大きい事業所(従業員数30人以上) て解消されていない。雇用の過不足を示す雇 に限定すると、10∼12月は前年比0.5%増とプ 用人員判断D.I.(日銀短観、全規模・全産業) ラスに転じた。ただ、中小企業の賃金は依然 をみると、01年12月調査の21%ポイントの過 として減少しており、小規模事業所を含むベ 剰「超」から徐々に低下してきたが、直近の ース(事業所規模5人以上)では、前年比0.8% 03年12月も9%ポイントの過剰「超」と、雇用 減(10∼12月)と低迷している(図表8)。 の過剰感が払拭される状況には至っていない。 足元の雇用・所得環境の悪化には歯止めが 企業の売上高に対する人件費の比率をみても、 かかったが、企業は引き続き人件費の抑制な 03年7∼9月は13.5%と過去と比較して高水準で どコスト削減の姿勢を継続するとみられる。実 ある(図表9)。雇用の過剰感が解消されるま 図表7 雇用者数の前年差と失業率 図表8 名目賃金指数の前年比 (万人) (%) (%) 100 80 4 5 3 60 2 40 4 1 20 0 0 3 -1 -20 -2 -40 2 -60 -80 -3 雇用者数の前年差(左目盛) 失業率(右目盛) 95 96 97 98 事業所規模30人以上 事業所規模5人以上 -4 99 00 01 02 03 1 (年) (備考)総務省『労働力調査』より作成 -5 95 96 97 98 99 00 01 (備考)厚生労働省『毎月勤労統計』より作成 02 03 (年) 図表9 売上高に対する人件費の比率と雇用人員判断D.I. (%) (%ポイント) 試算 40 14.3 30 13.8 20 13.3 雇用過剰 10 12.8 0 12.3 -10 過少 -20 -30 ①00年のペース 05年1∼3月 雇用人員判断D.I.(左目盛) 売上高人件費比率(右目盛) -40 -50 11.8 雇用人員判断D.I.がゼロとなる 売上高人件費比率(12.3%) 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 ②足元のペース 06年1∼3月 00 01 02 03 04 11.3 10.8 10.3 05 06 9.8 (年) (備考)1.雇用人員判断D.I.を売上高人件費比率で推計し、D.I.がゼロとなる人件費比率(12.3%) を企業の雇用調整が一巡するラインとし、雇用調整終了時期を試算した。 2.①は03年10∼12月以降の売上高増加率と人件費減少率を00年と等しいと仮定 ②は03年10∼12月以降の売上高増加率と人件費減少率を03年7∼9月と等しいと仮定 3.財務省『法人企業統計季報』、日本銀行『短観』より作成。試算は信金中金総合研究所 調 査 27 では、企業は不採算部門の雇用削減や、新規 保険料の引き上げも決定しており、04年度の家 採用、賃金の抑制を継続すると考えられる。 計の負担増(給付増減を含む)は、1.13兆円程 そこで、雇用調整が終了する時期を雇用人 度と03年度に続き1兆円を上回ると試算される。 員判断D.I.と売上高人件費比率の関係から推計 厚生年金の保険料率は毎年0.354%(労使折 してみた。推計結果によると、D.I.がゼロ(過 半)ずつ引き上げられるため、05年度以降も 剰雇用解消)となるためには、人件費比率を 毎年4,000億円の負担増となる。さらに、05年 12.3%まで低下させる必要があり、今後の売上 4月からは自営業者などが加入する国民年金保 高増加率と人件費減少率を03年7∼9月と同じ 険料の引き上げが開始されるほか、雇用保険 ペースと仮定した場合、その水準に達する時 料も引き上げられるため、05年度の家計の負 期は06年1∼3月となる。前回の景気拡大期で 担増も1.00兆円に達しよう。 ある2000年のペースを見込んでも、雇用の過 06年度の家計の負担増は、厚生年金、国民 剰感が解消されるのは05年1∼3月となる。雇 年金など合計で6,200億円とやや減少するが、3 用調整が一巡するためには、少なくとも1年程 年に1度の介護保険の見直しが予定されており 度を要すると考えられる。 負担増は膨らむ見通しである。また、今回の 過剰雇用が解消する06年度以降は、景気拡 予測の前提として、06∼07年度にかけて、現 大に応じた雇用増が期待できる。景気の回復 行の定率減税が段階的に廃止されると想定し テンポが高まると想定している07年度以降は、 ている。全廃すれば、国、地方合計で3.3兆円 雇用情勢も本格的な回復局面を迎えよう。 の負担増となるだけに影響は大きい。06年度 以降は雇用調整の一巡で雇用者所得の回復も (2)税・社会保障負担増が可処分所得の回復 を抑制 期待できるが、税負担の増加で可処分所得の 回復テンポは抑制されるとみられる。 雇用者所得など家計の収入が伸び悩むうえ に、税・社会保障負担の増加が家計の可処分 (3)個人消費の回復テンポは緩やか―現役世 所得の回復を抑制しよう。03年度は健康保険料 代の貯蓄補填の動きが消費を抑制 や医療費の自己負担比率が引き上げられたほ 賃金の伸び悩み、税・社会保障負担の増加 か、酒税・たばこ税が相次いで増税となったこ で可処分所得は一段と抑制されているものの、 となどで、家計の税・社会保障負担(給付減を 足元の個人消費は意外に底堅い。03年10∼12 含む)は1.86兆円程度増加している(図表10) 。 月の実質個人消費は、前期比0.8%増(前年比 04年度には配偶者特別控除の上乗せ部分廃 2.1%増)と堅調に推移した。衣料品や食料品 止で4,000億円程度(平年度5,000億円)の増税 は天候不順などの影響で低迷したが、DVDレ となる。年金給付の減額(03年物価下落分、 コーダー、デジタルカメラ、薄型テレビとい 0.3%減)や、公的年金等控除の縮小、厚生年金 ったデジタル家電の需要増が個人消費を下支 28 信金中金月報 2004.4 図表10 今後の税・社会保障制度の変更に伴う家計の負担増減額 実施年月 ポ イ ン ト 04年 1 月 配偶者特別控除・上乗せ分(最高38万円)の所得控除廃止 (平年度、国税5,000億円+地方税2,000億円) 04年 4 月 年金給付額の物価スライド適用(03年△0.3%) 負担額 (※)年度計 1,000億円 03年度計 健保、タバコ他 1.86兆円 1,200億円給付減 消費税の事業者免税点の上限引き下げなど 上限3,000万円→1,000万円 5,000億円 〃 児童手当(支給対象年齢延長)〈就学前→小3終了時〉 1,700億円給付増 〃 住民税均等割り(市町村)の人口区分廃止 6 月 (年2,000∼3,000円→一律3,000円) 400億円 厚生年金保険料の引き上げ(毎年0.354%労使折半) 10月 13.58%→2017年度18.30%(労使折半) (平年度、家計負担4,000億円) 2,000億円 高齢者への所得課税強化 (公的年金等控除の最低控除額を140→120万円) 05年 1 月 (65歳以上・老年者控除50万円の廃止) (平年度、国税2,400億円+住民税1,400億円) 05年 4 月 400億円 国民年金保険料の引き上げ(月280円) 月1万3,300円→2017年度・月1万6,900円 700億円 〃 雇用保険料引き上げ(1.4%→1.6%労使折半) 6 月 配偶者特別控除・上乗せ分控除廃止(住民税) 10月 厚生年金保険料の引き上げ(毎年0.354%労使折半) 06年 4 月 1,500億円 1,700億円 4,000億円 介護保険見直し(自己負担比率1割→2∼3割) (徴収対象年齢40歳以上→20歳以上) 〃 国民年金保険料の引き上げ(月280円) 6 月 高齢者への所得課税強化(住民税) 10月 厚生年金保険料の引き上げ(毎年0.354%労使折半) 04年度税制改正で先送りされた主な増税策 定率減税の縮減・廃止 (平年度、国税2兆5,000億円、住民税8,000億円) 消費税率引き上げ(1%で2兆4,000億円) その他 04年度計 1.13兆円 05年度計 1.00兆円 未定 700億円 1,200億円 4,000億円 06年度計 0.62兆円+α 廃止で3.3兆円 1%で2.4兆円 年金給付減の凍結分(6,800億円)…物価上昇時に調整 収入100万円超の配偶者の住民税均等割りの新規負担 (備考)1.(※)年度計には、制度変更の平年度化に伴う負担増を含むため、内訳の合計とは一致しない。 2.信金中金総合研究所作成 えした(図表11)。 ただ、堅調な消費は、貯蓄の取り崩しで支 ット効果(注)3」が働き、個人消費は堅調に推移 している。 えられている面も少なくない。01年後半から この結果として、90年代半ばから00年度ま 02年にかけて、雇用者所得は前年比で3%前後 で10%前後で推移してきた家計貯蓄率は、02 のマイナスで推移したが、名目消費は同1%程 年度に6.2%まで低下した(図表13) 。また、貯 度の減少にとどまった(図表12) 。足元でも雇 蓄を取り崩して生計を営む高齢者世帯の増加 用者所得が減少するなか、貯蓄の抑制や取り も貯蓄率低下の一因である。中長期的にも高 崩しで消費水準を維持しようとする「ラチェ 齢化の進行が貯蓄率の低下要因となろう。 (注) 3.消費は過去の水準に依存する傾向があるため、景気低迷で所得が落ち込む局面では、貯蓄を抑制して消費水準を維持しよう とする。所得の落ち込みに比べて個人消費の落ち込みは相対的に小さくなり、景気全体の落ち込みを緩和することとなる。景 気の悪化に歯止め(ratchet)をかけるという意味で、ラチェット効果と呼ばれている。 調 査 29 図表11 主なデジタル家電の出荷台数 図表12 雇用者所得と個人消費の前年比 (単位:上段;国内出荷・万台、下段;前年比・%) 01年 デジタルカメラ DVDレコーダー・ プレーヤー 02年 5 03年 483 655 844 4 63.8 35.6 28.8 3 171 338 520 2 103.5 97.7 54.0 1 0 デジタルビデオ カメラ 128 136 164 △ 4.4 6.4 20.9 プラズマテレビ 7 19 24 ― 177.0 24.7 液晶テレビ (%) 68 101 153 59.0 48.4 51.9 -1 -2 実質個人消費 名目個人消費 雇用者所得 -3 -4 (備考)電子情報技術産業協会資料などより作成 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 (年) (備考)内閣府『四半期別GDP速報』より作成 ただ、雇用調整が一巡し、雇用・所得環境 る。このため、07年度は後半にかけて駆け込 の改善が進んだ段階で、現役世代はこれまで み需要が押し上げ要因となり、実質個人消費 の貯蓄不足を補填する動きに転じると考えら は前年比1.8%増まで伸びを高めるとみられる れる。所得の増加分を消費に回さず、貯蓄率 が、08年度にはその反動で0.6%増へ鈍化する を高めるような行動を選択すると予想される。 と予測した(図表14)。 今後5年間の家計貯蓄率は、高齢化による押し なお、04年度税制改正では、05∼06年度に 下げ要因を現役世代の貯蓄補填の動きが相殺 定率減税の縮減・廃止、07年度に消費税を含 するため、6%台前半の横ばい圏で推移しよう。 む抜本改革というシナリオが議論された。た 現役世代が貯蓄率を維持・改善しようとす だ、この場合、雇用調整が一巡する前の大規 る結果、予測期間中の個人消費が大幅に増加 模増税、民需主導の自律回復が実現する直前 する可能性は低い。また、予測の前提として、 の消費税率引き上げになる可能性が大きく、こ 08年度に1%の消費税率引き上げを想定してい のタイミングの増税は、景気の自律回復を阻 図表13 家計貯蓄率の推移(GDPベース) 図表14 実質個人消費の前年比(予測) (%) (%) 16 14.4 14 13 1.8 15.0 15 13.1 13.1 1.4 12.9 12 1.2 11 11.0 10.8 予測 10.7 1.0 10.7 10 9.7 9 0.8 9.1 8 7 6.5 6 5 90 92 94 95 98 00 6.7 6.2 6.2 02 6.4 6.4 04 06 6.1 信金中金月報 2004.4 08 (年度) 〈メインシナリオ〉 0.6 定率減税段階的廃止(06∼07年度) 消費税率引き上げ(08年度) 0.4 〈リスクシナリオ〉 0.2 定率減税段階的廃止(05∼06年度) 消費税率1%引き上げ(07年度) 6.3 (備考)内閣府資料より作成。予測は信金中金総合研究所 30 予測 1.6 0.0 00 01 02 03 04 05 06 07 (備考)内閣府資料より作成。予測は信金中金総合研究所 08 (年度) 害することになろう。 譲住宅は一次取得者が中心で、地価下落によ る既存住居の売却損などの影響を受けないこ (4)持ち家の買い替え、建て替えは進まず、 とも一因である。 住宅投資は底ばい圏の動き 住宅投資は、06年度まで底ばい圏の推移が 03年4∼12月の住宅着工件数は、住宅ローン 続くと予測した。雇用・所得環境の本格的な 減税の期限切れ(03年12月末入居)を前にし 好転が期待できないうえ、地価の下落も続く た駆け込み需要が寄与し、年率換算で116.4万 とみられ、持ち家の建て替えや、買い替えが 戸と02年度の114.6万戸を上回った。ただ、そ 本格回復に向かう可能性は小さい。分譲住宅 の水準は低く、98年度以降の底ばい状態は脱 についても、ここ数年、大規模マンションの し切れていない(図表15) 。この主因は、持ち 供給が続いてきたこともあって、一段の増加 家の着工低迷である。持ち家は95年度前後に は期待できない。 年間50∼60万戸で推移したが、その後は低迷 一方、住宅ローン減税が継続されることは が続き02年度は36.6万戸まで落ち込んだ。持ち プラス材料である(図表16) 。これまでの減税 家建設は建て替え需要が中心で、雇用や所得 制度は、04年に減税額が大幅に縮小され、05 の将来不安から老朽化した住宅の建て替えを 年には廃止される予定であったが、やや規模 先送りしていることが背景にある。一方、マ を縮小して08年まで継続されることとなった ンションを中心とした分譲住宅は、バブル崩 (法案通過後)。ただ、一次取得者の需要が一 壊以降、おおむね30万戸台で推移しており、歴 巡していることもあって、減税継続による住 史的にみても高水準が続いている。地価の下 宅投資の刺激効果は限定的と考えられる。 落を背景に、低価格で好立地の物件の供給が 07年度には、景気の本格回復で家計のマイン 増えていることなどが要因である。また、分 ドも上向こう。地価の下落にも歯止めがかかる 図表15 住宅着工戸数の推移(総合計、持ち家、分譲住宅) 〈住宅着工戸数〉 〈持家〉 (万戸) (万戸) 70 60 50 40 30 20 10 0 180 160 140 65 70 75 80 85 90 95 00(年度) 90 95 00(年度) 120 〈分譲住宅〉 (万戸) 100 80 60 65 70 75 80 85 90 95 (備考)1.03年度は03年4∼12月の年率換算値 2.国土交通省『建設統計月報』より作成 40 35 30 25 20 15 00(年度) 10 5 0 65 70 75 80 85 調 査 31 図表16 住宅ローンの減税案(04年度税制改正) 入居時期 04年末 借入残高最高額 5,000万円 05年末 4,000万円 06年末 3,000万円 07年末 2,500万円 08年末 2,000万円 (参考)旧制度 03年末 5,000万円 期 間 10年 1 ∼ 8 年目 9 ∼10年目 1 ∼ 7 年目 8 ∼10年目 1 ∼ 6 年目 7 ∼10年目 1 ∼ 6 年目 7 ∼10年目 控除率 1.0% 1.0% 0.5% 1.0% 0.5% 1.0% 0.5% 1.0% 0.5% 減税最高額 50万円×10年 =500万円 40万円× 8 年 =360万円 20万円× 2 年 30万円× 7 年 =255万円 15万円× 3 年 25万円× 6 年 =200万円 12.5万円× 4 年 20万円× 6 年 =160万円 10万円× 4 年 10年 1.0% 50万円×10年 =500万円 1.0% 20万円× 6 年 04年末 3,000万円 6年 =150万円 0.5% 5 万円× 6 年 ※04年の控除率は借入残高2,000万円以下の部分が1%、2,000万円超から3,000万円以下の部分が0.5% 05年∼ 減税廃止 (備考)財務省資料より作成 とみられる。ただ、65歳未満の世帯数は、04年 実質設備投資は前年比10.2%増と大幅な増加に をピークに減少に転じる見通しで、住宅建設が 転じると予想される。 過去のブーム期のような盛り上がりを示す可能 設備投資の回復をけん引しているのは、IT 性は小さい。実質住宅投資の5年間の平均増加 (情報技術)投資である。アジアを中心とした 率は0.4%とほぼ横ばいにとどまると予測した。 電子部品の需要回復やデジタル家電の需要増 に対応して、電気機械を中心にIT投資が拡大 3.設備投資は引き続き景気回復のけ ん引役―05年度以降は非製造業も回 復へ している。実際に、機械受注統計からIT産業 によるIT投資(注)5を抽出してみると、02年前半 図表17 企業収益と設備投資の前年比 (1)IT関連を中心に設備投資の回復が続く 家計部門の回復力が緩慢にとどまる一方、景 気のけん引役として期待できるのは設備投資 (%) (%) 20 40 15 30 10 20 である。法人企業統計季報(注)4によれば、輸出、 5 10 生産の回復を背景とした企業収益の拡大を主 0 0 因に、設備投資は03年4∼6月に前年比プラス -5 -10 -10 -20 -15 -30 に転じた(図表17) 。実質GDPベースでは、03 年10∼12月に前期比5.1%増と拡大した。研究 -20 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 開発・IT投資減税や排ガス規制に伴うトラッ 設備投資(左目盛) クの買い換え需要も加わって、03年度平均の 信金中金月報 2004.4 経常利益(右目盛) (備考)財務省『法人企業統計季報』より作成 (注) 4.金融・保険を除く資本金1,000万円以上の営利法人 5.IT産業は、電気機械、通信、情報サービス。IT投資は電子・通信機器への投資 32 -40 (年) に底入れし、03年に入ってから急速に回復テ ンポを高めている(図表18)。 図表18 IT関連投資(機械受注)の推移 (95年=100) IT産業によるIT投資(27.4%) IT産業以外の産業によるIT投資(27.6%) 非IT投資(45.1%) 150 過剰設備の調整が進展してきたことも設備 140 投資が回復に転じた一因である。法人企業統 130 計季報から売上高に対する資本ストック(有 110 形固定資産+建設仮勘定)の比率を算出し、そ のトレンドからのかい離を過剰設備とすると、 製造業の過剰設備は直近(03年9月末)で9.6兆 円とバブル崩壊以降の最低水準まで縮小して いる(図表19) 。非製造業の過剰設備は同19.4 兆円とバブル崩壊後のボトム水準には達して いないが、直近のピーク(02年12月末30.3兆 円)からは約11兆円縮小している。 120 100 90 80 70 60 50 96 97 98 99 01 02 03 (年) 図表19 過剰設備の推移 (兆円) 70 60 とらえても、ストック調整の進展が確認でき 50 45.5 非製造業 製造業 31.6 40 30.3 30 増まで鈍化した(図表20) 。特に、製造業は03 00 (備考)1.各指数とも、6カ月移動平均。IT産業は(注)5. 参照 2.カッコ内は2002年の民需に占める構成比 3.内閣府『機械受注統計』より作成 資本ストックの動向を設備投資循環図から る。03年7∼9月の資本ストックは前年比1.4% 95 17.9 20 年4∼6月に前年比1.1%減と、統計調査開始以 10 来、初めてマイナスに転じ、7∼9月も1.2%減 0 となった。一方、縦軸にプロットした実質設 -10 19.4 22.9 11.1 21.8 12.6 11.7 15.3 9.6 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 (年) 備投資は、前年比10%前後で増加している。過 去のケースでは、設備投資が2ケタの増加に達 すると資本ストックの前年比増加率は高まっ たが、今回は逆に低下している。これは、デジ (備考)1.対売上高資本ストック (有形固定資産+建設仮勘定) 比率のトレンドからのかい離を過剰設備とした。 2.財務省『法人企業統計季報』より作成 図表20 設備投資循環図(前年比) (%) タル家電など需要の拡大している分野の投資 15 を積み増す一方で、企業が過剰設備の廃棄を続 10 けている結果と考えられる。スクラップ・アン ド・ビルドによって産業の活性化が進み、それ によって国際競争力が高まり、企業収益が拡大 するといった好循環に入ってきたといえよう。 04年度の設備投資は、輸出競争力の高い電 00.4Q (山) 20 実 質 5 設 備 0 投 資 -5 97.1Q 97.2Q (山) 00.1Q 03.3Q 01.1Q 95.1Q 03.1Q 98.1Q 96.1Q -10 99.1Q (谷) 02.1Q (谷) -15 93.4Q (谷) 94.1Q -20 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 気機械を中心としたIT投資がけん引しよう。た 4.5 (%) 資本ストック (備考)内閣府『民間企業資本ストック』より作成 調 査 33 だ、03年度の設備投資がトラック特需や減税 在庫循環などで成長率はやや鈍化するとみら で実勢以上に増加する見通しで、伸び率はや れるが、2000年から02年にみられたような資 や鈍化するとみられる。05年度には非製造業 本ストックや雇用の本格調整を必要としない のストック調整がほぼ一巡すると想定してお ことから、景気の減速も軽微となろう(図表 り、設備投資の裾野が広がる可能性がある。06 21) 。在庫調整の一巡などで、07年以降の米景 年度には、景気の減速で設備投資も抑制され 気は再び伸びを高めると予測した。 るが、07年度以降は幅広い分野で設備投資が 堅調な海外景気を背景に、日本の輸出は今 回復すると予測した。実質設備投資の5年間の 後も増加傾向で推移すると予想される。輸入 平均増加率は6.4%と景気回復をけん引しよう。 も国内景気の回復に伴って増加傾向で推移す るが、米国やアジアの成長率が日本を上回る (2)米国景気は着実に成長、日本の経常黒字 状況が続くため、貿易黒字は06年度まで高水 は引き続き高水準 準が続くと予測した。対外資産が年々積み上 日本経済が民需主導の自律回復軌道に復帰 がっていくことに加え海外の景気拡大で、利 するまでには、なお時間を要するだけに、引 子・配当などの所得収支の受取は引き続き増 き続き米景気の動向が重要なカギを握ると考 加するとみられる。この結果、経常収支の黒 えられる。 字は06年度(17.20兆円、名目GDP比3.4%)ま 前述したように、04年の米景気はIT関連を で増加が続こう。ただ、日本経済が自律回復 中心とした設備投資の回復や、雇用情勢の底 に向かう07年度以降は、輸入の増加を背景に 入れで、前期比年率3∼4%程度の巡航速度で 経常収支の黒字が縮小に転じると予想される。 の成長を維持すると予想され、年平均の実質 08年度の経常収支の黒字は13.2兆円、名目GDP 成長率は4.3%に加速しよう(03年は3.1%) 。05 比で2.5%まで縮小すると予測した(図表22) 。 年から06年にかけては利上げの影響や短期の 図表21 米実質成長率の推移と予測 図表22 経常収支の推移と予測 (%) (兆円) 5.0 4.5 4.0 4.0 3.7 3.3 3.0 4.2 4.5 4.3 3.7 3.1 2.7 3.6 3.2 3.4 20 15 2.2 10 5 1.0 -1.0 25 2.7 2.5 2.0 1.9 0.0 予測 予測 0.5 0 -5 -0.2 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (年) (備考)米商務省資料より作成。予測は信金中金総合研究所 -10 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 所得収支 貿易収支 サービス収支 経常移転収支 経常収支 (年度) (備考)日本銀行資料より作成。予測は信金中金総合研究所 34 信金中金月報 2004.4 この回復ペースを維持することは難しい。 4.需給ギャップの縮小テンポは緩や か―GDPデフレーターのプラス転換 は07年度と予測 そこで、今後の予想実質成長率を前提に、 GDPギャップの推移を試算してみると、コア 消費者物価(生鮮食品を除く総合)の前年比 (1)デフレ脱却にはなお時間を要する がプラスで、かつGDPギャップが90年代半ば 製造業の過剰供給力の削減が進むなど、デ 以降で最小であった96年10∼12月の水準(マ フレ脱却に向けた動きが着実に進んでいるの イナス2.3%)まで縮小する時期は05年4∼6月 は確かだが、マクロベースの需給ギャップ となる。これは、コア消費者物価でみたデフ (GDPギャップ)は依然として残っており、近 レが05年度中に解消する可能性を示唆してい くデフレが解消するとは考えにくい。 る。ただ、GDPギャップが完全に解消するの GDPギャップは、潜在GDP(注)6(現存する資 は、07年度と試算されるなど、デフレからの 本と労働をすべて利用した場合に可能となる 完全脱却にはなお時間を要するとみられる。 供給力)に対する実際のGDPのかい離率とし コア消費者物価の前年比下落率は徐々に縮 て定義され、物価変動圧力を評価する基本的 小しており、03年度下期はゼロ前後で推移し な指標の一つとなっている。ここ数年のGDP ている。ただ、医療費や増税による特殊要因 ギャップの推移をみると(図表23)、02年1∼ が一巡する04年度は再びマイナス幅が拡大す 3月にマイナス6.8%まで拡大した後、景気の回 るとみられる。特殊要因以外の物価下落率は、 復で徐々に縮小してきた。直近の03年10∼12 GDPギャップの改善に伴って緩やかに縮小す 月は年率7.0%成長を達成したため、需給ギャ るとみられるが、04年度の下落率は0.2%と03 ップはマイナス2.6%まで急速に縮小したが、 年度見通し(0.1%の下落)に比べ拡大すると 図表23 GDPギャップ(需給ギャップ)とコア消費者物価の前年比 (%) 3.0 2.0 1.0 0.0 -1.0 -2.0 -3.0 -4.0 -5.0 -6.0 -7.0 潜在成長率1.1%を前提とし、今後の成長率を当 研究所の予測値とした場合、GDPギャップが96 年10∼12月の水準まで縮小するのは05年4∼6月 消費者物価の前年比 GDPギャップ ▲2.3% 07年10∼12月 GDPギャップ解消 03年10∼12月の GDPギャップは ▲2.6% 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (年) (備考)1.GDPギャップ=(実際のGDP−潜在GDP)÷潜在GDP×100 2.消費者物価は消費税の影響を除くベース。内閣府資料より信金中金総合研究所推計 (注) 6.潜在GDPは、コブ・ダグラス型生産関数を前提に、実際のGDPから資本と労働の寄与以外の部分である全要素生産性(TFP) を求め、そのTFPに資本と労働の最大投入量を加えて算出した。 調 査 35 図表24 05年度までのコア消費者物価の前年比と予測 (%) 0.6 予測 0.4 0.2 酒・たばこ・米・肉 保健医療 電気・ガス・石油製品 特殊要因以外の寄与 0.0 -0.2 -0.4 -0.6 -0.8 -1.0 -1.2 01 02 03 04 05 (年度) (備考)総務省『消費者物価指数月報』より作成。予測は信金中金総合研究所 予想される(図表24) 。コア消費者物価がプラ 黒字化を目指しており、経済財政諮問会議の スに転じるのは、需給ギャップが96年度の水 「構造改革と経済財政の中期展望」では、08年 度のプライマリーバランスのGDP比はマイナ 準まで縮小する05年度となろう。 一方、総合的な物価指標であるGDPデフレ ス2.5%まで縮小すると試算している。ただ、 ーターは、06年度までマイナスが続くと予想 政府は税収予測の前提となる名目成長率(注)8を される。IT関連を中心とした技術革新を背景 やや高めに想定しており、目標達成は容易で に、設備投資デフレーターの大幅な下落が続 ないと考えられる。当研究所でもプライマリ くことが主因である。ただ、07年度以降は民 ーバランスのGDP比は08年度まで改善傾向で 需主導の自律回復で需給ギャップが解消する 推移すると予測しているが、その水準は政府 ほか、IT以外の設備投資が本格回復することで の試算を下回ると予測した(図表25)。 設備投資デフレーターの下落幅は縮小しよう。 07年度のGDPデフレーターは、消費 税率引き上げの影響でプラスとなっ 図表25 国・地方合計のプライマリーバランスのGDP比 (%) 3 た97年度を除くと、93年度以来14年 2 ぶりのプラスに転じると予測した。 1 0 名目成長率が06年度まで1%を下回 -1 る回復にとどまるとの予測を前提に -2 すると、税収の本格回復は期待でき ず、財政赤字の改善は遅れよう。政 府は2010年代初頭までに基礎的財政 (注) 7 収支(プライマリーバランス )の -3 -4 -5 -6 予測 (-2.5) (-2.9) (-3.4) (-4.1) -3.3 (-4.6) -3.6 -4.1 -4.3 -4.7 -5.4 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (備考)1.( )内は経済財政諮問会議における試算 2.国民経済計算ベース。予測は信金中金総合研究所 (年度) (注) 7. 「借り入れを除く税収等の歳入」から「過去の借り入れに対する元利払いを除いた歳出」を差し引いた財政収支 8.経済財政諮問会議の「構造改革と経済財政の中期展望」では、名目成長率を04年度0.5%、05年度1.4%、06年度2.1%、07年 度2.5%、08年度2.9%と想定している。 36 信金中金月報 2004.4 (2)量的緩和の解除は早くとも05年度下期 在30∼35兆円)を切り下げていくには、ある 日銀は01年3月19日の金融政策決定会合で量 程度の時間を要するとみられ、場合によって 的緩和政策を導入し、コア消費者物価が安定 は量的緩和の解除が想定よりも遅れる可能性 的にプラスに転じるまで継続すると公約した。 があろう。 最近のコア消費者物価の下落率縮小に関して 07年度以降は、民需の自律回復とデフレ脱 は、 「特殊要因の影響が大きい」との考えを示 却が実現すると予測しており、無担保コール すなど、量的緩和の長期化を示唆している。ま 翌日物金利の誘導目標は07年度に0.5%へ、08 た、03年10月31日に発表された日銀の展望レ 年度に1.0%へ引き上げられると想定した。 ポート(経済・物価の将来展望とリスク評価) 景気回復に伴って長期金利(10年国債利回 によると、政策委員による消費者物価の「大 り)も徐々にその水準を切り上げよう。ただ、 勢見通し」は、04年度も下落が続き、下落率 長期金利の水準に大きな影響を与える名目成 は03年度に比べて拡大すると予想されている。 長率は、06年度まで1%を下回ると予測してお 政策委員の多くがプラスの物価見通しを持つ り、長期金利が安定的に2%を上回るのは07年 までは量的緩和が継続される公算が大きい。 度以降となろう(図表26) 。 量的緩和が解除されるためには、消費者物 価の前年比が明確かつ安定的にプラスとなる (3)日本経済の基盤は依然として脆弱 ことが第一の条件となる。消費者物価が上方 05年度までの景気は、輸出主導型の企業部 バイアスを持つことを考慮すると、0.5%程度 門を中心とした回復を想定しているため、外 の上昇が数カ月続くことが必要と考えられる。 的ショックに対しては脆弱である。米国や中 第二に、景気の自律回復が展望できる状況に 国など海外景気の下振れ、円高の加速などで 至ることが条件となろう。名目成長率が年度 輸出が失速すれば、持続的回復は困難となる。 ベースで1%程度のプラスとなることが条件と また、前述したように、家計部門の所得回復 考えられる。 が本格化する前に定率減税の縮減・廃止に踏 当研究所では05年度の名目成長率を0.9%(上 み切った場合、個人消費の失速は避けられな 期0.6%、下期1.2%)、消費者物価の前年比を くなる。社会保障負担の増加が続くだけに、当 0.3%(上期0.2%、下期0.5%)と予想してお 面は税収確保よりも景気回復を促す税制改正 り、これを前提とすれば量的緩和の解除は05 が望まれる。 年度下期と予想される。ただ、日銀は00年8月 不良債権問題は大手行に限れば04年度中に にゼロ金利を解除して失敗したという経緯も 解決に向かおうが、中小金融機関に関しては あって、量的緩和の解除に関する判断は慎重 引き続き不安が残る。景気動向次第では、05 を期すと予想される。また、市場への影響を 年4月から実施が予定されているペイオフ全面 最小限に抑えながら当座預金の残高目標(現 解禁で、金融不安が再燃する可能性は排除で 調 査 37 図表26 名目成長率と長期金利(10年国債利回り)の予想レンジ (%) 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -1 -2 予測 10年国債利回り 名目成長率 10年国債利回りの 予測レンジ -3 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 (年度) (備考)予測は信金中金総合研究所 きない。 いくことが必要である。規制緩和のスピード 足元の景気回復に関しても、大企業や大都 を上げて、成長性のあるサービス部門を中心 市圏に偏っており、中小企業や地方圏の回復 とした新たな産業構造を構築することで、中 は進んでいない。景気の自律回復メカニズム 小企業や地域経済の活性化を進めることが重 を機能させるためには、回復の裾野を広げて 要といえよう。 38 信金中金月報 2004.4 〈予測総括表〉04∼08年度の日本経済の中期予測 02年度 実質GDP 個人消費 住宅投資 設備投資 在庫投資(寄与度) 政府最終消費 公共投資 純輸出(寄与度) 〈輸出〉 〈輸入〉 内需(寄与度) 名目GDP GDPデフレーター 為替レート(円/ドル) 完全失業率 消費者物価(除く生鮮食品) 経常収支(兆円) 貿易収支 サービス収支 所得収支 無担保コール翌日物 10年国債利回り(年平均) (レンジ) 03年度 04年度 05年度 06年度 07年度 08年度 04∼08年度 〈実績〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 〈予測〉 平均成長率 1.2 2.8 2.1 2.0 1.4 2.4 1.7 1.9 1.0 1.3 1.2 1.3 1.3 1.8 0.6 1.2 △ 2.1 0.1 △ 0.1 △ 0.1 △ 0.1 2.3 0.1 0.4 △ 3.3 10.2 7.1 7.6 3.7 6.5 7.1 6.4 0.4 0.2 0.1 0.1 △ 0.2 0.1 0.1 0.0 2.1 1.1 1.0 1.0 1.0 1.2 1.3 1.1 △ 5.0 △ 10.6 △ 7.6 △ 5.3 △ 3.9 △ 2.3 △ 2.6 △ 4.3 0.8 0.8 0.4 0.0 0.2 △ 0.0 △ 0.1 0.1 12.0 9.5 9.6 5.6 4.1 4.4 4.7 5.7 5.5 3.8 8.7 7.3 3.2 6.5 7.5 6.6 0.4 2.1 1.7 2.0 1.2 2.4 1.9 1.9 △ 0.7 0.5 0.4 0.9 0.7 2.5 2.3 1.4 △ 1.8 △ 2.3 △ 1.7 △ 1.1 △ 0.7 0.1 0.6 △ 0.6 121.9 112.6 115.0 118.0 118.0 116.0 115.0 5.4 5.2 5.2 5.2 5.1 5.0 4.9 △ 0.8 △ 0.1 △ 0.2 0.3 0.5 0.8 1.8 13.39 16.56 17.11 17.14 17.20 15.66 13.22 11.59 12.84 14.11 14.11 14.05 12.60 10.60 △ 5.23 △ 3.83 △ 4.79 △ 4.88 △ 4.87 △ 5.10 △ 5.55 8.02 8.35 8.65 8.80 8.93 9.07 9.07 0.001 0.001 0.001 0.25 0.25 0.50 1.00 1.11 1.12 1.60 2.00 2.00 2.50 3.00 0.70-1.43 0.45-1.67 1.20-2.00 1.50-2.50 1.50-2.50 2.00-3.00 2.50-3.50 (備考)内閣府『国民経済計算年報』より作成。予測は信金中金総合研究所 調 査 39 信用金庫のインターネットバンキングの現状と課題 ㈱しんきん情報システムセンター しんきん情報システム研究所長 西嶋 尚史 (キーワード)インターネットバンキング、個人向けインターネットバンキング、事業者向け インターネットバンキング、信用金庫の経営戦略 (視 点) インターネットバンキング(以下「IB」という)が普及してきているが、信用金庫の取り組 みをみると個人向けIBについては他業態に比較して低調である。事業者向けIBについては、こ こ1∼2年が勝負どころとなる。いずれも必須なサービスとして先行き定着することが見込ま れ、推進に万全を期する必要がある。 (要 旨) ● 個人向けIBでは個別金融機関の取組姿勢によって大きな格差が出ている。都銀等では給与振 込先へのIB開設推進で驚異的に口数を伸ばしている。信用金庫は伸びがいま一つで、セット 率0.37%と昨年にスタートした後発の郵貯IBに追い上げられている。 ● 信用金庫のIBへの取り組みでは、①IBを単なる品揃えのひとつとして位置づけて顧客が求め たら対応するといった姿勢にとどまっている。②顧客接点の「チャネルミックス」でみて、 IB利活用推進による取引コスト削減で全体コストを削減するといった戦略的な思考が薄い。 ③IBを顧客との双方向なコンタクト・ツールとして有効性を認識して工夫活用する姿勢が見 えない。④実取引がなくてはシステム利用料金負担が発生するとして、そもそも開設勧誘の 意欲自体が低いケースがある。⑤顧客からは活用したいのだが、ちょっとしたサポートが欲 しい―などと課題が多い。 ● IBサービスの利活用推進については長期的に自然増を見込むとしても、積極的な対策なくし ては中期的にみて期待するような増加は望めず、結果的に他業態に遅れをとることになる可 能性が大きい。一段と腰の入った取り組みが求められる所以である。 ● 40 「信用金庫のIB」として業界一体でPRし内容的にも魅力付けしてゆくことが肝要である。 信金中金月報 2004.4 用しており、事業所(従業者数5人以上)普及 1.インターネットの普及状況について 率も79%と前年比11ポイント上昇している。 (1)インターネット利活用の現状 『平成15年版情報通信白書』(総務省)によ (2)インターネットの世代別利用状況 れば、2002年度末におけるわが国のインター 自宅でのインターネット利用率を性別・年 ネット利用人口(注)1は約6,942万人で、ここ1年 代別にみると、最も利用率が高いのは女性30 間で1,349万人、前年比で24%増加した。これ 代(68.0%) 、次いで男性30代(67.4%) 、男性 は全人口の55%で、国民2人に1人がインター 40代(63.6%)女性10代(63.2%)となってお ネットを活用している状況である(注)2。 り、男女10代・男性40代は今回調査(ビデオ また、インターネットの世帯普及率は81% リサーチネットコム社が半年ごとに実施)で と1年間で21ポイント上昇し、企業(従業者300 初めて60%を超え、世代全般にわたり利用率 人以上)普及率は98%とほとんどの企業で利 は高まっている。 図表1 インターネット普及率の推移 (%) 100 88.6 80 60 98.4 81.4 97.6 95.8 80.0 79.1 68.0 68.2 60.5 44.8 40 20 31.8 34.0 企業(300人以上) 事業所(5人以上) 世帯普及率 19.2 12.3 19.1 11.0 6.4 0 1997 1998 1999 2000 2001 2002 (年度末) (出所)『情報通信白書』 図表2 男女別・世代別インターネット利用状況 〈男性〉 60代以上 〈女性〉 18.4 50代 60代以上 40.4 40代 6.5 25.4 50代 63.6 30代 49.1 40代 67.4 30代 68.0 20代 60.2 20代 62.5 10代 61.6 10代 63.2 10才未満 10才未満 6.4 4.9 (%) (%) (出所)ビデオリサーチネットコム社『インターネットビジネス白書』 (注) 1.パソコン、携帯電話、PHS、携帯情報端末、ゲーム機等からアクセスしている者が対象 2.全インターネット利用人口の82%がパソコンを利用、携帯(電話)端末は40%が利用 調 査 41 (3)インターネットの都道府県別(世帯)利 2.わが国におけるIBサービスの現状 用状況 インターネットの世帯普及率は全国平均が 51.6%で、 都道府県別にみると、 最も普及率が高 いのは奈良県の65.0%、以下兵庫県(63.2%)、 (1)金融業態別IBサービスの現状 金融機関におけるIBサービスの取組状況を 業態別にみると、つぎのとおり。 滋賀県(63.0%)、福井県(62.5%)、大阪府 (61.4%)となっており、近畿圏で軒並み高い 普及率を示している。また、政令指定都市(含 イ.個人向けIBサービス (財) 金融情報システムセンター (以下 「FISC」 特別区)の54.4%と政令指定都市以外の都市の という)の2003年度調査によると、金融機関全 36.4%とでは普及率で大きな差が見られる。 体の60.0%が個人向けIBサービスを提供してい る。業態別には信用金庫が53.7%、都銀100%、 地銀98.3%、第二地銀91.3%の実施率である。 図表3 都道府県別インターネット利用状況 全 国 北海道 青 森 51.6 滋 賀 51.8 京 都 47.0 秋 田 栃 木 47.9 岡 山 群 馬 48.6 広 島 埼 玉 51.1 山 口 千 葉 50.2 徳 島 51.7 石 川 福 井 山 梨 長 野 48.7 岐 阜 48.1 42 43.0 35.0 42.4 37.8 40.2 37.2 大 分 宮 崎 31.7 33.7 鹿児島 54.0 51.0 60.0 43.9 熊 本 50.0 信金中金月報 2004.4 49.6 長 崎 59.5 (備考)インターネット接続の全端末が対象 (出所)『インターネットビジネス白書』 40.5 佐 賀 62.5 40.0 43.2 福 岡 59.6 20.0 55.3 高 知 55.9 愛 知 57.7 愛 媛 45.1 富 山 三 重 0.0 52.5 香 川 55.4 神奈川 静 岡 36.9 島 根 45.0 新 潟 50.8 鳥 取 53.3 東 京 65.0 和歌山 56.7 宮 城 茨 城 63.2 奈 良 53.3 福 島 61.4 兵 庫 48.0 山 形 59.0 大 阪 46.0 岩 手 63.0 37.9 沖 縄 80.0 (%) 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 (%) 図表4 IBサービスの実施状況(個人向け) 全 体 60.0 15.6 12.9 都 銀 実施済 2003年度 実施予定 検討中 実施予定なし 11.5 100.0 長信銀等 33.3 信 託 33.3 33.3 40.0 60.0 地 銀 98.3 第二地銀 1.7 91.3 信用金庫 6.5 2.2 53.7 信 組 23.0 21.0 2.7 17.4 33.8 労 金 7.8 40.5 95.0 0 10 20 30 40 5.0 50 60 70 80 90 100 (%) (出所)FISC調査 ロ.事業者向けIBサービス (2)IBサービスの推進状況 事業者向けは金融機関全体の12.9%が提供し IBサービスの推進状況を見てみる。IB契約 ており、 「個人向けIBサービス」に比べ、実施 口座数を2003年3月末現在のサービス提供金融 状況はこれからといったところである。 機関一機関当たり平均でみると、個人向けでは ここでも都銀は100%が実施済であるが、 都銀が165万口座、地銀1.8万口座、第二地銀3,000 「2003年度実施予定」が地銀33.3%、第二地銀 口座、信用金庫800口座。事業者向けでは都銀 15.2%、信用金庫が26.2%となっており、対応 が1万口座、地銀2,500口座、第二地銀1,900口座、 姿勢にバラツキがみられる。 信用金庫600口座といった状況にある。 図表5 IBサービスの実施状況(法人向け) 全 体 12.9 40.0 23.9 都 銀 11.5 100.0 長信銀等 33.3 33.3 信 託 20.0 地 銀 18.3 第二地銀 6.5 信用金庫 信 組 60.0 43.3 33.3 15.2 2.7 15.2 46.8 13.5 17.4 67.6 10.0 0 5.0 63.0 26.2 16.2 労 金 33.3 20.0 9.6 80.0 10 20 実施済 2003年度 実施予定 検討中 実施予定なし 30 40 50 10.0 60 70 80 90 100 (%) (出所)FISC調査 調 査 43 イ.個人向けIBサービスの推進状況 年夏にかけて各業態での取り組みがスタート 個人向けIBでは各業態とも契約口座数は一 しているが、金融機関からみて省力化に有効 定の伸びを示しているが、セット率(=IB契 であり、企業側から見ても利便性があるとい 約口座数/要求払預金口数)でみると、都銀が った、両者のWin-Win構造があり、ここ1∼2年 10.53%と群を抜いて高く、地銀が0.90%、あ のうちに零細事業を含むビジネスに不可欠の と第二地銀と信用金庫が並んで各0.37%と浸透 ツールになることが見込まれる。 度は今一つといったところである。昨年スタ ハ.個別金融機関の取り組み ートしたばかりの郵貯IB(セット率0.34%)に 追い上げられている。 個人向けIBでは、当初の各行庫の取り組み にばらつきがあったが、その後の口座数増加 ロ.事業者向けIBサービスの推進状況 についても業態や個別金融機関の取組姿勢に 事業者向けIBについては、2002年秋から2003 よって大きな格差が出て来ている。都市銀行 図表6 個人向けインターネットサービスの契約口座数(2003年3月末) 業 態 有効回答数 機関合計口座数 1機関あたり口座数 信用金庫 121 96,631 799 都市銀行 5 8,244,412 1,648,882 地方銀行 56 986,890 17,623 第二地銀 37 110,697 2,992 (出所)FISC調査 図表7 個人向けIBサービスの契約口座数推移(一金融機関あたり) 業 態 2002年3月 2003年3月 増加率(%) セット率(推計、%) 信用金庫 475 799 68 0.37 都市銀行 1,417,500 地方銀行 14,131 1,648,882 16 10.53 17,623 25 0.90 第二地銀 2,119 2,992 41 0.37 郵便貯金 − 400,000 − 0.34 (備考)セット率=IB契約口座数/要求払預金口座数 (出所)FISC調査 図表8 事業者向けIBサービスの契約口座数(2003年3月末) 業 態 信用金庫 機関合計口座数 1機関あたり口座数 22 12,244 557 都市銀行 6 61,429 10,238 地方銀行 12 29,955 2,496 第二地銀 5 9,337 1,867 (出所)FISC調査 44 有効回答数 信金中金月報 2004.4 図表9 個人向けIBサービスの推進状況 業 態 信用金庫 都市銀行 地方銀行 第二地銀 2002年3月 2003年3月 増加率(%) A庫 28,167 53,362 89 B庫 3,950 6,394 62 C庫 2,300 4,827 110 A行 468,000 3,300,000 605 B行 − 1,945,000 C行 250,000 467,000 87 A行 67,714 128,640 90 B行 70,649 107,972 53 C行 25,000 44,401 78 A行 − 15,345 B行 6,711 11,266 68 C行 3,977 9,575 141 は、親密企業への職域取引や給与振込先口座 図表10 IBの利用経験 へのIB開設の推進で驚異的にインターネット 60 (%) 58.7 契約口座数を伸ばし(年間2∼7倍) 、利用件数 も増加している。地銀、第二地銀、信用金庫 においても突出しているところは年間倍増ペ 44.0 40 21.7 20 8.6 ースで伸ばしている。 0 (3)一般ユーザーから見たIBサービス 一般ユーザーからみたIBサービスについて マイボイスコム㈱が行ったウェブ形式のアン ト増加し、IB利用意向がある者も70%を超え、 地銀に期待するサービスのトップにインター 第2回 第3回 今回 2001/1 2002/1 2003/1 (n=7,195) (n=104,471) (n=8,404) (出所)マイボイスコム㈱調査、図表11以下15まで同じ (備考)nは回答者数、図表11以下15まで同じ ロ.IBの利用意向(図表11) ケート調査(回答者数 8,404名)によると、IB 利用経験があるという回答が年間で15ポイン 第1回 1999/9 (n=3,470) 今後、IBサービスを利用する意向が「ある」 と答えたのは、70%である。 図表11 IBの利用意向 (%) 80 70.4 ネットバンキングがノミネートされるなど、一 般消費者のIBサービスへの期待と関心の深ま りが見て取れる。 イ.IBの利用経験(図表10) 「利用したことがある」は59%で、前回調査 時 (2002年1月) に比べ15ポイント増加している。 64.8 60 54.0 51.6 40 20 0 第1回 1999/9 (n=3,470) 第2回 第3回 今回 2001/1 2002/1 2003/1 (n=7,195) (n=104,471) (n=8,404) 調 査 45 ハ.地銀のサービスとして利用してみたいもの ニ.現在利用しているIB(図表13) (図表12) 「イーバンク銀行」 (66%)が飛躍的に伸び、 地方銀行に期待するサービスの1番にIBがあ トップになった。前回トップの「ジャパンネ がっている。 ット銀行」は今回2位、あと三井住友銀行、UFJ 銀行、みずほ銀行が続く。 図表12 地銀のサービスとして利用してみたいもの インターネットバンキング 27 20 各種証明書の自動交付機設置 10 住宅ローン等資金調達面の相談窓口 7 年金の振込み 6 個人年金・保険の相談窓口 5 個人宅に出向いての相談サービス 4 資産運用などの相談窓口 3 国債、投資信託などの購入 1 その他 50 特にない 1 無回答 0 20 40 60 (%) (備考)各種証明書は住民票・印鑑証明など 図表13 現在利用しているIB イーバンク銀行 65.8 18.3 34.0 ジャパンネット銀行 三井住友銀行 13.1 13.1 UFJ銀行 11.9 15.3 みずほ銀行 ソニー銀行 4.2 8.1 8.1 8.3 東京三菱銀行 あさひ銀行 7.1 5.7 新生銀行 7.1 シティバンク 5.3 7.2 アイワイバンク銀行 0.7 3.5 大和銀行 1.6 1.6 スルガ銀行 1.5 1.7 オリックス信託銀行 1.2 0.9 今回(2003/1) 利用者 n=4,928 前回(2002/1) 利用者 n=4,580 9.8 11.9 その他 0 20 40 (備考)1.UFJ銀行の前回値は三和銀行と東海銀行の合算 2.みずほ銀行の前回値は、第一勧業銀行と富士銀行の合算 3.新生銀行は前回調査まで選択肢に含まれていない。 46 信金中金月報 2004.4 57.9 18.0 16.9 60 80 (%) ホ.回答者のコメントから(図表14) ヘ.IBサービスの銀行選択時の重視点(図表15) 各金融機関取引の中でIBを選んだ理由のう 「手数料が安い」が72%でもっとも多く、 「信 ち、1番多かったのは「振込手数料が安い」で、 頼できる」(49%)、ついで「銀行に取引口座 がある」 (45%) 、 「セキュリティ対策が充実し 「口座維持費が無料」や「便利で楽しい」等が ている」(40%)が続いている。 あげられている。 図表14 IBを選んだ理由 銀行名 選定の理由 【男性・40歳】 手数料が安く、口座維持費がかからない 【女性・31歳】 メールアドレスだけで送金できるシステムなどサービスが充実している イーバンク銀行 から 【男性・17歳】 金利が高いし、口座数が増えているので取引をするときに有利だから 【男性・26歳】 振込手数料が安いため ジャパンネット銀行 【女性・44歳】 携帯電話からの振込料が安い 【女性・32歳】 口座維持手数料はかかるが、郵便局や三井住友など対応するATMがた くさんあり、入出金の点で特に不便を感じた事がないから 【女性・42歳】 母体の銀行が手堅い気がするから 三井住友銀行 【男性・79歳】 長年の愛用 【男性・20歳】 知名度が高いので 【女性・22歳】 ATM設置個所や支店なども多くて、利用しやすそう 【男性・24歳】 すべての携帯電話から利用できるから UFJ銀行 【女性・32歳】 数カ月間振込手数料を無料にするなどのキャンペーンは顧客へのサービ ス対応に熱心さを感じます 【女性・33歳】 ポストペットのキャラクターで楽しく取り引きできる ソニー銀行 【男性・27歳】 ソニー・ブランドの信頼性と、為替売買手数料の安さ 【女性・31歳】 住宅ローンの繰り上げ返済が魅力的 図表15 IBサービスの重視点 72.1 手数料が安い 48.8 信頼できる 44.5 銀行に取引口座がある 40.1 セキュリティ対応が充実している 29.2 利用できるATMが多い 24.3 預金の金利が高い 18.4 株式売買やネットショッピングなどの決済が便利 14.5 知名度が高い 8.7 iモードなどモバイル対応が充実 5.0 ローンの金利が低い 資産運用管理サービスがある 2.8 その他 3.1 分からない(利用しない) 0 14.2 20 40 60 80 (%) 調 査 47 を見たものである。地銀では情報提供、税金・ 3.信用金庫のインターネットバンキ ングの現状と課題 公共料金等支払、資料請求、定期預金取引に (1)インターネットバンキングのサービス別 では、これらのサービスの導入状況は現状2∼ ついてはほとんどが提供している。信用金庫 実施状況 3割であるが、導入を検討中の先を加えると過 ここでは、インターネットによるサービス 半数になる。あと、各種届出受付、カードロ 提供の内容について信用金庫のIBサービスを ーン申込、24時間稼動、無担保ローン申込な 地銀のケースと比較してみる。 どについては、地銀は過半が提供しているが 信用金庫は1割に満たない。携帯によるモバイ イ.個人向けIBサービスおよびモバイルバン ルバンキングについては、地銀は24時間稼動 キング サービスや情報提供に関心が強い。信用金庫 図表16、17は、サービス内容別に実施状況 は24時間稼動を考えていない。 図表16 個人向けインターネットバンキングのサービス別実施状況 (単位:%) サービス内容 情報提供(商品案内、金利情報等) 税金・公共料金等支払(マルチペイメントネットワーク) 資料請求 住宅ローン申込 定期預金取引(預入、解約) 各種届出受付(公共料金自動振替、住所変更等) カードローン申込 24時間稼動 無担保ローン申込 外貨預金取引(預入、解約) 資産運用相談受付 投資信託(購入、売却) eメールによる各種勧誘(年金・給与振込) eメールによる各種商品新規・継続契約者へのフォロー 信用金庫 実施済 含検討中 46 68 44 82 30 58 27 21 24 54 10 43 4 29 4 30 3 22 1 8 1 16 0 8 0 5 0 4 地方銀行 実施済 含検討中 92 97 55 95 87 93 10 38 75 97 60 73 65 78 65 88 62 77 8 52 12 34 15 50 3 20 7 27 (出所)FISC調査 図表17 個人向け携帯電話バンキングのサービス別実施状況 サービス内容 税金・公共料金等支払(マルチペイメントネットワーク) 情報提供(商品案内、金利情報等) 定期預金取引(預入、解約) 資料請求 各種届出受付(公共料金自動振替、住所変更等) 24時間稼動 カードローン申込 外貨預金取引(預入、解約) 投資信託(購入、売却) 無担保ローン申込 住宅ローン申込 資産運用相談受付 (出所)FISC調査 48 信金中金月報 2004.4 (単位:%) 信用金庫 地方銀行 27 20 14 13 5 3 1 0 0 0 0 0 33 47 19 37 10 64 12 2 0 12 2 4 図表18 事業者向けインターネットバンキングのサービス別実施状況 (単位:%) サービス内容 照会(残高・取引明細) 即時資金移動 都度指定振込 通知連絡 一括データ伝送 定期・通知預金預入 税金(住民税等)納入サービス 公共料金収納サービス 売掛金の消し込み 資金集中・管理 給与計算 海外送金 L/C開設 金融経済情報提供 投資信託の購入 信用金庫 地方銀行 97 90 74 60 57 28 23 18 2 1 1 0 0 0 0 97 97 94 19 77 13 45 13 0 3 0 7 3 10 3 (出所)FISC調査 ロ.事業者向けIBサービス 図表18は事業者向けインターネットバンキ (2)信用金庫の取組姿勢と顧客像 インターネットバンキングの取組姿勢につ ングの、サービス別の実施状況を示している。 いてヒアリングをした結果を以下にとりまと 照会、即時資金移動、都度指定振込、一括デ めた。都銀・地銀・信用金庫とりまぜて聴取し ータ伝送など基本的なサービスについては地 た内容を要約すると以下のとおりである。 銀と信用金庫の間には違いが見られない。 イ.ヒアリングの結果(図表19、20) 図表19 IBサービス拡販にかかる金融機関の共通認識 個人・事業者 共通事項 個人向け サービス 事業者向け サービス ・IBは、テレホンバンキング、モバイルバンキングと一体化したサービスとして提供中(顧 客は自分が使いやすいものを選ぶ)。 ・事業者向けIBは日常継続取引が望めるが、個人の単発利用では(サービス基本利用料が無 料の場合が多いため)口座維持コストが負担になる。 ・新規取引時の口座開設申込書上で、記載項目のレイアウトが自然にIB契約の申込も完了す るように工夫されている(都銀)。 ・IBサービスを展開する限り、収益は無視できない。 ・投下コストは必ず回収(できるだけ早期に) ・口座開設後の利用(稼動)率が問題である。 ・ポスター、パンフレット、DM等の一般的なPR活動はしているが、日常、特別な推進活動は 行っていない。 ・IBは、顧客自身のニーズで利用するもので、顧客ニーズ発生時への対応が図れる状態にし ている。 ・金融機関側は、従来のFB/HBサービス利用顧客をIBに切替えていく方向で、顧客からの問 合せ等の機会を契機にしてIBを売込んでいる。 ・利用料金は無料が多い。 ・従来のFB利用顧客を主体に新規開拓を含めIBを売込む。 ・FBサービスに比べ、顧客側の負担軽減(専用ソフトの更新やPC機器更改による、ソフトの インストール作業等が不要)、金融機関側の取引コスト面(顧客サポートやサービス・保守 等の軽減)からも顧客囲い込みの手段として積極的な展開を行う。 ・利用料金が徴求できるので、販促活動はやりやすい。 調 査 49 図表20 個別金融機関の推進ポイントや方向性 ・事業者向けIBは明確な収益源として取引採算を重視する(都銀)。 ・事業者向けIBは、ANSER利用先および伝送機能利用先が事業者向けIBにシフト(信用金庫)。 ・中小取引先には店頭(窓口)、DM・フォローコール等でIB利用を推進中。 ・EBセット率を現状の十数%から30%に引上げたい(地銀)。 ・店頭客(上得意先)にはIBの売込み等は考えていない(信用金庫)。 ・取引実績(残高異動等)の少ない顧客、あるいは非稼動口座先や店頭に来ない客にIBを勧 IB推進における スタンス・方向性等 める(信用金庫)。 ・FBサービス全体として今後大半がIBに移行すると予想しているが、肝心なのは契約ではな くIB稼動率であり、利用されない顧客を抱えるのは歓迎できない。 ・事業者向けIBには200∼300先から問合せが来ている。推進はこれからであるが、重要視し ている。法人IBの受入体制として、電話窓口(コールセンター機能はアウトソース)を活 用する。 ・事業者向けIBは、昨年春にサービスを開始し、紙ベースの「総合振込」をインターネット に移行できる点をアピールしてやっている。顧客のメリットと金庫の省力化に大変有効であ る(信用金庫)。 ロ.ヒアリング結果からの考察 (イ)IB利用の顧客像について a.IB利用顧客はインターネットを日常利用す る人で、年齢・性別、職業等で特段の傾向は ない。 PC等を使用) の利用者が契約者の主体である。 c.各自の取引ニーズに適合した(都合の良い 時間や場所で、簡単・迅速に)利用ができる ことを評価している。 d.IBの利用特典(振込手数料や預金金利の優 b.従来のEBサービス (電話、 FAX、 専用端末機、 遇、ポイント蓄積等)を期待する。 〈参考〉 個人向けIBの顧客 事業者向け IBの顧客 50 ・従来からのEBサービス(電話、FAX、専用端末機、PC等を使用)の既存顧客が契約者の 主体となっている。 ・都銀に集中しているこうした客層は、大都市(政令指定都市)に勤務のサラリーマン層 が主体と想定されるが、インターネットによる金融取引への不安・抵抗感は薄く、個々 の取引状況に応じたリアルチャネルとの併用者である。 ・取引状況の把握については、週末、5・10日での利用増加傾向はみられるが、取引顧客の 属性や利用頻度、時間帯等のトランザクション分析はできていない。 ・都銀においては、企業規模に応じたサービス機能を提供しているが、信用金庫では、事 業者向けといっても個人事業主(個人商店)など法人・個人の区別を明確にしていない 場合が多い。 ・契約者は従来のFBサービス利用顧客からの移行が主体で、FBサービスに比べ、手間、コ スト等の負担が軽く操作性の良いIBサービスに顧客の抵抗感は少ない。 ・個人事業主は、振込手数料の優遇やデータ伝送機能、マルチペイメント機能等に利便性 を感じている様子。 ・個人IBとは違い、システム維持・管理コストも重いため、利用料金は“定額徴求”であ るが、その利便性によって料金負担への不満などはない。 ・各金融機関揃って法人IBの重要性は認識しており、収益事業の対象と位置づけた推進を 図っている。 ・今後1∼2年内に利用者急増は必至であり、データ伝送、給与・賞与振込等、従来からの FBサービス機能の他に、利用者ニーズに適合した新しい機能・サービスを提供すること が利用先金融機関の選別要因となる。 ・特に法人顧客は日常の業務運営に直接関連するので、IBについて使いやすく、サービス 機能が充実し、サポート対応が的確であることを求めている。 信金中金月報 2004.4 (ロ)IBサービスの意義について a.信用金庫顧客にとってのIBサービスの意義 IBサービスが開始された当初は、「店頭・ ATMに次ぐ第3のチャネルである」や「今後の インターネット社会ではIBがチャネルの主力 となる」とも言われたが、現段階での位置づ けは以下のとおりとなっている。 ・まだまだ顧客全般に浸透して(ニーズとし て認識されて)いない。 ・顧客の意識は、リアルチャネルが前提でIB はあくまでも付加的サービスである。 ・認知度的にはPCを使った従来のFB・HBと 何ら変わらないイメージである。 ・個人IBについて顧客は、特別な利便性を実 感していない。法人IBについては、利便性 ならない。 ・顧客の顔の見えない取引はしない。 ・現行の店舗、渉外、自動機、EB等のチャ ネル展開で十分対応できている。 ・取引頻度の低い顧客にはIB取引を勧め、来 店客にはIBを勧めない。 (b)事業者向けIB ・個人と判別のつかない個人事業主へのIB であるが、日常の取引頻度から顧客囲い 込みの意識は強い。今後、力をいれるべ きサービスと考える。 ・他業態からの勧誘等に対抗すべく、推進 を図っている。 ・サービスコストは回収すべく、取引内容や 回数を見て各種アプローチを図っている。 を感じている。 b.信用金庫にとってのIBサービス 訪問や電話聴取による、信用金庫における IBへの意識を総合すると「顧客チャネルの一 つとして、他に劣らない程度の展開は図る」、 4.信用金庫において個人IBサービス は必要か (1)信用金庫の取引顧客層からみたIB取引 信用金庫顧客を年代層別に分け、IBのイン 「顧客ニーズに迅速な対応が図れるよう準備す フラであるインターネット利用人口の分布、さ る」としており、対応は積極的と言えない。 らには国民の年代層別との関連をみたものが、 「IBが必要商品である」「IBにより収益改善 図表21である。 する」といった、金庫自身の経営戦略の一環 イ.信用金庫の顧客年齢層は国民全体の年齢 として検討する方向感は感じられず、IBを戦 構成比にほぼ近く、30∼50代の取引推進す 略的に活用しようとは考えていない様子であ べき対象年齢層は比率が上回っている。 った。 信用金庫の主な意見はつぎのとおり。 (a)個人向けIB ・現状では、喫緊対応(サービス開始)の 必要性は低い。 ロ.この年齢層はインターネット利用者の年 齢層にシンクロしており、IBの推進環境と しては、全く問題ないと言える。即ちIBの 利用層は信用金庫顧客には少ないという仮 説は妥当でない(図表22)。 ・IB展開の有無で、メイン取引の流出とは 調 査 51 図表21 信用金庫顧客の年代別内訳 (%) 80 全国民 A信用金庫 B信用金庫 C信用金庫 インターネット 利用者 60 40 20 0 20 30 40 60 (歳代) 50 図表22 〈仮説1〉 信用金庫顧客は 高齢者層が主体 IBの利用者は 信用金庫顧客に少ない 高齢者は インターネットを使わない (2)個人IBとチャネルミックス ≠ 顧客の年齢構成からみて、 IBの拡販推進は十分可能 によって、取引コストの削減、すなわち収益 現行の顧客チャネルとしては、店舗(テラ 増加を図るよう対応すべきである。 ー)、渉外訪問、ATM、テレホンバンキング、 FB/HBといったものが提供されているが、そ イ.信用金庫のチャネルコスト のチャネルの使い方は、偏った使い方をして 信用金庫のチャネルコストについて、感覚 いる人もいる一方で、すべてのチャネルをう 的ではあるが図表24のとおりイメージしてみ まく使い分けている人もいる。 IBの一件あたり取引コストが、 図表23 取引コスト(米銀の数字より) (単位:店頭を100とした場合のそれぞれのコスト) 100.0 100.0 チャネルの中で一番安いことは図 表23のとおり明白であるが、まだ まだ顧客全般に浸透していないこ 80.0 70.0 60.0 とも確かである。IBチャネル自体 は利益をもたらすものではない 40.0 28.0 が、やはり、顧客層の大半を占め 20.0 る低採算の顧客をローコストのIB チャネルにどれだけ誘導できるか 52 信金中金月報 2004.4 0.0 0.7 店頭 渉外訪問 ATM テレフォン 0.2 0.1 FB/HB IB 図表24 サービスチャネルのコスト感覚 導入コスト 機械・設備 ◎ △ ◎ ○ 人件費 ◎ ◎ × ○ 維持・運用コスト 保守・管理 △ × ○ △ 教育 ◎ ◎ × △ FB/HB ○ △ △ × IB △ × △ × 店頭(テラー) 渉外(訪問) ATM テレフォンバンキング サービス負担 方式 割合 自前 ◎ 自前 ◎ 自前 ◎ 委託 △ 自前 ◎ 委託 △ 自前 ◎ 委託 △ ◎…大きい(高い)、○…普通(一般的)、△…軽い(少ない)、×…不要(無料または無料に近い) (備考)「委託」は、外部システムの利用により自前の開発/運用管理のコストを利用料金支払で負担軽減するもの た。 (ただし、個別金庫の実情により、コスト IB取引によって得た個(顧)客情報により、 計算の内訳項目は多種多様であり、実態を分 EメールやDM、電話、訪問といったアプロー 析した結果ではない。 ) チを組み合わせた営業推進態勢をとれるのは 信用金庫ならではであり、他業態では不可能 ロ.チャネルミックス戦略(図表25) 信用金庫の特徴である、 「訪問渉外(戸別訪 なサービスといえる。 まさに、バーチャルとリアルを融合した“ク 問) 」は言うまでもなく高コストで、 「店舗(店 (注)3 の世界であり、信用金 リック&モルタル” 頭) 」はその金庫の顔としての人員配置や設備 庫の訪問渉外のノウハウがIBによって一段と 維持費が大きな負担である。しかし、IBがい 活かされると思われる。 かに低コストとわかっていてもIBのみに特化 することはできない。既存の店舗網や渉外担 (3)「ミックスビジネス」への展開 当者の地道な営業活動によって築かれた、信 わが国の金融機間の利益構造をみたとき、欧 頼感やブランド力がベースとなってIBチャネ 米の金融機関に比べて金利収入への依存度が ルが成立しているのである。 高く、非金利収入あるいは手数料ビジネスが 図表25 〈仮説2〉 IB拡販による 低コスト取引の拡大 信用金庫ブランドの 維持・向上 収集情報に対応した 情報の提供(アプローチ) IB推進による 顧客情報の収集 高コストチャネルの 資源再配分による全 体コストの引下げ (注) 3.クリック&モルタルは、インターネットによる販売と、既存の物理的販売網(店舗など)を有機的に組み合わせたビジネス モデルのこと 調 査 53 十分育っていないことが常に指摘されるとこ が今日のインターネットバンキングの彼方に ろである。信用金庫もその埒外ではない。イ 広がっている。このところのIB推進の流れに ンターネットバンキング・サービスをみたと 乗り遅れ重要なタイミングを失すると、永久 き為替手数料は大切な収入源である。個人IB に周辺のビジネスから発生してくるであろう については、今日サービス手数料の「免除」あ 役務手数料による収益機会を失うことになろ るいは当初一定期間の免除などあるが、これ う。この意味でも個別金庫において、あるい も長期的にみると普及・安定化するにともな は業界としてもインターネットを基盤とした って有料化し重要な収益源に転化していくこ 新たなビジネス・チャンスを体系的に検討す とが見込まれる。タイミングによって価格や る必要があるのではないか。 金利が変動する商品、投資信託や外貨預金な インターネットバンキングを使うことで既 どは、瞬時に出し入れできるインターネット 存のデリバリーチャネルと併存しながら、新 ならではの商品で、IBサービスと融合するこ たなビジネスの融合を創生できる。今や、決 とで顧客にとって不可欠なサービスとなる。ア 済だけでなく物の流れ・金の流れ・情報の流 カウント・アグリゲーションによって複数預 れを考えていかないと金融機関が生き残れな 金口座、あるいは証券口座、保険口座などの い。決済+Eコマース+マッチングなどトータ 一元管理サービスを提供して、ポートフォリ ルなソリューションの提供体制をつくる。金 オ分析サービスなどによってアドバイスをし 利収入への過度の依存から脱却して収入の多 てあげる。個別のお客にあった推奨商品を提 角化を図るためには「ミックスビジネス」が 案すれば、きっと顧客は気のきいた提案に満 格好の材料を提供してくれる。こうした展望 足しロイヤリティーを深めてくれる。こうし のなかで今日のインターネットバンキングの た展開のなかでこそ、今後の非金利収入の収 推進を位置づけ、顧客の動きをよくみて次の 益機会が広がってくるということを認識すべ より適切なアプローチにつなげていくといっ きである。 た一貫した継続的姿勢が肝要である。 投資信託や外貨預金はもちろんであるが、 「Eコマース」や「マッチング・サービス」の 提供も先行き個人や事業者に向けたトータル 5.インターネットバンキングの推進 に向けて なソリューション提供のプラットホームとな 見てきたように、インターネットの利活用 ることが見込まれる。これらが顧客の利便性 の状況は都市部・郡部の別なく各年代層にわ を高め、顧客の生活満足度を上げることにな たって広範に使われるようになって来ている。 る。こうした「ネットを介して融合したソリ こうした環境において、インターネットバン ューション・セットとしての一連のサービス」 、 キングの利用は、徐々に浸透している。 いってみれば「ミックスビジネス」の地平線 54 信金中金月報 2004.4 個人向けIBついては一般に着実な拡大のフ ェーズにあるが、信用金庫においてはIBチャ ①「個人向けIB」をチャネルミックスによる ネルの重要性についての認識は低調といえる。 コスト削減の一環としてとらえこれに基づ あくまでも、顧客ニーズにもとづく商品対応 く推進策を打つ。顧客は都合で店頭・電話・ 的な認識が強く、図表22および図表25のとお インターネットとチャネルを自分に合った り、信用金庫がIBの商品価値を戦略的にとら ミックスで利用する。サービス提供側はト えるか否かが重要である。信用金庫顧客への ータルコストからみて自身の推奨プライオ IBの周知とサポート、IBで得た顧客情報を活 リティーを明確に持つべき。 用しつぎの取引に結びつけることなど、リア ②個別のお客のIB取引をライバルにもって行 ルとバーチャルのミックスによって顧客満足 かれないための、先行取り組みの大切さを 度をいかに維持・向上させるかがポイントに 認識する。対策として広告宣伝活動など なる。 (含、業界PR)推進策を実施する。 信用金庫業界の個人向けIBが低調な要因を ③インターネットバンキングの取り組みにつ 要約すると、図表26のとおりとなる。 いて将来ビジョンを持つ。先行き顧客にネ こうした状況では、 「金庫に個人向けIBが本 ットでトータルなソリューション・セット 当に必要なのか」といった疑問が出てくるの を提供することで、これが重要な非金利役 も止むをえない状況である。 務収益の柱に育つとの理解が欠かせない。 したがって、信用金庫がIB利活用を振興す 個人顧客に対して るためには戦略的思考を持つことが欠かせな ①信用金庫顧客の年齢分布は、国民全体の年 い。個別金庫において以下の推進策を経営方 代構成比にほぼ一致しており、コンピュー 針として明確にする必要がある。 タリテラシーの面からIBインフラの利活用 図表26 対 象 個人IB低調の原因 ①IBを単なる品揃えのひとつとして位置づけて顧客が求めたら対応するといった姿勢にとどまる。 ②顧客接点の「チャネルミックス」でみて、全体コストが下がるといった総合的なメリット認識、 あるいは全体コスト削減につなげるといった戦略的思考が薄い。 信用金庫 ③IBを顧客とのインタラクティブなコンタクト・ツールとして有効であるとの認識や、それを工 夫活用する姿勢が見えないことが多い。 ④口座開設だけで、実取引がなくてもシステム利用料金負担が発生するとして開設勧誘の意欲が低 いケースがままある。 ①給与口座を信用金庫に持つケースが限られており、インターネットバンキングの必要性が低い。 ②地域内活動が主体であり、ネットによって距離・時間を超越する必要性が低く、食わず嫌いも手 信用金庫 個人顧客 伝ってIBのメリット感を把握出来ていない人が多い。 ③PCや携帯・モバイルを活用したい。ちょっとしたサポートがあればできるのだが…気軽に教え てもらいたいとの希望も多い。 調 査 55 で親切なサポートあるいはフォローアップ 金庫の中核顧客である中小零細事業者にとっ が欠かせない。信用金庫側にこのための体 ても、極めて利便性が実感できるサービスで 制づくりが必要である。 あり、同時に他業態からのアプローチも激化 ②インターネットバンキングの利便性を実感 してもらう。デモをするなど。また、簡単 するなど、金庫としても積極的な対応姿勢を 確立する必要がある。 な申込手続きで利用開始できるようにする。 ③給振・年金口座先を中心にメールオーダー を同封し、DMを送る。 などの対策を打つ必要があると思われる。 個人向け、事業者向けを問わずインターネ ットバンキング・サービスを「信用金庫ブラ ンドのIB」として、PRの面でも内容的にも魅 力を付けていくことが肝要である。IBサービ 一方、事業者向けIBについてはサービスが スの利活用推進については長期での自然増を 提供されてから日は浅いが、金融機関からみ 見込むとしても、積極的な対策なくしては中 て省力化に有効であり企業側からみても利便 期的にみて期待するような増加は望めず、結 性があるといった、両者のWin-Win構造があ 果的に他業態に遅れをとることになる可能性 り、いましばらく(ここ1∼2年)の間に爆発 が大きい。一段と腰の入った取り組みが求め 的な普及進展が見込まれる。事業者向けIBは、 られる所以である。 56 信金中金月報 2004.4 以下に信用金庫あるいは業界において取り組むべき施策案を取りまとめた。 施策主体 (1)信用金庫の施策と して推奨すべきもの 施 策 内 要 ①給振・年金口座先にメールオーダーを同封したDMを送付する。 ②IB推進に向けた体制整備 →システム営業部・課の設置など ③店頭でのデモ・相談コーナー設置 ④客先への出張サービス ⑤IBに関するヘルプデスクの設置(金庫顧客向け) ⑥IB体験画面の提供 ⑦他金庫成功事例の研究 (2)業界として対応す べきもの ①全信協や地区協会と連携して広報面で対応する。 ・TV/雑誌などでの宣伝 ・地区での説明会、デモンストレーション ・ホームページでの宣伝、主要サイトとのリンク ②「特別利用キャンペーン」を実施する。 ③モデル金庫を選定し、IB利用推進の具体的な各種施策を相対で検討し 推進活動を支援する。 〈例〉 取引データ(トランザクション)を加工した推進情報を金庫に還元して 拡販施策につなげる。 ・金庫のIB契約セット率、個別契約口座の利活用状況、利用時間、曜日、 回数 ・IB顧客の実像分析(取引傾向、年齢、性別、職業、地域等)を反映 した推進方策を確立する。 (3) その他 ①IBサービスの機能充実により差別化を図る。 ・ECサイト、通販サイト、証券(オンライントレード)サイトへのリ ンクをする。 ・公共料金、定積、小口ローン、投資信託、外貨預金、外国為替、電子 手形等の機能を追加する。 ・個人向けマッチング・サービス、ビジネスマッチング・サービス ・メールマガジンによるキャンペーン広告 ②IBに関するFAQの充実(金庫宛・顧客宛) →よくある質問の開示 ③IBに関するヘルプデスクの設置 信用金庫宛:メールおよび音声でのサポート →サービス内容・利用開始時サポート 調 査 57 中国環渤海地域の投資環境 −青島市の現況− 信金中央金庫 総合研究所アジア業務相談室室長 篠崎 幸弘 (要 旨) アジア業務相談室では、2003年10月14日 (火) から15日 (水) と山東省の青島を訪問した。日本 に最も近く、中国北部の物流拠点を目指す青島市の現況について報告する。 1.山東省の現況 山東省の2002年末の人口は、4直轄市・22省・5自治区の中で河南省に次いで第2位であり、 昨年のGDP総額および投資実行額は、いずれも広東省、江蘇省に次いで第3位となっている。 2.青島市の現況 (1)青島市は7区5市からなり、旧市街地は市南区、市北区、四方区、李滄区の4区から構成さ れ、ヨーロッパ風の建物が多く残っている。青島市の常駐日本人は約1,300人であり、現在 日本人学校および在中国日本国大使館領事部の設置について検討されている。 (2)2002年の青島市のGDPは1,518億元となり、成長率14.6%を達成した。青島市は2008年の北 京オリンピックのヨット競技の会場となっており、急ピッチでインフラ整備が行われてい る。2003年の1月から9月までのGDP成長率は前年同期比15.6%増加の高い伸びとなった。 (3)2002年の輸出入総額は339.4億ドルと前年比17.2%の増加となった。日本との貿易は、中国 側の大幅な輸出超となっており、韓国系企業の日本への輸出に加え、現地の進出した日系企 業や日本からの委託生産先は、山東省の農水産資源等を利用した製品(農水産加工品、繊維 等)を日本に輸出している。 (4)2002年の青島市への外国投資は契約件数1,832件(前年比46.1%増) 、契約金額55.24億ドル (前年比53.9%増)実行金額23.12億ドル(前年比46.2%増)となった。国別では山東省の地 理的関係から韓国からの投資が約3分の1を占めており、日本からの投資は2002年が5位とな っている。ここ2年は大手家電メーカーや自動車メーカーの中国進出に伴い部品メーカーが 進出し、業種が急激に拡大している。 (5)青島港は世界のほとんどの主要港に向けた直行便を有し、2002年の国際コンテナの取扱量 は341万TEUと上海港、深 に次いで国内第3位、世界第15位であり、北のハブ港に向けた整 備が進んでいる。 58 信金中金月報 2004.4 山東省の現況 3.人口および行政区画等 1.政治体制 山東省の人口は、4直轄市・22省・5自治区 (1)党委員会書記 張高麗 の中で河南省に次いで第2位となっている。省 (2)省長 韓寓群 内には17の市があり、その下に31の県級市、48 の市轄区、60の県がある。山東省のGDP総額 2.位置および気候 は、1兆元を超え、投資実行額は約56万ドルで 山東省は渤海の南側に位置し、東は黄海に ある。GDP総額投資実行額いずれも広東省、 面している。気候は温暖冬季少雨気候であり、 江蘇省に次いで第3位となっている(図表2) 。 南東北から北関東ぐらいと同じ気温と言える (図表1)。 図表1 気象データの比較(2002年) (単位:℃、時間、mm) 位 置 東経 117.00 120.22 118.10∼102.01 119.34∼121.67 140.21 140.28 140.28 139.46 済南市 青島市 坊市 煙台市 山形市 福島市 水戸市 東京都 北緯 36.4 36.4 35.43∼37.26 36.16∼38.23 38.15 37.46 36.23 35.41 年 15.2 13.6 13.1 13.7 12.0 13.3 13.4 16.7 平均気温 1月 2.5 2.7 -0.2 1.9 -0.5 1.4 2.8 5.8 8月 25.3 25.2 25.4 24.8 24.6 25.2 25.0 27.1 年 日照時間 2,382.0 2,246.6 2,497.8 2,621.4 1,625.3 1,755.7 1,886.8 1,990.0 年 降水量 456.6 424.6 330.1 452.7 1,215.0 1,188.0 1,326.0 1,294.5 (備考)1.『山東統計年鑑2003』、気象庁電子閲覧室データより信金中金総合研究所作成 2.1月および8月の平均気温は大連が2002年、日本の各都市が1971∼2000年の30年間の平均 図表2 山東省各市の面積、人口、GDP(2002年) 山東省 済南市 青島市 坊市 煙台市 博市 棗庄市 東営市 済寧市 泰安市 威海市 日照市 菜莞市 臨沂市 徳州市 聊城市 浜州市 荷澤市 面積 156,720 8,180 11,026 15,941 13,715 5,940 4,550 7,923 11,285 7,761 5,436 5,314 2,262 17,295 10,356 8,714 9,442 12,236 人口 9,069 575.0 715.7 847.5 646.7 412.0 362.2 175.4 796.8 546.4 247.6 277.5 123.9 1,008.4 543.6 561.3 364.8 864.4 (単位:km2、万人、人/km2、億元、万ドル) 人口密度 579 703 649 532 472 694 796 221 706 704 455 522 545 583 525 644 386 706 GDP 10,552.06 1,200.83 1,518.17 895.00 1,115.00 780.00 313.86 540.30 743.50 515.20 703.50 261.43 141.90 702.13 460.50 375.50 340.60 249.84 投資実行額 558,603 19,796 244,949 25,898 120,271 20,021 4,661 7,294 8,302 5,572 60,104 5,573 2,806 6,639 10,153 6,004 6,658 3,990 (備考)1.『山東統計年鑑2003』にもとづき作成 2.各市の面積は管轄区市県の面積の合計、人口密度は人口を面積で徐したもの。 調 査 59 青島市の現況 図表3 青島市の区市県別面積、人口 (2002年末) 2 2 (単位:km 、万人、人/km ) 1.政治体制 区県名 戸籍人口 人口密度 11,026 715.7 649 市南区 30 45.6 15,200 市北区 29 46.7 16,103 四方区 35 37.1 10,600 黄島区 217 21.2 977 山区 389 19.6 504 青島市は7区5市からなり、旧市街地は市南 李滄区 98 27.8 2,837 区、市北区、四方区、李滄区の4区から構成さ 城陽区 553 43.6 788 州市 1,313 76.3 581 即墨市 1,780 107.5 604 山区には、青島市人民政府を始めとして新市 平度市 3,166 134.0 423 街地が広がり、高新技術開発区がある。黄島 南市 1,894 83.7 442 菜西市 1,522 72.3 475 (1)党委員会書記 杜世成 (2)市長 夏耕 2.行政区画 れ、ヨーロッパ風の建物が多く残っている。 青島市 面積 区には経済技術開発区があり、工業の発展に (備考)『山東統計年鑑2003』にもとづき作成 伴い港湾設備の充実が図られている。城陽区 には空港があり、高速道路および鉄道が通り 交通の要所となっている。周辺の市には小規 図表4 青島市概図 模開発区がある(図表3、4)。 3.経済動向 菜西市 平度市 (1)GDPの推移 2002年の青島市のGDPは1,518億元となり、 即墨市 成長率14.6%を達成し、中国全体の成長率8.0% 膠州市 ◎ 市南区、市北区 四方区、 山区 李滄区、城陽区 を大きく上回った。97年以降、GDP成長率は 2桁成長率を維持している。青島市の人口が中 膠南市 国全体の人口に占める割合は0.6%であり、同 様に青島市のGDPが中国全体に占める割合は 1.4%となっている(図表5)。 また、青島市は2008年の北京オリンピック のヨット競技の会場となっており、急ピッチで インフラ整備が行われている。住宅建設も活発 であり、 2003年の1月から9月までのGDP成長率 は前年同期比15.6%増加の高い伸びとなった。 60 信金中金月報 2004.4 青島市 ● 黄島区 図表5 GDP成長率推移 年 青島市 中国全体 (単位:%) 1996 8.0 9.6 1997 12.6 8.8 1998 12.8 7.8 1999 13.8 7.1 2000 15.1 8.2 2001 13.7 7.3 2002 14.6 8.0 2003(1-9) 15.6 8.5 (備考)『中国統計年鑑』、 『山東統計年鑑』にもとづき作成 (2)産業構造の変化 入額は韓国に次いで73.7億ドルと全体の21.7% 2002年、青島市のGDP産業別割合は、初め を占めている。韓国との貿易は輸入超となっ て第1次産業が10%を下回り、第2次産業が50%、 ており、青島市に進出した韓国系企業が母国 第3次産業が40%をそれぞれ上回った。第1次 から部品を輸入し、生産した完成品を日本、米 産業は微増が続いているものの、第2次および 国に輸出している構図となっている(図表7) 。 第3次産業の伸びが第1次産業の伸びを大きく 一方、日本との貿易は、中国側の大幅な輸 上回っているため、第1次産業のGDP全体に占 出超となっており、韓国系企業の日本への輸 める割合が年々低下している(図表6) 。 出に加え、現地の進出した日系企業や日本か らの委託生産先は、山東省の農水産資源等を (3)貿易 利用した製品(農水産加工品、繊維等)を日 2002年の輸出入総額は339.4億ドルと前年比 本に輸出している。 17.2%の増加となった。そのうち日本との輸出 図表6 GDPにおける産業別割合の推移 年 GDP (単位:億元、%) 第1次産業 第2次産業 第3次産業 1996 710.20 18.7 46.3 35.0 1997 797.10 14.7 47.9 37.4 1998 888.39 15.8 46.6 37.6 1999 992.83 13.8 47.6 38.6 2000 1,150.07 12.2 48.7 39.1 2001 1,316.08 10.9 49.3 39.8 2002 1,518.17 9.6 50.4 40.0 (備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成 図表7 輸出入動向 (単位:億ドル) 2000年 輸出 総計 2001年 輸入 輸出 2002年 輸入 輸出 輸入 155.3 94.6 181.3 108.3 211.2 128.2 うち日本 43.6 16.0 51.9 17.5 53.7 20.0 韓国 22.7 33.9 25.9 35.6 32.7 41.4 米国 29.0 8.8 32.3 12.3 37.3 12.1 香港 8.1 1.5 9.2 2.2 10.8 1.9 ドイツ 5.2 3.2 5.5 3.9 5.8 5.3 (備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成 調 査 61 (4)日本との関係 一方、経済開発区がある黄島区は、旧市街 イ.友好都市 下関市 地から船で約30分であるものの、車では1時間 ロ.青島日本人会 202社(2003年9月 30分と通勤は難しい状況にある。現在、 末現在) 州 湾を跨ぐ大橋が計画中であり、完成後は旧市 ハ.日本からの直行便 週16便(東京・成 街地から経済開発区への車通勤が可能となる。 田8便、大阪・関西5便、福岡3便) 黄島区は経済開発区に進出する企業が増加 し、ホテル、銀行等ができ住環境は徐々に改 (5)生活環境 善している。 青島市の常駐日本人は約1,300人であり、現 (6)投資動向 在日本人学校の2004年開校に向け準備が進め られている。また、在中国日本国大使館領事部 青島市への外国投資は年々増加しており、 の青島市設置についても調整が行われている。 2002年は契約件数1,832件(前年比46.1%増)、 また、青島市人民政府がある 山区は新市 契約金額55.24億ドル(前年比53.9%増)実行 街地として開発され、マンション、スーパー 金額23.12億ドル(前年比46.2%増)となった。 等生活環境の整備が進んでいる。常駐日本人 うち独資(100%外資)企業への投資は、件数 が少ないため、日系スーパーはあるものの、日 が1,432件(投資契約総数の78.2%) 、契約金額 本人向け商品は少ない。新市街地は空港から が42.10億ドル(投資契約総額の76.2%) 、実行 は高速道路経由で30分と近く、青島港、青島 金額が18.63億ドル(投資実行総額の80.6%)を 駅がある旧市街地にも10分と便利である。 占めている(図表8、9)。 図表8 外国投資の推移 (単位:件、億ドル) 年 1998 553 9.84 714 17.27 2000 1,128 26.62 17,794 24,188 23,599 28,620 30,153 7.83 9.30 12.61 15.81 23.12 契約件数 契約金額 1件当たりの金額 (単位:百万ドル) 実行金額 1999 2001 1,254 35.89 2002 1,832 55.24 (備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成 図表9 外国投資の投資形態 年 2001 2002 契約件数 契約金額 実行金額 契約件数 契約金額 実行金額 292 6.99 4.46 356 10.70 3.73 (備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成 62 (単位:件、億ドル、%) 合 弁 信金中金月報 2004.4 合 作 比率 23.3 19.5 28.2 19.4 19.4 16.1 46 1.45 0.22 44 2.44 0.71 独 資 比率 3.7 4.0 1.4 2.4 4.4 3.1 916 27.44 11.10 1,432 42.10 18.63 株 式 比率 73.0 76.5 70.2 78.2 76.2 80.6 比率 ― ― 0.03 ― ― 0.06 ― ― 0.2 ― ― 0.3 2002年の第3次産業(サービス業)に対する (7)開発区 投資は契約金額、実行金額とも投資全体の20% 青島市には、経済技術開発区、保税区、高 を下回っており、第3次産業に対する対外開放 新技術開発区、輸出加工区といった4つの国家 はこれからというところである。 級開発区がある。保税区は経済技術開発区の また、国別では山東省の地理的関係から韓 中にあり、すでに第1期工事を完売し、第2期 国からの投資が約3分の1を占めており、青島 工事に取り組んでいる。保税区には日系企業 市周辺には3∼4万人の韓国人が常駐している が20社程度進出しているようである。輸出加 と言われている。日本からの投資は2002年が5 工区は2003年3月に国務院から正式に認可され、 位、累計で3位となっている(図表10) 。 現在第1期工事1.7km2を開発した。 2001年まで青島市の企業と日系企業との関 青島市には国家級開発区のほか6つの省級開 わりは委託加工が中心であり、投資は繊維、食 発区があり、20ぐらいの市級工業団地も用意 料品ぐらいであった。ここ2年は大手家電メー されている。市級工業団地の中には、空港周 カーや自動車メーカーの中国進出に伴い部品 辺の交通の便が良いところに鍍金専用工業団 メーカーが進出し、業種が急激に拡大してい 地が新たに計画されている。また、中小企業 る。さらに、2年前までは中小企業の進出が多 向けに開発された3つの工業団地(膠南市海浜 かったものの、業種が拡大するなかで日系大 工業団地、城陽区紅島工業団地、城陽区青大 手メーカーの進出が目立ってきている。 工業団地)といった特色ある開発区等が数多 く用意され外国投資者を受け入れている(図 表11)。 図表10 業種別・国別投資状況 (単位:件、億ドル、%) 2002年 契約件数 契約金額 実行金額 契約件数 契約金額 実行金額 1,832 55.24 23.12 10,760 229.22 106.99 第1次産業 61 2.17 0.63 297 7.71 2.20 第2次産業 1,545 43.21 18.38 8,532 165.75 81.39 第3次産業 226 9.87 4.11 1,931 55.76 22.34 韓国 1,010 21.97 9.32 3,921 64.64 35.66 香港 167 8.26 3.26 2,278 54.66 22.14 日本 155 3.81 2.19 849 16.44 10.56 米国 163 7.20 3.06 800 26.19 9.26 台湾 135 4.07 1.79 1,282 11.46 7.97 総 計 産業別 国 別 累 計 (備考)『青島統計年鑑』にもとづき作成 調 査 63 図表11 青島市の開発区 開発区名 2 (単位:km 、件、億ドル) クラス 開発面積 青島経済技術 国家級 35.0 青島高新技術 国家級 青島輸出加工区 国家級 環海 州 外商投資 件数 輸 出 契約金額 実行金額 うち外資 1,497 12.38 4.73 7.69 3.71 5.5 827 2.40 0.98 7.10 3.20 2.8 − − − − − 省 級 3.2 96 0.64 0.38 1.48 1.48 省 級 10.0 98 0.68 0.40 3.78 3.78 即墨 省 級 8.8 113 1.62 0.69 0.98 0.96 平度 省 級 8.3 102 0.66 0.38 1.69 1.69 南 省 級 8.0 87 1.32 0.36 1.37 0.89 菜西 省 級 8.3 87 0.42 0.26 0.61 0.61 (備考)1.『青島統計年鑑』にもとづき作成 2.経済技術開発区には保税区を含む。 (8)物流機能 ばれている。 イ.陸上交通 青島市から山東省各都市との物流は車が中 ロ.空港(青島流亭国際空港) 心となっている。青島から西の済南市へは高 空港は市街地の北側にあり、車で30分程度 速道路が通じ、北京・上海間の高速道路に接 と便利である。現在、空港ビルディング等北 続している。北の煙台市へは一般道(片側3車 京オリンピックに向けて大幅な改造が行われ 線)210kmで3時間、南の日照市へは一般道で ている。青島からは、東京、大阪、福岡、ソ 2時間かかる。旧市街地から経済技術開発区が ウル、釜山、大邱、パリ、シンガポール、バ ある黄島区へは膠州湾高速道路で1時間半かか ンコク、香港、マカオなど13の国と地域へは る。南北を結ぶ高速道路は計画されているもの 毎週130便、北京、上海、広州など47の国内主 の、 東西を結ぶ道路に比べて整備が遅れている。 要都市へは、毎週748便がフライトしている。 また、旧市街地から黄島区へは膠州湾高速 道路のほか、船を利用して30分で行くことが ハ.海運(青島港) できるが、その後の交通の便を考えると利用 青島港の貨物取扱量は1.22億トンに達し、国 しづらい面がある。そこで、膠州湾の跨ぐ海 内第5位に位置している。青島港は世界のほと 湾大橋が計画され、市政府は北京オリンピッ んどの主要港に向けた直行便を有し、2002年 クまでに開通したいと考えているようである。 の国際コンテナの取扱量は341万TEUであり、 鉄道は青島市から済南市までの膠済鉄道を 上海港(861万TEU) 、深 (761万TEU)に次 通じて全国各地と結ばれている。経済技術開 いで国内第3位、世界第15位となっている。さ 発区(黄島)へは膠州市から膠黄鉄道が開通 らに、外貿貨物の取扱量は8,236万トンで、上 している。膠州市からは煙台市へも鉄道で結 海港(10,571万トン)に次いで国内第2位の取 64 信金中金月報 2004.4 扱量を誇っている。連雲港のコンテナ取扱量 は土曜の9時∼11時が申告可能となっているが、 が100万TEU程度であり、コンテナの取扱量か 海上貨物の輸入および空港の通関は休日の取 らみて、青島港は中西部への玄関口としての り扱いがない。 役割も果たしている。青島市の港湾局は、華 青島港では、松くい虫に関する検疫が非常 北の大きな港(青島、天津、大連)の中で北 に厳格に運用されており、商品検査局が材木の 米航路への直行便があるのは青島のみであり、 一部を切って持ち帰り研究所で検査している。 青島港を2003年の上海港取扱量を上回るぐら また、中古設備の輸入が環境問題から非常 いまで持っていき、華北のハブ港にしたいと に厳しくなっており、中国側で輸入できるか 考えているようである。 事前に調べておくことが大切である。船積み また、青島港は旧市街地に旅客バースを残 前検査は、日本から出す前に中国の商品検査 し、貨物用バースを経済開発区がある黄島に 局の人を呼んで検査してもらうことになる。当 その機能を移しつつある。黄島区の前湾港を 該検査の費用は投資する会社の負担となるた 埋め立ててコンテナバースを拡張しており、す め、中国で新品を購入した方が良いケースが でに3期まで稼動している。青島市の港湾局は、 ある。中国製機械が故障した場合、メンテナ 今後5期まで埋め立てコンテナ取扱量を1,000万 ンスの対応が早いので、この点においても投 TEU規模まで上げる予定である。 資計画をよく吟味してみる必要がある。 日本への航路は6大港を含む10港(東京、横 浜、名古屋、大阪、神戸、博多、門司、下関、 中国人管理者が定着している信用 那覇、新潟)に直行便があり、釜山トラジッ 金庫取引先現地子会社 トで敦賀、直江津、苫小牧、青森、仙台への 便がある。所要時間は下関が36時間と一番早 今回は、信用金庫取引先現地法人2社を訪問 く、門司が2日、大阪・神戸が2∼4日、東京・ した。訪問した2社は進出後5年以上を経過し 横浜が4∼5日、名古屋が4∼5日ぐらいである。 ており、中国人管理者が定着していた。 通関事務の取り扱いは原則として月∼金の9 時∼17時となっており、海上貨物の輸出だけ 1.訪問先概要(図表12) 図表12 業 種 進出形態 設立 従業員 所在地 市内からの 所要時間 工場 A 社 電子部品製造 独資 (100%) 95年 820人 青島経済技術 開発区 車で 約90分 賃貸工場 B 社 金属加工品の製造 独資 (100%) 01年 50人 青島国際空港 工業区 車で 約30分 自社工場 (備考)進出形態のカッコ書きは信用金庫取引先の出資比率 調 査 65 日系企業にも影響がでており、2006年から 2.ヒアリング結果 (1)A社 基準が厳しくなる。はんだ等を使ってはな らないと客から要求されるので、薬物など イ.進出経緯 (イ)納入先から出てこないかと誘われ、1993 年から準備し1995年から稼動した。 は資料を出して承認をもらってやる。そう いう客からの要求が厳しくなりコストは上 がるが、客はその分を見てくれない。 (ロ)最初から黄島区の開発区に出てきた。標 (ヘ)商品開発はこちらではしていない。金型 準貸工場を利用し、独資会社3社、合弁会社 はこちらで作っており、日本で作って持っ 2社を設立した。各階700m 2の5階建てであ てくる金型は少なくなった。 る。 (ト)勤務時間は8時間3交代制で、中国の法律 にもとづき週休2日制3直4班で回転させてい ロ.業況等 (イ)同社は主に家電(キーボードの部分、携 る。また、残業代をしたがらない。金型工 場は納期に間に合わせるため残業している 帯電話の充電器の置き台)のプラスチック が、係長以上15名は残業代がつかない。 金型設計製作成形・加工を行っている。製 (チ)生産設備は当初中古機械を日本から持っ 品は、日本へ輸出50%、中国国内の外資系 てきたが、今は中国製を使っている。成形 企業30%、台湾ほか東南アジア20%である。 機とプレス機は関税12%と増値税17%を払 (ロ)現在の従業員は820人で、昨年は1,200人 えば持ってこられる。残存価値がない機械 であった。そのうち、正社員312名、残りが の輸入でも商品検査局により中国国内と同 臨時工である。仕事次第で明日は1,000人に じ価値とみなされ、税金をかけられる。物 なるかもしれない。職業学校から学生をグ にもよるが、中国製の機械で十分間に合う。 ループで連れてきて安く使っている。南の (リ)当社の製品は納期が短い。青島港から門 方は寮を作って押し込めるがここではその 司港に客船(週2便)で運び、門司から国内 必要はない。 陸送している。混載でやると50万円近く浮 (ハ)最低賃金は、昨年は380元で、今年は420 くが、20日間かかってしまうので、このや 元である。正社員も臨時工も同じである。新 り方でやっている。航空便に近い動きだが、 卒は、技術系大卒1,000元、文系大卒800元、 航空便は高いのでお客持ちとしている。 高卒中卒420元/月(最低賃金)である。 (ニ)青島市の福利費(雇用・健康保険・年金) は、失業保険1%+健康保険年金24%+個人 負担10%=35%である。 (ホ)環境対応についてはヨーロッパの影響で 66 信金中金月報 2004.4 (2)B社 イ.進出経緯 (イ)大きな会社について来れば楽だが、そう ではなくひとりで来た。情報も何もないと ころからスタートしたので、いわば「エイ ヤー」で来た。 (ロ)青島に決めたのは、日本に近いからで、 荷物は4日で東京・横浜に着く。 強い。今は班長をつけ教育させている。 (ハ)蒸気アイロンに使うホースを日本国内で 作っていたが、縫製工場とクリーニング店 がなくなってきたので中国でホースを売り (ハ)青島は当社のような金属加工業には向か 始めた。韓国より3倍高くても売れた。代金 ない。鋼材、アルミ、ステンレスなどすべ 回収については、ほとんど回収している。掛 て調達できると思っていたが、探しまわっ 売りに関しては最初からわかっていたので て蘇州まで調達に行っている。設備もこち やっていない。 らで使えるものはなく、刃物、ドリル、チ (ニ)会社は軌道に乗ってきたが、材料の調達 ップなど中国には全くなく、日本から持っ ができない。いい材料は蘇州までトラック てきた。 を仕立てて買いに行っている。 (ニ)1997年に開発区に進出し、2001年にここ (ホ)進出の目的は、作ったものを日本に持っ を買い新会社を立ち上げた。ここは空港ま て行くのか、こちらで商売したいのかであ で2kmと近い。しかし、冬は開発区から空 る。当社は後者で、材料の調達先が遠くて 港までの道路は凍結し普段の倍かかって時 も山東省でできる商売がある。販路の拡大 間が読めない。 は進出する日系企業を対象にしていく。日 系現地子会社に機械のパイプを納めている。 ロ.業況等 (イ)敷地は5,000坪、坪3,000円で買いとった。 パイプの両脇にホースをつけ、ホースの先 にバルブ、配管がつくものである。 現在、工場北側に寮を建てている。ワンル (ヘ)社長は1カ月のうち10日間青島にいる。中 ーム居室45部屋と食堂ほか48室で建築費は 小企業が進出する時、任せる人がいないの 安いが、部屋の間仕切り壁(れんが)の幅 が問題である。当社の場合、大学院を卒業 など言ったとおりに職人がやらない。 した中国人候補者が3人いた。一番頭がきれ (ロ)給与水準は専門学校卒の正社員で750元 そうな者は何をするかわからない不安があ である。従業員は60人で、やめさせたり、雇 ったので別の人間を雇い総経理にした。1,000 ったりである。機械をあてがって指示して 万円あれば一生食べていけるので、契約す も、遊びに行ったりして居なかったりする る時、工場を建てる時など、一回では振込 従業員もいるので、解雇して20人増やせば、 みをしていない。 10人減るといった状況である。従業員は歩 (ト)契約書は、こちらではないも同然という 合給を求める。会社が良くなれば工業団地 考え方をとっている。作っても相手は契約 で1番の給与を払うと言っても理解されない。 書を捨ててしまう世界である。日本人は契 自分の給料にのみ関心があり、個人主義が 約書をたてにとれないが、中国人は弁護士 調 査 67 を使って片付ける。当社は法律事務所へ行 国人には緻密さがなく誤差に対する考え方 くようなトラブルはなかった。12月はマイ が違う。専門学校に通っていると、精密の ナス7∼8度になり、疲れる。 大切さがわかる。 (チ)ホースの要が5/100ミリ大きいか、小さ (リ)2免3半減の優遇政策は、まだ享受してい いかを問題にするのが我々の感覚だが、中 ない。今年ようやく単年度黒字計上となる。 青島市の主な開発区のデータ(参考資料) 青島経済技術開発区 (2003年2月現在) 青島保税区 青島高新技術産業開発区 青島輸出加工区 国家級・省級等区分 国家級 国家級 国家級 国家級 批准年月 1985年3月 1992年11月 1992年8月 2003年3月 空港 立 地 高速道路IC 条 鉄道 件 港 青島空港まで53km 青島空港まで53km 青島空港まで17km 青島空港まで19km 区内にあり 区内にあり 区内にあり 区内にあり 黄島駅まで2km 黄島駅まで6km 青島駅まで12km 城陽駅まで6km 青島港まで5km 青島港まで5km 青島港まで15km 青島港まで36km 105元 150∼360元 97∼296元 N.A. 8∼18元 12∼16元 応相談 10.5∼12.5元 土地使用権取得価格 2 (元/m /50年) 標準工場賃借料 2 (元/m /月) 費 電力料(元/KWH) 0.579∼0.595元 1.35元 用 工業水(元/屯) N.A. 0.582∼0.688元 0.647元 N.A. 1.80元 2.5元 誘致奨励産業 物流、貿易 電 子 情 報 、バ イ オ 医 電子情報、精密機械、 薬、新材料 新 素 材 、フ ァ イ ン ケ 電 子 情 報 、バ イ オ 医 薬、新材料 ミカル 進出外資系企業数 1,235社 690社 824社 N.A. 主な進出日系企業 ミ ツ ミ 電 機 、松 下 電 松下電器、住商、三菱 三菱重工、ふそう、大 N.A. 子、日毛、三葉電機 商事、丸紅 日本インキ 電子関連業業種が多 海 路 、空 路 と も に 日 区内に中国を代表す い。 区内に中国最大 本 へ の 直 行 便 あ り 、 る家電メーカー海爾、 の原油バースと石化 利便性高い。 その他特記事項 工業区がある。 海信の工業園とソフ ト パ ー ク 、大 学 テ ク ノパークがある。 (備考)国際協力銀行「中国の主要工業団地(環渤海経済圏)」、青島市城陽区ホームページより 68 信金中金月報 2004.4 N.A. 信金中央金庫総合研究所活動状況(2月) 1.レポート等の発行 発行日 04.1.7 レポート分類 信用金庫預貸金予測 通巻 タ イ ト ル 15-11 緩やかな回復傾向で推移する信用金庫の預貸金 04.2.2 04.2.12 04.2.13 04.2.23 内外金利・為替見通し アジア業務相談室情報 貿易投資相談ニュース 経済見通し 15-11 15-6 106 15-4 執筆者 角田匠、 成瀬智 斎藤大紀 篠崎幸弘 ― 角田匠 ― 中国環渤海地域の投資環境―大連市の現況― ― 実質成長率は2003年度2.8%、04年度2.1%と予測 2.講座・講演・放送等の実施 実施日 04.2.4 04.2.9 種類 タ イ ト ル 放送 シリコンバレーは今 講演 中小企業の経営改善支援 講座・講演会・番組名称 場所・放送局 ラジオ深夜便 NHKラジオ 講 師 等 青木武 東京営業第1部管内信用金庫 信金中央金庫 第2回経営改善支援担当者 八重洲別館 情報連絡会 藤津勝一 04.2.13 講演 創業支援の現状 鉢嶺実 04.2.14 講演 創業支援の現状 04.2.17 講演 産業再生機構を活用した再生手法等 下関信用金庫創業支援 研究会 吉南信用金庫リレバン 勉強会 企業再生に係る説明会 04.2.18 04.2.18 放送 講演 BSE問題の米国経済への影響 新年度の経済展望 ラジオ深夜便 豊田経営研究会 04.2.18 講演 リレーションシップバンキングの機 横浜信用金庫講演会 能強化に向けて―収益力確保策のひ とつとして『伸びる産業』に注目を― 04.2.18 講演 地域貢献のあり方 04.2.19 講演 04.2.19 講演 04.2.19 講演 04.2.21 講演 04.2.23 講演 04.2.24 講演 八戸信用金庫研修会 下関信用金庫 本部 山口県セミナー パーク 三島信用金庫 本店 NHKラジオ ホテル豊田 キャッスル 横浜信用金庫 本店 八戸信用金庫 本部 新年度の経済展望 墨田区・江東区 東京東信用金庫 しんきん協議会 本店 観光業等における活性化と企業支援 中小企業経営支援の 諏訪信用金庫 研修会 本部 事業再生のための金融スキーム 長岡信用金庫研修会 長岡信用金庫 DIPファイナンス・DIS・DDS 本店 信用金庫取引先の海外進出に対する 仙南信用金庫研修会 仙南信用金庫 支援業務 本店 伊豆信用金庫 中小企業経営改善支援(工務店事例) 伊豆信用金庫取引先 (工務店)向けセミナー 本店 中小企業の経営への示唆 信金ニューリーダーズ 大川信用金庫 クラブ講演会 本店 鉢嶺実 長山宗広 青木武 斎藤大紀 澤山弘 服部秀樹 斎藤大紀 長山宗広 間下聡 篠崎幸弘 長山宗広 藤津勝一 3.原稿掲載 発行日 04.2.10 タ イ ト ル ズームアップ・アジア「タイのFTA戦略―貿 易自由化に消極的な日本はアジアの中でも取 り残される!―」 掲 載 誌 信用金庫2月号 発 行 全国信用金庫協会 信金中金だより 執筆者 黒岩達也 69 1.信用金庫統計 (1)信用金庫の主要勘定概況…………71 (2)信用金庫の店舗数、合併等………73 (3)信用金庫の預金種類別預金、地区別預金 ……74 (4)信用金庫の預金者別預金…………75 (5)信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金 ……76 (6)信用金庫の貸出先別貸出金………77 (7)信用金庫の余裕資金運用状況……78 2.金融機関業態別統計 (1)業態別預貯金等……………………79 (2)業態別貸出金………………………80 統計資料の照会先:信金中央金庫 総合研究所 Tel 03-3563-7541 Fax 03-3563-7551 (凡 例) 1.金額は、単位未満切捨てとした。 2.比率は、原則として小数点以下第1位までとし第2位以下切捨てとした。 3.記号・符号表示は次のとおり。 〔 0 〕ゼロまたは単位未満の計数 〔―〕該当計数なし 〔△〕減少または負 〔…〕不詳または算出不能 〔*〕1,000%以上の増加率 〔p〕速報数字 〔r〕訂正数字 〔b〕b印までの数字と次期以降との数字は不連続 4.地区別統計における地区のうち、関東には山梨、長野、新潟を含む。東海は静岡、愛知、岐阜、三重の4 県、九州北部は福岡、佐賀、長崎の3県、南九州は熊本、大分、宮崎、鹿児島の4県である。 ※先月号まで掲載していた金融機関業態別統計の業態別預金者別預金(月中平残)および業態別貸出先別貸出金については、 出所である日本銀行において2004年1月以降、データの更新が中止されたことから、本誌においても今月号以降の掲載を中 止いたします。 1. (1)信用金庫の主要勘定概況(2004年1月末) ○預 金 1月の全国信用金庫の預金は、月中1兆2,150億円、1.1%減と、前年同月(1兆7,014億円、1.6%減)と同様に減 少した。 ① 要求払預金は、年金振込金やボーナス預金の流出、営業資金および決済資金のための流出等から、月中1兆 1,621億円、3.4%減と、前年同月(1兆6,458億円、5.1%減)と同様に減少した。 ② 定期性預金は、定期積金の掛込みがみられたものの、営業資金および決済資金のための流出等から、月中 513億円、0.0%減と、前年同月(626億円、0.0%減)と同様わずかながら減少した。 ③ 外貨預金等は、月中15億円、0.3%減少した。 なお、2004年1月末の預金の前年同月比増減率は、2.4%増となった。 ○貸出金 貸出金は、月中5,375億円、0.8%減と、前年同月(8,980億円、1.4%減)と同様に減少した。 ① 割引手形は、売上低下等による受取・持込手形の減少や、期日落込みの増加等から、月中705億円、2.7% 減と、前年同月(3,012億円、10.7%減)と同様に減少した。 ② 貸付金は、住宅ローンの実行がみられたものの、季節的要因による資金需要の減退等から、月中4,670億円、 0.7%減と、前年同月(5,968億円、0.9%減)と同様に減少した。 なお、2004年1月末の貸出金の前年同月比増減率は、0.2%減となった。 ○余資運用資産 余資運用資産は、月中7,010億円、1.4%減と、前年同月(8,230億円、1.7%減)と同様に減少した。 主な内訳をみると、預け金は、信金中金預け金の減少等から、月中3,611億円、1.8%減となった。 金融機関貸付等は、コールローンの増加等から、月中161億円、27.7%増となった。 有価証券は、社債(370億円減) 、投資信託(263億円減) 、外国証券(226億円減)等が減少したものの、国債 (672億円増)や地方債(313億円増)が増加したため、月中87億円、0.0%増となった。 統 計 71 信用金庫の主要勘定増減状況(2004年1月末) (単位:百万円、%) 前 月 比 増 減 区 分 現 金 (小 切 手 ・ 手 形) 預 け 金 (信 金 中 金 預 け 金) (譲 渡 性 預 け 金) 金 融 機 関 貸 付 等 金 融 機 関 貸 付 金 買 入 手 形 資 コ ー ル ロ ー ン 買 現 先 勘 定 債券貸借取引支払保証金 買 入 金 銭 債 権 金 銭 の 信 託 産 商 品 有 価 証 券 有 価 証 券 国 債 地 方 債 短 期 社 債 社 債 項 株 式 貸 付 信 託 投 資 信 託 外 国 証 券 そ の 他 の 証 券 貸 付 有 価 証 券 目 小 計 貸 出 金 (月 中 平 残) 割 引 手 形 貸 付 金 手 形 貸 付 証 書 貸 付 当 座 貸 越 預 金 ・ 積 金 (月 中 平 残) 要 求 払 預 金 当 座 預 金 負 普 通 預 金 貯 蓄 預 金 通 知 預 金 債 別 段 預 金 納 税 準 備 預 金 定 期 性 預 金 項 定 期 預 金 定 期 積 金 外 貨 預 金 等 目 実 質 預 金 譲 渡 性 預 金 借 用 金 預 貸 率 高 員 勘 定 増 減 額 1,556,650 △ (△ 258,739 ) 19,636,631 △ (△ 18,615,700 ) (△ 55,004 ) 74,465 0 0 59,760 5,999 △ 8,704 422,931 △ 326,228 △ 19,724 △ 26,764,790 6,946,372 2,655,097 0 11,245,095 △ 456,546 △ 398 △ 584,268 △ 4,815,381 △ 61,629 △ 0 48,801,421 △ 62,763,791 △ ( 62,570,717 ) 2,538,836 △ 60,224,955 △ 7,831,062 △ 49,264,752 △ 3,129,139 △ 105,594,948 △ ( 105,542,885 ) 32,445,272 △ 2,414,362 △ 28,048,940 △ 1,324,137 178,971 △ 441,964 △ 36,893 △ 72,735,953 △ 65,312,459 △ 7,423,493 413,722 △ 105,336,208 △ 96,588 497,496 △ 59.3 ( ( ( ( ( 会 会 員 勘 定 普 通 出 資 金 優 先 出 資 金 優 先 出 資 払 込 金 資 本 準 備 金 そ の 他 資 本 剰 余 金 利 益 準 備 金 特 別 積 立 金 前 期 繰 越 金 未 処 分 剰 余 金 土 地 再 評 価 差 額 金 株 式 等 評 価 差 額 金 処 分 未 済 持 分 自己優先出資払込金 自 己 優 先 出 資 残 △ 5,526,980 564,411 17,590 0 13,662 1 359,720 4,263,608 99,725 1,969 206,811 0 520 0 0 △ △ 増 減 率 327,576 △ (△ 33,258 ) 361,193 △ (△ 312,864 ) (△ 5,500 ) 16,191 0 0 14,795 1,000 △ 2,395 32,570 △ 3,523 △ 1,155 △ 8,781 67,290 31,308 0 37,092 △ 2,225 △ 22 △ 26,367 △ 22,688 △ 1,424 △ 0 701,047 △ 537,589 △ ( 66,288 ) 70,553 △ 467,036 △ 175,610 △ 243,076 △ 48,350 △ 1,215,070 △ ( 105,209 ) 1,162,131 △ 251,982 △ 602,371 △ 2,667 52,241 △ 255,830 △ 2,375 △ 51,378 △ 147,125 △ 95,746 1,561 △ 1,181,813 △ 19,920 22,908 △ 620 949 0 0 0 0 0 0 0 349 16 0 36 0 0 △ △ 0.0 0.1 0.0 ― 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 15.0 0.0 0.0 ― ― ― 信金中金月報 2004.4 △ △ △ △ △ 1.3 4.8 681.7 ― 172.6 ― 0.4 2.8 1.9 ― 2.1 100.0 ― ― ― 年 月中増減額 17.3 5.1 △ ( (△ 11.3 ) 59.2 ) 1.8 1.9 △ ( (△ 1.6 ) 2.2 ) ( △ 41.3 ) (△ 9.0 ) 27.7 △ 49.2 ─ ─ ─ ─ 32.9 △ 57.8 14.2 20.1 37.9 ─ 7.1 △ 16.3 △ 1.0 △ 0.7 5.5 18.0 0.0 9.2 0.9 25.5 1.1 7.5 △ ─ ─ 0.3 3.4 0.4 △ 12.9 △ 5.2 △ 85.1 △ 4.3 △ 19.7 △ 0.4 11.5 △ 2.2 1.0 △ ─ △ 100.0 1.4 5.5 △ 0.8 △ 0.2 △ (△ ( 0.1 ) 0.7 ) 2.7 1.0 △ 0.7 △ 0.2 △ 2.1 △ 7.7 △ 0.4 1.3 △ 1.5 △ 5.9 △ 1.1 2.4 △ ( ( 0.0 ) 2.1 ) 3.4 6.7 △ 9.4 20.0 △ 2.1 7.0 △ 0.2 △ 2.4 22.5 9.8 △ 36.6 △ 31.1 △ 6.0 6.3 △ 0.0 0.7 △ 0.2 1.4 △ 1.3 △ 4.5 0.3 △ 14.6 1.1 2.3 △ 25.9 225.6 △ 4.4 57.1 (備考)預貸率=貸出金/預金・積金×100(預金には譲渡性預金を含む。) 72 前年同月比 増 減 率 前 △ △ △ △ △ 同 513,778 △ (△ 239,066 ) 699,244 △ (△ 523,417 ) (△ 16,500 ) 16,639 0 0 11,644 4,994 ─ 15,439 △ 6,285 227 382,247 322,426 26,622 △ ─ 128,508 932 △ 4 △ 23,236 △ 15,481 △ 2,411 △ 0 823,063 △ 898,086 △ ( 38,987 ) 301,283 △ 596,803 △ 209,198 △ 383,259 △ 4,346 △ 1,701,413 △ ( 94,757 ) 1,645,829 △ 612,999 △ 895,803 △ 2,621 84,359 △ 52,173 △ 3,114 △ 62,617 △ 172,260 △ 109,643 7,033 1,462,348 △ 2,530 △ 11,010 1,476 2,063 0 0 0 ― 386 753 155 68 3 604 11 ― 0 月 前年同月比 増 減 率 25.7 △ 0.3 ( 59.5 ) 1.6 ) 3.5 0.0 (△ 2.7 ) 0.3 ) (△ 14.9 ) 9.7 ) 12.7 25.8 ─ ─ ─ ─ 8.9 27.0 ─ △ 0.1 ─ ─ 2.9 20.9 1.9 △ 32.0 1.3 △ 26.7 1.5 1.3 6.1 4.1 1.0 △ 0.1 ─ ─ 1.1 5.7 0.1 △ 5.6 0.1 △ 14.0 3.0 △ 39.6 0.3 0.5 3.8 25.8 0.0 △ 98.1 1.7 0.5 1.4 △ 2.4 (△ 0.0 ) 2.4 ) 10.7 △ 9.0 0.9 △ 2.1 2.4 △ 8.6 0.7 △ 0.7 0.1 △ 4.4 1.6 △ 1.1 (△ 0.0 ) 1.2 ) 5.1 26.5 23.3 3.9 3.3 33.8 0.1 △ 13.4 34.1 △ 30.1 7.5 △ 5.7 8.2 △ 3.2 0.0 △ 9.3 0.2 △ 9.6 1.4 △ 5.9 1.4 △ 21.1 1.4 △ 1.1 7.8 123.0 3.6 6.6 月中増減率 △ △ △ △ 0.0 0.3 0.0 ― 0.0 ― 0.1 0.0 0.1 ― 0.0 ― ― ― ― △ △ △ △ △ △ △ 3.1 0.0 ― ― * ― 1.9 3.1 13.2 248.5 8.6 ― ― ― ― 1. (2)信用金庫の店舗数、合併等 信用金庫の店舗数、会員数、常勤役職員数 店 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 本 店 支 店 (信用金庫数) 386 8,004 371 7,842 349 7,781 343 7,760 340 7,736 330 7,707 327 7,683 326 7,673 326 7,670 326 7,662 326 7,655 321 7,648 321 7,633 321 7,595 315 7,529 314 7,514 314 7,513 309 7,508 p 307 舗 (単位:店、人) 数 常 出張所 合 計 248 267 270 269 265 267 263 264 258 258 258 255 250 258 262 265 266 267 8,638 8,480 8,400 8,372 8,341 8,304 8,273 8,263 8,254 8,246 8,239 8,224 8,204 8,174 8,106 8,093 8,093 8,084 8,078 会 員 数 常勤役員 8,876,360 8,941,138 8,981,084 8,933,646 8,946,274 8,982,770 8,999,920 9,001,391 9,012,732 9,024,328 9,032,713 9,039,955 9,048,504 9,058,720 9,067,020 9,073,614 9,083,334 9,086,064 9,093,543 2,900 2,804 2,734 2,664 2,651 2,606 2,583 2,556 2,553 2,547 2,507 2,495 2,493 2,487 2,462 2,458 2,454 2,425 勤 男 子 98,124 94,112 91,451 91,712 90,665 89,712 89,014 87,922 89,124 88,799 88,196 87,840 87,502 87,065 86,761 86,522 86,194 85,865 役 職 職 員 女 子 43,781 41,004 38,851 40,844 39,599 38,706 38,193 37,086 39,164 38,996 38,559 38,151 37,858 37,429 37,204 37,095 36,622 36,380 員 数 計 141,905 135,116 130,302 132,556 130,264 128,418 127,207 125,008 128,288 127,795 126,755 125,991 125,360 124,494 123,965 123,617 122,816 122,245 合 計 144,805 137,920 133,036 135,220 132,915 131,024 129,790 127,564 130,841 130,342 129,262 128,486 127,853 126,981 126,427 126,075 125,270 124,670 124,145 信用金庫の合併等 年 月 日 2002年 7 月15日 2002年 7 月15日 2002年 7 月15日 2002年 7 月15日 2002年 7 月22日 2002年 8 月 5 日 2002年 8 月 5 日 2002年 8 月12日 2002年 9 月17日 2002年 9 月17日 2002年 9 月17日 2002年 9 月24日 2002年10月14日 2002年10月15日 2002年10月15日 2002年11月 5 日 2002年11月18日 2002年11月18日 2002年11月18日 2002年12月16日 2003年 1 月 1 日 2003年 1 月 6 日 2003年 1 月14日 2003年 3 月10日 2003年 3 月24日 2003年 3 月24日 2003年 7 月 7 日 2003年 7 月 7 日 2003年 7 月22日 2003年 7 月22日 2003年10月20日 2003年10月20日 2003年10月20日 2003年11月 4 日 2004年 1 月13日 2004年 1 月19日 2004年 1 月19日 2004年 2 月 9 日 2004年 2 月 9 日 2004年 2 月16日 甲府商工 たちばな 筑後 興産 秋田 長野 上田 平塚 西武 東京東 昭和 石岡* 豊川 東都中央 伊豆 京都北都 群馬中央 銚子 徳島 足立 札幌 水戸 かもめ 摂津 金沢 能登 芝 一宮 東京東 赤穂 秋田 富山 福岡ひびき 能登 王子 直江津 北伊勢 高松 鹿児島相互 興能 異 動 大月 (島原信組) (両筑信組) (第三信組) (秋田中央信組) (上田商工信組) (上田商工信組) (厚木信組) 平成 (永代信組) (永代信組) (岡崎市民信組) 東京産業 下田 福知山 大栄 旭 鳴門 成和 石狩中央 土浦 福鞆 水都 (石川銀行) (石川銀行) 東調布 愛北 小岩 伊那 五城目 射水 新北九州 共栄 太陽 高田 上野 さぬき 川内 (高浜信組) 東舞鶴 金 庫 名 舞鶴 綾部 門司 築上 直方 荒川 日興 津島 新金庫名 山梨 たちばな 筑後 興産 秋田 長野 上田 平塚 西武 東京東 昭和 水戸 豊川 さわやか 伊豆 京都北都 ぐんま 銚子 徳島 足立成和 札幌 水戸 しまなみ 摂津水都 金沢 能登 芝 いちい 東京東 アルプス中央 秋田 富山 福岡ひびき のと共栄 城北 上越 北伊勢上野 高松 鹿児島相互 興能 金庫数 342 342 342 342 342 342 342 342 341 341 341 340 340 339 338 334 333 332 331 330 329 328 327 326 326 326 325 323 322 321 320 319 315 314 311 310 309 308 307 307 異動の種類 合併 事業譲受 事業譲受 事業譲受 事業譲受 事業譲受 事業譲受 事業譲受 合併 事業譲受 事業譲受 事業譲渡解散 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 事業譲受 事業譲受 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 合併 (備考)1.*印は預金保険法にもとづく破綻信用金庫である。 2.信用組合等からの事業譲受日は、金融庁公表資料による。 統 計 73 1. (3)信用金庫の預金種類別預金、地区別預金 預金種類別預金 預金計 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 p 1,020,320 1,038,043 1,028,198 1,035,283 1,031,142 1,047,505 1,035,076 1,035,536 1,044,809 1,044,410 1,054,744 1,050,575 1,056,653 1,053,808 1,050,779 1,055,159 1,068,100 1,055,949 1,061,010 (単位:億円、%) 前年同月比 増 減 率 1.4 1.7 △ 0.9 △ 2.1 △ 2.1 △ 1.2 △ 0.4 0.7 1.3 1.9 1.8 2.2 2.3 2.1 2.2 2.3 1.9 2.4 2.5 要求払 214,497 230,205 297,903 313,936 308,290 320,432 310,616 312,842 322,051 319,924 325,170 317,343 323,633 322,502 322,398 327,046 336,074 324,452 331,166 前年同月比 増 減 率 4.1 7.3 29.4 31.9 30.3 27.1 23.6 5.0 4.0 4.6 3.5 4.4 4.7 4.6 5.0 5.4 4.8 6.7 6.6 定期性 797,284 801,008 723,681 716,726 717,273 722,295 719,896 716,192 718,100 719,717 724,946 728,742 728,684 726,178 723,891 723,409 727,873 727,359 725,787 前年同月比 外貨預金等 前年同月比 増 減 率 増 減 率 0.8 8,539 △ 9.2 0.4 6,829 △ 20.0 △ 9.6 6,613 △ 3.1 △ 11.9 4,620 △ 14.1 △ 11.6 5,579 3.0 △ 10.0 4,776 △ 10.0 △ 8.0 4,563 △ 27.2 △ 1.0 6,500 △ 1.7 0.3 4,656 △ 12.9 0.8 4,768 △ 8.6 1.1 4,627 0.1 1.2 4,489 △ 0.9 1.4 4,334 △ 8.6 1.2 5,127 △ 8.1 1.2 4,489 △ 13.4 1.1 4,703 △ 11.4 0.7 4,152 △ 13.0 0.7 4,137 △ 14.6 0.8 4,056 △ 11.1 実質預金 1,016,862 1,033,760 1,024,192 1,032,619 1,028,558 1,043,490 1,033,425 1,032,788 1,043,194 1,041,788 1,053,240 1,049,149 1,054,039 1,051,883 1,049,323 1,052,500 1,065,180 1,053,362 1,058,358 前年同月比 増 減 率 1.4 1.6 △ 0.9 △ 2.0 △ 2.0 △ 1.2 △ 0.4 0.8 1.4 1.8 1.9 2.2 2.3 2.2 2.2 2.3 2.0 2.3 2.4 譲渡性預金 122 105 114 225 302 321 325 244 383 507 650 647 891 915 1,005 1,084 766 965 855 前年同月比 増 減 率 △ 36.7 △ 13.3 7.9 71.5 73.3 129.4 136.8 113.7 124.1 120.9 189.0 149.9 250.1 202.8 177.5 230.4 138.1 225.6 162.7 (備考)1.預金計には譲渡性預金を含まない。 2.実質預金は預金計から小切手・手形を差引いたもの。 地区別預金 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 p 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 p (単位:億円、%) 北海道 51,708 53,392 54,596 55,636 55,300 56,826 55,020 55,302 56,105 55,723 56,473 55,801 56,148 55,749 55,624 56,645 57,719 55,985 56,167 近 畿 206,301 207,950 201,814 201,714 201,308 203,462 201,019 201,600 202,506 202,952 204,930 204,352 205,269 205,386 204,412 205,232 207,067 205,239 206,117 前年同月比 増 減 率 2.5 3.2 2.2 0.7 0.5 0.4 0.9 1.2 1.4 2.1 1.5 1.6 2.0 0.8 1.6 1.9 1.5 2.3 2.0 前年同月比 増 減 率 0.7 0.7 △ 2.9 △ 4.2 △ 4.3 △ 3.3 △ 2.2 △ 0.1 0.3 0.8 1.5 2.0 2.1 2.0 2.0 2.2 1.7 2.3 2.5 東 北 38,831 39,684 39,036 39,953 39,703 40,360 39,863 39,462 40,151 39,950 40,347 40,118 40,336 40,145 40,170 40,281 40,851 40,355 40,619 中 国 49,526 49,578 49,651 50,042 49,920 50,632 49,949 50,175 50,383 50,363 51,036 50,717 51,017 50,844 50,300 50,480 51,138 50,337 50,618 前年同月比 増 減 率 1.7 2.1 △ 1.6 △ 1.5 △ 1.5 △ 0.5 0.1 1.0 1.4 1.9 0.9 1.0 1.2 1.1 1.2 1.3 1.2 1.7 1.8 前年同月比 増 減 率 0.8 0.1 0.1 △ 1.8 △ 1.1 △ 0.7 △ 0.4 1.0 1.4 2.1 1.9 2.1 2.3 1.8 1.5 1.6 0.9 1.1 1.3 東 京 192,017 194,416 190,125 192,124 191,804 194,208 192,561 193,270 194,493 195,195 196,425 195,738 197,315 196,553 196,386 197,385 199,155 197,620 198,294 四 国 17,198 17,773 18,064 18,137 18,119 18,341 18,193 18,206 18,313 18,320 18,483 18,468 18,540 18,491 18,438 18,494 18,769 18,634 18,730 前年同月比 増 減 率 0.3 1.2 △ 2.2 △ 3.4 △ 3.0 △ 1.8 △ 0.6 0.8 1.8 2.7 2.2 2.7 3.2 2.4 2.7 2.8 2.5 3.1 2.9 前年同月比 増 減 率 2.0 3.3 1.6 △ 0.8 △ 0.5 △ 0.4 0.5 0.7 1.6 2.0 1.9 2.4 2.5 2.0 2.2 2.2 2.3 2.8 2.9 関 東 197,800 199,809 198,309 199,562 197,699 201,075 198,756 197,820 199,922 199,633 201,691 200,888 202,145 201,450 201,355 201,837 204,715 202,305 203,450 九州北部 17,411 17,940 17,916 18,191 18,085 18,439 18,171 17,984 18,414 18,389 18,597 18,454 18,612 18,452 18,455 18,486 18,766 18,558 18,645 前年同月比 増 減 率 0.9 1.0 △ 0.7 △ 1.3 △ 1.9 △ 0.9 △ 0.6 0.4 0.9 1.3 2.3 1.4 1.3 1.8 2.0 2.0 1.8 2.2 2.3 前年同月比 増 減 率 2.5 3.0 △ 0.1 △ 1.7 △ 1.4 △ 0.6 0.2 0.3 1.7 2.4 2.2 2.1 2.4 2.0 2.3 2.2 1.7 2.8 2.6 (備考)1.沖縄地区は全国に含めた。 2.東京・関東地区の2002年6月以降の増減率は、地区間の事業譲渡を調整して算出 74 信金中金月報 2004.4 北 陸 30,732 31,560 31,829 32,404 32,016 32,600 32,106 32,313 32,587 32,673 32,818 32,769 32,994 32,778 32,774 32,796 33,108 32,812 32,992 南九州 24,139 24,392 23,556 23,807 23,793 24,424 23,658 23,746 24,023 24,041 24,269 24,141 24,274 24,306 24,119 24,230 24,855 24,312 24,226 前年同月比 増 減 率 1.6 2.6 0.8 0.4 △ 0.1 0.4 △ 0.2 1.5 1.5 2.5 1.2 1.7 1.8 2.3 2.4 2.1 1.5 2.6 2.7 前年同月比 増 減 率 1.2 1.0 △ 3.4 △ 4.8 △ 3.3 △ 1.9 △ 1.0 0.8 1.5 2.3 1.9 1.7 1.8 2.1 1.9 1.9 1.7 2.5 2.4 東 海 193,122 200,034 201,901 202,346 201,980 205,777 204,427 204,281 206,551 205,823 208,291 207,712 208,601 208,248 207,358 207,916 210,580 208,431 209,789 全国計 1,020,320 1,038,043 1,028,198 1,035,283 1,031,142 1,047,505 1,035,076 1,035,536 1,044,809 1,044,410 1,054,744 1,050,575 1,056,653 1,053,808 1,050,779 1,055,159 1,068,100 1,055,949 1,061,010 前年同月比 増 減 率 3.4 3.5 0.9 △ 0.3 △ 0.5 0.2 1.0 1.1 2.3 2.6 2.9 3.1 3.2 3.1 2.7 2.9 2.3 2.5 2.6 前年同月比 増 減 率 1.4 1.7 △ 0.9 △ 2.1 △ 2.1 △ 1.2 △ 0.4 0.7 1.3 1.9 1.8 2.2 2.3 2.1 2.2 2.3 1.9 2.4 2.5 1. (4)信用金庫の預金者別預金 (単位:億円、%) 預金計 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 1,019,963 1,037,617 1,027,696 1,035,281 1,031,041 1,047,491 1,030,489 1,035,075 r 1,035,334 1,044,807 1,044,408 1,054,739 1,050,573 1,056,651 1,053,806 1,050,777 1,055,157 1,068,098 1,055,947 個人預金 前年同月比 増 減 率 1.4 1.7 △ 0.9 △ 2.1 △ 2.1 △ 1.2 △ 1.1 △ 0.4 0.7 1.3 1.9 1.8 2.2 2.3 2.2 2.2 2.3 1.9 2.4 一般法人預金 r 201,155 r 200,268 182,602 179,737 177,263 182,904 171,212 170,581 r 173,622 177,167 179,129 174,582 172,593 176,231 176,942 173,553 179,661 183,661 177,071 要求払 3,433 3,569 12,046 14,833 14,413 12,262 12,930 13,046 11,804 13,004 12,681 14,234 13,611 11,572 11,960 11,363 11,290 9,971 9,673 前年同月比 増 減 率 △ 1.0 △ 0.4 △ 8.8 △ 10.8 △ 11.6 △ 7.4 △ 7.7 △ 6.4 △ 4.9 △ 1.9 1.7 △ 2.8 △ 0.4 △ 0.1 △ 0.1 △ 0.0 0.2 0.4 3.4 前年同月比 増 減 率 10.7 3.9 237.4 444.6 445.2 361.3 290.3 222.7 △ 2.0 △ 14.2 △ 24.1 △ 4.0 △ 12.5 △ 20.3 △ 17.0 △ 15.3 △ 15.7 △ 18.6 △ 25.1 r 768,266 r 792,296 802,012 809,100 806,218 821,867 817,291 822,478 820,195 825,985 823,407 832,512 831,375 837,644 833,099 836,650 835,115 846,003 842,122 要求払 62,619 69,649 85,538 86,645 85,695 92,675 81,123 80,922 r 84,315 87,519 89,595 85,598 83,788 87,649 88,331 85,307 91,736 96,030 89,515 定期性 20,770 20,719 10,738 14,863 13,848 13,047 12,676 11,980 10,366 11,322 13,049 15,932 16,121 15,611 13,747 13,323 13,145 12,817 12,672 前年同月比 増 減 率 2.0 3.1 1.2 0.6 0.1 0.6 0.9 1.5 2.2 2.7 3.0 2.8 3.1 3.4 3.3 3.3 3.3 2.9 3.0 要求払 前年同月比 増 減 率 △ 0.2 11.2 22.8 26.5 23.4 27.2 30.0 29.5 △ 1.4 2.3 9.0 △ 1.2 3.4 3.4 3.0 3.3 3.4 3.6 10.3 定期性 141,879 153,271 195,149 208,748 202,900 211,302 206,585 212,411 211,169 217,273 214,709 221,079 216,059 221,570 217,690 222,508 220,874 226,794 222,961 138,202 130,298 96,760 92,702 91,211 89,865 89,712 89,292 88,922 89,281 89,157 88,622 88,441 88,208 88,215 87,859 87,551 87,249 87,182 前年同月比 増 減 率 6.2 8.0 27.3 27.3 25.8 22.3 20.7 17.8 8.2 6.5 7.2 5.9 6.7 7.4 7.2 7.3 7.7 7.3 7.9 定期性 626,134 638,772 606,630 600,112 603,054 610,303 610,434 609,789 608,742 608,428 608,383 611,104 614,967 615,716 614,990 613,669 613,754 618,654 618,597 前年同月比 外貨預金等 前年同月比 増 減 率 増 減 率 1.1 238 119.2 2.0 240 0.5 △ 5.0 220 △ 8.3 △ 6.2 228 8.8 △ 6.2 252 9.0 △ 5.1 250 16.2 △ 4.3 259 14.4 △ 3.1 266 18.3 0.3 273 24.1 1.4 272 24.1 1.6 303 34.7 1.8 318 39.5 1.9 337 33.7 2.0 346 34.6 1.9 407 61.7 1.9 462 87.3 1.7 476 93.9 1.3 544 117.4 1.3 552 112.9 前年同月比 外貨預金等 前年同月比 増 減 率 増 減 率 △ 1.4 323 8.9 △ 5.7 309 △ 4.1 △ 25.7 293 △ 5.0 △ 30.2 380 44.5 △ 30.2 347 △ 6.8 △ 27.8 354 9.0 △ 26.9 367 △ 8.9 △ 25.2 358 △ 6.5 △ 8.1 376 28.2 △ 5.8 358 19.6 △ 4.7 367 10.4 △ 4.4 353 △ 7.1 △ 3.8 354 0.5 △ 3.5 364 2.3 △ 3.2 386 11.3 △ 3.1 377 8.2 △ 2.9 365 4.2 △ 2.9 373 5.2 △ 2.8 365 △ 0.5 前年同月比 外貨預金等 前年同月比 増 減 率 増 減 率 10.3 456 27.2 △ 0.2 611 33.9 △ 48.1 200 △ 67.1 △ 50.5 105 △ 71.9 △ 47.6 38 △ 87.4 △ 47.0 37 △ 70.7 △ 48.3 33 △ 80.4 △ 47.2 35 △ 84.0 △ 3.4 118 △ 41.2 4.5 2 △ 91.3 2.9 77 27.1 7.1 208 98.3 5.8 15 △ 73.1 4.4 36 △ 67.8 △ 0.7 51 35.2 0.9 16 105.5 0.5 201 342.4 △ 1.7 57 54.1 △ 0.0 12 △ 63.9 金融機関預金 25,857 20,141 20,084 16,631 19,248 17,361 16,334 16,942 19,217 17,316 16,054 17,259 16,845 15,546 17,995 15,861 15,733 15,577 14,386 公金預金 r 24,663 r 24,903 22,990 29,805 28,304 25,350 25,644 25,065 22,292 24,331 25,812 30,379 29,752 27,223 25,763 24,706 24,640 22,850 22,361 政府関係 前年同月比 預 り 金 増 減 率 △ 4.8 14 △ 22.1 2 △ 0.2 2 △ 11.8 1 3.8 2 △ 7.9 1 △ 13.0 1 △ 17.6 1 △ 4.3 1 △ 12.7 1 △ 20.3 1 3.7 1 △ 5.3 1 △ 4.6 0 △ 6.5 1 △ 7.8 1 △ 5.4 1 △ 10.2 0 △ 11.9 0 前年同月比 増 減 率 10.6 0.9 △ 7.6 △ 10.1 △ 3.6 △ 7.5 △ 8.4 △ 7.0 △ 3.0 △ 6.5 △ 12.4 1.9 △ 3.5 △ 8.0 △ 8.9 △ 7.2 △ 7.1 △ 9.8 △ 12.8 譲渡性預金 122 105 114 225 302 321 296 325 244 383 507 650 647 891 915 1,005 1,084 766 965 (備考)日本銀行『預金現金貸出金調査表』より作成。このため、 『日計表』による(3)預金種類別預金、地区別預金の預金計とは一 致しない。 統 計 75 1. (5)信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金 科目別貸出金 (単位:億円、%) 貸出金計 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 p 687,159 661,879 639,805 627,349 629,551 638,093 627,658 626,342 620,951 621,691 619,691 621,145 624,062 625,431 623,438 626,852 633,013 627,637 626,366 割引手形 前年同月比 増 減 率 △ 3.4 △ 3.6 △ 3.3 △ 3.6 △ 3.6 △ 2.6 △ 2.1 △ 2.1 △ 1.3 △ 0.6 △ 1.2 △ 0.6 △ 0.6 △ 0.6 △ 0.5 △ 0.5 △ 0.7 △ 0.2 △ 0.2 31,785 33,932 28,762 27,376 24,168 28,125 24,382 24,051 23,207 25,495 23,054 22,745 24,578 22,238 22,256 24,592 26,093 25,388 24,828 貸付金 前年同月比 増 減 率 △ 4.9 6.7 △ 15.2 △ 14.8 △ 20.8 △ 9.9 △ 8.5 △ 16.3 △ 7.1 1.5 △ 15.7 △ 8.1 △ 8.3 △ 7.9 △ 7.7 △ 7.7 △ 7.2 1.0 1.8 655,373 627,946 611,043 599,973 605,383 609,968 603,275 602,291 597,743 596,196 596,636 598,400 599,483 603,192 601,182 602,259 606,919 602,249 601,538 前年同月比 増 減 率 △ 3.4 △ 4.1 △ 2.6 △ 3.0 △ 2.7 △ 2.2 △ 1.8 △ 1.4 △ 1.0 △ 0.7 △ 0.5 △ 0.3 △ 0.3 △ 0.3 △ 0.2 △ 0.2 △ 0.4 △ 0.2 △ 0.2 手形貸付 107,804 97,975 90,943 83,823 86,444 86,970 85,079 84,739 81,140 78,408 78,219 78,489 78,595 79,940 79,025 78,708 80,066 78,310 78,116 前年同月比 増 減 率 △ 8.7 △ 9.1 △ 7.1 △ 8.6 △ 8.2 △ 8.4 △ 8.0 △ 6.8 △ 7.3 △ 6.9 △ 6.6 △ 7.0 △ 7.3 △ 7.5 △ 7.3 △ 7.5 △ 7.9 △ 7.7 △ 8.1 証書貸付 509,049 493,986 485,532 483,103 484,104 489,691 484,954 484,045 484,106 485,679 486,415 487,873 489,172 490,191 490,176 491,561 495,078 492,647 492,181 前年同月比 増 減 率 △ 2.2 △ 2.9 △ 1.7 △ 1.8 △ 1.6 △ 0.8 △ 0.5 △ 0.3 0.2 0.5 0.6 1.0 1.1 1.2 1.3 1.3 1.0 1.3 1.4 地区別貸出金 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 p 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 p 38,520 35,984 34,567 33,045 34,833 33,306 33,242 33,506 32,496 32,108 32,001 32,037 31,715 33,060 31,980 31,988 31,774 31,291 31,239 前年同月比 増 減 率 △ 2.9 △ 6.5 △ 3.9 △ 5.1 △ 2.9 △ 4.6 △ 4.0 △ 3.0 △ 3.7 △ 4.7 △ 3.1 △ 4.3 △ 4.5 △ 5.0 △ 5.1 △ 4.4 △ 4.5 △ 5.9 △ 6.0 (単位:億円、%) 北海道 30,197 29,377 29,521 28,116 28,972 29,862 28,966 29,628 28,819 28,362 28,255 28,374 28,742 29,083 29,346 29,451 30,095 29,461 29,472 近 畿 144,784 136,814 130,271 126,965 126,280 127,566 125,115 124,418 123,782 124,329 123,725 123,816 124,396 124,171 123,680 124,553 125,340 124,471 124,035 前年同月比 増 減 率 △ 1.3 △ 2.7 0.4 △ 0.1 1.0 1.0 1.1 0.3 0.4 1.3 0.4 1.0 1.1 0.3 1.1 1.1 0.7 1.7 1.7 前年同月比 増 減 率 △ 3.1 △ 5.5 △ 4.7 △ 6.0 △ 6.8 △ 5.9 △ 5.4 △ 4.4 △ 3.4 △ 2.4 △ 2.5 △ 1.7 △ 1.6 △ 1.6 △ 1.4 △ 1.4 △ 1.7 △ 0.9 △ 0.8 東 北 25,091 24,875 24,520 23,975 24,268 24,506 24,260 24,413 24,043 23,832 23,735 23,819 23,873 23,944 23,930 23,993 24,136 23,941 23,952 中 国 33,451 31,863 30,826 30,181 30,356 30,692 30,215 30,140 29,659 29,598 29,641 29,793 29,927 29,978 29,740 29,797 30,114 29,880 29,904 前年同月比 増 減 率 △ 1.2 △ 0.8 △ 1.4 △ 1.1 △ 1.1 △ 0.7 △ 0.1 △ 0.4 0.2 0.2 △ 0.9 △ 0.9 △ 1.2 △ 1.3 △ 1.1 △ 1.3 △ 1.5 △ 1.2 △ 1.2 前年同月比 増 減 率 △ 4.4 △ 4.7 △ 3.2 △ 2.9 △ 2.8 △ 1.6 △ 1.8 △ 2.2 △ 1.5 △ 1.4 △ 1.7 △ 1.0 △ 1.0 △ 1.2 △ 1.2 △ 1.3 △ 1.8 △ 1.0 △ 1.0 東 京 135,174 131,381 125,915 125,840 126,092 127,252 125,199 124,445 124,109 124,697 124,278 124,577 125,078 124,861 124,624 125,315 126,390 125,432 124,884 四 国 11,098 11,060 10,974 10,749 10,814 10,901 10,798 10,823 10,748 10,801 10,788 10,826 10,850 10,867 10,808 10,856 10,893 10,838 10,799 前年同月比 増 減 率 △ 6.0 △ 2.8 △ 4.1 △ 4.1 △ 3.6 △ 2.8 △ 2.3 △ 2.1 △ 1.1 △ 0.5 △ 1.2 △ 0.7 △ 0.6 △ 0.9 △ 0.6 △ 0.7 △ 0.6 △ 0.1 △ 0.2 前年同月比 増 減 率 △ 0.6 △ 0.3 △ 0.7 △ 1.6 △ 2.0 △ 1.5 △ 0.8 △ 1.3 0.0 0.5 0.3 0.9 0.8 0.4 0.4 0.4 △ 0.0 0.2 0.0 関 東 133,558 125,418 120,357 117,157 117,269 118,814 117,301 116,756 115,865 115,912 115,768 116,072 116,496 116,985 116,639 117,227 118,457 117,704 117,604 九州北部 12,030 11,797 11,551 11,384 11,474 11,736 11,542 11,575 11,431 11,463 11,389 11,404 11,462 11,434 11,416 11,478 11,553 11,453 11,469 前年同月比 増 減 率 △ 3.7 △ 6.0 △ 4.0 △ 3.7 △ 3.8 △ 2.7 △ 2.0 △ 1.9 △ 1.3 △ 0.7 △ 1.1 △ 0.7 △ 0.7 △ 0.2 △ 0.2 △ 0.0 △ 0.3 0.1 0.2 前年同月比 増 減 率 △ 1.7 △ 1.9 △ 2.0 △ 1.6 △ 1.4 △ 0.1 0.5 0.2 0.6 1.2 0.0 0.0 △ 0.1 △ 0.3 △ 0.3 △ 0.7 △ 1.5 △ 0.6 △ 0.6 (備考)1.沖縄地区は全国に含めた。 2.東京・関東地区の2002年6月以降の増減率は、地区間の事業譲渡を調整して算出 76 当座貸越 信金中金月報 2004.4 北 陸 20,387 20,088 19,287 18,988 19,005 19,419 19,024 19,061 18,829 18,811 18,720 18,813 18,839 18,847 18,773 18,879 19,077 18,939 18,942 南九州 16,971 16,530 15,972 15,415 15,527 15,874 15,631 15,489 15,273 15,260 15,232 15,295 15,380 15,498 15,505 15,594 15,788 15,584 15,560 前年同月比 増 減 率 △ 2.0 △ 1.4 △ 3.9 △ 3.1 △ 3.5 △ 1.3 △ 1.6 △ 1.1 △ 0.7 △ 0.5 △ 1.4 △ 0.3 △ 0.9 △ 0.8 △ 1.0 △ 1.1 △ 1.7 △ 0.7 △ 0.4 前年同月比 増 減 率 △ 3.1 △ 2.5 △ 3.3 △ 4.7 △ 5.3 △ 4.2 △ 3.5 △ 3.0 △ 2.0 △ 1.3 △ 1.1 △ 0.9 △ 0.6 △ 0.1 △ 0.2 △ 0.0 △ 0.5 △ 0.5 △ 0.4 東 海 123,154 121,487 119,553 117,533 118,442 120,414 118,549 118,573 117,386 117,613 117,141 117,339 118,000 118,739 117,963 118,694 120,157 118,923 118,736 全国計 687,159 661,879 639,805 627,349 629,551 638,093 627,658 626,342 620,951 621,691 619,691 621,145 624,062 625,431 623,438 626,852 633,013 627,637 626,366 前年同月比 増 減 率 △ 2.1 △ 1.3 △ 1.5 △ 1.9 △ 1.6 △ 0.2 0.1 △ 0.8 △ 0.0 0.5 △ 0.3 0.2 0.0 0.2 0.1 0.1 △ 0.2 0.1 0.1 前年同月比 増 減 率 △ 3.4 △ 3.6 △ 3.3 △ 3.6 △ 3.6 △ 2.6 △ 2.1 △ 2.1 △ 1.3 △ 0.6 △ 1.2 △ 0.6 △ 0.6 △ 0.6 △ 0.5 △ 0.5 △ 0.7 △ 0.2 △ 0.2 1. (6)信用金庫の貸出先別貸出金 (単位:億円、%) 貸出金計 企業向け計 年 月 末 製造業 建設業 1999. 3 712,981 前年同月比 構成比 増 減 率 1.2 100.0 503,366 前年同月比 構成比 増 減 率 1.5 70.6 113,230 前年同月比 構成比 増 減 率 △ 0.0 15.9 2000. 3 687,157 △ 3.6 100.0 480,319 △ 4.5 69.8 106,973 △ 5.5 15.5 82,844 △ 5.5 12.0 01. 3 661,876 △ 3.6 100.0 459,367 △ 4.3 69.4 102,550 △ 4.1 15.4 78,299 △ 5.4 11.8 02. 3 6 639,803 627,347 △ 3.3 △ 3.6 100.0 100.0 435,084 424,004 △ 5.2 △ 5.7 68.0 67.5 94,053 91,671 △ 8.2 △ 8.6 14.7 14.6 71,366 67,016 △ 8.8 △ 9.5 11.1 10.6 △ 3.6 2.6 2.1 1.2 0.6 0.7 100.0 423,123 △ 6.2 67.2 90,024 △ 9.5 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 430,011 415,696 410,032 412,646 418,470 △ △ △ △ △ 4.9 4.4 3.2 2.4 2.6 67.3 66.3 66.1 65.9 66.1 91,584 86,168 84,676 84,541 86,344 △ △ △ △ △ 7.6 7.9 7.1 5.5 5.1 14.2 14.3 13.7 13.6 13.5 13.6 67,526 67,981 65,371 62,121 63,252 64,107 △ 9.8 △ 9.2 △ 8.4 △ 7.3 △ 6.3 △ 5.6 10.7 10.6 10.4 10.0 10.1 10.1 9 629,549 12 03. 3 6 9 12 638,092 626,340 619,689 625,429 633,012 年 月 末 卸売業 1999. 2000. 01. 02. 3 3 3 3 6 9 12 03. 3 6 9 12 年 月 末 43,569 40,922 39,320 36,758 35,792 35,401 36,235 34,255 33,818 34,004 34,927 △ △ △ △ △ 前年同月比 構成比 増 減 率 △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ 0.4 6.0 3.9 6.5 6.8 7.9 6.2 6.8 5.5 3.9 3.6 6.1 5.9 5.9 5.7 5.7 5.6 5.6 5.4 5.4 5.4 5.5 小売業 52,836 49,905 46,557 42,824 41,643 41,245 40,983 39,648 38,977 38,752 38,757 前年同月比 構成比 増 減 率 △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ 1.9 5.5 6.7 8.0 8.3 8.5 8.2 7.4 6.4 6.0 5.4 7.4 7.2 7.0 6.6 6.6 6.5 6.4 6.3 6.2 6.1 6.1 17,331 16,654 15,622 14,524 14,229 14,108 14,008 13,653 13,415 13,300 13,145 前年同月比 構成比 増 減 率 △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ 1.2 3.9 6.1 7.0 7.3 7.0 7.1 5.9 5.7 5.7 6.1 2.4 2.4 2.3 2.2 2.2 2.2 2.1 2.1 2.1 2.1 2.0 不動産業 74,071 73,187 71,861 74,989 74,924 76,218 77,439 78,217 79,366 80,787 81,889 前年同月比 構成比 増 減 率 0.6 △ 1.1 △ 1.8 4.3 3.7 2.9 2.8 4.3 5.9 5.9 5.7 10.4 10.6 10.8 11.7 11.9 12.1 12.1 12.4 12.8 12.9 12.9 個 人 地方公共団体 サービス業 前年同月比 (各種サービス) 増 減 率 構成比 飲食店 87,712 前年同月比 構成比 増 減 率 3.1 12.3 前年同月比 構成比 増 減 率 前年同月比 構成比 増 減 率 住宅ローン 前年同月比 構成比 増 減 率 1999. 3 2000. 3 01. 3 85,769 83,373 80,128 3.5 △ 2.7 △ 3.8 12.0 12.1 12.1 11,404 11,695 11,762 9.8 2.5 0.5 1.5 1.7 1.7 198,211 195,143 190,747 △ 0.0 △ 1.5 △ 2.2 27.8 28.3 28.8 115,469 121,253 123,501 4.7 5.0 1.8 16.2 17.6 18.6 02. 3 6 9 12 03. 3 77,123 75,835 75,897 76,674 86,254 △ △ △ △ 3.7 4.4 4.4 4.0 ― 12.0 12.0 12.0 12.0 13.7 13,527 12,303 12,824 13,426 15,680 15.0 18.1 21.7 23.5 15.9 2.1 1.9 2.0 2.1 2.5 191,192 191,040 193,602 194,655 194,964 0.2 0.2 1.1 1.4 1.9 29.8 30.4 30.7 30.5 31.1 127,347 128,835 130,858 133,267 134,672 3.1 3.6 4.2 4.6 5.7 19.9 20.5 20.7 20.8 21.5 ― ― ― 13.8 13.7 13.6 13,637 13,957 14,630 10.8 8.8 8.9 2.2 2.2 2.3 196,020 198,825 199,911 2.6 2.6 2.7 31.6 31.7 31.5 136,530 139,484 142,207 5.9 6.5 6.7 22.0 22.3 22.4 6 9 12 b 85,633 85,831 86,476 (備考)1.日本銀行『業種別貸出金調査表』より作成。このため、『日計表』による(5)科目別貸出金、地区別貸出金の貸出金計と は一致しない。 2.企業向け計には、海外円借款、国内店名義現地貸を含む。 3.2003年3月の業種分類の見直しに伴い、製造業の対象業種から「出版業」が除かれ、従来の「出版・印刷業」に代えて 「印刷業」のみが対象となったことから、増減率の算出においては、出版業・印刷業とも除いて算出した。また「サービ ス業」は「各種サービス」となり、飲食店等を含む。 統 計 77 1. (7)信用金庫の余裕資金運用状況 (単位:億円、%) 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 p 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 p 年 月 末 2000. 01. 02. 02. 3 3 3 6 9 12 03. 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 04. 1 2 p 現 金 14,277 14,238 19,391 16,560 16,204 19,941 13,810 17,492 15,442 15,425 15,863 14,732 14,438 15,148 13,522 14,936 18,842 15,566 14,080 金融機関 預 け 金 買入金銭 貸 付 等 うちコール う ち 債 券 貸 借 うち譲渡性 うち信金中金預け金 債 権 預 け 金 ロ ー ン 取引支払保証金 146,973( 8.5) 1,373 129,402( 12.8) 24,425 5,900 ― 4,182 183,867( 25.1) 2,553 166,783( 28.8) 11,180 7,556 ― 4,134 182,044(△ 0.9) 845 159,156(△ 4.5) 3,004 2,104 ― 2,084 209,393(△ 1.4) 1,175 197,322(△ 2.3) 1,028 730 ― 3,949 197,381(△ 0.6) 799 174,030(△ 7.7) 1,888 1,580 ― 3,828 199,514(△ 0.3) 1,103 187,256(△ 0.9) 1,301 1,301 ― 5,213 198,499( 1.1) 763 187,945( 0.8) 1,515 1,465 ― 4,918 194,070( 6.6) 883 159,131(△ 0.0) 2,654 1,654 1,000 3,274 207,647( 3.8) 943 196,279( 4.4) 1,088 596 99 5,105 202,518( 2.4) 1,013 191,507( 3.5) 1,039 725 99 5,835 208,191(△ 0.5) 853 195,676(△ 0.8) 1,205 905 99 6,188 200,749(△ 0.7) 953 190,063(△ 0.0) 1,099 810 89 5,804 198,658(△ 2.9) 933 188,171(△ 2.3) 969 660 89 5,514 192,727(△ 2.3) 853 163,256(△ 6.1) 1,424 945 89 4,579 194,467(△ 1.4) 880 184,147(△ 0.8) 613 443 89 4,789 195,734(△ 0.7) 775 185,067(△ 0.4) 662 511 80 4,536 199,978( 0.2) 605 189,285( 1.0) 582 449 63 4,555 196,366( 1.9) 550 186,157( 2.2) 744 597 87 4,229 206,613( 4.0) 550 195,765( 4.1) 745 595 90 4,020 金銭の 信 託 4,725 4,057 3,103 3,406 3,349 3,223 3,223 2,463 2,560 2,587 2,673 2,689 2,691 2,601 3,332 3,318 3,297 3,262 3,257 535 198 188 212 189 164 167 197 221 226 263 250 287 272 255 223 208 197 168 有価証券 国 債 198,272( 221,566( 236,169( 231,391( 239,826( 241,184( 246,371( 248,064( 249,064( 252,731( 258,273( 262,355( 269,405( 270,957( 269,930( 269,250( 267,560( 267,647( 265,686( 投資信託 15,654 14,226 8,034 8,593 8,155 7,517 6,839 5,176 5,913 6,020 6,149 6,101 6,124 5,976 6,003 6,146 6,106 5,842 6,033 9.8) 11.7) 6.5) 2.1) 0.7) 0.9) 2.0) 5.0) 6.7) 8.0) 11.6) 11.8) 14.6) 12.9) 12.6) 12.1) 10.9) 9.2) 7.8) 37,723( 50,807( 58,911( 49,193( 54,280( 52,105( 57,794( 62,730( 61,000( 60,632( 62,868( 65,164( 69,681( 72,767( 71,365( 69,919( 68,790( 69,463( 68,346( 地方債 社 債 18,507 20,554 24,778 25,003 24,997 24,942 24,671 24,914 24,328 24,898 25,476 25,712 26,033 26,233 26,288 26,116 26,237 26,550 26,480 86,672(△ 92,497( 99,328( 100,596( 103,952( 107,394( 108,245( 108,534( 109,638( 111,596( 112,671( 112,992( 114,679( 113,131( 113,106( 113,566( 112,821( 112,450( 111,599( 公社公団債 5.4) 13,679 6.7) 15,595 7.3) 21,166 3.3) 21,142 5.4) 22,628 5.0) 24,993 6.7) 26,047 9.2) 27,267 9.3) 27,957 11.1) 29,374 12.0) 30,091 10.1) 30,695 11.4) 31,457 8.8) 32,126 6.6) 32,526 6.6) 33,066 5.0) 33,364 3.4) 33,538 3.0) 33,597 余資運用 信金中金 その他の 貸 付 資 産 計 利 用 額 (B) 証 券 有価証券 (A) 16.0) ― 5 393,392 147,096 7.4) 346 5 439,243 166,783 7.9) 442 0 445,987 159,156 6.0) 545 23 465,942 197,322 0.9) 588 0 462,667 174,030 1.2) 633 0 470,543 187,256 1.9) 609 0 468,507 187,945 5.6) 565 0 468,216 159,131 5.2) 601 0 481,131 196,279 6.2) 607 0 480,364 191,507 8.5) 619 0 492,659 195,676 9.8) 621 0 487,682 190,063 10.6) 623 0 491,965 188,171 12.1) 627 0 487,710 163,256 12.1) 632 0 486,910 184,147 12.0) 634 0 488,662 185,067 11.7) 630 0 495,024 189,285 11.5) 616 0 488,014 186,157 11.6) 622 0 494,572 195,765 外 国 証 券 34,184( 36,743( 39,660( 42,281( 42,567( 43,306( 42,938( 41,917( 42,934( 44,377( 45,895( 47,212( 47,698( 47,723( 47,916( 48,223( 48,380( 48,153( 47,939( 41.0) 34.6) 15.9) 23.9) 14.1) 3.7) 3.6) 6.4) 14.8) 15.6) 27.7) 31.0) 40.1) 34.0) 37.6) 34.2) 32.0) 25.5) 18.2) 金融債 29,579 31,849 34,374 35,403 37,179 37,994 38,090 37,894 38,041 38,016 37,722 37,199 37,440 36,287 35,526 35,479 35,081 34,922 34,644 その他 43,412 45,052 43,787 44,049 44,143 44,406 44,107 43,372 43,639 44,205 44,858 45,097 45,780 44,717 45,053 45,019 44,376 43,990 43,357 株 式 信金中金月報 2004.4 5,467 6,325 4,987 5,133 5,260 5,256 5,247 4,206 4,632 4,583 4,581 4,529 4,548 4,492 4,610 4,640 4,587 4,565 4,660 貸付信託 57 58 24 21 23 26 24 17 13 15 10 9 6 4 4 4 4 3 3 預貸率 (A)/預金 預証率 (B)/預金(B)/(A) 67.3 63.7 62.2 60.5 61.0 60.8 60.6 60.4 59.4 59.4 58.7 59.0 59.0 59.2 59.2 59.3 59.2 59.3 58.9 38.5 42.3 43.3 44.9 44.8 44.9 45.2 45.2 46.0 45.9 46.6 46.3 46.5 46.2 46.2 46.2 46.3 46.1 46.5 19.4 21.3 22.9 22.3 23.2 23.0 23.7 23.9 23.8 24.1 24.4 24.9 25.4 25.6 25.6 25.4 25.0 25.3 25.0 (備考)1.( )内は前年同月比増減率 2.預貸率=貸出金/預金×100(%)、預証率=有価証券/預金×100(%)(預金には譲渡性預金を含む。) 78 商品有価 証 券 14.4 16.0 15.4 19.0 16.8 17.8 18.1 15.3 18.7 18.3 18.5 18.0 17.7 15.4 17.5 17.5 17.7 17.6 18.4 37.3 37.9 35.6 42.3 37.6 39.7 40.1 33.9 40.7 39.8 39.7 38.9 38.2 33.4 37.8 37.8 38.2 38.1 39.5 2. (1)業態別預貯金等 (単位:億円、%) 年 月 末 信用金庫 国内銀行 前年同月比 増 減 率 (債券、信託 を含む) 前年同月比 増 減 率 大手銀行 (債券、信託 を含む) 前年同月比 増 減 率 うち預金 前年同月比 うち都市銀行 前年同月比 増 減 率 増 減 率 地方銀行 前年同月比 増 減 率 2000. 3 1,020,320 1.4 6,639,673 1.0 4,298,016 1.7 2,433,587 0.8 2,090,975 0.4 1,742,961 1.5 01. 3 1,038,043 1.7 6,641,871 0.0 4,288,153 △ 0.2 2,466,900 1.3 2,102,820 0.5 1,785,742 2.4 02. 3 1,028,198 △ 0.9 6,790,535 2.2 4,416,792 2.9 2,699,067 9.4 2,308,919 9.8 1,813,848 1.5 02. 6 1,035,283 △ 2.1 6,747,958 1.4 4,357,159 2.0 2,685,688 8.3 2,333,015 10.0 1,829,055 1.1 9 1,031,142 △ 2.1 6,696,188 1.1 4,341,360 1.8 2,669,637 7.2 2,303,682 8.2 1,790,940 0.1 0.5 12 1,047,505 △ 1.2 6,701,855 1.0 4,323,991 1.3 2,666,605 5.4 2,292,954 5.9 1,806,287 03. 2 1,035,076 △ 0.4 6,728,173 0.4 4,390,499 0.4 2,728,481 4.6 2,348,525 5.3 1,777,264 3 1,035,536 0.7 6,798,976 0.1 4,424,063 0.1 2,760,299 2.2 2,377,699 2.9 1,813,487 4 1,044,809 1.3 6,653,145 △ 4.0 4,270,916 △ 6.5 2,780,765 △ 3.5 2,401,926 △ 5.3 1,831,373 1.3 5 1,044,410 1.9 6,657,431 △ 1.7 4,274,314 △ 3.2 2,783,791 1.6 2,401,142 0.6 1,833,404 1.7 6 1,054,744 1.8 6,644,211 △ 1.5 4,239,210 △ 2.7 2,753,332 2.5 2,365,201 1.3 1,850,150 1.1 7 1,050,575 2.2 6,638,554 △ 1.0 4,264,200 △ 2.1 2,760,310 2.7 2,371,542 2.0 1,823,556 1.6 8 1,056,653 2.3 6,653,041 △ 0.4 4,268,686 △ 1.4 2,768,453 3.9 2,383,157 3.6 1,831,946 2.1 9 1,053,808 2.1 6,641,341 △ 0.8 4,271,387 △ 1.6 2,770,950 3.7 2,385,332 3.5 1,816,601 1.4 10 1,050,779 2.2 6,580,434 △ 0.9 4,241,987 △ 1.7 2,733,683 2.8 2,353,812 2.8 1,792,664 1.5 11 1,055,159 2.3 6,653,866 △ 0.8 4,288,017 △ 1.7 2,767,642 2.3 2,385,727 2.3 1,816,427 1.6 12 1,068,100 1.9 6,673,286 △ 0.4 4,289,361 △ 0.8 2,757,888 3.4 2,368,299 3.2 1,825,041 1.0 04. 1 1,055,949 2.4 6,651,254 △ 0.4 4,302,101 △ 1.2 2,760,911 2.6 2,378,636 2.9 1,799,432 1.6 1,061,010 2.5 2 p 年 月 末 第二地銀 信用組合 前年同月比 増 減 率 労働金庫 前年同月比 増 減 率 農業協同組合 前年同月比 増 減 率 郵便貯金 前年同月比 増 減 率 0.5 △ 0.0 預貯金等合計 前年同月比 増 減 率 前年同月比 増 減 率 2000. 3 598,696 △ 5.1 191,966 △ 4.9 111,791 4.4 702,555 1.8 2,599,702 2.9 11,266,007 1.4 01. 3 567,976 △ 5.1 180,588 △ 5.9 117,212 4.8 720,944 2.6 2,499,336 △ 3.8 11,197,994 △ 0.6 02. 3 559,895 △ 1.4 153,541 △ 14.9 125,200 6.8 735,373 2.0 2,393,418 △ 4.2 11,226,265 0.2 02. 6 561,744 △ 1.8 151,983 △ 15.6 132,948 7.3 745,193 1.2 2,392,298 △ 3.3 11,205,663 △ 0.1 △ 0.1 9 563,888 △ 1.1 148,848 △ 15.2 130,795 6.3 738,729 0.8 2,365,559 △ 2.2 11,111,261 12 571,577 △ 0.3 149,872 △ 10.8 134,012 5.5 751,811 0.7 2,359,130 △ 1.8 11,144,185 0.0 03. 2 560,410 0.4 148,437 △ 7.2 132,861 4.9 747,533 0.9 2,351,249 △ 2.1 11,143,329 △ 0.2 3 561,426 0.2 148,362 △ 3.3 131,619 5.1 744,202 1.2 2,332,465 △ 2.5 11,191,160 △ 0.3 4 550,856 △ 1.0 149,574 △ 2.3 134,006 4.8 748,586 1.5 2,331,069 △ 2.6 11,061,189 △ 2.7 5 549,713 △ 0.7 149,717 △ 1.4 133,466 2.5 748,571 1.6 2,317,870 △ 2.7 11,051,465 △ 1.3 6 554,851 △ 1.2 150,940 △ 0.6 136,476 2.6 757,417 1.6 2,322,076 △ 2.9 11,065,864 △ 1.2 7 550,798 △ 0.7 150,749 0.7 136,115 2.5 754,711 1.7 2,313,523 △ 2.8 11,044,227 △ 0.8 8 552,409 △ 1.0 151,677 1.4 135,935 3.1 757,023 1.8 2,314,695 △ 2.7 11,069,024 △ 0.4 9 553,353 △ 1.8 151,772 1.9 135,179 3.3 752,178 1.8 2,299,381 △ 2.7 11,033,659 △ 0.6 10 545,783 △ 1.8 151,407 2.1 134,787 3.1 756,441 1.9 2,300,260 △ 2.7 10,974,108 △ 0.7 11 549,422 △ 2.1 151,575 2.2 134,809 3.4 757,171 2.0 2,289,603 △ 2.6 11,042,183 △ 12 558,884 △ 2.2 153,408 2.3 137,941 2.9 766,812 1.9 2,299,689 △ 2.5 11,099,236 △ 0.4 04. 1 549,721 △ 1.6 137,193 3.1 2 p 2,293,052 △ 2.5 2,294,104 △ 2.4 0.6 (備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』、日本郵政公社ホームページ等より作成 2.大手銀行は、国内銀行−(地方銀行+第二地銀)の計数 3.国内銀行・大手銀行には、全国内銀行の債券および信託勘定の金銭信託・貸付信託・年金信託・財産形成給付信託を含 めた。 4.預貯金等合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の預貯金残高の合計により算出した。 統 計 79 2. (2)業態別貸出金 (単位:億円、%) 年 月 末 信用金庫 大手銀行 前年同月比 増 減 率 地方銀行 前年同月比 増 減 率 都市銀行 前年同月比 増 減 率 第二地銀 前年同月比 増 減 率 信用組合 前年同月比 増 減 率 前年同月比 増 減 率 2000. 3 687,159 △ 3.4 2,788,233 △ 1.0 2,151,274 1.9 1,340,878 △ 3.0 505,738 △ 4.0 142,433 △ 7.6 01. 3 661,879 △ 3.6 2,746,303 △ 1.5 2,133,507 △ 0.8 1,357,418 1.2 465,931 △ 7.8 133,612 △ 6.1 02. 3 639,805 △ 3.3 2,601,800 △ 5.2 2,035,627 △ 4.5 1,359,864 0.1 444,432 △ 4.6 119,082 △ 10.8 02. 6 627,349 △ 3.6 2,549,726 △ 5.1 2,166,966 4.2 1,332,817 △ 0.5 435,877 △ 2.1 104,857 △ 18.8 9 629,551 △ 3.6 2,489,833 △ 8.0 2,105,103 0.5 1,337,110 △ 0.9 435,113 △ 2.9 96,509 △ 24.7 △ 24.8 12 638,093 △ 2.6 2,519,538 △ 5.5 2,135,044 3.0 1,354,958 △ 0.5 441,929 △ 2.0 93,079 03. 2 627,658 △ 2.1 2,470,822 △ 6.0 2,091,066 2.1 1,342,095 △ 0.5 435,069 △ 1.9 92,194 △ 24.1 3 626,342 △ 2.1 2,451,214 △ 5.7 2,072,578 1.8 1,352,514 △ 0.5 429,130 △ 3.4 91,512 △ 23.1 4 620,951 △ 1.3 2,404,547 △ 6.6 2,033,740 △ 6.7 1,337,796 0.2 413,662 △ 5.4 90,911 △ 21.4 5 621,691 △ 0.6 2,386,046 △ 6.4 2,016,538 △ 6.7 1,334,349 0.4 413,458 △ 4.9 90,803 △ 20.0 6 619,691 △ 1.2 2,379,564 △ 6.6 2,006,581 △ 7.4 1,330,607 △ 0.1 413,407 △ 5.1 90,545 △ 13.6 7 621,145 △ 0.6 2,345,999 △ 7.5 1,974,348 △ 8.4 1,335,036 0.5 414,468 △ 4.7 90,841 △ 11.5 8 624,062 △ 0.6 2,359,386 △ 7.2 1,986,811 △ 8.1 1,339,580 0.5 415,777 △ 4.7 91,103 △ 7.4 9 625,431 △ 0.6 2,375,563 △ 4.5 1,993,783 △ 5.2 1,345,276 0.6 416,370 △ 4.3 91,511 △ 5.1 10 623,438 △ 0.5 2,336,226 △ 6.4 1,962,538 △ 7.1 1,335,550 0.4 414,822 △ 4.3 91,409 △ 4.9 11 626,852 △ 0.5 2,356,647 △ 6.2 1,985,128 △ 6.8 1,340,065 0.2 417,592 △ 4.1 91,770 △ 4.7 12 633,013 △ 0.7 2,361,749 △ 6.2 1,991,686 △ 6.7 1,352,962 △ 0.1 423,823 △ 4.0 92,384 △ 0.7 04. 1 627,637 △ 0.2 2,341,942 △ 6.1 1,971,502 △ 6.7 1,346,007 0.3 420,122 △ 3.6 626,366 △ 0.2 前年同月比 増 減 率 うち中小 企業向け 2 p 年 月 末 労働金庫 農業協同組合 前年同月比 増 減 率 公的金融機関 前年同月比 増 減 率 2000. 3 73,830 4.0 220,863 01. 3 76,213 3.2 220,078 △ 前年同月比 増 減 率 うち住宅 金融公庫 合 計 前年同月比 増 減 率 前年同月比 増 減 率 0.2 1,729,489 8.0 297,448 4.3 745,413 3.3 7,488,623 0.0 0.3 1,731,885 0.1 293,556 △ 1.3 759,220 1.8 7,393,319 △ 1.2 02. 3 81,054 6.3 217,357 △ 1.2 1,693,486 △ 2.2 288,025 △ 1.8 726,516 △ 4.3 7,156,880 △ 3.1 02. 6 81,133 6.8 215,119 △ 1.6 1,685,609 △ 2.8 285,471 △ 2.0 718,620 △ 5.5 7,032,487 △ 3.4 △ 4.9 9 82,728 7.7 215,552 △ 1.8 1,656,860 △ 3.6 282,568 △ 2.8 701,480 △ 6.7 6,943,256 12 85,122 7.8 213,487 △ 1.7 1,645,069 △ 3.7 284,652 △ 2.4 690,486 △ 7.0 6,991,275 △ 3.7 03. 2 85,934 8.3 213,437 △ 1.2 1,621,662 △ 4.1 279,335 △ 2.4 678,797 △ 7.3 6,888,871 △ 3.9 3 87,266 7.6 215,147 △ 1.0 1,617,238 △ 4.5 279,743 △ 2.8 671,999 △ 7.5 6,870,363 △ 4.0 4 87,569 7.8 214,142 △ 0.6 1,609,421 △ 4.4 277,393 △ 2.3 667,477 △ 7.6 6,778,999 △ 4.1 5 87,748 8.4 213,791 △ 0.8 1,615,500 △ 4.3 277,483 △ 1.6 666,699 △ 7.8 6,763,386 △ 3.9 6 87,930 8.3 213,430 △ 0.7 1,606,884 △ 4.6 278,349 △ 2.4 659,966 △ 8.1 6,742,058 △ 4.1 7 88,245 8.5 213,914 △ 0.6 1,593,666 △ 4.9 277,051 △ 1.7 650,957 △ 8.5 6,703,314 △ 4.2 8 88,882 8.5 214,368 △ 0.5 1,583,101 △ 5.1 276,547 △ 1.6 642,128 △ 9.1 6,716,259 △ 4.1 9 89,637 8.3 214,601 △ 0.4 1,569,865 △ 5.2 277,987 △ 1.6 634,452 △ 9.5 6,728,254 △ 3.0 10 90,443 8.1 214,696 △ 0.1 1,560,756 △ 5.3 275,448 △ 1.4 629,594 △ 9.7 6,667,340 △ 3.8 11 91,205 7.7 214,889 0.0 1,559,932 △ 5.2 277,480 △ 1.3 626,931 △ 9.7 6,698,952 △ 3.7 12 91,749 7.7 213,529 0.0 6,726,110 △ 3.7 04. 1 91,394 7.6 1,556,901 △ 5.3 279,855 △ 1.6 622,745 △ 9.8 1,546,860 △ 5.1 276,757 △ 1.1 618,112 △ 9.7 2 p (備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』より作成 2.大手銀行は、国内銀行−(地方銀行+第二地銀)の計数 3.公的金融機関は、日本政策投資銀行、国際協力銀行、国民生活金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業 金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫の合計 4.公的金融機関のうち中小企業向けは、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の合計 5.合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の貸出金残高の合計により算出した。 80 信金中金月報 2004.4 ホームページのご案内 当研究所のホームページは、既存の信金中央金 庫のホームページから独立したもので、当研究所 が発行する各種レポート、信金中金月報等の刊行 物を掲載しているほか、当研究所業務の概要、講 演内容、活動記録などを掲載しています。 また、キーワードによるサイト内検索機能によ って、必要な情報が探しやすくなっており、地域 金融、中小企業金融、協同組織金融という当研究 所の研究成果につき、これまで以上に多くの方々 にご覧いただけます。 URLは http://www.scbri.jp/ です。 ISSN 1346−9479 2004年( 平 成16年 ) 4月1日 発行 2004年4月号 第3巻 第5号( 通 巻373号 ) 発 行 信金中央金庫 編 集 信金中央金庫 総合研究所 〒1 0 4−0031 東京都中央区京橋3−8−1 T E L 0 3( 3 5 6 3 )7 5 4 1 F A X 0 3( 3 5 6 3 )7 5 5 1 <本誌の無断転用、転載を禁じます>