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老化の原因「糖化」を防ぐ

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老化の原因「糖化」を防ぐ
dic‘s
ヘルスコミュニケーション
老化の原因「糖化」を防ぐ
vol.7
はじめに
最新の医療・美容業界では「酸化」とともに「糖化」が美容と健康に悪影響を及ぼす
ことが分かり「抗糖化」が注目されています。糖は体のエネルギー源として必要不可欠
ですが、糖質の摂り過ぎは「太る」だけでなく、肌や体の老化に直結しているのです。
前ページのチェック項目は、
・糖質を摂り過ぎる傾向にないか
・糖質を吸収しやすい生活習慣になっていないか
を確認するものです。
チェックが入る項目が多いほど、
「糖化」が進んでいる可能性があります。
肌や体の老化防止のために、また将来の病気予防のためにも、「抗糖化」を心がけた
食生活をすることが大切です。
今号では体の内側の老化因子「糖化」の仕組みと対策法をお伝えします。
糖化とは
たんぱく質と糖(グルコース)が結びつき、たんぱく質が変性する反応
私たちの体の大部分はたんぱく質で作られています。ところがたんぱく質は、食事など
で摂取して余った糖と結びつきやすく、この2つが結合するとたんぱく質が変性します。
その後、体内でいくつかの反応を経て、最終的にAGEs(糖化最終生成物)という
異常たんぱく質が生成されてしまうのです。
異常たんぱく質は、たんぱく質本来の役割を果たさなくなり、体内に蓄積されます。
年齢とともに代謝能力が落ちると、蓄積物がたまり、体のあちこちで悪影響を及ぼすのです。
AGEsの種類は現在分かっているだけで100以上あるそうです。
「抗糖化」が注目される理由
私たち人間は、食べ物の炭水化物をブドウ糖(グルコース)に分解し、エネルギー源と
して生きています。糖化反応は私たちが生きている間中、体の中で繰り返されているのです。
したがって、
「抗糖化」とは過剰な糖化をさせないようにすること、糖化による美容や
健康への悪影響を低減することを指します。
糖化は血糖値が高い状態で進み、AGEsが作られる可能性が高まります。
H19
厚生労働省の発表では、慢性的に血糖値が高い状態がつづく糖尿病の人数は、
予備軍も入れると2210万人に上り、さらに増加・低年齢化の傾向があるそうです。
AGEsによる美容への悪影響は、糖尿病に至る前段階でかなり進んでいるのです。
昔に比べ、現在の日本人の食事や生活習慣には、糖質の摂り過ぎや、糖質が代謝されにく
い要素が増えています。特に、不規則な食生活、栄養の偏り、加工食品、精製食品、菓子
清涼飲料水、アルコールなどは糖化=老化を促進する大きな要因です。
糖化でおきる老化と病気の関係
肌
コラーゲン繊維が壊され、皮膚の弾力性が低下し、シワやたるみの原因に。
AGEsの蓄積はくすみの原因に。
髪
毛髪のたんぱく質の変性により、強度が低下してコシ・ツヤが失われる。
脳
認知症との関連が指摘されています。
血管
動脈硬化、AGEsによる血栓との関連が指摘されています。
骨
コラーゲンが破壊され、骨粗しょう症の原因に。
目
水晶体の弾力低下、にごりにより白内障、網膜症などの原因に。
肌の糖化と老化
1
コラーゲンの弾力低下
お肌の弾力の基、コラーゲに糖と結びつくと、コラーゲン自体が変形するとともに、
コラーゲンの間に架橋物質を作ってしまいます。
(メイラード反応)
この架橋物質が作られてしまうと、コラーゲン分子が硬くなり、肌の弾力性が失われます。
また、この架橋物質を異物と判断し、分解酵素の分泌量が増えると、架橋物よりも正常な
コラーゲンが分解されてしまい、さらに弾力性が失われてしまいます。
肌の老化と糖化
2
くすみ
AGEsが肌細胞に留まることによって、くすみや黒ずみの原因となり、肌の透明感
が失われてしまいます。
タンパク質は糖化すると、黄褐色化するため、AGEsが増えるとお肌の色も変化して
しまうのです。
糖化
小
大
髪の老化と糖化
髪のコシ・ツヤが失われる
髪は毛根部の毛細血管から栄養を得て作られます。このとき、過剰に糖が排出されると、
コルテックス内部のケラチン繊維の糖化が起こります。髪のコシが失われ、もろく傷み
やすい髪質になってしまいます。また、キューティクルを含むたんぱく質の透明度も低下
するため、ツヤも失われてしまいます。
抗糖化
糖化は血糖値が高い状態で進みます。したがって抗糖化のポイントは、
①
急激に血糖値を上げる食材を避ける
②
急激に血糖値が上がらない食べ方をする
ということになります。
具体的な対策方法は、
A.低GI値の食品を選ぶ
B.食べる順番に気をつける
C.血糖値の上昇を抑える“食べ合わせ”をする
D.食後に運動をする
E.糖化した食品を摂り過ぎない
F.抗糖化作用をもつ食材・栄養素を摂る
などがあげられます。
抗糖化
低GI値の食品
A
GI値とは、食品による血糖値の上がりやすさを指数化したものです。
できるだけ低GI値の食品を選ぶことで、急激な血糖値の上昇を抑えることができます。
たとえば炭水化物だと、白米、うどん、精製小麦を使ったパンやパスタはGI値が高いので、
GI値の低い玄米、雑穀、そば、精製されていないパンやパスタ(全粒粉パンなど)を選ぶ
ようにしましょう。
精製された白い食品よりも、精製されていない茶色い食品のほうが、糖代謝に必要な
ビタミン・ミネラルや、糖の吸収を抑える食物繊維が豊富に含まれています。
精白米
81
食パン
91
うどん
85
玄米
55
全粒粉パン
50
日本そば
54
とうもろこし
70
にんじん
80
さやいんげん
26
ブロッコリー
25
抗糖化
食べる順番に気をつける
B
抗糖化対策には食べる順番も大切。血糖値を上げやすい食品を後回しにする食べ方が効果的。
最初に繊維質の多い野菜を食べ、次に肉や魚、最後にご飯というのが理想的。
空腹時や運動後に、糖分の高いものを(たとえばパンとジュースなど)食べてしまったり
すると一気に血糖値が上がってしまうので要注意。
食べる順番は
食物繊維
⇒ たんぱく質
⇒
炭水化物
また、食べるときは
忙しい現代人は、短時間で簡単にお腹を満たすものを選びがちですが、
ゆっくりよく噛んで、時間をかけて食べること、
間食を控え、しっかり空腹を感じてから食事をすることも大切です。
抗糖化
C
血糖値の上昇を抑える食べ合わせ
糖質を摂るときは、一緒に食物繊維やたんぱく質が豊富な食品を摂ると、血糖値の急激な
上昇を抑えることができます。
たとえば、ご飯と一緒に、納豆、酢の物、味噌汁、山芋、オクラ、海藻類を摂ると、ご飯
だけを食べたときに比べ、食後の血糖値の上昇がゆるやかになります。
ご飯による血糖値上昇を100としたとき
組み合わせ
ご飯
GI値
100
梅干とご飯
98
海苔巻きご飯
94
酢の物とご飯
75
味噌汁とご飯
74
納豆とご飯
68
抗糖化
食後に運動
D
食後すぐに20~30分の軽い運動(ウォーキングなど)をすると、血糖値の上昇が
ゆるやかになります。
食事を開始して15分位で血糖値は上がりはじめ、早い人では1時間後にピークを迎える
ケースもあります。食べ終わったらすぐに体を動かしたり、歩いたりいましょう。
食事で摂った糖が血液中に出る
運動をする
筋肉や肝臓での糖の取り込みが促進される
血糖値が安定する
抗糖化
糖化した食品を摂り過ぎない
E
糖化は体内だけでなく、調理によっても起こります。例えば、小麦粉に砂糖を混ぜて熱を
加えると、小麦粉に含まれるたんぱく質と糖が反応し、糖化します。こうしてできた
AGEsが含まれる食品を食べると、約10%が体内に吸収されるという報告もあります。
ただし、家庭で作る食事のAGEsを心配する必要はありません。
AGEsをたくさん含む身近な食品は、焼いたり、揚げたりしたお菓子などです。
特に、人工的に作られた高たんぱく質の原料を使った加工食品には要注意。
<食品表示の例>
高たんぱく質+高糖質+加熱 ⇒
品名
焼き菓子
保存方法
・・・・・・・
賞味期限
‘11.3.10
原材料名
高AGEs
小麦粉、脱脂粉乳、アーモンド、砂糖、
バター、卵白、香料
抗糖化
F
抗糖化作用をもつ食品と栄養素
糖の代謝を促進する栄養素
ビタミンB群、クロム
AGEsを吸着して排出働き
海草類
昆布、海苔
きのこ類
椎茸
ネバネバ食品
納豆、山芋
AGEsの生成を抑制する作用
カモミール、ブドウ葉、ドクダミ、セイヨウサンザシ
コラーゲンと糖が結合するのを防ぐ
αリポ酸
まとめ
糖化予防には、食事の摂り方を工夫するのが最も効果的だといわれています。
いつもの食事方法に
食べるタイミングや順序、食材の摂り方などの抗糖化対策
を取り入れることで、
糖化による老化を遅らせることができるのです。
お肌や髪に「年齢的な変化」を感じはじめた方は、食事習慣の見直しにお役立て
ください。
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