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インピーダンス測定法を用いたコンクリート中の鉄筋の腐食

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インピーダンス測定法を用いたコンクリート中の鉄筋の腐食
平成 16 年度に終了した研究開発
【外部資金による研究開発】
Ⅲ−3 インピーダンス測定法を用いたコンクリート中の鉄筋の
腐食診断方法に関する研究
Examination of the corrosion diagnostic method of the steel rod in the concrete
using the impedance measuring method
(研究期間 平成 14∼16 年度)
材料研究グループ
Dept. of Materials Engineering
黄 光律
Hwang Kwangryul
建築生産研究グループ
Dept. of Production Engineering
鹿毛忠継
Tadatsugu Kage
棚野博之
Tanano Hiroyuki
In this research, inquiry of the position of a steel rod and thickness and the corrosion state of a steel rod were investigated
using the exchange impedance measuring method among electric inquiry technology for the purpose of development of the
technique of the ability to grasp the internal state of reinforced concrete exactly from the surface of concrete. Consequently,
it has checked that the corrosion of a steel rod could be enough evaluated by the impedance measuring method by current lead
attached in the concrete surface in non-destroying.
2.暴露実験
[研究目的及び経過]
本実験では、15 年間暴露した試験体を用いて鉄筋の
本研究では、鉄筋腐食状況、施工欠陥などの鉄筋コ
ンクリートの内部状態をコンクリートの表面から的確に
腐食状態の診断を試みた。その概要は次のとおりである。
把握できる手法の開発を目的とし、電気探査技術のうち
鉄筋は黒皮付の丸鋼φ13mm(電炉 JIS 商品)を用いた
交流インピーダンス測定法により鉄筋の位置、太さの探
ものである。
査ならびに鉄筋の腐食状態を調べた。
さらに、暴露した試験体を用いて、交流インピーダ
ンス法による測定を行うとともに、それを破壊して測定
した鉄筋の質量減少率や腐食面積率のような鉄筋腐食量
と比較し、鉄筋の腐食状態の診断を試み、その実用性に
関して検証を行った。
図2
供試体および鉄筋
[研究内容]
1.鉄筋の探査実験
I
V
3
供 試 体 は 、 単 位 水 量 175kg/m , 単 位 セ メ ン ト 量
350kg/m3, 単位砂量 883.7kg/m3 の W/C=50%のモルタルと
50
し 、 供 試 体 の 寸 法 は図 1 に 示 すよ うに 350 × 300×
50
50
120mm とし、供試体の表面から 30, 40, 50mm のところ
に D19, D29, D38 の鉄筋を設置し、20±2℃の水中で材
図3
齢 28 日まで養生した。
3.電極および電極の取り付け
I
V
V
電極の取り付けは、図 4 に示すように、供試体の表
120
25 25
25
面にあらかじめ穴をあけ、銀ペーストに銅線を埋め込ん
D T
Reinforced bar
or Holes
で作製し、電極の間隔は 50mm とした。
0
30
175
Mortar
350
図1
電極の取り付け位置
Current or
Voltage lead
Measurement
Direction (2)
Measurement
Direction (1)
I
供試体および電極
- 81 -
平成 16 年度に終了した研究開発
【外部資金による研究開発】
30
Current or
Voltage lead
腐食面積率(%)
5
3
図4
0%
0.3%
25
Silver Paste
Concrete
電極の詳細
20
15
10
5
4.比抵抗およびインピーダンスの測定
0
本実験では、電極配置をウェンナとし、電流極およ
N
SF
び電位極を移動させながら測定し、得られた1次電位差
から見掛け比抵抗の類似分布を算出した。電流電極には、
図8
-2
インピーダンス(Ω・m×10 )
交流電源を接続して電流を流し、電流の大きさ I をはか
り、電位電極には電圧計を接続して二つの電極間の電位
差 V をはかった。この電位差は図 5 に示す Lock in
Amplifier を用いて以下の条件下で測定した。
・電圧入力:1 V、入力周波数:0.01Hz∼10kHz
・電流出力:1 [mA]RMS (1V/1mA)
I-INPUT
V-OUTPUT V-INPUT
SIGNAL INPUT
A/I
0.2
I-OUTPUT
0%
0.3%
0.16
0.12
0.08
0.04
0
N
REFERENCE
SINEOUT
図9
AQ
結果の一例:腐食面積率と補修材料の関係
LOCK IN AMPLIFIER
ISOLATION AMP V-I CONVERTER
E
RP SM PS
補修材料の種類
SF
E RP SM PS
補修材料の種類
AQ
結果の一例:インピーダンスと補修材料の関係
5.まとめ
本研究では、鉄筋腐食状況、施工欠陥などの鉄筋コ
(+) (+)
A M
(-) (-)
R
ンクリートの内部状態をその表面から比抵抗法および交
N B
流インピーダンス測定法により調べるとともに、暴露し
MORTAR
図5
た試験体を用いてその実用性を検証した。その結果以下
インピーダンスの測定装置の概要
の知見が得られた。
1) 電極の配置が鉄筋と平行であり、電極の間隔が鉄
Imaginary (Ω・m)
0.008
筋の直径より長い場合、位相角の測定により鉄筋
D19T40FR
D29T40FR
D38T40FR
0.006
の位置の識別が可能である。
2) インピーダンスは鉄筋の太さが太く、モルタルの
0.004
かぶり厚さが小さいほど小さい。
0.002
3) インピーダンスは鉄筋が入っている場所より、空
洞のような施工欠陥のある場所で高くなる。
0
0
図6
0.02 0.04 0.06 0.08
Real ( Ω・ m)
4) インピーダンスは健全な鉄筋より腐食した鉄筋の
0.1
場合が高い。
結果の一例:インピーダンス特性
5) 鉄筋の腐食率は以下の式で表すことができると考
えられる。
σ c = aZ + b
Imaginary (Ω・m)
0.008
D29T40FR
HOLE
0.006
σ c :鉄筋の腐食率、Z:インピーダンス、a,b:実験定数または係数
また結論として、コンクリート表面に取り付けた電
0.004
極によるインピーダンス測定方法は実際に破壊して測定
0.002
した鉄筋腐食量に比較し類似した傾向を示しており、鉄
0
筋の腐食を非破壊的に推定できる良い方法と言える。
0
0.02 0.04
0.06 0.08
0.1
Real (Ω・ m)
図7
結果の一例:インピーダンス特性
- 82 -
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