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バイラテラル遠隔操作システムの製作と実験による検証
バイラテラル遠隔操作システムの製作と実験による検証 Production and Experimental Study of Bilateral Teleoperation System 電気工学科 5 年 2 番 今井進也 1 指導教員 河合康典 はじめに バイラテラル制御とは, スレーブの受けた力を操作者 に力提示したり, 操作者がマスターに及ぼした力と同じ 力でスレーブが環境に力を及ぼすように制御すること である [1]. 本研究の目的は, 従来から知られている 3 つのバイラ テラル制御について示し, 力帰還型バイラテラル制御法 を用いて時間遅れを考慮し, 実験により検証する. Fig. 2: 実験装置 • モータ:maxson, RE 35 90W 2 • ギアヘッド:maxson, GP 42 C バイラテラル制御 • 対称型 マスターとスレーブの位置の偏差から, これを修 正する方向へ駆動力を与えるものである. 力検出 器などが不要であり, 簡単に構成できるが, 系の慣 性力や摩擦力の影響を受ける. マスター, スレーブ の駆動力は次式となる. τm = kp (Xs − Xm ), τs = kp (Xm − Xs ) (1) τm , τs :マスター, スレーブの駆動力 Xm , Xs :マスター, スレーブの変位 Xm , Xs :マスター, スレーブの粘性摩擦係数 kp :位置のゲイン τm = kf (Fm − Fs ), τs = kp(Xm − Xs ) (3) RTI Data KP 10 KD 0.1 DS1104ENC_SETUP Slave Out1 xm xs dxm dxs tau_m tau_s Subsystem Master Fig. 1: 力帰還型:ブロック線図 3 4 検証実験 ネットワーク等を用いての遠隔操作を想定した場合, 時間遅れが発生する. これを力帰還型を用いて実験によ り検証し, 実験結果を Fig. 3 に示す. ここで, 時間遅れ は T = 1[s], 0.5[s], 0.1[s], 0[s] とした. 実験装置の概要 Fig. 2 のようにマスター, スレーブロボットはモー タとアームから構成されている. スレーブ側には, アー ムに物体が接触するように製作した. Position [rad] Position [rad] 20 3 2 1 0 -1 -2 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -3 -25 -4 1 2 3 4 -30 5 1 2 Time [s] 30 30 25 25 20 15 10 5 0 -5 -10 4 5 6 7 8 9 10 20 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 3 Time [s] Position [rad] Position [rad] (2) • 力帰還型 力逆送型を補うものであり, マスターにも力のサー ボ系が構成され, マスターの操作が容易になる. 通 常この方式がよく用いられる. ブロック線図を Fig. 1 に示す. ENCODER MASTER SETUP • サーボアンプ:maxson, 4-Q-DC サーボアンプ 4 • 力逆送型 スレーブは位置サーボ系で構成され, マスターに はスレーブ側の力センサで検出された反力が伝わ るものである. スレーブ側の反力はよくわかるが, 通常のアームではマスターの操作は重くなる. τm = −kf Fs , τs = kp (Xm − Xs ) • エンコーダ:maxson, HEDL 5540 -15 1 2 3 4 5 Time [s] 6 7 8 9 10 -20 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Time [s] Fig. 3: 追従特性 (左上:T = 0 [s], 右上:T = 1 [s], 左下: T = 0.5 [s], 右下:T = 0.1 [s]) T = 0[s], 0.1[s] において, 追従にほとんど遅れがな く, 物体の反力の感知にも影響がなかった. T = 1[s], 0.5[s] において, 明らかに追従が遅い. 本来, スレーブ アームが物体にあたると, マスターアームはそれ以上動 かなくなるが, この場合, 物体を感知するのに時間がか かり, マスターアームを余計に動かしてしまうため, よ り大きな反力を感知して危険だった. 5 おわりに 本稿では, 本研究で用いたバイラテラル制御システ ムを説明し, 実験装置の概要を示し, 検証実験よりマス ターとスレーブの追従特性および操作性を確認した. 参考文献 [1] 小林尚登ほか, ロボット制御の実際, コロナ社, 1997.