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秋田県月間地震概況
秋田県月間地震概況 秋田地方気象台 2016 年6月 【震央分布図】 24 日 17 時 16 分 3km M3.0 〈6月の地震概況〉 この期間、秋田県とその周辺を震源とする地震は323回発生した。県内で震度1以上を観測した 地震は4回(5月:6回)で、そのうち図の範囲内を震源とする地震が1回、図の範囲外を震源とす る地震は3回であった。 16日14時21分に内浦湾(上図の範囲外)の深さ11kmでM5.3の地震が発生し、北海道函館市で震 度6弱を観測したほか、北海道から東北地方北部で震度5弱∼1を観測した。県内では、能代市、 秋田市、大館市、北秋田市、仙北市などで震度1を観測した。この地震は、陸のプレートの地殻内 で発生した。この地震により、北海道函館市で負傷者 1 人、住家一部破損3棟の被害が生じた(総 務省消防庁による)。 24日17時16分に岩手県内陸北部の深さ3kmでM3.0の地震が発生し、仙北市で震度1を観測した。 この地震は、地殻内で発生した地震である。 27日07時57分に福島県沖(上図の範囲外)でM5.9の地震が発生し、宮城県、福島県、茨城県、 栃木県で震度3を観測したほか、東北地方から中部地方にかけて震度2∼1を観測した。県内では、 秋田市、由利本荘市、にかほ市、横手市、湯沢市、大仙市などで震度1を観測した。 30日03時12分に三陸沖(上図の範囲外)でM5.2の地震が発生し、東北地方を中心に北海道から 茨城県にかけて震度2∼1を観測した。県内では、能代市、大館市、北秋田市、横手市、大仙市な どで震度1を観測した。 ※ 2016 年4月より、この資料の表題を「秋田県月間地震概況」に変更した。また、地震の検測基準を 「平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震」発生以前に戻し、震源決定の処理方法も変更した。 このため、これまでの震源分布図等と比較して、地震の回数の増加や見え方が異なる可能性がある。 本件に関する問い合わせ先 秋田地方気象台 TEL018-823-8291 秋田地方気象台ホームページアドレス http://www.jma-net.go.jp/akita/index.html 【震央分布図】 24 日 17 時 16 分 3km M3.0 【断面図】(震央分布図内の直線A−Bを断面とする震源の深さの分布) A B 陸のプレート 24 日 17 時 16 分 M3.0 太平洋プレート ※ 太平洋プレート及び陸のプレートの位置は、地震発生状況を考慮して描いた大まかなものである。 ※ は陸地の大まかな位置を示している。 ※ 陸地から離れた海域ほど、震源の深さ精度は良くない。 なお、海域地殻内の地震の震源(日本海の浅い地震など)は、実際にはより浅いものが多いと考えられる。 【秋田県内で震度1以上を観測した地震の月別・最大震度別回数】 (2014 年7月∼2016 年6月) (回) (1/1) 秋田県で震度1以上を観測した地震の表 ※今後の精査により、震源や震度のデータが追加されることがある。 期間 2016年6月1日~2016年6月30日 発 震 時 震 央 地 名 北 緯 東 経 深さ 規模 各地の震度 2016年06月16日14時21分 内浦湾 41゚ 56.9' N 140゚ 59.2' E 11km M5.3 秋田県 震度1 :能代市緑町 能代市常盤山谷 能代市追分町* 能代市二ツ井町上台* 藤里町藤琴* 五城目町西磯ノ目 八郎潟町大道* 三種町鵜川* 三種町豊岡* 八峰町峰浜目名潟* 秋田市河辺和田* 大館市桜町* 大館市中城* 大館市比内町扇田* 大館市早口* 上小阿仁村小沢田* 北秋田市花園町 北秋田市米内沢* 北秋田市阿仁銀山* 北秋田市新田目* 仙北市西木町上桧木内* 2016年06月24日17時16分 岩手県内陸北部 秋田県 震度1 :仙北市田沢湖田沢* 39゚ 50.4' N 140゚ 50.5' E 3km M3.0 2016年06月27日07時57分 福島県沖 36゚ 59.3' N 142゚ 24.1' E 19km M5.9 秋田県 震度1 :秋田市河辺和田* 由利本荘市西目町沼田* にかほ市平沢* 横手市中央町* 横手市大雄* 湯沢市川連町* 羽後町西馬音内* 秋田美郷町六郷東根 秋田美郷町土崎* 大仙市刈和野* 大仙市北長野* 大仙市太田町太田* 大仙市高梨* 2016年06月30日03時12分 三陸沖 39゚ 52.0' N 144゚ 36.3' E 43km M5.2 秋田県 震度1 :能代市二ツ井町上台* 大館市桜町* 大館市中城* 大館市比内町扇田* 大館市早口* 小坂町小坂砂森* 北秋田市花園町 横手市大雄* 大仙市刈和野* 大仙市北長野* 大仙市高梨* (注)地震の震源要素等は、再調査により変更することがある。 各地の震度は秋田県のみを示し、*は地方公共団体または国立研究開発法人防災科学技術研究所の観測点である。 本資料は、国立研究開発法人防災科学技術研究所、北海道大学、弘前大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、 高知大学、九州大学、鹿児島大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国土地理院、国立研究開発法人海洋研究開発機 構、青森県、東京都、静岡県及び神奈川県温泉地学研究所、気象庁のデータを用いて作成している。また、2016年熊本地震 緊急観測グループのオンライン臨時観測点(河原、熊野座)、IRIS の観測点(台北、玉峰、寧安橋、玉里、台東)のデー タを用いて作成している。 防災メモ 火山ガス 『ロアー・ニオスの村人はほとんど眠りについており、谷を 1 マイル上ったニオス湖で、爆発音が轟いたのに 気づかなかった。忙しい市(いち)の日を終えて、遅い夕食をとった人々だけがまだ起きていて轟音を聞いた。 しかし、その音が、湖から多量の死のガスが放出された信号であったとは、知るよしもなかった。有毒ガス は、静かに谷をおりてきて、眠ったり起きたりしている 1700 人の命をかぎ分けた。生存者の言によれば、 食べたり話したりしていた家族が、次の瞬間には死んで倒れた。ある婦人の場合は、朝起きてみたら、5 人の 子供がまわりで死んでいたという。―中略―数日後に町に到着した救助隊の隊員は、まるで中性子爆弾が落ち たようだと語った。建物も家も破壊されていないのに、死体はいたる所にころがっている。 小鳥の声も聞こえず、 死体のまわりにハエが群れることもない。あらゆる生命が、完全に抹消されたのだ。(火の山-噴火の脅威と メカニズム:西村書店より)』 この信じられないような惨事は、1986 年 8 月 21 日、 西アフリカ、カメルーン北西部のニオス湖において、 突然大量の二酸化炭素(CO2)が放出されたことにより起こ 表1 1950 年以降日本で発生した火山ガス災害死亡事故のみをまとめた もので,死にいたらない中毒事故は各地で発生している 年月日 場所 事故内容 原因ガス 1951/11/5 箱根,湯の花沢 露天風呂で2名死亡 H2S 1952/3/27 同上 浴室で1名死亡 同 1954/7/21 立山,地獄谷 露天風呂で1名死亡 同 継続しており、ある深さで CO2 が飽和溶解度を超えたた 1958/7/26 大雪山,御鉢平 2名死亡 同 1961/4/23 立山,地獄谷 1名死亡 同 めにガスとして噴出したと考えられています。噴出し た CO2 ガスは空気より重いために谷地に沿って流下して 1961/6/18 1967/11/4 大雪山,御鉢平 立山,地獄谷 2名死亡 キャン プ 中2名死亡 同 同 りました。調査の結果、湖底では CO2 に富む噴気活動が 1969/8/26 鳴子 浴室で1名死亡 同 1970/4/30 立山,地獄谷 温泉作業員1名死亡 同 1971/12/27 草津白根山振り子沢 スキーヤー6名死亡 同 1972/10/2 箱根,大涌谷 3名中毒,内2名死亡 同 1972/10/28 那須岳,湯本 浴室で1名死亡 同 1972/11/25 立山,地獄谷 温泉作業員1名死亡 同 1975/8/12 立山,地獄谷 1名死亡 同 1976/8/4 草津白根山,本白根 登山中3名死亡 同 1980/12/20 安達太良山,鉄山 雪洞で1名死亡 同 1985/7/22 立山,地獄谷 湯溜まりで1名死亡 同 1986/5/8 秋田焼山,叫び沢 谷で1名死亡 同 1989/2/12 阿蘇山,中岳 火口縁で観光客1名死亡 SO2 1989/8/26 霧島,新湯 浴室で2名死亡 H2S 1989/9/1 那須岳 作業員3名死亡 同 噴火した三宅島では、現在も多量の二酸化硫黄(SO2)の 1990/3/26 阿蘇山,中岳 火口縁で観光客1名死亡 SO2 1990/4/18 同上 同上 同 放出が続いており、島民は避難生活を余儀なくされてい 1990/10/19 同上 同上 同 1994/5/29 同上 同上 同 ます。表1は、1950 年以降のわが国における火山ガス 1997/7/12 八甲田山,田代平 ガス穴で3名死亡 CO2 1997/9/15 安達太良山,沼ノ平 登山中4名死亡 H2S による事故例を示しています。1 件あたりの死者数は少 1997/11/23 阿蘇山,中岳 火口縁で観光客2名死亡 SO2 ないですが、年間約1名が犠牲になっていることになり 2005/12/29 秋田湯沢泥湯温泉 2015/3/18 秋田田沢湖乳頭温泉 雪穴で観光客4名死亡 源泉で3名死亡 H2 S 同 多数の人命を奪ったのです。 わが国でも火山ガス災害が発生しています。最近 で は、2015 年に秋田県乳頭温泉で 3 名、2005 年に秋田県 泥湯温泉で 4 名、1997 年に青森県八甲田山で 3 名、福 島県安達太良山で 4 名、阿蘇山で 2 名の死亡が報告され ています。また、死亡事故こそありませんが、2000 年に ます。 一般に火山では、風の弱いときに火口や噴気孔より下 流の沢などの凹地に立ち入るのは危険です。火山ガス の本質を知って災害を防ぐことが必要です。 二酸化硫黄(SO2):無色。強い刺激臭。呼吸器の粘膜に直接作用して呼吸困難となる。喘息の人は特に注意 が必要。水に溶けやすいので濡れタオルで口・鼻を押さえると有効。濃度 100ppm は 30 分程度耐えうる最 高濃度。1000ppm になると短時間でも危険。 硫 化 水 素 ( H 2 S):無色。卵の腐ったような臭い。高濃度(150~200ppm)になると、嗅覚が麻痺して臭いを 感じなくなる。空気より重いので低い地形に留まりやすい。非常に毒性が強い神経性のガスで、呼吸中枢 を麻痺させて呼吸困難となる。水に溶けやすいので濡れタオルで口・鼻を覆うとある程度効き目がある。 濃度 1000ppm になると短時間でも危険。 二酸化炭素(CO2):無色無臭。危険個所の発見や事故発生の予測が困難。死亡の原因は酸欠。空気より重い ので低い地形に留まりやすい。