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1)動物性油脂は飽和脂肪酸とグリセロールで構成されるため,融

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1)動物性油脂は飽和脂肪酸とグリセロールで構成されるため,融
【8
10】
問題57.
1)動物性油脂は飽和脂肪酸とグリセロールで構成されるため,融点が高く,常温で固体
である.一方,植物性油脂は不飽和脂肪酸とグリセロールで構成されるため融点が低く,
常温で液体である.
2)食事によって摂取した油脂(トリアシルグリセロール)は十二指腸において胆汁酸の
ミセルに取り込まれて乳化し,可溶化される.次いで,膵リパーゼにより 2-モノアシルグ
リセロール(2-MAG)と脂肪酸に分解(消化)され,小腸膜を通過して吸収される.
3)リポタンパク質はリン脂質のミセル表面に親水性のアポリポタンパク質が浮遊した構
造を持つ.そのうち,食餌性のトリアシルグリセロールやコレステロールを内部に取り込
んだものをキロミクロンという.他のリポタンパク質と比べ,脂質成分の割合が最も多い
ため,密度が最も低い.小腸内側で脂質を取り込むとリンパ管を通して移動した後,静脈
に移行してトリアシルグリセロールを各脂肪組織や筋組織に輸送する役割を持つ.
4)トリグリセリドは各組織のリパーゼによりグリセロールと脂肪酸に分解される.この
うち,グリセロールはグリセルアルデヒド 3-リン酸に返還された後,解答系に入り,アセ
チル CoA へと返還される.一方,脂肪酸はβ酸化を受け,アセチル CoA へと返還される.
アセチル CoA は TCA サイクルおよび電子伝達系でエネルギーに変換される.
5)カルボキシラート(RCOOー)は疎水性の炭化水素部分(R=CH3(CH2)n)と親水性のカルボ
キシラート部分(COOー)を 1 つの分子内に同時に持つ両親媒性の化合物であり,水中では
疎水性部分を内部に向け,親水性部分を表面に向けた球状物質であるミセルを形成する.
ミセルは油性物質を疎水性内部に取り込んで包む性質が有り,これを利用したのが石けん
や胆汁酸,リポタンパク質による乳化現象である.
問題58.1)ホスホグリセリド(グリセロリン脂質)は 1,2-ジアシルグリセロール 3リン酸を基本構造とした物質群で,リン酸基に種々のアルコールが縮合している.一方,
スフィンゴリン脂質はスフィンゴシンの 2 位アミノ基にアシル基が縮合(セラミド)し,
さらに 1 位水酸基にリン酸がエステル結合した基本構造を持ち,リン酸基に種々のアルコ
ールが縮合している.
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2)i.ホファチジルコリン:レシチンとも呼ぶ.細胞膜の主要構成成分であり,アセチ
ルコリンの原料となるコリンの供給源となる.
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ii.ホスファチジルエタノールアミン:ケファリン(セファリン)とも呼ぶ.ホファチ
ジルコリンと同様に細胞膜の主要成分であり,ホスファチジルセリンの生合成原料やグリ
コシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーの生合成においてホスホエタノール
アミンの供給源として重要である.
iii.血小板活性化 因 子(PAF:Platelet-Activating Factor):好塩基球から遊離
され,血小板の凝集や血小板からのセロトニン遊離を促進する細胞外シグナル分子として
働く.1 位がエーテル結合であることが特徴的である.
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iv.ホスファチジルセリン(PS):細胞膜内側の層に局在し,Ca2+およびジアシルグリセ
ロールと共同してプロテインキナーゼ C(PKC)を活性化し,細胞応答を引き起こす.
v.ホスファチジルイノシトール二リン 酸(PIP 2 ):ホスホリパーゼ C(PLC)によりジ
アシルグリセロール(DAG)およびイノシトール三リン酸(IP3)に加水分解される.IP3
はカルシウム小胞体膜表面の IP3 受容体に結合し,Ca2+を放出させる.Ca2+,DAG および PS
は共同して Ca2+依存性プロテインキナーゼ C(PKC)を活性化し,種々のタンパク質をリン
酸化して活性化することで細胞応答を引き起こす.
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3)リン脂質は分子内に疎水性領域と親水性領域を同時に持つため,カルボキシレートと
同様にミセルを形成する.しかし,炭化水素側鎖が 2 本存在するため,疎水性部分の断面
積が広く,球状になった場合,中心部が込み合ってしまう.そこで,横に平行に並んだ形
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で楕円を形成し,シート状になる.内部が込み合うのは両端のみとなり,球状より安定で
ある.これは部分的にみると疎水性部分を内側に突き合わせ,外側に親水性部分を配置し
た二重構造に見えるため,脂 質二 重層 (膜)と呼ばれる.この楕円のミセルが複数集ま
ると層を形成する.これをラ メラ層と呼ぶ.ラメラ層は親水性部分同士で接触するため,
反発が生じない.これに水を加えると水の分子は親水性の層の間に入り込み,押し広げて
球体を作る.生じた球体は脂質二重膜が水を包み込んだ形となる.これをリポソーム(小
胞)と呼ぶ.リポソームは水性の環境を疎水性の膜で仕切るのに都合が良いため,生体内
では細胞膜や細胞内の小胞体膜などとして利用されている.脂質二重層を構成する脂質分
子が反対側に移動することをフリップーフロップ(反転拡散)と呼ぶ.一般にフリップ
ーフロップを起こすためには親水性部分が疎水性部分を横断しなければならないため起
こり難い.そのため生体膜の内側と外側の構成脂質の種類と組成は異なっている.これに
対し,同一の層内で移動することをラテラル拡散(水平拡散)と呼び,一般的に拡散速
度は速い.
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4)ホスホリパーゼ A1(PLA1):1 位エステル結合
ホスホリパーゼ A2(PLA2):2 位エステル結合
ホスホリパーゼ B(PLB):1 および 2 位エステル結合
ホスホリパーゼ C(PLC):3 位リン酸エステル結合
ホスホリパーゼ D(PLD):アルコール側のリン酸エステル結合
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5)1 段階目,酵素名:スフィンゴミエリナーゼ,生成物:セラミド,役割:細胞アポト
ーシス,分化誘導.
2 段階目,酵素名:セラミダーゼ,生成物:スフィンゴシン,役割:プロテインキナーゼ
C(PKC)阻害作用による細胞分化誘導阻害,細胞成長阻害作用.
3 段階目,酵素名:スフィンゴキナーゼ,生成物:スフィンゴシン 1-リン酸,役割:プロ
テインキナーゼ C(PKC)活性化による細胞分化誘導,細胞成長促進.
問題59.ミセルはカルボキレートの様な両親媒性分子が集合して形成される球状の構造
体であり,表面が親水性,内部が疎水性となっている.生体内では胆汁酸やリポタンパク
質などとして利用されている.リポソームはリン脂質のような疎水性側鎖を 2 本持つ両親
媒性分子によって形成される球状の構造体である.リポソームの外部と内部は脂質二重膜
で仕切られており,表面と内部が親水性となっている.
問題60.
1)酵素名:チオラーゼ,生成物:アセトアセチル CoA
構造式
O
O
SCoA
2)正式名:β-ヒドロキシ-β-メチルグルタリル酸
構造式
OH O
HOOC
SCoA
3)物質名:メバロン酸
構造式
OH
HOOC
OH
4)HMG-CoA 還元酵素
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問題61.
名称
炭素数
二重結合数
二重結合の位置
状態
パルミチン酸
オレイン酸
16
18
0
1
−
9位
固体
液体
リノール酸
リノレイン酸
18
18
2
3
9,12 位
9,12,15 位
液体
液体
アラキドン酸
20
4
5,8,11,14 位
液体
問題62.1)C,2)B,3)A,4)F,5)D,6)E
問題63.ホスホリパーゼ A2 はホスホグリセロリン脂質の 2 位エステル部分を特異的に加
水分解する酵素なので,アラキドン酸は 2 位水酸基に結合していたことになる.
問題64.ホスホリパーゼ C(PLC)
問題65.
1.キロミクロン:食餌性油脂やコレステロールを取り込み,筋または脂肪組織に運ぶ.
2.超低密度リポタンパク質(VLDL):肝臓から筋または脂肪組織に油脂を運ぶ.
3.中間密度リポタンパク質(ILDL):筋または脂肪組織から肝臓に余分な油脂を運ぶ.
4.低密度リポタンパク質(LDL):肝臓から筋または脂肪組織にコレステロールを運ぶ.
5.高密度リポタンパク質(HDL):筋または脂肪組織から肝臓に余分なコレステロールを
運ぶ.
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