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1 章 章末問題解答 1.
「生体高分子の基礎 はじめてのバイオ分子化学」章末問題の解答 1 章 2014/11 章末問題解答 1.(1) ◯ (2) × (3) × (4) × (5) × (6) ◯ (7) × (8) ◯ (9) × (10) × 2.(1) グ リ シ ン (2) イ ソ ロ イ シ ン , ト レ オ ニ ン (3) ロ イ シ ン と イ ソ ロ イ シ ン (4) セ リ ン , ト レ オ ニ ン , チ ロ シ ン (5) ト リ プ ト フ ァ ン (6) ヒ ス チ ジ ン (7) フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン , チ ロ シ ン , ト リ プ ト フ ァ ン (8) シ ス テ イ ン , メ チ オ ニ ン (9) プ ロ リ ン (10) メ チ オ ニ ン 3. 弱 酸 が 50%電 離 し た と き の pH 4. (2.19+4.25)/2=3.22 5. 不 斉 炭 素 原 子 を も ち , 互 い に 重 ね 合 わ せ る こ と の で き な い 化 合 物 ど う し の こ と を光学異性体とよぶ。光学異性体の間では旋光性(偏光面を回転させる性質) が 逆 に な る 。 ア ミ ノ 酸 の 場 合 、 α 炭 素 に よ る 光 学 異 性 体 を D-体 お よ び L-体 と し て区別する。 6. 一 次 構 造 : ア ミ ノ 酸 配 列 , 二 次 構 造 : ら せ ん 状 や シ ー ト 状 の 構 造 , 三 次 構 造:二次構造が組み合わされたタンパク質 1 分子中の立体構造,四次構造: 複数のタンパク質分子が会合した構造 7. α ヘ ッ リ ク ス : ペ プ チ ド 結 合 の カ ル ボ ニ ル 基 酸 素 と 4 残 基 先 の ペ プ チ ド 結 合 のアミド基水素が水素結合を形成して安定化した右巻きのらせん構造。β構 造:ほぼのびきったポリペプチド鎖によるβストランドと折れ曲がり構造で あるβターンがある。βターンにより複数のβストランドが並列して水素結 合により安定化した構造がβシートである。 8. 主 鎖 の 間 で 多 数 の 水 素 結 合 を 形 成 す る た め 。 9. タ ン パ ク 質 内 あ る い は タ ン パ ク 質 間 を 架 橋 し 、 構 造 を 安 定 化 さ せ る こ と で 、 そのタンパク質固有の立体構造の維持を助ける。 10. タ ン パ ク 質 が 安 定 に 構 造 形 成 で き る 大 き さ に は , 一 般 的 に 限 界 が あ る 。 よ り 複雑な機能をもつタンパク質を生み出すには,単機能で小さなタンパク質を複 数集めて複合体を形成するほうが進化のうえで有利であったと考えられる。 1 「生体高分子の基礎 はじめてのバイオ分子化学」章末問題の解答 2 章 2014/11 章末問題解答 1. (1) ◯ (2) × (3) × (4) ◯ (5) × (6) × (7) × (8) ◯ (9) × (10) × 2. 酸 化 還 元 酵 素 ( オ キ シ ド レ ダ ク タ ー ゼ ) 転移酵素(トランスフェラーゼ) 加水分解酵素(ヒドロラーゼ) 除去付加酵素(リアーゼ) 異性化酵素(イソメラーゼ) 合成酵素(リガーゼ) 3 . 逸 脱 酵 素 と は 、あ る 特 定 の 細 胞 や 組 織 で 働 い て い る 酵 素 が な ん ら か の 理 由 で 流 出 し た ものである。酵素の流出が組織障害や疾患と関連するため、臨床検査の一環として利 用される。 4. 同 一 個 体 中 に あ っ て 、 同 じ 化 学 反 応 を 触 媒 す る 、 構 造 の 異 な る 酵 素 の こ と 。 5. 2-3-3 を 参 照 。 6 . 縦 軸 に 1 / v 0 ,横 軸 に 1 / [ S ] を プ ロ ッ ト す る と 傾 き が K m / V m a x の 直 線 に な る 。こ の と き , 縦軸,横軸の切片はそれぞれ 1/ V max お よ び -1/K m と な る 。 そ れ を 利 用 す る と Km=6.4(mM), と V max=0.085(mM/min)と 求 め ら れ る 。 7 . 酵 素 の 基 質 は ,反 応 後 に 酵 素 か ら 遊 離 す る 必 要 が あ る が ,酵 素 と 基 質 の 親 和 性 が 高 す ぎると,基質が酵素から遊離しにくい。そのため,つぎの基質が結合することができ なくなるため阻害剤として働くことになる。 8 . キ モ ト リ プ シ ン の 活 性 セ リ ン 残 基 は ,ほ か の セ リ ン 残 基 と は 異 な り ,近 接 す る ヒ ス チ ジンの影響でヒドロキシ基の求核性が高まっている。この求核性のため,活性セリン 残 基 の ヒ ド ロ キ シ 基 は 基 質 お よ び D F P を 結 合 す る 。基 質 は 酵 素 か ら 遊 離 す る 。し か し , D FP は 活 性 セ リ ン 残 基 の ヒ ド ロ キ シ 基 と 共 有 結 合 を 形 成 し , 酵 素 の 活 性 部 位 を 不 可 逆 的にふさぐため,酵素活性を阻害してしまう。 9. 見 か け の K m 値 は 増 大 す る 。 V max 値 は 変 わ ら な い 。 基 質 濃 度 を 上 げ る と , 活 性 部 位 が 基質で満たされるようになり,阻害作用が減少する。 2 「生体高分子の基礎 はじめてのバイオ分子化学」章末問題の解答 3 章 2014/11 章末問題解答 1.(1) ○ (2) × (3) × (4) ○ (5) ○ (6) ○ 2. 1 位 の 立 体 配 置 の み が 異 な る 立 体 異 性 体 を ア ノ マ ー と よ ぶ 。 α-D-グ ル コ ー ス と β -D-グ ル コ ー ス は 互 い に ア ノ マ ー で あ る ( 図 3 - 4 )。 1 つ の 不 斉 炭 素 原 子 の 立 体 配 置 の み が 異 な る 糖 を エ ピ マ ー と よ ぶ 。 D-グ ル コ ー ス に 対 し て D-ガ ラ ク ト ー ス は 4 位 の 立 体 配 置 が 異 な る エ ピ マ ー で あ り 、 D - マ ン ノ ー ス は 2 位 の エ ピ マ ー で あ る ( 図 3 - 6 )。 3 . 六 炭 糖 ( ヘ キ ソ ー ス ) の ア ル ド ー ス の 例 : D - グ ル コ ー ス ( 構 造 式 は 図 3 - 2 を 参 照 )。 六 炭 糖 ( ヘ キ ソ ー ス ) の ケ ト ー ス の 例 : D - フ ル ク ト ー ス ( 構 造 式 は 図 3 - 3 を 参 照 )。 4 . ト リ ア シ ル グ リ セ ロ ー ル は 、グ リ セ リ ン 1 分 子 と 脂 肪 酸 3 分 子 か ら 水 が 3 分 子 と れ て エ ス テ ル 結 合 し た 化 合 物 で あ る ( 図 3 - 11 )。 主 に エ ネ ル ギ ー 貯 蔵 物 質 と し て の 役 割 を 担う。 グ リ セ ロ リ ン 脂 質 は 、グ リ セ ロ ー ル の 1 位 と 2 位 に 脂 肪 酸 が エ ス テ ル 結 合 し 、3 位 に リ ン 酸 が 結 合 し 、さ ら に そ の リ ン 酸 基 に コ リ ン 、セ リ ン 、エ タ ノ ー ル ア ミ ン な ど の 極 性 基 が 結 合 し た も の で あ る ( 図 3 - 1 2 )。 生 体 膜 の 主 要 な 成 分 で 、 ホ ス フ ァ チ ジ ル イ ノ シトールのようにシグナル伝達に関わるものもある。 5. ス テ ロ イ ド の 基 本 骨 格 は A・ B・ C 環 と よ ば れ る 3 つ の 六 員 環 、 D 環 と よ ば れ る 1 つ の 五 員 環 か ら な る ( 図 3 - 1 6 )。 コ レ ス テ ロ ー ル は 生 体 膜 の 構 成 成 分 で あ る 。 テ ス ト ス テロンやエストラジオールなどは性ホルモンとして働く。 6 . ヌ ク レ オ チ ド に 含 ま れ る 糖( リ ボ ー ス )の 3 ’ 位 の ヒ ド ロ キ シ 基 が リ ン 酸 基 と エ ス テ ル 結 合 を 作 っ て い る 。こ の リ ン 酸 基 が 隣 の ヌ ク レ オ チ ド の 糖 5 ’ 位 ヒ ド ロ キ シ 基 に 結 合 し て 、 リ ン 酸 ジ エ ス テ ル 結 合 を 形 成 し て 、 D N A 鎖 を 作 っ て い る ( 図 3 - 1 9 )。 D N A の 末 端 は 、 リ ボ ー ス の 5’位 ま た は 3’位 の ど ち ら で あ る か に よ り 5’末 端 ま た は 3’末 端 と よ ば れ 、 こ れ に よ り DNA の 方 向 性 が 表 さ れ る 。 7. DNA の 主 な 役 割 は 、 遺 伝 情 報 の 保 存 で あ る 。 二 重 ら せ ん 構 造 を と り 、 同 じ 塩 基 配 列 を も つ D N A が 複 製 さ れ る 。R N A は 、D N A の 塩 基 配 列 情 報 か ら 特 定 の ア ミ ノ 酸 配 列 を も つ タ ン パ ク 質 を 作 り 出 す 転 写・翻 訳 に 主 な 機 能 が あ る 。こ れ ら の 過 程 で は 、m R N A 、 rRNA、 tRNA が 働 く 。 3 「生体高分子の基礎 はじめてのバイオ分子化学」章末問題の解答 4 章 2014/11 章末問題解答 1. (1)× (2)○ (3)○ (4)× 2. (1)× (2)○ (3)× (4)× 3. (1)○ (2)○ (3)× (4)× 4. (1)× (2)× (3)× (4)○ 5. ア ミ ノ 酸 の 中 で , 脱 ア ミ ノ さ れ た あ と 糖 新 生 の 経 路 に 入 り グ ル コ ー ス を 生 成 す る 。 このようなアミノ酸を糖原性アミノ酸とよび,ロイシンとリジン以外がこれに属す る 。 ま た , ア セ チ ル CoA や ア セ ト 酢 酸 に 変 化 す る も の は , 肝 臓 で ケ ト ン 体 を 生 成 す る。このようなアミノ酸をケト原性アミノ酸という。 6. グ リ コ ー ゲ ン 分 解 に よ る グ ル コ ー ス の 供 給 は 約 1 日 分 の エ ネ ル ギ ー し か な い 。 そ こ で,飢餓状態でも血中グルコース濃度が低下しないように,乳酸・アミノ酸・グリ セロールなどの糖質以外の材料からグルコースを生成する糖新生という代謝経路が 存在する。 7. 脂 肪 酸 代 謝 に お い て は , 脂 肪 酸 が ま ず ア シ ル CoA( 炭 素 数 : n) に 変 換 さ れ て か ら , そ の β 位 の 炭 素 が 酸 化 さ れ , 炭 素 数 が 2 つ 短 く な っ た ア シ ル CoA( 炭 素 数 : n-2) を 生成するため、β酸化と呼ばれる。 8. ア ミ ノ 酸 の 分 解 反 応 は 以 下 の 順 に 3 段 階 で 進 む ①脱アミノ反応 ②脱アミノ反応によって生じたアンモニアを代謝する尿素回路 ③残った炭素骨格の代謝 まず,アミノトランスフェラーゼの作用により,アミノ酸からα位のアミノ基 ( -NH2) が 脱 離 す る 。 脱 離 し た ア ミ ノ 基 が 2-オ キ ソ グ ル タ ル 酸 に 転 移 さ れ た 結 果 , アミノ酸の一種であるグルタミン酸を生成する。生成したグルタミン酸は,グルタ ミ ン 酸 脱 水 素 酵 素 に よ り 酸 化 的 脱 ア ミ ノ 反 応 を 受 け , ア ン モ ニ ア を 遊 離 し て 2-オ キ ソグルタル酸に戻り再利用される。生じたアンモニア分子は尿素回路によって無毒 化され、尿素となる。最後に,残った炭素骨格が,固有の反応経路によりクエン酸 回路で利用される物質に変換される。 9 .メ ー プ ル シ ロ ッ プ 尿 症 と い う 病 気 で は 、分 岐 鎖 ア ミ ノ 酸 の 分 解 が 正 常 に 行 わ れ な い 。 患者の尿がメープルシロップの臭いがすることからこの病名がつけられ,重症な状 態を放置すると死亡することもある。また,フェニルケトン尿症では,フェニルア ラニンをチロシンへ変換する酵素が欠損しているため,フェニルアラニンが正常に 代謝されず,血中で増加する。いずれの場合も生体に対して様々な症状が起こる。 10. ま ず , リ ボ ー ス 5-リ ン 酸 か ら 5-ホ ス ホ リ ボ シ ル 1α -二 リ ン 酸 ( PRPP) が 生 じ る 。 生 成 し た PRPP を 土 台 と し て , 多 段 階 の 反 応 を 経 て イ ノ シ ン 酸 と な っ た 後 , プ リ ン ヌクレオチドの構造が組み立てられていく。 4 「生体高分子の基礎 はじめてのバイオ分子化学」章末問題の解答 5 章 2014/11 章末問題解答 1. (1) ○ (2) × (3) × (4) ○ (5) × (6) ○ (7) ○ (8) × (9) × (10) × 2 . 5 - 1 - 2 参 照 。① 微 生 物 が 作 る 低 分 子 量 物 質:発 酵 と よ ば れ る 物 質 代 謝 反 応 を 利 用 し て 、 比 較 的 大 量 に 得 ら れ る 。エ タ ノ ー ル 、ア ミ ノ 酸 や 抗 生 物 質 が 例 と し て 挙 げ ら れ る 。② 微 生 物 が 作 る 酵 素 類 : 微 生 物 が 自 身 の 代 謝 の た め に も っ て い る 酵 素 で あ り 、細 胞 内 に 比 較 的 多 く 含 ま れ る 。プ ロ テ ア ー ゼ や ア ミ ラ ー ゼ な ど が 例 と し て 挙 げ ら れ 、食 品 や 生 活 用 品 の 製 造 に 利 用 さ れ て い る 。③ バ イ オ 医 薬 品 : 遺 伝 子 組 換 え 法 に よ り 微 生 物 ・ 培 養 細 胞 に 生 産 さ せ た 希 少 な タ ン パ ク 質 類 。例 え ば 、抗 体 や ホ ル モ ン な ど で あ り 、お も に医薬品として人体に投与される。 3. 5-1-5 参 照 。 タ ン パ ク 質 は 変 性 や 分 解 を 受 け や す い の で 、 低 温 下 に 置 き 、 緩 衝 液 を 利 用 し て 安 定 に 存 在 し う る pH を 保 ち 、 酸 化 防 止 剤 や プ ロ テ ア ー ゼ 阻 害 剤 を 添 加 し て 保 護するなどといった工夫をする。 4. 5-1-7 参 照 。 粒 子 の 大 き さ に よ る 細 胞 抽 出 液 か ら の オ ル ガ ネ ラ 、 細 胞 膜 、 細 胞 質 成 分 への分画や、タンパク質や核酸の沈殿分離のために用いる。 5. 5-1-7 欄 外 [14][15][16]参 照 。 6. 5-2-2、 5-4-2 参 照 。 親 水 性 高 分 子 ゲ ル の 内 部 な ど に 形 成 さ れ た 網 目 構 造 を タ ン パ ク 質 や 核 酸 な ど の 高 分 子 が 通 過 す る 際 に 、分 子 の 大 き さ に 応 じ て 通 過 速 度 の 差 が 生 じ る 現 象 を 分 子 ふ る い 効 果 と よ ぶ 。こ の 原 理 に 基 づ い た 分 離 法 の 例 と し て 、ゲ ル 電 気 泳 動 と ゲルろ過クロマトグラフィーが挙げられる。 7. 5-2-3 参 照 。 タ ン パ ク 質 の 疎 水 性 部 分 を SDS が 覆 う こ と で 、 タ ン パ ク 質 の 立 体 構 造 を 直鎖状にほどいて溶解度を高め、かつ全体に均一な負電荷をもたせる。 8 . 5 - 2 - 5 参 照 。電 気 泳 動 で ゲ ル 中 に 分 離 さ れ た D N A や タ ン パ ク 質 を 、泳 動 像 そ の ま ま に 丈 夫 な フ ィ ル タ ー 膜 に 写 し 取 る 操 作 の こ と 。こ れ に よ り 、さ ら な る 分 析 に 供 す る こ と が で き る 。 DNA を 対 象 と し た も の を サ ザ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ 、 RNA を 対 象 と し た も の を ノ ザ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ 、タ ン パ ク 質 を 対 象 と し た も の を ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ とよぶ。 9. 5-4-2 参 照 。 カ ラ ム 中 を 移 動 す る 分 子 が 、 多 孔 質 の 担 体 微 粒 子 の 表 面 の 細 孔 ( ポ ア ) に出入りする頻度の差により、移動速度が異なることを分離原理とする。すなわち、 5 「生体高分子の基礎 はじめてのバイオ分子化学」章末問題の解答 2014/11 大 き な 分 子 は 細 孔 に 入 れ な い た め 移 動 距 離 が 短 く 、カ ラ ム 中 を 速 く 移 動 す る 。小 さ な 分 子 は 細 孔 の す み ず み ま で 行 き わ た る た め 移 動 距 離 が 長 く 、カ ラ ム 中 を 遅 く 移 動 す る 。 したがって、サイズの大きな分子ほど早くカラムから溶出する。 10. 5-4-3 参 照 。 タ ン パ ク 質 は 、 等 電 点 を 境 と し て 酸 性 で 正 電 荷 、 ア ル カ リ 性 で 負 電 荷 を も つ 。し た が っ て 、等 電 点 よ り 酸 性 で は 陽 イ オ ン 交 換 担 体 に 吸 着 し 、逆 に ア ル カ リ 性 では陰イオン交換体に吸着する。 11. 5-4-4、 5-4-5 参 照 。 疎 水 性 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー と 逆 相 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー は 、 い ず れ も 疎 水 性 の 大 き な 分 子 ほ ど 強 く 吸 着 す る 。疎 水 性 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で は 、ゲ ル 担 体 に 導 入 さ れ た 疎 水 性 リ ガ ン ド の 密 度 が 低 く 、塩 濃 度 に よ り 吸 着 の 強 さ を 調 整 す る た め 、 タ ン パ ク 質 を 失 活 さ せ な い 温 和 な 条 件 で 分 離 で き る 。一 方 、逆 相 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で は 、担 体 に 導 入 さ れ た 疎 水 性 基 が 密 に 導 入 さ れ て お り 、有 機 溶 媒 の 混 合 比 で 吸 着 を 調 節 す る 。逆 相 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー の 分 離 条 件 で は 、タ ン パ ク 質 が 変 性 す る た め 、タ ンパク質の分離には適さない。低分子量の有機化合物の分離が対象となる。 12. 5-4-6 参 照 。 生 体 分 子 間 に 働 く 分 子 認 識 ( 親 和 性 : ア フ ィ ニ テ ィ ー ) を 利 用 し て 分 離 す る ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー の こ と 。ア フ ィ ニ テ ィ ー に は 抗 体 と 抗 原 、酵 素 と 基 質 、レ ク チ ン と 糖 鎖 、受 容 体 と ホ ル モ ン な ど の 組 み 合 わ せ が 挙 げ ら れ る 。例 え ば 、細 菌 の 産 生 するタンパク質の一種であるプロテイン A は抗体に高いアフィニティーをもつ。そ こで、プロテイン A を表面に固定した担体は、血清中の抗体の精製にしばしば用い られる。 6 「生体高分子の基礎 はじめてのバイオ分子化学」章末問題の解答 6 章 2014/11 章末問題解答 1. (1) × (2) × (3) ○ (4) ○ (5) × (6) × (7) ○ (8) ○ (9) ○ (10) ○ 2 . ま ず デ ン プ ン に α - ア ミ ラ ー ゼ を 作 用 さ せ ,デ キ ス ト リ ン に す る 。次 い で デ キ ス ト リ ン に グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ を 作 用 さ せ , 非 還 元 末 端 か ら グ ル コ ー ス を 遊 離 さ せ る ( 図 6 - 6 )。 3 . 転 化 糖 は ,ス ク ロ ー ス に イ ン ベ ル タ ー ゼ を 作 用 さ せ ,グ ル コ ー ス と フ ル ク ト ー ス の 混 合 物 に し た も の で あ る ( 図 6 - 8 )。 同 量 の ス ク ロ ー ス と 同 等 あ る い は そ れ 以 上 の 甘 さ が ある。異性化糖は,グルコースにグルコースイソメラーゼを作用させた,グルコース と フ ル ク ト ー ス の 混 合 物 の こ と で あ る ( 図 6 - 9 )。 フ ル ク ト ー ス が 5 0 % 以 下 の も の は ブ ド ウ 糖 果 糖 液 糖 , フ ル ク ト ー ス 含 量 が 50%以 上 の も の は 果 糖 ブ ド ウ 糖 液 糖 と い う 。 4 . 糊 化 デ ン プ ン か ら デ ン プ ン の 結 晶 に 入 り 込 ん だ 水 が 分 離 し ,元 の デ ン プ ン に 近 い 密 な 構 造 に な る こ と を デ ン プ ン の 老 化 と い う ( 図 6 - 1 9 )。 冷 や ご 飯 や 古 い パ ン の よ う に パ サパサ固くなった状態である。糊化デンプンを高温のまま乾燥したり,急速に冷凍し たり,トレハロースを添加することで幾分デンプンの老化が抑えられる。デンプンを 修飾した加工デンプンを用いることでも老化を抑えられる。 5. LM ペ ク チ ン の ガ ラ ク ツ ロ ン 酸 の カ ル ボ キ シ 基 や ヒ ド ロ キ シ 基 が 牛 乳 の カ ル シ ウ ム イ オン と 複 数の 配 位 結 合を 形 成 し,エ ッグ ボッ ク ス モデ ル と よ ばれ る 構 造を 作 る と ゲル 化 す る ( 図 6 - 2 1 )。 6 . 紙 着 色 の 原 因 に な る の は リ グ ニ ン で あ る 。リ グ ニ ン が 結 合 し て い る こ と が 多 い キ シ ラ ンを 分 解 する キ シ ラ ナー ゼ を 作用 さ せ,リグ ニ ン をパ ル プ か ら遊 離 さ せる こ と で 紙着 色を解消する。 7 . デ ン プ ン に ア ミ ラ ー ゼ と グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ を 作 用 さ せ 糖 化 し ,生 成 し た グ ル コ ー ス を 酵 母 に よ る 発 酵 で エ タ ノ ー ル に す る ( 図 6 - 3 5 )。 得 ら れ た エ タ ノ ー ル 溶 液 を 蒸 留 す る ことでバイオエタノールを得る。セルロースは強固な構造をしているため,簡単に糖 化ができず,糖化にコストがかかるため,セルロースを原料とするバイオエタノール 生産はあまり行われていない。 8 . 植 物 油 ,動 物 油 脂 ,廃 食 用 油 な ど の ト リ ア シ ル グ リ セ ロ ー ル を 酸 あ る い は ア ル カ リ 触 媒またはリパーゼにより,メタノールとのエステル交換反応を行い,脂肪酸メチルエ 7 「生体高分子の基礎 はじめてのバイオ分子化学」章末問題の解答 2014/11 ス テ ル ( バ イ オ デ ィ ー ゼ ル ) に 変 換 す る ( 図 6 - 3 6 )。 9.ア セ チ ル サ リ チ ル 酸 は , 炎 症 ・ 発 熱 作 用 を も つ プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン H2 の 合 成 酵 素 の 5 3 0 番 目 の セ リ ン 残 基 を 特 異 的 に ア セ チ ル 化 す る こ と で 酵 素 を 失 活 さ せ る ( 図 6 - 3 9 )。 プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン H2 の 合 成 を 抑 制 す る こ と で , 抗 炎 症 作 用 ・ 解 熱 作 用 を 引 き 起 こ す。 10. ペ ニ シ リ ン は , 細 菌 細 胞 壁 ペ プ チ ド グ リ カ ン の ペ プ チ ド 架 橋 の 形 成 に 関 わ る ペ プ チ ド 転 移 酵 素 の セ リ ン 残 基 を 不 可 逆 に 修 飾 し て , 酵 素 を 失 活 さ せ る ( 図 6 - 4 0 )。 こ の 作 用により抗生物質としてはたらく。 11 . タ ミ フ ル や リ レ ン ザ ( 図 6 - 4 5 ) は イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス の ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ の 阻 害剤である。インフルエンザウイルスが宿主で増幅したのち,宿主から離れるのに必 要な ノ イ ラミ ニ ダ ー ゼの は た らき を 抑 え る。こ れに よ り イン フル エ ン ザ感 染 の 拡 大を 防ぐ。 8