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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
Title Author(s) Citation Issue Date URL EARLY CHLORIDE CORROSION OF REINFORCING STEEL IN CONCRETE( Abstract_要旨 ) Miyagawa, Toyoaki Kyoto University (京都大学) 1985-05-23 https://doi.org/10.14989/doctor.r5621 Right Type Textversion Thesis or Dissertation author Kyoto University 氏 名 宮 川 畳 章 みや がわ とよ あき 学 位 の 種 類 工 学 博 士 学 位 記 番 号 論 工 博 第1 823号 学位授与の 日付 昭 和 6 0 年 5 月 23 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5条 第 2項 該 当 学位論文題 目 EARLYCHLORI DECORROSI ONOFREI NFORCI NG STEELI N CONCRETE (コンク リー ト中における鉄筋 の早期塩化物腐食) ( 主 査) 論文調査委 員 教 授 岡 田 清 論 内 文 教 授 畠 容 の 要 昭治郎 教 授 竹 原善一 郎 旨 本論文は,除塩 の不充分な海砂の使用,あるいは海洋環境にあって海塩粒子の供給の大 きい場合にみ ら れ るコンクリー ト構造物中での鉄筋の腐食について, コンク 1 )- トの品質や構造物設計上の諸要因が腐食 速度,腐食機構 に与える影響の把握お よび腐食推定手法の確立のために行 った基礎的研究の結果を まとめ た もので, 8葦か らなっている。 第 1章では,現在わが国におけるコンク リ- ト構造物を とりま く腐食環境お よび構造物設計法の動向を 概観す る とともに,本研究の 目的 と範囲を明 らかに している。 第 2章では,塩分雰囲気中においては,鉄筋 コンク リー ト構造物の耐久性の上か ら鉄筋腐食が最 も重要 な問題の一つであることを指摘 した上で,現在種 々の原因に よ り鉄筋腐食の問題が顕在化 していることを 述べ, コンク リー ト中における鉄筋の腐食反応に触れ,特にマ クロセル腐食の重要性について述べている。 さ らに コンク 1 )- ト構造物における鉄筋の主要 な腐食要因 として ワンク リー トの密実性,塩分量,ひびわ れ幅,かぶ りお よび環境条件を とり上げ既往の研究結果を とり、 まとめている。 第 3章では,主 として温度促進試験を用いて, コンク リー ト材料中に塩分を含む場合の埋設鉄筋の腐食 挙動について検討 した結果を述べている。 まず,標準的な促進試験に要求 される条件を示 した上で,高温 高湿法が促進試験 として有効であることを確め, さらに促進温度,練 りまぜ水中の塩分量,ひびわれ幅お よびスケールや さびの有無,研磨等の鉄筋の表面状態 が コンク リー ト中の鉄筋腐食速度お よび腐食機構 に 与 える影響について考察 している。 第 4章では, コンク リー ト構造物のかぶ りコンク リー トのひびわれが鉄筋腐食に与 える影響について検 討 した結果について述べている。 まず,ひびわれの鉄筋腐食機構に与 える影響について概観 したのち,ひ らに種 々のモデル供試体を用い,ひびわれ幅,練 りまぜ水中の塩分お よび鉄筋の表面状態がマ クロセル腐 食電流に与える影響について も検討を加 えている。 第 5章では, ひびわれ性状が鉄筋の腐食機構,形式に与える彪響について よ り詳細 な検討を行 った結果 -8 1 1 一 二 について述べている。 まず,鉄筋腐食上の限界ひびわれ幅の考え方について述べた上で,ひびわれ存在下 において もマ クロセル的挙動が少ない場合について考察 している。 さ らに コンク リー トの水 セメン ト比を も要 因 として とりあげ両引試験 に よ り導入 した各種大 きさの幅のひびわれを もつ モデル供試体での鉄筋腐 食試験 に よ り,限界ひびわれ幅を推定す る とともに,マ クロセル腐食電流お よび コンク リー トの電気抵抗 を測定検定す る ことに よって水 セ メン ト比が腐食速度,腐食機構 に与 える影響を明 らかに している。 第 6章では,ひびわれのない場合において,かぶ りコンク リー トの特性が鉄筋の腐食挙動に与 える影響 について研究 した結果を述べている。 まず, かぶ りコンク リー ト中-の水分お よび酸素の浸透につ き考察 し,主 として温度促進試験 に よ り水 セ メン ト比,かぶ り厚 さお よび配筋状況が腐食量に与 える影響を明 ら かにす る とともに, コンク l )- 下車-の水分お よび塩分の浸透を コンク 1 )- トのポ ロシテ- と関連 させて 実験的に検討 し, コンク リー トの低水 セ メン ト比の重要性について述べている。 第 7章では,実際 コンク リー ト構造物 における非破壊腐食推定手法 として 自然電極電位法を とりあげ, そ の有用性を検討 した結果を述べている。 まず 自然電極電位法の概要を述べ る とともに,室 内におけ る供 試体 お よび実際の コンク リ- ト橋床版,橋脚に適用 した結果について考察 し,数値解析 に よる比較検討 と あわせて,現場における自然電極電位法適用 の可能性を明 らかに した。 第 8章では,本研究に よって得 られた成果を要約 している。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 コンク リ- ト構造物 は鋼構造物に比べて きわめて耐久性に とみ, ほぼ メンテナ ンス7 1 )-で半永久的な 耐用期間を もつ もの と考え られて きたが,近年除塩 の不十分 な海砂 の使用, あるいは海塩粒子の飛来の多 い環境等においては, コンク リー ト中の鉄筋腐食に よる損傷例の報告が増加 して きている。本論文は この よ うな鉄筋 コンク リー ト構造物 の損傷防止や維持補修のため基礎的な課題 として,鉄筋腐食 に与 える各種 要 因の影響を種 々の手法を用 いて実験的に検討 し, さ らに腐食 モニタ リング手法 としての 自然電極電位法 の現場測定-の適用性について研究 した結果を まとめた もので,得 られた主な成果は次の通 りである。 1 . 塩分含有 コンク リー ト中の鉄筋の腐食促進には6 0 ℃,9 0 %R.H. 程度の高温高湿条件が極めて有効 で ある ことを確かめ,0 . 6mm 以下 のひびわれ幅では,ひびわれ部での鉄筋に若干の腐食量 の増大がみ ら れ るが,全体 としての腐食量にはほ とん ど影響を与 えない こと, また水平鉄筋の下面では初期段階に腐食 が集中す る傾 向のあることを明 らかに した。 2 . かぶ りコンク リー トに比較的大 きな幅のひびわれを有す る場合,鉄筋にマ クロセル腐食が生 じる可 能性が高い ことを示 し, マ クロセルが生成 している場合, マ クロアノ- ドとマ クロカ ソー ドとの電位差が 腐食起電力 とな り,腐食速度はカ ソー ド面積 とアノー ド面積 との比が増大す るに ともなって増加 し, ミク ロセル と比べてはるかに大 となることを確かめた。 3. 外部 よ りの 塩化物 の供給がある 腐食環境下においては 鉄筋防食上の 限界ひびわれ幅はかぶ り厚が 2 0mm の場合は, 0 ・ 1 -0 ・ 2mm の間にあ り, これ以上のひびわれ幅ではマ クロセル腐食 の生 じる可能性 がある ことを示 した。 しか しコンク リ- トの水 セ メン ト比が大 きい場合, コンク リー ト中-の塩分の浸透 がひびわれ部以外で も速 く, また電気抵抗 も小 さ くなるため,腐 食棟橋が変化す る とともに腐食速度が増 -8 1 2- 大 す る傾 向にある ことを明 らかに した。 4. かぶ りコンク リー トの晶質は鉄筋防食上非常 に重要であ り,鉄筋の配置方向な どとともに関連 して . 4よ り大 なる場合は吸水量 も増加 し,腐食 に大 水分,塩分の浸透に影響を与 え, とくに水 セ メソ ‖七が 0 きな影響を与 える ことを明 らかに した。 また防食上必要 なかぶ りについては鉄筋径 の関数 として与 える こ との望 ましい こと,酸素の コンク リー ト中-の浸透 については含水状態に よ り影響 され ることを確かめた。 5 . 鉄筋 コンク リー ト構造におけ る鉄筋腐食状況の非破壊推定手法 として, 自然電極電位 の測定が有効 で ある ことを確め る とともに,測定値 自身は コンク リー トの含水状態に よ り影響 され るが電位分布形状に ついてはほ とん ど変化 しない ことを明 らかに した。 また電位分布 よ りマ クロセル腐食速度の推定が可能で あ ることを示 した。 以上要す るに本論文 は,塩分雰囲気中にある コンク リー トにおけ る埋設鉄筋 の腐食について, コンク l ) - トのひびわれ,水 セ メソ ‖七,かぶ り厚 な どの各種要 因が鉄筋腐食機構 お よび腐食速度に与 える影響を 検討 し, さらに実構造物における腐食 モニタ リング手法 としての 自然電極電位法の有用性を明 らかに した もので,学術上実際上寄与す る ところが少な くない。 よって,本論文 は工学博士 の学位論文 として価値 ある もの と認め る。 0 年 4月1 5日,論文内容 とそれに関連 した事項 について試問を行 った結果,合格 と認めた。 また,昭和 6 -8 1 3-