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Clinical Case Study A Patient with a Previous

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Clinical Case Study A Patient with a Previous
Clinical Case Study
A Patient with a Previous Diagnosis of Hemoglobin S/C Disease with an
Unusually Severe Disease Course
Elizabeth K. O'Keeffe1, Melissa M. Rhodes2 and Alison Woodworth1,a
1
Departments of Pathology and 2 Pediatric Hematology-Oncology, Vanderbilt University Medical Center, Nashville, TN.
a
Address correspondence to this author at: Department of Pathology, Vanderbilt University Medical Center, 4918EA TVC,
1301 Medical Center Dr., Nashville, TN, 37232-5310. Fax 615-343-9563; e-mail [email protected].
臨床症例研究
以前にヘモグロビン S/C 症と診断された、非常に深刻な疾病経過を辿って
いる患者
症例
17 歳のアフリカ系アメリカ男子が、鎌状赤血球病の治療のために血液学外来に訪れた。彼は 6 歳のときに他
の病院外来で、ヘモグロビン S/C 症との診断を受けたことがあり、11 年前にその医院でそう診断された。彼
の病状の進行は深刻で、しばしば一層強い疼痛発作があり、入院やマルチプル輸血を必要とする急性胸部症候
群の 2 エピソードの段階である。
患者の身体検査は特筆すべきところはなかった(血圧;120/64mmHg、心拍数;83 回/分、体温;36.9℃)。検
査値は以下のとおりであった:白血球数, 11.8 x 109/L (基準値, 3.9–10.3x109/L); ヘモグロビン, 6.39mmol/L
(基準値, 8.68–10.8mmol/L); PCV, 0.28(基準値, 0.42–0.50); 赤血球数, 3.59 x 1012/L(基準値, 4.5–6.0 x 1012/L);
血小板数, 417 x 109/L (基準値, 135–370 x 109/L); MCV ,78fL(基準値, 83–102fL); MCH, 28.7pg(基準値, 27–31
pg); MCH 数 368g/L(基準値, 320–340 g/L); RDW, 17.3%(基準値, 11.5%–14.5%); 絶対網状赤血球数, 0.115(基
準値, 0.02–0.10)。末梢血塗抹標本はスキャッターターゲットで、鎌状細胞、稀な有核赤血球、マイルドな不
等変形赤血球症を示した。定性的な鎌状細胞溶解度試験の結果は陽性であった。深刻な病状の進行を考えて、
HPLC と等電点電気泳動法(IEF)によるヘモグロビン分析が依頼された(図 1)。
1
図 1 患者サンプルを用いたヘモグロビンの IEF と HPLC 分析
(A)IEF によるスタンダードと、患者サンプルの泳動パターン。レーン 1 は患者サンプルを示す。レーン 2
はヘモグロビン C、ヘモグロビン S、ヘモグロビン F、ヘモグロビン A を含むヘモグロビン・スタンダードを
示す。(B)Bio-Rad 社の Variant II System (β-サラセミアショートプログラム)を用いた HPLC のスタンダード
と、患者ヘモグロビン種の溶出クロマトグラフィー。矢印は溶出した各ヘモグロビン種のリテンションタイ
ムであり、縦軸はサンプル中の各種の比率である。上段はヘモグロビン H、ヘモグロビン F、ヘモグロビン A、
2
ヘモグロビン A2、ヘモグロビン S、ヘモグロビン C のスタンダードを示しており、連続して患者サンプルを
泳動した。下段は患者サンプルを示している。
考察
ヘモグロビン S(β-グロビン蛋白中の Glu6Val 置換)によって特徴づけられた SCDs ファミリーは、アフリカ系
アメリカ人の間で広く伝播している。この置換は、脱酸素化ヘモグロビンの溶解性を減少し、赤血球の鎌状化
を誘導する硬質ポリマーの形成を引き起こす。鎌状細胞は溶血反応を受け、結果として虚血性傷害を誘発する
微小血管閉塞を引き起こす。1 つのヘモグロビン S 変異の遺伝的形質である鎌状細胞形質は、臨床的には無症
状である。2 βS 対立遺伝子の遺伝的形質である鎌状細胞貧血症(S/S 症)は、深刻な疼痛発作により衰弱し、
感染症、脳血管イベント、慢性的な臓器障害にかかりやすい。S/S 症を患った患者は、末梢血塗抹標本から鎌
型と標的細胞による、重度な貧血症(ヘモグロビン, 3.7–6.2mmol/L)を患っている。SCD ファミリーはまた、
ヘモグロビン S がヘモグロビン D、ヘモグロビン E、ヘモグロビン O と共遺伝されることで、様々な重度の異
常ヘモグロビン症を有している(1)。SCD は疼痛発作とその他の臨床的な兆候を、効果的に減少するヒドロキ
シウレアで治療される。米国食品医薬品局はヒドロキシウレアの成人への使用を承認し、その有効性は青春期
の人々にも実証されている(1)。
SCD は、HPLC と電気泳動法、例えば IEF、セルロース・アセテイト、クエン酸寒天を含めて、少なくとも 2 つ
の分離方法によって、ヘモグロビン S の十分量を測定することで診断される。多くのヘモグロビンは HPLC や
IEF で共溶出、もしくは共遊走するので、複数の検出が疑わしい異常ヘモグロビン症を確診するために使われ
るのは、極めて重要なことである。あるアフリカ系アメリカ人で、血液塗抹上の鎌状・標的細胞による溶血性
貧血症の発症と、鎌状細胞溶解性テストでの陽性結果は SCD と一致している。人生の早い段階で発症した患
者の深刻な臨床経過と彼のプロファイルは、ヘモグロビン S/C 症の診断が間違えであったことを示してい。
患者経過観察
IEF による分析では、ヘモグロビン S とヘモグロビン C の位置に近い、その他ヘモグロビンの遊走性を示した。
HPLC 分析では以下のようになった:ヘモグロビン A, <1% (基準範囲,>94%); ヘモグロビン A2, 3.5% (基準範
囲, 2.0%–3.8%); ヘモグロビン F, 5.9%(基準範囲, <2.0%); ヘモグロビン S, 42.1%(基準範囲なし); その他のヘ
モグロビン, 47.5%(基準範囲なし)。その他のヘモグロビンは 4.93 分に C ウインドウに溶出した。IEF と HPLC
分析における独特なヘモグロビンプロファイルは、ヘモグロビン S/C、ヘモグロビン S/CHarlem、ヘモグロビン
S/OArab の 3 つの潜在的なヘテロ異常ヘモグロビン症を示した。患者に関する更なる検等により、以前にヘモグ
ロビン S/C 症として誤診され、最近になってヘモグロビン S/OArab と診断を受けた兄弟についての家族歴が明ら
かとなった。
両方のケースで、最初の診断として使われた方法は明らかとなっていない。ヘモグロビン C とヘモグロビン
OArab は、IEF とセルロース・アセテート膜電気泳動で共遊走し(表 1)、過去の HPLC の方法では 2 つのヘモグロ
ビン変異型を分離する能力はなかった。クエン酸寒天電気泳動法は、ヘモグロビン C とヘモグロビン OArab を
分離することができる唯一の方法であった。両兄弟のヘモグロビン S/C 症の誤診は、各々のケースで検査およ
び確診にクエン酸寒天電気泳動法が使われたならば、避けられたであろう。
3
表 1. ヘモグロビン変異型 C, CHarlem, OArab の分離プロファイル
診断
診断はヘモグロビン S/OArab 症。
ヘモグロビン s/c 症
ヘモグロビン S 形質と同様に、ヘモグロビン C(βGlu6Lys)ヘテロ接合体は、臨床症状を持たない。ホモ接合
体は鎌状化せずに、軽度の貧血症を有する。ヘモグロビン S/C 症(ヘモグロビン S とヘモグロビン C の共遺伝)
は、臨床的には重要である。S/C 症の赤血球はひどく脱水されており、軽度の小赤血球症と結晶形成を起こし
ている(2)。ヘモグロビン S は脱水した赤血球中で、濃縮、重合されており、この過程は合併症を導く。通常
S/C 症の臨床経過は、S/S 症よりあまりひどくはない。痛みの発症は人生の中で遅くに始まり、S/S 症の痛みの
頻度の半分よりも少なく、通常は 20 歳後にかなりの病状が現れる(3)。
S/C 症の患者は、軽度の貧血症と標的細胞、「舟形」細胞、S/C 変形赤血球での特徴的な末梢血塗抹を示して
いる。鎌状赤血球の溶解テストの結果は、陽性である。S/C 症はヘモグロビン S とヘモグロビン C が 1:1 で検
出されたときに診断される。ヘモグロビン S/Oarab とヘモグロビン CHarlem は、IEF と HPLC によってヘモグロビ
ン C と同じところに現れる(表 1)。ゆえに、クエン酸寒天電気泳動法が、これらの変異型を分離するために使
われるべきである(4)(5)。S/C 症患者にとっては特別な処理ではない。
ヘモグロビン s/chARLEM
ヘモグロビン CHarlem (βGlu6Val, Asp73Asn)は、β-グロビン遺伝子のまれな二重変異であり、ホモ接合体とヘテ
ロ接合体化合物(Hb S/CHarlem)の鎌状疾患を引き起こす。両疾患は臨床的には重症である(5)。
ヘモグロビン S/CHarlem 患者は、中等度の溶血性貧血を持ち、血液塗抹は標的細胞と鎌状細胞を示している(4)。
S/CHarlem 症はマルチプル分離テクニック(表 1)を用いて、ヘモグロビン S とヘモグロビン CHarlem が等量に検出
されたときに診断される(4)。重症のヘモグロビン S/CHarlem 症は、医者にヒドロキシウレアによる治療を駆り
立てさせるかもしれない。
4
ヘモグロビン s/oaRAB
ヘモグロビン OArab (βGlu121Lys)は、30,000 人に 1 人の罹患率である(4)。ヘモグロビン OArab のヘテロ接合
体は無症状であり、ホモ接合体は発熱性を持った溶解性貧血症状を示す。ヘモグロビン S とヘモグロビン OArab
の共遺伝は、溶解性貧血症、黄疸、血管閉塞性の合併症(疼痛発作と脳卒中)、肺炎、急性胸部症候群、敗血
症といった臨床的に深刻な症状を産み出す(4)(6)。鎌状と標的細胞、多染性赤血球症、たまにハウエル・ジョ
リー小体が、末梢血塗抹上に検出される。鎌状細胞溶解性テストの結果は陽性である。HPLC、IEF、クエン酸
寒天電気泳動法(表 1)のすべてにおいて、等量のヘモグロビン S とヘモグロビン OArab が検出される(4)。臨
床医は S/OArab 症での更なる深刻な症状経過を予期して、治療はとりわけ 20 歳になる前に、軽度な合併症を特
徴とする S/C 症と比べてより早く、ヒドロキシウレアの使用を段階的に上げられていくかもしれない。
ヘモグロビン s/oaRAB 症の病態生理学
ヘモグロビン S/OArab とヘモグロビン S/S は、臨床的には同じ症状である。ヘモグロビン OArab は赤血球中で、
ヘモグロビン S と共重合する。ヘモグロビン S/S のように、ヘモグロビン S/OArab は酸素親和性が低下しており、
高濃度の脱酸素化ヘモグロビン(7)(8)の、より低いゲル化点を持っている。脱酸素化後、ヘモグロビン S/OArab
は不可逆的な赤血球の鎌状化を引き起こし(6)(7)、網内系を経て溶血、もしくは取り除かれる。鎌状化した細
胞は狭い毛細血管をブロックし、細胞傷害と血管閉塞性のイベントを引き起こす(4)。
症状の解決
検査室では、ヘモグロビン S/C、ヘモグロビン S/OArab、ヘモグロビン S/CHarlem の分画に挑戦している。S/C 症の
脱水化した赤血球は、一般的には小赤血球性であるが(2)、一方 S/OArab 症の患者は、しばしば正赤血球性であ
る。私たちの患者では、小赤血球は S/OArab 症の患者数人でみられている(6)。
IEF は、ヘモグロビン C の近くを共遊走するその他のヘモグロビンと同じ比率でヘモグロビン S を検出した(図
1A)。ヘモグロビン A2、ヘモグロビン E、ヘモグロビン CHarlem、ヘモグロビン OArab のすべてが、同じ領域で遊
走する。ヘモグロビン A2 は、総ヘモグロビンのおおよそ 10%である。HPLC は、ヘモグロビン C、ヘモグロビ
ン CHarlem、ヘモグロビン E とヘモグロビン OArab を分離する。患者の HPLC プロファイル(図 1B)は、S と C のウ
インドウ中に 2 つの主要なヘモグロビンが溶出されることを示している。C ウインドウ中のヘモグロビンは、
ヘモグロビン C スタンダードが 5.19 分で溶出したのに対し、4.93 分で溶出した。Bio-Rad Laboratories Variant II
システムによるヘモグロビン異形のリテンションタイムは、ヘモグロビン OArab が 4.91 分であるのに対し、ヘ
モグロビン C は 5.18 分である(9)。ヘモグロビン E とヘモグロビン CHarlem は、それぞれ 3.69 分(9)と 4.89 分に
溶出する(表 1)。意味不明の小さなピークは、ヘモグロビン OArab 患者のクロマトグラフィー上でヘモグロビン
A2 の後に現れ(10)、ヘモグロビン CHarlem 患者を除く私たちの患者のプロファイル中に現れる。ヘモグロビン
OArab をヘモグロビン CHarlem から分離するには、ヘモグロビン OArab が A と S のキャリブレーター間を遊走し、
ヘモグロビン CHarlem がヘモグロビン S と一緒に遊走するクエン酸寒天電気泳動による分離を必要とする(表 1)。
2002 年、その患者は S/C 症と誤診された。その患者のヘモグロビン・プロファイルが Bio-Rad Variant I の IEF
と HPLC によって決定されたために、ヘモグロビン C とヘモグロビン OArab を分離することができなかった。ク
5
エン酸寒天電気泳動は、確定診断ために使われている。S/C 症と S/OArab 症の区別は、より新しい HPLC システ
ムによって、現在は可能となっている(10)。この技術の導入前に疾病を診断された患者は、クエン酸寒天電気
泳動が使われていなかったら、間違った診断を受けているかもしれない。現在の患者の β グロビン遺伝子配列
は、ヘモグロビン OArab と関連があるヌクレオチド 414(G→A)上での、ヘテロ接合体変異であることが確認
された。
再診断後、患者は疼痛発作と急性胸部症候群のような、深刻な症状の発現を減少するため、S/C と S/OArab を含
むいくつかの鎌状細胞症候群にヒドロキシウレア治療を推奨している最近の NIH 合意文書に従って、ヒドロキ
シウレア(1000mg/日)の投与が始まった(1)。経過観察で、その患者は健康になっていた。彼の貧血症はわ
ずか改善していた(ヘモグロビン 7.1mmol/L;PCV 0.31;MCV 84fL)。
私たちは 20 歳前に異常な程の深刻な S/C 症を有している患者に関しては、ヘモグロビン S/OArab の存在の有無
をされることを推奨する。これら 2 つの症状は新しい世代の HPLC と IEF、もしくはクエン酸寒天電気泳動のい
ずれかが使用されることによって、検査室内で区別することが可能となる。β グロビン遺伝子の配列は、その
診断を裏付けた。このケースにおいて、本質的ではないけれど、正確な診断は治療方針の変更を促した。
S/OArab 症のより早い段階での診断は、臨床医により積極的なその症状を治療する気にさせるかもしれないし、
その結果として、患者の罹病率を大幅に減少させるかもしれない。
覚えておくべきポイント
・疼痛発作、感染症、溶血性貧血のようなヘモグロビン S/OArab 症の症状は、深刻で、人生の早い段階で始ま
る。ヘモグロビン S/C 症の合併症は、数の上ではかなり少なく、遅れて発病する。
・ヘモグロビン S/C 症と診断され、人生の早い段階での著しく深刻な症状の経過をたどった患者は、ヘモグロ
ビン S/OArab もしくはヘモグロビン S/CHarlem の診断をすべきである。
・ヘモグロビン S/OArab は、IEF もしくはクエン酸寒天電気泳動と併用した新世代の HPLC プロファイリングに
よって、その他の異常ヘモグロビンと区別することができる。
・β グロビンシークエンシングは、疑わしいヘモグロビン S/OArab 症の診断を確診することができる。
・S/C 症は通常軽度で、20 歳になる前に侵襲的な治療を一般的には必要としないのに対し、S/OArab 症は深刻な
鎌状化疾患であり、患者はしばしば S/S 症と同じ治療を受ける。
謝辞
Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have
met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or
analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the
published article.
Authors’ Disclosures of Potential Conflicts of Interest: No authors declared any potential conflicts of interest.
6
Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and
interpretation of data, or preparation or approval of manuscript.
脚注
1
Nonstandard abbreviations: SCD, sickle cell disease; Hb, hemoglobin; RI, reference interval; IEF, isoelectric focusing.
参考文献
1.
Brawley OW, Cornelius LJ, Edwards LR, Gamble VN, Green BL, Inturrisi CE, et al. NIH consensus development
statement on hydroxyurea treatment for sickle cell disease. NIH Consens State Sci Statements 2008;25:1-30.
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Ballas SK, Larner J, Smith ED, Surrey S, Schwartz E, Rappaport EF. The xerocytosis of Hb SC disease. Blood
1987;69:124-130.
3.
Nagel RL, Fabry ME, Steinberg MH. The paradox of hemoglobin SC disease. Blood Rev 2003;17:167-178.
4.
Hoyer JD Kroft SH eds. Color atlas of hemoglobin disorders: a compendium based on proficiency testing 2003
College of American Pathologists Northfield (IL). .
5.
Moo-Penn W, Bechtel K, Jue D, Chan MS, Hopkins G, Schneider NJ, et al. The presence of hemoglobin S and C
Harlem in an individual in the United States. Blood 1975;46:363-367.
6.
Zimmerman SA, O'Branski EE, Rosse WF, Ware RE. Hemoglobin S/OArab: thirteen new cases and review of the
literature. Am J Hematol 1999;60:279-284.
7.
Milner PF, Miller C, Grey R, Seakins M, DeJong WW, Went LN. Hemoglobin O arab in four negro families and its
interaction with hemoglobin S and hemoglobin C. N Engl J Med 1970;283:1417-1425.
8.
McCurdy PR, Mahmood L, Sherman AS. Red cell life span in sickle cell-hemoglobin C disease with a note about
sickle cell-hemoglobin O ARAB. Blood 1975;45:273-279.
9.
Joutovsky A, Hadzi-Nesic J, Nardi MA. HPLC retention time as a diagnostic tool for hemoglobin variants and
hemoglobinopathies: a study of 60 000 samples in a clinical diagnostic laboratory. Clin Chem 2004;50:1736-1747.
10.
Joutovsky A, Nardi M. Hemoglobin C and hemoglobin O-Arab variants can be diagnosed using the Bio-Rad
Variant II high-performance liquid chromatography system without further confirmatory tests. Arch Path Lab Med
2004;128:435-439.
論説
Carlo Brugnara
7
Department of Laboratory Medicine, Children’s Hospital Boston, Boston, MA.
Address correspondence to the author at: Department of Laboratory Medicine, Children’s Hospital Boston, 300
Longwood Ave. 760, Boston, MA 02115. Fax 617-730-0383; e-mail [email protected].
鎌状細胞症の臨床的な兆候となる因子の解明は、依然として進行中である。その疾患患者は、極めて深刻な症
状を経験し、人生の早い段階で主要な臓器特異的合併症を発症する。一方、人生のより遅くにそれらの診断を
受け、ほとんどが通常の平均余命をもつ、臨床的には無症状の患者がいるといった、非常に幅のある疾患であ
ることが知られている。
疫学と臨床データは、ヘモグロビン F 濃度の上昇が、症状の重症度の減少と関係していることが示している。
また白血球数は、鎌状細胞症と一般人の両方で死亡率と罹患率の重要な予測因子である。すなわち短い平均余
命は、より高い数値と関連性がある。
Clinical Chemistry の今月号で扱われた症例は、最も頻繁にみられるヘモグロビン S/C ダブルへテロ接合体と比
し、その症状の臨床的な深刻度において、ヘモグロビン S とヘモグロビン OArab のダブルへテロ接合性の著し
い影響を示している。ヘモグロビン OArab のより悪い影響は、ヘモグロビン S のさらなる重合化と正に荷電し
たヘモグロビン OArab 変異の存在による、赤血球の付随脱水化に起因すると考えられている。この症例はまた、
検査室がこの疾患の診断よび治療において、重要な役割を果たすことを浮き彫りにしている。この患者を治療
しているチームの鋭い臨床的および診断的洞察があってこそ、ヘモグロビン S/C 症の初期の診断が問題とされ、
妥当な検査法が最終的に適切な診断に結びつくよう計画される。最近かなり多くの進展が、鎌状細胞症の患者
での脳卒中(1)、もしくは死(2)の危険性のモデル化に認められたが、一方、この症例が一部の患者での予期せ
ぬ合併症を取り扱ったことで、臨床的推論と適切なラボ検査の重要な役目が浮き彫りにされた。
謝辞
Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have
met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or
analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the
published article.
Authors’ Disclosures of Potential Conflicts of Interest: No authors declared any potential conflicts of interest.
Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and
interpretation of data, or preparation or approval of manuscript.
参考文献
1.
Sebastiani P, Ramoni MF, Nolan V, Baldwin CT, Steinberg MH. Genetic dissection and prognostic modeling of
overt stroke in sickle cell anemia. Nat Genet 2005;37:435-440.
8
2.
Sebastiani P, Nolan VG, Baldwin CT, Abad-Grau MM, Wang L, Adewoye AH, et al. A network model to predict the
risk of death in sickle cell disease. Blood 2007;110:2727-2735.
論説
James Hoyer
Mayo Clinic, Rochester, MN.
Address correspondence to the author at: Mayo Clinic, 200 1st St. SW, Rochester, MN 55905. Fax 507-284-5115; e-mail
[email protected].
この症例はヘモグロビン疾患の臨床検査について、2 つの重要なポイントを明らかにしている。第一はヘモグ
ロビンの分離に使用されるほとんどの方法が1つで、独立した方法では不十分であること。この診断基準の唯
一の例外は、DNA シークエンシングとマススペクトルであるが、これらの方法は高価なために多くの臨床検
査室では使用されていない。ヘモグロビン変異、特に S と A2 の位置が、2 番目の方法によって確かめられるこ
とは、米国病理学会の血液学チェックリストの長年の改正の柱であった。この症例によって明らかにされたよ
うに、クエン酸電気泳動によってヘモグロビン A2 の変異が、ヘモグロビン C ではないことをはっきりと証明
することができたであろう。クエン酸電気泳動は容易に A2 の位置の転位による 3 つの主要な変異、すなわち、
ヘモグロビン C、ヘモグロビン E、ヘモグロビン OArab を分離することができる。しかしながら、その他の方法
をコンビネーションすることでも、同様の結果を得ることができる。
(訳者:小治
健太郎)
謝辞
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9
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