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ニュースレター 2014年7月30日発行

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ニュースレター 2014年7月30日発行
ERM Japan Newsletter
2014 年 7 月 30 日 発行
Headline
中国におけるボイラー排気基準強化
中国における土壌汚染調査結果及び法規制強化
中国における土壌汚染調査結果及び法規制強化
中国では日本の土壌汚染対策法に相当するような土壌の法律は制
米国の新規制案:火力発電の CO2 排出、2030 年までに 3 割削減
アパレル業界における有害物質管理について
アフリカでの新事務所のオープン
(ケニア、モザンビーク事務所)
定されてませんが、経済発展と共に土壌汚染による公害が発生して
おり、工業用地のみならず農業用地についても土壌汚染問題が顕在
化してきています。中国政府は 2015 年に「汚染場地土壌環境管理暫
時弁法(日本の土壌汚染対策法に相当)」を施行するための準備と
して中国全土の土壌汚染状況を把握するための調査を実施してきま
中国におけるボイラー排気基準強化
中国の環境保護省がボイラーに関する排気標準を改訂し、新しい
した。調査は、2005 年から 2013 年までの約 8 年間、工業用地のみ
規制「锅炉大气污染物排放标准(GB 13271 -2014)」が 2014 年 5 月 16
ならず農業用地の全域及び森林や牧草地の一部も対象とし一定の手
日に導入されました。現行のボイラー規制「锅炉大气污染物排放标
法及び基準(手法及び基準値は未公表)に基づき調査が行われまし
准(GB 13271-2001)」は 2016 年 7 月 1 日に撤廃されます。新しい規制
た。調査結果は汚染の程度により「汚染なし」、「軽微」、「軽
の主な変更点には以下が含まれます。
度」、「中度」、「重度」の 5 段階に分類され、2014 年 4 月に公表
1. 石炭ボイラーの排出基準値として NOx、水銀などが項目とし
て追加されます。
されました。
2. 特定地域における特定排出基準が設定されます。
3. これまであった、機能地域毎やボイラー容量毎に設定されて
いた異なる排出基準が廃止になります。(今後は地域、容量
に関係なく一律での規制)
公表された主な調査結果は以下のとおりです。
1.
れました。内訳は、軽微 11.2%、軽度 2.3%、中度 1.5%、重度
1.1%となっていました。
4. 基準値の上乗せ。例として新規ガスボイラーであれば粉塵は
50mg/m3 か ら 20mg/m3 へ 、 NOx は 400mg/m3 か ら
200mg/m3 へ、SO2 は 100mg/m3 から 50mg/m3 へと変更され
ます。
2.
なお、蒸気 10t/hr 以上か、温水 7Mw 以上の容量のボイラーに関し
3.
ては
2016 年 7 月 1 日から適
農業用地の約 20%(約 23 万 km2)で土壌汚染が確認されまし
た。なお、この面積は、日本の全耕作面積の約 5 倍に相当し
ます。
土壌汚染が確認された土地の約 83%がカドミウム、砒素、ニ
ッケル、銅、水銀、鉛、亜鉛等の重金属による汚染でした。
2015 年 10 月 1 日からこの規制が適用になります。また、こ
れよりも容量の小さいボイラーに関しては
調査対象区域の約 16%で基準値を超過する土壌汚染が確認さ
4.
東北旧工業地帯、及び長江デルタや珠江デルタに存在する大
5.
汚染地及び汚染土壌、また鉱業やその他の産業から発生する
規模な工業地域での汚染が深刻化していました。
用になります。
廃棄物が適切に管理されておらず、それらによる 2 次汚染が
日本企業への影響
工場管理では日常的にボイラーの保守点検を実施し、定期的に排
汚染要因の一つとなっていました。
気のモニタリングを実施していると思いますが、基準値強化に伴い、
中国に工場を有するお客様の中には法的要求事項遵守のための追加
日本企業への影響
的設備投資が必要になる可能性があります。まずは中国国内の各工
この調査により中国全土で土壌汚染が深刻化、また楽観視できな
場にて、各省の地元の環境保護局にコンタクトをとり、本規制と各
い事柄であると中国政府は認識することになりました。中国では、
種基準値を再確認した上で今後の対策の必要性可否を検討し、2015
その他の環境問題も顕在化しており、環境意識の向上も副因して、
年もしくは 2016 年までの対策を講じることが必要となります。
2015 年に施行予定の汚染場地土壌環境管理暫時弁法では、土壌汚染
茂呂
正樹
対策規制が大幅に強化される可能性があります。
法施行後は日本企業が中国国内で工場を建設、買収、操業する際
には、適切な土壌・地下水調査の実施、及び調査結果に基づく土壌
汚染対策を要求されることが想定されます。ERM は、中国事務所を
通じ、現地からの正確且つ詳細な最新情報の入手、現地行政機関と
の対応、土壌・地下水調査及び土壌汚染対策の計画・実施を含めた
サポートを日本企業に提供することが可能です。
薛
イー・アール・エム日本株式会社 〒220‐8119 横浜市西区みなとみらい 2‐2‐1 横浜ランドマークタワー 19 階 Tel: 045‐640‐3780 Fax: 045‐640‐3781 e‐mail: [email protected]
URL: www.erm.co.jp
文超
アパレル業界における有害物質管理について
米国の新規制案:火力発電の CO2 排出量、2030 年までに 3 割削減
2014 年 6 月 2 日、米環境保護局(EPA)は、既存の火力発電所か
近年衣料品等に関する化学物質の使用状況について社会的な関心
ら排出される温室効果ガスを 2030 年までに 2005 年比で 30%削減す
が高まっており、欧州 REACH 規則に違反したために製品回収に至
ることを目標とした規制案 Clean Power Plan を発表しました。発電
った事例のほか、NGO による活動、企業や業界団体等による自主
所から発生する大気汚染微粒子等に対する規制は既に行なわれてい
的な対応事例などが見られます。
ましたが、国内排出量の約 40%を占める発電所からの CO2 に対する
2009 年 に ス ウ ェ ー デ ン の NGO が 靴 を 試 験 し た 結 果 、 欧 州
REACH 規 則 の SVHC ( 高 懸 念 物 質 : Subsatnce of very high
規制案は今回が初めてとなります。
Clean Power Plan はオバマ大統領が昨年の夏に発表した Climate
concern)が含有していることが明らかになった事例では、REACH
Action Plan に基づきます。本規制案は、既に経済や人々の健康に悪
規則第 33 条に定められた使用者への伝達義務(成形品が SVHC を
影響をもたらしている気候変動に対し、温室効果ガスの削減に限ら
含有している場合は製造供給者はこれを含有していること及び最低
ず、安定したエネルギーシステムの維持、ならびに環境と現代及び
限名称を含む、安全に使うための情報を伝える義務がある)違反で
次世代の人々の健康の保護に貢献すると EPA は発表しています。
あるとして製品が市場から回収される事態に至っています。
具体的な削減方法に関し本規制案は、各州政府に対し一定の柔軟性
国際的な環境 NGO は、2011 年 7 月より「デトックス・キャンペ
を与えており、州ごとの権限を認めています。EPA は、国内で既に
ーン」を実施しており、この中で水域への汚染を防止するために有
実施中の CO2 削減に貢献する以下のプログラムの活用が削減目標の
害化学物質の使用の停止をアパレル企業を対象に求めています。こ
達成につながると期待しています。
れに対し、複数の企業が 2020 年までに有害化学物質の排出をゼロと
1. 電力需要に対する省エネプログラム(47 の州にて実施)
する宣言を実施しています。
2. 再 生可能エ ネル ギーの利 用割 合基準( Renewable Portfolio
Standard 制度)や目標(38 の州にて策定済)
3. 省エネ基準や目標(27 の州にて策定済)
4. マーケットベースの温室効果ガス排出削減プログラム(10 の
州にて実施)
ま た 、 複 数 の ア パ レ ル 事 業 者 が 立 ち 上 げ た ZDHC ( Zero
Discharge of Hazardous Chemicals)が 2020 年までの有害物質のゼ
ロ排出に向けたロードマップを設定している他、アメリカのアパレ
ル 業 界 団 体 で あ る AAFA ( American Apparel & Footwear
EPA は今後 120 日間、この Clean Power Plan に対するパブリック
Association)は 2007 年より規制化学物質リストを作成し、これを
コメントを受け付けており、これらをもとに、2015 年 6 月までに最
定期的に更新しています。日本においても 2009 年に日本繊維産業連
終規制をまとめる予定です。各州は 2016 年 6 月までに第 1 段の排出
盟が自主基準を作成しており、経済産業省がその周知に協力してい
削減計画を完成させ、提出することになっています。
ます。
今回の規制案を気候変動対策の柱と位置づけるオバマ大統領は、
2020 年までに国内の温室効果ガスを 2005 年比で約 17%削減する目
日本企業への影響
標を 2009 年に表明しました。同国の CO2 排出量は 2013 年までに
サプライチェーンのグローバル化に伴い、他国/地域におけるア
2005 年比で既に約 10%減少しています。これらを踏まえ、今後開催
パレル製品への化学物質規制や自主対応等が実施された場合でも日
される国連の温暖化対策の枠組み交渉などで、米国が主導権を握る
本における化学/流通業界の川中、川上企業に含有化学物質の確認
可能性が考えられます。
問い合わせ等が行われる可能性があります。これに迅速且つ的確に
対応するためには自社内での化学物質管理体制(使用化学物質リス
ト等の明確化等)を実施することが必要になります。特に川中企業
日本企業への影響
2013 年 9 月、EPA は新設の石炭火力発電所の CO2 排出量の上限
を従来に比べ約 4 割下回る水準に設定する規制案を発表しました。
にとってはサプライヤーからの情報確認には時間を要しますので、
計画的に体制構築を進めることが推奨されます。
竹田
今回発表された Clean Power Plan は既存のプラントに焦点を当てて
英悟
います。本規制案の発足により、同国内の石炭火力発電所の高度化、
省エネ化を求める流れがさらに強くなることが予測されます。これ
らの流れを受け、日本を含め、プラント輸出の拡大を目指す国々が
影響を受ける可能性が伺えます。
有吉
奏
アフリカでの新事務所のオープン(ケニア、モザンビーク事務所)
ERM ではアフリカでの業務拡大に伴い、従来の南アフリカ事務所
に加え、ケニアとモザンビークの 2 カ国に新事務所をオープンいた
しました。ERM 日本でも近年、ケニア、タンザニア、ガーナ、モロ
ッコ等においてインフラ整備や石油開発に伴う環境(野生生物、保
護区等)、社会面(先住民族、住民移転等)の業務を実施しており、
案件数やプロジェクトの種類も増加しつつあります。アフリカ各国
に関してもお気軽にお問い合わせください。
URL: www.erm.co.jp
Newsletter 全般に関するお問い合わせ
[email protected]
次回の Newsletter は、2014 年 10 月 20 日頃発行予定
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