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大豆栽培における 新しい中耕・培土用作業機について
大豆栽培における 新しい中耕・培土用作業機について 1 梅雨下での中耕・培土作業 大豆栽培における中耕・培土作業は、雑草害、湿害、倒伏を軽減するとともに、根系の発達を促して 生育を促進させる効果があり、欠かせない管理作業の一つです。適期に2回実施することで相応の効果 を期待できますが、作業時期が梅雨期間に当たり、土壌水分が高いため、実施の遅れや作業精度の低下 により、十分な効果を得られなかったり、かえって大豆を痛めてしまう場合も少なくありません。 そこで、今回こうした問題の軽減に向けて、生産現場で注目されている新しい中耕・培土用作業機を ご紹介します。 2 高精度畑用中耕除草機 (独)農業・食品産業技術総合研究機構・生物系特定産業技術研究支援センターと農機メーカーが開発 し、新農業機械実用化促進㈱が平成 20 年に商品化した“高精度畑用中耕除草機(図1)”は、前後の2 箇所に配置した1対のディスクにより、畦間の土を反転移動させ中耕・培土を行なう仕組みになってい ます(図2)。このため、既存のロータリ式作業機と比較して、土壌水分が高くても高速・高精度な中耕・ 培土作業が可能です。土壌が乾いている状態では、ロータリ式作業機と比較して作業精度は同等ですが、 作業能率が高く、牽引式のため駆動が不要で燃料消費量も少ないことがメリットです。現在、トラクタ 用、乗用管理機用の2タイプが市販されています。 図1 高精度畑用中耕除草機(右:トラクター用、左:乗用管理機用) ◆高精度畑用中耕除草機の主な特徴(既存のロータリ式作業機との比較)◆ ① 高水分土壌でも土の練り付けが少ない ・土壌が湿った状態で土の練り付けや圧縮が少なく、砕土性能が良好 10 ② 高速作業が可能で能率が高い ・作業速度は4〜6km/h で、1.8 〜 2.2 倍 ・作業能率は 0.7 〜 1.0ha/h で、1.5 〜 2.0 倍 ③ 土壌の反転作用が強く雑草防除性能が高い ・土 壌が湿った状態で作業した場合、再生した条間 の雑草(乾物重)は半分程度、株間の雑草(乾物重) は6割程度 ④ 燃料消費量が少ない ・実用作業速度での燃料消費量は半分程度 図2 ディスク配列の様子 3 生育期処理除草剤散布との同時作業による効率的な雑草防除 近年登録された生育期土壌処理除草剤は、処理後の一定期間、新たな雑草の発生を抑制し、剤によっ ては生育の小さな雑草を枯殺します。使用方法は畦間処理あるいは畦間・株間処理で、各種散布装置が 市販されています。高精度畑用中耕除草機と散布装置は組合せることが可能で、生育期土壌処理除草剤 散布と中耕・培土の同時作業による効率的な雑草防除が期待できます(図3)。 図3 高精度畑用中耕除草機と除草剤散布装置による中耕・培土と生育期土壌処理除草剤散布の同時作業 4 高精度畑用中耕除草機の使用に際しての留意点 ⑴ 雑草が大きくなると除草の精度が低下するので、雑草が小さいうちに早めの作業を心掛けてくださ い。 ⑵ 培土高は後列ディスクの取り付け角度と作業速度で調節します。 ⑶ 牽引する作業機が走行可能な状態であれば作業は概ね可能ですが、粘質な土壌で過湿な条件では、 砕土が不良で作業精度が低下しやすいので注意してください。 ⑷ 機械について詳しく知りたい方は、新農業機械実用化促進㈱の HP に掲載されているパンフレット をご覧ください。 URL http://www.shinnouki.co.jp/index.html 【経営普及課専門技術指導担当 岩津 雅和】 11