...

水田深耕整地に関する一・二の実験

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

水田深耕整地に関する一・二の実験
.147
水田深耕整地に関する一・二の実験
古賀茂男・古賀弥六・池田一敏
は じ め に
水田深耕は、一般に水田中央部が高くなる。この中高を代かきのとき均平にできるか、また、
代かき作業が、『 gラクターで行えるかなどの技術的問題について実験検討を行った。
1 実験の方法
↑ 実験期日
1) 深耕テスト、昭和51年5.月14日 晴 土壌含水比 28.4%
2) 代かきテスト
④ 荒代かき、昭和51年5月19日 雨
◎植え代かき 昭和51年5月2て日 曇
2 供試トラクター
1) 深耕テスト
④ ファーガソン壷E55×型×1連プラウ(16”)
㊥プアーガソンM川55型×健プラr(16”)
2) 代かきテスト
④ 荒かきテスト
oファーガソンMF135型×コバシRBSロータリー作業機(耕巾工8〃z)
oクボタL55型XクボタF550型ロータリー作業機(耕巾1.8彿)
@植え代かきテスト
oファガソンMF155型×コバシ:RBSロータリー作業機X大型角材けん引、長さ
2皿
o共立ドイツD5006型×均平機(有効巾21n)
5 供 試 田
農:場表区 Nα 2. 52. 4a、埴壌土田
深耕テスト14日前(5.月1日)にロータリー耕を行い、その後堆肥を10a当り4トン
散布
皿 実験の結果
古賀茂男・古賀弥六・池田一敏
148
1.深耕テストの成績
第1表 深耕テスト成績
耕灘④
深耕面積・)
耕巾㊥
作業時』
ヤ ︵時 分︶
トラクターの機種
10a当り作業
時間 ㈲
ファーガソン155
52.4
25.5
、2t4
1. 48
50.5
〃 55
55.5
18.2
11.0
1. 04
58.2
54.0
20.4
一
1. 26
54.4
平 均
@ {
深耕作業は、水田中央から2分し、2台のトラクターそ同時作業を行った。
耕起方法は2つに分けた田の中央から、それぞれ内返し耕法で深耕した。したがって内返し中
心部が高くなり、左右両側が低くなった。これは水田深耕の一般的な形である。
耕土の反転投てきは良く、地表下25cπ位の土層は、暗黒色で軟かくプラウに付着しにくい土
壌であった。水田中央部一帯には、直径5∼6cπの礫がかなり露出した。
耕深は、平均54c征で、深い耕深となった。10aの深耕所要時間は、54.4分になった。
2.代かき整地テスト成績
第2表 代かき供試トラクターの関係仕様
トラクター
代かき
重 量
装着作業機名
フ 機 種 諱@別
ク ボ タ
o 55
荒 掻
植え代
コバシRBSロー
ファーガソン
@155
〃
荒 掻
^リー耕巾1.βm
後 輪
ステップの
M
シ 径
セ) n上高㊥
ハ 置
115
φ5
〃
68
42
55
〃
120
47
1.95
35
〃
120
47
2.05
42
歪50
60
1.25
46
本体上
11
α40
24
48
1.85
48
52
コバシRBSロータリー
〃 5
¥長さ2mの角初けん引
均平機 巾2m
p
本体腹
煤@下
︸ξ
植え代
ド イ ツ
c 5006
k巾 0.6m
マフラ
55
^リー耕巾1.8m
クボタロータリー
ゾ ボ タ
a 7000
クボタF550ロー
最 低
{機十 n上高
?ニ機
it)
出力
水田深耕整地に関する一、二の実験
第5表
荒代かき整地テスト成績
クボタ
k55
荒掻前後のzk深
フ流れ
フ移動
ハの多
直 前
直 後
シ側×
@中央
シ側×
@中央
ゥら持土り
蝟?v
フ良否
二④ bウ×回数
ュ
か
ハ 積
i・)
たて
58
11×5
たて
62
28×7
10a当
りの所
時間
(時・
@(c彿)
分)
やや良
少
55×0
26》〈0
324
ファーガ
¥ン135
荒かき
き間分
フ機種
前輪が土面
撹拝土
トラクタ 荒かき 後輪最
撹拝土
荒時時
代かき作業中
禔@・
149
やや不良 やや少 56×0
@ 3 {
2−47
1−43
28×0
@ 彊
1) 荒代かき整地の結果
深耕した水田中央部の耕土頂部が、水に没するまで灌水したときの田の両端(あぜ側)水深は
56c彿となり、これだけ田の中央部付近が高いことを示した。
荒代かきは、普通車輪(ゴム)のままロータリー作業機を装着し、耕起方向、つまりたて方向
に代かきを行った結果、かなり危い作業であった。とくにファーガソントラクターは、機体が左
右前後に傾むき、中でも前輪が水面から約40cπほどたびたび持ち土り、脱出不能になったりして、
荒代かき作業がしばしばできない状態となった。
しかしクボタトラクターL55型は、機体の最低地上高(46c皿)が高く、ロータリーによる
耕うん抵抗が小さく、撹拝土壌の流水がよいため、駆動車輪の埋没深さは浅く、このため荒代か
き作業中、前輪が浮き上ることが少なく、作業が比較的容易であった。またクボタF550型ロ
ータリー作業機は、コバシR:BS型ロータリー作業機より、砕土効果が高く、±の移動量と移動
距離が大きく、整地効果が認められた。
しかし全般的に回暦土壌であるため、土の移動は少なく作業が困難であった。
したがって荒代かき後水田中央部が両端(あぜ側)より26c皿も高い結果となり、帯状に反転
耕起された歴土を砕土したにすぎなかった。
荒代かき所要時間は、10a延べ1時間45分を要し、普通代かき作業時間(20分/10a)
より5倍以上の時間を要した。
2) 植え代かき整地の結果
第4表 植え代かき整地テスト成績
古賀茂男・古賀弥六・池田一敏
150
植え代かき作業中1
トラクタ ・植え代
翻難(cの 高さ×回 数(c彿)
a7000
ファーガ
¥ン155
植え代
ゥ き
ゥ き
10a当 植え代
閧フ所
ゥき後の均平
ハ 積 栫C間 v時間 x両側
ia)
i時一分 i時一分 中央
icの
51 17× 5
大
〃
56
両車輪完全埋没し作業不能
ク 2
56
22× 5
たて
良 }
52.4
1−30
人間の
ォの埋
v深さ
フ重55Kg
icの
0−27
`53
クボタ
ュ
ト
T006
禔@向
植え代
良
ドイヅD
撹拝土
フ流れ フ移動
フ良否 ハの多
ゥ き
uの機禾
撹拝土
53
8×0
52.4
4−30
1−49
@ 晶
クボタB7000型トラクター(四輪駆動)は、機体腹部まで埋没したので、代かき作業ができ
なかった。
ドイツトラクターで、水田中央部の高い部分を、均平機(グレーダー)で均し作業を行ったが、
機体の動揺が甚しく、とくに左右の傾きが大きく、またマフラが腹部下にあるため、運行操作に:高
度の技術を要す場合が多くあった。
ファーガソンMF155型トラクターにコバシRBSロータリーを装着し、ロー・タリー後方に角
材をけん引しながら植え代かき作業を行ったが、荒代かき作業に比べ土壌が泥土化しているため、
撹七三の流れが比較的良好であったが、けん引している角材の作用による土壌の移動量と移動距離
は、泥土化のため小さく、このため土面の高低差を少くするには、同じ場所を数回にわたって代か
きを行った。 したがって代かき回数は増加するので、山面はますます泥土化し、稲作上悪い結
果を招ぐ恐れとなった。
植え代かき作業中、トラクターの前輪が浮き上る高さと、後輪の埋没深さは、荒代かき作業にく
らべて小さくなったが、機体全体が埋没走行状態のため、油圧機能が十分作用しなくなったり、ス
テップ上に泥土水が揚り、機体の動揺が大きいことから、連続作業は困難で、また危険性が大きく
なり、作業中に{∼2度は休憩の必要があった。
植え代かき作業弓懸は、10a当り2時間6分を要し、これは従来の代かき作業時聞の6倍以上
を要したことになった。また一筆52aの水田のため、均平作業が非常に困難で、水田の両あぜ側
が中央部付近より8c糀も低くなった。とくに土壌は粘質が強く、重いため一筆の面積が広くなるほ
ど、整地は困難iになった。
植え代かき後、人間の足が埋没した深さは、最大が55cπで、最小は55cηとなり、歩行困難と
なった。
水田深耕整地に関する一、二の実験
151
皿 む す び
水田深耕はプラウ耕が原則であるが、水田土壌の移動距離と移動量が大きく、このため水田は
大きな高低差ができ、深耕後の均平作業に多くの労力とむつかしい作業技術が必要となってくる。
水田深耕は地力効果があがれば行うべきである。しかし、機械田植が不能となったり、田の高
低差によって低い部分に移植した稚苗は水没しやすく、また足の埋没深さが普通水田の5倍以上
に達するので、水稲管理作業などが翌年まで困難になる。
した炉って、水田深耕は、深耕効果とその後の農作業および水田均平問題などを解決して行う
ことが重要である。
( 1 9 7 Z 4. 6 )
Fly UP