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PDF/ 257KB - 三菱電線工業株式会社
シンガポール 400kV 半合成紙絶縁 OF ケーブルプロジェクトの完成
シンガポール 400kV 半合成紙絶縁
OF ケーブルプロジェクトの完成
Completion of the 400kV Polypropylene Laminated Paper Insulated Oil-filled
Cable Project in Singapore
山 下 行 雄
*1
*2
泥 裕二郎
Y. Yamashita
藤 井 盛
Y. Doro
M. Fujii
*4
*3
永 井 正 章
小 巻 美 夫
M. Nagai
Y. Komaki
*2
*3
昼 田 幸 次
K. Hiruta
*2
飯 塚 久 夫
H. Iizuka
要 約
1 9 9 9 年 6 月,当社は,シンガポール国内の電力需要の増大に伴う安定した電力供給を目的として計画された
400kV 第 3 期プロジェクト(トゥアス発電所∼アヤラジャ変電所間の約 24 km線路,2 回線)の東側約 11km,2
回線をシンガポールの電力会社であるパワーグリッド社(PowerGrid Ltd.)から受注した。このプロジェクトは電
力用 400kV OF ケーブル 2 回線(6 相)のほかに,通信用の光ファイバケーブル(24 芯× 6 条,36 芯× 2 条)
,電
力ケーブルの油圧監視用アラームケーブル(20 芯× 2 条)を含んでいる。さらに,電力用 400kV OF ケーブルの表
面温度を連続監視するためにDTSシステム(分散型温度監視システム)を採用し,電力用OFケーブル表面に光ファ
イバケーブルを密着布設している。
400kV OF ケーブルとそのジョイント,端末については,製品製造に先立ち IEC 規格と NGTS 規格(イギリス電力
規格)に従ったタイプテストを客先であるパワーグリッド社とコンサルタントの立会の下で行い,問題なく合格した。
契約物品の設計,製造,出荷そして現地工事に至るまで,ISO9000に従った品質管理の下でプロジェクトを進め,
契約から完工まで 26ヶ月と短期間であったが,契約工期前の 2001 年 8 月に無事完工し,送電を開始した。
キーワード: 半合成紙,NGTS規格,400kV OF,ショックウオッチ,残存ガス量測定,微分子量測定
Summary
In June 1999, MITSUBISHI CABLE INDUSTRIES, LTD. was awarded a full turnkey contract by PowerGrid Ltd., Singapore for the supply
and installation of a 400kV polypropylene laminated paper insulated oil-filled power cable system between Tuas power station and Ayer Rajah
substation, of which was materialized with the aim of stable power supply against the increasing electricity demand in Singapore.
The cable system composed of 24km of double circuits (6 cables) with communication optical fiber cables (24 cores×6 cables, 36 cores
× 2 cables) including alarm cables (20 cores × 2 cables) for monitoring of the oil pressure of the power cable system.
In addition to these power and data transmission systems, Distributed Temperature Sensing System (DTS) was applied on the surface of
the power cable to monitore temperature profiles during operation.
Prior to the manufacturing, the 400kV polypropylene laminated paper insulated oil-filled power cable and the relevant cable accessories
were type tested in the presence of the client and their consultant at our Kumagaya factory in accordance with IEC standards and NGTS
standards (Power Company Standards in UK) and passed satisfactorily.
Throughout the contractual period, all activities relating to the contract were severely controlled by ISO 9000 quality control system, such
as design, delivery and transportation, local civil and electrical works, not to speak of the manufacturing of materials.
Thanks to these well controlled quality system and full-fledged technical ability and through the good offices of the personnel concerned,
the project was completed and energized in August 2001 within the contractual period, only after 26 months from the award of the contract.
Key words:Polypropylene laminated paper, NGTS standards, 400kV Oil-filled cable, Shock watch, Residual gas
test, Particle count test
*1 DAINICHI-NIPPON CABLE(SINGAPORE)
*3 尼崎製作所
*2 旧電力・電線事業本部 プロジェクト部
*4 技術本部 総合研究所
− 61 −
2002年7月
三 菱 電 線 工 業 時 報
第99号
1.まえがき
ケーブルルートは下記のようなトゥアス発電所側の
Section A からアヤラジャ変電所側の Section E の 5 つの
シンガポール国のパワーグリッド社(PowerGrid Ltd.)
Section で構成されており,当社は Section E を受注した。
は,近年のシンガポール国内における電力需要の増大に対
Section A : 陸上部
約 700m
1スパン
応すべく,1995 年からトゥアス発電所の建設,トゥアス発
Section B : 海底トンネル部 約 2,200m
1スパン
電所−アヤラジャ変電所−ラブラドール変電所間を 400kV
Section C : 陸上トンネル部 約 900m
1スパン
1,000MVA の地中送電線路で接続する電力プロジェクトを
Section D : 陸上部
約 9,600m
計 17 スパン
進めている。
Section E : 陸上部
約 10,800m
計 20 スパン
当社はこの電力プロジェクトの一環として,トゥアス発
2.2 ケーブル線路構成物品
電所−アヤラジャ変電所間を結ぶ第 3 期 400kV 地中送電線
① 400kV 1C × 2,000mm2
プロジェクト(契約 No. NDC-25)東側工区 (Section E)
を受注し,2001 年 8 月にプロジェクトを完了したのでここ
OF ケーブル
2 回線(6 条)64.8 km
に報告する。
② 24C 光ファイバケーブル
6 条 64.8 km
③ 36C 光ファイバケーブル
2 条 21.6km
④ 20C アラームケーブル
2 条 21.6km
2.プロジェクト概要
⑤ DTS ケーブル
2.1 ケーブル布設ルート
ケーブル布設ルートの概略を Fig. 1 に示す。
(4C 光ファイバケーブル)
2 条 21.6km
⑥給油設備
1式
⑦油圧監視装置
1式
3.システム設計
3.1 システム仕様
システム仕様を Table 1 に示す。
アヤラジャ変電所
トゥアス発電所
特に要求性能において注記すべき点は,雷インパルスレ
ベルが 500kV 線路に適用される規格値と同等の 1,550kV と
ラブラドール変電所
いう高い仕様レベルとなっていることである。
Fig. 1
Cable route of 400kV cables
3.2 システム系統図
400kV ケーブル布設ルート
システム系統図の概要を Fig. 2 に示す。
X point
Section D
Section E (approx.11km × 2 circuits)
5
4
アヤラジャ変電所
1
8
3
Span 40
9
トゥアス
発電所へ
JB 39/40
JB 20/21
6
1
2
3
4
5
7
2
10
400kV 2000mm2 半合成紙絶縁OFケーブル 6
7
400kV 油止接続箱
8
400kV 絶縁型直線接続箱
9
アラームゲージパネル
内ガス型PT
10
Fig. 2
20Cアラームケーブル
アラームケーブルジョイント
400kV SF6ガス中終端箱
給油管
接地線
Schematic Diagram of the 400kV Cable System
400kV システム系統図
− 62 −
トゥアスーアヤラジャ
No.3ヘ
シンガポール 400kV 半合成紙絶縁 OF ケーブルプロジェクトの完成
Table 1
Specification of the 400kV System
400kV システム仕様
単位
仕様値
定格電圧
kV
400
最大運転電圧
kV
420
MVA
1,000
雷インパルスレベル
kV
1,550
開閉インパルスレベル
kV
1,175
kV ×秒
80 × 1
項目
送電容量
地絡容量
接地システムについて注記すべき点は,ケーブルを撚架
するクロスボンド方式が原則であるが,ルートリザーブの
問題から完全なクロスボンドがとれなかったために,アヤ
ラジャ変電所側の 1 スパンは片端接地方式とし,シースの
電気的連続性を保つため接地線をケーブルに沿わせ布設
した。
3.3 400kV 半合成紙絶縁 OF ケーブルの仕様
400kV 半合成紙絶縁 OF ケーブルの構造表を Table 2 に,
完成ケーブルとその断面図を Fig. 3 と Fig. 4 にそれぞれ示
Fig. 3
す。
Table 2
insulated oil-filled cable
Construction of the 400kV oil-filled cable
400kV 半合成紙絶縁 OF ケーブル
400kV OF ケーブルの構造表
No.
項 目
厚さ
400kV polypropylene laminated paper
外径(mm)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
(mm)
(内径)12
1
油通路
−
2
導体、銅 2,000mm2
−
57
3
セパレータ
−
−
4
導体バインダー
0.3
57
5
導体遮へい
0.4
58
6
絶縁体(半合成紙+クラフト紙) 25.0
109
7
絶縁体遮へい
0.4
110
8
絶縁体バインダー
0.3
111
9
コルゲートアルミニウムシース
3.0
133
−
−
11 中密度ポリエチレンシース
5.0
145
12 半導電層
−
145
−
36kg/m
10 防食コンパウンド
ケーブル重量
油通路
導体
セパレータ
導体バインダー
導体遮へい
絶縁体(半合成紙+クラフト紙)
絶縁体遮へい
絶縁体バインダー
コルゲートアルミニウムシース
防食コンパウンド
中密度ポリエチレンシース
半導電層
ケーブル外径:145 mm
ケーブル重量:36 kg/m
Fig. 4
Cross section of the 400kV oil-filled cable
400kV OF ケーブル断面図
400kV 半合成紙絶縁 OF ケーブルの構造上の特徴は以下
露出する全長にわたり,難燃性防災テープ巻きを施し
た。
のとおりである。
1) 銅導体
各セグメント内からの微小粉塵の油通路内への移動を
3.4 ケーブル付属品の仕様
防止するために,各セグメントをセパレーターとバイ
1) 400kV 油止接続箱
仕様図を Fig. 5 に示す。
ンダーで包み込む構造を採用した。
2) 絶縁体
特徴としては,設計基準を見直し,全体的にコンパクト
ケーブルの低損失化を図るべく,ポリプロピレンラミ
な設計とすることができた。
2) 400kV 絶縁型直線接続箱
ネート紙を採用した。
概要を Fig. 6 に示す。
3) 防食層
ケーブル布設中の外傷発生を軽減させるためにPVC(ポ
3)400kV ガス中終端箱
リ塩化ビニル)に代えて中密度ポリエチレンを採用し
概要を Fig. 7 に示す。
た。なお,変電所内の気中暗渠部に布設するケーブル表
IEC 859 に適合した設計になっている。
面には,ケーブルの難燃特性を高めるべく,ケーブルが
− 63 −
2002年7月
三 菱 電 線 工 業 時 報
第99号
5
2
1
4
8
7
9
6
φ640
3
4200
4 エポキシベルマウス
5 エポキシユニット
6 鉛工
1 導体接続管
2 補強絶縁紙
3 外部銅管
Fig. 5
7 保護ケース
8 防水コンパウンド
9 絶縁筒
400kV Stop Joint
400kV 油止接続箱
4
3
2
1
6
7
φ500
5
3100
4 絶縁フランジ
5 鉛工
1 導体接続管
2 補強絶縁紙
3 外部銅管
Fig. 6
6 防水コンパウンド
7 保護ケース
400kV Insulation Joint
400kV 絶縁型直線接続箱
3
2
4
5
7
1400±2
8
1 導体引出棒
2 コロナシールド
3 補強絶縁紙
Fig. 7
6
φ640±0.5
φ520
1
4 エポキシベルマウス
5 下部銅管
6 鉛工
9
7 エポキシブキング
8 台板
9 サージアレスター
400kV SF6 Sealing End
400kV ガス中終端接続箱
3.6 DTS システム
3.5 給油システム
給油装置は 3 0 0 リットル 内ガス型プレッシャータンク
O F ケーブル運転中のケーブル表面温度を連続して監視
(PT)に全数統一し,給油区間の両端に設けた圧力計の上・
するために,DTS システム(Distributed Temperature
下限およびロープレッシャートリップの 3 警報点で圧力管
Sensing System,分散型温度監視システム)を採用した。
具体的には,光ファイバケーブル(4 芯)を OF ケーブル
理を行っている。
− 64 −
シンガポール 400kV 半合成紙絶縁 OF ケーブルプロジェクトの完成
の表面に密着布設して,O F ケーブルの温度変化にともな
4.2 リンクボックスのタイプテスト
うこの光ファイバケーブルのラマン散乱光の強さの強弱
接地用のリンクボックスについて,特別に短絡試験と地
を利用して,両サイドの変電所と発電所に取り付けられて
絡試験のタイプテストの実施が要求されたため,機器メー
いる測定器で常時温度監視するシステムである。
カー試験設備を借用し,ほかのケーブルメーカと共同で実
施した。
全ての種類のリンクボックスが対象で,クロスボンド
4.タイプテスト
用,片端接地用,直接接地用について試験を実施した。
試験概要を Table 4 に示す。
4.1 400kV OF ケーブル,接続箱,終端箱のタイプテスト
400kV OF ケーブル,油止接続箱,絶縁型直線接続箱,ガ
ス中終端接続箱は,国際規格 IEC141-1 とイギリス電力規
Table 4
Type test items and their results on link boxes
リンクボックスのタイプテスト項目とその結果
格NGTS3.5.1,NGTS2.5に規定されている電気試験ほかを
規格値
試験項目
実施した。
試験はパワーグリッド社の立会の下に,1999 年 10 月∼
1. 短絡試験
(リンクボックス単体)
試験結果
( リンク間に 40kA × 1 秒を流したと
き,リンクボックスに使用上有害と
12 月にかけて実施し合格した。
タイプテストの結果概要を Table 3 に示す。
) リンク間に50kA×0.1秒を流したと
き,リンクボックスに使用上有害と
Table 3
Type test items and their results on cable, joint
良
なる損傷や変形が発生しないこと。
2. 地絡試験
and termination
ケーブル,接続箱,終端箱のタイプテスト項目と
リンク間を強制的に地絡(40kA ×
(リンクボックスをピッ
0.1 秒)させる。この時リンクボッ
トに組み込んだ状態)
クスは損傷しても良いが,ピット
良
の蓋は持ち上がったりはずれたり
その結果
してはならない。
規格値
試験項目
1. 曲げ試験
良
なる損傷や変形が発生しないこと。
試験結果
曲げ径 5,010mm 以下で 3 サイクル
(ケーブル)
良
5.布設工事
2. 電気試験
(ケーブル)
導体抵抗
0.0090Ω/km at 20°C 以下
静電容量
0.0262µF/km 以下
誘電正接
0.10% at 243kV 以下
世界でも有数の美しい街並みを誇るシンガポールの主
良
化政策管理区域保護に関する法規の遵守,道路使用規制の
0.14% at 406kV 以下
3. 誘電正接温度
特性試験
遵守,かつ,一般住民に対する苦情・苦言の対応など多く
25°C 以下 :0.10%以下
95°C
の障害の中で布設工事は進められた。
:0.10%以下
60°C,40°C:0.10%以下
4. ローディング
サイクル試験
:243kV
課電電圧
:323kV
通電条件
:8 時間通電 +16 時間停止
通電温度
:導体温度 95 ∼ 100°C
5.1 ルートサーベイ
測定項目
主要幹線道路の地下には道路上の美しさと反対に,さま
ざまなインフラが埋設されている。一方,ケーブルルート
の一部では,住宅が隣接したり,地下鉄の高架部に平行し
良
サイクル数 :20
:各サイクルの室温と 95 ∼ 100°C
めに,ルートリザーブのために想像を絶するような政府関
下のこと
連省庁との交渉を強いられる結果となった。また,ケーブ
通電により導体温度が 95 ∼ 100°C に到達後,
通電電流を一定にして12時間の間アルミシー
スの温度を1時間ごとに測定する:温度変化が
良
試験
7. 雷インパルス
試験
課電電圧:+1,175kV×10回,−1,175kV×10回
導体温度:90 ∼ 95°C
課電電圧:+1,550kV×10回,−1,550kV×10回
8. 商用周波耐電圧 520kV × 24 時間
試験
9. 直流耐電圧
710kV × 15 分
10. 半合成紙剥離
紙幅の 30%を越える剥離:試料数の5%以下
試験
11. アルミシース
内圧試験
して対応した。最終ルート決定には一年間を要した。
良
良
5.2 土木工事
良
作業スペース限界の許可しか与えられず,かつ,作業者,一
主要幹線道路沿いおよび地下鉄高架部付近での掘削は,
良
試験
圧力 1,000 kN/m ,試験時間 7 日間で漏れの
般車両および一般歩行者の安全帯確保が要求された。住宅
街では騒音問題,車両の通行障害による渋滞に対する苦情
良
があったが,この対応が良かったことにより,シンガポー
ル大学と陸運庁が主催したロードセーフティマネージメ
2
ないこと
ルの送電電流容量に影響する土壌熱抵抗の測定は,第三者
試験機関に実施させ,不適当な場所についてはルート変更
2°C 以内のこと
6. 開閉インパルス 導体温度:90 ∼ 95°C
ているところがあり,ルート選定を行うのに大きな労力を
費やす結果となった。特に,樹木に対する制約が厳しいた
の誘電正接を測定し,0.13%以
5. 熱安定性試験
良
25°C 以下 :0.10%以下
試験電圧
要幹線道路を掘削しての地下埋設ケーブル工事となり,緑
良
ントの評価において,最優秀賞を受賞した。ケーブルトレ
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2002年7月
三 菱 電 線 工 業 時 報
第99号
5.4 ケーブル接続
ンチ掘削の状況については Fig. 8 参照。
ケーブルの接続作業は,システムの品質管理上もっとも
注意を払うべき仕事となった。ケーブルの接続作業は深さ
3 m,幅 3m そして長さ 20m の接合枡(通常ジョイントベ
イと呼ばれる)の中で行われる。ケーブル布設が完了した
後,接続作業帯全体を長さ 40m の巨大テントで覆ったが,
このテント内にはシンガポールで規定されている“工場”
に適用する法規が適用され,使用電源の安全規定,一次配
電盤の回路設計と有資格者による承認,使用電源プラグの
全天候型対応,照明器具による作業適用照度の確保,そし
て火災や汚染防止のための規定適用など,日本の工場以上
に厳しい管理が要求された。また,ケーブル接続部品は
チェックリストで管理することはもちろん,エポキシ製品
については出荷時にショックウオッチを添付し,輸送中に
もショックのなかったことを証明することが要求された。
また,ケーブルの接続作業には従来の O F ケーブル工事に
適用されたことのない残存ガス量測定(R e s i d u a l G a s
Pressure Test)および微分子量測定(Particle Count Test)
Fig. 8
が要求された。このため,ジョイント作業は作業場所全体
Cable trench beside the main road
を静電シートで覆い,かつエアコンを設置して温度・湿度
主要幹線道路沿いのケーブルト
の管理を行った。
レンチ
一方,実作業は作業分割による効率化を図り,組み立て
作業時間を最初のジョイント作業に比べ,半分の時間で1
5.3 ケーブル布設工事
ジョイントベイを終えることが可能となった。ジョイント
ケーブルドラムには,回転防止金具を付け,輸送中の安
作業帯を Fig.10 に,ジョイント完了時の状況を Fig.11 に,
全を図り,また,ドラムシャフトを使用せずに作業を可能
SF6 ガス終端接続部の組み立て完了状況を Fig.12 に,そし
にする治具も取り付けた。ケーブル引き入れの実作業を
て微分子量測定装置での測定状況を Fig.13 に示す。
Fig. 9 に示すが,日本と違い人力に依存するところが大き
いが,安全低コスト工法である。また作業速度についても
準備に時間を要しないところから,早く終えることを可能
にしている。ケーブルの布設作業を終えるとすぐ,低熱抵
抗砂で埋め戻し作業が行われ,ケーブルシースに損傷がな
いことをケーブルシースの高電圧耐圧試験で確認した上,
道路の舗装を行いケーブル引き入れ作業の完了となる。
Fig. 10 Cable joint bay
ケーブル接続作業帯
5.5 竣工試験と送電開始
竣工試験は当社が関係するコントラクターの代表者とし
て,客先であるパワーグリッド社およびコンサルタントの
立会の下,アヤラジャ変電所側で行った。シンガポールでは
Fig. 9
Power cable pulling
高電圧に絡む試験は全て有資格者(Professional Engineer)
電力ケーブル引き入れ作業
が実施することが規定されており,直流耐圧試験は,D C
715kV/15分を1相/日のペースで10日間を費やして行っ
た。用意された試験器を Fig.14 に示す。その後,当該線路
− 66 −
シンガポール 400kV 半合成紙絶縁 OF ケーブルプロジェクトの完成
Fig. 14 D.C high-voltage test equipment
直流耐圧試験器
は耐圧試験完了の翌日に送電が開始され,現地工事は完了
した。
Fig. 11 Installation of the cable joints
ケーブルジョイント組み立て完成
6.む す び
本プロジェクトは,契約から工事完了まで 26ヶ月足らず
の極めて短い納期であったが,契約完工日前の 2001 年 8 月
に無事完工し,送電を開始した。
客先のパワーグリッド社,コンサルタントのデベロップ
メント リソース社(Development Resources Pte Ltd.)
,そ
のほか全般に及ぶ関係会社各位に厚く御礼申し上げます。
Fig. 12 Cable sealing end for SF6 gas insulated switchgear
SF6 ガス終端接続部
Fig. 13 Particle count testing
パーティクルカウンターでの異物確認
− 67 −
三 菱 電 線 工 業 時 報
第99号
山下行雄(やました ゆきお)
DAINICHI-NIPPON CABLE(SINGAPORE)
,
旧電力・電線事業本部 プロジェクト部(現在,株式
会社エクシム)
海外プロジェクトのマネージメントに従事
シンガポール国ライセンスプロジェクトマネージャー
泥裕二郎(どろ ゆうじろう)
旧電力・電線事業本部 プロジェクト部 海外工事課
(現在,株式会社エクシム)
海外向超高圧電力ケーブルプロジェクトに従事
藤井 盛(ふじい もり)
旧電力・電線事業本部 プロジェクト部 海外工事課
(現在,株式会社エクシム)
海外向超高圧電力ケーブルプロジェクトに従事
電気学会会員
昼田幸次(ひるた こうじ)
尼崎製作所 製造課(現在,株式会社エクシム)
高圧電力ケーブルの製造に従事
永井正章(ながい まさあき)
技術本部 総合研究所 高機能材グループ
ケーブル絶縁材料および周辺材料の研究開発に従事
小巻美夫(こまき よしお)
尼崎製作所 品質保証課
高圧電力ケーブルの試験・検査業務に従事
飯塚久夫(いいづか ひさお)
旧電力・電線事業本部 プロジェクト部(現在,電線
事業部 電線システム部)
超高圧電力ケーブルシステムの開発,設計に従事
− 68 −
2002年7月
Fly UP