...

単独、夫婦のみ 世帯が増加 食の志向は「健康」 「経済性」強まる

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

単独、夫婦のみ 世帯が増加 食の志向は「健康」 「経済性」強まる
日本政策金融公庫 農林水産事業
世 帯 ﹂で は、特 に
﹁ 夫 婦 の み ﹂が 一
60,000
(千世帯)
単独世帯 夫婦のみ 夫婦と子ども 男親と子ども 女親と子ども その他
核家族世帯 29,207
家族世帯﹂は二九二〇万七〇〇〇
節約した食を志向する
﹁ 経済性志
調査結果では、健康に配慮した
食を志向する
﹁健康志向﹂
や食費を
︵P ︶
は近年の調査結果で
図3
すが、
いずれも最も高いのが
﹁健康
世帯となっており、二〇〇〇年か
向﹂
、
食の安全に配慮した食を志向
消費者の食の志向の傾向を、消
費者動向調査の
﹁食の志向﹂
に関す
らそれぞれ、三〇%、七・一%増加
する
﹁安全志向﹂
などの選択肢につ
志向﹂
で、﹁経済性志向﹂
が次に高く
選んだ割合を示しています。
者に選択してもらい、各選択肢を
いて、当てはまるもの二つを消費
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
資料:平成22年国勢調査 解説シリーズNo2「我が国人口、
世帯の概要」
を基に作成
注:
「その他」
は、各年の総数から単独世帯および核家世帯を除いた数値
六・一%増加しています。
3,859
664
一方、﹁夫婦と子ども﹂は減少傾
向にあります。
わが国の一般世帯数は、増加傾
向にあり、二〇一〇年の国勢調査
﹁単独世帯﹂は、男性
このように
の若齢層と女性の高齢層が多くを
食の志向は
﹁健康﹂
が最多
﹁ 単独世帯 ﹂
では、増加している
と
﹁夫婦のみ﹂の
﹁食の志向﹂は、ど
図1 一般世帯における世帯類型別世帯数の推移
る調査結果をもとに見ていきます。
のような傾向にあるのでしょうか。
3,011
535
﹁単独世帯﹂を年齢階層別、
また
性別に分けると、
男性では、
進学や
就職などにより親元を離れる機会
が多い二〇歳代で高くなり、二〇
∼二四歳がピークとなっています
︵図2︶
。
女性では、
二〇歳代で割合
一方、
は高くなりますが、男性に比べて
低く、高齢になるほどその割合が
日本公庫では、消費者の食料や
農業に関する意識・意向を把握す
の結果によると五一八四万二〇〇
占める多様な形態で構成されてい
上昇し、八〇∼八四歳がピークと
るため、
年二回、
上半期と下半期に
〇世帯と、
調査開始以来、
初めて五
これらの背景としては、﹁単独世
帯﹂と
﹁夫婦のみ﹂﹁夫婦と子ども﹂
なっています。
消費者動向調査を、実施していま
に対して何を志向しているのか、
いわゆる
﹁食の志向﹂
に関する調査
近年、単独世帯の増加や核家族
化の進展など、世帯類型が変化し
といった
﹁核家族世帯﹂
の増加があ
四二人となっています。
ている中で、世帯類型別に食に関
ります。
これまでの調査結果を用いて改め
て整理しました。
しています
︵図1︶
。また、﹁核家族
一〇年における
﹁単独世帯﹂
の数
は、一六七八万五〇〇〇世帯、﹁核
する志向がどうなっているのか、
を実施しています。
その一方、世帯規模は減少傾向
にあり、一世帯当たり人員は、二・
ることが分かります。
消費者の「食の志向」
について、
「 一人暮らし」
「 夫婦
のみ」
などの世帯類型別に整理し、
その結果をまとめ
ましたので、
ポイントを紹介します。
〇〇〇万世帯を超えました。
―消費者動向調査の世帯分類別分析―
す。
またその中では、
消費者が
﹁食﹂
単独、
夫婦のみ
世帯が増加
食の志向は
「健康」
「経済性」強まる
三割増えた単独世帯
3,465
605
特に、高齢層を中心に選択割合
ています。
﹁健康志向﹂は、二〇一四年度上
半期で八期連続の最多回答となっ
なっています。
17
Report on research
まず、どのように世帯類型は変
化をしているのでしょうか。
5,850
14,440
10,244
16,785
10年
6,280
14,631
9,625
14,457
05年
6,598
14,904
8,823
12,911
2000年
情報戦略レポート
2015・4 AFCフォーラム 15
Report on research
11.7
85歳以上
100%
80
60
40
20
れます。
80∼84歳
が高く、高齢者人口が増加してい
10.9
る現在において、わが国の食に対
11.9
﹁経済性志向﹂は、四一・九%、ま
た
﹁簡便化志向﹂では三八・四%と
60∼64歳
する中心的な志向として定着して
9.5
なっており、ほかの世帯類型より
55∼59歳
きています。
15.5
も高い割合となっています。これ
7.9
らのことから、﹁一人暮らし﹂
では、
50∼54歳
ま た、﹁ 経 済 性 志 向 ﹂﹁ 簡 便 化 志
向﹂についても現在の食の志向に
15.2
食に対して、主に経済的で簡便な
7.6
おいて、
常に上位となっています。
45∼49歳
ものを志向する傾向が高いことが
15.6
分かります。
女
男
この二つの志向は、若齢層で高
く、
高齢層で低くなる傾向にあり、
7.8
﹁健康志向﹂とは、逆の位置付けと
40∼44歳
﹁健康志向﹂が、
﹁夫婦のみ﹂では
五 五・三 % と 非 常 に 高 い 割 合 と
15.9
なっています。
8.6
なっており、世帯類型の中で最も
35∼39歳
高くなっています。
16.2
安さ求める
﹁一人暮らし﹂
75∼79歳
18.7
10.3
26.0
70∼74歳
24.3
10.7
19.6
65∼69歳
15.2
11.9
や
﹁国産
そのほか、﹁手作り志向﹂
志向﹂
でも他の世帯類型と比べ、
高
25∼29歳
世帯類型別の傾向を調べるた
め、
二〇一四年度上半期の
﹁食の志
い結果となっています。
一 方、﹁ 経 済 性 志 向 ﹂﹁ 簡 便 化 志
向 ﹂で は、そ れ ぞ れ 二 七・二 %、一
11.2
13.9
向﹂
に関する調査の結果について、
と
﹁核家族世帯﹂に当たる
﹁ 夫婦の
七・五%と、世帯類型の中で、最も
﹁ 夫婦のみ ﹂
次に、﹁単独世帯﹂と
の志向の変化を調査するために、
30∼34歳
18.9
﹁単独世帯﹂
に当たる
﹁一人暮らし﹂
み﹂﹁親と子﹂
そして
﹁本人+祖父母
低い結果となっています。
これらのことから
﹁夫婦ふたり﹂
では、経済的な食生活や簡便な食
+子供﹂﹁本人+子供+孫﹂などの
世帯を含む
﹁その他﹂
に分類し集計
しました
︵P 、
図4︶
。
間暇を掛けてみずから調理したも
生活よりも、
国産食材を利用し、
手
そ の 結 果、﹁ 一 人 暮 ら し ﹂で は、
﹁健康志向﹂
が四〇・八%となり、
図
のを好む傾向が高いことがうかが
えます。
3よりも四・四ポイント低い割合
となりました。
なお、﹁健康志向﹂は若齢層で低
く、高齢層で高いという傾向があ
二 〇 一 三 年 度 上 半 期 と 下 半 期、
高齢化で
﹁健康﹂
志向強まる
るため、高齢の一人暮らしの女性
一四年度上半期の三期分の結果を
これは、世帯類型の中で最も低
い割合となっています。
を中心としたものであると考えら
16 AFCフォーラム 2015・4
26.4
17.1
20∼24歳
21.0
28.0
5.4
15∼19歳
7.0
0
0
20
40
100%
80
60
資料:総務省
「国勢調査」
より
17
図2 世帯類型、年齢(5歳階級)
、
男女別割合
単独世帯 夫婦のみ 夫婦と子供 ひとり親と子供 核家族以外 非親族を含む 施設等
15歳未満
44.3
40.8
55.3
45.2
47.0
33.2
31.1
25.4
38.4
26.1
25.8
21.8
21.5
23.5
22.2
19.5
17.4
17.7
10.9
13.5
20.5
50%
40
30
比較します。
33.4
41.9
の結果を図5に示
﹁一人暮らし﹂
しました。
27.2
﹁経済性志向﹂では、一三年度上
半期では四二・七%でしたが、
同年
17.5
度下半期では三・二ポイント減の
23.0
14.1
三九・五%となっています。
一四年
19.9
14.4
度上半期は、一四年四月から消費
13.5
13.0
税率が上がったことによる影響を
17.0
18.2
受け四一・九%と増加しているも
のの、一三年度上半期の結果を下
回っています。
﹁経済性志向﹂
は高
このことから
いものの、徐々に弱まってきてい
ることがうかがえます。
一 方、﹁ 健 康 志 向 ﹂に つ い て は、
徐々に増加しています。この背景
としては、高齢者人口の増加や若
齢人口の減少などを受け、一人暮
らし世帯においてもその傾向が反
映されてきていることが考えられ
ます。
﹁夫婦のみ﹂でも、﹁一人暮らし﹂
と同様に、﹁健康志向﹂が上昇傾向
にあります
︵図6︶
。一三年度上半
期の五二・一%から一四年度上半
期では五五・三%となり、三・二ポ
イント増加しています。
については、
また、﹁簡便化志向﹂
一 三 年 度 上 半 期 に 一 八・六 % で
あったのが、一四年度上半期には
一七・五%まで低下しています。
2013年度上期 13年度下期 14年度上期
一人暮らし 夫婦のみ 親と子 その他
20
10
0
60%
50
40
30
20
10
0
17.6
国産志向
13.5
美食志向
14.7
美食志向
10.1
17.3
国産志向
20.7
18.9
手作り志向
21.7
手作り志向
23.1
安全志向
24.8
安全志向
26.5
簡便化志向
29.8
簡便化志向
32.2
経済性志向
37.5
経済性志向
46.5
健康志向
42.8
健康志向
図3 消費者の食の志向
(上位のみ掲載)
図4 2014年度上半期世帯類型別消費者の食の志向
(上位のみ掲載)
2015・4 AFCフォーラム 17
Report on research
42.7
25.4
41.9
27.2
43.6
18.6
10.9
20.7
13.7
11.6
13.0
10.1
50%
40
30
﹁経済性志向﹂は、一三年度上半
期の二五・四%から、
同年度下半期
14.4
22.2
には、
二〇・七% と低下するも、一
38.4
17.5
四年度上半期には二七・二%に上
36.4
52.1
昇しています。前述のとおり消費
16.4
22.8
税率上昇の影響によるものと考え
14.1
21.8
られます。
15.2
27.2
長期トレンド探る必要
調査の結果、﹁健康志向﹂につい
ては、
徐々に増加する傾向が
﹁一人
暮らし﹂と
﹁夫婦のみ﹂のどちらに
おいてもうかがえました。
しかし、実生活では家計事情な
どにより、志向と現実に差が生じ
ることがあるのではないでしょう
か。
また、
食生活の過ごし方によっ
ても食に対する志向、考え方もさ
まざまであるかと思います。その
ため、全体的な傾向をより詳しく
把握するためには、もう少し長期
で傾向を探る必要があると考えま
す。
と
﹁核家族世
今回は、﹁単独世帯﹂
帯﹂のうち
﹁夫婦のみ﹂の三期につ
いて結果を比較しました 。
今後とも本調査を継続し、より
一層のデータの充実と多角的な分
析などを通じて、
農業者、
漁業者は
じめ食品事業者の皆さまに有益な
情報を提供してまいります。
︵情報企画部
大竹 匡巳︶
18 AFCフォーラム 2015・4
2013年度上期 13年度下期 14年度上期
2013年度上期 13年度下期 14年度上期
20
10
0
60%
50
40
30
20
10
0
10.9
美食志向
13.1
美食志向
9.3
国産志向
20.5
国産志向
7.2
21.9
16.7
手作り志向
21.5
手作り志向
16.7
安全志向
27.8
安全志向
43.7
簡便化志向
18.7
簡便化志向
39.5
経済性志向
20.7
経済性志向
39.5
健康志向
54.2
健康志向
図5 「一人暮らし」
における食の志向
(上位のみ掲載)
図6 「夫婦のみ」
における食の志向
(上位のみ掲載)
40.8
55.3
Fly UP