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資料1(PDF:1239KB)
中国四国ブロック
加工・業務用野菜の生産拡大セミナー
2015.9.16
加工・業務用野菜の安定供給体制について
農林水産省園芸作物課
小林茂典
0
報告内容
1.食料及び野菜消費の特徴
・健康志向、簡便化志向、経済性志向、プチ贅沢志向
・食の外部化の進展と今後の見通し
・サラダ、カット野菜等の「即食性」食品の需要増~利用層の拡大等
2.野菜の用途別需要の動向と特徴
3.求められる、野菜の消費拡大に連動した加工・業務用対応
・加工・業務用対応型の生産・供給に求められる視点(模式図的に検討)
・少品目大量生産型の産地育成と多品目少量生産型の産地育成
・3つのチェーンの強化と生産・流通を一体化させた安定供給体制の構築
1
加工・業務用対応型の野菜生産・供給の概念図
《生産と流通の一体化による供給力の強化》
・ 健康志向
・ 簡便化志向
・ 経済性志向
・ プチ贅沢志向
(高品質志向)
―3つのチェーンの強化による価値提案と安定供給―
産地
※ サプライチェーン(広義)の構築
:サプライチェーン(狭義)+バリューチェーン+コールドチェーン
○ リレー出荷(産地間、標高差利用等)による
周年安定供給
国内産地と加工・外食・中食企業等が連携し、鮮度、おいしさ、機能性、利便性、物語性等の価値を消
費者に伝えながら消費拡大につながるようなメニュー開発・提案へ(地域特産野菜を含む)
安定供給
要請
・コスト意識の明確化
○ (狭義)サプライチェーン(供給連鎖: 効率化、産地から食卓に至るトータルコストの低減)
・多様な実需者ニーズ
に対応できる生産者の
育成・グループ化
・営業力・販売力の強化
(マーケティング担当者
の育成・専門部署の設
置
・契約内容の遵守
・ 生産コストの低減(大型規格の高単収栽培、省力機械化栽培体系、
規模拡大等)
・ 選別・調製コストの低減(出荷規格の簡素化等)
・ 流通コストの低減(通い容器・鉄コン、ワンウエイレンタル方式、
ツーウエイ輸送、モーダルシフトによる遠隔産地
からの輸送コストの低減等)
契約取引
・大型規格の高単収
栽培
・省力機械化栽培体系
・水田転作等による新
たな産地づくり
少品目大量生産型
・物流環境の変化に対応した
ロジスティクス(モノの流れ(物流等)
の効率的な管理等を行う仕組み)
・経済性志向への対応
→低コスト供給
○ コールドチェーン
〈生産と流通の一体化(機動的な輸送・一次貯蔵等の高度な物流)〉
(品質管理、鮮度維持等)
共同物流、共同荷受、施設等の共同利用〉
・ 消費者・実需者に対応した付加価値の付与
~簡便化志向への対応→「利便性」のある商品の供給
(カット野菜、冷凍野菜、冷凍調理食品、蒸気加熱済み
野菜等の半調理野菜、「キット食材」等)
~健康志向への対応→各野菜の機能性成分に着目した取組
(機能性情報の付与、機能性訴求型のメニュー等)
~プチ贅沢志向への対応→新たな組み合わせ等を含む価値提案
(価値あるものに関して多少高くても購入する消費者への訴求)
・「食の外部化」に対応した外
食・中食等における野菜を使
用したメニューの拡大 等
・消費拡大に連動した取組
中
間
事
業
者
等
の
コ
ー
デ
ィ
ネ
ー
タ
ー
実
需
者
消
費
者
・ブランド、物語性等
○ バリューチェーン(価値連鎖: 付加価値形成とその伝達・提案)
多品目少量生産型
【プラットフォーム・コンソーシアムの構築】
産地間連携
-安定供給を支える社会的インフラ-
産地
野菜消費の拡大
につながるメニュー
地域特産野菜、
果実、山菜等も組
み合わせたメニュー
・食の外部化の進展
・1人当たり野菜消費
の拡大の必要性
2
コーディネーターを介した加工・業務用対応型の野菜生産・供給
《産地》
シーズ
(地域資源)
《実需者》
量的・質的な調整を含めた需給結合
品質内容、規格、出荷期間、
数量、価格 等
・コスト意識の明確化
・多様な実需者ニーズ、用
途別品質・規格等に対応で
きる生産者の育成・グルー
プ化
・契約内容の遵守
・大型規格の高単収栽培
ニーズ
・健康志向、簡便化志向、
経済性志向、プチ贅沢志向
コーディネーター
・用途別・実需者別に多様
な品質内容・規格
・加工・業務用実需者の仕
入行動は小売店に比べて
非弾力的
ニーズの伝達、シーズの情報発信
コミュニケーションの促進
高度な物流(コールドチェーン、輸送、保管等)
・定時・定量(周年安定供給)
・定質(用途別品質)
・省力機械化栽培体系
・定価(中・長期的安定価格)
・水田転作等による新たな
産地づくり(作柄安定技術)
・野菜消費の拡大につなが
るメニュー(地域特産野菜、
果実、山菜等との組み合わ
せ等)の提案
・営業力・販売力の強化
(マーケティング担当者の
育成・専門部署の設置)
少品目大量生産型
契約取引
物流環境の変化に
対応したロジスティ
クス
・機能性等の提案(そのた
めの情報蓄積・分析)
生産と流通の一
体化による供給
力の強化
多品目少量生産型
・シーズ起点の価値提案型の取組
・シーズの特徴を活かした情報発信・価値提案
リレー出荷・周年
安定供給
共同物流、共同荷受
施設の共同利用
・ニーズ起点の受注生産的な取組
・ニーズに即したシーズの設計・生産
3
消費者の食の志向(1)
○ 上位3者は、健康志向、経済性志向、簡便化志向
50
45.4
45
40
37.4
32.4
35
%
36.4
30
26.6
26.0
22.4
25
25.4
20.9
20
18.7
18.5
12.2
15
10
5
0
健康志向
経済性志向 簡便化志向
H20.1
安全志向
手作り志向
国産志向
H27.1
資料:日本政策金融公庫「平成26年度下半期消費者動向調査結果」2015年3月4日より抜粋して作成
4
消費者の食の志向(2)
○ 年齢層によって異なる志向の中身
70
59.9
60
54.4
50
%
38.6
40
30.5
30
18.8
17.5
20
10
0
健康志向
経済性志向
20代
30代
40代
50代
簡便化志向
60代
70代
資料:日本政策金融公庫「平成26年度下半期消費者動向調査結果」2015年3月4日より抜粋して作成
5
消費者の食の志向(3)
・ 外食 → 高単価メニュー
・ 中食 → デパ地下、高単価メニュー、高価格PB
価値のあるもの
(高品質等)
→ 多少高くても購入(プチ贅沢志向)
先の調査結果と組み合わせると:
・
・
・
・
健康志向
簡便化志向
経済性志向
プチ贅沢志向(高品質志向)
6
食の外部化の動向
単位:%
44
41
3
中食
9
33
1
資料:財団法人 食の安全・安心財団
7
食の外部化の進展の背景

世帯構成の変化
・ 単身世帯,共稼ぎ世帯,高齢者世帯等の増加
・ 少子化・核家族化等に伴う世帯人員の減少 等

生活スタイルの変化・多様化
・ 世帯構成の変化とも関連した簡便化志向の高まり 等

利便性提供型の食料供給システムの展開
・ 需要側の簡便化志向に対応し、あるいはそれを促進させる、利便性提供型
の食料供給システム(24時間営業の外食・中食企業、ファストフード、コンビ
ニ、冷凍(調理)食品、カット野菜等)の展開
⇒ 食の外部化は、これらの需給要因が重なり合いながら進展
8
世帯類型別の「食の外部化」率
(単位:%)
調理食品
全世帯( 2 人以上)
外食
計
調理食品
専業主婦世帯
外食
計
調理食品
共稼ぎ世帯
外食
計
調理食品
夫婦高齢者世帯 外食
計
調理食品
単身世帯
外食
計
1990年
8.1
15.6
23.7
7.9
16.9
24.8
8.6
19.7
28.3
-
1995年
9.4
16.2
25.6
9.2
18.1
27.3
10
21.1
31.1
8.9
10.2
19.1
-
2000年
10.8
16.9
27.7
10.6
19.1
29.7
11.3
22.8
34.1
10.3
10.1
20.4
12.7
40
52.7
2005年
11.9
16.9
28.8
11.2
20.1
31.3
12.4
24.1
36.5
11.5
11.0
22.5
13.2
37.8
51.0
2010年
11.9
17.0
28.9
10.8
21.1
31.9
12.2
24.0
36.2
11.5
11.0
22.5
14.6
30.7
45.3
2014年
12.4
16.8
29.2
11.1
21.4
32.5
12.7
24.2
36.9
11.9
11.0
22.9
15.2
30.1
45.3
資料:総務省「家計調査」
9
食の外部化の見通し

世帯構成の将来予測(2010年→2020年→2030年)
※2008年3月推計(国立社会保障・人口問題研究所)
・単身世帯:31.2%→34.4%→37.4%
・世帯主65歳以上の世帯:31.2%→37.7%→39.0%
・平均世帯人員:2.47人→2.36人→2.27人
→この世帯構成の将来予測と世帯類型別の食料費支出の特徴を
考え合わせるならば、①外食の相対的な比重の低下と中食のウ
エイトの高まり、②景気低迷等に伴う節約志向を反映した内食へ
の一部回帰、等の動きを含みながら、「食の外部化」は今後もゆ
るやかに継続する可能性が高い。
→「食の外部化」の進展は、一時的・経過的なものではなく、世帯構
成の変化、生活スタイルの変化・多様化(特に簡便化志向)や、
これに対応した利便性提供型の食料供給システムの展開等を主
因とする構造的なものとして捉える必要。
10
生鮮野菜の1人当たり年間支出金額
(単位:円)
資料:総務省「家計調査」
注:カット野菜を含む
11
サラダの1人当たり年間支出金額
(単位:円)
資料:総務省「家計調査」
12
冷凍調理食品の1人当たり年間支出金額
(単位:円)
資料:総務省「家計調査」
13
野菜等の1人当たり年間支出金額(2人以上世帯)
単位:円
1,270
9,393
6,971
6,038
資料:総務省「家計調査」
注:生鮮野菜にはカット野菜を含む。
14
サラダ、カット野菜等の「即食性」食品の需要の増加
○ 1人1年当たりのサラダ購入金額は、増加傾向で推移。消費者の簡便化志向
の強まり等を背景に、惣菜(サラダ等)やカット野菜等の「即食性」食品の需要が
増加しており、 近年は、利用層の拡大等に伴いその需要はさらに増加。
《サラダ、カット野菜等の「即食性」食品の需要増加の要因》
○ 利用層の拡大
・ 「即食性」食品の利用は、単身世帯や共働き世帯に加え、2011年の
東日本大震災を契機に高齢層にも拡大(高齢層のコンビニエンス・ストア
の利用増加等)
○ 商品種類の豊富化
・ 近年、サラダ類やカット野菜製品の種類が豊富化しており、キャベツ等の
単品サラダのほか、多品目のミックスサラダ、パッケージサラダ等の利便
性だけでなく様々な付加価値を付与した商品が増加
需給双方の拡大要因による相乗効果
15
加工・業務用需要の動向(1)
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
1990年度
2000年度
2005年度
2010年度
ほう
13品 にん トマ ね だい たま レタ さと はく キャ
きゅ ピー
れん
なす
目計 じん
ト
ぎ
こん ねぎ ス
いも さい ベツ
うり マン
そう
51%
54%
55%
56%
42%
56%
64%
64%
57%
59%
62%
62%
55%
56%
61%
62%
58%
58%
58%
60%
54%
58%
59%
59%
52%
57%
57%
58%
50%
56%
57%
55%
54%
57%
52%
52%
46%
48%
48%
50%
36%
46%
44%
48%
42%
44%
45%
46%
40%
40%
47%
44%
42%
42%
44%
43%
16
加工・業務用需要における輸入割合の推移
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
13品 トマ たま にん さと ピー ね
目計
ト
ねぎ じん いも マン
ぎ
1990年度
2000年度
2005年度
2010年度
12%
26%
32%
30%
66%
77%
78%
78%
18%
36%
49%
53%
2%
34%
54%
51%
10%
46%
50%
39%
0%
20%
33%
34%
2%
21%
28%
25%
ほう
きゅ だい
キャ はく レタ
れん
なす
うり こん
ベツ さい
ス
そう
3%
30%
14%
21%
17%
17%
16%
13%
2%
9%
9%
6%
2%
10%
8%
4%
0%
4%
6%
4%
0%
4%
5%
2%
0%
2%
2%
2%
17
野菜輸入の動向(年間)
2,816千t
2,816千t
2,771
(t)
2,616 2,584
2,110
資料:財務省「貿易統計」
注:果実的野菜を除く
18
生鮮野菜輸入の動向(年間)
1,071千t
(t)
912
817
852
582
資料:財務省「貿易統計」
注:果実的野菜を除く
19
野菜の1人・1年当たり供給粗食料
(kg)
126
105
資料:食料需給表
20
野菜の1日当たり摂取量
(単位:g)
320
233
資料:厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」各年版
21
求められる、野菜の消費拡大に連動した加工・業務用対応

1人当たりの野菜消費量が漸減(ないし横ばい)傾向で推移する
とともに、人口減少社会へ向かう状況下において、国産野菜の
マーケットの維持・拡大を図るためには、
1人当たりの野菜消費量の拡大に向けた取組が不可欠
→「食の外部化」が今後もゆるやかに継続する可能性が高いこと
を考えるならば、外食・中食等における野菜を使用したメニューの
拡大が重要
※ 健全な食生活における野菜の摂取目標量は1日当たり350g(「健康日本21」より))
⇒ 求められる、野菜の消費拡大に連動した加工・業務用対応
22
加工・業務用需要と家計消費需要の基本的特性の違い
加工用
業務用
家計消費用
品質内容
(品種、規格等)
・用途別に多様(大型規格、水
分含有率等)
・用途別に多様(大型規格、
水分含有率等)
・外観等をより重視
内容量
・重量を重視
・重量を重視(品目によって
は個数を重視)
・個数を重視(定数詰め)
出荷形態
(荷姿等)
・ばら詰め・無包装
・通い容器、ダンボール
ばら詰め・無包装
通い容器、ダンボール
袋詰め・小分け包装
ダンボール
取扱形態
・原体(ホール)
・前処理・一次加工
原体(ホール)
前処理・一次加工
原体(ホール)
数 量
・定時・定量(周年安定供給)
・加工施設の稼働等を考慮し
た供給
・定時・定量(周年安定供給)
・販売単位(数量)の変更に
よる仕入数量変動への弾力
的対応
仕入価格
・定価(中・長期的安定価格:
年間・シーズン値決め等)
・一般的に、家計消費用、業
務用と比較して低価格
・定価(中期的安定価格:
シーズン・月間値決め等)
・一般的に、家計消費用と比
較して低価格
・販売単位(数量)の変更に
よる仕入価格変動への弾力
的対応
・量販店は週間値決めが基本
23
資料:野菜ビジネス協議会・日本施設園芸協会『品目別・用途別ガイドライン(改訂版)』2011年、藤島廣二・小林茂典『業務・加工用野菜』農山漁村文化協会、2008年より
(再掲)加工・業務用対応型の野菜生産・供給の概念図
《生産と流通の一体化による供給力の強化》
・ 健康志向
・ 簡便化志向
・ 経済性志向
・ プチ贅沢志向
(高品質志向)
―3つのチェーンの強化による価値提案と安定供給―
産地
※ サプライチェーン(広義)の構築
:サプライチェーン(狭義)+バリューチェーン+コールドチェーン
○ リレー出荷(産地間、標高差利用等)による
周年安定供給
国内産地と加工・外食・中食企業等が連携し、鮮度、おいしさ、機能性、利便性、物語性等の価値を消
費者に伝えながら消費拡大につながるようなメニュー開発・提案へ(地域特産野菜を含む)
安定供給
要請
・コスト意識の明確化
○ (狭義)サプライチェーン(供給連鎖: 効率化、産地から食卓に至るトータルコストの低減)
・多様な実需者ニーズ
に対応できる生産者の
育成・グループ化
・営業力・販売力の強化
(マーケティング担当者
の育成・専門部署の設
置
・契約内容の遵守
・ 生産コストの低減(大型規格の高単収栽培、省力機械化栽培体系、
規模拡大等)
・ 選別・調製コストの低減(出荷規格の簡素化等)
・ 流通コストの低減(通い容器・鉄コン、ワンウエイレンタル方式、
ツーウエイ輸送、モーダルシフトによる遠隔産地
からの輸送コストの低減等)
契約取引
・大型規格の高単収
栽培
・省力機械化栽培体系
・水田転作等による新
たな産地づくり
少品目大量生産型
・物流環境の変化に対応した
ロジスティクス(モノの流れ(物流等)
の効率的な管理等を行う仕組み)
・経済性志向への対応
→低コスト供給
○ コールドチェーン
〈生産と流通の一体化(機動的な輸送・一次貯蔵等の高度な物流)〉
(品質管理、鮮度維持等)
共同物流、共同荷受、施設等の共同利用〉
・ 消費者・実需者に対応した付加価値の付与
~簡便化志向への対応→「利便性」のある商品の供給
(カット野菜、冷凍野菜、冷凍調理食品、蒸気加熱済み
野菜等の半調理野菜、「キット食材」等)
~健康志向への対応→各野菜の機能性成分に着目した取組
(機能性情報の付与、機能性訴求型のメニュー等)
~プチ贅沢志向への対応→新たな組み合わせ等を含む価値提案
(価値あるものに関して多少高くても購入する消費者への訴求)
・「食の外部化」に対応した外
食・中食等における野菜を使
用したメニューの拡大 等
・消費拡大に連動した取組
中
間
事
業
者
等
の
コ
ー
デ
ィ
ネ
ー
タ
ー
実
需
者
消
費
者
・ブランド、物語性等
○ バリューチェーン(価値連鎖: 付加価値形成とその伝達・提案)
多品目少量生産型
【プラットフォーム・コンソーシアムの構築】
産地間連携
-安定供給を支える社会的インフラ-
産地
野菜消費の拡大
につながるメニュー
地域特産野菜、
果実、山菜等も組
み合わせたメニュー
・食の外部化の進展
・1人当たり野菜消費
の拡大の必要性
24
中間事業者等のコーディネーターの役割の重要性

卸売業者・仲卸業者を含む中間事業者等のコーディネーターの
役割の重要性
→加工・業務用実需者が求める周年安定供給に対応するためには、コーディ
ネーターを介した他産地との連携によるリレー出荷体制の構築が有効
・ コーディネーターは、産地と実需者を結び、さまざまな調整機能(需給結合、
状況変化等に対応した機動的な調整・サポート等)を実施
①産地と実需者間のコミュニケーションの促進、実需者ニーズの伝達、
シーズの情報発信・価値提案
②用途別・等階級別の販路調整とこれによる商品化率の向上
③一時的な保管・短期的な貯蔵等を含めた物流機能
④周年安定供給への対応~産地間リレー等の調整
⑤リスク分担の調整 等
⇒需給結合(実需者ニーズと産地側のシーズの結合)
①ニーズに即したシーズの設計・生産(ニーズ起点の受注生産的な取組)
②シーズの特徴を活かした情報発信・価値提案(シーズ起点の価値提案型の取組)
25
(再掲)コーディネーターを介した加工・業務用対応型の野菜生産・供給
《産地》
シーズ
(地域資源)
《実需者》
量的・質的な調整を含めた需給結合
品質内容、規格、出荷期間、
数量、価格 等
・コスト意識の明確化
・多様な実需者ニーズ、用
途別品質・規格等に対応で
きる生産者の育成・グルー
プ化
・契約内容の遵守
・大型規格の高単収栽培
ニーズ
・健康志向、簡便化志向、
経済性志向、プチ贅沢志向
コーディネーター
・用途別・実需者別に多様
な品質内容・規格
・加工・業務用実需者の仕
入行動は小売店に比べて
非弾力的
ニーズの伝達、シーズの情報発信
コミュニケーションの促進
高度な物流(コールドチェーン、輸送、保管等)
・定時・定量(周年安定供給)
・定質(用途別品質)
・省力機械化栽培体系
・定価(中・長期的安定価格)
・水田転作等による新たな
産地づくり(作柄安定技術)
・野菜消費の拡大につなが
るメニュー(地域特産野菜、
果実、山菜等との組み合わ
せ等)の提案
・営業力・販売力の強化
(マーケティング担当者の
育成・専門部署の設置)
少品目大量生産型
契約取引
物流環境の変化に
対応したロジスティ
クス
・機能性等の提案(そのた
めの情報蓄積・分析)
生産と流通の一
体化による供給
力の強化
多品目少量生産型
・シーズ起点の価値提案型の取組
・シーズの特徴を活かした情報発信・価値提案
リレー出荷・周年
安定供給
共同物流、共同荷受
施設の共同利用
・ニーズ起点の受注生産的な取組
・ニーズに即したシーズの設計・生産
26
茨城中央園芸農協(茨城県)(1)
○園芸専門農協(主な取扱品目:ほうれんそう、小松菜、キャベツ、レタス、ねぎ、にんじ
ん、
いちご等)
~従業員数:正職員7名、パート職員約20名、組合員数約200名
○取扱品目の多くで、加工・業務用実需者を中心とした契約取引を実施
○品目毎に、実需者が必要とする形態での周年供給体制の構築
○ 流通業者を介したキャベツの産地間リレー出荷
・加工歩留まりの高い大型規格のキャベツを、中間流通業者を介した他産地との連携
により、外食企業等へ周年供給
⇒ 5月~7月中旬(茨城中央園芸)、7月下旬~10月(北海道)、11月~1月(茨城中央
園芸)、2月~5月中旬(愛知)
⇒ 寒玉系の大玉キャベツ(1個平均2㎏以上)が基本
大玉生産をはじめから念頭においた作付体系(品種選定,青果用よりも広い株間等)
不作時でも契約数量を確保できるよう、契約数量の2割増程度の余裕作付を実施 27
茨城中央園芸農協(茨城県)(2)
○ 自社加工による冷凍ほうれんそう、冷凍小松菜の周年供給
・旬の時期に収獲したほうれんそう、小松菜を自社の冷凍加工施設で冷凍加工し、外食
企業や学校給食等へ周年供給
⇒ほうれんそう、小松菜ともに、40㎝程度の大型規格
大型規格での収穫をはじめから念頭においた作付体系(品種選定(加工歩留まりを高
めるため,葉が大きく葉肉が厚いもの、在圃性が高いもの等)、青果よりも広い株間等)
○ 食品加工企業と連携し、より付加価値を高めた冷凍調理食品の供給
・自社の小松菜等を活用した冷凍調理食品を食品加工企業と連携して製造し、外食企業
へ供給
~ 一次加工としての冷凍野菜だけでなく、さらに手を加えた冷凍調理食品へと、付加価
値を高めながら商品化の幅を広げ、販路の拡大を図る事業展開
(参考)輸入野菜との関係
→関税率(協定税率):生鮮野菜は3%程度のものが多いが、冷凍野菜は8.5%程度、
調製野菜は10~24%程度のものが多い。
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(有)八百辰(神奈川県)(1)
○青果商として設立。現在は、レストラン等の業務筋への青果物供給が中心。
~従業員数:約70名(パートを含む)
○食材の供給先は、東京、神奈川の外食企業(オーナーレストラン、チェーンレストラン
等)、
ホテル、給食事業者等を中心に約350店舗(往復200㎞程度が目安)
○ 多品目少量生産型の機動的な生産・供給体制
・卸売市場や全国各地の契約農家(山菜含む)からの調達に加え、地元の農家を契約
農家としてグループ化し、多品目少量生産型の機動的な生産・供給体制を構築
⇒ 地元の農家約15軒と契約(合計で約3ha)
100品目以上の多品目・多品種野菜の生産(種苗は八百辰が供給、収穫は八百
辰の職員が実施(夏は午前4時頃、冬は午前5時30分頃に収穫作業を開始))
~だいこん:紅芯だいこん、紅丸だいこん、黒長だいこん、黒丸だいこん、青長だい
こん、小桜だいこん、赤だいこん、聖護院だいこん、三浦だいこん等
~キャベツ:甘玉キャベツ(糖度12度程度)、ちりめんキャベツ(サボイキャベツ)、
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黒キャベツ(カーボロネロ)等
(有)八百辰(神奈川県)(2)
○ 「1株、1個、1枚」からの小口注文へのこまめな対応と多様なメニュー提案
・業務用実需者からの注文単位は「1株、1個、1枚」からこまめに対応
⇒ 圃場で収穫されるさまざまな規格の野菜を無駄なく販売可能(それぞれの野菜品
目で、大きさ、形状、色合い等を揃える必要がない)
・注文は午前0時まで受付可能で、「その日に食べる野菜はその日に収穫する」が基本
・実需者との活発な情報交換、多様なメニュー提案を実施
⇒ 新品目・新品種の提案だけでなく、それぞれの野菜の各部を無駄なく食べることが
できるような調理方法等も提案
~ザーサイ:通常は根元に近い「こぶ」の部分を漬け物にした状態で利用。
八百辰では、葉や葉柄もついた1株単位で販売し、葉、葉柄、「こぶ」の各部の調理法も提案
(1株丸ごと調理)
○ 実需者の要望に合わせた多様な前処理等を実施
~多様なカット(1/2・1/4等、千切り,いちょう切り等)
ドレッシング添付 等
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加工・業務用対応型の産地形成の方向(1)
○少品目大量生産型の産地形成:(茨城中央園芸農協等)
⇒ 特定の少数品目の「太くて大きな柱」で支える経営展開
・大型規格の高単収栽培、規模拡大
・省力機械化一貫体系、鉄コン利用
・広域の産地間連携を含むロットの大型化
・遠隔産地からの輸送におけるモーダルシフト 等
○多品目少量生産型の産地形成:(八百辰等)
⇒ 多種多様な品目の「細い柱」を何本も立ててリスク分散を図る機動的な
経営展開
・中小規模産地、圃場の一部の活用を含む
・小ロットも含めたこまめな対応
・多品種 等
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加工・業務用対応型の産地形成の方向(2)
① 最終顧客志向
・直接の取引相手だけでなく最終顧客(実需者・消費者)を見据えた取組
② コーディネーター等との連携
・消費拡大につながる食べ方提案
~外食・中食メニュー、加工品 等
~ 特色のある野菜(地域特産、多様な品種等)、果実、山菜等との組み合わせ
・加工度の段階的な向上
・多様な前処理(簡便化食材) ~皮むき・芯抜き、カット、キット食材化 等
・産地間連携(周年安定供給)
③ 受注生産型対応と価値提案型対応
・ニーズ起点の受注生産的な取組(ニーズに即したシーズの設計・生産)
・シーズ起点の価値提案型の取組(シーズの特徴を活かした情報発信・価値提案)
④ 生産と流通の一体化による安定供給体制の構築
・ストックポイント等での一時貯蔵等との組み合わせ
・必要なところに、必要な時に、必要な形態で供給できる物流の仕組み
・共同物流、共同荷受、施設の共同利用等
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(参考1) モーダルシフト等にも対応した産地体制(鉄コンテナの利用)
○ トラック輸送から鉄道や船舶による輸送に切り替えるためには、大ロット形成による定時・定量出荷だけ
でなく、モーダルシフトに対応した出荷体系も必要
○ 具体的には、野菜の出荷形態を①個別包装(段ボール)からバラ形態(鉄コンテナ)へ切り替えるとともに
、②荷物(鉄コンテナ)のコンテナ等への積み込み(積み卸し)をフォークリフトなどによって行う体系が必要
○ こうした出荷体系の採用により、①出荷に要する時間の短縮、②資材費(段ボール代)削減のみならず、
③出荷作業等の労働負荷の軽減も可能
○ 鉄コンテナを利用した出荷体系(キャベツ)
収穫機に設置された鉄コンテナに
選別・調製したキャベツを直接積
み込み
○
ほ場段階で鉄コンテナに積み込
まれたキャベツは、そのままト
ラックで出荷場へ移動
トラックで運び込まれた鉄コンテナ
は、フォークリフトにより列車のコン
テナに搬入
資材費及び作業時間の削減(キャベツ)
出荷資材
輸送手段
数量(積載正味量)
資材費
鉄コンテナ
鉄道貨物
12基(4,164kg)
30,550円
段ボール
鉄道貨物
380ケース(3,800kg)
41,800円
鉄コンテナ経費
レンタル料
納品費
回収費
16,800円
9,875円
3,875円
段ボール
代
41,800円
10kgあた
り資材費
積み込み
作業時間
73円
1時間
110円
3時間
資料:園芸作物課調べ
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(参考2) モーダルシフト等にも対応した産地体制(貯蔵技術の活用)
○ 野菜生産は天候に左右されやすく、また、端境期もあり、出荷量を一定に保つことが難しい
○ 全作期を通じて一定量のロットを確保するためには、例えば一時的に過剰となった野菜を貯蔵し、
端境期などに出荷できる体制が必要
○ 近年、野菜の品質を保持しながら一定期間貯蔵が可能な技術が開発。全作期を通じて一定量の
ロットを出荷可能。
○ 野菜価格の推移
○ 定量出荷体制(イメージ)
野菜は気温の変化、雨量、台風等の自然災害などの影響で、その生産
量が大きく変化。それに伴って価格も大きく変動するのが特徴。
(円
/kg)
200
低温・少雨
180
好天により
生育良好
○月
△月
□月
A産地
A産地
台風
生産余剰
160
140
生産
過剰
120
100
端境期
貯蔵
80
追加
出荷
60
40
20
0
●月
卸売価格
平年価格
1月
4月
平成23年
7月
10月
1月
4月
平成24年
7月
10月
1月
4月
7月
平成25年
10月
資料:東京中央市場青果卸売会社協会調べ 注 :平年価格とは、過去5ヵ年の月別価格の平均値である。
○月
△月
□月
●月
○ 野菜の貯蔵に係る新技術
高鮮度保持コンテナ
移動式真空予冷装置
・ほ場で収穫して野菜を予冷すること
により、鉄道ターミナルまでの間の
コールドチェーンを確保。
・産地の移動に合わせて装置を移動を
することから、予冷装置の効率的な
利用が可能。
・低温(0~2℃)、高湿度
(95%)の条件を安定的
に保つことにより、青果物
の蒸散を抑制し、重量損失
、品質劣化を防止
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