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乳児院 - 福岡県社会福祉協議会

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乳児院 - 福岡県社会福祉協議会
別添14
第三者評価結果の公表事項(乳児院)
①第三者評価機関名
特定非営利活動法人
医療・福祉ネットワークせいわ
②評価調査者研修修了番号
SK15228(07-b00016) 07-a00013
③施設の情報
名称:
福岡乳児院
種別:
代表者氏名: 渡邊 勝美
乳 児 院
定員(利用人数):
所在地:
福岡県福岡市博多区西春町 1 丁目1-14
TEL:
092-573-7025
45名
ホームページ:http://www.f-nyujiin.jp/
【施設の概要】
開設年月日:
昭和 24 年 4 月 1 日
経営法人・設置主体(法人名等):
社会福祉法人 福岡県社会事業団
職員数
常勤職員:
49名
専門職員
施設長:
非常勤職員:
13名
1名
保育士:
22名
児童指導員:
7名
看護師:
6名
家庭支援専門相談員:
1名
里親専門相談員:
1名 他
5室
スプリンクラー
施設・設備 居室:
の概要
非常通報装置(消防)
AED 他
④理念・基本方針
○基本理念
児童福祉の理念に沿い、子ども一人ひとりの固有の生命を大切に育み健やかな成長発
達を願って人権を擁護し、最善の福祉サービスの実践を目指します。
○基本方針
健康で明るく表情豊かな子どもの育成を目標に全職員が乳・幼児との愛着関係を構築す
るとともに、日々の生活の中で個別保育やグループホームでの養育を取り入れ、一人ひとり
の個性を尊重し、より健全な発達を促したい。
⑤施設の特徴的な取組
養育体制を、コアラ組・うさぎ組・パンダ組・小規模グループホーム2ヵ所(バンビホーム・お
ひさまホーム)にして、日中は出来るだけ少人数での養育を心がけている。
コアラ組は赤ちゃん/うさぎ組・パンダ組は縦割りとしている。
通院時の運転は固定の職員が行い、引率職員と子どもが1対1で行っている。
⑥第三者評価の受審状況
評価実施期間
受審回数(前回の受審時期)
平成27年 7月 7日(契約日) ~
平成28年 3月24日(評価結果確定日)
3回(平成24年度)
⑦総評
◇特に評価の高い点
I.
子どもが愛される存在として心身共に健康で安全に育つ環境整備に取り組まれています。
当乳児院に入所する全ての子どもに対して、施設長をはじめ全職員が家族のような眼差
しと愛情を持ち、子どもが大人に受け入れられる喜びを十分に感じられるような養育・支援に
取り組まれています。子どもたちは施設長が大好きで“ジイジ”と慕い、毎朝の挨拶時にスタ
ンプを手に押してもらうことを楽しみにしています。保育士長をはじめとする職員は、「子ども
の最善の利益」について共通認識を持ち、自らのかかわり方を振り返り、専門性の向上や自
己研鑽の努力を惜しむことなく研修などに積極的に参加しながら養育・支援の質の向上を
目指されています。日常的には、専門職がそれぞれの役割を果しながら、タイムリーな情報
共有と連携により、子どもの健全な育ちを支援されています。また、縦割りクラスや担当養育
制、小規模グループホームなど、家庭に近い環境の中で様々な遊びや経験を通し、大人と
の信頼関係を育むといった環境づくりにも力を注がれています。
II.
措置変更や家庭への移行など、退所後の対応も丁寧に行われています。
措置変更に当たっては、入所時の情報や在院中の発達及び生活状況の記録などを基に
詳細な引継ぎ文書が作成されています。措置変更や退所した子どもの誕生日には、担当職
員が選び作成した誕生カードを継続的に送られており、深い愛情を感じ取ることができます。
開設当初からの子どもの記録は全て保管されており、成人して自身のルーツを探しに来ら
れた際には、当時を知る職員はいなくとも記録や写真によって当時の様子を詳細に知ること
ができるように配慮されています。
III.
多くの実習生を受け入れ、福祉人材の育成に貢献されています。
実習についての基本姿勢が明示され、対応マニュアルや資格に応じた実習プログラムが
準備されています。当乳児院では昨年度、延100名を超える実習生を受け入れられていま
す。実習受入れ窓口やオリエンテーションは保育士長が担当されており、実習受け入れの
意義や目的、指導上の留意点などについて全職員へ周知が図られています。乳児院という
特性上、子どもの入退所など日単位での変化がある中で、時期や期間、人数などが一定で
はない実習生の受け入れを積極的に行い、将来を担う福祉人材の育成に取り組まれていま
す。
◇改善を求められる点
I.
組織活動を網羅した中・長期的な事業計画及び収支計画の策定が求められます。
当乳児院は10年後の移転やグループホーム、分園、小規模ケアなど様々な展開につい
て検討され計画されています。そのことについては福岡市に提出されている「家庭的養護推
進計画」に施設整備として明記されていますが、掲げられている理念や基本方針の実現に
向けた具体的な計画といった視点に立って考えた場合、内容的に十分とは言い難い状況が
見られます。将来構想を明確にした上で、養育・支援の内容や施設・設備、組織体制、職
員体制、人材の確保と育成など包括的な視点で、中・長期の事業計画及びその裏づけとな
る収支計画を策定されることが求められます。
II.
職員一人ひとりの教育・研修計画に基づいた人材育成を期待します。
将来構想の実現に必要な人材の確保と育成のためには、中・長期的な視野に立った人
事管理に関する具体的なプランを明確にされると共に、職員一人ひとりの意向も踏まえた個
別の育成計画に基づく教育・研修の実践が求められます。専門性や技術の向上は養育・支
援の質の向上につながり、子どもの最善の利益の実現に強く結びつくものであるため、更なる
取り組みを期待します。
III.
マニュアル作成及び見直しの仕組み構築が望まれます。
既存マニュアルの見直しは毎年度行われているということですが、見直しの時期や手順、
検討などの仕組みについて明確にされているとは言い難い状況がうかがえます。当乳児院
が提供するサービスの標準化と質の向上に資するために、見直しのプロセスを再度整理し、
各マニュアルの内容の更なる充実を定期的・継続的に図るための仕組みの構築が望まれ
ます。
⑧第三者評価結果に対する施設のコメント
(H28.3.24)
評価結果の公表事項を見てC評価が少なかったので安心した。指摘されている「中・長
期計画」に関しては、早速建築委員会を立ち上げ、又理事会との兼ねあいもあり、平成28
年度中にまとめたい。
自己評価だけでは見えてこない部分もあり、受審することで日々実践している事を文章化
する事や、異業種の業務内容を共通認識する事の難しさを再認識するとともに、課題も明
確になった。これからも一つひとつ改善しよりよい施設運営と養育環境を整える為に職員一
同努力していきたい。
⑨第三者評価結果
別紙の「第三者評価結果」に記載している事項について公表する。
(別紙)
第三評価結果(乳児院)
※すべての評価細目(共通評価基準 45 項目・内容評価基準
22 項目)について、判断基準(a・b・c の 3 段階)に基づ
いた評価結果を表示する。
※評価細目毎に第三者評価機関の判定理由等のコメントを記
述する。
共通評価基準(45 項目)
評価対象Ⅰ
Ⅰ-1
養育・支援の基本方針と組織
理念・基本方針
第三者評価結果
Ⅰ-1-(1) 理念、基本方針が確立・周知されている。
1
Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。
a・ⓑ・c
<コメント>
理念や基本方針は、事業計画やパンフレット、広報誌などに記載されており、院内各所にも掲示さ
れています。職員は、名刺サイズに印字されたカードを携帯するほか、毎月の職員会議で唱和するな
ど継続的な周知活動に取り組まれています。
保護者に対しては、入所時にパンフレットを用いて説明されていますが、施設種別の特性として説明
する機会などは少ないといった状況がうかがえます。わかりやすい文章や目にしたくなる工夫など、更
なる周知への取り組みを期待したいところです。
Ⅰ-2
経営状況の把握
第三者評価結果
Ⅰ-2-(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。
2
Ⅰ-2-(1)-① 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分
ⓐ・b・c
析されている。
<コメント>
全国乳児福祉協議会を始め福岡県や福岡市の協議会会員であり、各種研修や会議等への参加、
送付されてくる冊子及び通信(メール)による最新情報の把握に努められています。福岡市や他施設と
の情報交換を定期的に行い、社会福祉事業全体の動向の把握も行われています。定期的に施設経
営(子どもの推移・設備や備品・職員体制等)の分析を行い、法改正を踏まえた人員配置の見直しな
ど、将来を見据えた運営に取り組まれています。
3
Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。
a・ⓑ・c
<コメント>
施設運営を取り巻く環境と経営状況については役員間で共有されています。職員には、年度初めの
会議等で予算と職員体制についての説明が行われています。人員に関する基準の改正を踏まえた運
営は行われていますが、当乳児院が目指す養育・支援の実現に必要な人員配置としてはまだ十分と
は言い難い状況と捉えられており、人員増の要求に対する具体的な取り組みについては今後の課題と
いった状況にあります。
Ⅰ-3
事業計画の策定
第三者評価結果
Ⅰ-3-(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。
4
Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されて
a・b・ⓒ
いる。
<コメント>
「家庭的養護推進計画(平成 27 年~平成 41 年)」が策定されており、施設整備に関する長期計画
として福岡市に提出されています。この計画から小規模グループホームや施設移転等についての計
画は読み取れますが、組織体制や設備の整備、職員体制、人材育成など、施設運営全体を網羅し
た具体的な中・長期計画の策定については課題と捉えます。
5
Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されてい
a・b・ⓒ
る。
<コメント>
単年度の事業計画は策定されていますが、施設運営を網羅した中・長期計画が策定されていない
ため、単年度の計画が将来構想の実現を目指した中・長期計画を踏まえて策定されているのかといっ
た判断はできない状況にあります。
Ⅰ-3-(2) 事業計画が適切に策定されている。
6
Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組
a・ⓑ・c
織的に行われ、職員が理解している。
<コメント>
年度末に保健係や各クラスの例会にて養育・支援に関する年度反省や評価が行われ、次年度に
向けた意見などが出されています。次に予算関係の検討を各ブロックにて行い、運営会議を経て職員
会議でまとめられ、次年度の事業計画が策定されています。事業計画は新年度の係や担当、行事計
画などをあわせた冊子という形で職員に配布されており、会議などでの説明により周知が図られていま
す。しかし、非常勤職員の意見を計画に反映させる取り組みについては十分とは言い難い状況が見受
けられます。
7
Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。
a・b・ⓒ
<コメント>
事業計画は保護者や来訪者がいつでも閲覧できるように玄関に置かれています。事業計画の一部
や行事予定については、保護者への文書配布や郵送が行われています。施設種別の特性として保護
者への周知度を量ることや、保護者が一堂に会する場で説明を行うことなどは困難な面もうかがえま
すが、保護者への周知に向けた工夫については今後の更なる取り組みを期待したいところです。
Ⅰ-4
養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組
第三者評価結果
Ⅰ-4-(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。
8
Ⅰ-4-(1)-① 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行わ
ⓐ・b・c
れ、機能している。
<コメント>
職員に全国乳児院福祉協議会刊の書籍購入・活用を課し、養育・支援についての理解や目指す
方向性の共有に努められています。施設が提供するサービス(養育・支援)の評価については、当該
第三者評価受審や自己評価に定期的・継続的に取り組む体制が構築されています。評価結果の分
析や検討は、職員参画のもと各種会議にて組織的に行われており、計画的・積極的に養育や支援の
質を高めようと努められています。
9
Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を
a・ⓑ・c
明確にし、計画的な改善策を実施している。
<コメント>
評価結果の分析によって抽出された課題について、各種会議の場で職員への周知が図られ、優先
度を決めて改善への取り組みが行われています。しかし、課題ごとの改善への取り組みに関する文書
(計画)化や実施状況の評価・見直しについては十分とは言い難い状況が見られます。計画的な改善
への取り組みの更なる充実が望まれます。
評価対象Ⅱ
Ⅱ-1
施設の運営管理
施設長の責任とリーダーシップ
第三者評価結果
Ⅱ-1-(1) 施設長の責任が明確にされている。
10
Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理
a・ⓑ・c
解を図っている。
<コメント>
施設経営の責任者としての役割は管理規定及び事務分掌に明記され、災害時の対応文書にも指
揮・管理などの責任者であることが記載されています。施設長は職員会議において運営や日常的な
養育・支援についての方向性を示し、折々に具体的な取り組みについての説明などを行われていま
す。しかし、保護者や外部に向けて発行されている広報誌などでの表明については十分とは言い難い
状況が見られます。また、施設長不在時の権限委任についての規定への明記についても実情に応じ
た見直しを期待します。
11
Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行
ⓐ・b・c
っている。
<コメント>
乳児院福祉協議会(全国・県・市)や行政、所属団体主催の各種研修会、勉強会、フォーラムなど
に積極的に参加し、法令から経営、養育に至るまでの広範囲な分野について情報収集に努められて
います。最新情報の伝達や周知については、会議や研修、日々の申し送りの機会に取り組まれていま
す。“マイナンバー制度(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法
律)”についても、理事会の承認を得た規定文書をブロック毎に配布し、職員会議にて説明するといっ
た取り組みが行われていました。
Ⅱ-1-(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12
Ⅱ-1-(2)-① 養育・支援の質の向上に意欲をもち、その取組に指導
ⓐ・b・c
力を発揮している。
<コメント>
施設長は朝の挨拶の際に子どもたちの手やカードにスタンプを押すなど、全ての子どもたちとの触れ
合いの時間を大切にされており、自ら率先して愛着関係を築き深める取り組みとして継続されていま
す。同時に、職員の様子を見たり、声かけをしたりする時間も大切に考えられています。
外部研修には率先して参加し、新たな情報や専門的知識などの研鑽に努められています。得られ
た情報や知識は、職員会議や研修のほか、日常の中でも助言や指導という形で生かされており、子ど
もの権利養護と最善の利益に配慮した養育・支援の専門性の向上のために指導力を発揮されていま
す。
13
Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を
ⓐ・b・c
発揮している。
<コメント>
人事・労務に関する分析結果については、施設長を含む運営会議メンバー間で共通認識されてお
り、全職員に対する働きかけに取り組まれています。年度初めの職員会議で収支予算について説明さ
れ、運営の指標が職員間で共有化されています。施設長は、職員相互の関係やチームワークを大切
に考えられており、新人と中堅職員をペアとした相談・指導を行いやすい体制を構築されています。子
どもと職員が施設長室に朝の挨拶にきた際の会話や観察、クラスに出向いての職員とのコミュニケー
ションなど、小さなことでも耳に届く風土づくりに努められています。
Ⅱ-2
福祉人材の確保・育成
第三者評価結果
Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。
14
Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画
ⓐ・b・c
が確立し、取組が実施されている。
<コメント>
福岡市による専門職配置調整の仕組みのもと、当乳児院には家庭支援専門相談員や里親専門相
談員が配置されています。心理士の配置もあり、保護者や職員の悩み相談などにも専門的に対応で
きる体制が整っていると言えます。人材確保については、社会情勢による求職者の状況の変化もあり、
施設の雇用条件を緩和するなどの確保・定着に向けた対策が講じられています。
15
Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。
a・ⓑ・c
<コメント>
人事管理に関する定めの中に人事基準が明示されており、職員への説明も行われています。就業
に関する職員の希望を聞いたり、働きやすい環境づくりなどに関する無記名アンケートを実施したりしな
がら、運営会議においてその結果の検討が行われており、改善・対応策について職員会議で説明する
といった仕組みも機能しています。理念・基本方針、事業計画から施設が目指す方向性などは読み取
れますが、施設が期待する職員像などの明示については今後の課題と捉えます。
Ⅱ-2-(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16
Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づく
a・ⓑ・c
りに取り組んでいる。
<コメント>
有給休暇の消化率や時間外労働に関するデータは定期的にチェックされ、休みの希望聴取やブロ
ック単位での業務の偏りなどを考慮した話し合いが行われて毎月の勤務計画が作成されています。福
利厚生事業への加入や健康診断、予防接種・職員旅行への補助など、アンケート調査などの結果を
もとに働きやすい環境づくりが進められています。保育士長や心理士などへの相談はいつでもできるこ
とが周知されており、ペア職員や先輩職員、リーダー職員などにも随時相談が行われています。しか
し、職員との個人面談の定期的な実施については今後の課題と捉えます。
Ⅱ-2-(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17
Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。
a・b・ⓒ
<コメント>
人事考課制度については導入されておらず、職員一人ひとりの育成に関する目標設定や計画など
の策定も見られない状況です。人事考課制度により、職員一人ひとりの課題の抽出を行い、目標設定
や管理が面談などによって確認・評価できる仕組みの構築を期待します。
18
Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定さ
a・ⓑ・c
れ、教育・研修が実施されている。
<コメント>
職員の教育・研修に関する基本姿勢は「管理規定」に示されており、年間の研修計画に基づく教
育・研修に取り組まれています。外部研修のみならず、講師を招いての「AED」や「離乳食の食べさせ
方」といった事業所内研修にも取り組まれています。職員に求められる専門性を明確にした上で、研修
の評価を行い、PDCAサイクルによる研修の評価・見直しの仕組みが構築されることを期待します。
19
Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されてい
a・ⓑ・c
る。
<コメント>
職員一人ひとりの知識・技術水準を把握し、正規職員全員が外部研修へ参加できるように計画さ
れています。また、研修終了後にはレポートによる報告や職員会議での発表も行われ、情報の共有化
が図られています。しかし、正規職員以外の研修への参加や情報の共有化については更なる取り組み
を期待したいところです。
新任職員は中堅職員とペアになりOJTによって育成される仕組みがありますが、中堅職員に対する
OJTなどの仕組みの構築には至っていない状況がうかがえます。職員の経験や習熟度に応じた個別
的なOJTが適切に実施できる仕組みにより、一人ひとりの技術や知識向上によって施設が必要とする
人材の育成に結び付ける取り組みが望まれます。
Ⅱ-2-(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20
Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の養育・支援に関わる専門職の教育・育成に
ⓐ・b・c
ついて体制を整備し、積極的な取組をしている。
<コメント>
実習生受入れの基本姿勢が明文化され、受入れマニュアルや実習生の専門性に配慮した実習プ
ログラムが用意されています。昨年度は100名を超える実習生を受け入れられており、障害者就労支
援センターや短期間補導委託などの受入れも見られます。施設が準備したプログラムに関しては関係
職員に周知され、実習生指導に施設全体で当たるといった姿勢で取り組まれています。
Ⅱ-3
運営の透明性の確保
第三者評価結果
Ⅱ-3-(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。
21
Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われて
ⓐ・b・c
いる。
<コメント>
施設に関する情報(事業計画・事業報告・予算・決算・当該第三者評価受審結果・苦情対応結果
等)が、ホームページ上で公開されています。玄関には事業計画と事業報告が置かれ、保護者をはじ
め来訪者が閲覧できるようにされています。その他、経営者協会のホームページへの当乳児院情報
の掲載や、広報紙(あいらしか)の民生委員や自治会長、公民館、児童相談所への配布及び町内会
への回覧など情報公開に積極的に取り組まれています。
22
Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組
a・ⓑ・c
が行われている。
<コメント>
年間予算決定後には各係から教材や物品購入伺いが提出され、組織的決裁を経て購入が決定さ
れています。決められた額以上には見積が必要となるなどの経理の取引ルールについては全職員に
周知されています。経理処理についての相談はソフト会社に行い、法人内の内部監査も定期的に行わ
れるなど、経営・運営が適切に行われるように努められています。法改正を機に、より透明性の高い経
営・運営を目指して外部監査への取り組みが検討されており、その実現に期待が寄せられます。
Ⅱ-4
地域との交流、地域貢献
第三者評価結果
Ⅱ-4-(1) 地域との関係が適切に確保されている。
23
Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行って
ⓐ・b・c
いる。
<コメント>
院外保育や散歩、地域の幼稚園が行う園庭開放への参加により、地域の人々との日常的な関係
性の構築が図られています。その他、町内夏祭りへ模擬店を出したり、職員が区体育会の仮装パレー
ドに参加したりといった活動もあります。また、地域の人々を院内のお月見会に招待し、子どものお遊戯
や手遊びなどを見てもらいながら食事を楽しんで頂く機会なども設けられています。
24
Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確に
ⓐ・b・c
し体制を確立している。
<コメント>
たくさんのボランティアが、エプロンやシーツ、雑巾作り、子どもの養育介助などに携わられています。
保育士長が受入れ窓口となり、事前見学後にオリエンテーションを実施して登録に至るといった仕組
みが機能しています。整備されているマニュアルに沿って、ボランテイア活動時には健康チェック表の
提出が求められています。また、中学生の職場体験の受入れも行われています。
Ⅱ-4-(2) 関係機関との連携が確保されている。
25
Ⅱ-4-(2)-① 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等と
ⓐ・b・c
の連携が適切に行われている。
<コメント>
乳児院にとって必要な関係機関や団体が抽出され、その連絡先や連絡方法等を含めた体系的な
リストが、各部署・各クラスに置かれています。「福岡県乳児院協議会」や「福岡市乳児院養護施設協
議会」、「児童相談所」などと情報の共有化が図られ、必要に応じて具体的な支援内容などの検討を
行うといった取り組みも見られます。また、年に2~3回開催される「博多区要保護地域支援協議会」
での多職種・多機関による問題検討にも参画されています。
Ⅱ-4-(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26
Ⅱ-4-(3)-① 施設が有する機能を地域に還元している。
a・ⓑ・c
<コメント>
現在、乳児院が有する機能を地域に還元する取り組みとして顕著なものはないといった状況にあり
ます。地域の避難訓練に駐車場を避難場所として活用いただいた事例などはありますが、施設長自身
も地域への機能の還元は課題の一つであると考えられています。
27
Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズにもとづく公益的な事業・活動が行
a・b・ⓒ
われている。
<コメント>
施設として、地域の具体的ニーズを把握した上での公益的な事業や活動への取り組みは行われて
いない状況にあります。家庭支援相談室の拡大や強化によって、地域ニーズの把握と地域福祉向上
に向けた事業が展開されることを期待します。
評価対象Ⅲ
Ⅲ-1
適切な養育・支援の実施
子ども本位の養育・支援
第三者評価結果
Ⅲ-1-(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。
28
Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した養育・支援提供について共通の理解
ⓐ・b・c
をもつための取組を行っている。
<コメント>
施設の理念・基本方針や乳児院倫理綱領(全国乳児福祉協議会版)などによって、子どもを尊重し
た養育・支援についての理解や周知に努められています。日常的に機会を捉えて「保護者から大事な
子どもを預かっている」という認識の共有が図られ、実践に結びつくよう努められています。
29
Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護等の権利擁護に配慮した
a・ⓑ・c
養育・支援提供が行われている。
<コメント>
虐待防止に関しては、日常的な養育・支援の場面や保護者とのかかわりの中でも細やかな配慮が
行われています。職員へはガイドラインの配布や研修・会議により周知に努められており、入浴や排
泄、衣類の着脱時に衝立やカーテンなどを活用するといった様々な工夫による羞恥心への配慮も見
受けられます。課題としてはマニュアル等の整備が挙げられます。
Ⅲ-1-(2) 養育・支援の提供に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30
Ⅲ-1-(2)-① 保護者等に対して養育・支援選択に必要な情報を積極
ⓐ・b・c
的に提供している。
<コメント>
当乳児院のパンフレットには、写真やイラスト、わかりやすい文章などが用いられています。入所時に
は、パンフレットを資料として配布すると共に、保護者の不安な気持ちに寄り添いながらわかりやすく具
体的な説明を心がけられています。施設見学などの際には、食事・入浴・睡眠・遊ぶなどの各部屋の
案内が行われており、一日の過ごし方や子どものそばに職員が常にいて受容的・応答的なかかわりを
持って養育・支援を行っていることなどを説明され、入所後の施設での生活が見通せるように努められ
ています。
31
Ⅲ-1-(2)-② 養育・支援の開始・過程において保護者等にわかりや
a・ⓑ・c
すく説明している。
<コメント>
保護者との面談では施設の様式に基づいて、心身の発育状況や予防接種、食関係、排泄、睡眠に
関することなどと共に保護者の意向についても丁寧に聞きとられています。施設が行う養育・支援の内
容については資料を用いて説明されており、不安定な感情の中でも理解が進むようにゆっくりはっきりと
した言葉遣いで伝えるよう配慮されています。施設のルールや個人情報に関することについては書面
で同意が得られています。しかし、意思決定が困難な保護者への対応についてのルール化は未整備
な状況ですので、今後の取り組みに期待します。
32
Ⅲ-1-(2)-③ 措置変更や地域・家庭への移行等にあたり養育・支援
ⓐ・b・c
の継続性に配慮した対応を行っている。
<コメント>
入所から措置変更に至るまでの成長・発達について詳細に記録した引継ぎ文書が作成され、措置
変更先に引き継がれています。担当職員が措置変更先の職員と連携し、変更後の生活が安定するよ
うに支援されています。同法人が運営する養護施設へ移行した子どもが、当乳児院のイベントに参加
する機会などもあります。施設を退所した子どもの誕生日には担当職員から誕生カードが継続的に送
られています。また、退所前の外泊時に保護者に文書を渡し、退所後の相談体制についても案内され
ています。
Ⅲ-1-(3) 子どもの満足の向上に努めている。
33
Ⅲ-1-(3)-① 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取
a・ⓑ・c
組を行っている。
<コメント>
愛着関係に基づいた日々のかかわりの中で、職員は子どもの笑顔や楽しんでいる様子、喜びの表
情・しぐさなどを捉えて、その満足度の把握に努められています。例会やケース会議で把握した満足度
について分析・検討が行われ、具体的な養育・支援の改善に結びつけられています。保護者の満足
度については、面会時などにコミュニケーションを図り、意見や要望の聴取に努められていますが、サ
ービスの特性上、難しい面もあるようです。現在は特別に定められた仕組みなどはないとのことですの
で、保護者の満足度の把握と向上に継続的に取り組む仕組みの構築を期待します。
Ⅲ-1-(4) 子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。
34
Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能してい
ⓐ・b・c
る。
<コメント>
苦情解決の仕組みについては施設内掲示やホームページ上で紹介されています。保護者などから
出された苦情は、迅速な解決を心がけ、必要に応じて第三者委員にもつながれています。苦情対応
結果についてはホームページ上で公表されています。
35
Ⅲ-1-(4)-② 保護者等が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保
a・ⓑ・c
護者等に周知している。
<コメント>
入所時には養育担当職員に限らず、心理士との面談もできることを伝え、保護者からの希望によっ
て面談が実施されていますが、説明用文書の作成や掲示、配布にまでは至っていない状況です。保
護者との面談時にはプライバシーへの配慮や相談しやすいスペース確保に努められています。
36
Ⅲ-1-(4)-③ 保護者等からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速
a・ⓑ・c
に対応している。
<コメント>
意見箱を玄関に設置し、保護者からの相談や意見・提案などには迅速に対応されていますが、マニ
ュアル等の整備には至っていない状況です。施設として保護者等が相談・意見・提案をしやすい環境
を整備することは、子ども本位の養育・支援には不可欠であるため、対応マニュアルの作成が望まれま
す。
Ⅲ-1-(5) 安心・安全な養育・支援の提供のための組織的な取組が行われている。
37
Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な養育・支援の提供を目的とするリスクマ
ⓐ・b・c
ネジメント体制が構築されている。
<コメント>
ヒヤリハット報告を集計・分析し、施設内のヒヤリハットマップが作成され、全職員に周知されていま
す。ヒヤリハット、事故報告書を基に会議にて要因分析や改善策の検討が行われ、再発防止に努めら
れています。
38
Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保の
ⓐ・b・c
ための体制を整備し、取組を行っている。
<コメント>
感染症対策は看護師を中心にマニュアルに基づいて行われています。看護委員会が設置され、対
策の見直しなども行われています。職員への研修や職員が感染源にならないよう手洗い、消毒、必要
に応じたマスク着用の励行、健康管理などに取り組まれています。子どものスペースでは、消毒薬での
拭き掃除や適切な温湿度の管理が行われており、食事や睡眠、外気浴などを通して、子どもの自己
免疫を高めることに努められています。感染症罹患時には隔離室が設けられ、養育・支援が 1 対 1 で
行われるなど、感染拡大防止にも努められています。
39
Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組
ⓐ・b・c
織的に行っている。
<コメント>
消防署の立会い・指導を受けながらの総合訓練が年1回実施されるほか、緊急連絡網を使っての
通報訓練や夜間想定(呼び出し)訓練、地震・突風・竜巻といった災害時の訓練も定期的に実施され
ています。当乳児院は博多消防署が認定する救マーク(応急手当が実施できる体制が整備されてい
る)を更新・継続されています。災害時の食料(水・茶・ミルク・レトルト食品など)と備品(紙おむつなど)
のリストが作成され、消費期限前の入れ替えなども適切に行われています。
Ⅲ-2
養育・支援の質の確保
第三者評価結果
Ⅲ-2-(1) 提供する養育・支援の標準的な実施方法が確立している。
40
Ⅲ-2-(1)-① 提供する養育・支援について標準的な実施方法が文書
ⓐ・b・c
化され養育・支援が提供されている。
<コメント>
養育・支援の実施方法が具体的場面毎・クラス毎の活動スケジュールとして文書化され、各クラス
への配布や研修・会議・個別指導などでの周知に取り組まれています。また、「養育の見直し」や「より
適切なかかわりをするためのチェックポイント」に基づき、権利擁護意識の醸成にも努められています。
養育・支援の実施方法については、日常的に職員相互でチェック・評価を行われています。
41
Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確
a・ⓑ・c
立している。
<コメント>
標準的な実施方法の見直し・改訂が行われています。ほぼ毎年見直しが行われているということで
すが、その時期や方法についての定めが明確でなく、保護者の意見や提案が確実に反映される仕組
みが構築されているとは言い難い状況がうかがえます。
Ⅲ-2-(2) 適切なアセスメントにより養育・支援実施計画が策定されている。
42
Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な養育・支援実施計画
a・ⓑ・c
を適切に策定している。
<コメント>
自立支援計画については責任者である保育士長による助言や指導が行われています。定められた
様式でアセスメントを行い、専門職を含む様々な職種が参加して計画の検討が行われています。目標
を設定し、発達グラフを3ヶ月ごとにチェックしながらアセスメントの見直しも行われています。しかし、そ
のプロセスの整理・ルール化は今後の課題と捉えます。
43
Ⅲ-2-(2)-② 定期的に養育・支援実施計画の評価・見直しを行って
ⓐ・b・c
いる。
<コメント>
自立支援計画は児童相談所と共有されており、プランの達成度をモニタリングしながら評価に基づく
年2回の見直しに取り組まれています。
Ⅲ-2-(3) 養育・支援実施の記録が適切に行われている。
44
Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する養育・支援実施状況の記録が適切に行
ⓐ・b・c
われ、職員間で共有化さている。
<コメント>
一人ひとりのファイルがあり、子どもの身体状況や生活状況、入所時からの記録などの関係書類が
ファイリングされています。養育・支援については決まった様式に記入され、パソコンのネットワークにより
共有されています。保護者情報を含めた子どもに関する新しい情報は、事務日誌に記入され、報告に
より共有化に努められています。
45
Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。
a・ⓑ・c
<コメント>
個人情報の利用目的は施設内に掲示されていますが、保護者への説明・配布は行われていない
状況です。記録管理の責任者は保育士長であり、書類の整理に努められていますが、廃棄されない
ため書類が年々増え、保管場所の確保と工夫は今後の課題と言えます。
内容評価基準(22 項目)
※「共通評価基準評価対象Ⅲ 適切な養育・支援の実施」の付加項目
A-1
子ども本位の養育・支援
第三者評価結果
A-1-(1) 子どもの尊重と最善の利益の考慮
A①
A-1-(1)-① 社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われ
ⓐ・b・c
ることを職員が共通して理解し、日々の養育・支援において実践して
いる。
<コメント>
全国乳児福祉協議会の「乳児院倫理要領」や「より適切なかかわりをするためのチェックポイント」を
基に作成された施設独自のチェックポイントを用いて、職員一人ひとりによる年4回の振り返りが行われ
ています。職員自身が養育やかかわりについて振り返ることは勿論ですが、職員相互で気づきの促し
や意識の共有ができる関係性の構築にも努められています。OJTやスーパービジョンの活用、各種研
修会への参加などによって、養育・支援の技術や知識を高めていくことが子どもの最善の利益に必要
であるとの認識のもと、意欲的に学ぶということが行われています。
A-1-(2)被措置児童等虐待対応
A②
A-1-(2)-① いかなる場合においても体罰や子どもの人格を辱め
ⓐ・c
るような行為を行わないよう徹底している。
<コメント>
就業規則には体罰の禁止が明記されています。養育・支援の場面で不適切なかかわりがないよう
に、職員の認識を醸成する取り組みが幾重にも重ねられています。職員間での学び合いや専門職の
アドバイス、保育士長によるスーパーバイズによって技術や知識を向上するよう努められています。
A③
A-1-(2)-② 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見
a・ⓑ・c
に取り組んでいる。
<コメント>
研修参加や「チェックポイント」を活用した自己のかかわりなどに関する振り返りは行われています
が、不適切なかかわりが生じた場合の罰則などの定めについては充分とは言い難い状況がうかがえま
す。職員相互による気づきや幹部職員からの指導体制を充実することで防止に努めるだけでなく、不
適切なかかわりは乳児院の職員として許されない行為といった認識の周知によるリスクマネジメントの
徹底を期待します。
A④
A-1-(2)-③ 被措置児童等虐待の届出・通告に対する対応を整備
ⓐ・b・c
し、迅速かつ誠実に対応している。
<コメント>
新任職員の採用時には「虐待防止ガイドライン」を必ず配布し、内容の説明が行われています。現
任職員にも被措置児童虐待の届出や通告に関する説明が行われ、外部研修への参加や会議にて理
解を深める取り組みが行われています。
A-2
養育・支援の質の確保
第三者評価結果
A-2-(1) 養育・支援の基本
A⑤
A-2-(1)-① 子どものこころによりそいながら、子どもとの愛着関
ⓐ・b・c
係を育んでいる。
<コメント>
平成27年度から月齢・年齢に応じた縦割り制となり、副担当制の導入によって一貫した担当養育
制の実現に近づけられています。乳児院全体を大きな一つの家族と捉えられており、訪問中には施設
長を「じいじ」、保育士を「お姉ちゃん」と呼ぶ姿も見られ、“おんぶ”や“抱っこ”をされた子どもの満足気
な表情や安心している姿を目にすることができました。
A⑥
A-2-(1)-② 子どもの生活体験に配慮し、豊かな生活を保障してい
a・ⓑ・c
る。
<コメント>
身体を十分に使った遊びや好奇心を満足させる活動、自然との触れ合い、社会体験などの機会が
設けられており、心身の発達に必要な経験を積み重ねられるように配慮されています。病児デイケア
のスペースを小規模グループホームに転化し、家庭的な雰囲気の中で生活できる取り組みも拡充さ
れています。
子ども一人ひとりのマークやキャラクターが設定されており、持ち物や玩具などが区別されています
が、一人ひとりが玩具やスペースを選んで遊べるコーナー作りについては検討中であり、その実現が待
たれます。
A⑦
A-2-(1)-③ 子どもの発達を支援する環境を整えている。
ⓐ・b・c
<コメント>
入所時のアセスメントを基本として日々の観察や3ヵ月毎の精神発達検査、定期的なカンファレンス
などの情報を踏まえ、一人ひとりの発達状況に応じた養育・支援が展開されています。養育・支援の場
面では家庭での養育環境がもたらした発達の歪みや特性に十分配慮しながら感情や思いを受け止
め、穏やかな対応と言葉使い、スキンシップなどが状態に応じて使い分けられています。また、気にな
ることがある場合は心理士や作業療法士(福岡市立心身障がい福祉センター)に相談するなど、多面
的な発達支援が行われています。
A-2-(2) 食生活
A⑧
A-2-(2)-① 乳幼児に対して適切な授乳を行っている。
ⓐ・b・c
<コメント>
一人ひとりの乳児に抱っこ授乳ができるように職員が増員されています。授乳についてのマニュアル
が整備されており、職員には会議や研修の機会に共通理解に向けた説明が行われています。体重増
加不良や哺乳量低下などの問題がある子どもについては病院の指示を仰ぎ、必要に応じて体重測定
やミルク量の調整を行うなど細やかな対応が見られます。
A⑨
A-2-(2)-② 子どもの生活体験に配慮し、豊かな生活を保障してい
ⓐ・b・c
る。
<コメント>
子どもの発達状況や家庭での養育環境などを踏まえて、離乳食の開始時期や進めるスピードについ
ての話し合いが行われています。職員は院内研修で離乳食の食べさせ方を学び、一人ひとりのペース
や状況に応じた支援に努められています。
A⑩
A-2-(2)-③ 食事がおいしく楽しく食べられるよう工夫している。
ⓐ・b・c
<コメント>
子どもの年齢や発達状態に応じた椅子、テーブル、食器などが準備されています。食べやすい姿勢
を保つためにクッションなどを活用されており、食育活動にも取り組まれています。施設で生活する間に
食べることを楽しみ、マナーを習得できるよう養育・支援が行われています。
A⑪
A-2-(2)-④ 栄養管理に十分な注意を払っている。
ⓐ・b・c
<コメント>
食材には旬のものや野菜などが多く使用されており、食材を細かく切るなど嚥下や咀嚼がスムーズ
に行えるように配慮されています。心身の発達に必要なカロリーと栄養摂取ができるメニューが、子ども
の摂食状況の観察結果や養育担当者の意見などを反映してつくられており、アレルギーなどがある子
どもには除去や代替食が準備され、誤食がないような仕組みの中で提供されています。野菜作りや収
穫、調理活動などが食育活動として計画されており、計画に基づく活動が行われています。
A-2-(3) 衣生活
A⑫
A-2-(3)-① 気候や場面、発達に応じた清潔な衣類を用意し、適切
ⓐ・b・c
な衣類管理を行っている。
<コメント>
子どもたちの衣類は洗濯室の隣にある部屋で個別に管理されています。乳児期の動きや幼児期の
活動を考慮し、動きやすく身体に合ったものや気候に合ったものが選ばれています。また、発達段階に
応じて着脱しやすい衣類を使用されています。
A-2-(4) 睡眠
A⑬
A-2-(4)-①
乳幼児が快適に十分な睡眠をとれるよう取り組んで
ⓐ・b・c
いる。
<コメント>
乳児室は一人ひとりの生活リズムにあった睡眠が十分とれるよう、ラックやベッドが整えられていま
す。睡眠環境(温度・湿度)に配慮され、入眠時には音楽(オルゴールCD)を流すなど、心地よく眠れ
る環境づくりが行われています。また、敏感な子どもや障がいなどで睡眠に問題がある子どものケース
では、理学療法士(福岡市立心身障害福祉センター)や医療機関に相談し、その子の状態に応じた就
寝環境の整備に努められています。
A-2-(5) 入浴・沐浴
A⑭
A-2-(5)-① 快適な入浴・沐浴ができるようにしている。
ⓐ・b・c
<コメント>
沐浴や入浴が職員の介助によって毎日行われており、入浴に使用するタオルや備品、浴室は清潔
に保たれています。家庭用サイズの浴室もあり、入浴時には浴槽に玩具を入れたり、声かけを行ったり
して楽しく入浴できるよう心がけられています。
A-2-(6) 排泄
A⑮
A-2-(6)-① 乳幼児が排泄への意識を持てるように工夫している。
ⓐ・b・c
<コメント>
オムツ交換時にはスキンシップと言葉かけによって、心地よさを感じられるように配慮されています。
発達段階に応じて、トイレトレーニングに取り組まれており、オマルやトイレに座ることに慣れ、排泄できた
喜びを感じられるように支援されています。成功体験の積み重ねで自信を持って排泄の自立に向かう
ように一人ひとりの状態を良く観察し、根気強く誘導が行われています。
A-2-(7) 遊び
A⑯
A-2-(7)- ①
発達段階に応じて乳幼児が楽しく遊べるように工夫
a・ⓑ・c
している。
<コメント>
乳児養育ではベビーマッサージなど、言葉かけと共に行う触れあい遊びを大切にされています。子ど
もの好奇心や探究心を満たし、運動能力や知的発達などを高めていくために屋内外に玩具が整えら
れ、子どもの興味や発達段階に応じた遊びを援助したり、遊びこみができる環境を整備したりされてい
ます。しかし、玩具を自由に出し入れして遊ぶことができる環境整備には至っていない状況にあり、今
後の取り組みを期待したいところです。
A-2-(8) 健康
A⑰
A-2-(8)-① 一人ひとりの乳幼児の健康を管理し、異常がある場合
ⓐ・b・c
には適切に対応している。
<コメント>
入所時に聞きとった病気や予防接種などの情報を基に、必要な検診や予防接種を受けられるよう
にされています。日常的な健康管理は医療機関との連携のもとに行われ、必要に応じて通院など適切
な対応が行われています。1日2回の健康チェックやうつぶせ寝の禁止、睡眠状態のチェック、ベビー
センス(乳幼児用呼吸モニター)の利用により乳幼児突然死症候群の予防に努められています。
A⑱
A-2-(8)-② 病・虚弱児等の健康管理について、日常生活上で適切
a・ⓑ・c
な対応策をとっている。
<コメント>
日常的な健康状態を記録し、与薬チェック表の作成と活用によって、確実な与薬と誤薬防止に努
められています。子どもの病状に応じて専門医や主治医と連携を図り、夜間でも緊急時に対応できる
よう待機職員が配置され、迅速な対応ができる仕組みが構築されています。
A-2-(9) 心理的ケア
A⑲
A-2-(9)-① 乳幼児と保護者等に必要な心理的支援を行っている。
ⓐ・b・c
<コメント>
心理士が子ども、保護者それぞれに対応し、必要があれば関係機関と連携できる体制が整えられ
ています。
A-2-(10) 施設と家族との信頼関係づくり
A⑳
A-2-(10)-① 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族か
ⓐ・b・c
らの相談に応じる体制を確立している。
<コメント>
家庭支援専門相談員のほか、個別対応職員や里親専門相談員、心理士の配置があり、保護者な
どの相談に応じる体制が整備されています。面会時には、子どもの可愛さに気づいて欲しいという気持
ちで、小さな変化(成長)を伝えるように配慮されています。不安感を和らげ、話しやすい雰囲気づくり
を心がけ、じっくりと話を聞くことで信頼関係づくりに努められています。養育が不慣れな保護者には養
育指導を行い、面会に来られない保護者には子どもの様子を文書で伝えられています。
A-2-(11) 親子関係の再構築支援
A㉑
A-2-(11)-① 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極
a・ⓑ・c
的に取り組んでいる。
<コメント>
親子関係の再構築が目標となるケースでは、児童相談所や他機関と連携しながら支援が行われて
います。再構築プロセスにおける面会や外出、外泊時には、子どもの身体チェックや様子観察が丁寧
に行われ、不適切なかかわりの有無について確認されています。養育に不安がある保護者に対して
は、養育方法の指導をしたり、「家庭療法事業」として施設内に準備された部屋で宿泊いただいたりし
ながらの支援が行われています。親子関係再構築は重要な課題の一つと考えられていますので、具
体的なプログラムの作成と活用が今後の課題と捉えます。
A-2-(12) スーパービジョン体制
A㉒
A-2-(13)-① スーパービジョンの体制を確立し、施設の組織力の
a・ⓑ・c
向上に取り組んでいる。
<コメント>
基幹的職員を配置し、スーパーバイザーとして職員からの相談等に対応されています。新任職員は
中堅職員とペアを組み、一人で問題を抱え込まないよう指導や助言、様々な相談ができる体制が構
築されています。基幹的職員へ相談する前に助言し合う職員集団になっているとのことですが、支援
技術や組織力向上を図る上で、継続的なスーパービジョンへの取り組みが求められます。
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