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木質資源の炭素化過程と生成炭の特性

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木質資源の炭素化過程と生成炭の特性
平成 17 年度卒業論文
木質資源の炭素化過程と生成炭の特性
Carbonization process of woody resource and characters
of the charcoal
高知工科大学
工学部
物質・環境システム工学科
1060077
古谷
信尊
指導教員
坂輪
光弘
目次
第一章 緒言 ........................................................................................................................ 3
1-1.背景............................................................................................................................ 3
1-2.研究目的 .................................................................................................................... 3
第 2 章 実験 ........................................................................................................................ 4
2-1.試料............................................................................................................................ 4
2-2.実験方法 .................................................................................................................... 4
2-2-1.水銀ポロシメーターによる評価 ........................................ 4
2-2-2.TMA・TG-DTA による評価 .............................................. 4
2-2-3.比表面積測定装置による評価 .......................................... 4
2-2-4.SEM による評価 ...................................................... 5
2-2-5.pH 測定器による評価 ................................................. 5
2-2-6.ガス検知管による評価 ................................................ 5
第三章 結果及び考察.......................................................................................................... 6
3-1.空隙率と嵩密度の比較 ............................................................................................... 6
3-1-1.最高温度変化における空隙率と嵩密度の比較 ............................ 6
3-1-2.炭素化前と炭素化後(最高温度 1000℃で炭素化)での嵩密度の比較 ........ 6
3-2.収縮率の比較 ............................................................................................................. 7
3-2-1. 実証実験Ⅰ-バークの繊維が収縮率を低下- ............................. 8
3-2-2. 実証実験Ⅱ-セルロース含有量の少なさが収縮率を低下- ................. 9
3-2-3. 実証実験Ⅲ-灰分量の差が膨張率を増加- .............................. 10
3-2-4. 収縮率低下要因のまとめ ............................................ 11
3-2-5. 実証実験Ⅰ∼Ⅲの混合実験-おが屑から人工バークを創る- .............. 13
3-3.比表面積測定装置(BET 法)による比表面積の比較 ............................................... 14
3-3-1.バーク炭及びおが屑炭のミクロ孔とメソ孔の比較 ....................... 15
3-4.ガス検知管によるバーク炭のホルムアルデヒドガスの吸着量 ................................ 15
3-5.最高温度変化による pH の比較 ................................................................................ 16
3-6.昇温速度が及ぼす影響 ............................................................................................. 16
3-6-1.水銀ポロシメーターによる空隙率と嵩密度の比較 ....................... 16
3-6-2.比表面積測定装置(BET 法)による比表面積の比較 ........................ 17
3-6-2-1.DR 法によるミクロ孔と BJH 法によるメソ孔の評価 ..................... 18
第四章 バーク炭の利用 .................................................................................................... 19
第五章 総括 ...................................................................................................................... 20
謝辞................................................................................................................................. 20
参考文献.......................................................................................................................... 20
2
第一章
緒言
1-1.背景
21 世紀は 環境の時代 と言われ、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄という概念が
変化しつつある。これまで、人々は周りに目を向ける事無く豊かさだけを求め、ただひた
むきに突き進んで来た。そして、多くの人々が豊かさを得た。私たちもその流れの中にい
る。しかし、私たちは豊かさを得たと引き換えに生命存続に危機にさらされている。人々
の一匹狼とも言える活動にこれまで耐えてきた地球生命が悲鳴を上げ始めたのだ。人々は、
これを 地球環境問題 と呼ぶ。この言葉は、一種の流行語となり公的機関や民間企業の
みならず各家庭にまで浸透している。これを期に人々の従来の 大量生産・大量消費・大
量廃棄 という概念が、 リデュース・リユース・リサイクル という概念に大きく変化し
た。現在では、 環境 という言葉なしでは前に進めない状況となっている。
このような時代の流れに乗り、近年では廃棄物に付加価値を付け有用資源化する研究が
盛んに行われようになった。全国各地の製材所等からも多くのおが屑やバーク等の廃棄物
が発生している。平成 11 年農林水産省などの関係省庁、関係団体で組織する「生物系廃棄
物リサイクル研究会」がまとめた「主な生物系廃棄物の発生量」によると林業系からの廃
棄物発生量は 547 万トンとなっている。その内訳は、おが屑が 50 万トン、バークが 95 万
トン、木屑が 402 万トンである 1)。そこで、様々な研究機関等がおが屑やバーク等の有効
活用法を模索し始めた。間伐材を利用した土木資材、木材チップを利用した舗装、おが屑
を利用したオガライトなど木質系資源物を有効活用した製品は多い。その中でもバークは、
主に熱源や肥料として有効活用されている。しかし、それらの活用法だけでは十分と言え
ずバークは未利用のまま製材所等で野放しにされているのが現状である。このため、バー
クの画期的な有効活用法を見出す事が急務となっている。そこで、バークの画期的な有効
活用法が確立されれば、全国の製材所等が抱えるバーク処理の問題を解決する事が可能と
なる。
1-2.研究目的
私たちの研究室では木質系廃棄物を炭素化させることで付加価値を付け有効活用する研
究を行っている。そこで、私は木質系廃棄物の中でも発生量の多いバークに焦点を当てた。
そしてバークを炭素化して付加価値を付けることにより、その有効活用法を見出す事を目
的とした。バークの有効利用法を確立する為には、まずバークを炭素化した際にどのよう
な特性が生じるのかを把握しなければならない。そこで、バークを基本とし比較試料にお
が屑を用いた。そして、バーク及びおが屑を炭素化した際の生成炭の空隙率や嵩密度、比
表面積や細孔の変化を検証した。また、バークとおが屑では炭素化過程に大きな変化が起
こる。この変化要因の解明も同時に行った。さらに、昇温速度が生成炭に及ぼす影響とそ
の影響の解明を行った。これらの実験結果を基にバーク炭の物理的特性を把握し、バーク
の特性に応じたバークの画期的な有効活用法を見出す。
3
第2章
実験
2-1.試料
①試料調整:スギのバーク及び比較試料としてのおが屑(両者共に丸和林業株式会社よ
り提供)を家庭用ミキサーで粉砕し、0.71mm の篩にかけた 2 種類を試料して用いた。まず、
粒度を統一させたバークとおが屑を乾燥機で乾燥させる。次に、乾燥した試料 5g を円柱型
の金型(Φ:30mm、L:50mm)に挿入し、小型ホットプレス機(アズワン社製、型番 AK-0894-010)を用
いて成型を行った(成型条件;上下温度:150℃、加圧:40Mpa、加圧時間:10min)。
②炭素化:成型した試料を小型電気炉(東洋製作所株式会社製、タイプ:FUT552FA)に
挿入して炭素化を行った(炭素化条件;窒素雰囲気下、窒素流量:0.2ℓ/min、昇温速度:2℃
/min と 10℃/min、最高温度:250,350,450,600,800,1000℃)
。
2-2.実験方法
2-2-1.水銀ポロシメーターによる評価
バーク及びおが屑を炭素化した際の空隙率と嵩密度の変化を水銀ポロシメーター
(Thermo Quest Italia S.p.A.製 、Porosimeter PASCAL140,440)で測定した。
試料:2-1①の条件で成型したバーク及びおが屑を昇温速度 10℃/min 及び 2℃/min とし
最高温度 20,250,350,450,600,800,1000℃で炭素化を行った試料を使用した。
2-2-2.TMA・TG-DTA による評価
バーク及びおが屑の炭素化時における圧縮方向(ホットプレスにより圧縮した方向)と
横方向(ホットプレスにより圧縮した面に対して垂直方向)の収縮率の変化を熱機械分析
(マックサイエンス製、TMA4000S)を用いて測定した。また、バーク及びおが屑の灰分と炭素化時の重
量減少の変化を示差熱天秤(TG-DTA2000S)を用いて測定した。
試料:TMA では 2-1①の条件で成型したバーク及びおが屑を 5×5×5mm のサイズに切断し
た試料を使用し、窒素雰囲気下において昇温速度 10℃/min とし最高温度 1000℃で炭素化を
行った。また、TG-DTA を用いての灰分測定は 2-1①の条件で成型したバーク及びおが屑を
昇温速度 10℃/min とし最高温度 1000℃で炭素化を行った後に紛体にした。そして、その粉
体を昇温速度 20℃/min とし最高温度 1000℃で燃焼させた。さらに、TG-DTA を用いての重
量減少測定は、セルロース試薬及びリグニン試薬の粉体を昇温速度 10℃/min とし最高温度
1000℃で炭素化を行った。
2-2-3.比表面積測定装置による評価
バーク及びおが屑の炭素化前と炭素化後(最高温度 1000℃で炭素化)における比表面積
の変化、昇温速度 10℃/min と 2℃/min での比表面積の変化を BET 法による比表面積測定装
置(ユアサアイオニクス製、NOVA1200)を用いて測定した。また、ミクロ孔の評価では DR 法を用いメソ
孔の評価では BJH 法を用いて細孔の評価を行った。
試料:2-1①の条件で成型したバーク及びおが屑を窒素雰囲気下において 10℃/min 及び
2℃/min とし最高温度 450, 1000℃で炭素化を行ない紛体にした試料を使用した。
注)比表面積測定装置は、前処理として試料を 300℃で過熱する為にバーク及びおが屑は前
処理時に炭素化が進む。そこで、バーク及びおが屑をあらかじめ 450℃で炭素化した試料を
炭素化前として比較した。
4
2-2-4.SEM による評価
バーク及びおが屑の構造の変化を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型式
JSM-5310)を用いて観察した。
試料:2-1①の条件で成型したバーク及びおが屑を昇温速度 10℃/min とし最高温度 1000℃
で炭素化を行った。
2-2-5.pH 測定器による評価
2-1①の条件で成型したバーク及びおが屑を炭素化した際の pH の変化を pH 測定器(株式
会社堀場製作所製、型番:D-51S)を用いて測定した。
試料:昇温速度 10℃/min とし最高温度を 20(常温時),250,350,450,600,800,1000℃で
炭素化を行ったバーク及びおが屑を使用した。そして、粒度 150μm 以下に統一した試料 1
gと精製水 100ml を混ぜ 10 分加熱した後、自然冷却し pH を測定した。
2-2-6.ガス検知管による評価
バーク炭のホルムアルデヒドの吸着量を真空法ガス採取器(光明理化学工業株式会社製、
型式:AP-20)とガス検知管(光明理化学工業株式会社製、北川式ガス検知管、Lot No.420105
とガステック株式会社製、気体検知管、No.91L)を用いて評価した。使用するガスはホル
ムアルデヒド溶液を加熱し生じた蒸気を冷却させてホルムアルデヒドガスを得た。そして、
10L の空気を入れたテドラーパック(アズワン社製、コード:1 6663 06)にホルムアルデ
ヒドガス注入させ濃度を希釈し暗所に設置した人工気象器(株式会社日本医化器械製作所
製、タイプ:LPH-200-RDMP)内で一日間放置した(気象器内条件;温度 28℃、湿度 55%)。
さらにバーク炭を入れた 10L のテドラーパックに一日間放置したホルムアルデヒドガスを
注入し、0,10,30,60,120,240 分ごとにホルムアルデヒド濃度を測定した。
試料:昇温速度 10℃/min とし最高温度 1000℃で炭素化を行った未成型のバークを使用し
た。
5
第三章
結果及び考察
3-1.空隙率と嵩密度の比較
3-1-1.最高温度変化における空隙率と嵩密度の比較
バーク
50
嵩密度(g/cm 3 )
1.6
おが屑
40
30
バーク
1.4
おが屑
1.2
1
0.8
0.6
20
0.4
10
0.2
0
0
0
200
400
600
0
800
1000
温度(℃)
Fig.1 昇温速度 10℃/min での空隙率
200
400
600
800
1000
温度(℃)
Fig.2 昇温速度 10℃/min での嵩密度
Fig.1,2 は、水銀ポロシメーターによるバーク及びおが屑の昇温速度 10℃/min での空隙
率と嵩密度の測定結果を表す。Fig.1 の空隙率は、バーク及びおが屑共に最高温度の上昇に
伴い増加している。Fig.2 の嵩密度は、バーク及びおが屑共に最高温度の上昇に伴い減少し
ている。このことからバーク及びおが屑を炭素化すると最高温度が上昇するにつれ空隙が
増加し、嵩密度が減少する事が判る。
3-1-2.炭素化前と炭素化後(最高温度
1000℃で炭素化)での嵩密度の比較
Fig.3 は、水銀ポロシメーターによる
バーク及びおが屑の炭素化前後の嵩密
度の測定結果を表す。バークは、炭素
化前に比べ炭素化後の嵩密度の減少量
が大きいが、おが屑は炭素化前に比べ
炭素化後の嵩密度の減少量が小さい。
このバークとおが屑に生じる差を解明
するために TMA を用いてバーク及びお
が屑の炭素化時の収縮率を測定した。
嵩密度(g/cm 3 )
空隙率(vol.%)
60
1.6
炭素化前
1.4
炭素化後
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
F
バーク
Fig.3
6
おが屑
嵩密度の比較
3-2.収縮率の比較
膨張率(%)
バーク及びおが屑の炭素化時の収縮率の結果を Fig.4,5 に表す。バークの圧縮方向及び
横方向の収縮率は、おが屑に比べ低い。この事から、バークは炭素化時の収縮率が低いた
めに繊維同士の密着力が弱まり嵩密度の減少量がおが屑に比べ大きくなると考えられる。
また、圧縮方向においておが屑は 200∼300℃の間で一度膨張するが、この要因については
4-2-4.バークの決定的な収縮率低下要因に記す。
30
バーク
20
おが屑
10
0
-10
-20
-30
-40
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
温度(℃)
膨張率(%)
Fig.4 圧縮方向の収縮率
10
バーク
おが屑
0
-10
-20
-30
-40
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
温度(℃)
Fig.5 横方向の収縮率
上記のグラフからバークとおが屑では炭素化時の収縮率に大きな差が生じる。この要因
として次の三つの事が挙げられる。①バークの太く長い繊維が収縮率を低下させる。②バ
ークのセルロース含有量の少なさ(リグニン含有量の多さ)が収縮率を低下させる。③バ
ークの灰分の多さが収縮率を低下させる。これらの要因を実証するために以下の実験を行
った。
7
3-2-1.実験Ⅰ-バークの繊維が収縮率を低下-
Phot.1 バーク炭(横方向)
Phot.2 おが屑炭(横方向)
膨張率(%)
Phot.1,2 は、SEM を用いて撮影したバーク炭及びおが屑炭の横方向の写真である。Phot.1
を見てもわかるようにバークは太く長い繊維を持っている。そのため成型を行っても太く
長い繊維がクッションとなり繊維同士の密着力を弱くさせ空隙が多くなっている。一方、
Phot.2 のおが屑は成型により仮導管が押しつぶされた細胞壁の塊になっており細胞壁の塊
同士の密着力が強く空隙が少ない。そこで、バークの太く長い繊維が収縮率を低下させて
いると考え次の実験を試みた。まず、おが屑 4g にバークの太く長い繊維を模した脱脂綿 1g
を混入させおが屑の繊維化を図った。次に、脱脂綿を混入させたおが屑を 2-1①で述べた条
件で成型と炭素化を行った。その時の収縮率の変化を Fig.6,7 に表す。
30
おが屑
20
脱脂綿入りおが屑
10
0
-10
-20
-30
-40
0
100
200
300
400
500
600
Fig.6 圧縮方向の収縮率
8
700
800
900
1000
温度(℃)
0
おが屑
脱脂綿入りおが屑
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
温度(℃)
Fig.7 横方向の収縮率
圧縮方向及び横方向共に脱脂綿を混入させたおが屑が、脱脂綿を混入させていないおが
屑よりも収縮率が低下した。このことは脱脂綿の繊維が収縮率を低下させる要因である事
を示している。したがって、バークの持つ太く長い繊維が収縮率を低下させている可能性
が高い。
3-2-2.実験Ⅱ-セルロース含有量の少なさが収縮率を低下木材の主成分は、ホロセルロース(セルロースとヘミセルロース)とリグニンから成る。
スギ(おが屑)の含有成分の存在割合はホロセルロース 77%、リグニン 21%、その他(芳香
族化合物、無機質等)2%となっている。しかし、バークの含有成分の内訳はホロセルロー
ス 44%、リグニン 30%、その他 26%となっている2)。そこで、バークのホロセルロースの割
合の低さ(リグニンの割合の多さ)が収縮率を低下させると考え次の実験を行った。まず、
バーク 20g にセルロース試薬(MERCK、Lot No.K32941731 412)40g を混入させた。この時、
バークとセルロース試薬が良く混ざるように適量の精製水を加え加熱し水分を蒸発させた。
次に、セルロース試薬を混入させたバークを乾燥機で乾燥させ 2-1①で述べた条件で成型と
炭素化を行った。この時の収縮率の変化を Fig.8,9 に表す。
10
膨張率(%)
膨張率(%)
5
バーク
5
セルロース入りバーク
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
0
100
200
300
400
500
600
Fig.8 圧縮方向の収縮率
9
700
800
900
1000
温度(℃)
膨張率(%)
5
バーク
0
セルロース入りバーク
-5
-10
-15
-20
-25
-30
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
温度(℃)
Fig.9 横方向の膨張率
圧縮方向及び横方向共にセルロース試薬を混入させたバークが、セルロース試薬を混入
させていないバークよりも収縮率が増加した。バーク及びおが屑に含まれるセルロースと
本研究で使用したセルロース試薬は必ずしも同じ組成とは限らないが、Fig.8,9 が表すよう
にバークにセルロース試薬を混入させる事により収縮率に変化が生じている。このことか
ら成型物に含まれるセルロース量が多い方(リグニン量が少ない方)が収縮率の増加に繋
がる。したがって、セルロース含有量の少ない(リグニン含有量の多い)バークは、おが
屑に比べ収縮率が低下すると考えられる。
3-2-3.実験Ⅲ-灰分量の差が膨張率を増加Table.1 灰分量の比較
成型物に含まれる灰分は、ホロセルロースやリグ
ニン間に存在しており炭素化時の収縮を阻害して
灰分量
いると考えられる。そこで、TG-DTA を用いてバー
試料名
(wt.%)
ク及びおが屑の灰分測定を行った。その結果を
Table.1 に表す。バークの灰分量は、約 9%に対しお
バーク
8.90
が屑の灰分量は約 2%である。そこで、バークの灰
分量の多さが収縮率を低下させていると考え次の
おが屑
1.85
実証実験を行った。まず、混入させる灰分の採集を
行った。成型をしていないバークを炭素化し、そこで得た炭素化物を酸素雰囲気下で最高
温度 800℃に設定した小型電気炉に挿入した。そして生じた白い灰を灰分として採集した。
そして、採集した灰分 0.16g をおが屑 4g に混入させ、2-1①で述べた条件で成型と炭素化
を行った。この時の収縮率の変化を Fig.10,11 に表す。
10
膨張率(%)
30
灰分添加おが屑
20
おが屑
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
温度(℃)
膨張率(%)
Fig.10 圧縮方向の収縮率
5
0
灰分添加おが屑
おが屑
600
900
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
0
100
200
300
400
500
700
800
1000
温度(℃)
Fig.11 横方向の収縮率
圧縮方向及び横方向共に灰分を混入させたおが屑は、混入させていないおが屑よりも収
縮率が低下した。この結果から成型物に含まれる灰分量が多いと炭素化時の収縮率が低下
する事が明らかとなった。したがって、おが屑よりも灰分量の多いバークは、収縮率が低
下すると考えられる。
3-2-4. 収縮率低下要因のまとめ
これまでバークの収縮率低下要因を述べてきたが、その中で最も収縮率低下に関与する
要因はバークの持つ太く長い繊維であると考えられる。そこで以下の実験を試みた。バー
ク及びおが屑の含有成分であるリグニンを Wise 法を用いて除去し、ホロセルロースの定量
を行った。そして、バーク及びおが屑のホロセルロースを使用し 2-1①で述べた条件で成型
と炭素化を行った。この時の収縮率の変化を Fig.12,13 に表す。
11
膨張率(%)
5
バーク
0
おが屑
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
温度(℃)
Fig.12 圧縮方向のホロセルロースの収縮率変化
膨張率(%)
5
バーク
0
おが屑
-5
-10
-15
-20
-25
-30
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
温度(℃)
Fig.13 横方向のホロセルロースの収縮率変化
圧縮方向及び横方向共にバークのホロセルロースは、おが屑のホロセルロースよりも収
縮率が低い。バークとおが屑のホロセルロースでは、組成等が必ずしも一致しているとは
限らない。しかし、Fig.12,13 が表すように収縮率に大きな差が生じることからバークの持
つ太く長い繊維が収縮率低下に最も関与していると考えられる。
また、冒頭で述べたおが屑の初期膨張だが Fig.12 のホロセルロースでは、おが屑の初期
膨張が見られない。このことからおが屑の初期膨張は、リグニンが関与していると考えら
れる。リグニンの分離点は、130∼160℃である。リグニンは、バークの繊維間またはおが
屑の細胞壁中に存在しており、それらを結合している役割を果たしている3)。その為、炭素
化時の温度が 130∼160℃付近では、リグニンが分離する事でバークの繊維またはおが屑の
細胞壁間が広がる。この事から、おが屑の初期膨張が起こると考えられる。そして、Fig.6
よりおが屑に繊維質である脱脂綿を混入させる事で、おが屑の初期膨張が抑制された。こ
12
のことからバークは、太く長い繊維がリグニンによる初期膨張を抑制していると言える。
次に Fig.14 に TG-DTA を用いて測定した
セルロース試薬とリグニン試薬の重量減少
の結果を表す。セルロースは、炭素化時の
重量減少量が大きい。一方、リグニンの炭
素化時の重量減少量は小さい。この事から
セルロースは炭素化時の重量減少が大きい
ために、揮発成分が揮発して収縮率が増加
する。しかし、リグニンは炭素化時の重量
減少が小さいために、揮発成分の揮発量が
少なく収縮率が低下する。したがって、セ
ルロース含有量が少なくリグニン含有量の
多いバークは、
炭素化時の収縮率が低下する。このセルロ
ース含有量の差は、バークの一番の収縮率
低下要因である太く長い繊維に次いで収縮
率低下に繋がっていると考えられる。
重量減少(wt.%)
120
リグニン
セルロース
100
80
60
40
20
0
0
200
400
600
800
1000
温度(℃)
Fig.14 重量減少の変化
膨張率(%)
3-2-5.実験Ⅰ∼Ⅲの混合実験-おが屑から人工バークを創る実証実験Ⅰ∼Ⅲでは、バークが太く長い繊維を持っていることやセルロース含有量が少
なく(リグニン量が多く)灰分量が多いことが収縮率を低下させている可能性が高いと結
論付けた。もし仮に、おが屑に収縮率低下要因を意図的に加えたとする。その時、バーク
と酷似した収縮率を示せば実証実験Ⅰ∼Ⅲで得られたバークの収縮率低下要因の結果が明
確であるという事が言える。そこで、おが屑から人工バークの製造を試みた。まず、おが
屑 5g に脱脂綿 0.2g を混入させ太く長い繊維を持たせる。次に、リグニン試薬(ナカライテ
スク、コード:20453-15)2.5g を加える事でおが屑のセルロース含有量を低下させる。そし
て、灰分 0.16g と適量の精製水を加え良く混ぜた後に乾燥機に入れ乾燥させる。乾燥機に
入れた試料が乾燥したら 3-1.試料で述べた条件で成型と炭素化を行った。炭素化時の収縮
率の変化を Fig.15,16 に表す。
30
人工バーク
20
バーク
おが屑
10
0
-10
-20
-30
-40
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
温度(℃)
13
膨張率(%)
Fig.15 圧縮方向の収縮率の変化
5
0
人工バーク
バーク
おが屑
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
温度(℃)
Fig.16 横方向の収縮率の変化
3-3.比表面積測定装置(BET 法)に
よる比表面積の比較
Fig.17 は、比表面積測定装置による
比表面積の測定結果を表す。バーク及び
おが屑共に炭素化前に比べ炭素化後の
比表面積が大きく増加している。また、
バークがおが屑に比べ炭素化後の比表
面積の増加量が大きい。
比表面積(吸着量)の増加には、ミク
ロ孔(細孔径 2nm以下)が大きく関与
し、メソ孔(細孔径 2nm∼50nm)はミ
クロ孔への分子拡散経路となる4)。この
事からバーク及びおが屑の比表面積変
化要因は、炭素化時の細孔の変化が関与
すると考えられる。そこで、DR 法を用
いたミクロ孔と BJH 法を用いたメソ孔
の評価を行った。
比表面積(m 2 /g)
圧縮方向では、人工バークはバークの収縮率とほぼ一致した。横方向では、人工バーク
はバークに一致はしなかったがバークの収縮率に近い結果となった。これらの事からバー
クが太く長い繊維を持っていることやセルロース含有量が少なく(リグニン含有量が多く)
灰分量が多いことが収縮率を低下させているという結論は、より明確となった。
140.0
炭素化前
120.0
炭素化後
100.0
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
バーク
おが屑
Fig.17 比表面積の比較
14
3-3-1.バーク炭及びおが屑炭のミクロ孔とメソ孔の比較
DR 法によるミクロ孔の変化と BJH 法によるメソ孔の変化を Fig18,19 に表す。まず、Fig18
の DR 法によるミクロ孔では、バーク及びおが屑共に炭素化前に比べ炭素化後のミクロ孔容
積が大きく増加している。おが屑に至っては急激な増加である。次に Fig19 の BJH 法によ
るメソ孔の変化を見てみるとミクロ孔と同様に炭素化後のメソ孔容積が大きく増加してい
る。また、ミクロ孔とは違いバークの方がメソ孔の増加量が著しい。このことからバーク
はメソ孔がおが屑よりも発達している為に分子をミクロ孔まで容易に運搬できる。したが
って、バークはおが屑よりも比表面積が増加すると考えられる。
メソ孔容積(cc/g)
0.1
1
炭素化前
炭素化後
0.1
0.1
0.1
0.9
炭素化前
炭素化後
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.1
0.3
0.0
0.2
0.0
0.1
0.0
0
バーク
おが屑
バーク
Fig18.ミクロ孔容積
3-4.ガス検知管によるバーク炭の
ホルムアルデヒドガスの吸着量
4-3.比表面積測定装置による比表面
積の比較で述べたようにバークは、おが
屑に比べ比表面積が大きい事から高い
ガス吸着能を有すると考えられる。その
為、実際にバーク炭を用いてシックハウ
ス症候群で代表的なホルムアルデヒド
ガスの吸着実験を行った。Fig.20 は、
ホルムアルデヒドガスの濃度変化を表
す。比較試料として実際に室内のホルム
アルデヒド吸着に使用している A 社製
炭を用いた。両者共に時間の経過に伴い
ホルムアルデヒドガス濃度が大きく減
少している。また、両者の吸着速度を一
次式と仮定して速度定数を比較すると
おが屑
Fig19.メソ孔容積
12.0
HCHO(ppm)
ミクロ孔容積(cc/g)
0.2
バーク炭
A社製炭
10.0
8.0
バーク炭の速度定数:2.22×10-4s-1
A 社製炭の速度定数:2.53×10-4s-1
6.0
4.0
2.0
0.0
0
50
100
150
200
250
Time(min)
Fig.20 ホルムアルデヒドガスの濃度変化
15
両者共にほぼ同じ値を示した。このことからバーク炭は、A 社製炭に劣らないホルムアルデ
ヒド吸着材であると言える。
本研究では、昇温速度 10℃/min とし最高温度 1000℃で炭素化を行ったバークを使用した。
しかし、4-6-2.で述べたように昇温速度が 2℃/min の方が比表面積が大きい。この事から、
昇温速度 2℃/min で炭素化を行う事によりさらにホルムアルデヒドの吸着量が増加すると
考えられる。
3-5.最高温度変化による pH の比較
14
pH
バ ー ク 及 び お が 屑 の pH の 変 化 を
Fig.21 に表す。最高温度 200℃まではバ
ーク及びおが屑に様々な官能基等が結合
しているため、pH は弱酸性を示す。しか
し、最高温度が 200℃を超えるとバーク
及びおが屑に結合していた様々な官能基
等が遊離し pH はアルカリ性を示す。最高
温度 600℃以上になるとそれ以下までほ
ぼ同じ値を示していたきたバーク及びお
が屑の pH に違いが生じる。バークは、最
高温度 600℃以上になるとおが屑よりも
アルカリ性を示す。これは、バークの灰
分量がおが屑に比べ多い事に起因する。
灰分には、酸化鉄や酸化ケイ素等が含ま
れている為、それらの化合物が多いバー
クがおが屑よりも pH がアルカリ性を示す
と考えられる。
バーク
12
おが屑
10
8
6
4
2
0
0
200
400
Fig.21
600
800
1000
温度(℃)
pH の変化
3-6.昇温速度が及ぼす影響
3-6-1.水銀ポロシメーターによる空隙率と嵩密度の比較
バーク
50
空隙率(vol.%)
空隙率(vol.%)
60
おが屑
40
60
50
40
30
30
20
20
10
10
0
バーク
おが屑
0
0
200
400
600
800
1000
温度(℃)
Fig.22 昇温速度 10℃/min での空隙率の変化
0
200
400
600
800
1000
温度(℃)
Fig.23 昇温速度 2℃/min での空隙率の変化
16
1.6
嵩密度(g/cm 3 )
バーク
1.4
おが屑
1.2
1
0.8
1
0.8
0.4
0.4
0.2
0.2
0
0
200
400
600
800
1000
温度(℃)
Fig.24 昇温速度 10℃/min での嵩密度の変化
おが屑
1.2
0.6
0
バーク
1.4
0.6
0
200
400
600
800
1000
温度(℃)
Fig.25 昇温速度 2℃/min での嵩密度の変化
Fig.22∼25 は、昇温速度 10℃/min 及び 2℃/min での空隙率と嵩密度の変化を表す。これ
らのグラフを見ると昇温速度 10℃/min と 2℃/min の空隙率と嵩密度には大きな差が生じな
い。このことから最高温度 1000℃までの領域において昇温速度 10℃/min と 2℃/min では空
隙率と嵩密度に大きな影響を及ぼさないと言える。
3-6-2.比表面積測定装置(BET 法)に
よる比表面積の比較
Fig.26 は、昇温速度変化における
比表面積の測定結果を表す。バーク及
びおが屑共に昇温速度 2℃/min で炭
素化を行った方が 10℃/min で炭素化
を行うよりも比表面積が大きく増加
する。また、比表面積の増加幅はバー
クの方がおが屑よりも大きい。この要
因を解明する為に DR 法を用いたミク
ロ孔と BJH 法を用いたメソ孔の評価
を行った。
比表面積(m 2 /g)
嵩密度(g/cm 3 )
1.6
300
10℃/min
2℃/min
250
200
150
100
50
0
バーク
おが屑
Fig.26 比表面積の比較
17
0.16
10℃/min
2℃/min
0.14
0.12
0.10
0.08
メソ孔容積(cc/g)
ミクロ孔容積(cc/g)
3-6-2-1.DR 法によるミクロ孔と BJH 法によるメソ孔の評価
1.2
10℃/min
2℃/min
1
0.8
0.6
0.06
0.4
0.04
0.2
0.02
0.00
0
バーク
おが屑
バーク
Fig.27 ミクロ孔の比較
おが屑
Fig.28 メソ孔の比較
Fig.27 に DR 法により解析したミクロ孔の容積を Fig28 に BJH 法により解析したメソ孔の
容積を表す。バークは、ミクロ孔及びメソ孔共に昇温速度 10℃/min に比べ 2℃/min の方が
容積量が増加している。一方、おが屑のミクロ孔容積は昇温速度が変化しても大きな差は
見られない。しかし、おが屑のメソ孔容積は昇温速度 2℃/min の方が 10℃/min に比べ増加
している。この事から昇温速度 2℃/min で炭素化を行った場合、バークはミクロ孔及びメ
ソ孔が発達し、おが屑はメソ孔が発達する。これにより昇温速度 10℃/min で炭素化を行っ
た時よりも 2℃/min で炭素化を行った時の方が比表面積が増加すると考えられる。
そして、
バークは昇温速度 2℃/min においてミクロ孔とメソ孔共に発達する為におが屑よりも比表
面積が大きくなると考えられる。
18
第四章
バーク炭の利用
燃料として利用される炭(コークス等)は、高強度及び高密度であることが求められる。しかし、バ
ーク炭は炭素化時の空隙率が大きく収縮率が低い為に嵩密度が低くなる。その為、バークは高密度炭の
原料としては適していない。しかし、本研究で解明した収縮率低下要因を改善する事(例えばバークの
粒度を細かくする事で繊維質を和らげる。バークにセルロースを混入させセルロース含有量を増加させ
る。バークに他の物質を混入させバークの繊維間の空隙を埋める等)で高密度炭の原料として利用でき
る可能性を秘めている。一方、吸着材や浄化材として利用される炭は、多孔質で高比表面積が求められ
る。Fig.29 に成型を行っていないバーク及びおが屑の炭素化前後の空隙率を表す。バーク炭は、おが屑
に比べ炭素化時の空隙率が大きい。また、4-3.で述べたようにバーク炭素化物の比表面積は、おが屑炭
素化物に比べ 2∼3 倍大きい。さらに、昇温速度を遅くする事でおが屑炭素化物よりもさらに高比表面
積の炭素化物が得られる。実際にバーク炭素化物はガス吸着実験においてホルムアルデヒドガスを吸着
し、それの濃度が大きく減少した。その為、バーク炭はガス吸着材や水質浄化材の原料として利用でき
る可能性が高いと考えられる。
空隙率(vol.%)
90
炭素化前
80
炭素化後
70
60
50
40
30
20
10
0
バーク
おが屑
Fig.29 未成型バーク及びおが屑の空隙率の比較
第五章
総括
これまでの実験結果より以下の知見を得られた。
<炭素化過程と生成炭の特性>
・ バーク及びおが屑共に最高温度の上昇と共に空隙率が増加し嵩密度が低下する。
・ バークは、おが屑に比べ炭素化後の嵩密度の減少量が多い。
・ バークは、おが屑に比べ収縮率が低い。この収縮率低下要因を以下に示す。
①太く長い繊維を持つ。②セルロース含有量が少ない。③灰分量が多い。
・ バーク及びおが屑共に炭素化前よりも炭素化後の比表面積が増加する。また、バークの方がおが
屑に比べ比表面積増加量が多い。
・ 未成型のバーク及びおが屑共に、炭素化前よりも炭素化後の空隙率が増加する。また、バークの
方がおが屑の空隙率よりも大きい。
・ バーク及びおが屑の pH は、最高温度の上昇と共にアルカリ性を示す。また、バークの方が、おが
屑に比べアルカリ性が強い。
<昇温速度変化による影響>
・ 最高温度 1000℃までの領域において昇温速度 10℃/min と 2℃/min では空隙率と嵩密度に大きな
影響はない。
・ バーク及びおが屑共に昇温速度 2℃/min の方が 10℃/min よりも比表面積が増加する。
謝辞
本研究を行うにあたり熱心なご指導と多くの知識提供をして頂いた
高知工科大学工学部物質・環境システム工学科坂輪光弘教授に心より御礼申し上げます。
本研究を行うにあたり貴重なご助言を頂いた
高知工科大学工学部物質・環境システム工学科堀澤栄講師に心より御礼申し上げます。
本研究を行うにあたり熱心なご指導と多くのご助言を頂いた
高知工科大学総合研究所眞邊照展助手に心より御礼申し上げます。
本研究を行うにあたり多くのご助言を頂いた坂輪研究室の皆様方に御礼申し上げます。
参考文献
1)『生物系廃棄物のリサイクルの現状と課題』(1999)生物系廃棄物リサイクル研究会編, 有機質資源
化推進会議
2)
『コンサイス木材百科』
(2002)秋田県立大学木材高度加工研究所編,(財)秋田県木材加工推進機構
3)『化学大辞典 縮別版』(1963∼1964)化学大辞典編集委員会編, 共生出版株式会社
4)『新・炭素材料入門』
(1996)炭素材料学会編, (株)リアライズ社
20
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