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Title 聾学校高等部卒業生の課題と就労支援について
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聾学校高等部卒業生の課題と就労支援について : 職場で
の課題と卒業後の支援の現状( fulltext )
岩本, 朋恵; 濱田, 豊彦
東京学芸大学紀要. 総合教育科学系, 58: 329-338
2007-02-00
URL
http://hdl.handle.net/2309/65482
Publisher
東京学芸大学紀要出版委員会
Rights
東京学芸大学紀要 総合教育科学系 58 pp.329 ~ 338,2007
聾学校高等部卒業生の課題と就労支援について
── 職場での課題と卒業後の支援の現状 ──
岩 本 朋 恵*・濵 田 豊 彦**
特別支援科学講座
(2006 年 9 月 29 日受理)
キーワード:聾学校,個別の教育支援計,就労支援,全国調査
1.はじめに
のニーズを自らの選択と決定に応じて,サポートしてい
くという主体的な社会生活が一層求められるようになっ
聾学校高等部に在籍する聴覚障害のある児童・生徒
てきている。また,障害者雇用促進法が改正され,社
においては,障害の重度・重複化,人工内耳の適応,
会自立(=職業自立)の促進が強化されている。これま
インテグレーションへの対応など,ニーズが多様化して
での聾学校高等部を卒業した生徒の多くは,障害者雇
いる。このような状況に対しこれまでの聾学校教育のな
用制度のなかで就労し,自立した社会生活の基盤を培っ
かだけでは,個々の持っている能力を充分に発揮し,自
てきている。このような,社会状況の変化に対し,これ
立した社会参加を図ることが難しいことも少なくない。
までの職業教育を中心とした聾学校での教育では,様々
一方制度の面では,障害者の主体的な社会参加が明
なニーズを持つ生徒に対し個々の能力を十分に引き出し
確に目指されるように転換がはかられ,学校教育におい
きれない実情があるのではないかと考える。聾学校にお
ても,より個々に応じた一貫した指導が求められている。
いて,聴覚障害のある児童・生徒の各ライフステージを
「障害者基本計画」及び「重点施策実施 5 ヵ年計画」
(平
的確に見極め適切な教育的支援を行うことが,個々の
成14 年12 月)の基本的方向の中では,
「障害のある子
能力を引き出し主体的な社会参加へとつなげて行くため
どもの発達段階に応じて,関係機関が適切な役割分担
の役割となるのではないかと考える。
の下に,一人一人のニーズに対して適切な支援をおこ
なう計画(個別の支援計画)を策定して効果的な支援
2.目的
を行う」ことが示された。また,平成15 年 3 月に出され
た「特別支援教育の在り方について(最終報告)
」では,
障害者を取り巻く社会状況の変化に応じて,聾学
関係機関が連携した生涯にわたる一貫した支援を進め
校卒業生に求められる能力も変化してきている。石野
るための仕組みとして,
「個別の教育支援計画」が報告
(2005)によると,聴覚障害者は一般的に他障害者に比
された。ともに学校教育の役割として,これまで進めら
べて就業率が高く,またその職業分野も多くの業種にわ
れてきた教育・療育施策を活用しつつ,障害のある子ど
たっていること,そして,年々拡大し多様化しているこ
もやそれを支える保護者に対する乳幼児期から学校卒
とが述べられている。聴覚障害者に医療専門職への法
業後まで一貫した効果的な相談支援体制を構築し,保
的な門戸が開かれ,より高度な技術と専門的知識を求め
護者や地域資源と連携しながら教育の充実を図ることを
られる職種へ従事するなど聴覚障害者の携わる業務が
意図したものである。
高度専門化している。更に情報化社会,企業の仕組み
障害者自立支援法の施行により,社会生活上の個々
の変化など社会状況の変化に柔軟に対応できる即戦力
* 前都立大田ろう学校(現 都立矢口養護学校)
** 東京学芸大学特別支援科学講座(184-8501 小金井市貫井北町 4-1-1)
- 329 -
東京学芸大学紀要 総合教育科学系 第 58 集(2007)
となることを一層求められている現状があるのである。
表1 採用している業務分野(複数回答可)
(n=230)
一方,
「働く難聴者・中途失聴者のために」
(2004)で
1 一般事務
39
の,聴覚障害者の職場実態の報告によると,他障害に
2 パソコン操作を伴う事務
47
比べ聴覚障害者は,就職率は高いものの,離職,転職
3 機械・工作等の製造
26
4 設計・製図
10
5 検査・組み立て等軽作業
36
6 食品加工・製造
6
7 印刷
9
8 プログラミング
5
9 営業
2
10 クリーニング
5
11 清掃
4
12 調理(補助を含む)
3
いて学校側と企業側とのアンケート調査を行い,聾学校
13 保育(補助を含む)
0
卒業生の職場での現状の把握と課題を明確化すること
14 看護・介護助手
3
15 その他
35
を繰り返す者が多いとの課題も出されている。特別支援
教育への転換のなかで生涯にわたる効果的な支援の必
要性を考えると,社会への移行に関して聾学校高等部
の果たす役割について検討していくことは重要であると
考える。
聾学校卒業生のほとんどが就労しているという現状
から,本研究は「卒業生の職場での現状の把握」と「卒
業生に対する支援の状況」および「今後の課題」につ
を目的とする。
3.方法
化粧品の製造,自動車製造に関する車両・部品の製造,
カート整理,容器清掃組み立て作業,パソコンを使用し
3.1 対象者
たデザイン自動車洗車,特殊溶接,印刷原稿パソコン
全国聾学校高等部設置校 69 校及び,聾学校卒業生を
入力等,木工製品の製造作業であった。これらのこと
採用した経験のある企業128 社
から,聾学校卒業生においても従事する業務の内容は
多種にわたり,1 事業所内においても複数の分野での回
3.2 調査方法及び手続き
答があり,聴覚障害者が複数の部所に配属されている
学校側アンケート(8 問)と企業側アンケート(7 問)
傾向が見られた。また,理容業(見習いを含む)
,歯科
の2 種類を作成し,項目選択,
(一部複数回答可)
,自由
技工士,木工製品の製造といった従来から設定されて
記述を含む質問紙で行った。学校側アンケートの記入
いる職業教育に直結している業務内容に従事している
者は主に進路指導に携わる者とし各学校の任意で選出
ものもいた。
させた。企業側アンケートは各学校から,卒業生が就
平成17 年度の厚生労働省発表の「身体障害者の職業
職したことのある企業へ依頼し学校ごとに返答のあった
別就職状況」では,身体障害者の従事する業種は,生
企業を取りまとめて,回収した。アンケート調査の回収
産・労務が全体の39.2%を占め,一番多く,次いで事務
数(回収率)は学校側アンケート51部(73.9%)
,企業
的職業が 28.3%となっている。一方,聾学校卒業生で
側アンケートは,各学校から1 社から6 社の回収があり,
は,従事する職業として事務的職業が約10%多かった。
全体で128 社から回収した。
地域別で見ると事務職での採用は東京が最も多く,回
答のあった28 社中23 社で一般事務,パソコン操作を含
4.結果
む事務での従事しており,次いで東海地方で12 社中6
社に従事していた。
4.1 聴覚障害者採用の状況等について(企業アン
ケート)
4.1.1.2 雇用形態について
複数回答のため,総回答数は147 件となり,正社員と
4.1.1 就労状況について
して雇用しているのは108 社で全体の73.5%を占めてい
採用している業務分野については一般事務,パソコ
る。正社員としての作業能力,資質を求められているこ
ン操作を伴う事務をあわせた事務職が 86 件と最も多く,
とがうかがえた(表 2)
。
全体の約 37%を占めていた。機械工作等の製造,検査
4.1.2 卒業後の支援の状況について
組み立て等軽作業,食品加工・製造をあわせた製造職
4.1.2.1 採用後の問題・課題の有無について
では68 件となっていた(表 1)
。
128 社中70 社で問題が「ある」との回答があり,全
その他の内訳は理容業12 件,歯科技工士 5 件,半導
体の54.7%を占め,
「ない」との回答は54 件で全体の
体製造作業,PC 操作を伴う製作社内メール品の仕分け,
42.2%となっていた(表 3)
。
- 330 -
岩本・濵田:聾学校高等部卒業生の課題と就労支援について
業内での教育を充実させたいとの見解もあった(表 4)
。
表 2 雇用形態(複数回答可)
(n=147)
件数
全体比率(%)
4.1.2.3 問題発生の具体的な事例
1 正社員
108
73.5
問題発生の具体的な事例については自由記述で回答
2 契約社員
29
19.7
3 派遣社員
1
0.7
を求めた。今回の記述から回答のあった61 件から内容
4 アルバイト
9
6.1
により,79 項目に分割し,カテゴリーを抽出した。3 人
でカテゴリー分類を行い2 人以上が一致した77 件を分
析対象とした。 表 3 採用後の問題・課題 (n=128)
件数
全体比率(%)
1 ある
70
54.7
2 ない
54
42.2
3 わからない
4
3.2
その結果「問題となる原因」では対人関係とするも
のが最も多く,46.8%あり,次いで本人の就業態度が
35.1%,職場環境は9%の割合であった(表 5)
。
具体的な事例では,伝達不足におけるミスから不信
感を生じてしまうことや聴者との疎外感からくる周囲と
問題があるとしている企業に在籍する職種について
のトラブルなどという聴者とのコミュニケーションの違
は一般事務・パソコン操作を伴う事務あわせ,86 件中
いからおきるトラブルといった職場での人間関係を構築
45 社で問題があるとの回答があり,全体比では52.3%
する上での問題と,無断欠勤,遅刻,職場離脱など本
であった。 人の就業意識の低さから起こるトラブルが発生したと
問題がないとの回答の比率が一番多かった業種では
の記述が主なものであった。これらの「人間関係構築」
「社会常識」の2 つの問題は,聾学校に対して従来から
機械・工作等で 26 社中,14 社で 53%を占めていた。
また,従事者数は少ないものの,設計・製図では10
指摘のあった事柄である。今回のアンケートでは具体的
件中9 件が問題ありと回答し,看護・介護では3 件中3
な事例とともに改めて問題の所在が明確になった。
件,クリーニングでは5 件中4 件,清掃では 4 件中3 件,
4.1.2.4 聾学校に望む能力開発
調理では3 件中2 件が問題ありとの回答があった。複数
企業から望まれる能力開発としては,
「コミュニケー
回答のため,職種による傾向は特定することはできない
ション成立のためのスキル」が 71 件で一番多く,全体
が,業務によって,問題捉え方が違うことも予測された。
の24.7%を占めていた。次いで,
「社会人としての態度」
4.1.2.2 問題が発生したとき望む学校の支援
が 63 件で 21.9%となり,挨拶や身だしなみ,言葉遣い
企業側から望まれる支援として「就労・生活におけ
など基本的な態度やマナーを養成することが望まれてい
る問題発生時の相談・助言」が最も多く,45 社から回
た(表 6)
。
答があり,全体の 41.3%を占めていた。このことは平
成12 年に東京都教育委員会が行った「都立盲・ろう・
養護学校における就職活動のための民間企業調査報告
表 4 問題が発生したときに望む学校の支援(n=109)
望む支援
回答数
全体比率(%)
本人に対する長期的,継
続的な関わり
32
29.4
就労・生活における問題
発生時の相談・助言
45
41.3
コミュニケーション手段
(手話等)の情報提供
16
14.7
本人へのスキルアップ等
のための技術的な支援
(講習会の開催など)
5
4.6
11
10.1
書・民間企業に対する第1次調査」の障害者雇用促進
のために学校に望む支援の従業員規模別で共通して高
かった傾向と同じものがみられ,聾学校の卒業生におい
ても,問題解決のために企業側が採用後,生活面や心
理面での配慮などきめ細かな対応を考え学校側と共同
して雇用を継続したいという意識が強い傾向がうかがえ
た。
その他の回答の記述では13 件のうち,カウンセリン
グ等のフォロー,コミュニケーション等のフォロー,定
期にフォローアップを行い,職場ぐるみで支援する環境
をつくる,入社以前に情報をもっと欲しい。社会人とし
ての自覚が不足の回答があった。これらの記述は,具
その他
表 5 問題発生事例カテゴリー分類 (n=77)
件数
全体比率
就業態度
27
35.1
して捉えられた。
対人関係
36
46.8
また,一方では学校からの支援を望まないという企業
職場環境
7
9.1
の回答もあり,企業の規模,組織の方針などにより,企
その他
7
9.1
体的で継続したよりきめ細な支援を学校側に望む意見と
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東京学芸大学紀要 総合教育科学系 第 58 集(2007)
校あった。そのうちの26 校で職場と本人の双方から学
表 6 聾学校に望む能力開発 (n=228)
件数
全体比率(%)
校に連絡があったとしている。その他の回答では,他の
1 社会人としての態度
63
21.9
同窓生または,卒業生からの情報との記述が 13 校中10
2 仕事に対するモチ
ベーション
49
17.0
3 基礎学力
39
13.5
4 業務に関する知識・
技術
11
3.8
5 コミュニケーション成
立のためのスキル
71
24.7
「ある」と回答した学校のうち,年間件数として1 ~
6 対人関係でのスキル
48
16.7
2 件が最も多く,20 校あり,3 ~ 4 件では 8 校あった。
7 その他
7
2.4
校の回答があり,また,同窓会から卒業生の様子を情
報収集するという回答もあったことから卒業後も生徒同
士でなんらかのネットワークを持っていることが伺えた
(表 9)
。
4.2.2.2 職場での問題発生時の学校の介入について
また介入件数が最も多かった学校では6 件であった。
「あまりない」との回答を合わせると48 校となり,全体
また,
「理由となる具体的な事例」を自由記述で求め,
の約 93%が職場で起きた問題に学校が関わっていた(表
回答のあった105 件から内容により,142 項目に分割し,
10)
。
カテゴリーを抽出した。3 人でカテゴリー分類を行い,3
4.2.2.3 職場での問題発生時の介入の具体的な事例
人中2 人以上が一致した141 件を分析対象とした。その
問題発生時に学校が介入したことのある学校にどの
なかでは挨拶や返事などの態度だけでなく,聴者の中に
ような事が問題とされていたのか,具体的な事例を自
積極的に溶け込もうとする姿勢や対応などの社会人とし
由記述にて回答させた。主なものとしては,
「人間関係」
ての態度がコミュニケーション能力と評価され,業務上
「コミュニケーション」の問題に関する記述を15 校であ
げており,
「職場の上司とコミュニケーションがとれず,
の能力に比例するとの考えがあげられていた(表 7)
。
無断欠勤につながった」
,
「周囲の人が自分の悪口を言っ
4.2 卒業生の支援の状況について(学校アンケート)
ているように思えてならない等により,仕事の効率が落
4.2.1 卒業生の把握について
ちた」
「企業側が本人に仕事内容等を理解させることが
卒業後 3 年以内を目安として,回答をしてもらったと
困難な状態であった」などが具体的な事例としてあげら
ころ,
「把握している」
,
「おおむねしている」をあわせ
れていた。
ると51 校すべてで,卒業生の離職について把握してい
記述のあった27 校の回答を内容により,40 項目に分
た(表 8)
。
割しカテゴリーを抽出した。3 人でカテゴリー分類を行
4.2.2.1 把握の方法 い,3 人中2 人が一致した39 件を分析の対象とした。
「把握している」
,
「おおむねしている」と回答のあっ
「本人の就業態度」では,欠勤,遅刻,非行等生活態
たところでのその方法としては,本人からの連絡が全体
度や業務に対し意識の低さなどからトラブルが発生し,
の37.2%となり卒業後も学校と生徒のつながりが強いこ
学校が介入するという記述が目立った。
「対人関係」で
とがわかった。次いで,職場からの連絡が 28 校(23.7%)
は,聴者との日常的なやりとりの行き違いや周囲と馴染
となっていた。また,複数に回答がある学校も多く39
めないなどの人間関係により,欠勤,遅刻,作業効率低
表 7 理由となる事例 (n=105)
件数
表 9 離職状況の把握の方法 (n=118)
全体比率(%)
件数
全体比率(%)
社会人としての態度
51
36.17
1 職場からの連絡
28
23.7
対人関係
43
30.49
2 本人からの連絡
44
37.2
コミュニケーション手
段・スキル
20
14.18
3 保護者からの連絡
14
11.9
4 関連機関等からの連絡
19
16.1
その他
27
19.15
5 その他
13
11.0
表 8 卒業生の離職の把握 (n=51)
表10 職場で問題発生時の学校の介入(n=52)
件数
全体比率(%)
1 ある
29
55.8
68.6
2 あまりない
19
37.3
00.0
3 まったくない
4
7.7
件数
全体比率(%)
1 把握している
16
31.4
2 おおむねしている
35
3 把握していない
0
- 332 -
岩本・濵田:聾学校高等部卒業生の課題と就労支援について
下などの業務に支障をきたす状態となり,問題が表面化
長期的な支援」も含めると卒業後も就労や生活面にお
し,企業側からの要請があり,学校が介入している傾向
いて学校が職場や本人に対する長期的な支援を必要で
があった(表 11)
。
あると考えていることがわかった。また,具体的な内容
4.2.2.4 職場で問題が発生した時の学校側の相談
を求めていないので関わり方は各校の実態によって違い
窓口
があるものと思われる(表 15)
。
学校側の相談窓口が「ない」と回答があったのは1 校
4.2.2.8 聾学校へ求められる能力開発
だけで,他の50 校については卒業生に対し,相談窓口
卒業生を送り出す上で学校に求められるものとして,
を設けていた(表 12)
。
ほとんどの学校が複数選択をしており,この問いに関す
4.2.2.5 学校側の担当者
る課題意識が高いことがうかがえた。46 校中,41 校が
「進路担当者」が全体の60.8%を占め,
「コーディネー
「社会人としての態度」を選択しており,全体の22.1%
ター」と回答した学校は3.8%となり,進路担当者が卒
を占め,挨拶や身だしなみや言葉遣いなどの基本的生
業後も関わりが深い役割を担っていることがわかった
活習慣を身に付けることが必要としているところが多
(表 13)
。
かった。また,業務上必要な指示書やメモを読み解く力
4.2.2.6 卒業生の職場との連絡の方法
としての「国語力」等,基礎学力を選択した学校が 43
「定期的に連絡をとる」が 29 校あり,全体の31.5%で
校(20.7%)であった(表 16)
。
一番多く,次いで「問題発生時に職場からの要請を受
聾学校に求められる能力開発の理由となる事例を自
けて」が 25 校で 27.2%であった。
「次年度の就職活動開
由記述で求め,回答のあった47 件から内容により89 項
始時」も含めるとなんらかの形で学校が卒業生の職場
目に分割しカテゴリーを抽出した。3 人中2 人以上が一
との連絡方法を確保していることがわかった。また「問
致した87 件の項目を対象に分析した(表 17)
。
題発生時に本人からの要請を受けて」が 20 校 21.7%あ
「社会人としての態度」のカテゴリーに当てはまるも
り,問題が表面化し,当事者同士で解決することが困難
のとしては,
「生活経験が不足していることもあり,常
になってから,学校側が把握し,対応するという傾向が
識がなかなか身につかない」や「対人関係のスキルが
あると思われる(表 14)
。
表14 卒業生の職場との連絡の方法 (n=92)
4.2.2.7 卒業後,学校側の職場への必要な支援
連絡の方法
件数
全体比率(%)
1 定期的に連絡をとる
29
31.5
要であると考えていることがわかった。
「本人に対する
2 問題発生時、職場か
ら要請を受けて
25
27.2
表11 職場での問題発生の事例 (n=39)
3 問題発生時に本人か
ら要請を受けて
20
21.7
4 次年度の就職活動開
始時
17
18.5
5 連絡していない
1
1.1
学校側の支援として,
「就労・生活における支援」が
一番多く,47 校で選択されており,全体の 46.1% が必
件数
全体比率(%)
就業態度
18
46.2
対人関係
15
38.5
職場環境
3
7.7
その他
3
7.7
表15 卒業後,職場に対する学校側の必要な支援(n=102)
表12 学校側の相談窓口の有無 (n=51)
件数
全体比率(%)
1 いる
50
98.0
2 いない
1
2.0
3 わからない
0
0.0
表13 学校側の担当者 (n=79)
担当者
件数
全体比率(%)
1 本人に対する長期的,
継続的な関わり
29
28.4
2 就労・生活における
問題発生時の相談・
助言
47
46.1
3 コミュニケーション
手段(手話等)情報
提供
20
19.6
3
2.9
3
2.9
件数
全体比率(%)
1 進路指導担当
48
60.8
2 元担任
22
27.8
3 管理職
3
3.8
4 コーディネーター
3
3.8
4 本人へのスキルアッ
プ等のための技術的
な支援(講習会の開
催など)
5 その他
3
3.8
5 その他
- 333 -
東京学芸大学紀要 総合教育科学系 第 58 集(2007)
5.考察
表16 聾学校へ求められる能力開発 (n=208)
件数
全体比率(%)
1 社会人としての態度
46
22.1
2 仕事に対するモチ
ベーション
34
16.3
3 基礎学力
43
20.7
4 業務に関する知識・
技術
7
3.4
5 コミュニケーション
成立のためのスキル
39
18.6
進んでいることが見てとれる。本調査の卒業生の職種
6 対人関係でのスキル
36
17.3
と合わせて見ると,一般企業での事務職(パソコンなど
7 その他
3
1.4
5.1 聾学校卒業生の職種と高等部での設置学科
普通科(高等部課程)と専攻科の平成15 年度聾学校
高等部設置職業学科一覧(表 18,19)によると,被服,
理容,印刷,といった従来からの職業教育が設置され
ているところも少なくないものの,普通科課程設置によ
る,上級学校進学への対応したカリキュラムの整備が
情報機器の活用を伴う職種)での従事が全体の約 37%
となっていることなど,聾学校卒業生の求められる能力
として,特殊な専門技術・技能の習得よりも,幅広い職
表17 理由となる事例 (n=87)
件数
全体比率(%)
社会人としての態度
理由となる事例
36
41.4
対人関係
31
35.6
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン 手
段・スキル
13
14.9
1
普通科
46
その他
7
8.05
2
産業工芸
24
3
被服
20
種に対応できる基本的な能力をつける職業教育が求め
表18 普通科設置科目
学科名
不足していたため,誤解が生じ職場の同僚とのトラブル
校数
4
理容
18
が起きた」
「幼稚部から高等部までの一貫しているため,
5
情報(*1)
13
馴れ合いになり生徒に緊張感がない」など社会のルー
6
産業技術
9
ル,マナー等の社会性を身に付ける必要性を記述して
8
印刷(*1)
7
7
機械(*1)
6
9
家政
5
10
デザイン(*1)
3
11
生活技術
2
12
その他(*2)
27
いるものが多かった。また,
「対人関係」の当てはまる
ものとしては「上司との関係よりも同僚との関係がうま
くいかない」
「自己中心的な行動ととらえられ,仲間は
ずれになりやすい。色々な人の意見を聞いたり,意思疎
通が図れる人柄になってほしい」
,
「雑談に入っていけな
いなど人間関係をどのように作っていくのかということ
表19 専攻科設置学科
について,実践をとおして活きた力をつけておく必要が
学科名
校数
あると感じている」などがあった。また,コミュニケー
1
理容
19
ション手段については,
「書けば通じると考えている聴
2
被服
12
者が多いこと」
,
「聴者の多い職場では,手話だけでの
3
産業工芸
11
コミュニケーションには限界がある」
「多様なコミュニ
4
情報(*1)
10
5
産業技術
7
6
印刷(*1)
6
7
普通科
5
8
機械(*1)
5
ケーションスキルを身に付けることは日常生活の基盤と
なる」といった記述があった。また,
「就職率は良いが,
卒業後 3 年前後の離職率が高い。転職の状況が多いよ
うに感じている。離職,転職の理由として,社会的スキ
ル不足や情報不足から自己中心的な判断となっているよ
うに感じる」という記述からは卒業後,相談機能や相談
9
家政
3
10
歯科技工
3
方法が不十分であるために職場で孤立することで人間
11
工芸
2
12
商業技術
2
関係の不満が,問題行動となり,職場定着しにくい現状
13
教養科
2
があるととらえられた。
14
その他(*2)
20
(*1)の学科については一部、名称が異なるものも含む
(*2)その他は「自立支援」
「流通システム」
「特進技能」
「産
業システム」など名称だけでは分類しにくいものを含
む。
- 334 -
岩本・濵田:聾学校高等部卒業生の課題と就労支援について
られていることが分かる。
コミュニケーションの違いが人間関係の構築を困難に
平成15 年度時点での設定学科を改編中としている学
することにおいては,本人の問題行動に焦点を当てるだ
校数は69 校中9 校であり,東京都でも,平成18 年度か
けではなく,周囲の環境に改善を求める必要があると考
ら中高一貫校の設立になど,各聾学校において再編・
える。
整備が行われているところである。このことも,社会の
また,生徒自身が様々な環境に対して問題解決能力
動向を反映してのことと考えられる。 が低いことが,問題を深刻化してしまっている傾向もあ
一方,厚生労働省の平成15 年度障害者雇用実態調査
る。具体的な事例の記述から,聾学校に在籍する生徒
の障害種別での雇用状況によると,知的障害者の産業
は多様化していても,職場においての問題として取り上
別雇用状況では「製造業」がもっとも多く,次いで「卸
げられていることには共通したものが見られることがわ
売り・小売業・飲食店・宿泊業」
,
「サービス業」となっ
かった。それ故,生徒各自の問題解決能力の向上が図
ている。また,内海(2004)は1999 年の学習指導要領
れるようより具体的な学習プログラムが必要であると共
改訂で職業的自立の促進が基本方針とされるなかで,
に,従来行われてきた以上に職場や地域資源との連携
知的障害児養護学校の職業教育が,
「情報」
「流通・サー
を深め,個々の生徒の職場の環境調整などに学校が関
ビス」の選択教科が新設されるなど進路指導の現状分
わっていく必要性があることが示唆された。
析から改善・充実の課題に対する取り組みをみせてい
ると述べている。また,高等部教育政策の変化や新た
5.3 聾学校に求められる能力開発
な職域開拓と就労観の変化により,過度な個人の能力
「コミュニケーション」
,
「社会性」の欠如の原因を人
開発の重視より,関係機関の連携による就業支援として
間関係の経験不足によるものと考えている記述が学校
転換し,
「個別の移行支援計画」の開発や進路学習を主
側からあった。これらの問題の所在を踏まえて聾学校に
軸にした職業教育の展開が行われているところであると
求められる能力開発について企業,学校ともに「コミュ
も述べている。こうした職業教育の変化は各地域での
ニケーション成立のスキル」と「対人関係でのスキル」
ニーズや実態によって若干の違いがあるものと思われる
という人間関係構築のための能力を求める傾向がみられ
が,今後も学校教育において,社会的な動向を踏まえ
た(図1)
。
ながら,変化していくことが求められるのではないかと
特に企業からは聴者の中に積極的に溶け込もうとする
考える。
姿勢や態度などコミュニケーション能力が,業務上の能
力に比例するとの考えがあげられた。このことにより,
5.2 聾学校卒業生の職場での問題の傾向について
学校が行う能力開発としては,具体的な技術,技能の
職場での問題について,
「伝達不足によるミス」が改
習得だけでなく社会性や人間関係の能力開発に,より一
善されないことで不信感を生じてしまうことや,聴者と
層の力点が置かれることが求められていると考える。学
のコミュニケーションの違いを認識できずに「疎外感」
校側が「基礎学力」ととらえているものを,社会生活や
を感じるといった職場での人間関係を構築する上での問
職業生活での実践の場を想定し,具体的な人間関係の
題が本調査の中で示された。また一方,無断欠勤,遅
構築をシミュレートした内容に改善したり,教科間での
刻,職場離脱など本人の就業意識の低さから起こるトラ
関連を図り,
「基礎学力」をベースにしながら実用的な
ブルといった,社会性の欠如に対して企業側,学校側
コミュニケーション能力に生かす学習を充実させたりす
ともに問題としての認識が高いことが明らかになった。
ることで,多様な環境にも積極的に対応していける生徒
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図1 聾学校に求められる能力開発
- 335 -
東京学芸大学紀要 総合教育科学系 第 58 集(2007)
に育成していくことが重要であると考える。
など日ごろから関わりの深いと思われる担任と進路担当
者が連携をとることで個々に合った職種,職場を開拓し
5.4 職場での問題への今後の対応について
ていくことも定着を促進する要因となることと考える。
今回のアンケートで明らかになった課題は,現場にい
さらに,職場定着において,小川(2001)は職場での支
る教員は日々,指導の工夫と改善を試みて実践を重ね
援として「職場環境チェックリスト」を示し,チェック
ているものである。しかし,解決の方法を見出すことが
リストをもとに複数の目でアセスメントを行い,情報を
容易ではないのが現状である。今回の調査では,職業
まとめることにより短期間で効率的に支援に必要な情報
教育の最終目標が生徒の就労 = 社会自立とされてきた従
収集をすることができるとしている。職場定着のために
来の聾学校高等部の教育のなかで,卒業生の多くが就
は,卒業生の職場のアセスメントを実施することも含め,
労という場面において「社会性」
「コミュニケーション」
現場実習での職場環境の情報を収集し,企業側との連
での具体的な問題があることが全国の聾学校で共通し
携をとり,整備していくことで一層の定着を図ることが
ていることがあらためて明らかになった。このような問
可能になると考えられる。そのためには,学校だけです
題を聴覚障害者の雇用上の課題として取り上げたもの
べての卒業生に直接,支援していくことには限界がある
に独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の平成16 年
のは自明のことである。学校以外の支援の拠点として地
度研究調査報告書「重度障害者(聴覚障害者)の職域
域施設やジョブコーチの活用,手話通訳の派遣など社
開発に関する研究Ⅱ」
(2006)がある。その中でも,聴
会資源の活用を開拓する必要があるのではないかと提
覚障害者を雇用する企業に対しどのような聴覚障害者
起する記述も見られた。
を社員として望むかという問いに「バランス感覚」
「社
東京都練馬区の就労促進協会「レインボーワーク」
会性」を求める声が多いと述べられており,今回の調
では職場定着のためのフォローアップ事業として,企業
査と一致している。
就労している障害者に対し,登録制で指導員が定期的
また,この研究報告からは聴覚障害者を「聞こえな
に職場を訪問し職場定着の課題や生活に関わる相談な
い人」としてだけ受け止めるのではなく「日本語の読み
どを企業と登録者の双方から応じ,連絡調整,支援な
書きにもハンディがある」として捉え,一定の配慮が伺
どを行っている。さらに社会に出てから変化する支援
える企業もみられるとされている。企業においても単に
の対象者のニーズの変化を把握するために余暇の場を
個人のコミュニケーション能力としての学力や発音・発
設定し,日常的なつながりをつくることも行われている
語,書記能力,手話といったスキルを身に付ける能力開
(木野村 2004)
。このような地域施設に対し,これまで
発に重きを置くことだけでなく,様々なニーズを持つ聴
行ってきた生徒一人ひとりにきめ細やかな対応ができる
覚障害者を採用し,個々に抱える問題をサポートしてい
聾学校の利点を生かし,必要な情報を効率良く伝達し,
く職場環境の改善も望まれていると述べられている。
聴覚障害者の特性の理解を求めていくことも更に充実さ
本調査で卒業後 3 年間を目安に問題の所在について回
せていく必要があるのではないかと考える。
答させたところ,問題が発生してから聾学校が把握す
聾学校卒業生の職場での現状と問題を踏まえ,課題
るという傾向が見られた。職場での問題に適切な対応
解決に向けて,社会で通用する能力とは学校教育だけ
がされる前に深刻化している場合が多いのではないか
で完結することではなく,卒業後,実際の社会での経験
と考えられる。
をサポートしていくことを高等部の役割として今後,考
今回のアンケートでは就労に対する問題への具体的
えていく必要があること示唆された。 な解決方法や,各校での在学中に行われている具体的
平成17 年度より盲・聾・養護学校に在籍するすべて
な取り組みについての調査は実施していない。今後は
の児童・生徒において「個別の教育支援計画」が策定
職場での問題に自らの力で解決できる人材育成と同時
され,すでに全国の聾学校で実施されている。聾学校
に企業側にも職場環境の改善へのはたらきかけなどの
高等部という社会への移行期において「個別の教育支
雇用を持続するためのサポート体制を考える必要がある
援計画」の策定にあたり,まず,個々のニーズを的確に
ことがわかった。
把握し,卒業後の生活を見通した社会自立のために外
企業側の記述のなかに「生徒の情報がほしい」
「仕事
部の機関との有効に活用していくことが必要である。し
内容が正確に伝わらない」など具体的な要望がみられ
かし,聾学校が外部との連携における自立支援のあり
た。伝え方の問題を事前に把握していればトラブルとな
かたについては,まだ開発が十分ではない現状である。
らなかったケースも予測される。このような問題に対し
聾教育に必要な社会的資源とは何か。また,聾学校が
ては在学時の就職活動においても,生徒の適性や希望
社会の中で必要とされるもの,担うべき役割を改めて考
- 336 -
岩本・濵田:聾学校高等部卒業生の課題と就労支援について
え,学校教育が積極的に社会の一員としてのニーズを
実施・評価の実際,ジアース教育新社,2006
受け止めていくことにより聾学校の生徒に対する必要な
小川浩:重度障害者の就労支援のためのジョブコーチ
支援も構築されていくのではないかと考える。これらの
入門,pp32-61,エンパワメント研究所,2001
ことにより,聾学校での一貫した支援と連携の構築に向
独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構:平成16 年
け,
「個別の教育支援計画」の有効的な活用方法を検討
度研究調査報告書重度障害者(聴覚障害者)の職
することが今後の重要な課題となると考える。
域開発に関する研究ⅡⅡ 職場定着阻害要因報告,
257,pp31-144,2006.
6.結語
(社)全日本難聴者・中途失聴者団体青年部職場環境プ
ロジェクトチーム:働く難聴者・中途失聴者のため
全国聾学校と聾学校卒業生を採用したことのある企
に あなたが見える職場,私が働く職場,
社団法
業を対象に職場での問題と学校の支援の状況について
人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会,2004 アンケートを行ったところ,聾学校卒業生の職場の現状
内海淳:主体性を支える個別の移行支援,pp10-28 大揚
では,本人の社会性の未熟さ,コミュニケーションの違
いによる人間関係の構築が困難であることが問題とされ
社,2004
木 野 村 な ぎ さ: 主 体 性 を 支 え る 個 別 の 移 行 支 援,
ていた。そのため,職場で孤立する傾向があることがど
のような職種においても共通してあげられていた。また,
これらの問題に対し,学校,企業とともに課題意識が高
いことが一致していた。
支援の現状では,職場で起きている問題について,
学校は卒業後も本人や企業との連絡をとっており,その
問題の詳細についても把握している傾向が強いことがわ
かった。さらに,企業,学校ともに問題発生時に相談・
助言できる支援体制を求めていることが明確になった。
企業側の求める人間像としては実務能力より人間性重
視を求める傾向が強く,聾学校においても実社会で通
用する人間関係の構築する力を付けることを能力開発と
して求めていることがわかった。
今後,聾学校での一貫した支援と連携の構築に向け,
「個別の教育支援計画」の活用を含め検討していくこと
が必要であると示唆された。
文献
東京都教育委員会:都立盲・ろう・養護学校における
就職活動のための民間企業調査報告書,2000
厚生労働省:平成17 年度における障害者の職業紹介状
況 2006,URL:http://www.mhlw.go.jp/index.html
石野富志三郎:聴覚障害者の職域開発に関する研究に
ついて 職場定着阻害要因の調査報告,手話コミュ
ニケーション研究,55,pp.13-24,日本手話研究所,
2005
厚生労働省:平成15 年度障害者雇用実態調査,2004
URL:http://www.mhlw.go.jp/index.html
全国聾学校長会:平成17 年度聴覚障害教育の現状と課
題 2 2005
全国特殊教育学校長会:
「個別の教育支援計画」策定・
- 337 -
pp192-197,大揚社,2004
Bulletin of Tokyo Gakugei University, Educational Sciences, Vol. 58 (2007)
About Problems and Job Supports for Graduates of Schools for the Deaf
── Problems in Jobs and Supports for Graduates ──
Tomoe IWAMOTO and Toyohiko HAMADA*
Department of Special Needs Education
Abstract
To schools for deaf and companies with having employed graduates of school for the deaf, we performed questionary survey
to relate to the situation of problems on the job and supports of schools .
As results, the following became clear.
1) Immaturity of social skill of the graduates and human relations are problems on jobs.
2) Companies and schools demand the support system after a problem happens.
3) As for the companies, a tendency to need social skill than ability for business is strong.
It is our problem of schools for the deaf to examine effects of “an individual education support plan” to build coherent
support and cooperation.
Key words: Individual Education plan, job support, Investigation for the whole country
* Tokyo Gakugei University (4-1-1 Nukui-kita-machi, Koganei-shi, Tokyo, 184-8501, Japan)
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