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「富士の国やまなし観光コンシェルジェシステム事業」
平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 ユビキタスタウン構想推進事業 事業テーマ:交通支援 「富士の国やまなし観光コンシェルジェシステム事業」 実施団体:山梨県 (実施エリア:山梨県内全域) 事業概要 山梨県を訪れる観光客の旅行をサポートするシステムを構築する事業。自宅での観光計画中、山梨県への移動中、観光当日 等のあらゆるシーンにおいて、これまでウェブ上での把握が難しかったバスの運行状況や乗換案内等の情報を中心とした、観光 客の移動をサポートする各種情報を提供する。本事業によりバスの利便性が向上したことに伴い、目的観光地への到着時刻が 短縮されることとなった。また、山梨県民による県内観光に際した活用実績もあり、今後は様々な利用者を想定した機能の実装 を検討している。 事業の経緯・背景 地域課題 ① 宿泊客数が伸び悩んでいる(日帰りor通過型観光の増加)。 ② 県内を走る電車が少ないため、県内の移動にはバスを使う必要がありながら、運行状況が分かりにくい、目的地に向 かうバスの路線が分かりにくいなど、観光客がバスを手軽に活用するための環境が整っていない。 取組内容 平成17年より、山梨県において観光スポット情報を紹介するウェブサイトを運営していた。県内に点在する観光地 の情報は網羅できていたものの、交通アクセスに関する情報は有していなかった。 事業 また、県の取組みとは別に、山梨大学では県内の路線バスのマップシステムを実証実験にて構築していた。山梨県 実施前 の交通部局に協業を打診したものの、交通部局にはICTによるサービスのノウハウがなく、連携は実現されてこな かった。 GPSと連携したバスロケーションシステム等の開発によりバスの位置情報がリアルタイムで取得できるようになり、 事業 ダイヤが乱れがちな路線バスの運行状況をウェブ上で把握可能となった。また、路線バス情報と観光スポット情報を 実施後 組み合わせることにより、県外のユーザーが、山梨県内を周遊するプランを容易に作成することが可能となった。 サービス内容 本事業により構築した各種サービスにより、県内におけるバス・自家用車による移動を支援し、県内の複数の観光スポットを 巡る、滞在・周遊型観光の促進を狙う。 サービスの詳細及びサービス概要図 サービス内容 観光コンシェルジェ 実施期間 24時間365日 対象者 山梨県を訪れる観光客及び県民 利用方法 山梨までの交通情報、観光ルートの自動作 成、作成したルートのカーナビ・携帯電話等 への配信 サービス内容 バスコンシェルジェ 実施期間 24時間365日 対象者 山梨県を訪れる観光客及び県民 利用方法 バス路線・停留所の検索、バスの現在位置 の確認 1 平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 「富士の国やまなし観光コンシェルジェシステム事業」 実施団体:山梨県 システム概要 システムイメージ システム全体概要図 既存システムを拡張し、観光システムとバスマップを融合させ、観光客向けの新たなサービスが 提供できるようなシステムを構築した。 (上左)(上右)(下)バスに取りつけられ たGPS通信関連機器 システム活用イメージ 富士の国やまなし観光コンシェルジェシステム やまなしバスコンシェルジェシステム (左上)訪れたい観光地を複数個ピックアップすると、周遊ルートが 表示される (右下)現在運行中のバスの位置をリアルタイムに地図上 に表示可能 (矢印はバス及びバスの進行方向を表す) (施設名) (施設名) (施設名) (施設名) 2 平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 「富士の国やまなし観光コンシェルジェシステム事業」 実施団体:山梨県 導入概算費用等 有効活用した既存資源・コスト削減要素 ・導入費用:約5,976万円 観光ネットとサーバーを共有して、バスコンシェルジェシス テムを稼働させることにより、イニシャルコストの削減が可 能となった。 内訳:ITシステム設計・構築費約3,389万円、機器・設置費約2,587万円 ・運用費用:約266万円/年 内訳:データセンター使用料約146万円・通信関連費約120万円 導入規模(アウトプット)と導入効果(アウトカム) 導入効果(アウトカム) 導入規模(アウトプット) 農産物直売所の農産品・特産品の売上高 (前)平成21年度計:約45.2億円 前後 サイト(富士の国やまなし観光ネット)のアクセス数 :平成23年度計:7,638,764件 7.3%増加 (後)平成22年度計:約48.5億円 目的観光地までの到達時間の短縮率 前後 (前)平成21年度:平均38分 サイト(やまなしバスコンシェルジェ)のアクセス数 :平成23年度計:6,680,524件 13分短縮 (後)平成22年度:平均25分 メルマガ登録者数 :平成24年3月時点:12,845人 年間宿泊観光客数 単独 約5,968,000人 平成22年度累計 サイト利用者リピート率 :平成23年度実績:38.91% 年間観光収入 単独 約2,546億円 平成22年度累計 ※本効果は事業成果の抜粋であり、全ての効果を掲載しているも のではございません。 事業実施体制 事業主体 サービス提供対象 :山梨県観光部 :観光客及び山梨県民 本システムの構築にあたっては、バス会社とベンダーの中間 に山梨県が立ち、双方の事情を調整した。また、運営主体の 負荷を軽減するため、事業実施体制に地場のベンダーを加え、 他のベンダー等との調整を委託した。 事業実施体制 事業実施相関図 凡例 :実施主体等 :協力団体 :ベンダ等 住民 山梨県を訪れる観光客 山梨県庁 山梨大学 山梨バス協会 サービス提供 山梨交通 協議会 富士急行 山梨県庁 山梨バス協会 山梨大学 地場ベンダー 富士急行 業務依頼 通信キャリア 構築業者 ベンダー 構築業者 構築業者 3 山梨交通 平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 「富士の国やまなし観光コンシェルジェシステム事業」 実施団体:山梨県 事業主体のコメント・エンドユーザの声 山梨県 観光部 観光振興課 主査 矢野 久 氏 事業実施後の評価等 本県は内陸部に位置し、新幹線や空港が無く、鉄道路線も少ないため、首都圏エリアからの自家用車による観光客が大きな割 合を占めており、遠方からの観光客にとっては公共の交通機関や目的地までの所要時間等が分かりにくい。このため、より遠方 からの観光客の誘客促進及び個々の観光スポットを結び付けての周遊滞在型観光を推進するためには、鉄道と二次交通との連 携、情報提供が大きな課題となっていた。また、バス路線が安定して運用されるためには乗降客数の増加が必要であるため、バ スの利便性を高めて、より多くのバス利用を促進する必要があった。 本事業はこれらの課題解決を目指して推進されてきた。事業において構築したシステムの利用者は順調に伸びてきており、今 年度はスマートフォン対応システムを開発するなど、鋭意システムの拡張を図っている。また、システム構築時には各種メディアで 取り上げられるなど地域の関心は高いため、継続的な周知活動を今後も行っていく。また、観光とバス情報との連携を核に各種 事業施策提案するなど、今までに無かった新しい観光事業も企画しており、今後も発展させていきたいと考えている。 利用者の声 生徒が県内を自主見学をするのに、とてもすばらしいシステムで、生徒も感激していま す。これだけのものを作るにはご苦労も多かったと思います。かゆいところに手が届く ユーザーの目線に立ったソフトだと思います。もしできれば運賃がわかるようなシステム になっているといいなと感じました。生徒の活動にもありがたいですし、普段使うときも運 賃が分かるといいと思います。可能ならばお願いします。 (35~54歳 県民(男性)) 事業成功のポイント ステークホルダの調整・合意形成 事業主体がベンダーとバス会社との間に立ち、両者の合意形成に努めた。例えば、バス会社からの要望に対しては、必要に応じ て第三者としてバス会社と調整したり、ベンダーとは事業の重要性を共有し、今後の成長についてのイメージを共有して投資を 募った。 企画段階でのあるべき姿を追求 エンドユーザーの利便性を追求するためには、県内のバス全てが本事業に参加する必要があった。しかし、限られた予算の中で は、バス会社にも事業の将来性に理解を示してもらい、ある程度の投資をしてもらう必要があった。そこで、事業主体の担当者が 他のバス会社やベンダー等を巻き込んで今後の事業ビジョンについて説明し、全バス会社の参加が実現した。企画段階でのこうし た取組により、県内ほぼ全てのバスが対応するという、国内でも稀有な事例となった。 今後の課題 • 現在、観光客よりも地域住民による利用が活発であるため、初めての人でも使いやすいインターフェースの検討及び、スマート フォンへの対応や音声認識機能の追加等を検討し、様々な観光客への対応を進めている。 • GPSが取得する座標には誤差があるため、バスの運行データと突き合せながらマップ上に表示している。その関係上、バスの運 行情報に関するデータベースが複雑化している。本システムを他地域で導入する場合、同様の複雑なデータベースを整備するこ とが必要となってしまうため、今後、より簡潔で管理のしやすいシステムの改修について、検討が必要である。 <本件に関する問い合わせ先、導入検討・視察の相談等> 山梨県 観光部 観光振興課 電話:055-223-1557 E-mail: kankou-sk [atmark] pref.yamanashi.lg.jp ※スパム対策としてメールアドレスを一部変更して記載してあります。 eメールを御送付の際は、「[atmark]」を「@」に変えてご利用ください。 4