...

財団法人 加古川総合保健センター

by user

on
Category: Documents
21

views

Report

Comments

Transcript

財団法人 加古川総合保健センター
平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例
事業テーマ:医療連携・遠隔支援
地域ICT利活用広域連携事業
「加古川地域住民健康情報活用事業」
実施団体:財団法人加古川総合保健センター
(実施エリア:加古川市・稲美町・播磨町)
事業概要
個人の健康情報(EHR, Electronic Health Record、検査データや健診データ等)を地域内で共有し、シームレスな病診間連携、
健診データの蓄積による個人最適化された診療等の実現を目指すサービス。
これまでのサービスへの登録者は6万人に上っているものの、データの閲覧は医療機関でのみ可能で、ユーザーが自らデータ
にアクセスすることはできなかった。本事業では、システム機能を拡張することで、自宅でも日々の健康データを蓄積・閲覧できる
ようにし、日常におけるユーザー自身による健康管理を実現した。
事業の経緯・背景
 地域課題
① 加古川地域では、従来から糖尿病や高脂血症等の罹患率が高く、住民の生活習慣病への対策が求められていた。
② 地域住民の生活習慣病対策として、これまで通院時の患者の支援を行ってきたが、未病期の支援については実施でき
ておらず、生活習慣病の予防に向けた対策が求められてきた。
 取組内容
罹患後の対策として、ICTを活用した検査・健診データの一元管理、地域内における各医療機関の連携を推進し、加
療期のユーザーに対して、病院を超えて一貫した医療サービスの提供を実現する地域保健医療基盤を整備すると共に、
事業
大量のデータを蓄積してきた。一方、未病期における予防への取組みについては、医療保険者が主体となって特定保
実施前 健指導等を通じて実施していたが、一時的な活動だけでは、生活習慣病予防に関する長期的、継続的な対策への動
機づけが難しかった。
システムを活用して日々測定した健康情報(体重・血圧・血糖値など)を入力することにより、継続的な健康管理を行う
事業 ことができるようになった。また、加古川地域保健医療情報システムに登録されている健診・診療情報やWeb上での健
実施後 康チェックをもとに、注意すべき生活習慣病と、それに対するアドバイス及び目標・アクションプランが把握できるように
なり、生活習慣病の予防に向けた日々の取組みの継続的な支援が実現した。
サービス内容
本事業で導入したサービスにより、病院でも自宅でも、自らの健康情報を閲覧することが可能となった。
サービスの詳細
サービスのイメージ
■サービス内容
加古川地域保健医療情報システム
■実施期間
24時間365日
■対象者
医療従事者・住民
■利用方法
地域内の各医療機関が検査・健診データや既往症・薬歴
情報等を共通のDBに蓄積させ、情報を共有することで、
医療機関を超えた一貫した医療サービスを提供。
■サービス内容
かこがわ健康BOX
■実施期間
24時間365日
■対象者
登録した住民
■利用方法
加古川地域保健医療情報システム内の情報が自宅で
閲覧できるとともに、日々の健康情報(体重・血圧・血糖
値など)を継続的に管理することで、病気の予防を促進。
1
平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 「加古川地域住民健康情報活用事業」 実施団体:財団法人加古川総合保健センター
システム概要
 システムイメージ
 システム全体概要図
VPNネットワーク
(上)ログイン用カードリーダー
(下)システムトップページ
加古川地域保健医療情報センター
患者基本
DB
個人健康
管理DB
検査・健診データの蓄積・共有
病院
診療所
検査健診
DB
画像検査
所見DB
検査・健診データの閲覧、
日々の健康データの蓄積
保健所
住民
 システム活用イメージ
かこがわ健康BOXシステム
ログインすると、まず個人向けポータル画面に移動する(下
段左)。ページ内では、医療機関での検査結果、健康診断結
果とともに、日々の健康記録(歩数や血圧、体温等)も管理
可能となっている(上段)。
また、健康チェック機能が備えられており、現代人が罹患し
やすい生活習慣病やストレス、うつ等のリスクについて、グラ
フとコメントにて説明を受けることが可能となっている(下段
右)。
2
※住民は、自宅にて
カードリーダーを用いて
システムを利用
平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 「加古川地域住民健康情報活用事業」 実施団体:財団法人加古川総合保健センター
導入概算費用等
有効活用した既存資源・コスト削減要素
ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク共に、「加古川地
域保健医療情報システム」の資産を活用している。
・導入費用:約9,951万円
内訳:ITシステム設計・構築費約9,524万円、機器・設置費約427万円
・運用費用:約251万円/年
内訳:ネットワーク機器・サーバレンタル費約195万円・通信関連費約56万円
導入効果(アウトカム)と導入規模(アウトプット)
導入効果(アウトカム)
導入規模(アウトプット)
参加医療機関数
:126機関
システム利用同意者
:1,249人
(平成24年2月時点)
前後 健康診断受診率(受診者/対象者)
(前)平成22年3月:27%
(後)平成23年3月:54%
27ポイント増加
(平成24年2月時点)
累計ログイン回数
(平成24年2月時点累計)
一人当たりログイン数
前後 予防活動実践者数
(前)平成22年3月:489人
(後)平成23年3月:912人
(平成24年2月時点累計)
87%増加
端末設置数
(平成24年2月時点)
端末設置率
(平成24年2月時点)
:23,150回
:26.5回
:126台
:100%
※本効果は事業成果の抜粋であり、全ての効果を掲載しているわけではありません。
事業実施体制
事業主体
サービス提供対象
:加古川総合保健センター
:住民
事業実施体制
本システムの構築にあたっては、20年以上にわたる「加古川
地域保健医療情報システム」の運用実績を持つ加古川総合保
健センターを始め、様々なステークホルダと共に企画・推進した。
事業実施相関図
凡例
:実施主体等
:協力団体
住民
:ベンダ等
地域協議会
利用支援
加古川総合保健センター
サービス提供
住民要望フィードバック
加古川加古郡
医師会
加古川市
稲美町
支援スタッフ
(シルバー人材
センター)
加古川市
シルバー人材センター
兵庫県立大学
経営学部
ヘルプデスク
(保健センター)
人材育成・教育
助言・協力
兵庫県立大学大学院
応用情報科学研究科
播磨町
医師会
システム構築業者
3
平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 「加古川地域住民健康情報活用事業」 実施団体:財団法人加古川総合保健センター
事業主体のコメント・エンドユーザの声
財団法人加古川総合保健センター
情報管理課長 福田 清高氏
 事業実施後の評価等
「加古川地域保健医療情報システム」は、昭和63年以来、20年を超えて運用されており、地域住民の健康情報を共有することで、
加療期における早期治療に効果を発してきた。一方で、生活習慣病は未病期での対策も重要でありながら、本システムでは未病
期への対策が十分でなかった。本事業では、未病期における対策を支援すべく、これまで医療機関でしか見ることのできなかった
個人健康情報を、自宅でも閲覧できるようにすると共に、血圧や体重などの情報を入力できるようにすることで、継続的な未病活
動を促した。
本事業にて開発したシステム「かこがわ健康BOX」の利用者は、当初の計画を1カ月半早めるペースで目標利用者数を突破し、
順調なサービス開始と言える。また、利用者への満足度調査によると、全体の61%が本サービスに満足しているとの回答をしてお
り、未病期における生活習慣病予防のためのサービスが住民から必要とされていることが分かった。今後は更なる利用者数・利
用頻度の増加を目指し、スマートフォン対応や利用方法の講習会等を実施していく予定である。
利用者の声①
まだ機能を十分に使いきれていないので入
力に苦労しているが、検査の結果が自分で
確認できるのは大きな喜びである。
利用者の声②
このようなシステムは、月に1回通院してきちんと管理されている方
より、現役世代の人に活用される方が効果があると感じている。成人
病適齢期の方には大変有用なシステムであると感じている。
(50-60歳代 女性)
(65歳以上 男性)
事業成功のポイント
データ形式の共通化による、分析準備の簡素化
参加医療機関から提供・蓄積されるデータの形式を統一させているため、蓄積後のデータを整形する作業がほぼ発生せず、分析
作業を効率よく進めることが可能となっている。
大量データの蓄積による、正確性の高い分析
参加医療機関が多いこともあって大量のデータが蓄積されており、ユーザーは、分析されたデータにより将来的な疾患リスクに関
する傾向等をより把握することが可能となっている。
システム構築に関する豊富な知見を有する人材の存在
システム設計のスキルを有する人材を体制に組み込み、システム構築をベンダーに一任することなく、協議しながら進めることで、
要求通りのシステムを構築することができている。
今後の課題
• 本事業ほど情報が大量に蓄積されている地域は少ないため、他地域に横展開する場合、提供できるサービスの品質に差が生じ
る可能性については、留意する必要がある。
• 各ユーザーによる健康管理への取組みの維持が課題となっている。しかし、アンケートによれば、「使い方が分からない」「忙し
い」という理由が多いことがわかっており、対策として、「利用者への操作教育と健康情報活用方法の説明」及び「利用端末の拡
大(スマートフォンへの対応)」を実施することで、より活用されるシステムを目指すことを検討中である。
<本件に関する問い合わせ先、導入検討・視察の相談等>
財団法人 加古川総合保健センター
(加古川地域保健医療情報センター) 情報管理課
電話:079-429-2250
E-mail: info_kic [atmark] knc.kakogawa.or.jp
※スパム対策としてメールアドレスを一部変更して記載してあります。
eメールを御送付の際は、「[atmark]」を「@」に変えてご利用ください。
4
Fly UP