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2.合衆国交通省連邦道路庁「PPP取引における公共政策の考慮

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2.合衆国交通省連邦道路庁「PPP取引における公共政策の考慮
2.合衆国交通省連邦道路庁「PPP取引における公共政策の考慮」(2009年1月)
原典表題: United States Department of Transportation, Federal Highway Administration, Public Policy
Considerations in Public-Private Partnership(PPP) Arrangements, January 2009
原典出所: http://www.fhwa.dot.gov/ppp/pdf/2009_public_policy_considerations_ppp_arrangements.pdf
翻訳: 関西業務部企画審議役 昆信明
本報告書は、当機構が独自に翻訳したものであり、翻訳の間違
い等についての責任は、各発行者ではなく、翻訳者である当機
構にある。但し、日本語訳はあくまで読者の理解を助けるため
の参考であり、当機構は翻訳の間違い等に起因する損害につ
いての責任を負わない。
45
目 次
はじめに:このレポートの範囲及び概要........................................................................................... 47
公共政策の問題 - 法律及び契約手法 ....................................................................................... 51
1. 料金レート:将来の料金レートが合理的であることを、どのようにして担保することができるのか.......... 51
2. 合理的な利益率(reasonable rate of return)は、どのようにして確立されるべきか ............................. 53
3. PPP契約の期間は、どのようにして決定されるべきか ................................................................ 56
4. 前払いの支払と契約期間にわたる収入分配とのトレードオフについて、公共部門はどのように評価す
べきか............................................................................................................................... 58
5. 取引による収入は、どのように使われるべきか.......................................................................... 59
6. 公共部門比較装置(Public Sector Comparator); 公共による資金調達及び運営によって、公共部門が
PPP と同様又はより以上の財務的成果を達成しうるか否かを、どのように判断するか ....................... 61
7. 長期間の維持の品質を、どのように確保することができるか ........................................................ 62
8. 返還(handback):期間の終了時に、資産が良好に修繕された状態で公共部門に返還されることを、ど
のように確保するか ............................................................................................................. 66
9. プロジェクトの収入に悪影響を与える計画外の施設の建設について、合理的なやり方があるか ........ 69
10. PPP に適切なプロジェクトを選定するため、どのような判断基準が用いられるべきか........................ 74
11. どのようにして競争を確保し、調達手続が公正で透明に行われるようにすることができるか............... 79
12. 民間パートナーの債務不履行又は破産の場合に、公共部門はどのように保護されるのか................ 84
13. 既存資産のコンセッションにおいて、PPP は既存の従業員に対してどのように影響するか................ 88
14. 既存の及び将来の環境基準の遵守は、どのように確保されるか。................................................ 92
参考文献(略)
付表A:州のPPP立法
付表B:参照されたPPP契約の一覧
46
はじめに:このレポートの範囲及び概要
このレポートの目的は、官民パートナーシップ(PPP)取引において、公共政策を考慮した仕組みの組立て
を支援することである。州の立法府及び公務員は、PPPにおいて、このような考慮を行ってきているが、それ
ぞれの州のやり方は、公共部門の政策目的、利用者の利害、プロジェクトの性格、具体的なリスク要因などの
多くの要素に応じて様々である。このレポートは、州の法律及びPPP契約の条項を検証することにより、最も
頻繁に取り上げられている問題に対して、それぞれの州がどのように対応してきたかを考察している。
このレポートは、連邦議会及び州議会における公聴会、出版物並びに連邦、州及び地方の主要な意思決
定者との議論に基づいて、PPPに関連した14の公共政策的問題を特定し、検討している。
それぞれの問題に対応した個別の章立てをしており、各章において、(ⅰ)州交通省その他の公共当局が、
この分野における公共政策的考慮について、どのように対応してきたかを分析し、(ⅱ)用いられている法律及
び契約の詳細な条項を表にしている。
既存の施設(ブラウンフィールド・プロジェクトともいわれる)に関する長期リース又はコンセッションを伴う
PPP と、新規の施設(グリーンフィールド・プロジェクトともいわれる)に関する建設及び長期運営を伴う PPP とで
は、異なった問題が生じる。それぞれのPPPのタイプに対応したやり方が議論される。
交通施設の財源及び調達に関する伝統的な手法にも特有の様々なリスクや公共政策的考慮があるが、こ
のレポートでは、そのような問題は取り扱わない。
PPP は州の法律で根拠付けられなければならないので、この調査では、公共政策の考慮に関係して適用
される州の法律を参照している。州の法律において最も頻繁に対応されている公共政策の問題には、次のも
のがある。
プロジェクト選定の判断基準
調達手続
提案の秘密性
PPP契約の最長期間
PPPによる収入の用途
保証ボンド(surety bonds)その他保証の要件
不動産課税の免除
資金調達の権限
収用権限の行使
既存の従業員の保護
料金レートの設定権限
料金違反に対する執行権限
紛争解決
州のPPP立法の総合的なリストを、付表Aに示す。
このレポートは幅広いPPP契約を検討しており、その中には、例えばSH130ターンパイク第5・第6区間の
ような大規模なグリーンフィールド・プロジェクトに関する契約、例えばI-495首都環状道路HOTレーン・プロ
ジェクト及びSR91高速レーン・プロジェクトのような管理レーン・プロジェクトに関する契約、さらに、例えばシ
カゴ・スカイウェイ、インディアナ有料道路及び提案されたペンシルバニア・ターンパイクのコンセッション(未
実施)のような、既存資産の長期間の運営・維持に関する契約が含まれる。これらの契約のリスト及びこのレポ
ートで用いられるそれらの略称を、付表Bに示す。
まだ調達段階にあるいくつかのプロジェクトも検討対象として有益である。それらには、フロリダ州のI-595
高速レーン、テキサス州のIH635(LBJ高速道路)管理レーン・プロジェクト及び北タラント高速道路、アラスカ
州のニックアーム橋梁が含まれる。これらのプロジェクトに関して提案された契約の条項について、このレポ
47
ートでは、公開された情報が得られる範囲内において議論されている。
問題点に関するエグゼキュティブ・サマリー
1) 料金レート:将来の料金レートが合理的であることを、どのようにして担保することができるのか
コンセッショネアが契約期間にわたって利用者料金の引上げができることが、利用者料金に基づいて資金
調達される長期コンセッションの価値を決定する最も重要な要因のひとつである。公共機関は、料金レートの
引上げについて主要な経済指標に合わせた契約上の制限を設けること、あるいは、競争性を確保し又は消
費者の権利を強めるように組み立てられた政策的措置を通じて、独占的な価格設定のリスクに対応すること
ができる。
2) 合理的な利益率(reasonable rate of return)は、どのようにして確立されるべきか
民間資本の貢献が、PPP による最も重要な便益のひとつである。資本は、プロジェクトの設計及び建設、長
期の運営及び維持、さらに修繕及び改良の費用を支払うために使われる。民間運営者は、投資に対する利
益を獲得する権利と引き換えに、プロジェクトのそれらの要素に伴うコストとリスクを引き受ける。有料道路コン
セッションにおいて独占的な利益を制限するために用いられる手法には、次のものがある。(1)競争(モード間
競争を含む)。(2)利益率の上限設定(caps on rate of return)。(3)一定の資本利益を超える収入の分配
(revenue sharing)。
3) PPP契約の期間は、どのようにして決定されるべきか
民間運営者は、コストを回収し、合理的な投下資本利益率(return on investment)を達成するため、十分に
長いコンセッションの期間(“term”と呼ばれる)を必要とする。契約期間が長いほど、資産保有に伴った利益の
インセンティブが実現される可能性が高くなる。契約期間を設定する場合の政策的な考慮のひとつは、プロ
ジェクトのリスクのレベルである。しかしながら、例えば、イノベーションのインセンティブ、政府の財政に対す
る一般的な影響、様々な交通資産の運営に対する政府の能力及び意図など、他の政策的考慮も重要である。
最近のPPP契約の期間は、35年から99年まで幅がある。PPP契約の期間について法律上の制限を設けて
いる州もあり、最も一般的なものは50年である。
4) 前払いの支払と契約期間にわたる収入分配とのトレードオフについて、公共部門はどのように評価す
べきか
プロジェクトの収入が、当初の資本及び債務の償還、長期の運用・維持費用、さらに改良及び修繕の費用
をまかなうために十分な額よりも多くなる可能性がある場合、前払いの支払を最大化させるか、あるいは、 コ
ンセッション期間を通じて収入を分配するかという問題が生じる。その決定は、一般的に、近い将来及び契約
期間にわたる公共機関の満たされないニーズ、資産の評価におけるリスク、公共部門が得られる投資の選択
肢、さらに、割引かれた将来収入の利益率を上回るレートで建設コストが増加するリスク、をみて行われる。公
共機関が収入分配を求める場合、コンセッショネアによる前払いの支払は、明らかに減少することになる。
5) 取引による前払い又は毎年の収入は、どのように使われるべきか
グリーンフィールド・プロジェクトとは異なり、既存の施設に関する PPP は、一般に、多額の前払いの支払を
伴う。その支払により、公共所有者は、資本投資プログラムの資金を確保し、また、債務を返済する機会を得
る。それに伴って、そのような資金がどのように配分されるべきかに関する公共政策的考慮が生じる。交通と
その他の州又は地方の優先事項とのバランス、地域内又は地域間のバランス、そして現在の利用者と将来
の利用者の利益のバランスをどのようにするか、という問題がある。
6) 公共部門比較装置(Public Sector Comparator): 公共による資金調達及び運営によって、公共部門が
PPPと同様又はより以上の財務的成果を達成しうるか否かを、どのように判断するか
48
公共当局は、新規施設についてコンセッションを付与することで、建設のために調達できる資金の額を最
大化するとともに、長期の運営費用を最小化しようとする。いくつかの公共機関は、民間部門による資金調達
が公共側にとって最善の価値(best value)をもたらすかどうかを判断するために、公共部門及び民間部門の
選択肢の評価を支援する財務アドバイザーを従事させている。
7) 長期間の維持の品質を、どのように確保することができるか
PPP に関して最も多く取り上げられる問題のひとつは、民間運用者が資産を維持し、必要な改良を行うこと
を確保することである。過去の契約において、維持及び義務的な容量改善のためのやり方は様々であり、詳
細な又はパフォーマンスに基づく維持基準、準備金の要件、監査及び検査などがある。さらに、民間コンセッ
ショネアには、長期間の運用・維持の義務を限定するために、事前に十分なプロジェクトの資本投資を行おう
とする強いインセンティブがある。
8) 返還: 期間の終了時に、リースされた資産が良好に修繕された状態で公共部門に返還されることを、
どのように確保するか
民間部門には、利用者を引き付け、また、運営コストを安くするために、維持及び資本的改良に投資する
インセンティブがあるが、期間の終期が近づき、新規投資を行っても改良費用を回収するために十分な利用
者を集められない可能性がある場合には、このインセンティブは減少する。公共機関はこのリスクを認識して、
様々な戦略を用いており、信用状(letters of credit)、毎年の検査、そして、期間の終期までコンセショネアが
適切な維持を行うことを確保し、国民を保護するための維持準備金(reserve funds)などがある。
9) プロジェクトの収入に悪影響を与える計画外の施設の建設について、合理的なやり方があるか
民間運営者、その債権者及び投資者は、将来の需要に関する合理的な想定に基づいた収入の見通しが
できることを必要としている。一方、公共部門は、それが予測されていたか否かにかかわらず、実際の需要の
伸びに対応するために投資を行うことについて自由である必要がある。現在のPPP契約では、民間部門の
収入を減らすことになりうる施設を、公共部門が将来建設することを明確に禁止してはいない。その代わり、
契約が締結された時点で計画されていなかった施設が建設されることで、民間運用者の施設で生ずる収入
が減少したことが証明できる場合には、民間運営者は限定的で一定の算定式による補償を提供される。
10) PPP に適切なプロジェクトを選定するため、どのような判断基準が用いられるべきか
PPPを実施することの決定には、多くの要素に関する調査及び検討が必要であり、その中には、公共部門
の政策目的、利用者の利益、国民の支持、新規プロジェクトの財政的見通しが含まれる。公共機関は、このよ
うな決定をどのように律するかに関する法律及びガイドラインを作成している。
11) どのようにして競争を確保し、調達手続が公正で透明に行われるようにすることができるか
透明性は、全ての公共契約において鍵となる考慮事項である。州は、調達手続に関する法律及び規則に
おいて、透明性及び提案の公開を確保するような募集に関する手続要件を定めており、パブリック・ヒアリン
グも必要としている。
12) 民間パートナーの債務不履行又は破産の場合に、公共部門はどのように保護されるのか
コンセッショネアがその義務の実施について著しい不履行があり、あるいは債務超過又は破産した場合、
コンセッション契約では、典型的には、債権者が不履行を治癒するための介入権(step-in rights)を獲得し、新
たな運営者を用意する。債権者が介入しない場合には、公共主体が契約を終結させることができ、施設を運
営する他の主体と契約するか、又は、公共主体が自ら介入して施設を運営する。
13) 既存資産のコンセッションにおいて、PPP は既存の従業員に対してどのように影響するか
民間運営者が既存の施設を引き継いだ場合、既存の従業員に対する影響が生じうる。既存の従業員の利
49
益を保護するために、様々な契約上の手段がある。
14) 既存の及び将来の環境基準の遵守は、どのように確保されるか
環境への影響は、いかなるインフラプロジェクトにおいても、考慮事項のひとつである。PPP も、伝統的な調
達手法によるプロジェクトに適用されるものと同じ州及び連邦の法律の対象となる。過去の契約においては、
例えば、環境関連の許可で求められた影響緩和措置の実施を民間部門に義務付けること、民間運営者が環
境法及び政府の許可を遵守しなかったことから生じた請求に対して公共所有者が補償されること、などの条
項により、環境規制の遵守に対応している。
50
公共政策の問題 - 法律及び契約手法
このレポートが対象としている14の公共政策的問題は、連邦及び州の立法府のヒアリング、各種報告書及
び論文において、最も頻繁に取り上げられているものである。それらの問題の多くは、特定の制限を規定した
授権法又はガイドラインにおいて対応されている。具体的なプロジェクトの契約における詳細な条項は、政策
決定を反映したものであり、プロジェクトの性格及び公共機関の特定の政策目標を反映させるために精緻化
されている。州は、PPPコンセッションがグリーンフィールドかブラウンフィールドかに応じて、同じ問題につい
ても異なったやり方をとっている。また、新規路線の開発に関する契約は、既存の路線に新規レーン又は管
理レーンを追加する場合と比べて、異なった条項を定める傾向がある。最後に、より最近のプロジェクトでは、
以前のプロジェクト又は海外の取引から学ばれた教訓に基づいた条項を定めている。
1.
料金レート:将来の料金レートが合理的であることを、どのようにして担保することができる
のか
料金設定に関する責任を民間契約者に移転することは、独占的価格設定に関する政策問題を引き起こす。
経済学的観点からは、料金レートは、自動車運転に伴う社会的限界費用(marginal societal cost)に近づける
べきである。
合理的な料金レートには、ピーク時間帯において渋滞を効率的に管理するために十分な高さの可変料金
レートを含みうる。さらに、プロジェクト開発者は、将来の料金収入が、債務の返済、運営・維持費用、将来の
資本的改良の費用を支払い、さらに投資者に対する合理的な利益を提供するのに十分であることが見込め
なければならない。新規建設の費用又は前払いのリース料の支払のために、それらのプロジェクトに関する
債務及び資本を調達する場合、料金による収入がこれらの目的のために十分であることが合理的に担保さ
れていることが必要である。
公共所有のもとでは、料金レートの引上げが物価上昇を反映することはほとんどなく、有料道路の維持費
用の増加をまかなうことさえもできない場合がある。これは、主として、公共運用者にとっては、社会的に最適
なレベルで道路に課金するというインセンティブが一般的に弱いという事実によるものである。
既存の有料道路の運営又は新規の有料道路の建設に関する最近の契約はすべて、料金レートをどれだ
けの頻度で、また、どれぐらい引き上げることができるのかに関する制限を定めている。それらの概要を以下
の表1.1に示す。ほとんどのプロジェクトにおいて、料金レートをコントロールするために使われている仕組
みは、料金レート引上げに関する一定の制限を設けるものである。初期のプロジェクトであるバージニア州の
ダレス・グリーンウェイは、公益事業方式(utility-style)の料金レート規制を定めた州の法律のもとで開発され
たが、2008年4月に、ダレス・グリーンウェイの料金レートの引上げは経済指標にリンクされることとなった。
混雑した施設に関しては、固定の最高料金レートを設定することは、可変料金(variable pricing)によって混
雑を最小化するという意図と相容れないこととなりうる。このようなプロジェクトについては、料金レートの上限
規制に代えて、独占的利潤を防止するために、資本利益率の規制又は収入分配条項が用いられている。こ
のような方式は、次の第2章で説明される。
民間運用者は、通常、料金レートを主要な経済指標に従って引き上げることが認められているが、そうする
ことを義務付けられているものではなく、料金レートの引上げが施設の利用を減らし、収入を減少させることと
なりうる場合には、料金レートの引上げを行わない強いインセンティブがある。
料金レートの上限に加えて、ほとんどのPPP契約では、警察、緊急車両その他特定の公的利用者に対す
る料金の免除を定めている。また、例えば台風による避難のような緊急事態における料金徴収の停止も定め
られている。
51
契 約
シカゴ・スカイウェイ
関連条項
別表6
プロジェクト・タイプ
手
法
ブラウンフィールド
2017年までレートを設定。その後は、2%、消費者物
価指数(CPI)増加率又は1人当たりGDP増加率のうち
最大のものまで料金レートを引上げることができる。
インディアナ有料道 別表7.1
路
ブラウンフィールド
2011年までレートを設定。その後は、2%、消費者物
価指数(CPI)増加率又は1人当たりGDP増加率のうち
最大のものまで料金レートを引上げることができる。
ポカホンタス・パー
クウェイ
Transurban とのコン
セッション1
SH-1212
(NTTA:北部テキ
サス有料道路公社)
第4条
別添F
ブラウンフィールド
2017年までレートを設定。その後は、2.8%、消費者
物価指数(CPI)増加率又は1人当たりGDP増加率のう
ち最大のものまで料金レートを引上げることができる。
第22条
別添R
グリーンフィールド
2012年まで2年ごとにレートを設定。
指標:2012年以降は2年ごとにレートの変更が認めら
れ、引上げの最高限度は消費者物価指数(CPI)によっ
て決定される(2年間の増加率が6%未満の場合)。ある
いは、過去2年間で消費者物価指数(CPI)が6%以上
増加した場合は、合衆国南部の人件費指数(ECI:
Employment Cost Index)によって決定される。
例外:人件費指数(ECI)の増加が消費者物価指数(CP
I)の増加よりも高い場合は、消費者物価指数(CPI)の増
加率を用いる。NTTAが当該施設に関する債務を返済
するため、又は、NTTA路線網の財務状態を維持する
ために、より高い料金が必要であると認めた場合には、
これらの制限によらないこととする選択肢を有する3。
SH-130第5・第6 第3条
区間
別添4
グリーンフィールド
IH-635
管理レーン
第3条
別添4
レートは毎年調整される。
指標:レート変更の上限は、経済分析局(BEA: Bureau
of Economic Analysis)が公表したテキサス州の名目州
内総生産の最新値による1人当たり名目州内総生産の
増加率によって規律される。
「基本料金上限」により、当初の料金上限を、0.75ドル/
マイルに設定。
指標:上限は、5年ごとに、消費者物価指数(CPI)の増
加率に等しいレートに調整できる。
ダレス・グリーンウ バージニア グリーンフィールド
ェイ
州法第 56 542 条(2007)
に基づき、
公益事業委
公益事業方式によるレート設定。運営者は、レートの引
上げの許可を得るため、バージニア州公益事業委員会
(Virginia State Corporation Commission)に申請しなけれ
ばならない。2008年4月に制定された法律は、委員会
に対して、2013年から2020年までの間、(ⅰ)直近の料
1
[訳注] バージニア州のポカホンタス・パークウェイは、非営利法人(ポカホンタス・パークウェイ協会)によって建設され、
2002 年に開通したが、2006 年に Transurban にリースされた。
2
[訳注] テキサス州のSH121は、当初、PPPとしての調達手続が進められ、Cintra/JP Morgan グループの提案が採択さ
れていたが、その後、手続がキャンセルされ、北部テキサス有料道路公社(NTTA)が事業を実施することとなった。
3
SH121有料プロジェクトのプロジェクト契約は、次で入手できる。
http://www.dallasnews.com/sharedcontent/dws/img/11-07/1109Project-Agreement-121.pdf
52
I-495HOTレーン4
員会(SCC)
が規制
金レート引上げ以降の消費者物価指数(CPI)の増加率
に1%を加えた率、(ⅱ)直近の料金レート引上げ以降の
実質GDP増加率又は(ⅲ) 2.8%のうち最大のものに
等しい料金レートの引上げを承認するよう指示した。
第 4.04 条・ 管理レーン
第 12.02 条
混雑課金(congestion pricing): この施設は混雑課金を
活用する予定であり、交通の自由な流れを維持するた
めに、頻繁に料金レートの変更を行う可能性がある動
的課金を伴う。
例外: 3人以上が乗車した車(HOV-3)、公共交通車
両、通勤バス、通学バス、オートバイ、免除車両(緊急車
両及び職務執行においてHOTレーンを通行する法執
行車両)は、料金を免除される。
2.
合理的な利益率(reasonable rate of return)は、どのようにして確立されるべきか
プロジェクトの長期の運営及び維持だけでなく、設計及び建設、さらに修繕及び改良の費用の支払に対
する民間資本の貢献が、PPPによる最も重要な便益のひとつである。典型的には、民間パートナーは、プロ
ジェクトの利用者が支払う通行料その他の料金を収受することを通じて、費用をまかない、投資に対する収益
を獲得することを認められている。
前述のように、民間パートナーの利益は、運営及び維持基準の厳格な遵守を求めながら、徴収することが
できる利用者料金の額の上限を定める契約条項によって制限することができる。
有料道路コンセッションにおいて、利益を制限するために用いられている手法には、このほかに次の4つ
がある。(1) 競争的な入札(competitive bidding)、(2) 収入分配(revenue sharing)、(3) 利益率の絶対的上限
(absolute caps on rates of return)、そして(4) 公益事業方式(utility-type)のレート規制である。表2.1は、最近
実施されたプロジェクト契約で、利益率の規制及び収入分配を定めている、様々な条項の要約である。
利益率の制限に関して公共の担当官が用いている手法は、次のような多くの要因に依存している。それら
は、(a) 社会に対する正味便益、(b) 公共部門の政策目的、(c) プロジェクトのリスク構成、そして(d) 調達の
競争性である。
マーケットの利益率(market rate of return)を得るために、競争入札を活用
競争入札は、(料金レート構成を所与として)政府に最高の価値を提示し、又は公的助成を最低とすること
に合意する事業者にプロジェクトを付与する競争的な入札手続を用いることで、合理的な利益率の決定をマ
ーケットにゆだねる。入札者は、より魅力的な入札を行うことができるように、期待する利益率を引き下げること
を余儀なくされる。シカゴ・スカイウェイ及びインディアナ有料道路は、競争入札に付せられ、利益率に関する
明示的な制限は設けられなかった。勝利した入札は、最低ではないにしても競争的な税引き後利益の見込
みを反映しているものとみなされた。現実の利益率は、コンセッショネアがどの程度効率的に有料道路を運
営し、当該道路が利用者にとってどの程度魅力的であるかによって決まることになる。
合衆国で検討されているひとつのやり方は、プロジェクトを実施するために必要な公的助成を最低にする
ということに基づいて、入札者が競争する方式である。このような支払は、「アベイラビリティ・ペイメント
4
バージニア州R495HOTレーンプロジェクトに関する変更総合契約(2007 年 12 月 19 日)は、次で入手できる。
http://www.virginiadot.org/projects/resouces/ARCA
[訳注] 上記URLはリンク切れとなっているが、次でも入手可能。
http://vamegaprojects.com/projectSummary02.html
53
(availability payments)」5と呼ばれる。このようなPPPの構成では、利益率の上限はない。その代わり、競争入
札は、入札者が、建設及び運営費用の見込みのリスク及び責任を引き受けるために受け容れることができる
最低のアベイラビリティ・ペイメント(受け容れ可能な最低の利益率)で入札することのインセンティブとなる。
利益率に基づく収入分配(revenue sharing)
ほとんどのプロジェクトでは、コンセッショネアの利益率について予め絶対的な制限を設けることはしてい
ないが、それは、いったん利益率の上限を超過すると、コンセッショネアがプロジェクトを効率的に運営するイ
ンセンティブが奪われることになりうるからである。また、利益率の規制は、実際の利益率を判定する必要が
あるが、それは厄介なものとなりうる。その代わり、いくつかの公共機関は収入分配条項を選択しており、それ
によって、公共部門と民間部門の双方が、プロジェクトの上方向の可能性を分け合うことができる。このような
条項により、コンセッショネアが一定の利益のレベルに達した時点で、公共部門は、施設による収入の分配を
受けることができる。典型的には、公共機関は、それを超えた場合にコンセッショネアから料金収入の一部を
受け取ることとするしきい値を、財務アドバイザーにより提供される市場調査によって決定している。このよう
な取引でも、民間部門が効率性を増大させ、イノベーションを行うインセンティブを弱める可能性がある。
管理レーン・プロジェクトでは、料金が交通量に応じて設定されるので、路線利用の需要がより多い場合に
おけるより高い料金の結果として増加した収入を活用するために、利益を分配することができる。
この方式の最近のバリエーションとしては収入帯域の事前設定(pre-set revenue bands)の活用があり、それ
により公共機関は収入の一定割合を支払われることになる。この方式は、公共機関がコンセッショネアの利益
を監視する手間を軽減し、コンセッショネアの会計方式に関連した論争の可能性を回避する。収入帯域の事
前設定は、テキサス州におけるSH121の契約(現在は中止されている)及びSH130第5・第6区間プロジェク
トで採用された。
プロジェクトが供用された時点でリファイナンスを行う可能性が、利益に影響を及ぼすもうひとつの要因で
ある。よい良い条件のもとで債務(debt)をリファイナンスすることで、長期コンセッション取引における資本
(equity)のシェアを縮減し、長期コンセッション契約の当初に見込まれていた投下資本利益率(ROI: return on
investment)を改善するという事例がある。いくつかの最近のコンセッション契約では、これらのリファイナンス
による利得を、特別の条項又は他の収入分配手段のなかで、公共部門に分配することを定めている。このよ
うな条件は、コンセッションの対価の支払を減らすことになる。
公益事業方式の規制
公益事業方式(utility-style)によるレート規制が、民間主体の投下資本利益率を規制するもうひとつのやり
方である。バージニア州の最初のPPP立法は、公益事業方式による料金レート規制を定めていた6。バージ
ニア州の最初の民間高速道路コンセッションであるダレス・グリーンウェイは、この法律のもとで開発された。
コンセッショネアは、料金を値上げに先立って、バージニア州公益事業委員会(SCC: State Corporation
Commission)に申請しなければならない。公益事業方式の規制に伴う問題のひとつは、民間部門がコストを
膨らませるインセンティブを生み出す可能性があることである。さらに、政治的なリスクの対象ともなりうる。例
えば、州公益事業委員会(SCC)が同道路の運営者から申請された料金レートの引上げを評価しているとき
に、同委員会は提案された料金改定に関して、600件以上のパブリック・コメントを受理し、そのほとんど全て
は値上げに反対していた。しかしながら、コンセッショネアが提示した証拠によれば、提案された値上げと交
通量は過去のレベルに沿ったものであり、コンセッショネアの次年度の投下資本利益率(ROI: return on
5
[訳注]アベイラビリティ・ペイメントとは、施設が良好に利用可能(available)な状態で供用されている場合に、公共当局
からコンセッショネアに行う定期的な支払のこと。施設が利用できない状態となった場合や満足な状態で維持されてい
ない場合は、支払額が減額される。施設利用者は料金を支払わない。
6
1988年バージニア州高速道路会社法(Virginia Highway Corporation Act of 1988), VA.CODE ANN. §§56-535-552
(2007)
54
investment)は概ね0.62%と見込まれていた。
その後、バージニア州は、料金及び利益率の設定に関するこのような手法を回避する、新たなPPP立法を
制定した。2008年4月14日に、バージニア州は、2013年から2020年までの間、次のような料金レートの引
上げの申請を承認することを州公益事業委員会(SCC)に指示する法律を制定した。それは、(ⅰ) 直近の料
金レート引上げ以降の消費者物価指数(CPI)増加率に1%を加えたもの、(ⅱ) 直近の料金レート引上げ以
降の実質GDP増加率、又は(ⅲ) 2.8%、のうち最大のものと等しい引上げである。
表2.1 利益率の制限に関する契約
契 約
シカゴ・スカイウェイ
関連条項
利益率の制限
収入分配
手
法
N/A
料金レートの上限 なじ
のもとで、前払い
の支払を最大化す
るということに基づ
いた競争入札
料金レートの上限: この契約における
料金レートには上限が設定されている。
コンセッショネアが達成する利益率は、
交通量のレベル及びどの程度効率的に
施設を運営することができるかによること
になる。
インディアナ有料道 N/A
路
料金レートの上限 なし
のもとで、前払い
の支払を最大化す
るということに基づ
いた競争入札
総 投 資 に 対 す る あり
利益率(return on
total investment)の
レベルに基づいた
収入分配
料金レートの上限: シカゴ・スカイウェイ
と同様。
事前に設定された あり
収入帯域(revenue
bands)に基づいた
収入分配
コンセッショネアは、所定の収入額に応
じて、収入の一定割合(0%、12.5%、
25%又は50%)をテキサス州交通省(T
xDOT)に支払うこととなる。収入額は、
料金値上げで使われているものと同じ
指標に従って増加する。
事前に設定された あり
収入帯域(revenue
bands)に基づいた
収入分配
収入分配の条件: 収入分配契約は、S
H121で提案された条件と同様。さら
に、コンセッショネアは、テキサス州交通
省(TxDOT)が公示速度制限を時速80
マイルに引上げた場合、67百万ドルを支
払い、さらに時速85マイルに引上げた場
ポカホンタス・パーク 第 5.01 条
ウェイ
Transurban のコンセ
ッション
SH-121
第 5.3 条
別添7
Part C
SH-130第5・第6 第 5.1.2 条
区間
別添7
Part B
55
料金レートの上限及び収入分配: コン
セッショネアが総投資に対して一定の利
益率を達成した場合、民間及び公共パ
ートナーは追加の収入を分配する。
しきい値: 1) プロジェクト総投資資金
に対する税引き前の内部収益率(IRR:
internal rate of return)が6.5%に達した
場合、その後はコンセッショネアは料金
収入の40%をバージニア州交通省(V
DOT)に支払わなければならない。2)
プロジェクト総投資資金に対する税引き
前の内部収益率(IRR)が8%に達した場
合、その後はコンセッショネアは料金収
入の80%をバージニア州交通省(VDO
T)に支払わなければならない。
合は、1億ドルを支払う。
IH-635
第 5.3 条
別添7
事前に設定された あり
収入帯域(revenue
bands)に基づいた
収入分配
事業者の内部収益率(IRR: internal rate
of return)が、15%、18%、21%及び2
3%を超えた場合、収入分配の割合を
段階的に引上げ。
ダレス・グリーンウェ 州法第 56 公益事業方式によ なし
イ
-542
条 る規制
(2007)
公益事業方式による規制: コンセッショ
ネアによる料金レートの引上げはすべ
てバージニア州公益事業委員会(SCC)
の承認を得なければならず、委員会は
利益率も考慮する。
I-495HOTレーン
条件: ポカホンタス・パークウェイの
Transurban のコンセッションと同様。
第 5.01 条
別添L
収入分配
あり
しき い 値: 総投下資本利益率(total
return on investment)が7.940%を超え
た場合-総収入の5%を公共部門に分
配。総投下資本利益率が8.497%を超
えた場合-総収入の15%を公共部門
に分配。総投下資本利益率が8.96
6%を超えた場合-総収入の30%を公
共部門に分配。
SR-91
(州法AB680)
3.
第 9.2 条
第 9.3 条
第 9.5 条
投 資 利益 率 の 絶 あり
対的な上限
毎年、コンセッショネアは、プロジェクト
の資本コスト及び総累積収入を考慮し
た算定式に基づいて、投下資本利益率
(ROI: return on investment)を計算するこ
とが必要。投下資本利益率(ROI)が1
7%を上回る場合、支出を除いた収入は
カリフォルニア州交通省(Caltrans)に分
配される。コンセッショネアは、ピーク時
間帯の交通スループットの改善又は資
本的改良に関して奨励金を受け取ること
ができる権利がある。
PPP契約の期間は、どのようにして決定されるべきか
合衆国の PPP では、コンセッションの期間の長さ(しばしば、”term”と呼ばれる。)は、提案されているI-595
回廊改良プロジェクトの35年間から、シカゴ・スカイウェイ及びポカホンタス・パークウェイ(Transurban との取
引)の99年間まで、幅広く様々である。期間の長さの問題は、公共部門が、将来に向けたニーズを見通して
変化する状況に対応することができる可能性に関する政策的問題を引き起こす。
契約の期間は、公共部門の政策目的及びプロジェクトのリスク・プロファイルを反映すべきである。例えば、
イノベーションのインセンティブ、政府の財政に対する全般的な影響、政府が様々な交通施設を運営する能
力及び意思などの他の考慮も重要である。プロジェクト所有者が多額の前払いの支払を期待しているプロジ
ェクトでは、期間がより長いほうが、民間パートナーにとっての価値を最大化させ、支払額を増大させる。特に、
新たに建設される施設を含むグリーンフィールドのプロジェクトのように、交通量及び収入が不確実なプロジ
ェクトでは、期間がより長いほうが、投資者が目標とする投下資本利益率を実現することを確保しやすくなる。
そのよい例は、ポカホンタス・パークウェイ・プロジェクトである。コンセッショネアは、初期の年度の運営で生
56
じた損失を、後の年度で増大する需要から生みだされる利益によって埋め合わせることができるだろうという
期待に基づいて、初期の年度に資本を投入することが求められた。
より短い期間は、返済のリスクが低いプロジェクト、特に、高いレベルの確実性で予測できる安定的な収入
の流れがある施設について用いることができる。アベイラビリティ・ペイメントは、交通量には依存しておらず、
民間部門にとってのリスクは低いので、より短い期間とすることができる。
例えば、加速償却(accelerated depreciation)が認められることなど、連邦、州及び地方の税制上の考慮も、
期間の長さを決める要因となる。コンセッショネアは既存の有料道路の所有者ではないが、リースの期間が、
取引時点における資産の残存設計寿命を超えている場合、他に相反する要因がなければ、内国歳入庁(IR
S)は、税務目的ではコンセッショネアを所有者として取り扱うことになる。税務上の所有者として、コンセッショ
ネアは、前払いの支払額のうち有形固定資産に割り当てられた部分を、リースの全期間ではなく、道路資産
として15年間で減価償却することが認められる。7
表3.1は、最近のコンセッションの期間の定めの一覧である。
表3.1 コンセッション契約の期間の定め
契 約
説
明
シカゴ・スカイウェイ
既存の有料道路の99年間のリース
インディアナ有料道路
既存の有料道路の75年間のリース
SH130第5・第6区間
SH130の40マイルの区間に関する50年間のリース。当該区間の建設は民間主体
によって資金調達される。
SH121
SH121の12マイルの有料区間を北部テキサス有料道路公社(NTTA)に50年間リ
ース。当該区間は、北部テキサス有料道路公社(NTTA)により建設及び維持される。
SR91
当初は、カリフォルニア民間交通会社(CPTC)とカリフォルニア州との間の35年間の
フランチャイズ契約によって建設された。
http://www.innovativefinance.org/projects/highways/91.asp
I-495
首都環状道路(Capital Beltway)のHOTレーンに関する80年間のリース。同レーン
は、民間運営者によって建設、運営及び維持される。
ポカホンタス・パークウェ 民間会社が残期間にわたり道路を維持及び運営し、リッチモンド国際空港への延伸
イ/Transurban とのコン 部を建設することを引き受ける、99年間の契約。
セッション
いくつか州は、立法によって、契約期間の最長限度を定めている。
以下の表3.2は、法律によって課された最長期間の事例である。
表3.2 コンセッション期間に関する法律上の制限
州
カリフォルニア
法
律
最長期間 35年間。契約締結の日から起算。
CAL. GOV. CODE §5956.6(2007)
7
連邦議会上院財政委員会エネルギー、天然資源及びインフラ小委員会の「高速道路PPPの課税及び資金調達」に関
するヒアリング(2008年7月24日)における Linda Carlisle 及び Edward Kleinbard の証言を参照。
http://transportation.house.gov/Media/File/Highways/20070213/ssm.pdf で入手可能。
[訳注] 詳細な証言内容は、次で入手可能。
http://finance.senate.gov/hearings/testimony/2008test/072408lctest.pdf
http://www.house.gov/jct/x-62-08.pdf
57
コロラド
最長期間 99年間。契約締結の日から起算。
COLO. REV. STAT. §43-1-1202(1)(d)(Ⅱ)(2007)
デラウェア
最長期間 50年間。プロジェクトの完成時から起算。
2 DEL. CODE ANN. Title 2 §2004(a)(2008)
フロリダ
最長期間 50年間。契約締結の日から起算。特に認められた場合は、最長75年間。
立法府の承認を得た場合は、75年を超えることができる。
FLA. STAT. ANN. §334.30(12)(2008)
ミシシッピ
最長期間 50年間。契約締結の日から起算。延長又は更新なし。
MISS. CODE. ANN. §65-43-3(3)
ペンシルバニア
ペンシルバニア州は、ペンシルバニア・ターンパイクに関して、2つの選択肢を探究
している。Rendell 知事は、ターンパイクの75年間のリースを求める計画を進めている
(HB2593, 2008 Leg. Reg. Sess. (Pa. 2008) 及び HB1590, 2007 Leg. Reg. Sess.
(Pa. 2007)として州議会に提出された)。Act 44は、I-80をペンシルバニア・ターン
パイク公社に50年間リースすることを求めている。
プエルトリコ
最長期間 50年間。プロジェクトの完成時から起算。
9 P.R. LAWS ANN. §2004A(1)(Ⅰ)(2004)
テキサス
最長期間 50年間。プロジェクトの最終承認又は収入を伴う運営開始の時点から起
算。ただし、52年を超えてはならない。
TEX. TRANSP. CODE ANN. §§227.023(f); TEX. TRANSP. CODE §227.082
(a)-(b)(2007)
ワシントン
最長期間 50年間。契約締結の日から起算。
WASH. REV. CODE §47.46.040(2008)
コンセッション期間の延長の可能性
典型的には、コンセッションでは、契約で定められた期間を超えた更新について規定されていない。しかし
ながら、いくつかの契約では、例えば不可抗力(force majeure)の事態のような、コンセッショネアのコントロー
ル外の予期せぬ事態からコンセッショネアを救済するために、期間の延長に関する規定を設けている8。コン
セッションの期間中には、特に建設段階では、当事者のコントロールを超えた事態が起こりうるし、現に起きて
おり、進捗を遅らせることになる。期間の延長により、コンセッショネアは、追加された期間でのコンセッション
の運営を通じて損失を回復する機会を認められることになる。
4.
前払いの支払と契約期間にわたる収入分配とのトレードオフについて、公共部門はどのように
評価すべきか
前払いの支払いを最大化するか、あるいは、コンセッションの期間にわたって収入を分配するか、という問
題は、債務の返済、合理的な投下資本利益率、長期の運営及び維持費用、更新及び修繕費用を含めた当
初の資本費用を越えた収入がありうる場合に生じる。典型的には、実証された交通量と収入があるブラウンフ
ィールドのプロジェクトがこの範疇に当てはまるが、交通量が非常に多い地域における一定のグリーンフィー
ルドのプロジェクトも同様である。
例えば、シカゴ・スカイウェイ(18億3千万ドル)、インディアナ有料道路(38億ドル)、そして、提案されたペン
8
例えば、シカゴ・スカイウェイ・コンセッション及びリース契約第15条を参照。
58
シルバニア・ターンパイクのコンセッションに関して受理された最高額の入札(128億ドル)のように、既存施設
の長期リースに関して、最大の前払いの支払が獲得されている。前払いの支払は、例えばテキサス州のSH
121を含めた、いくつかのグリーンフィールドのプロジェクトを建設する機会を得るためにも申し出られている。
Cintra は、SH121の50年間のコンセッションに関して、前払いで21億ドル、さらにコンセッションの期間にわ
たって、見積もりで7億ドルを支払う入札を行った。そして、その後に、北部テキサス有料道路公社(NTTA)は、
テキサス州交通省(TxDOT)に、前払いで25億ドル、コンセッションの期間にわたって8億3,300万ドル(200
7年価格)を超える支払を申し出た。
公共部門は、将来の収入を追及するよりは、むしろ多額の前払いの支払を受け取るかもしれない。というの
は、公共部門は収入を直ちに使うことができ、又は、将来の定期的な支払よりも多くの価値を生み出すような
やり方で投資できるからである。考慮される他の要因としては、近い将来及び契約期間にわたる公共機関の
満たされないニーズ、資産の評価におけるリスク、公共部門が得られる投資の選択肢、割引かれた将来収入
の利益率を上回るレートで建設コストが増加するリスクがある。
プロジェクト評価の鍵となる要因は、料金収入の流れである。有料運営の履歴がある既存の施設は、比較
的、評価が容易である。シカゴ・スカイウェイ、インディアナ有料道路及び提案されたペンシルバニア・ターン
パイクのコンセッションは、交通量及び収入の履歴に基づいて、プラス幅の何十億ドルもの入札を引き付けた。
これに対して、グリーンフィールドのプロジェクトは、交通需要に関する履歴データがないので、評価はより困
難である。さらに、設計及び建設に関連するリスクによって、グリーンフィールド施設に関して提示される前払
いの支払額は押し下げられる傾向がある。既存の高速道路に追加される管理レーンについては、可変料金
やHOV利用者による無料利用9の割合により、収入の予測が複雑であることに関して、さらなる難題がある。
5.
取引による収入は、どのように使われるべきか
既存資産の資金化(monetization)は多額の前払いの支払を伴う可能性があり、それにより、公共所有者は、
資金手当てがない資本投資プログラムの建設を進め、また、債務の重荷を軽減する機会が得られる。このよ
うな機会に伴い、これらの収入がどのように配分されるべきかという公共政策的考慮が生じる。交通施設とそ
れ以外の州・地方のプログラム、地域内又は地域外にわたるプロジェクト、さらに現在及び将来の利用者の
便益のバランスをどのように図るかに関する問題がある。
シカゴ市は、シカゴ・スカイウェイのリースによる収入を、プロジェクト債務の返済、準備勘定の創設、さらに
交通に関連しないプログラムのために使用した。一方、インディアナ有料道路からの収入は、同道路の周辺
及び州全体における交通プロジェクトに全て振り向けられており、10ヵ年の交通資本投資プログラムの資金と
して使われる。
収入の用途に関する法律上の制限のほとんどは、交通プロジェクトからの資金が交通投資のためにのみ
使われるように、資金を交通信託基金又はその種の基金に組み入れることを規定している。表5.1参照。
前払いのリース料は早い年に使われてしまうかもしれず、一方、国民は、リースの期間を通じて料金を支払
い続けることになる。資金が寿命の長い資本的プロジェクトに投資され、あるいは、その他の継続的な便益の
提供に使われた場合は、プロジェクトの将来の利用者も、現在の利用者と同様に便益を受けることになる。表
5.2は、これまでのコンセッション契約による資金の配分の詳細である。
9
[訳注] 相乗りの車(HOV:High Occupancy Vehicle)のみが通行できるレーンをHOVレーンといい、HOVレーンの要件
を満たさない車(単独乗車の車)でも料金を支払えば通行できることとしたレーンをHOT(High Occupancy Toll)レーンと
いう。HOV車はHOTレーンを無料で通行できるので、HOV車の割合が増えれば料金収入は減ることになる。
59
表5.1 収入の用途に関する法律上の規定
州
カリフォルニア
法
律
カリフォルニア州は、超過の料金収入の用途を制限しており、超過の収入は、契約主
体の債務返済、州道路勘定への組入れ、又は、当該プロジェクトの改良のために使
われることが必要である。ただし、地域の有料公社とのリースにおいては、超過の収
入は、当該プロジェクトの近隣の公共交通の改善のために地域当局に支払われる。
CAL. STS. & HIGH CODE § 143(e)(1)(2007)
コロラド
州交通省へ分配される収入は、州道路補充基金に組み込まれ、交通目的に使用さ
れなければならない。
COLO. REV. STAT 43-1-1205(2007)
デラウェア
超過の収入は、デラウェア州交通信託基金に組み込まれなければならない。
DEL. CODE ANN. tit. 2 2006(2008)
フロリダ
リースによる収入は、交通信託基金に組み込まれなければならない。
FLA. STAT. ANN. §337.251(8)(2008)
ミネソタ
HOT/HOV レーンからの収入でプロジェクトコストを超える部分は、当該路線の改良
及び当該路線におけるバス・サービスの向上に配分される。
MINN STAT. §160.93(2007)
ミシシッピ
ミシシッピ州交通省に支払われた料金収入の分配は、省の道路基金に組み込まれ、
省が道路の建設及び維持に使用するものとする。
H.B. RES. 3, 2008 Leg. 1st Extraordinary Sess. (Miss. 2008)
オレゴン
交通プロジェクトからの資金は、州交通企業体基金に組み込まれなければならない。
OR. REV. STAT §383.009(2005)
テキサス
交通プロジェクトからの収入は、交通プロジェクトの便益に合理的に関連する、又は、
するものと期待される目的又は費用以外の目的又は費用の支払いに割り当ててはな
らない。毎年、公共機関が交通プロジェクトから余剰の収入があると認めた場合、当
該機関は、料金を引き下げるか、余剰の収入を当該機関の関係郡における他の交
通プロジェクトに使用するか、又は、余剰の収入をテキサス州移動基金に預託するも
のとする。
TEX. TRANSP. CODE ANN. §§370.172, 370.174(2007).
バージニア
PPTA(公共民間交通法)に基づいて締結された総合契約は、総合契約で交渉され
たところにより、最大の利益率を超える収入の配分について定めなければならない。
超過の収入は、州交通信託基金、所管公共主体又は債務返済を行う民間主体に配
分することができる。州が所管公共主体であるコンセッション契約に基づく支払は、
交通信託基金に組み込まれるものとする。
VA. CODE ANN. §56-566(2007)
ワシントン
イノベーティブ・パートナーシップからの収入は、交通イノベーティブ・パートナーシッ
プ勘定に組み入れられ、州議会により認められたプロジェクトの勘定細目に配分され
る。
州は、交通イノベーティブ・パートナーシップ勘定細目の資金を、適格プロジェクトの
計画、用地取得、資金調達、開発、設計、建設、再築、更新、改良、維持、保全、管
理、修繕又は運営を行う民間主体のための、債務保証の支払又は信用の拡張を確
保するために、使用することができる。
WASH REV. CODE §47.29.230(2008)
60
表5.2 ブラウンフィールド・コンセッションからの収入の配分
契約/提案
前払いの支払
配分/提案された用途
シカゴ・スカイウェ 18億3千万ドル
イ
債務返済、準備基金等。シカゴ市は、前払いの支払を、未払
いの債務の返済(シカゴ・スカイウェイ及び市の債務)、長期
及び中期の準備資金の創設、財政の負担の軽減、他の非
交通関連プログラムの支払に使用した。
インディアナ有料 38億5千万ドル
道路
債務返済及び交通プログラム。州は、前払いの支払を未払
いの債券の返済及び州の10 ヵ年の「大きな動き (Major
Moves)」交通資本投資プログラムの資金を満額確保するた
めに使用する。「大きな動き」プログラムに向けられる資金の
34%は、公平の観点から、同道路が所在する7つの郡
(counties)に投資される。同道路の交通の66%は州外のドラ
イバーであることから、収入は州の他の地域にも投資するこ
とができる。
ペンシルバニア
6.
受理 さ れ た 最高の 入札額 債務の返済、交通プロジェクトへの投資等。州政府の計算に
は、128億ドル
よれば、概ね23億ドルが既存の債務その他の義務に充てら
れ、残りの約105億ドルは、道路、橋梁及び公共交通プロジ
ェクトをまかなう収入を生み出すために投資されうるものとさ
れていた。
公共部門比較装置(Public Sector Comparator); 公共による資金調達及び運営によって、公
共部門が PPP と同様又はより以上の財務的成果を達成しうるか否かを、どのように判断するか
州及び地方の債券は免税ベースで発行することができるので、公共債務の調達及び運営の構造は魅力
的なものとなりうる。2005年に、連邦政府は、民間によって開発される道路及び貨物転送施設に関して、15
0億ドルの免税の民間活動債(private activity bonds)を発行する権限を認めた。これにより、民間による資金
調達が、公共による免税の資金調達に対して、より競争的となった。民間により資金調達される取引は、価値
を生み出す可能性がある。というのは、資本(equity)の投資者が、(1)予測される総収入と債券市場から借り入
れる金額(いわゆる「カバレッジ」)との開きの部分、さらに、(2)債券の償還日からコンセッションの終了までの間、
これはコンセッション期間に応じて15年から64年となりうるが、その間に生じる収入、に対して投資することと
なるからである。
公共部門の債務は、州及び地方の法律によって制限されている。民間部門がプロジェクトの総費用につ
いて前払いの資金を提供することで、プロジェクトの供給を相当に加速し、コストを縮減することができる。州
及び地方の交通担当官が、公共部門の財源及び調達に関する最もコスト効率的な方法と比較して、民間部
門による資金調達が提供しうる便益を評価することを支援する、いくつかの分析手法がある。
州は、交通インフラに関する公共部門と民間部門の資金調達取引を選択する場合、バリュー・フォー・マネ
ー(value for money)タイプの分析の使用を考慮しようとするかもしれない。一般に、この分析では、財務アドバ
イザーを使って、利用できる公共部門及び民間部門の選択肢に関する正味現在価値(net present value)を評
価し、公共機関が国民にとって最善の価値(best value)を申し出ている者を選択することを支援させる。例え
ば、フロリダ州交通省は、マイアミ港トンネル・プロジェクトに関するアベイラビリティ・ペイメント方式のコンセッ
ションを選定する場合の基礎として、明確なバリュー・フォー・マネー分析を使用した10。テキサス州交通省も、
Lowell R. Clary, ”Port of Miami Tunnel and Access Improvement Project,” Presentation at Transp. Research Boadr
2006 Summer Conference.
10
61
PPPプロジェクトについて類似の比較を用いていた。
7.
長期間の維持の品質を、どのように確保することができるか
PPP に関して最も頻繁に表明される問題のひとつは、民間運営者が資産を維持し、必要な改良を行うこと
を確保することである。実際、民間主体は、投資を保護し、最大数の顧客を引き付けるために、施設を最高の
コンディションで維持するように、強く動機付けられる。
このような期待を詳細なパフォーマンス要件によって保証する契約上の条件が、PPP取引において標準
的となっている。多くの契約は、契約期間にわたって民間運営者が実施すべき改良の計画を定めている。さ
らに、民間運用者のパフォーマンスを確保するため、投資者への配当に先立って、運営、維持及び修繕に
備えるための準備金の確保を求める規定も可能である。また、州法及び契約上の規定では、民間運営者の
パフォーマンスについて、公共主体が監視、監査及び検査することができる旨定めている。
コンセッショネアの債権者も、民間運営者の債務不履行による契約解除のおそれを避けるため、運営者に
よる資産維持に対する監督について、強い利害を有する。
コンセッショネアは、一般的には、前もって投資を行ったほうが、契約期間にわたる運営及び維持費用がよ
り低くなるので、契約の当初において、高品質の素材及び建設手法に投資する強いインセンティブがある。
しかしながら、このような契約の期間の満了が近づくにつれて、コンセッショネアは、投資の利益を完全に回
収できなくなるので、施設に投資することの関心が減少していく。施設所有者は、費用のかかる資本的改良
が必要な資産よりも、良好な状態の資産を所有したいと望むのが自然である。契約期間の満了時に、コンセ
ッショネアの投資不足の可能性から公共部門を保護するために、一般的に、契約では、信用状(letter of
credit)、ボンド(bond)又は現金預託によって、コンセッショネアに追加的な保証を求める規定が定められてい
る。これらの規定は、一般的に「返還(handback)」条項と呼ばれており、詳細は次の8章で議論される。
表7.1 運営及び維持の契約条項
契 約
条 項
要
件
インディアナ有料 7.3(c)
道路
料金収入の用途
運営及び維持(O&M)条件。コンセッショネアは、料金収入を資本
投資者に配当する前に、全ての維持費用(再築、再舗装、復旧及
び大規模修繕を含む)を支払う必要がある。契約には、コンセッショ
ネアが遵守すべき詳細なO&Mの条項を含む。
ポカホンタス・パー 8.02
クウェイ
管理運営に関する運
Transurban とのコ 営者の義務
ンセッション
運営及び維持(O&M)条件。コンセッショネアは、プロジェクトを維
持、修繕、更新及び再築し、さらに特別の維持及び修繕を行う必要
がある。契約には、詳細なパフォーマンス基準及び指標を含む(別
添H)。
8.04
運営及び維持(O&M)の運用者。さらに、コンセッショネアは、交通
運営・維持(O&M)の 管理、維持及び料金収受の経験がある運用者を雇わなければなら
契約者
ず、州交通省(VDOT)による承認を受けなければならない。州交
通省は、運用者の財務状態、経験、世評、過去に州又は連邦資金
によるプロジェクトにおいて排除された履歴、提案された業務の物
理的条件によって、提案された運用者が義務の履行に不適格であ
ると認めた場合は、承認しないことができる。
SH-121
8.1.1
運営及び維持(O&M)条件。コンセッショネアは、次によりプロジェ
( 現在は 、北部テ 開発者及び州交通省 クトの運営及び維持を行う必要があるとされていた。(a) 時に応じて
キ サ ス 有 料道路 の義務; 運営の移管 改善される業界のグッド・プラクティス。(b) 契約で定められた要
http://www.innovativefinance.org/events/pdfs/trb_summer06_clary.pdf
62
公社が実施してお
り、PPPとしては 8.5
行われていない。) 更新
件。(c) 全ての法律。(d) 全ての政府の承認における要件及び条
件。(e) 承認されたプロジェクト管理計画。(f) プロジェクトの道路敷
地の制限その他プロジェクトに影響する制約を考慮した、他に適用
されうる全ての安全、環境その他の要件。
品質条件。契約では、パフォーマンス要件、パフォーマンス指標、
そして、更新業務の計画及び実施を支援する更新計画に関する詳
細な条項が定められた。コンセッショネアは、パフォーマンス要件
を遵守するために必要な更新業務を実施しなければならない。コ
ンセッショネアは、業務の個々の内容について箇所、性格、開始日
及び終了日、さらに年間に実施された更新業務の総費用を記述し
た報告書を毎年提出しなければならない。返還(handback)に関す
る要件が発効する契約の終了間際の年においては、コンセッショ
ネアは準備金の引出に関する詳細を求められる。
SH-130第5・第 8.1.1
6区間
開発者の義務
8.5
更新業務
IH-635
8.1.1
開発者の義務
8.5
更新業務
運営及び維持(O&M)条件。SH121の条項と実質的に同じ。
I-495HOTレーン
運営及び維持(O&M)条件。コンセッショネアは、適用される法律、
規制による承認、さらに運用及び維持要件(別添N)を含む契約上
の条件に従って、HOTレーンを管理、維持及び運営する必要が
ある。コンセッショネアは、スプリングフィールド・インターチェンジの
維持及び更新の責任は負わない。
8.03
管理及び運営に関す
るコンセッショネアの
義務
品質条件。SH121の条項と実質的に同じ。
運営及び維持(O&M)条件。SH121及びSH130第5・第6区間の
条項と実質的に同じ。
品質条件。SH121の条件と実質的に同じ。
8.04
コンセッショネアは、次に関する責任を有する。
運営、維持及び料金
(ⅰ) HOTレーンの交通の管理及び制御
収受; O&M契約者
(ⅱ) 電子的な料金収受及び交通管理システムを含めたHOTレー
ン・プロジェクト、そのシステム及び構成要素の維持及び修繕
(ⅲ) HOTレーン・プロジェクトの運営、通行料金その他一時的な
料金の収受及び徴収
(ⅳ) 規制による承認の維持、遵守及び更新
(ⅴ) 交通の管理、維持及び修繕の責任
(ⅵ) コンセッショネアが州交通省と共同で作成した交通管理計画
に従った活動の実施
運営及び維持(O&M)の運用者。コンセッショネアは、コンセッショ
ネアの運営及び維持の責務を実施させるため、専門知識、資格、
経験、適性、能力及びノウハウを有する運用者と契約することがで
きる。コンセッショネアは、運用者が運営及び維持に従事する前
に、運用者について州交通省の承認を得なければならない。州交
通省は、運用者の財務状態、経験、世評、過去に州又は連邦資金
によるプロジェクトにおいて排除された履歴、提案された業務の物
理的条件によって、提案された運用者が義務の履行に不適格であ
ると認めた場合は、承認しないことができる。
SR-91
6.2
維持
運営及び維持(O&M)条件。コンセッショネアは、維持計画を作成
し、州交通省(Caltrans)の承認を得る責任がある。コンセッショネア
は、州交通省が公表した維持計画及び基準に従ってプロジェクト
63
の維持を行う必要があり、料金収受以外の施設の構成要素の維持
について州交通省に実施を委託する選択肢を有する。
プロジェクトの維持について、コンセッショネアが州交通省に委託
しない場合は、州交通省は、適用される維持基準に関するコンセッ
ショネアの遵守状況を監視する。コンセッショネアは、料金収受施
設、機械その他の料金収受の運用設備を維持する必要がある。
コンセッショネアは、維持作業を行う場合、標識、コーン及びバリケ
ードの設置、設備要件、交通管理手段、交通管理計画及び安全基
準について、州交通省の基準に合わせる必要がある。維持作業に
よって通行止めが必要な場合は、コンセッショネア(又は維持作業
を行うために雇われた請負者)は、緊急の場合を除き、通行止めの
30日前に州交通省に通知する必要がある。
表7.2 資本的改良に関する契約上の要件
契 約
条 項
インディアナ有料 第 4.2 条
道路
別表 5.5
要
件
特定の資本的改良。コンセッショネアによる資本的改良の義務に
は、コンセッション契約の別表 5.5 においてコンセッショネアが実施
するものと定められた特定の資本的改良を含む。
義務的な拡張の要件
1. 取引完結の日から2年以内に、ゲート・コントロールの電子的料
金収受を導入
2. 2008年12月31日までに、14.0マイルポストから15.5マイルポ
ストまでの双方向を3車線に拡幅。
3. 2010年12月31日までに、10.6マイルポストから14.0マイルポ
ストまでの双方向を3車線に拡幅し、ゲーリー・シカゴ国際空港の
航空路に適合させるために有料道路の高架を引き下げる。
4. 2007年12月31日までに、18.5マイルポストから20.27マイル
ポストまでの双方向を3車線に拡幅。
ポカホンタス・パー 第9条
クウェイ
Transurban とのコ
ンセッション
特定の資本的改良。運営者は、TIFIA融資が得られ、一定の費用
見積りに合致する条件で、空港接続道路を開発、資金調達、設
計、建設、完成、運用及び維持する必要がある。
義務的な資本的改良
いくつかの契約では、容量の拡大を義務付ける契機として、特定の条件を定めている。
SH130第5・第6区間
SH130第5・第6区間プロジェクトでは、開発者は、交通及び収入コンサルタントによって証明された時間
交通量のデータに関する報告書を、毎月、テキサス州交通省(TxDOT)に提出することが必要である。さらに、
開発者は、交通の速度を監視し、州交通省に時間ごとの交通速度に関する報告書を毎月提出するために、
「速度計測システム」の開発及び利用が必要とされている。
これらの速度に関する月次報告は、開発者に容量改善を義務付ける2つの契機となる事象に関する基礎
データを提供する。第1の契機となる事象は、施設の任意の区間において、時間ごとの速度の5%が時速65
マイルを下回る月が3ヶ月連続した場合に発生する。第1の事象が発生した場合、開発者は、施設容量の改
善に関する提案を州交通省に提出しなければならない。第2の契機となる事象は、施設の任意の区間にお
64
いて、時間ごとの速度の10%以上が時速60マイルを下回る月が3ヶ月連続した場合に発生する。第2の事
象が発生した場合、開発者は、新規の容量改善を設計及び実施しなければならない。
この条項には、例外がある。開発者は、道路の拡幅が、国家環境政策法(NEPA)による新たな決定の登
録を必要とし、建設しないという選択肢が選ばれた場合には、道路の拡幅を実施する必要がなくなる。また、
開発者は、契約期間の最終の5年間においては、上記の第2の事象が以前から発生しており、他の方法によ
る容量改善では同様のサービス水準(LOS)が回復されない場合を除き、道路の拡幅を実施する必要がなく
なる。
SH121/Cintra
SH121に関してキャンセルされたCintraのプロジェクトも、同様の交通量及び速度の監視を必要とするも
のであった。このプロジェクトは、現在、北部テキサス有料道路公社(NTTA)が実施しており、PPPとしては
実施されていない。契機となる事象はSH130のものと類似していたが、開発者の側に容量改善を求めるの
に加えて、契機となる事象が発生した場合、開発者は、最大のピーク料金レート(Maximum Peak Toll Rates)を
利用できるようになる。特定の数値の交通速度を指標とする代わりに、SH121の契約では、第1及び第2の
契機となる事象に関して、公示制限速度又は「フリーフロー速度(flee flow speed)」を指標としている。フリーフ
ロー速度とは、高速道路容量設計マニュアル(Highway Capacity Design Manual)で定義されたサービス水準
A(Level of Service A)の状態の時間内に走行した自動車の時間速度の月ごとの平均である。2つの契機とな
る事象が発生した場合の義務は、上述と同様のものであった。すなわち、開発者は、第1の事象から90日以
内に容量改善の提案を提出しなければならず、第2の事象の後に、選択された改良を実施しなければならな
い。
事業が国家環境政策法(NEPA)による決定の登録を必要とし、建設しないという選択肢が選ばれた場合
又は、道路拡幅が現在の道路敷地(right-of-way)よりも広い幅を必要とする場合は、契約では、開発者は道
路拡幅による容量改善を行うことが免除される。さらに、契約では、道路拡幅による改良の費用がリース期間
内に回収できない場合は、州交通省が改良について補助することに合意しない限り、開発者は道路拡幅に
よる容量改善を行う義務はないことが定められていた。最後に、プロジェクト施設における渋滞が、当該施設
から流出する車両に適合した接続施設の容量がないことに帰せられることを示した場合、開発者は道路拡幅
の改良を行うことが免除される。
この契約では、開発者は、容量改善の費用について単独の責任を負っており、開発者は州交通省が必要
とした国家環境政策法(NEPA)関連の費用を州交通省に補償する義務がある。
SR125
SR125の契約でも、開発者が容量改善を実施する必要がある契機となる事象について定めている。しか
しながら、開発者が改良を行わない場合の改善策については、異なった定めとなっている。交通の流れが、
少なくとも連続した2時間にわたって州交通省が定めるサービス水準Eに落ち込む日が年間で150日を超え
る年が2年間続いた場合で、開発者が容量の拡幅を行う努力をしなかったときは、開発者は契約上の非競争
条項による保護を失うこととなりうる。
表7.3 法律による維持の要件
州
法律によるガイドライン
カリフォルニア
利用者料金は、施設の維持に充てられる。
CAL. GOV’T CODE §5956.6(b)(4)(2007)
コロラド
道路を全ての地点において良好に修繕された状態に維持することは、料金が課される道
路の全ての所有者又は運営者の義務である。道路の状態は、その道路の等級及び利用
される年間の季節に応じて定められるものとする。
65
COLO. REV. STAT §43-3-303(2007)
デラウェア
利用者料金の収入は、維持支出の妥当性を確保するための基金の創設及び資金確保の
ために充てられなければならない。
DEL. CODE ANN. tit. 2. §2006(d)(2008)
ミネソタ
有料施設の道路当局への復帰。有料施設の道路当局からの移転又は復帰を必要とする
開発契約は、移転又は復帰の条件を定めなければならない。当該施設は、契約期間中に
おいて、少なくとも同等の機能等級の施設に関する道路当局の維持基準に適合するもと
する。
MINN. STAT. §160.85(2007) Subd. 7.
契約は、有料施設に関する維持、除雪及び警察業務の条件を定めなければならない。道
路当局は、業務を提供しなければならない。業務は、少なくとも同等の機能等級の施設に
関する道路当局の基準に適合しなければならない。
MINN. STAT §160.86(2007)(e)
ミシシッピ
道路、舗装、橋梁、排水設備その他プロジェクトを構成するインフラは、そのような道路、イ
ンフラ及び施設に関して政府の契約主体が定めた最低限の道路設計・建設・維持基準以
上となるように建設及び維持されるものとする。
MISS. CODE ANN. §65-43-3(2007)
オレゴン
州交通省と民間主体との契約であって、それにより民間主体が有料道路を所有又は運営
し、その施設からの収入を収受する権利を得るものは、有料道路が修繕又は再築の必要
がない良好な状態で州交通省に返還されるように、有料道路の維持及び修繕のために適
切な資金が得られることを確保するように設計された、維持、修繕及び再築の信託基金の
創設及び資金確保について定めるものとする。
OR. REV. STAT §383.019(2005)(2)
プエルトリコ
コンセッショネアは、料金収入を、料金収受、公共道路及びその付属施設の運営、管理及
び維持のための費用の支払に充てることができる。
9 P.R. LAWS ANN. §2004b(2004)
バージニア
適格交通施設の維持、又は請負契約による維持
VA. CODE ANN. §56-565(2007)E.3.
ワシントン
契約では、所有又はリースの期間にわたり、利用者課金又は通行料収入が次のものの支
払にのみ充てられることを必要とする。計画、設計、開発、資金調達、建設、改良、運営、
料金収受、維持及びプロジェクトの管理を含む、プロジェクトの投資費用。
WASH. REV. CODE. §47.46.050(2008)(4)(a)
8.
返還(handback):期間の終了時に、資産が良好に修繕された状態で公共部門に返還されること
を、どのように確保するか
民間運営者には、コンセッションの期間中に、維持及び資本的改良に投資する強いインセンティブがある。
期間の終了が近づくと、更新事業への投資のインセンティブは弱まる。コンセッショネアは、契約の終わりご
ろの年においては、改良投資の費用を合理的な収益とともに回収できない限りにおいて、必要な維持及び
資本的改良への投資を避けようとするかもしれない。それにより、契約が満了した時点で、かなりの運営及び
維持の義務を公共部門に委ねることになりかねない。公共部門の担当官は、コンセション期間の終了まで、
プロジェクトがコンセッショネアによって適切に維持及び資本投資されることを確保するために、様々な戦略
66
を用いてきた。
シカゴ・スカイウェイ及びインディアナ有料道路のコンセッションはどちらも、コンセッショネアが施設を良好
に修繕された状態で返還しなかった場合に公共機関が利用できる信用状(letters of credit)を用いていた。ポ
カホンタス・パークウェイのコンセッションでは、契約の終了時にプロジェクトを良好な状態にするために必要
な更新又は維持業務の資金を確保するために、「特別維持準備金(extraordinary maintenance reserve)」の維
持をコンセッショネアに求めている。テキサス州のプロジェクト契約、特に SH121、SH130第5・第6区間及び
I-635では、期間終了時における施設のあるべき状態及びコンセッショネアがプロジェクトを良好な状態で返
還できることを確保するためにコンセッショネアが保持すべき準備金の額を記述した、詳細な返還要件及び
返還準備金要件を定めている。これらの規定の概要を、以下の表8.1 に示す。
返還条項は、3つの主な目的を有する。それは、(1) コンセッションのライフサイクル費用手法の一部を構
成する。(2) コンセッショネアがコンセッションの期間にわたって施設を維持するように仕向ける。(3) 期間の
終了時に公共部門に返還される資産の状態に関する確実性を増す。返還条項は、それぞれの契約に含ま
れる資産のタイプ及び特定のプロジェクトの性格によるので、必然的に各プロジェクトに特有のものとなる。
表8.1 返還(handback)に関する契約条項
契 約
条 項
シカゴ・スカイウェ 16.3
イ
信用状
(Letters of Credit)
信用状(Letter of Credit)。リースの最終10年間で、コンセッショネア
は、毎年、過去10年間で最も高い年間粗収入と同額の信用状を
作成しなければならない。コンセッショネアは、リースの満了から3
年間でコンセッショネアが義務を履行するまで、毎年、引き出され
ていない残高に銀行レートによる金利(WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)
のプライム・レート)を加えた金額で、信用状を更新しなければなら
ない。シカゴ市は、スカイウェイの状態に鑑みて、残期間における
資本的改良の全ての費用をカバーするのに十分な金額であると認
めた場合には、減額した信用状を承認することができる。コンセッ
ショネアが契約の履行を怠った場合は、3営業日前の通知により、
シカゴ市は、当該不履行による損失に充てるため、信用状による引
出をすることができる。
インディアナ有料 16.3
道路
信用状
(Letters of Credit)
信用状(Letter of Credit)。リースの最終5年間で、コンセッショネア
は、残期間における資本的改良の全ての費用をカバーするのに十
分な金額の信用状を作成しなければならない(運営基準に含まれ
る資本的改良プログラムに定めるところによる)。コンセッショネア
は、リースの満了から3年間でコンセッショネアが義務を履行するま
で、毎年、引き出されていない残高に銀行レートによる金利(WSJ(ウ
ォールストリート・ジャーナル)のプライム・レート)を加えた金額で、信用状を
更新しなければならない。コンセッショネアが契約の履行を怠った
場合は、3営業日前の通知により、インディアナ州財務局(IFA)は、
当該不履行による損失に充てるため、信用状による引出をすること
ができる。コンセッショネアは、それぞれの信用状の期限の少なくと
も60日前に信用状を更新することが必要であり、保証ボンド、類似
の保証又は現金預託により、信用状を代替することができる。
ポカホンタス・パー 8.07
クウェイ
特別維持修繕準備金
Transurban とのコ
ンセッション
準備金(Reserve Fund)。コンセッショネアは、特別の維持修繕事業
に利用できる「特別維持修繕準備金」を保持する必要がある。準備
金は保証機関によって管理され、州交通省(VDOT)はコンセッショ
ネアの支払能力にかかわりなく準備金を利用できる。コンセッショ
ネアは準備金の運用利益に対する権利があり、また、実施した特
別維持修繕事業について準備金から引き出すことができる。コンセ
67
ッショネアは、準備金に代えて信用状を用いることもできる。州交通
省は、信用状が有効期限の30日前に更新されない場合、又は、特
別維持修繕事業により州交通省が負った費用を弁済するために信
用状の全額を引き出すことができる。
SH-121
8.10
返還(handback)要件
8.11
返還要件準備金
返還品質(Handback Quality)。契約には、必要な更新業務の詳細
を記した表が含まれ、施設の要素の状態及び残存寿命を監視する
ための州交通省(TxDOT)による施設監査が定められることとなって
いた。コンセッショネアは、州交通省の負担なしで、返還時に契約
で定められた状態及び残存寿命に関する全ての要件に適合した
状態で施設を返還する必要がある。
準備金(Reserve Fund)。契約満了の5年前から、コンセッショネア
は、州交通省(TxDOT)が選定した受託者に寄託して、契約で定め
られた金額の返還要件準備金を創設・維持する責任がある。金利
及び運用利益は、準備金に保持される。コンセッショネアは、適格
な更新事業の費用を支払うために、準備金から引き出すことができ
る。期間の満了時又は満了前の契約終結時に、準備金の全ての
資金は州交通省に帰属する(準備金の金額が契約による要件と異
なる場合、コンセッショネアは、差額を支払うか又は返還される。)。
コンセッショネアが信用状を選択した場合、信用状の金額を、毎
年、契約による要件と合致させるように調整しなければならず、ま
た、有効期限の少なくとも45日前に信用状を更新しなければなら
ない。
SH-130第5・第6 8.10
区間
返還要件
8.11
返還準備金
IH-635
8.10
返還要件
8.11
返還準備金
I-495HOTレーン 16.09
返還義務及び準備金
返還品質。SH121の契約条項と実質的に類似。
返還品質。SH121の契約条項と実質的に類似。
返還品質。期間の終了時点で、コンセッショネアは、少なくとも5年
の残存寿命を確保して、プロジェクトを返還する必要がある。州交
通省(VDOT)が期間終了の少なくとも1年前に通知した場合は、コ
ンセッショネアは、コンセッショネアの負担で、HOTレーンを一般
レーンに転換しなければならない。
期間終了の20年前から、州交通省とコンセッショネアは、5年ごと
に、資産状態及び有用寿命を監視するプロジェクトの定期検査を
開始し、返還要件を反映した維持計画を改定する。期間終了の5
年前から、州交通省とコンセッショネアは、返還要件への適合を確
保するため、毎年の検査を開始する。コンセッショネアは、期間終
了前に、改定された維持計画で定められた全ての事業を完了する
必要がある。
準備金。期間終了の5年前から、期間終了後5年間にわたる10年
間の取消し不能の信用状(Letter of Credit)又は契約履行保証
(Performance Bond)を州交通省に発行する必要があり、その金額
は、州交通省が承認した最新の維持計画に従って実施した直近5
年間の名目ライフサイクル・コストの50%に等しいものとする。州交
通省は、契約終了後5年間で、プロジェクトの返還状態の不具合を
68
補償するために、保証を引き出すことができる。
9.
プロジェクトの収入に悪影響を与える計画外の施設の建設について、合理的なやり方があるか
債権者及び投資者は、長期の収入の流れに対して資金提供するために、将来の需要に関する合理的な
想定に基づいた収入の見込みができることを必要とする。一方、公共部門は、予測されていたか否かにかか
わらず、実際の成長に合わせるため、将来、新たなインフラに投資することに自由である必要がある。現在の
PPP契約は、一般的に、公共部門が、いわゆる「競争施設(competing facilities)」と呼ばれてきた施設を建設
することを明確に禁止してはいない。(「競争施設」の建設を禁止したプロジェクトが実際に建設されたのはひ
とつのみである。それは、カリフォルニア州オレンジ郡のSR91高速レーン施設に関するコンセッション契約
であり、この制限はもはや適用されていない。)
現在の契約では、契約が締結された時点で計画されていなかった施設が建設されることで、民間運営者
の施設の収入が減少することが証明された場合は、民間運営者は補償を受けることができることを規定して
いる。その結果、民間投資者は、交通量及び収入の予測を行う場合、地域の長期計画に含まれる事業はす
べて、現在の財源手当ての有無にかかわらず、考慮している。
可能性のある競争施設に関する補償の規定を設けていない取引が、少なくともひとつある。シカゴ・スカイ
ウェイの契約では、周辺地域が高度に開発され、既存の並行する高速道路を拡幅するためには、非常に高
価な二重高架にする必要があるという事実に照らして、コンセッショネアへの保護を提供していない。
新規の管理レーンのコンセッションでも、限られた保護しか定められていない。例えば、提案されているI635及び北タラント高速道路の調達では、保護の範囲は、当該プロジェクトの道路敷地(right of way)内にお
ける主レーン追加に制限されている。新規、拡幅又は構造変更された道路からの保護の定めはない。道路
敷地外の保護区域についても、テキサス州法ではそのような保護を認めているが、定められていない。バー
ジニア州のI-495首都環状道路管理レーンのコンセッショネアも、最近、類似の限定された範囲の保護に合
意した。
表9.1 競争施設に関する法律の条文
州
カリフォルニア
法
律
本条に基づいて締結されるいかなる契約も、州交通省当局及び地域交通機関が、交通プ
ロジェクトを開発、維持、修繕、修復、運営又はリースすることを妨げないものとする。
リース契約では、追加の交通プロジェクトの開発、運営又はリースによる、リース受託者の
通行料金収入又は利用料収入への悪影響に対する合理的な補償について定めることが
できる。ただし、次の場合を除く。
(A) 本条の規定により、委員会がリース契約によって開発されるプロジェクトを選定した日
において、政府法(Government Code)第 65080 条に基づいて作成され、委員会に提出さ
れている地域交通計画に位置付けられているプロジェクト。ただし、州交通省又は地域交
通機関並びに委員会によって承認されたリース契約に定めるものを除く。
(B) 安全のためのプロジェクト
(C) 副次的な容量増加を伴う改良プロジェクト
(D) HOVレーンの追加又は既存レーンのHOVレーンへの転換
(E) リース契約で定められたPPPプロジェクトの領域の外に位置するプロジェクト。
ただし、リース受託者への補償は、通行料金又は利用料収入の減少をもたらす施設利用
の減少が具体的に示された後にのみ行われるものとし、それらの収入の減少を超えては
ならない。
CAL. STS. & HIGH CODE §143(d)(3)(2007)
69
コロラド
有料道路又は有料高速道路の会社は、契約が、既存の道路を格下げし、又は、第
43-1-1103 条(1)による地域交通計画又は第 43-1-1103 条(5)による州域総合交通計画に
位置付けられた道路又は高速道路の建設又は改良を妨げ、若しくは遅延させるものとなる
場合は、公共主体との間で非競争契約を締結してはならない。
COLO. REV. STAT. 43-3-304(2007) 非競争契約
デラウェア
これらのプロジェクトを促進し、契約主体によるこのようなプロジェクトの資金調達、開発、
建設、リース、維持及び運営を支援するため、契約では、州交通省が法律によって付与さ
れた権限を行使する条項を定めることができる。その権限には次のものを含み、これらに
限定されない。道路敷地及びその上空のリース、必要な地役権及び通行権の付与、収用
権、開発権及び機会の付与、許可その他の権限の付与、競争からの保護、当事者の不履
行の場合の補償、契約及び不動産の権利の付与、建設中及びリース期間中の債務、評
価額を超えた道路敷地の取得を交渉する権限。
DEL. CODE ANN. tit. 2 §2005(2008) 州交通省の権限の行使
(b) 雑則。契約には、交通システムの調査、計画、設計、資金調達、用地取得、建設、設
置、リース、運営、法執行及び維持の費用の支払に必要なプロジェクト収入を保護するた
めに必要な契約条項を含めることができる。その条項には次のものを含み、これらに限定
されない。必要な公共交通システム及び施設の開発を不必要に禁止しないという条件で、
交通量の担保、資本の担保又は保証。
DEL. CODE ANN. tit. §2009(2008)
ノースカロライナ
無料路線の維持。州交通省は、本条の規定により建設されるターンパイク・プロジェクトに
対応する、既存の代替無料路線を維持するものとする。
N.C. GEN. STAT. §136-89.197(2007)
テキサス
SB792。同法は2007年に制定され、テキサス交通法典を改正し、総合開発契約が、契
約期間中に取得又は建設される将来の競争交通プロジェクトの建設に関するペナルティ
を含むと認められる場合は、プロジェクトの大半が位置する郡の理事会による承認を必要
とすることとし、理事会はこのようなペナルティの可能性を認識して、州交通省が総合開発
計画を実施することに同意する11。
TEX. TRANSP. CODE ANN. §223.210(k)(2007)
表9.2 収入に影響を与える施設に関する契約条項
契 約
関連条項
インディアナ有料 14.1(e), 1.1
道路
手 法
競争高速道路。コンセッショネアは、「競争高速道路」の開通に直
接的に帰属する正味収入の現実の減少について補償される権利
を有する。
「競争高速道路」は、インディアナ有料道路(ITR)の10マイル以内
で少なくとも20マイル以上連続していなければならない。
US-20が、コンセッションの当初25年以内で改良された場合は、
「競争高速道路」として認められる唯一のものになる。さらに、この
要件を満たすためには、US-20の20マイルすべてが新規にアッ
プグレードされる必要があり、既に高速道路規格となっているUS20の区間はカウントされない。
ポカホンタス・パー 12.01, 13.07, 13.08
クウェイ
別添A
11
競争交通施設。州交通省は、競争交通施設の開発によって直接
的に生じた正味収入への影響に等しい金額を運営者に補償する
S.B. 792, 80th LEG. SESS. (Tex. 2007)
70
Transurban とのコ
ンセッション
SH-121
義務があるものとする。
競争交通施設は、ジェームズ川を横断する州の高速道路又はアク
セス制限道路であって、(a) ジェームズ川を横断する本プロジェクト
の橋梁のセンターラインから3マイル以内にあり、(b) 取引完結の
日以後に供用されたもので、(c) 競争道路の運営が年間の料金収
入の額に実質的な悪影響を及ぼすことが合理的に予測できるも
の、として定義される。
11.3, 11.3.2
競争施設。これらは、次のように定義されることとされていた。(1)
新規に建設される、高速道路のアクセス制限された主レーン。(2)
新規に建設される側道のレーン。(3) 他の高速道路又は他の道路
と側道との交差点において、新規に建設される立体交差。これら
は、州交通省(TxDOT)若しくは州又は州交通省若しくは州との契
約により民間主体が、道路敷地上に建設するもので、契約期間中
に供用されるもの。ただし、次のものを除く。
(a) 当初のプロジェクトの範囲に含まれる、主レーン、側道、該当す
る場合は側道立体交差。
(b) NEPA(国家環境政策法)の承認で認められた基本的な配置、
又はそれと実質的に類似の配置による第5区間
(c) 開発者が建設する容量改善、又は、契約別添 18 により、開発
者が建設する義務があるが、まだ建設されていない容量改善
(d) 総合開発契約(CDA)の条件により、契約期間中に、州交通省
が開発者に対して、運営、料金収受及び維持の排他的権利を
付与した容量改善
補償。州交通省が競争施設に関して開発者に負う補償の金額は、
料金収入の損失に等しいものとし、それらは競争施設に帰せられ
る料金収入の減少から、次に帰せられる料金収入の増加がもしあ
れば、それを差し引いた額とする。(a) 他の競争施設、(b) 州交通
省又は政府主体による本件プロジェクトの主レーンへの接続の将
来の追加又は拡幅であって、本件事業に含まれていないもの(第5
区間を除く)。いずれの場合も、開発者が州交通省に最初に補償の
請求をした時点で供用されているもの。
SH-130第5・第 11.3.2
6区間
補償。州交通省が競争施設に関して開発者に負う補償の金額は、
料金収入の損失に等しいものとし、それらは競争施設に帰せられ
る料金収入の減少から、次に帰せられる料金収入の増加がもしあ
れば、それを差し引いた額とする。(a) 第 13.2.3.4 条においてその
ような差引きが事前に認識されていなかった限りにおける、他の競
争施設、(b) 開発者が州交通省に対して最初に補償の請求をした
時点で供用されているSH130への直接的な南部延伸、(c) 本件
施設と一般的に並行するI-35の全て又は相当の区間における乗
用車の昼間公示速度制限を設定時の制限よりも事前に低く引き下
げること。上述(c)の目的から、建設、維持、拡幅又は転換のため
に、10日間以内で一時的に昼間公示速度制限を引き下げることは
考慮されないものとする。
競争施設。新規に建設され、又は、実質的に拡幅された高速道路
であって、契約期間中に建設及び供用開始されるもの、として定義
される。
(a) 州交通省若しくは州又は州交通省若しくは州との契約により民
間主体が行うもの
71
(b) 他の政府主体又は他の政府主体との契約により民間主体が行
うもの。ただし、テキサス州交通委員会又は州交通省が、効果
的にその建設若しくは供用を防止し、又は配置をコントロール
する裁量権限を有している場合に限る。
しかしながら、それぞれの場合について、次のものを除く。
(ⅰ) 施行日において施行された法律によって除外された全ての高
速道路プロジェクト
(ⅱ) 契約別添 17 に定められた長期交通計画及びプログラムに含
まれる全ての高速道路プロジェクト
(ⅲ) 契約別添 17 に定められた競争施設ゾーンの外側に位置する
全ての高速道路プロジェクト及び競争施設ゾーンの内側に位
置するプロジェクトで別添 17 で特別に除外されているもの
(ⅳ) 高速道路プロジェクト以外の全ての交通プロジェクト及び施
設。乗客及び貨物鉄道施設を含む。
(ⅴ) 全ての側道。ただし、契約別添 17 で除外されたものを除く。
(ⅵ) 安全性の改善、維持又は運営の目的のために必要な高速道
路プロジェクトにおける全ての事業及び改良
(ⅶ) 全てのHOVレーンの追加、その他環境規制部局の要請によ
る高速道路プロジェクトにおける事業
(ⅷ) 交通センサー、計測装置、IVHS装置その他のITSの導入、
交差点の立体交差化を通じて、既に形成された高速道路プロ
ジェクトを修正することによる交通容量の増大のための事業及
び改良、又は、交通レーン、センターライン及び路肩の区画線
の引き直しを通じた局所的な運営の改善で、レーンを追加する
引き直しを含む。
(ⅸ) 施設容量の改善(トラック・レーンの追加を含む)。ただし、契約
別添 18 第5条で定められた義務的容量改善に関する2番目の
契機となる事象に先立って、州交通省によってそのような改良
が要請された場合で、州交通省又は開発者以外の者が運営す
るものを除く。
(ⅹ) TTC35が競争施設ゾーン内に存在し、当該施設を含まない
場合、TTC35におけるトラック・レーンその他施設の開発であ
って、開発者又はその関係者が実施するもの
IH-635
計画されていなかった収入を減少させる施設とは、新規に建設さ
れるアクセス制限された高速道路の主レーンであって、州交通省
又は州交通省との契約により州交通省のために行う主体が、道路
敷地上に建設し、契約期間中に供用するもの。ただし、次を除く。
(a) 施行日において施行された法律によって除外された全てのア
クセス制限された高速道路プロジェクト
(b) 契約別添 18 に定められた長期交通計画及びプログラムに含ま
れる全てのプロジェクト
(d) 当初のプロジェクトの範囲に含まれる、管理レーン及び一般レ
ーン
(f) 開発者が建設する容量改善
(g) 総合開発契約(CDA)の条件により、契約期間中に、州交通省
が開発者に対して、運営、料金収受及び維持の排他的権利を
付与した容量改善
(h) 安全性の改善、維持又は運営の目的のために必要な高速道
路プロジェクトにおける全ての事業及び改良
(i) 全ての HOV レーンの追加、その他環境規制部局の要請による
72
高速道路プロジェクトにおける事業
(j) 交通センサー、計測装置、IVHS装置その他のITSの導入、新
規又は改良された側道、交差道路又は交差道路バイパス・レー
ン、交差点の立体交差化を通じて、既に形成された高速道路プ
ロジェクトを修正することによる交通容量の増大のための事業及
び改良、又は、交通レーン、センターライン及び路肩の区画線
の引き直しを通じた局所的な運営の改善で、レーンを追加する
引き直しを含む。
(k) 新規に建設されるアクセス制限された高速道路の主レーンで
はない全ての交通プロジェクト又は施設。旅客及び貨物鉄道施
設その他プロジェクトに含まれない他モードの交通施設を含む。
補償。州交通省が計画されていなかった収入影響施設に関して開
発者に負う補償の金額は、料金収入の損失に等しいものとし、それ
らは計画されていなかった収入影響施設に帰せられる料金収入の
減少から、次に帰せられる料金収入の増加がもしあれば、それを
差し引いた額とする。(a) 計画されていなかった収入影響施設、(b)
州交通省又は政府主体による、本件管理レーンに対する将来の接
続の追加又は拡幅であって、本件事業の一部に含まれず、開発者
が州交通省に最初に補償の請求をした時点で供用されているも
の。補償額には、次のものも含むものとする。(ⅰ) 計画されていな
かった収入影響施設の建設、再築、更新、取替え又は拡幅によっ
て直接的に生じた、交通の分断による料金収入の損失、(ⅱ) 計画
されていなかった収入影響施設の建設又は運営によって直接的に
生じた開発者の費用の増加。過去の補償額が、もしあれば、同様
に決定されるものとし、第 13.2 条による補償と同様の条件に従い、
本条と同様の手続による。
I-495HOT レーン
9.02
州交通省によるプロジェクトの増強
(c) 前記の第 9.02 条(a)及び(b)にかかわらず、第 9.02 条(f)により、
州交通省が、首都環状道路路線において交通レーンを追加するこ
とが州の最善の利益であると決定した場合は、州交通省は、首都
環状道路路線における交通レーンの追加のための適切な戦略に
ついてコンセッショネアに協議し、又は、州交通省の単独の裁量に
より、本件プロジェクト及びその収入を生み出す能力に対する不利
な影響を最小限にしつつ、本件プロジェクトの一部として追加レー
ンの建設を認める。コンセッショネアが、州交通省の適切な支援を
得て、プロジェクトの増強に関する必要な規制上の許可を取得し、
又は、取得できることを示す限りにおいて、州交通省は、コンセッシ
ョネアに、コンセッショネアによるプロジェクトの増強として、コンセッ
ショネアの負担において、新規の HOT レーン又は有料レーンを建
設する提案を提出する機会を与える。コンセッショネアが、新規の
HOT レーン又は有料レーンの建設を行わないことを決定し、又は
州交通省がそのようなプロジェクトの増強を承認せず、州交通省が
交通レーン(一般目的又は有料)の追加を行った場合、そのような
追加の交通レーンは、州交通省によるプロジェクトの増強となるも
のとする。
(d) 州交通省は、いかなる既存又は新規の交通その他の施設につ
いても、その資金調達、開発、承認、拡張、改良、修正、格上げ、
容量追加、再築、更新及び取替えについて、拘束されない権利を
有するものとする。州交通省による、このようないかなる行動も、本
73
契約における州交通省の不履行を構成しないものとする。また、州
交通省は、いかなる義務も負うことなしに(本条において求められる
補償を支払う義務を除き)、任意の交通プロジェクト(任意の交通レ
ーン追加を含む)及びプログラムのために、連邦その他の資金を裁
量的及び非裁量的に配分し、それを計画し、交通施設の計画、開
発及び資金調達に関する助言及び勧告の全ての権限を行使し、
あるいは、首都環状道路ルート内又はそれに隣接する一般レーン
その他道路及び構造物を改良する権利を有するものとする。
(j) 補償。第 9.02 条(a)、(b)又は(c)により実施された州交通省による
プロジェクトの増強が、コンセッショネアに損失をもたらした場合
は、そのような州交通省によるプロジェクトの増強は、補償事象を構
成するものとし、州交通省は、第 13.02 条及び第 13.03 条に従って
コンセッショネアに補償するものとする。州交通省によるプロジェク
トの増強から生じたプラスの収入は、コンセッショネアと州交通省と
に等しく配分されるものとし、第 13.02 条及び第 13.03 条に従い、コ
ンセッショネアが州交通省への配分を支払い、プロジェクト増強勘
定に組み入れられるものとする。これは、第5章により支払われる額
に加えて、それとは別に支払われる。ただし、交通レーンの追加の
場合は、次に定めるところによる。
(ⅰ) 総計で2車線以下の交通レーンの追加の場合、HOT レーン・
プロジェクトが基本ケース第2水準の目標利益率を達成した後の期
間に関しては、コンセッショネアの損失は支払われないものとす
る。(ⅱ) 総計で2車線を超える交通レーンの追加の場合、HOT レ
ーン・プロジェクトが基本ケース第3水準の目標利益率を達成した
後の期間に関しては、コンセッショネアの損失は支払われないもの
とする。ただし、いかなる観点でも、州交通省が一般目的レーンを
運営、維持及び改良できることを制限するものではなく、上記で明
確に規定されている場合を除き、補償の事象又はコンセッショネア
の損失に対する支払を発生させるものではない。
シカゴ・スカイウェ なし
イ
10.
PPP に適切なプロジェクトを選定するため、どのような判断基準が用いられるべきか
募集及び非募集提案(Solicited and Unsolicited Proposals)
PPP の権限を付与しているほとんどの州では、所管の公共主体が、公式の提案募集(request for proposals)
の手続を通じて、PPP を勧誘することを認めている。この方式は、所管の公共主体が、プロジェクトの優先順
位、プロジェクトの実現可能性、さらに当該機関が自らプロジェクトを完成させる可能性も考慮して、どのプロ
ジェクトがPPPに適切であるかを決定するために、計画段階においてプロジェクトの評価を行うことを保証す
る。
いくつかの州は、非募集提案(unsolicited proposals)の検討も認めている。これらの規定により、民間部門が、
インフラの問題について、州の通常の計画過程では生み出されなかったかもしれない革新的な解決策を提
案することが可能となる。これらの提案は、それを規律する法律及び規則で示された判断基準を満たさなけ
ればならず、また、州の交通、環境その他の計画全体と整合が図られていなければならない。公共主体は、
非募集提案を受け容れるいかなる義務もない。公共主体が当該提案を遂行することに関心がある場合、適
用される法律又は規則では、典型的には、関心がある適格のチームが価値のある競争提案を作成すること
74
ができるように、競争提案の募集(request for competitive proposals)を行うことを必要としている。
例えば、バージニア州のPPTA(公共民間交通法)及びカリフォルニア州のAB680(現在は失効)のように、
非募集提案の提出を認め、又はプロジェクトを指定せずに提案を求める州の法律は、初期の PPP の立ち上
がりを促した。非募集提案を認める法律では、提案によって提出すべき情報、及び公共部門が提案を承認
する場合に適用される判断基準について規定している。表10.1におけるコロラド州、ジョージア州、オレゴン
州及びバージニア州を参照。
選定過程(Screening Processes)
ジョージア州、ノースカロライナ州及びオレゴン州は、PPPプロジェクトの選択に関する選定過程を作成し
ている。例えば、ノースカロライナ州のPPPガイドラインは、ノースカロライナ州ターンパイク公社が次のもの
について優先順位を置くべきであると定めている。
民間パートナーの投資が重大な資金的需要を満たすこととなるプロジェクト
現在及び将来見込まれる財源のレベル並びに既存の交通計画に照らして、プロジェクト供用の時間
フレームを実質的に促進するようなやり方で、州又は地域が認定した緊急の交通需要に対応するプ
ロジェクト
計画過程、信頼できる実現可能性の判定、比較できる過去の成功プロジェクト又はケーススタディに
より、民間投資を引き付ける強いポテンシャルがあることが示されているプロジェクト
明確かつ十分な国民の支持が具体的に示されているプロジェクト
伝統的な手法と比較して、建設時間の短縮、建設コストの縮減、機能の改善をもたらす、革新的な建
設手法による便益があるプロジェクト
オレゴン州の選定基準も類似している。
現在及び将来見込まれる財源のレベル並びに既存の交通計画に照らして、プロジェクト供用の時間
フレームを実質的に促進するようなやり方で、緊急な又は州が認定した交通需要に対応するプロジ
ェクト
不動産を提案された用途に充てる権限を有しているオレゴン州その他の公共主体によって既に所
有され、又はその長期間の管理のもとにある道路敷地(rights-of-way)及び公共所有不動産を主とし
て使用するプロジェクト
計画過程、信頼できる実現可能性の判定、比較できる過去の成功プロジェクト又はケーススタディに
よって、資本、運営及び維持のようなプロジェクトのコスト要素を支払い、次のような投資による合理
的な利益を生み出すために、州以外又は税収以外の資源によるかなりの貢献を引き付け又は生み
出す強い可能性があることが示されているプロジェクト
・ 民間パートナーの投資
・ 国民に対する交通の便益
計画過程、信頼できる実現可能性の判定、比較できる過去の成功プロジェクト又はケーススタディに
よって、低い失敗のリスク(インフラ改良の完成及び州以外又は税収以外の資源によるかなりの貢献
を引き付け又は生み出すという観点で)、失敗のリスクを軽減する実行可能な手法、又は高いリスク報
酬率(公共及び民間パートナーの投資インセンティブに対して、ともに便益となるという観点で)が示さ
れているプロジェクト
プロジェクトに関する州の財源その他の資源を補完又は代替するために利用できる、具体的で、信
頼でき、確認可能で、経済的に実行可能な、州以外又は非伝統的な財源を特定している提案
明確かつ十分な国民の支持が具体的に示されているプロジェクト
伝統的な手法と比較して、建設時間の短縮、建設コストの縮減、機能の改善をもたらす、革新的な建
75
設手法を特定している提案
表10.1 選定の判断基準に関する法律及びプロジェクト・ガイドライン
州
コロラド
法律及びガイドライン
非募集提案及び比較提案
(1) 州交通省は、提案が本条の全ての要件に合致する場合に限り、官民イニシアチブに
関する非募集の提案を検討、評価及び採用することができる。
(2) 州交通省は、提案が次に該当する場合に限り、非募集提案を検討することができる。
(a) 革新的でユニークであること
(b) 提案者により独自に考案及び作成されていること
(c) 州交通省の監督なしに作成されたこと
(d) 競争的な手法によって調達できる周知の交通省の要請に関する先行した提案でない
こと。ただし、次の場合を除く。
(ⅰ) 州交通省が、第 43-1-1102 条(7)で定義された州計画、又は州計画の短期の構成要
素である州内交通改良プログラムにおいて、周知の要請を満たすための行程表を位置
付けていない場合
(ⅱ) 提案が、州計画又は州内交通改良プログラムで位置付けられた周知の要請を満た
すための行程表を、著しく短縮する可能性がある場合
(4) 州交通省は、次の要素に基づいて、非募集提案の評価を行うものとする。
(a) 提案で示されたユニークかつ革新的な手段、手法又はコンセプト
(b) 提案の科学的、技術的及び社会経済的メリット
(c) 州交通省の使命に対して提案が貢献する可能性
(d) 提案者の能力、関連する経験、設備又は技術、又は提案の目的を達成するために不
可欠の要素であるこれらの資質のユニークな組合せ
(e) 提案された主たる検査員、チームリーダー、その他の提案目的の達成において重要
なキーパーソンの資格、能力及び経験
(f) 個々の提案について適切なその他の要素
COLO. REV. STAT 43-1-1202(2007)
デラウェア
選定及び承認
(1) プロジェクトは、交通省長官が委員長を務め、交通省長官、財政管理・予算局長官、
交通省の主任技術者(Chief Engineer)及び交通省長官が任命する最大で4名の委員から
構成されるプロジェクト委員会により選定されるものとする。プロジェクトは、州法第 29 編第
69 章の規定によらずに選定されるものとする。個々の提案は、メリットに基づいて重み付け
され、提案募集で明記された選定の判断基準に従ってランク付けされるものとする。受理
した全ての提案に基づき、プロジェクト委員会は、評価及び選定の目的のために、類似し
たタイプのプロジェクト提案をグループ化することができ、その場合、このような提案のグル
ープから選定する提案は、当該グループ内で最高ランクのものでなければならない。委員
会は提案のグループからいかなる提案をも選定しないという決定をすることもできる。類似
の提案又は相互に排他的な提案であって、一方を実施した場合、他方を実施する必要
性、望ましさ又は可能性がなくなる場合は、そのような提案の中で最高ランクの提案が選
定されるものとする。選定されたプロジェクトは、上述による承認の対象となり、交渉段階に
進められる。個々の契約は、独立したプロジェクトとして、個別に交渉されるものとする。
(2) 選定されたプロジェクトは、引き続き、選定後45日以内に、次の両者によって承認され
なければならない。(ⅰ) 直接的に影響を受ける大都市圏計画組織。(ⅱ) 第 29 編第 8409
条により設立された交通委員会又はその承継組織。直接的に影響を受ける大都市圏計画
組織が選定プロジェクトを承認した場合、当該組織は、交通改良計画を当該プロジェクトを
含むように改定することについて承認したものとみなされる。交通委員会が選定プロジェク
トを承認した場合、当該委員会は、資本改良プログラムを当該プロジェクトを含むように改
定することについて承認したものとみなされる。影響を受ける大都市圏計画組織及び交通
76
委員会による選定プロジェクトの承認は、もっぱら、プロジェクトの州及び地域交通計画と
の整合性、適用される法律及び規則の遵守状況、及び州及び地域の資本改良プログラム
又は地域の交通改良プログラムに対する財政的影響に基づいたものとする。いずれかの
組織がプロジェクトを承認しなかった場合、当該組織は、その理由を文書で公表するもの
とする。影響を受ける大都市圏計画組織又は交通委員会に提案が送付されてから45日
以内に承認又は非承認がなされなかった場合、当該提案は当該組織により承認されたも
のとみなされる。
さらに、上述により、プロジェクトが承認されなかった場合、州交通省は、計画がいずれか
の組織に承認されなかった旨の通知から60日以上後に、計画を再提出し、又はその改訂
版を提出することができる。
(3)プロジェクト委員会によりプロジェクトが正式に選定されたときは、交通省長官は、直ち
に、州議会の共同証券紙幣委員会の共同委員長に通知するものとする。共同委員長が当
該通知を受理した後、共同委員長は協議を行い、プロジェクトを承認又は拒否するものと
する。共同委員長がプロジェクトを承認した場合、承認が行われた財政年度に関する資本
改良プログラムは改定されたものとみなされる。
DEL. CODE ANN. tit. 2 2003(2008)
フロリダ
公共民間交通施設
承認を行う以前に、州交通省は、提案されたプロジェクトが次に該当することを決定しなけ
ればならない。
(a) 最善の公共の利益であること
(b) プロジェクトが州の道路網に位置付けられていない場合、州の財源の使用を必要とし
ないこと
(c) 債務不履行又は州交通省による契約のキャンセルの場合に、通行者及び州の住民
に、追加的な費用又はサービスの混乱が生じないことを確保するための、適切な安全措
置が講じられていること
(d) 州交通省又は民間主体が、提案されたプロジェクトその他出発地及び目的地が類似
する交通施設に容量を追加する機会を有することを確保するために、適切な安全措置が
講じられていること
(e) 契約の満了又は打切りの場合は、州交通省が施設を所有すること
FLA. STAT. ANN §334.30(2008)
ジョージア
非募集提案。州交通省は、提案が次に該当する場合に限り、非募集提案を検討すること
ができる。
(1) 既に州交通省の州交通改良プログラムに含まれる他の交通システム・プロジェクトと比
較して、ユニークかつ革新的であり、実質的に類似するものでないこと。又は、州交通改
良プログラムに含まれるプロジェクトと類似するプロジェクトである場合は、提案が提出され
た時点で、当該プログラムに含まれるプロジェクトが州交通省その他の主体によって十分
な財源が確保されていないこと。州交通省が提案を評価する場合に考慮できるユニーク
又は革新的な要素は、他のプロジェクト又は州交通省の規則又は規制で定義されたであ
ろうものと比較して、ユニーク又は革新的な資金調達、建設、設計その他の構成要素を含
めることができ、それらに限定されない。
(h) 州交通省は、次の要素に基づいて、当初提案又は比較提案の評価を行うものとする。
(1) 提案で示されたユニークかつ革新的な手段、方法又はコンセプト
(2) 提案の科学的、技術的又は社会経済的メリット
(3) 州交通省の使命に対して提案が貢献する可能性
(4) 提案で記述された提案者の能力、関連する経験、設備又は技術、又は提案の目的を
達成するために不可欠の要素であるこれらの資質のユニークな組合せ
(5) 提案された主たる検査員、チームリーダー、その他の提案目的の達成において重要
なキーパーソンの資格、能力及び経験
77
(6) 個々の提案について適切なその他の要素
公共民間イニシアチブ提案に関する募集手続
州交通省は、州知事への通知の後に、公共民間イニシアチブ提案の募集をすることがで
きる。全ての提案は、州法第 32-2-79 条及び委員会規則・政策の要件に合致しなければ
ならない。公共民間イニシアチブの提案募集に先立って、州交通省は、次の選定手続に
より、どのプロジェクトが募集に最も適しているかを決定する。
募集プロジェクトの決定に関する選定手続
公共民間イニシアチブとして募集される最適のプロジェクトを決定するための手続は、次
のとおりである。
1. 州交通省は、ブレーンストーミング会議を通じて、可能性のあるプロジェクトのリストを作
成する。
2. 州交通省は、プロジェクトの募集に関する意見を受け付けるため、ウェブサイト
(www.dot.state.ga.us/ppi)を通じて、30日間のパブリック・コメントの期間を設ける。
3. 州交通省の選定に関する判断基準及びパブリック・コメントの検討に基づき、州交通省
は、どのプロジェクトが概念提案又は詳細提案の募集について実現可能性があるかを
決定する。州交通省は、実現可能性があると認められたプロジェクトに関する提案募集
を公示する。
ノースカロライナ
提案募集及び代替的契約のガイドライン
当局に適用される法律の例外
(c) 代替的契約手法 - 本条(b)の規定にかかわらず、当局は、次の場合に、代替的契
約手法の使用が認められる。
(1) 個別のプロジェクトについて権限が付与されている場合
(2) 本章第2条の手続を利用した場合には、プロジェクトを必要な時間フレーム、利用可能
な財源、その他当局が公共の利益とみなす理由により完成させることができないために、
当局が代替的契約手法が必要であると決定し、それを文書化した場合
(3) 当局が、可能な限りにおいて、契約を付与する前に、競争提案の募集を行った場合
(4) 承認された代替的契約手法が、G.S. 136-28.4.に定める不利な立場にある者の参加
に関する目標を合理的に遵守している場合
ノースカロライナ州は、この分野におけるガイドラインを採択しており、それには次のように
定められている。
提案募集を行うプロジェクトを選定する場合、NCTAは、次のひとつ又は複数に該当する
プロジェクトを優先する。
・ 民間パートナーによる投資が、重大な財政の必要を満たすプロジェクト
・ 現在及び将来見込まれる財源のレベル並びに既存の交通計画に照らして、プロジェク
ト供用の時間フレームを実質的に促進するようなやり方で、州又は地域が認定した緊急
の交通需要に対応するプロジェクト
・ 計画過程、信頼できる実現可能性の判定、比較できる過去の成功プロジェクト又はケー
ススタディにより、民間投資を引き付ける強いポテンシャルがあることが示されているプ
ロジェクト
・ 明確かつ十分な国民の支持が具体的に示されているプロジェクト
・ 伝統的な手法と比較して、建設期間の短縮、機能の改善をもたらす、革新的な建設手
法による便益があるプロジェクト
N.C. TURNPIKE AUTH. POLICY ON PPPS(2006)
http://www.ncturnpike.org/pdf/PPP_Policy.pdf で入手可能
78
11.
どのようにして競争を確保し、調達手続が公正で透明に行われるようにすることができるか
公共契約における透明性は、常に、鍵となる問題である。州は、調達過程に関連する法律及び規則にお
いて、透明性及び提案の公開に対応しており、総合計画過程の重要な一部としてパブリック・ミーティングを
行っている。
PPPの調達過程
PPP契約には、建設に加えて、設計、運営、維持及び資金調達に関する条項も含まれるので、PPP の調
達過程は柔軟であることが必要である。公共機関は、個々のプロジェクトに最も適切な調達手続を選択する
ことができることが必要である。PPP調達では、例えば、プロジェクトに関する募集、プロジェクトの実施に関
する提案者の適格性に関する競争的な審査、プロジェクトのコンセプト及び財務的提案に関する競争的な審
査、最低の価格ではなく全体としての最善な価値(best value)に基づいた選定といった事項が含まれうる。全
体としての最善の価値には、競争する提案の短期的及び長期的な便益が含まれる。
このような調達を実施するため、伝統的な「設計施工分離方式(design-bid-build)」における最低価格入札
(low-bid)手続を定める法律の規定に対する例外が定められている。提案を評価し、契約を締結する場合に、
政府の事業主体は、単に提案された投資費用だけでなく、民間パートナーによるコミットメントの価値、提案
に伴うリスク及び公共政策的問題をも考慮することができることが必要である。12
州のPPPに関する法律、規則及びガイドラインでは、典型的には、連邦レベルで成功裏に活用されてきた
実践及び手続をモデルとした手続を用いて、2段階の調達手続を求めている13。最初に、提案者は、調達さ
れるプロジェクトと類似のプロジェクトに関するものを含めた、プロジェクトの開発、設計、建設、資金調達及び
/又は運営に関する経験、プロジェクト実施のための財務的資源、提案主体の法的な構成に基づいて、プロ
ジェクトを実施するに値する資格能力(qualifications)があることを具体的に示さなければならない。その後、プ
ロジェクト実施者は、選定された適格な企業に対して提案募集(request for proposals)を行い、提案を受理及
び評価し、そして最善の価値(best value)の提案を提出した企業を選定する。
建設契約をもっぱら価格のみに基づいて選定する最低価格入札(low-bid)による調達手続では、一般に、
入札は開札の時点でオープンになることが意図されている。しかしながら、提案が、価格だけでなく、幅広い
技術的事項に基づいて評価される場合、評価の過程は、数日あるいは数週間を要する可能性がある。手続
の無謬性を維持するために、特に、第2ラウンドの「最善かつ最終の提案」が求められるような場合には、審査
手続の過程で、公共機関が提案の秘密性を維持できることが非常に重要である14。多くの公共機関は、契約
条件も含めて、提案募集(RFP)を公表している。実際の契約締結後に、ほとんど全ての公共機関は、直ちに、
調達文書をウェブサイトで公表している。当該文書には、最終的に締結された契約、民間企業の財務文書の
ような私的権利があるデータを除いた提案文書及び関連の評価に関する情報を含む。
非募集提案(unsolicited proposals)について競争提案の募集を行う場合、競争提案者には、本質的に同じ
プロジェクトに対応するために、当初提案に関する十分な情報が必要である。各州は、競争提案の募集にお
いて、当初提案に関してどの程度の記述を行うかについて様々なやり方をとっている。革新的な提案を奨励
するため、公共機関は、当初提案のユニークな知的財産を、競争提案を準備する他の企業による不公正な
使用から保護することができることが必要である。
プロジェクトが公共の利益となることに関する州の要件
PPP の権限を付与する多くの州法は、公共機関が、プロジェクトを遂行するか否かを決定する場合、公共
12
13
14
バージニア州のPPP法は、提案を評価する場合に考慮することができる価格以外の要素の一覧を示している。
VA. CODE ANN. §56-573.1(2008)
建設及び建築設計契約に関する連邦調達規則。48 CFR 36.301(2007)
例えば、TEXAS TRANSP. CODE ANN. §223.204(2007)、OR REV. STAT §367.806(2007) を参照。
79
の利益を考慮する必要について明確に定めている。フロリダ州法は、PPP が公共の利益に資することを明示
的に必要としている。フロリダ州交通省は、同省が公共の利益であると判断したいかなる要件をも、提案者に
課する権限を有する。ジョージア州交通省は、個々の提案が公共の利益となるか否かを決定する責任を有
する。バージニア州の授権法は、所管の公共機関に対して、提案がPPTA(公共民間交通法)の公共目的に
資することを確保する責任を課している。テキサス州は、プロジェクトのパフォーマンス及び州に対する全体
的な便益を最大化するために、提案募集において、プロジェクト固有のガイドラインを定めている。オレゴン
州交通省の評価基準は、国民全般に対する交通の便益、地域コミュニティに対する便益、コミュニティの支持
及び国民参加の取組みを評価することとしている。これらの規定を、表11.1及び表11.2に示す。
国民の参加及び支持
州は、パブリック・ヒアリングを通じて国民を計画過程に参加させ、開発の様々な段階において、提案され
ているプロジェクトについて国民が意見を提出する機会を設けている。ジョージア州法は、利害関係者が意
見を提出するいくつかの機会を設けている。非募集提案の手続では、交渉についての関心表明を承認し、P
PPに関する契約を締結する以前に、15日間の意見提出期間を設けている。州交通省は、パブリック・コメン
トの告知を、一般に配布されている新聞及び/又は公式機関の媒体、さらに州交通省のウェブサイトで公表
する。ジョージア州交通省は、どのプロジェクトを PPP として募集する可能性があるかを決定する場合にも、3
0日間のパブリック・コメントの期間を設けている。
バージニア州のPPTA(公共民間交通法)によるパブリック・ノウティス及びコメントの要件が、VA. CODE.
ANN. §56-573.1:1 に規定されている。60日間のパブリック・コメント手続に関するさらに詳細な内容は、バ
ージニア州PPTA(公共民間交通法)実施ガイドラインに記されている15。オレゴン州のプログラムでは、評価
手続の終結の前に、州交通省がコメントの募集を行い、提案に関する情報を地方政府、大都市圏計画機関
及び交通に関する地域委員会と共有することを必要としている。これらの評価ガイドラインでは、ジョージア州、
バージニア州及びオレゴン州のいずれも、提案の成功のためには国民の支持が重要であることを強調して
いる。各州では、NEPA(国家環境政策法)の手続を通じても、提案に関するパブリック・コメントの機会を設け
ている。
表11.1 募集提案に関する法律の要件
州
カリフォルニア
法律又はガイドライン
第 5 編第 10 章(第 4525 条から)又は公共契約法典第 2 編第 2 部(第 10100 条から)又は第
3 部(第 20100 条から)の規定にかかわらず、政府機関は、民間主体が有料のインフラプロ
ジェクトに関する調査、計画、設計、資金調達、建設、維持、再築、改良、修繕、運営又は
これらの組合せを行うこととする提案を募集し、民間主体と契約を締結する場合には、契
約者が競争的交渉手続(competitive negotiation process)によって選定されることを確保す
るものとする。
競争的交渉手続では、主たる選定基準として、施設に関する調査、計画、設計、開発、資
金調達、建設、維持、再築、改良、修繕、運営又はこれらの組合せに関して具体的に示さ
れた能力及び資格を用いるものとする。また、選定基準では、インフラ施設サービスの利
用者に対して、公正かつ合理的な価格で施設が運営されることを確保するものとする。
競争的交渉手続は、価格競争入札(competitive bidding)によることを要しない。競争的交
渉手続では、違法な活動となる行為を明確に禁止するものとし、それにはリベート、キック
バックその他の違法な報酬を含み、それらに限らない。また、競争的交渉手続では、政府
機関の職員が、本条に基づく契約を求める個人又は企業と関係を有する場合には、当該
15
バージニア州PPTA(公共民間交通法)実施ガイドラインは、次で入手可能。
http://www.virginiadot.org/business/resources/PPTAGuidelines.pdf
80
職員が選定手続に関与することを明確に禁止するものとし、このような職員の行為は、第
87100 条による禁止の対象となりうる。
上述の判断基準及び施設の建設・完成に関する安全確保に関して適用される条項を除
き、提案募集を行う政府機関は、その他の公共契約法典又は公共調達に関する条項の対
象とならない。
CAL. GOV’T CODE §5956.5(2007)
コロラド
(1) 他の法律の規定にかかわらず、州交通省は、以下によることができる。
(b) C.R.S.第 24-103-203 条の規定による競争的封印提案としての官民イニシアチブに関
する提案の募集
(c) 第 43-1-1203 条の規定による非募集提案の検討及び受理
COL. REV. STAT §43-1-1202(1)(b)(2007)
デラウェア
(1) 長官は、第 29 編第 69 章の規定により、提案募集(RFP)を通じて提案を勧誘するものと
し、提案募集には、この条項に基づく官民イニシアチブを説明する資料、選定手続及び
選定基準を記述する資料を添付する。長官は、提案募集において、改良を行う具体の路
線網、路線又はルートを特定することができる。
(2) あるいは、可能性のあるプロジェクトを特定し、可能性のある契約主体が提案を行うこ
とができる。このような非募集提案は、本章に定める判断基準に整合している場合に受理
される。非募集提案が本章を遵守しているものとみなされ、審査のために受理された場
合、長官は、連続する2週間において少なくとも週1回、州の各郡において発行又は配布
されている新聞において、非募集提案の詳細な説明を含めて、非募集提案を受理したこ
とを公告するものとし、他に関心を有する主体が同じ対象に関して60日間以内に提案を
提出することを認めるものとする。
DEL. CODE ANN, title 2 §2003(c)(1)-(2)(2008)
フロリダ
承認を行う以前に、州交通省は、提案されたプロジェクトが次に該当することを決定しなけ
ればならない。
(a) 最善の公共の利益であること
(b) プロジェクトが州の道路網に位置付けられていない場合、州の財源の使用を必要とし
ないこと
(c) 債務不履行又は州交通省による契約のキャンセルの場合に、通行者及び州の住民
に、追加的な費用又はサービスの混乱が生じないことを確保するための、適切な安全措
置が講じられていること
(d) 州交通省又は民間主体が、提案されたプロジェクトその他出発地及び目的地が類似
する交通施設に容量を追加する機会を有することを確保するために、適切な安全措置が
講じられていること
(e) 契約の満了又は打切りの場合は、州交通省が施設を所有すること
FLA. STAT. ANN. §334.30(1)(2008)
ジョージア
州交通省は、次の要素に基づいて、当初提案又は比較提案の評価を行うものとする。
(1) 提案で示されたユニークかつ革新的な手段、方法又はコンセプト
(2) 提案の科学的、技術的又は社会経済的メリット
(3) 州交通省の使命に対して提案が貢献する可能性
(4) 提案で記述された提案者の能力、関連する経験、設備又は技術、又は提案の目的を
達成するために不可欠の要素であるこれらの資質のユニークな組合せ
(5) 提案された主たる検査員、チームリーダー、その他の提案目的の達成において重要
なキーパーソンの資格、能力及び経験
(6) 個々の提案について適切なその他の要素
81
GA. CODE ANN. §32-2-79(2008)
ミシシッピ
政府主体は、競争提案及び資格申請の募集を、当該政府主体の管内で一般に配布され
ている新聞で公告するものとする。政府主体がミシシッピ州交通委員会である場合は、当
該募集を、政府の所在地において一般に配布されている新聞に公告するものとし、政府
主体がウェブサイトを有している場合は、当該募集をウェブサイトに掲載するものとする。
当該募集には、提案の評価のために用いられる選定基準、選定基準に与えられる相対的
ウエイト及び提案を受理する期限を含めるものとする。
オレゴン
(3) OAR 731-070-0240 に基づき、非募集提案の評価を行い、又は、提案募集の対象と
するプロジェクトを選定する場合、州交通省は、次のひとつ又は複数の政策目的を満たす
提案又はプロジェクトを優先する。
(a) 現在及び将来見込まれる財源のレベル並びに既存の交通計画に照らして、プロジェ
クト供用の時間フレームを実質的に促進するようなやり方で、緊急な又は州が認定した交
通需要に対応するプロジェクト
(b) 不動産を提案された用途に充てる権限を有している州交通省その他の公共主体によ
って既に所有され、又はその長期間の管理のもとにある道路敷地(rights-of-way)及び公
共所有不動産を主として使用するプロジェクト
(c) 計画過程、信頼できる実現可能性の判定、比較できる過去の成功プロジェクト又はケ
ーススタディによって、資本、運営及び維持のようなプロジェクトのコスト要素を支払い、次
のような投資による合理的な利益を生み出すために、州以外又は税収以外の資源による
かなりの貢献を引き付け又は生み出す強い可能性があることが示されているプロジェクト
・ 民間パートナーの投資
・ 国民に対する交通の便益
(d) 計画過程、信頼できる実現可能性の判定、比較できる過去の成功プロジェクト又はケ
ーススタディによって、低い失敗のリスク(インフラ改良の完成及び州以外又は税収以外の
資源によるかなりの貢献を引き付け又は生み出すという観点で)、失敗のリスクを軽減する
実行可能な手法、又は高いリスク報酬率(公共及び民間パートナーの投資インセンティブ
に対して、ともに便益となるという観点で)が示されているプロジェクト
(e) プロジェクトに関する州の財源その他の資源を補完又は代替するために利用できる、
具体的で、信頼でき、確認可能で、経済的に実行可能な、州以外又は非伝統的な財源を
特定している提案
(f) 明確かつ十分な国民の支持が具体的に示されているプロジェクト
(g) 伝統的な手法と比較して、建設時間の短縮、建設コストの縮減、機能の改善をもたら
す、革新的な建設手法を特定している提案
OR. ADMIN. R. 731-070-005 to 360(2008) and OR. ADMIN. R. 731-070-0020(2008)
General Selection Policies
バージニア
州交通省は、提案を募集することができる。提案募集(SFP: Solicitation for Proposal)では、
民間主体が自ら選択したプロジェクト又は具体的な地域において州交通省が特定した交
通施設の開発及び/又は運営の提案を行う民間主体を募集することができる。提案募集が
一般的な募集である場合又は特定のプロジェクトの募集である場合のいずれも、提案者
は、州及び地方の交通計画のニーズに対する革新的な解決策を提案することが奨励され
る。
提案募集では、提案者に必要とされる特有の能力及び資格を含めた、最低限の資格要件
及びプロジェクト選定基準を記述する。提案募集では、環境影響評価及び遵守事項に関
する独立した手続を記述し、次の要件を含める。(1) いかなる改良事業も、環境影響評価
による条件を遵守しなければならないこと。(2) 提案者のリスクにおいて実施した準備的な
作業に対する補償は、環境影響評価手続が完了すること、及び、締結された暫定又は総
合契約において具体的な条項が定められることを条件とする。適切とみなされる場合は、
提案前の会議を開催することができ、提案募集にその告知を記載する。提案者は、提案を
82
提出する様式、及び提案が十分に検討されるために提出しなければならない最低の情報
及び資料を指示される。
提案は、次の6段階で審査される。
5.1.1 フェーズ1: 品質管理(Quality Control)
5.1.2 フェーズ2: 独立審査員団(Independent Review Panel)
5.1.3 フェーズ3: 監視委員会の勧告(Oversight Board Recommendation)
5.1.4 フェーズ4: 詳細提案の提出及び選定
5.1.5 フェーズ5: 交渉
5.1.6 フェーズ6: 暫定及び/又は総合契約
次に従って審査される。
6.0 提案評価選定基準
6.1 資格能力及び経験
6.2 プロジェクトの性格
6.3 プロジェクトの資金調達
6.4 国民の支持
バージニア州PPTA(公共民間交通法)実施ガイドライン3.1(2005)
http://www.virginiadot.org/business/resources/PPTAGuidelines.pdf で入手可能。
表11.2 非募集提案に関する法律の要件
州
コロラド
法
律
州交通省は、次の要素に基づいて、非募集提案の評価を行うものとする。
(a) 提案で示されたユニークかつ革新的な手段、手法又はコンセプト
(b) 提案の科学的、技術的及び社会経済的メリット
(c) 州交通省の使命に対して提案が貢献する可能性
(d) 提案者の能力、関連する経験、設備又は技術、又は提案の目的を達成するために不
可欠の要素であるこれらの資質のユニークな組合せ
(e) 提案された主たる検査員、チームリーダー、その他の提案目的の達成において重要
なキーパーソンの資格、能力及び経験
(f) 個々の提案について適切なその他の要素
COLO. REV. STAT §42-1-1203(2007)
ジョージア
州交通省は、次の要素に基づいて、当初提案又は比較提案の評価を行うものとする。
(1) 提案で示されたユニークかつ革新的な手段、方法又はコンセプト
(2) 提案の科学的、技術的又は社会経済的メリット
(3) 州交通省の使命に対して提案が貢献する可能性
(4) 提案で記述された提案者の能力、関連する経験、設備又は技術、又は提案の目的を
達成するために不可欠の要素であるこれらの資質のユニークな組合せ
(5) 提案された主たる検査員、チームリーダー、その他の提案目的の達成において重要
なキーパーソンの資格、能力及び経験
(6) 個々の提案について適切なその他の要素
GA. CODE ANN. §32-2-79(f).(h)(2008)
オレゴン
州交通省は、提案が次に該当する場合に限り、非募集提案を検討することができる。
(a) 州交通省の州交通改良プログラムに含まれる他の交通システム・プロジェクトと比較し
て、ユニークかつ革新的であり、実質的に重複するものでないこと。又は、州交通改良プ
ログラムに含まれるプロジェクトと類似するプロジェクトである場合は、提案が提出された時
点で、当該プロジェクトが州交通省その他の主体によって十分な財源が確保されていない
83
か、あるいは、当該提案が当該プロジェクトの実施を著しく促進する機会を提供するもので
あること。州交通省が提案を評価する場合に考慮できるユニーク又は革新的な要素は、他
のプロジェクト又は州交通省の規則又は規制で定義されたであろうものと比較して、ユニ
ーク又は革新的な資金調達、建設、設計、工程その他の構成要素を含めることができ、そ
れらに限定されない。
提案は、次で求められる全ての情報を含め、次で定める様式で提示する。
OR. AMIN. R. 731-070-0050 (2008) (4) 非募集の概念提案の提出
バージニア
PPTA(公共民間交通法)は、認定交通施設を開発及び/又は運営するための民間主体か
らの非募集提案を、所管の公共主体が受理及び評価し、交渉のために選定することを認
めている。州交通省は、提案が同法及びガイドラインの要件に適合している限りにおい
て、非募集提案が受理された場合はいつでも、当該提案の評価を行う。一般に、州交通
省は、募集提案の評価を優先する。非募集提案が受理され、当該提案が、提案のままで
又は修正されたもので、品質管理基準、法律及びガイドラインの要件を満たしていると州
交通省が決定した場合、州交通省は、ガイドラインに定めるところにより、長官の意見をき
いて、州交通省が通常使用している公告の掲載場所に公告を掲載し、関心を有する提案
者に周知するために適切となるように、一般に配布されているひとつ又は複数の新聞又は
定期刊行物に同じ公告を掲載する。
州交通省は、提案内容のうち、交通省の裁量により、交通省及び/又は提案者の財務上、
競争上又は取引上の立場に対して、明確かつ不利な影響を及ぼす可能性があると判断し
た部分を除き、提案の全体が入手可能となるようにする。
12.
民間パートナーの債務不履行又は破産の場合に、公共部門はどのように保護されるのか
PPP契約では、典型的には、コンセッショネアの債務不履行を構成する事象を列挙しており、それには、
建設の完成期限を守らないこと、運営基準を遵守しないこと、期日に支払をしないこと、意思表示及び保証を
守らないこと、誓約に対する違反、そして破産の場合を含む。このような不履行が発生し、コンセッショネア又
はその承継者によって直ちに治癒されない場合、公共所有者は、幅広い救済策のいずれをも行使すること
が認められる。救済策には、典型的には、不履行を治癒するための措置を行いその費用をコンセッショネア
に求償すること、金銭的な損害の賠償を請求すること、衡平法上の救済手段(equitable remedies)を講ずること、
そして最終的には契約を解除することが含まれる。
公共主体は、契約に基づいてコンセッショネアが提供した保証を請求することもでき、それには、契約履行
保証(performance bonds)( 建設及び /又は運営に関す るも の) 、特定の義務に関す る元保証(parent
guarantees)及び信用状(letters of credit)(通常の運営・維持、更新業務、さらに返還(handback)業務に関する
もの)が含まれる。公共主体は、契約により設けられた準備金に対して遡求することもできる。さらに、公共所
有者は、遅延又はパフォーマンス不足に関する特定の事象について、損害賠償額の予定(liquidated
damages)を課することもできる。
債務不履行の状況における公共所有者の利害は、しばしば、コンセッショネアの債権者の利害と一致する。
債権者は、公共所有者による契約解除を回避することについて強いインセンティブを有する。債権者の利益
を保護するため、一般に、契約では、債務不履行の発生を債権者に通知し、債権者が自ら不履行を治癒す
るか、あるいは公共所有者が満足する代替の運営者を提示する機会を債権者に与えることを必要としてい
る。
被保証債権者の利益のための料金徴収の継続
コンセッション契約では、コンセッショネアがその義務の履行において著しい不履行があり、又は破産若し
84
くは債務超過の状態となった場合、典型的には、公共主体は契約を解除することができ、施設を運営するた
めに他の主体と契約するか、又は、自ら踏み込んで施設を運営することができる旨定められている。その結
果として、いくつかの州法では、当初の契約の解除後に政府主体又は代替の運営者が利用者料金の徴収を
継続することができるか、さらに、当初のコンセッショネアの債権者の弁済受領権を満たすために料金収入を
充てることができるか、という問題に対応している。16
公共の便宜による契約の終結
いくつかの公共機関は、情勢の変化又は公共政策の変更の結果として適切とみなす場合には、「公共の
便宜(public convenience)」により契約を終結する権利を明確に留保している。しかしながら、このような規定は、
一般に、公共主体から民間運営者に対して、収用手続の場合と同じような「公正な価格(fair value)」を支払うこ
とを要することとしている。
表12.1 破産及び債務不履行に関する契約条項
契 約
関連条項
手 法
インディアナ有料 16.1(b)
コンセッショネアの債務不履行が発生した場合、当局は、コンセッ
道路
コンセッショネアの債 ショネア及びリース抵当権者への通知の後、次の救済措置をとるこ
務不履行に対する救 とができる。
済措置
運営基準を遵守しなかった場合、不履行により、安全上の危険、有
16.1(a)
料道路の運営又は交通目的での使用に対する支障が生じている
債務不履行を構成す ときは、60日前に通知することにより、契約を解除。
る事象の概要
その他の不履行による契約の解除。ただし、コンセッショネアが60
破産を含む
日以内で不履行を治癒する権利を認める。
コンセッショネアのためにする支払の実施及び3営業日以内でのコ
ンセッショネアへの求償
コンセッショネアの不履行を治癒するための試み及びそのような試
みに要した費用に15%の管理手数料を加えた額を3営業日以内
で求償請求。
特定履行、差止命令その他の衡平法上の救済手段の請求
不履行により生じた損害の賠償請求及び損害又は債務について
責任を有する第三者への求償請求権の行使
支払を強制するため、有料道路上に設置されたコンセッショネアの
財産の差押え
有料道路の一部又は全部の区間の閉鎖
契約、法律又は衡平法で定められたその他の権利及び救済措置
の行使
ポカホンタス・パー 第 17.02 条
クウェイ
救済措置
Transurban とのコ
ンセッション
第 17.01 条
運営者の不履行から
の救済
16
コンセッショネアの債務不履行が発生した場合、州交通省は、コン
セッショネア及び担保権者への通知の後、次の救済措置をとること
ができる。
運営基準を遵守しなかった場合、不履行により、安全上の危険、有
料道路の運営又は交通目的での使用に対する支障が生じている
VA CODE ANN §56-568(2008)参照。
85
(e)項
破産の取扱い
ときは、60日前に通知することにより、契約を解除。
その他の不履行による契約の解除。ただし、コンセッショネアが60
日以内で不履行を治癒する権利を認める。
コンセッショネアのためにする支払の実施及び3営業日以内でのコ
ンセッショネアへの求償
コンセッショネアの不履行を治癒するための試み及びそのような試
みに要した費用に15%の管理手数料を加えた額を3営業日以内
で求償請求。
特定履行、差止命令その他の衡平法上の救済手段の請求
不履行により生じた損害及び契約により支払い義務がある金額の
賠償請求(支払義務が発生した日から支払がなされる日までの銀
行レートによる金利をコンセッショネアが支払う義務を含む)及び損
害又は債務について責任を有する第三者への求償請求権の行使
コンセッショネアのプロジェクト保有権の解除、契約の解除の有無
にかかわらずプロジェクトのやり直し及び再保有
支払を強制するため、有料道路上に設置されたコンセッショネアの
財産の差押え
有料道路の一部又は全部の区間の閉鎖
契約、法律又は衡平法で定められたその他の権利及び救済措置
の行使
SH-121
17.3
開発者の債務不履行
に関する州交通省の
救済措置
コンセッショネアの債務不履行が発生した場合、州交通省(TxDO
T)は契約を解除し、プロジェクトの保有及び管理を回復する。コン
セッショネアが契約に違反してプロジェクト又はプロジェクトの車線
を閉鎖した場合、州交通省は、コンセッショネアが不履行を治癒す
るか、又は、州交通省が契約を解除するまでの間、道路を再開し
運営を継続するために、プロジェクトに介入し管理することができ
る。州交通省が善意でプロジェクトの保有及び管理を回復した場
合、コンセッショネアの不履行における誤った信用に関する責任を
負わない。
コンセッショネアが安全基準への適合又は安全義務の遵守をしな
かった場合、州交通省は、安全基準の遵守を確保するために必要
な作業を、自ら行うか又はコンセッショネアに命じて行わせることが
できる。州交通省が安全基準の遵守を確保するために合理的に必
要な作業を行った場合、コンセッショネアは、その費用を州交通省
に弁償する必要がある。コンセッショネアが文書による抗議に基づ
いて作業を実施した場合、その作業が後に不必要であったことが
判明したときは、その作業は、州交通省による命令の変更として扱
われる。
州交通省が、コンセッショネアが安全基準に適合していないと判断
した場合、それが人身又は財産に対する緊急事態又は危険をもら
たしており、かつ、コンセッショネアが緊急事態又は危険に対処す
るあらゆる措置を講ずる努力をしていないときは、州交通省は、次
の措置を講ずることができる。(a) 緊急事態又は危険を是正するた
めの措置を講じ、その費用をコンセッショネアに求償すること。(b)
86
緊急事態又は危険により影響を受けるプロジェクトの部分の建設中
止及び閉鎖。
コンセッショネアが、治癒期間内に不履行の治癒をしなかった場
合、州交通省は、履行されていないコンセッショネアの全ての義務
について支払及び実施するために介入することができる。その場
合、州交通省は、警備員、設計者、技術者その他の契約者を雇
い、履行・支払保証その他の形態の保証を引き出し、申請、証明そ
の他の文書を執行し、プロジェクトに関する作業を管理・継続し、契
約者及び納入者に指揮命令し、契約者、下請契約者及び納入者
への支払及びクレームに対応し、治癒のために必要なその他の行
為を行い、実施した業務に伴う訴追又は防御を行う。コンセッショネ
アは治癒に関する費用を州交通省に弁償し、州交通省及びその
代理人がそのような目的でプロジェクトに介入する権利を保証す
る。州交通省の解除若しくは義務停止の権利又は治癒のための介
入権は、コンセッショネアの担保権者、債権者及び保証機関が業
務を治癒し又は引き受けて完成させる権利に従う。
コンセッショネアの不履行が治癒期間内に完全に治癒されない場
合、州交通省は、信用状、担保その他の履行保証を引き出す権利
を有する。州交通省は、州交通省が支払うものを含めて、プロジェ
クトの収入を、契約に基づく開発者の義務を満たすために充てるこ
とができる。
SH-130第5・第 17.3
6区間
開発者の債務不履行
に関する州交通省の
救済措置
IH-635
17.3
開発者の債務不履行
に関する州交通省の
救済措置
I-495HOTレーン 第 17.02 条
コンセッショネアの債
務不履行に関する州
交通省の救済措置
SH-121の契約と実質的に同じ。
SH-121の契約と実質的に同じ。
コンセッショネアの債務不履行が発生した場合、州交通省は、コン
セッショネア及び担保権者への通知の後、次の救済措置をとること
ができる。
不履行について、60日前に通知することにより、契約を解除。
コンセッショネアのためにする支払の実施及び5営業日以内でのコ
ンセッショネアへの求償
コンセッショネアの不履行を治癒するための試み及びそのような試
みに要した費用に州交通省の管理手数料を加えた額を5営業日
以内で求償請求。
特定履行、差止命令その他の衡平法上の救済手段の請求
不履行により生じた損害及び契約により支払い義務がある金額の
賠償請求(支払義務が発生した日から支払がなされる日までの銀
行レートによる金利をコンセッショネアが支払う義務を含む)及び損
害又は債務について責任を有する第三者への求償請求権の行使
コンセッショネアのプロジェクト保有権の解除、契約の解除の有無
にかかわらずプロジェクトのやり直し及び再保有
87
支払を強制するため、有料道路上に設置されたコンセッショネアの
財産の差押え
有料道路の一部又は全部の区間の閉鎖
契約、法律又は衡平法で定められたその他の権利及び救済措置
の行使
13.
既存資産のコンセッションにおいて、PPP は既存の従業員に対してどのように影響するか
既存の施設に関する PPP は、雇用を公共部門から民間部門に移転する可能性がある。公共部門の従業
員は、雇用の安定、賃金その他、民間部門の従業員には得られない便益を享受しているかもしれない。民間
コンセッショネアは、賃金レート、従業員便益、少数民族及び女性が所有する企業を従事させることに関して、
自動的に同じ規制に従うものではない。コンセッショネアは、運営の効率性を高めるために、スタッフのレベ
ルを下げることを選択する可能性もある。
シカゴ・スカイウェイ及びインディアナ有料道路の双方の契約で、従業員への影響を制限することを意図し
た条項が定められている。シカゴ市は、コンセッショネアに対して、生活賃金(living wage)の要件の遵守、全て
の建設作業に関する一般賃金(prevailing wage)の支払を求めるとともに、シカゴ・スカイウェイの全ての従業員
に対して、当該有料道路の取引に伴う移転の前に、面接を行うこと(ただし、必ずしも雇用を提供する必要は
ない)に最大の努力を払うことを求めた。コンセッショネアが運営を開始した時点で、5名の従業員がシカゴ・
スカイウェイでの雇用を継続することを選択したが、他方、100名の従業員は市の他の仕事を選択した。市の
他の仕事を選択した従業員は、以前の従業員便益を維持した。
インディアナ州も、インディアナ有料道路の従業員の保護に資するため、コンセッションの契約条項を活用
した。インディアナ州交通省によれば、インディアナ有料道路の全ての従業員(リース契約が開始された時点
で約550名)は、コンセッショネアによる面接を受けた。従業員の85%がコンセッショネアに移籍したが、従前
と同等又はそれ以上の賃金であった。コンセッショネアの担当者によれば、インディアナ有料道路従業員の
平均賃金は、時間当たり11.00ドルから、13.55ドルと16.00ドルの間に増加した。従業員が獲得していた
有給休暇の残期間も、最大225時間まで、コンセッショネアに移転した。移転した従業員は州の年金プラン
の加入者ではなくなったが、コンセッショネアから401(k)プランを提供された。インディアナ州交通省によれ
ば、約130名の従業員が州の他の仕事を選択した。州の雇用を継続した者は、有給休暇の全ての残時間を
維持した。
提案されたペンシルバニア・ターンパイクのコンセッション契約は、既存のターンパイクの従業員に関して、
コンセッショネアが次のような措置を講ずることを求める内容となっていた。
(1) 取引完結の時点で有効な労働協約(全ての交渉単位及び覚書を含む)の範囲内の従業員に対して、
雇用の提供(賃金水準その他取引完結以前に従業員が享受していた条件と同じ条件)を行う。
(2) 労働協約の範囲外の全ての従業員と面接を行うように最大の努力を払う。しかし、コンセッショネアは、
その従業員を雇用する義務はない。
(3) コンセッショネアに雇用されたターンパイクの従前の従業員のために、確定給付の年金プランを創設・
維持し、取引完結の直前に従業員に提供されていたものと実質的に同じ金額及び条件の退職給付を
提供する。
(4) コンセッショネアに雇用されたターンパイクの従前の従業員のために、確定拠出の退職プランを創設・
維持し、取引完結の直前に従業員に提供されていたものと実質的に同じ便益、権利及び特性を提供
する。
88
(5) 労働協約の範囲内の従業員に対して、労働協約で定められた現行及び退職後の健康及び福祉の便
益を提供する。
(6) 上記(2)により雇用を提供された従業員に対して、ターンパイク委員会の従業員として享受する権利が
あるものと実質的に同じ退職後の健康及び福祉の便益を、最長の労働協約の終期まで提供する。
(7) ターンパイクの通常の継続的な運営のために、州が合理的に容認する従業員に関して、取引完結後
の転籍プランを作成する。
コンセッショネアは、法律又は適用される労働協約に別段の定めがない限り、取引完結の時点でターンパ
イクの従業員ではない新規に雇用された従業員に対して、特定の便益を提供する義務はない。
イリノイ州は、シカゴのミッドウェー空港(Midway Airport)17の予想されるコンセッショネア及びシカゴ市に対
して、従業員の具体的な保護を確保することを求める法律を制定した。
(1) リース受託者は、リースの時点で空港に雇用されていたリース委託者の従業員に対して、実質的に同
じ条件で、雇用を提供しなければならない。
(2) リース委託者は、リースの時点で空港に雇用されていたリース委託者の従業員に対して、実質的に同
じ条件で、リース委託者の他の部局、課室又はユニットにおける雇用を提供しなければならない。
(3) 既存の交渉単位の構成員ではない空港従業員に関して、カードチェック手続18によって交渉代表権者
として多数の支持があることを判定し、かつ、その際に使用者又は組合による従業員への強要又は脅
迫を防止するための手続である、労働中立及びカードチェック手続協約のために、ある組合が従業員
を代表することを求める場合、リース受託者は当該組合と誠実に交渉するものとする。
(4) 交渉単位の構成員である空港従業員に関して、リース受託者及びリース受託者のもとで空港の業務を
行う下請契約者は、当該従業員に対して、従前、リース委託者の従業員として当該業務を行っていたと
きに享受していた標準賃金及び便益と経済的に同等以上の金額を支払う必要があるものとする19。
差別禁止(Non-Discrimination)、WMBE及び一般賃金の要件
公的な資金を受け取るPPPプロジェクトは、一般的に、公共事業プロジェクトに適用される州法によるその
他の要件を遵守しなければならない。その要件には、例えば、一般賃金(prevailing wage)、女性及び少数民
族が所有する企業(WMBE(women and minority business enterprise)を従事させる義務がある。建設について
連邦補助又はTIFIA信用援助を受けるPPPプロジェクトは、さらに別の連邦規制の対象となる。それは、例
えば、国産品優先購入(Buy America)及びデービス・ベーコン(Davis-Bacon)法20である。
表13.1 差別禁止(Non-Discrimination)に関する契約条項
契 約
条 項
インディアナ有料 第 11.2 条
道路
差別禁止
規
定
(a) 連邦の差別禁止法。コンセッショネアは、差別禁止に関して適
用される全ての連邦法を遵守するものとする。
(b) 州の差別禁止法。IC22-9-1-10 及び 1964 年公民権法に従
い、コンセッショネア及びその契約者は、有料道路運営におけ
る従業員又は応募者を差別してはならない。コンセッショネア
17
18
19
20
[訳注] 2006 年、シカゴ市は、ミッドウェー空港の民営化について、連邦航空局(FAA)の空港民営化パイロット・プログ
ラムへの申請を行った。2008 年 2 月に事業者の募集が行われ、同年 9 月に Vancouver Airport Services LTD.ほか
によるグループが選定され、10 月に市議会の同意がなされた。[資料 連邦航空局ニュース]
http://www.faa.gov/airports_airtraffic/airports/airport_obligations/privatization/media/mdw_factsheet.pdf
[訳注] 米国では、交渉単位内の労働者の過半数が支持する組合(米国は企業外組合)が、その単位内の全ての労働
者の排他的交渉代表となる仕組みとなっている(NLRA(National Labor Relations Act)第 9 条)。ここでカードチェック手
続とは、組合に対する労働者の支持を確認するための授権カードのチェック手続を意味するものと思われる。
Illinois Local Government Facility Lease Act, 50 ILL. COMP. STAT, 615/1(2007) 参照。
[訳注] 連邦政府が発注する建設工事における作業員の最低賃金等を定める法律。
89
及びその契約者は、雇用、在職権、勤務条件、特典その他の
雇用に直接又は間接に関連する事項に関して、人種、肌の
色、宗教、性別、障害、出身国又は家系を理由とする差別を行
ってはならない。
ポカホンタス・パー 第 11.01 条
クウェイ
差別を行わない義務
Transurban とのコ
ンセッション
(a) 運営者は、プロジェクトの許可、設計、用地取得、建設、維持、
運営又は管理において、個人又は集団に対して、年齢、性別、
婚姻状態、人種、信条、肌の色、出身国、宗教又は知覚、精神
若しくは身体の障害を理由とする差別を行わず、かつ、運営者
の契約者に差別を行わないよう求めること、さらに、従業員、契
約者、下請契約者及び納入者の選定、利用、採用、解雇、昇
進又は解約に関して、このような差別行為を行わず、また、許
可しないことを誓約及び合意する。ただし、知覚、精神又は身
体の障害に基づく差別の禁止は、特定の障害により、業務に従
事する者の適正な遂行が妨げられる場合には適用されない。
SH-121
10.8.1 開発者は、総合開発契約(CDA)のもとでの業務実施にお
いて、人種、肌の色、出身国、性別、年齢、宗教又は障害に基
づいた差別を行ってはならず、契約者においても差別を行わな
いようにさせるものとする。開発者は、49 CFR Part 26 に定める
規制を実行し、契約者においても実行させるものとする。契約者
がこれらの規制を実行しなかった場合、本契約の重大な違反と
して、不履行による解除事由に該当し、本契約及びリースの解
除その他州交通省が適当と認める本契約で認められた救済措
置がとられる可能性がある。(開発者及び債権者が通知を受け、
本契約に定められた治癒措置を講じる機会が与えられる権利の
対象となる。)
第 10.8 条
差別禁止
雇用機会の均等
10.8.2 開発者は上述の文言を全ての契約(購入注文書及び開発
者に関連した主体の全ての契約を含む)に定めなければなら
ず、このような条項が全ての契約者を拘束するように、全ての下
請契約にも定めるようにさせなければならない。
10.8.3 開発者は、開発者自身及び全ての契約者が、人種、肌の
色、出身国、性別、年齢、宗教又は障害にかかわらず雇用機会
の均等を確保するための雇用機会均等方針を定めていること、
及び、人種、肌の色、出身国、性別、年齢、宗教又は障害に基
づいて差別された従業員施設を設けていないことを確認する。
開発者は、本契約別添8に定めるものを含め、適用される全ての
雇用機会均等及び差別禁止条項を遵守するものとし、その契約
者に対しても、これらの条項を遵守させるものとする。
表13.2 MBE/WBE/DBE(少数民族企業・女性企業・不利な立場にある企業)に関する要件
契 約
条 項
規
定
インディアナ有料 第 11.6 条
コンセッショネアは、調達及び契約手続において、少数民族及び
道路
MBE/WBE(少数民 女性企業(M./W.B.E.s)を最大限活用するため、IC4-13-16.5 及
族・女性企業)の要件
び 25 IAC 5 の要件を遵守するものとする。コンセッショネアは、少
数民族企業6%及び女性企業6%の参加目標に合意する。全ての
少数民族及び女性企業は、インディアナ州執行部少数民族及び
女性企業課によって認証されなければならない。この方針は、有
料道路に関係する全ての契約に記載され、影響を受ける部署の全
90
てのコンセッショネア従業員に回覧され、少数民族及び女性企業
に周知されるものとする。
ポカホンタス・パー 第 11.03 条
クウェイ
小規模・女性・少数民
Transurban とのコ 族企業(SWAM)
ンセッション
SH-121
運営者は、本契約で定める業務の実施において、認定された小規
模・女性・少数民族企業(SWAM)及び/又は不利な立場にある企
業(DBE)の参画を図るよう、強く奨励される。本契約の当事者は、
小規模・女性・少数民族企業(SWAM)の参画に関する20%の長
期目標に合意する。運営者は、毎月、州交通省の公民権課を通じ
て、全ての契約者及び納入者に対する実際の支払、保留、少数民
族の状況及び業務のタイプを報告する必要がある。小規模・女性・
少数民族企業(SWAM)及び不利な立場にある企業(DBE)の活用
報告のために必要な情報は、州交通省の公民権課で入手できる。
運営者は、関連する契約の実施に伴う、小規模・女性・少数民族企
業(SWAM)及び不利な立場にある企業(DBE)への支払に関する
記録及び文書を、3年間保存しなければならない。
第 10.9 条
10.9.1.1 本件プロジェクトに適用される、不利な立場にある企業
不利な立場にある企
(DBE: Disadvantaged Business Enterprise)に関する州交通省
業
の特別条項は、別添15に定めるところによる。DBEに関する特
別条項の目的は、全部又は一部が連邦資金で資金調達された
契約の実施において、DBEに対して均等な参加の機会を確保
することである。開発者は、DBEに関する特別条項、49 CFR
Part 26 に基づき作成された州交通省のDBEプログラム、さら
に、別添16に定める、開発者の承認されたDBE実施計画の全
ての要件を遵守するものとする。
10.9.1.2 NTTA(北部テキサス有料道路公社)の有料道路利用契
約を除き、開発者は、開発者が当事者となる全ての契約(購入注
文書及び業務の作業指示書を含む)において、DBE特別条項
を実施する条項を定めるものとし、当該条項が全ての契約者を
拘束するようにするため、全ての下請契約(購入注文書及び業
務の作業指示書を含む)において、当該条項が定められるように
求めるものとする。
10.9.2 DBEの参加目標
10.9.2.1 本契約に基いて行われる専門的業務及び建設業務にお
けるDBEの参加目標は、12.12%とする。
10.9.2.2 開発者は、承認されたDBE実施計画を通じて、プロジェ
クトにおけるDBE参加目標を達成するため、誠実に努力するも
のとする。
10.9.2.3 開発者は、運営維持業務(O&M)において、DBEの参
加を奨励するため、誠実に努力することに合意する。
10.9.3 DBE契約の破棄。開発者は、DBE企業との契約の破棄又
は終結について、別添15のDBE特別条項に定められている全
ての要件に合致する場合を除き、DBE企業との契約を破棄又
は終結させてはならない。
91
14.
既存の及び将来の環境基準の遵守は、どのように確保されるか
環境への影響は、どのようなインフラ・プロジェクトにおいても考慮すべき事項である。プロジェクトの対象
範囲及び資金調達に応じて、PPPプロジェクトが自動的に国家環境政策法(NEPA: National Environmental
Policy Act)の対象となる場合もある。連邦政府が関与する新規プロジェクトは、NEPAに従って建設されなけ
らばならない。TIFIA融資は、有料道路プロジェクトの債務コストを縮減し、財務的実現可能性を改善するた
めに一般的に活用されているが、同融資を用いた場合、プロジェクトはNEPAの対象となる。NEPAに加え
て、州は州自身の環境関係の法律及び規制を有しており、多くの場合、PPP の権限を認める法律のなかに、
環境関係の要件を組み込んでいる。
NEPAの承認を得ることは、民間主体がNEPAの審査を支援するために必要な情報及び調査の提供を
援助したとしても、公共機関の責任である。FHWA(連邦道路庁)のデザインビルド規則(連邦規則集第 23 編
第 636 条 デザインビルド契約 (23 C.F.R.§636(2007)))により、NEPAに基づく決定の登録(Record of
Decision)がなされるまでは、建設を開始することはできない。
典型的には、コンセッショネアは、NEPAその他の環境法を含め、契約開始の時点で施行されている既存
の法律及び規制を遵守することを、明示的に求められる。また、コンセッショネアは、例えば、陸軍工兵隊
(Corps of Engineers)による第404条許可21のような他の環境関連の許可を得る必要がある場合もあり、当該許
可は、最終的な設計作業が完了した後にのみ得ることができる。コンセッショネアは、法律の改正についても
遵守する必要があり、新規の建設又は継続する運営に対して適用される環境基準の変更を含む。契約により、
このような規制の遵守に要する費用の一部を、公共主体に転嫁することもできる。
表14.1 環境に関する法律の要件
州
カリフォルニア
法律又はガイドライン
政府機関と民間主体との契約内容。政府機関と民間主体との契約では、次の事項を確保
ための条項を定めるものとし、必ずしもこれらに限定されない。
(1) カリフォルニア州環境法(California Environmental Quality Act)(公共リソース法第 13 部
(第 21000 条以下))の遵守。提案プロジェクト又は民間主体の選定行為及び民間主体と
の契約締結は、いずれも同法の遵守を事前に要するものではない。しかし、プロジェク
トの開発が開始される以前に、同法の適切な遵守がなされるものとする。
CAL. GOV’T CODE §5956.6.
デラウェア
(d) 財政の逼迫を緩和し、州が限られた資源を他の必要なプロジェクトに使えるようにする
ことに加え、官民イニシアチブ・プロジェクトは、次の全ての事項を実行する。
(6) 環境規制及び公的に資金調達されたプロジェクトが対応しなければならない州及び
連邦の法律を継続的に遵守すること
DEL. CODE ANN. tit. 2 §2001(2008)
フロリダ
官民交通施設
(3) 本条の規定により建設された民間交通施設は、連邦、州及び地方の法律、州、地方
及び地域の総合計画、交通施設に関する交通省の規則、方針、手続及び基準、その
他州交通省が公共の最大の利益にかなうものとして定めた条件の全てを遵守するもの
とする。
FLA. STAT. ANN. §§334.30(2008)
21
[訳注] 水質浄化法(Clean Water Act)第 404 条に基づく浚渫又は埋立の許可のこと。米国内の航行可能な水域は、
陸軍工兵隊(COE)が管理している。
92
ジョージア
官民イニシアチブに関する提案者と契約を締結する機関 ;財源 ;拒絶
(a) 当該契約は、他の全ての連邦及び州の法律を遵守するものとし、それには次のものを
含み、それらに限定されない。法典第 13-10-40 条、第 13-10-60 条及び第 32-2-70
条。それぞれの契約は、州交通委員会の議決により個別に承認され、州知事の同意を
得なければならない。
GA. CODE ANN. §§32-2-80(2008)
ミネソタ
第8項 他の法律の適用。民間運営者は、有料施設が道路当局によって建設又は運営さ
れるとした場合と同様の環境、標識、設計又は安全に関する承認を得なければならない。
MINN. STAT. §160.85(2007) 有料施設に関する認可
オレゴン
立法府は、次の事項を認識する。
(9) 次の事項を行うための公共主体及び民間主体の共同の努力
(c) 環境規制及び公的に資金調達されたプロジェクトが対応しなければならない州及び
連邦の法律を継続的に遵守すること
OR. REV. STAT. §383.001(2005)
プロジェクトの開始;手数料;基準;認可条件;調査
(2) 州交通省は、有料道路プロジェクトの認可を検討する場合に適用すべき基準を策定
するものとする。当該基準では、次の事項に関する検討を要するものとする。
(b) 提案された有料道路プロジェクトが、地域の環境、美観及び経済条件並びに州の経
済全般に与える可能性がある影響
OR. REV. STAT. §383.015(2005)
バージニア
所管の公共主体による承認
D. 認定交通施設が州及び連邦の環境審査をクリア済み又は手続中である場合、かなり
の道路敷地を確保済みである場合、十分な州又は連邦の資金があらかじめ配分済み
である場合、その他認定交通施設の開発・運営に要する時間を合理的に短縮しうる条
件が示された場合について、ガイドラインに、優先的な審査及び選定手続を定めるもの
とする。
VA. CODE ANN. §56-560(2007)
表14.2 環境に関する契約条項
契約
SH-121
開発者の一般的義務
7.1.3 環境関係法及びアメリカ障害者法(Americans with Disabilities Act of 1990(合衆国法
典第 42 編第 12101 条(42 U.S.C. §12101)以下))を含め、適用される全ての法律の全て
の要件の遵守、及び全ての契約者への遵守の要請
7.10 設計業務及び建設業務の過程を通じた環境規制の遵守。開発者は、プロジェクトに
関するNEPAに基づく承認及びそれに類する政府による承認を含めた環境上の承認
並びに総合開発契約(CDA)で必要とされた全ての環境影響の緩和措置を実施し、又
は実施されるようにするものとする。また、開発者は、技術条項第 4 条に従い、環境上の
承認に関する他の全ての条件及び要件を遵守するものとする。
8.1.4 環境規制の遵守。運営期間を通じて、開発者は、プロジェクトに関するNEPAに基
づく承認及びそれに類する政府による承認を含めた環境上の承認並びに総合開発契
約(CDA)で必要とされた全ての環境影響の緩和措置を実施し、又は実施されるように
するものとする。また、開発者は、環境上の承認に関する他の全ての条件及び要件を
遵守するものとする。環境規制の遵守に関するさらなる条項、要件及び義務について
93
は、技術条項第 4 条を参照。
SH-130第5・第 7.10.1 設計業務及び建設業務の過程を通じて、開発者は、施設に関するNEPAに基づ
6区間
く承認、第 404 条許可及びそれに類する政府による承認を含めた環境上の承認並びに
施設コンセッション契約(FCA)で必要とされた全ての環境影響の緩和措置を実施し、又
は実施されるようにするものとする。また、開発者は、技術条項第 4 条及び表 4-1 に従
い、環境上の承認に関する他の全ての条件及び要件を遵守するものとする。
8.1.4 環境規制の遵守。運営期間を通じて、開発者は、施設に関するNEPAに基づく承
認及びそれに類する政府による承認を含めた環境上の承認並びに施設コンセッション
契約(FCA)で必要とされた全ての環境影響の緩和措置を実施し、又は実施されるよう
にするものとする。また、開発者は、環境上の承認に関する他の全ての条件及び要件
を遵守するものとする。環境規制の遵守に関するさらなる条項、要件及び義務について
は、技術条項第 4 条を参照。
IH-635
7.10 環境規制の遵守。設計業務及び建設業務の過程を通じて、開発者は、プロジェクト
に関するNEPAに基づく承認及びそれに類する政府による承認を含めた環境上の承
認並びに総合開発契約(CDA)で必要とされた全ての環境影響の緩和措置を実施し、
又は実施されるようにするものとする。また、開発者は、技術条項第 4 条に従い、環境上
の承認に関する他の全ての条件及び要件を遵守するものとする。
8.1.4 環境規制の遵守。運営期間を通じて、開発者は、プロジェクトに関するNEPAに基
づく承認及びそれに類する政府による承認を含めた環境上の承認並びに総合開発契
約(CDA)で必要とされた全ての環境影響の緩和措置を実施し、又は実施されるように
するものとする。また、開発者は、環境上の承認に関する他の全ての条件及び要件を
遵守するものとする。環境規制の遵守に関するさらなる条項、要件及び義務について
は、技術条項第 4 条を参照。
参考文献(略)
94
付表A
州のPPP立法
州
1.アラスカ(AK)
法 律
コメント
ALASKA STAT. §§
19.75.111, .113, .211,
.221, .330, .332, .334,
.336, .338, .340, .241,
.915, .920, .980
2003年に、州法 19.75 によりニックアーム橋梁有料公社(KBATA)
が設立された。同法は、アンカレッジ市と Matanuska-Susitna 町を結
ぶニックアーム橋梁の資金調達、設計、建設、運営及び維持のため
に、KBATAがPPPを活用する権限を認めた。
http://www.knikarmbridge.com/documents/HB0471Z_000.pdf
http://www.legis.state
.ak.us/CGI-BIN/FOL
IOISA.DLL/STATTX0
6/QUERY=19!2E75!2
E111/DOC/%7B@916
1
2006年の改正法により、PPP契約のもとでニックアーム橋梁を資金
調達、設計、建設、運営及び維持することが認められた。
2.カリフォルニア CAL. STS. & HIGH. PPPによる有料道路パイロット・プロジェクトを実施する権限を州交
CODE §§143, 149 to 通省(Caltrans)に認めた法律(AB680として知られる)は、2003年
(CA)
149.6, 149.7
に廃止された。
3.コロラド(CO)
http://www.leginfo.ca.
gov/cgi-bin/displayco
de?section=shc&grou
p=00001-01000&file
=90-155.6
AB1467は、2006年に制定され、第 143 条を改正して、カリフォル
ニア北部で2つ、南部で2つの合計4つのパイロット・プロジェクトの
権限を認めた。これらは、商品の移動のためのものであり、3軸以上
の商業車両に対してのみ料金を賦課することを認めている。また、A
B1467は、第 149.7 条を改正し、地域の交通機関がHOTレーンを
開発・運営する権限を認めた。これにはバーリュー・プライシング・プ
ログラム及び専用又は優先レーンを含み、交通委員会による承認が
必要である。
CAL. GOV. CODE
§§5956 to 5956.10
この法律(AB2660として知られる)は、「料金を生み出すインフラ・プ
ロジェクト」に関する PPP の権限を認めているが、州の道路における
有料道路は明確に除外している。
http://www.leginfo.ca.
gov/cgi-bin/displayco
de?section=gov&grou
p=05001-06000&file
=5956-5956.10
COLO. REV. STAT.
§§43-1-1201
to
43-1-1209; 43-4-801
to 43-4-812; 43-3-201
to 43-3-416
PPP に関する募集及び非募集提案を認める。
有料道路の資金調達、建設、運営及び維持を行うための全州的な
有料企業体を設立。コロラド州交通省内の政府所有の企業体として
運営される。
http://198.187.128.12
/colorado/lpext.dll/Inf
obase4/6703c?fn=doc
ument-frame.htm&f
=templates&2.0.
ターンパイク及びHOTレーンを含めた特定のプロジェクトに関し
て、州交通省にPPPの権限を付与。
HB 08-1354
http://www.leg.state.c
o.us/CLICS/CLICS20
08A/csl.nsf/fsbillcont
2008 年 5 月 14 日、立法府はHB08-1354 を制定し、知事に送付し
た。同法は、地域交通地区(Regional Transportation Districts)が民
間活動債を発行することを認めるとともに、民間活動債によって資金
調達される大量輸送交通プロジェクトの建設に関して、民間企業に
95
3/5EA1856BEB382D
9A872573FC0067B4
D2?Open&file=1354_
enr.pdf
資金又は財産の貸付又は補助を認める。
H.B. 08-1354, 66th Gen. Assemb. 2nd Reg. Sess.(Colo. 2008)
4 . デ ラ ウ ェ ア DEL. CODE ANN. 道路及び橋梁を含むPPPプロジェクトに関する募集及び非募集提
tit. 2, §§2001 to 2012 案の権限を付与。
(DE)
(2008)
http://delcode.delawa
re.gov/title2/c020/ind
ex.shtml
5. フロリダ(FL)
FLA. STAT. ANN.
§§334.30, 338.22 to
338.251 (2007)
http://www.flsenate.g
ov/Statutes/index.cf
m?App_mode=Displa
y_Index&Title_Requ
est=XXVI#TitleXXVI
.
Amended by HB985
(2007):
http://www.myflorida
house.gov/Sections/D
ocuments/loaddoc.as
px?FileName=_h098
5er.doc&DocumentT
ype=Bill&BillNumbe
r=0985&Session=200
7
最初の 1953 年法律はフロリダ・ターンパイク企業体(Florida Turnpike
Enterprise)を設立し、同企業体はフロリダ州交通省内で民間部門企
業のように運営される。同法は、州交通省が PPP に関する提案を受
理又は募集することを認める。
2007 年、Crist 知事は、フロリダ州のPPP契約を拡張する法律に署
名した。同法は、フロリダ州交通省(FDOT)が、新規の有料施設及
び既存の有料施設の長期リースの双方に関する PPP を活用すること
を認めている。既存の有料施設のリースに関しては、立法府の承認
が必要である。さらに、同法は、シャドートール及びアベイラビリティ・
ペイメントに基づく取引に関する権限を明示的に付与している。
同法に基づき、州交通省は、5箇年の事業プログラムに含まれるプ
ロジェクトに関して、募集及び非募集提案を受理する権限を付与さ
れている。プロジェクトが容量を増大させるもので、費用が5億ドル以
上である場合は、10箇年の戦略的モード間計画に含まれるプロジ
ェクトも対象となる。州交通省が非募集提案を受理した場合、競合す
る提案を提出する他の提案者のために120日の期間を設けなけれ
ばならない。
同法は、ターンパイク企業体が料金レートを消費者物価指数(CPI)
又は類似の指標と連動させ、少なくとも5年ごとにレートを最新の指
標に合わせて調整することを必要としている。PPP有料プロジェクト
については、契約において、料金収入のうち交渉で定められた一部
について、有料当局の権利が認められていなければならない。これ
に対して、既存の有料施設のリースについては、「超過の」料金収入
の一部及び取引完結時の前払いの支払について有料当局の権利
が認められる。
フロリダ州の新法は、保証ボンドの要件に関する柔軟な取扱いを定
めている。100%のボンドを要求する代わりに、同法では、プロジェ
クトの効率的な価格付けを確保するため、保証を得るためのコスト及
びデフォルトのリスクに対して、様々な手法(ボンド、信用状、保証等)
のコストを比較検討する。
同法は、いかなるコンセッションについても、その期間を50年に制
限している。州交通省長官は、立法府の承認なしで、期間を75年ま
で延ばすことができる。
6. ジョージア(G
A)
GA. CODE. ANN.
§§32-2-78 to 32-2-80
官民イニシアチブ(PPIs)とは、ジョージア州では PPP と同義である。
2003 年に初めて権限が付与され、ジョージア州交通省(GDOT)は、
96
http://www.lexis-nexi
s.com/hottopics/gacod
e
州全体にわたり、交通プロジェクトの資金調達、設計、建設、運営及
び維持のために民間企業とパートナーを組むPPIsを活用すること
ができる。ジョージア州のPPI法は 2005 年 5 月に改正され、特定の
判断基準に合致する場合に非募集提案を検討することに加え、提
案を募集する権限が付与された。非募集提案が州交通省に受理さ
れてから135日以内に、競合提案を提出することができる。非募集
提案及び募集提案はともに体系的な評価を含む詳細な調達手続を
経て、州交通省と民間開発者との間で同意書(LOI: Letter of Intent)
が 締結さ れ る 。 そ の 後、デ ベ ロ ッ パ ー ・ サ ー ビ ス 契約( D S A :
Developer Service Agreement)及び/又はプロジェクト枠組契約(PF
A: Project Framework Agreement)の交渉がなされ、交通施設の最
終設計業務並びに資金調達、建設、維持及び/又は長期運営につ
いて定める最終の総合PPI契約(CPPI)に達する。
7 . メ リ ー ラ ン ド MD. CODE REGS. メリーランド州規則集第 11.07.06 章により、交通PPPプログラムが設
(MD)
けられている。同規則の注釈において参照されている 1996 年の司
11.07.06
法長官(Attorney General)意見によれば、メリーランド州交通局は、
HTTP://WWW.DSD.
一定の PPP の形態を活用して有料道路を建設する権限を有する。
STATE.MD.US/COM
AR/SUBTITLE_CHA
PTERS/11_CHAPTE
RS.HTM.
(See MD 81 Op. Att’y Gen. (issued 2/2/96)
MD. CODE ANN.
TRANSP. §8-204
http://www.michie.co
m/maryland/lpext.dll
?f=templates&fn=ma
in-h.htm&cp=mdcod
e.
TRANSPORTATION
PUBLIC-PRIVATE
PARTNERSHIP
(TP3) GUIDELINES,
http://www.mdta.stat
e.md.us/mdta/servlet
/dispatchServlet?url=
/About/tp3guidelines.
jsp.
8. ミネソタ(MN)
MINN STAT. §§160.
84 to 160.93 (2007)
有料施設に関する募集及び非募集の PPP の権限を付与。
HOTレーンの権限を付与。
http://www.revisor.le
g.state.mn.us/revisor
/pages/statute/statut
e_chapter_toc.php?ch
apter=160.
有料施設は、橋梁、幹線道路及び付属構造物に限定。
S.F. Res. 3058, 35th
Leg. 3rd Engrossment
2008 年 2 月 22 日、ミネソタ州議会は、2007 Minn. H.F. 2800 に対す
る知事の拒否権を覆した。同法は、§160.845 及び§160.98 を追加
2008 年 5 月、2007 Minn. S.F. 3058 が制定され、知事が署名した。
同法により、HOVレーン及び動的路肩レーンにおいて料金を賦課
することが認められる予定。
97
(Minn. 2007)
し、橋梁及び道路の有料化及び民営化を制限している。
https://www.revisor.l
eg.state.mn.us/bin/bl
dbill.php?bill=S3058.
3.html&session=ls85
H.F. Res. 2800, 85th
Leg.,
4th
Engrossment (Minn.
2007)
https://www.revisor.l
eg.state.mn.us/bin/bl
dbill.php?bill=H2800
.4.html&session=ls85
9. ミシシッピ(M S.B. 2375, 2007 Leg., 2007 年 4 月、ミシシッピ州議会は、政府主体が、民間部門とのパート
S)
Reg. Sess. (Ms. 2007) ナーシップにより有料道路及び橋梁を建設することを認める法案
(SB2375)を制定し、知事が承認した。同法は新規の道路のみに適用
http://billstatus.ls.sta
されるとともに、無料の代替道路が存在すること、及び、料金徴収は
te.ms.us/2007/pdf/his
30年後に終了することを定めている。2008 年 6 月、同法が改正さ
tory/SB/SB2375.htm
れ、コンセッション期間の最長限度が30年から50年に延長されると
#title.
ともに、電子的料金徴収の執行及び不動産課税の免除について定
H.B. Res. 3, 2008 めている。
Leg.
1st
Extraordinary Sess.
(Miss. 2008).
http://billstatus.ls.sta
te.ms.us/20081E/pdf/
history/HB/HB0003.
xml
H.B. 3, 2008 Leg. 1st Extraordinary Sess. (Miss. 2008)
http://billstatus.ls.state.ms.us/documents/20081E/pdf/HB/0001-0
099/HB0003SG.pdf
10. ノースカロ N.C. GEN. STATE. ノースカロライナ・ターンパイク公社(NCTA)は、6件の指定プロジェ
§§136-89.180
to クトを設計、購入、建設、運営及び維持する権限が付与されていると
ライナ(NC)
ともに、9件のプロジェクトの調査、計画、開発及び準備的エンジニ
136-89.198
アリングに関する権限が付与されている。同公社の列記されている
http://www.ncleg.net/
権限には、個別のプロジェクトについて代替的契約手法を用いるこ
EnactedLegislation/S
とができることも含まれており、この場合、同公社は、プロジェクトを
tatutes/HTML/ByArt
利用可能な財源のなかで適時に完成させるため、又は、公共の利
icle/Chapter_136/Art
益にかなうと判断される他の理由から、代替的契約手法が必要であ
icle_6H.html
ることを文書で明らかにする。
11. オレゴン(O OR. REV. STAT. §§ オレゴン革新的パートナーシップ・プログラム(OIPP)法は、交通プロ
R)
ジェクトに関して、オレゴン州交通省(ODOT)が民間主体及び公共
367.800 to 367.826
主体と幅広い契約を締結する権限を付与している。同法は、交通プ
http://www.leg.state.
ロジェクトを、「あらゆる交通モードを促進する提案された又は既存の
or.us/ors/367.html.
実施中のプロジェクト」として幅広く定義している。
OR. REV. STAT. §§
383.001 to 383.019
http://www.leg.state.
州交通省(ODOT)は、民間主体及び公共主体による交通プロジェク
トに関する概念提案又は詳細提案の募集又は非募集提案の受理、
概念提案又は詳細提案の評価、並びに可能性のあるプロジェクトの
選定について幅広い権限を付与されている。評価の一環として、州
98
or.us/ors/383.html.
交通省(ODOT)は、適切な地方政府、大都市圏計画機関又は交通
に関する地域委員会の意見を聴く必要がある。可能性のある交通プ
http://www.leg.state.
ロジェクトの評価及び選定に続いて、州交通省(ODOT)は、選定さ
or.us/bills_laws/
れた交通プロジェクトを実施するため、民間主体又は公共主体との
(SB 1022 is found at 契約を交渉し、締結することができる。州交通省(ODOT)は、当該契
約がオレゴン州交通委員会によって承認されるまでは、契約を締結
2007 Chapter 531)
してはならない。
同法は、革新的パートナーシップ・プログラムのもとで実施される交
通プロジェクトについて、州の調達法による要件のほとんどを適用除
外としている。さらに、同法は、債務の保証のための資金を約束する
州交通企業基金(State Transportation Enterprise Fund)を設け、交
通プロジェクト収入のボンドの権限を認め、資金調達におけるオレゴ
ン州交通インフラ基金(Oregon Transportation Infrastructure Fund)
の能力を拡張し、そして交通プロジェクトが民間主体又は公共主体
によって提供された基金又は財産によって資金調達されることがで
きるようにしている。2007 年に、SB1022 は、全ての料金についてオ
レゴン州交通委員会による承認の対象とし、本法に関するいくつか
の定義を追加し、有料道路運営者の権限に関する規定を追加し、さ
らに電子的料金収受及び料金執行に関する規定を追加した。また、
同法は、OR. REV. STAT. §381.025-383.386 を廃止した(料金執行
に関する規定)。
12.. プエルトリコ P.R. LAWS ANN. tit. これらの条文は、公共道路プロジェクトに民間の参画を認める幅広
(PR)
い権限を有する有料交通施設機関を設立している。
9, §§2001 to 2021
13. テキサス(T TEX.
CODE
X)
TRANSP.
ANN.
§§
223.001 to 223.209;
227.001 to 227.083;
228.001 to 228.254;
370.001 to 370.365
2003 年、テキサス州議会は、HB3588 を制定した。同法は、州交通
省(TxDOT)が、有料プロジェクト及びトランス・テキサス・コリダー
(Trans Texas Corridor) の 開 発 に 関 す る 総 合 開 発 協 定 (CDA:
Comprehensive Development Agreements)と呼ばれるPPP契約を締
結する権限を拡大した。また、HB3588 は、地域移動公社を設立す
る権限を付与した。同公社は、伝統的な方式又は総合開発契約(C
DAs)を通じて、交通プロジェクトを開発する権限を与えれられた地
http://tlo2.tlc.state.tx.
域機関である。2005 年、州議会は、総合開発契約(CDA)の条項を
us/statutes/tn.toc.ht
律する、より具体的な要件を定めるとともに、州交通省(TxDOT)が
m.
パススルーの料金契約を締結する権限を認め、さらに、とりわけ、コ
TEX.
TRANSP. ンセッション・モデルの総合開発契約(CDAs)を通じたプロジェクトの
CODE
ANN.
§§ 開発を容易にしている。
451.801-451.812
2007 年 6 月、Rick Perry 知事は、SB792 に署名した。同法は、PPP
LEG. プロジェクトに一定の制限を設けるものである。SB792 の主要な規定
H.S. 3588,
REG. SESS. (TEX. は、次のとおりである。
78th
2008)
S.B. 792, 80th LEG.
SESS. (TEX. 2007)
民間主体が有料道路の運営及び料金収受を行うことを定め
る総合開発契約(CDAs)の締結を2年間凍結(moratorium)す
る。ただし、調達段階にある多くのプロジェクトは除外する。
総合開発契約(CDAs)について、期間を52年に制限する。
州交通省(TxDOT)が総合開発契約(CDAs)を締結できる権
限を 2009 年 8 月 31 日に期限切れとするサンセット条項。た
だし、一定の例外がある。
競合施設の開発に関する総合開発契約(CDA)の条項に影
響する要件。
地域の有料機関が、その地域内で、有料プロジェクトに関す
99
る利用者サービスその他料金収受・執行業務を提供すること
を必要とする。
地域有料道路公社が総合開発契約(CDAs)を締結する権限
を認める。
さらに、SB792 は、地域の有料プロジェクト主体と州交通省(TxDO
T)との間で、具体のプロジェクトを配分する手続を定めている。その
手続は、一般的に、プロジェクトの市場評価の基礎となる取引条件
に関する両主体間の交渉から開始され、地域の有料プロジェクト主
体に、当該プロジェクトを開発する最初の選択権が与えられる。地域
の有料プロジェクト主体がこの選択権を行使しようとする場合、当該
主体は、追加のプロジェクト開発にコミットするか又は当該プロジェク
トの価値に等しい金額を支払わなければならず、その金額は、その
地域における追加の交通プロジェクトの建設資金として州交通省(T
xDOT)によって使用される。
14. バージニア VA. CODE ANN. §§ バージニア州は、合衆国で最も早いPPP交通プログラムのひとつで
(VA)
ある、1995 年公共民間交通法(PPTA)を制定した。PPTAは、募集
56-556 to 56-575
及び非募集提案を通じて、民間主体が適格の交通施設を開発及び
http://leg1.state.va.us
/又は運営することを認めている。同法は、民間主体及び公共事業
/cgi-bin/legp504.exe?
主体が、例えば債券発行のような法的に利用可能なあらゆる資金調
000+cod+TOC56000
達手法を使用し、コンセッション契約を締結することを認めている。P
00002200000000000
PTAの制定以降、バージニア州は3件のPPPプロジェクトを完成さ
0.
せ、概ね1ダースの他のプロジェクトが調達及び開発の様々な段階
にある。
1 5 . ワ シン ト ン WASH. REV. CODE ワシントン州議会は、州の 1993 年PPP法(§§47.46.010 から
§§
47.29.010
to 47.46.900)は、公共部門及び民間部門の期待に合致していないと判
(WA)
47.29.900; 47.46.010 断し、PPP法を改正して§47.46.29 を設けた。
to 47.46.900
http://apps.leg.wa.go
v/rcw/default.aspx?Ci
te=47.
H.B. 1094, 60th LEG.,
2007 REG. SESS.
(WASH. 2007)
http://apps.leg.wa.go
v/documents/billdocs/
2007-08/Pdf/Bills/Ses
sion%20Law%20200
7/1094-S.sl.pdf
新たなPPP授権法(2005 年 5 月に HB1541 として制定された)は、ワ
シントン州交通省のプロジェクトに限定され、州議会の事前の承認を
必要としている。
収入不足の公共交通プロジェクトも同法のもとで実施することができ
るが、公共施設として運営されることとなる場合は、§47.29.060(b)(3)
により、当該交通プロジェクトのための債務は州の収入役によって発
行されなければならない。
§47.29.110 は、次のことを必要としている。
総合交通予算において特段の定めがない限り、プロジェクトに関し
て本条に基づき交通省が支出した資金は、法律又は契約で認める
ところにより、交通プロジェクト債券の売却又は適格プロジェクトに関
する他の資金調達手段に基づいた、債券又は他の資金調達手段か
らの収入によって返済されなければならない。
委員会は、2009 年 7 月 1 日以前は、非募集の提案を受理又は検討
してはならない。§47.29.170
ワシントン州議会は HB1094 を制定した。同法は 2007 年 5 月 15 日
に施行され、§47.29.170 中「2007 年 6 月 30 日」を「2009 年 7 月 1
日」に改正した。
100
付表B
参照されたPPP契約の一覧
契 約
正式名称
インディアナ有料道路
インディアナ有料道路コンセッション及びリース契約(Indiana Toll Road Concession and
Lease Agreement)。インディアナ州財務局(Indiana Finance Authority)とインディアナ有
料道路コンセッション会社(ITR Concession Company, LLC)との間で締結。2006 年 4 月
12 日付。
2006 年 1 月、Cintra Concesiones de Infraestructuras de Transporte SA(Cintra)と
Macquarie Infrastructure Group(MIG) と の ジ ョ イ ン ト ベ ン チ ャ ー で あ る 、 Statewide
Mobility Partners(SMP)は、インディアナ有料道路を75年間運営及び維持する契約に
関する入札に勝利した。入札額は38億ドルであった。前払いの支払による収入は、有
料道路債券の残額の返済及び「大きな動き(Major Moves)」交通プログラムの資金に充
てられる。「大きな動き(Major Moves)」プログラムに充てられる資金の34%は、公平性の
観点から、当該施設が位置する7つの郡に投資される。これは、交通の66%は州外か
らのものであり、その分の収入は州の他の地域に投資することができるということに基づ
いている。
シカゴ・スカイウェイ
シカゴ・スカイウェイ・コンセッション及びリース契約(Chicago Skyway Concession and
Lease Agreement)。シカゴ市とスカイウェイ・コンセッション会社(Skyway Concession
Company, LLC)との間で締結。2004 年 10 月 28 日付。
スカイウェイ・コンセッション会社(SCC)は、99年間のオペレーティング・リースについて
シカゴ市に18億3千万ドルを一括前払いした。SCCは、スカイウェイの全ての運営及び
維持費用に関する責任を有する一方、全ての料金及びコンセッション収入に対する権
利を有する。
ペンシルバニア・ター 2007 年 9 月、州は、ペンシルバニア・ターンパイクの運営に関心がある企業からの資格
ンパイク
申請の募集を行った。最も適格な企業を絞り込んだ後に、州は、選定されたチームにプ
ロジェクトに関する情報を提供し、ターンパークの評価及び入札の提出を求めた。
2008 年 5 月 9 日に、3チームからの最初の入札が受理された。2008 年 5 月 16 日に、
Pennsylvania Transportation Partners が優先的なパートナーの地位を獲得した。入札額
は128億ドルで、次点の入札よりも7億ドル上回っていた。しかしながら、このプロジェク
トに関する州議会の承認は、なされなかった。
ポカホンタス・パーク R 8 9 5 接続路の 開発及び 運営に 関す る 変更総合契約 (Amended and Restated
ウェイ/Transurban
Comprehensive Agreement to Develop and Operate the Route 895 Connector)。バージ
ニア州交通省と Transurban (895) LLC との間で締結。
2006 年、バージニア州交通省は、Transurban LLC との間で、99年間のPPPコンセッシ
ョン契約により、このプロジェクトの資産譲渡及びリファイナンスを行うことについて交渉
し、取引を完結した。このプロジェクトは、リッチモンド地域のポカホンタス・パークウェイ
(R895接続有料道路という名称でも知られる)で構成される。新たな6億1,100万ドルの
資金調達により、当初の債券を返済し、州交通省が以前に支出した資本、運営及び維
持費用を埋め合わせるとともに、リッチモンド国際空港への接続路の建設に備えた。
http://www.pocahontas895.com/home.html
SH-121/Cintra
キャンセルされた Cintra の提案の詳細は、次で入手できる。
http://www.dot.state.tx.us/services/texas_turnpike_authority/sh121_prop_files.htm
SH-121/NTTA
SH-121有料プロジェクトに関するプロジェクト契約。テキサス州交通省と北部テキサス
101
有料道路公社(NTTA)との間で締結。
2007 年 2 月、テキサス州交通委員会は、2番目の有料コンセッション契約、すなわち今
回は北部ダラス地域におけるSH121プロジェクト(完成した区間及び今後完成される延
伸区間)に関するコンセッション契約の付与を承認した。同委員会は、Cintra が率いるコ
ンソーシアムを選定した。同コンソーシアムは、前払いのコンセッションの支払として21
億ドル、延伸区間の建設に5億6千万ドル、今後49年間のリース料に7億ドル、そして
運営及び維持のために17億ドルを支払うことに合意していた。テキサス州は、生み出さ
れた当初収入を、その地域における他の道路プロジェクトの資金のために使うことを意
図していた。しかしながら、同年3月に、州交通省は、ダラス北部有料道路及びジョー
ジ・ブッシュ大統領ターンパイクを運営する北部テキサス有料道路公社(NTTA)がSH
121の建設及び運営に関する代替的な提案を提出することができるように、コンセッショ
ン契約の署名を遅らせることに合意した。同公社(NTTA)は、州交通省に33億ドル、す
なわち前払いの支払として25億ドル及びリース期間にわたる支払として8億3,300万ド
ルを提供する競合提案を作成した。2007 年 8 月 23 日、テキサス州交通委員会は、SH
121の開発に関する Cintra との総合開発契約を撤回した。2007 年 10 月 18 日、州交通
省は、北部テキサス有料道路公社(NTTA)との間でSH121の開発に関する有料道路
契約を締結した。
北部テキサス有料道路公社(NTTA)と州交通省(TxDOT)との契約の全文は、次から
ダウンロードして入手できる。
http://www.dallasnews.com/sharedcontent/dws/img/11-07/1109Project-Agreement-1
21.pdf
SH-130第5・第6区 S H - 1 3 0 第 5 ・ 第 6 区 間 に 関 す る 施 設 コ ン セ ッ シ ョ ン 契 約 (Facility Concession
間
Agreement)。テキサス州交通省とSH130コンセッション会社(SH130 Concession
Company, LLC)との間で締結。
この契約は、トランス・テキサス・コリダー(Trans Texas Corridor)プログラムのもとで行わ
れたテキサス州で最初の有料道路コンセッション契約であり、過去10年間で最初の米
国における新規有料道路コンセッション契約である。同契約は、サンアントニオとオース
チン間の41マイルの新規(グリーンフィールド)有料道路に関するもので、Cintra-Zachry
と交渉された。民間の投資額は13億ドルで、その中には2,500万ドルの前払いの支払
を含み、これはオースチン・サンアントニオ地域における他のプロジェクトのために使わ
れる予定である。また、州に今後50年間の料金収入の一部を分配することとしており、
その金額は概ね16億ドルと見込まれる。50年間の総合開発契約は、設計・建設・資金
調達・運営・維持(DBFOM)契約である。
次からダウンロードして入手できる。
http://www.dot.state.tx.us/services/texas_turnpike_authority/sh130_info.htm
IH-635
IH-635管理レーン・プロジェクトに関する総合開発。テキサス州交通省と(この調達は
まだ手続中の段階)との間。
ダラスにおける10億ドル超のIH-635管理レーン・プロジェクトは、管理レーンの建設、
一般目的レーンの再建設、新規の側道又は既存の側道の再建設、必要な料金収受施
設の設置、料金収受運営の確立、そしてダラス郡における概ね25マイルのIH635及
びIH35E路線を運営・維持により構成される。州交通省(TxDOT)は、同プロジェクトを
支援するため、最大7億ドルの公共資金を利用できる。2007 年 9 月、州交通省(TxDO
T)は、選定されたチーム、すなわち Dragados/Zachry、Cintra 及び Fluor/Transurban に
対して提案の募集(RFP)を行った。提案は、[2008 年 8 月]に提出される見込み。さらな
る情報は、次で入手できる。
102
http://www.txdot.gov/services/texas_turnpike_authority/i635_proposal.htm
北タラント高速道路
北タラント高速道路プロジェクトは、フォートワース地域における概ね36マイルの管理レ
ーン、一般目的レーンの追加及び側道を含むものである。IH-820に沿った最初の区
間は、6億ドル以上と見積もられており、コンセッション・プロジェクトとして提案されてい
る。当初区間に関するコンセッション契約に加えて、入札に成功した提案者には、プロ
ジェクトの残りの区間に関する開発前契約が付与される予定である。州交通省(TxDO
T)は、2006 年 12 月に資格申請の募集(RFQ)を行い、2007 年 5 月に4チームを選定し
た。2008 年 3 月に提案の募集(RFP)が行われた。
ダレス・グリーンウェイ
ダレス・グリーンウェイは、1988 年バージニア州高速道路会社法に基づき建設された民
間所有の有料道路であり、同法によりバージニア州公益企業委員会(SCC)による規制
を受けている。
同法は、次で入手できる。
http://leg1.state.va.us/cgi-bin/legp504.exe?000+cod+TOC5600000002000000000000
0
最新の公益企業委員会(SCC)による料金調整に関する情報は、次で入手できる。
http://scc.virginia.gov/newsrel/e_dulgren_07.aspx
I-495HOTレーン
バージニア州プロジェクトにおけるR495HOTレーンに関する変更総合契約(Amended
and Restated Comprehensive Agreement Relating to the Route 495 HOT Lanes in
Virginia Project)。バージニア州交通省と首都環状高速道路会社(Capital Beltway
Express, LLC)との間で締結。
インターステート495/首都環状道路(Capital Beltway)HOTレーン・プロジェクトは、スプ
リングフィールドのインターチェンジからダレス有料道路の直北までの区間の双方向そ
れぞれに、新たに2車線のHOV/バス/HOTレーンを追加する予定である。HOV-3
[訳注: 3人以上が乗車した車]、オートバイ、バス及び緊急車両は、無料でHOV/バス/
HOTレーンを利用できる。料金は需要に基づいて設定され、混雑課金(congestion
pricing)とも呼ばれる。料金は、HOV/バス/HOTレーンにおける車両数を管理し、混
雑を緩和するために、リアルタイムの交通状態に応じて、1日を通じて変化する。この総
合契約のもとで、州交通省(VDOT)が当該レーンを所有及び監督し、
Fluor-Transurban が当該レーンを建設及び運営する予定である。
次からダウンロードして入手できる。
http://www.virginiadot.org/projects/resources/ARCA_with_ExhibitA-Defintions.pdf
SR-91
SR91中央部改良に関する開発フランチャイズ契約(Development Franchise Agreement
for the State Route 91 Median Improvements)。カリフォルニア民間交通会社(California
Private Transportation Corporation)とカリフォルニア州交通省との間で締結。
カリフォルニア民間交通会社及びGranite建設会社は、SR91HOTレーン・プロジェクト
に関する5千万ドルのデザインビルド契約に参加した。このプロジェクトは、合衆国にお
ける最初の完全自動化された有料道路であり、PPP法(AB680)に基づき、カリフォルニ
ア州交通省とのフランチャイズ契約によって認められたものである。
このプロジェクトは、リバーサイド郡からSR55インターチェンジまでのSR91の中央部
に、関連の構造物、設備及びシステムを含めた4車線を建設するものであった。契約者
の設計者は、同地域の既存のHOVレーン100%の設計を自動化された有料道路の設
計に転換した。同プロジェクトは、契約上の完了期限よりも前の 1996 年に完成し、有料
道路として現在も運営されている。2002 年 4 月、オレンジ郡交通公社(OCTA)は、この
民間有料道路プロジェクトを2億750万ドルで買収することの合意に達した。同公社(O
103
CTA)は、2003 年 1 月 3 日に、同有料道路の所有権を取得した。
この契約に関するさらなる情報は、次で入手できる。
http://www.innovativefinance.org/projects/highways/91.asp
SR-125
このプロジェクトは、革新的PPPを通じて可能となったもので、サンディエゴの3番目の
南北高速道路路線のミッシング・リンクを完成させ、メキシコ国境付近のSR905からスイ
ートウォーター貯水池付近のSR54まで12.5マイルの新たな高速道路路線を提供する
ものである。このサウスベイ高速道路は、サンディエゴで唯一の商業通関地と地域の高
速道路ネットワークを接続する。コンセッショネアに提供された1億4千万ドルのTIFIA
融資は、民間有料道路開発に提供された最初のものである。期間38年の融資は、30
年国債と等しい借入れコストでの固定レートである。このプロジェクトは、競争入札(最善
価値)のデザインビルド調達手続を用いており、そこでは、それぞれの提案者に同じ設
計者、設計下請契約及び設計価格が指示されていた。設計者は、プロジェクト事業主
体の関連会社によって構成されたジョイントベンチャーであった。
ニック・アーム橋梁
ニック・アーム橋梁プロジェクトは、ニック・アーム湾を渡ってアンカレッジ港地域とマッケ
ンジー港地域を結ぶ約2マイルの有料橋梁と概ね18マイルの関連する接続道路その
他の道路として計画されている。概ね1億2,900万ドルの公共資金が、このプロジェクト
に割り当てられている。総建設費は、4億ドルから6億ドルと見積もられている。2007 年 4
月、ニック・アーム橋梁有料公社(KABATA)は、Macquarie が率いるチームと Bouygues
が率いるチームの2チームを選定した。このプロジェクトは、現在、保留されている。
104
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