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「反重力 浮遊|時空旅行|パラレル・ワールド」展 報告書

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「反重力 浮遊|時空旅行|パラレル・ワールド」展 報告書
資料1
「反重力 浮遊|時空旅行|パラレル・ワールド 」展 報告書
平成26年 2月 12日
1 事業概要
1-1 展覧会概要
反重力とは、物質・物体に関わる重力を無効にしたり、調節したりする技術のことです。現在
の物理学では理論的に不可能とされており、その多くは SF作品に宇宙飛行やテレポーテー
ション、空中都市の原理として登場します。本展では、加速度的に非物質化していく現在の社
会を反映し、私たちの身体や生活を規定してきた枠から逃れるものとして、「反重力」という
言葉を掲げます。本展の作品を通じて、身体から解放されるような軽やかな空間性を感じ、世
界を巨視的な視点で眺めて地上の価値観から離れ、またミクロとマクロ 、拡張と収縮が入れ子
状に展開する構造を示して、宇宙的な視座を持つことを目指します。空中都市や宇宙飛行は、
はるか昔から人間のユートピアに対する憧憬を誘ってきました。これまでの人間の生活を規定
していたものから解放されるとき、それは希望に繋がるのでしようか、それとも絶望に向かう
のでしょうか。「反重力」について考えることは、現代のユートピアを考えることにも繋がる
でしよう。
[展覧会名]
[会
期]
[休 館 日]
[開館時間]
[会
場]
反重力 浮遊|時空旅行|パラレル・ワールド
2013 年 9 月 14 日[土]-12 月 24 日[火]【92 日間】
月曜日[9 月 16 日、9 月 23 日、10 月 14 日、11 月 4 日、12 月 23 日は開館]
午前 10 時-午後 5 時 30 分[入場は 5 時まで]※10/12、10/13、10/14 は午後 8 時まで開館
豊田市美術館 展示室 1,2,3,4,8,庭
[主
催]
豊田市美術館、テレビ朝日、メ~テレ
[共
催]
[後
援]
アルゼンチン共和国大使館
[協
力]
NECディスプレイソリューションズ、ステラ株式会社、有限会社落合製作所
朝日新聞社
[特別連携]
あいちトリエンナーレ実行委員会
[メンバーシップ]
[観 覧 料]
トヨタ自動車株式会社
一般 1000 円[800 円] 高校・大学生 800 円[600 円]
[ ]内は前売り及び 20 名以上の団体料金
中学生以下、市内高校生、障がい者及び市内 75 歳以上は無料(要証明)
1
[関連事業]
■ レクチャー「重力とは何か」
大栗博司(物理学者[素粒子論]/カリフォルニア工科大学カブリ冠教授、東京大学カブ
リ数物連携宇宙研究機構主任研究員)
9 月 22 日(日) 午後 2:00-3:30
美術館講堂(172 席)
■ 鼎談「建築に反重力は可能か」
青木淳(建築家)×五十嵐太郎(建築史家/あいちトリエンナーレ 2013 芸術監督)×中村
竜治(建築家/出品作家)
10 月 20 日(日) 午後 2:00-4:00
美術館講堂(172 席)
■ トーク「地上の生の光景」
内藤礼(出品作家)×椹木野衣(美術評論家)×能勢陽子(当館学芸員)
12 月 1 日(日) 午後 2:00-4:00
美術館講堂(172 席)
■ 担当学芸員によるスライドレクチャー
9 月 23 日(月・祝)、12 月 15 日(日) いずれも午後 3:00-4:00
美術館講堂(172 席)
■ 映画上映会
①
9 月 28 日(土) 「2001年宇宙の旅」(スタンリー・キューブリック監督、1968 年、141 分)
② 11 月 30 日(土) 「惑星ソラリス」(アンドレイ・タルコフスキー監督、1972 年、165 分)
*いずれも午後 2:00-5:00 美術館講堂(172 席)
*担当学芸員によるミニレクチャー付き
■ 担当学芸員によるギャラリートーク
10 月 13 日(日)、10 月 26 日(土)、10 月 31 日(木)、11 月 7 日(木)、11 月 9 日(土)
11 月 14 日(木)、11 月 21 日(木)、11 月 28 日(木)、12 月 5 日(木)、12 月 12 日(木)
*いずれも午後 3:00-4:00
■ 作品ガイドボランティアによるギャラリーツアー
木曜日を除く毎日午後 2 時から(約 1 時間) 土、日、祝日は午前 11 時と午後 2 時から
■ 反重力アワード
展覧会会場風景の撮影データをインターネットで投稿してもらい、優秀作品等を表彰
[印 刷 物]
ポスター:B 1、B2
2
チラシ :A4
ギャラリーガイド:A3二つ折り
もっと簡単ガイド:A3二つ折り
[広告宣伝]
◇新聞広告
朝日新聞 朝刊 9/8
3段
9/10 5 段
10/31 5 段
10/31 2 段
11/3,8,13,21 2 段
12/5,15,17,18 2 段
夕刊 11/7,18,20 2 段
11/11 5 段
12/3,13,16,17 2 段
◇テレビ朝日広告
テレビ朝日番組プロモーション 15 秒
9/14・20・21・28,10/4・5・12,12/20
テレビ朝日番組プロモーション 30 秒
11/30
テレビ朝日番組プロモーション 120 秒
12/6
テレビ朝日番組プロモーション 240 秒
11/1
テレビ朝日番組プロモーション
10/7 イベントガイド下段、10/18 ゴーちゃん。Girls TV
その他プロモーション
テレビ朝日 HP 内での告知~12/24
テレビ朝日本社内ポスター掲示~12/24
テレビ朝日本社内アトリウムにてスポット放映~12/24
朝日新聞イベントガイド 11/4 朝刊
おかずのクッキング インフォページ内告知 11/21 発売号
テレビ朝日深夜・早朝スポット(計 44 本)
9 月 9 日週 5 本、16 日週 5 本
10 月 7 日週 5 本、14 日週 5 本、21 日週 5 本、28 日週 5 本
11 月 4 日週 5 本、18 日週 7 本
3
12 月 2 日週 3 本、9 日週 2 本、16 日週 2 本
テレビ朝日昼帯スポット(計 2 本)
11 月 23 日 1 本、30 日 1 本
◇交通広告
地下鉄鶴舞線窓ステッカー広告
9 月 2 日~12 月 24 日
地下鉄鶴舞線窓B3広告
9 月 2 日~12 月 24 日
豊田市駅駅貼広告
9 月 2 日~12 月 24 日
新豊田駅駅貼広告
9 月 2 日~12 月 24 日
三河豊田駅貼広告
9 月 2 日~12 月 24 日
金山総合駅懸垂幕
10 月 1 日~15 日
12 月 1 日~24 日
◇広報誌
『広報とよた』
9 月 1 日号、12 月 1 日号
[学芸担当]
能勢陽子、北川智昭
[庶務担当]
阿部吉朗、平尾祐未
[ホームページ]
鈴木俊晴
4
2 実績
2-1 入場者・参加者
◆観覧者総数
区
分
「反重力展」
○有料観覧者数
17,609人
内訳/一般
12,929人
高大生
1,757人
(うち友の会)
(580人)
鑑賞券
2,923人
○無料観覧者数
4,969人
内訳/小・中学生(引率含む)
1,241人
市内高校生
160人
障がい・高齢者
748人
県芸学生・職員
194人
優待・招待等
合
※ 1日あたり観覧者数
2,626人
計
22,578人
245人/日(会期92日)
◆出版物売上(会期中)
図録『反重力 | ANTIGRAVITY 』
309冊
2-2 関連事業参加人数
合計 696人
・ レクチャー「重力とはなにか」
9 月 22 日(日)160人
・ 鼎談「建築に反重力は可能か」 10 月 20 日(日)120人
・ トーク「地上の生の光景」
12 月 1 日(日)200人
・ 担当学芸員によるスライドレクチャー
①
9 月 23 日(月・祝)
20人
② 12 月 15 日(日)
20人
・ 映画上映会
①
9 月 28 日(土)
38人
② 11 月 30 日(土)
45人
・ 担当学芸員によるギャラリートーク
① 10 月 13 日(日)
25人
② 10 月 26 日(土)
15人
③ 10 月 31 日(木)
5人
④ 11 月 7 日(木)
5人
5
⑤ 11 月 9 日(土)
15人
⑥ 11 月 14 日(木)
3人
⑦ 11 月 21 日(木)
5人
⑧ 11 月 28 日(木)
5人
⑨ 12 月 5 日(木)
5人
⑩ 12 月 12 日(木)
10人
2-3 教育機関、団体、視察受け入れ
日付
9 月 17 日
9 月 19 日
9 月 23 日
9 月 26 日
10 月 12 日
10 月 12 日
10 月 14 日
10 月 15 日
10 月 17 日
10 月 18 日
10 月 18 日
10 月 24 日
10 月 25 日
10 月 25 日
10 月 29 日
10 月 30 日
11 月 11 日
11 月 12 日
11 月 12 日
11 月 13 日
11 月 13 日
11 月 16 日
11 月 16 日
11 月 21 日
11 月 21 日
11 月 22 日
11 月 23 日
11 月 23 日
11 月 23 日
11 月 28 日
11 月 30 日
12 月 1 日
曜
火
木
月
木
土
土
月
火
木
金
金
木
金
金
火
水
月
火
火
水
水
土
土
木
木
金
土
土
土
木
土
日
合計 38団体
団 体 名
1,178人
ナイトツアー
ルネサンス豊田高等学校
ルネサンス豊田高等学校
小牧市美術協会
中京大学
ナイトツアー
ナイトツアー
ルネサンス豊田高等学校
飯野海運㈱
逢妻中ありがとう学級
まちなかナイトツアー
ナイトツアー(トヨタ自動車)
暖
まちなかナイトツアー
東旭 09KN-1025
豊橋市社会教育審議会
せいしょうこども園
石川工業高等専門学校 建築学科
愛知県小中学校長会学校経営委員会
西尾市身体障害者福祉協会
浜松日建工科専門学校
名古屋造形大学 建築・インテリアデザインコース
名古屋市美術館友の会
はしたにD&C
豊田市子ども発達センター たんぽぽ
南山国際中学校
松平交流館
京都市立銅駝美術工芸高校PTA
小川珊鶴の会
ナイトツアー(市区画整理第二課)
arte colore(アルテコローレ)
アーキテックツアージャパン
6
人数
16 人
19 人
15 人
38 人
20 人
35 人
40 人
13 人
11 人
16 人
20 人
63 人
10 人
15 人
17 人
9人
76 人
43 人
18 人
31 人
21 人
16 人
13 人
4人
25 人
44 人
19 人
32 人
200 人
13 人
15 人
11 人
12 月 7 日
12 月 7 日
12 月 14 日
12 月 18 日
12 月 22 日
12 月 24 日
土
土
土
水
日
火
名古屋芸術大学 人間発達部
名古屋造形大学
小島プレス
豊田市高年大学 文化工芸学科
愛知県立芸術大学
美里中学校 美術部
合
計
10 人
33 人
20 人
36 人
120 人
21 人
1,178 人
2-4 マスコミ等
◇新聞(展評・紹介記事)
新三河タイムス 8 月 29 日(鬼頭直基、記者)
朝日新聞・三河版
朝刊
9 月 16 日(小渋晴子、記者)
朝日新聞
夕刊 9 月 25 日(美博なう)
朝日新聞
夕刊
11 月 20 日(大西若人、美術記者)
毎日新聞
朝刊
12 月 18 日(山田泰生、記者)
◇美術専門誌
月刊ギャラリー
9 月号
美術手帖
11 月号(岡部あおみ、美術批評)
建築ジャーナル
10 月号
月刊ケトル Vol.15
10 月号(小崎哲哉、編集者)
web マガジン artscape
9 月 1 日号(能勢陽子、担当学芸員)
web マガジン artscape
11 月 15 日号(五十嵐太郎、建築史家)
REAR
31 号(西川美穂子、学芸員)
◇雑誌・地域誌
web マガジン ArtiT
9 月 19 日号
産業新潮
10 月号
建築ジャーナル
10 月号
矢作新報(かとうさとる)
10 月 18 日号
Berry coo
VOL.49
月刊ぷらざ
11 月号
ぴあ×starcat
11 月号
NYLON
12 月号
JAPAN
月刊ケリー
まちなか宣伝 PRESS
ブレーン
12 月号
秋号 VOL.07
VOL.640
装苑
11 月号
SODA
11 月号
7
デートスペシャルなび
冬号
アートフィールドウォーキングガイド 2013
VOL.9
(公益財団法人名古屋国際センター)名古屋カレンダー英語版
11月号
◇テレビ・ラジオ
ZIP FM
◇ウェブ
ART i T
Parking Magazine
Car&More
All About
JDN
LIVERARY
2-5 観覧者アンケート(来館者満足度
主な項目
回答数198)
(満足+やや満足)(普通)(やや不満+不満)(無回答)
展示内容
80
%
14
%
2
%
4
%
展示空間
81
%
12
%
3
%
4
%
ポスター、チラシ デザイン
69
%
23
%
3
%
5
%
観覧料金
47
%
41
%
4
%
8
%
図録の内容
35
%
33
%
5
%
27
%
図録の価格
25
%
36
%
6
%
33
%
感銘や刺激
88
%
―
4
%
8
%
他者に薦めたい
81
%
―
10
%
9
%
3 検証
(学芸担当者)
本展は、「反重力」という言葉を軸に、通常の身体感や価値観から離れて軽やかな空
間性を味わい、広大な時空間の中で生や時間についての瞑想的な意識を得るまで、多様
な作品を通して体感し、思考してもらうことを目指した。「反重力」という用語は宇宙
物理学から取っているが、誰もが知る重力に「反」の語が付いたものなので、耳慣れな
い言葉でも、人々の浮遊や未知のものに対するイマジネーションを様々に掻き立てるだ
ろうと考えた。「反重力」は、原始の宇宙にインフレーションを起こし、現在も宇宙を
加速膨張させている。もしそれを操る技術が見つかれば、エネルギー問題を解決し、時
空旅行や他の宇宙への移動さえ可能にするといわれている。しかしこの「反重力」は、
遥か未来に宇宙を広げ過ぎて温度を奪い、終焉へと導くことになる。この未来に向けた
8
夢と怖れのアンビバレンツな感情を含む言葉を掲げて、インターネットや衛星技術の発
達などで加速度的に非物質化していく社会を反映し、またモダニズム芸術の重要なター
ムとしての「反重力」や「非物質」の行き着く先をみせるものとして、展覧会を構築し
た。
出品作家は16名。1920年代から1980年代生まれの幅広い年齢層に属し、国
内作家が13名、海外作家が3名である。そのうち5作家は、当館のコレクションから
出品している。展覧会では、地方で行う単独開催の現代美術展として、なるべく当館の
建築空間に合わせた新作を依頼し、ここでしか観られないものになるよう努めた。1階
の企画展示室は、誰もが楽しめるような体感型やアイディア型の作品を展示し、そして
光溢れる上階に向かうと、庭も含めて、非物質的な素材により自らの身体感覚から解放
され、繊細で開放的な空間体験を味わうことのできる作品を展示した。そして最後に、
物質性を完全に拒否するストイックでコンセプチュアルな作品により、時間と空間に概
念的・瞑想的に対峙してもらった。それぞれの作品が、展覧会のサブタイトル「浮遊|
時空旅行|パラレルワールド」と関連しつつ、全体として有機的な展開を作り出すよう
構成した。イントロダクションとしてのジルビナス・ケンピナス、そしてカーステン・
ヘラー、レアンドロ・エルリッヒは「浮遊」、やくしまるえつこ、奥村雄樹は「時空旅
行」と「パラレルワールド」、中谷芙二子、内藤礼は非物質的なもので満たされた軽や
かな空間性、若手の平川紀道と1920年代生まれの河原温・松澤宥・毛利武士郎は量
子物理学的な時空間を意識させる「時空旅行」「パラレルワールド」というように。ま
た本展において重要であったのは、「反重力」といいながらむしろ地上の重力環境の掛
け替えのなさを示すことであり、中原浩大+井上明彦(無重力⇔重力)や中村竜治(軽
やかな空間線⇔構造としての重力)らの作品は、重力の重要性を語るものであった。ま
た、企画展示室と上階の展示室の中心には、中村竜治、内藤礼の作品によりその中央に
空や虚の空間を置くようにし、全体として見えないもので満たされているような空間性
を現出することを目指した。
展覧会関連イベントとしては、著書『重力とは何か』で知られる物理学者・大栗博司
氏の講演会、建築家・青木淳氏、建築史家であいちトリエンナーレ2013の芸術監督
五十嵐太郎氏、出品作家であり建築家である中村竜治氏の建築鼎談、批評家の椹木野衣
氏、出品作家の内藤礼氏、担当学芸員の美術鼎談と、物理・建築・美術の各分野のトー
クイベントを開催した。また、スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」、
アンドレイ・タルコフスキーの「惑星ソラリス」を上映し、その後地上の生の相対化や
人類の進歩というテーマで、展覧会の内容に繋がるミニレクチャーを行った。
本展は、現代美術展としては多い 22,578 人の来場者を得た。これには、あいちトリ
エンナーレの特別連携企画として相互広報効果があったこと、共催のテレビ朝日がテレ
ビコマーシャルを流し、番組の中で特集を組んだことが理由として考えられる。また体
験型の作品が含まれていたこと、ほぼ写真撮影可にしていたので SNS などで情報が広
まったこともあった。また美術作家ばかりでなく、建築家や音楽家にも参加してもらっ
たことで、潜在的に美術愛好者となる可能性を秘めた層に足を運んでもらえた。本展で
9
は、時代や美術の動向を反映し、さらに来場者に深遠な問いを投げかけるテーマを設定
し、展覧会を構築することができたのではないかと考えている。
(庶務担当者)
「反重力」という言葉を聴いて、まず、浮かんだのは、子供の頃、テレビで見た「スー
パージェッター」というアニメーションの主人公の使用するアイテムのひとつである、
「反重力ベルト」というものがある。これは、主人公がそのアイテムを使用すると重力
を中和し、空中を飛ぶことが出来るものであった。その光景は衝撃的で、今でも思い出
す。そして、この展覧会のコンセプトそのものだと感じた。また、実際にこの展覧会を
見たときの、面白さ、現代美術ってこんなにも人を楽しませることができる一面もある
のだということに気づかされた。また、この展覧会は、「カルペ・ディエム」展に引き
続き株式会社テレビ朝日と実行委員会を組む形で、運営を行った。その影響か、来観者
が2万人を超し、その中でも県外の方の来場者が多いということが特徴となった展覧会
であり、株式会社テレビ朝日の力も大きかったものではないかと思う。
そして、もうひとつ特徴的だったのは、大半の作品がカメラでの撮影が可能であった
ことから「反重力アワード」と銘打って、反重力展の会場内を撮影したデータをインター
ネット上から投稿してもらい、また、閲覧できるようにし、反重力展の盛り上げに一役
かったことである。
このアワードでは「まちなか宣伝会議」とも連携し、応募作品の掲出を中心市街地で
行うことができ、優秀作品の表彰に副賞の提供を受けるなど、これまでにない共働がで
きたと考えている。
(総括)
本年がちょうど、あいちトリエンナーレの開催の年ということもあって、その相乗効
果をねらって、フランシス・ベーコン展とともにその会期に合わせ企画されたものであ
る。幸いトリエンナーレからは企画の趣旨も合うということで特別連携企画とされ、広
報面での協力は得たものの、実際の相乗効果は、トリエンナーレ自体が、岡崎会場も増
え、広域に拡がったため、豊田まで来ていたかどうかは掴みきれていない。
作品は全体に大規模な作品が多く、出品数が少ないわりには美術館の展示室のほとん
どを占有しての大型企画展となった。美術館の展覧会としてもフランシス・ベーコン展
に次ぐとはいえ、予算規模は大きいものである。しかし、今回は16作家中5作家を当
館のコレクションで構成した。それは予算的な軽減のためもあるが、特に大型の収蔵品
の活用としても望ましいものである。ただし海外出張しながらも、作品の経費的な側面
等で、あきらめた作家もあり、さらに事前の計画的な企画性が求められる。
内容的には、「反重力」というテーマの下に参加作家もミユージシャン、建築家等も
入っていて、また美術のフィールドの作家ではあるが、中原浩大+井上明彦やカーステ
10
ン・ヘラー、奥村雄樹のように外延的な志向性を持った作家が選ばれていた。ただし、
会場の二階三階のフロアーの内籐礼、河原温、松澤宥、毛利武士郎のようなベテランの
求心的な思考を見せながらも、美術の底を破り、大きな時空間への想像力を示す作家が、
それにつながっていた。体感的なエンターテイメント的な作品から、最後の沈思の空間
までの流れの構成が感じられたことが興味深い。
関連企画としては、会期が三ヶ月以上ということもあって、若干中弛みも見せたが、
会期中10回以上、レクチャー、鼎談、映画上映等様々に立体的に開催した。特に科学、
建築等にも関わる本展らしく、それぞれの専門家によるトークを行い、好評を得た。た
だし、他ジャンルの表現者がクロスする具体的場は設けず、ただ展観全体によってこの
テーマを示したことになったことは惜しまれる。
反響としてはテレビ朝日の CM(首都圏のみ)のほか、NHK でも告知が出た他、新聞、
雑誌に紹介・批評が掲出された。
結果として、最終的に22,566人の入場者となった。目標の25,000人には
及ばないものの、現代美術展で実績としてはほぼ成功していたのではないか。これは学
芸担当が触れていたように、当館では初めてではないにしても、作品の大半が写真撮影
可にしていたので来場者が SNS などで情報を広めてくれたことも大きかったと思われ
る。他館の現代展ではむしろ会場に表示したりしてより積極的に促して観客のクチコミ
的な波及効果を得ているものもあり、当館でも今後検討すべきことであると思われる。
また会期中、夜間開館も含め、ミュージアムフェスタを実施して相乗効果が出た側面が
あった。
また今回の受け入れを見ると、愛知県内のほとんどの美大が団体で来館していること
が分かる。さらにナイトツアーが7回開催されていて、ある程度の定着を見たことがわ
かる。
ちなみに内籐作品は自然光による環境のため、日が短くなった季節では4時過ぎには
ほとんど見えなくなっていたし、さらにナイトツアー、夜間開館では十全な鑑賞はあき
らめざるを得なかったことは、作品の性格上仕方なかったが、反省点は観客への事前の
説明をする配慮の問題である。
またカタログは一般書籍の単行本として制作したが、開催後直ぐに撮影したものの、
館内での販売は遅れ、11/20になってしまった(会期内での販売数310部)。反省
材料としたい。
11
資料2
2014(H26)年度 展覧会計画案 3月
休
館
日
4月
5月
6月
4/7[月]-4/21[月]
宮脇晴
9月
ュー
別
展
11月
12月
1月
2月
フォートリエ(仮)
7/20[日]-9/15[月・祝]
回顧展(西洋近代美術)
共同企画-巡回
主催=中日新聞、他
15,000人
(夏休み企画)
7/19[土]-8/17[日]
夏休み子どものプロジェクト
自主企画-単独
5,000人
ル
10月
9/16[火]-2015/10/9[金]
聖なる春│世紀転換期の
ドイツ語圏の雑誌デザイン(仮)
7/12[土]-9/15[月・祝]
テーマ展(西洋近代デザイン)
研究機関との共同企画-単独
5,000人
展
覧
会
ス 常
ケ 設
ジ 特
髙
橋
節
郎
館
8月
6/30[月]-7/11[金]
荒木経惟 往生写集:
顔・空景・道(仮)
4月22日[火]-6月29日[日]
個展(国内近代美術)
自主企画-単独
主催=テレビ朝日、メ~テレ、朝日新聞
25,000人
企
画
展
常
設
展
7月
第Ⅰ期常設展 4/19[土]-6/29[日]
第Ⅱ期常設展 7/12[土]-9/15[月・祝]
第Ⅰ期常設展 4/19[土]-6/29[日]
生誕百年記念 髙橋節郎展(仮)
7/12[土]-9/15[月・祝]
5,000人
山口啓介-カセットプラント(仮)
10/1[木]-2015/3/31[火]
交流館、小中学校プロジェクト(現代アート)
自主企画-単独
3月
4月
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