...

(各事業の目標達成状況) (1)DME大型ディーゼルエンジン発電

by user

on
Category: Documents
21

views

Report

Comments

Transcript

(各事業の目標達成状況) (1)DME大型ディーゼルエンジン発電
資料5−付属資料
(各事業の目標達成状況)
(1)DME大型ディーゼルエンジン発電システムの開発
① 目的
DMEはセタン価が高くディーゼルエンジンでの燃焼に適しており、特に排ガス性状の
大幅な改善が期待できる。今後ますます普及すると見込まれる自家用・事業用分散型発電
設備を適用対象として、中∼大型設備の中心規模である1,000∼5,000kW級D
MEディーゼルエンジンを開発し、効率と環境適合性を両立させたDME分散発電システ
ムの早期実用化を図る。
② 概要
世界的にも例のない大型・中速DMEディーゼルエンジン(1,250kWクラス)を
試作し、性能評価と長期耐久試験を行う。併せて、DME国内長距離輸送、DME燃料添
加剤選定、機関潤滑油開発、DMEの選択還元性を利用した脱硝触媒開発など、DMEデ
ィーゼルエンジン発電システムの実用化に必要な一連の要素試験および技術開発を総合的
に実施する。
③ 機器開発目標
(a) 発電容量
・ 1,000∼5,000kWクラス(1,250kWクラス試作)
(b) 機関熱効率
・ 既存燃料と同程度(LHV基準42∼45%)
(c) 排ガスNOx 濃度
・ 110ppm(13%O2)以下
④ 目標達成状況(平成19年3月時点)
(a) エンジン燃焼技術の開発
・数値解析および可視化解析により、DMEディーゼル機関設計の最適条件を確立し
た。
(b) 燃料噴射系の開発
・燃料噴射系部品を設計・製作し、要素試験装置および実機に組み込んで機能及び耐
久性の確認を行った結果、十分な実用性が確認された。
(c) DME 燃料添加剤の開発
・DME の潤滑性を向上させる新添加剤を試作し、潤滑性能、安定性、燃焼適合性など
総合的な評価の結果、満足できる性能を達成した。
(d) 実証発電設備設計製作
・世界でも例を見ない1250kW実証発電設備を設計し、横浜市鶴見区に設置した。
(e) 実証発電設備運転研究
・約 1000 時間に及ぶ運転試験を通じて、排ガス NOx 濃度、熱効率、耐久性の全ての面
において、目標を上回る画期的性能を達成した。
(f) 計画と対比した目標の達成度
・数値目標達成。
1
2
(2)DME焚きガスタービン低NOx 燃焼器
① 目的
従来の天然ガス焚きと同等もしくは優れたDME焚き低NOx 燃焼機器の開発を行い、高効率な
コンバインドサイクルに適用できることを検証し、DME燃料の普及に寄与する。
② 概要
ガスタービンを対象として、DME燃料を効率良くかつ低公害で燃焼させるための条件を実機の
条件(圧力、空気温度)を再現できる基礎バーナで明らかにする。また、DMEに適した低NOx
バーナ用の予混合ノズルの開発を行い、実機運転での高い信頼性、運転性、安全性を検証するため
実機燃焼器を用いた実圧燃焼試験を行う。
③ 機器開発目標
従来の天然ガス焚きと同程度もしくは優れた低NOx 燃焼器の開発を行い、高効率なコンバイン
ドサイクルに適用できることを検証する。
④ 目標達成状況(平成16年7月時点)
(a) 実圧燃焼試験にて検証が完了
(b) 気化燃焼/液体燃焼での実圧燃焼性能確認を行い、DME燃料が高効率なコンバインドサイ
クルに適用できる目処を得た。今後は、DME ガスタービン事業者決定後、適用先の運用
を考慮した場合の排ガス性状、メタル温度、燃焼振動などの詳細な確認を行う。
3
4
(3)産業用重油焚きボイラのDME燃料転換システム
① 目的
DMEは産業用燃料として普及した後にディーゼルエンジンや民生機器等へ波及すると考えら
れ、産業用燃料としての利用技術を確立し需要創出を図ることは急務である。そこで、産業用重油
焚きボイラを簡易な改造でDME焚きに転換する技術を開発し、DMEの利用促進と既存ボイラの
クリーン化を目指す。
② 概要
産業用重油焚きボイラの燃料転換に伴う改造規模を最小とするDMEの液燃システムを開発す
る。併せて、燃料転換によるボイラ能力低下を改善する燃焼方式の開発、設計仕様の異なるボイラ
に対する炉内集熱パターンを予測する燃焼シミュレーション技術の開発、実ボイラでの実証試験な
ど実用化のための総合的な技術開発を行う。
③ 機器開発目標
既存の産業用重油焚きボイラの燃料をDMEに転換するための技術開発を目的とし、以下の技術
開発を行う。
・ 改造コストの低減のため、低圧液燃焼システムの開発(供給圧力3.0MPa 以下、ターンダ
ウン比1:3)
・ ボイラ性能の低下を最小限とする火炎輝度コントロール技術の開発
(転換に伴う輻射熱低下量の30%を回復できる輝炎燃焼技術)
・ 燃料転換時の集熱パターン変化を予測するDME燃焼シミュレータの開発
④ 目標達成状況(平成19年3月時点)
下記(a)∼(c)を通じて、当初の開発目標を達成した。
(a) 低圧液燃焼システム
・ DME液燃焼技術を確立し。既存の重油ボイラに適用して実証試験を行った。1 年間の長
期試験の結果、燃焼安定性、システムの安全性、耐久性、排ガスのクリーン化など、実用
化に必要な各要件を総合的に確認することができた。
・ ワイドレンジバーナの採用により、燃料圧力 3.0MPa 以内でターンダウン比 1:4 以上を実
現。目標値を上回る負荷調整範囲を確保した。
(b) 輻射伝熱量の改善
・ 独自のバーナ燃料孔構造により、DME の輝炎燃焼を実現した。これにより、最大で2割の輻
射伝熱向上効果が得られることを、実際のボイラで確認した。
(c) DME燃焼シミュレータの開発
・ 独自のDME燃焼モデル開発し、輻射伝熱も含めた集熱量予測を可能とした。当該モデルを実
際のボイラに適用し、実際の測定データと比較することで、モデル精度の立証するとともに、
モデル改善を図った。
5
産業用重油焚きボイラのDME燃料転換システムの開発成果
実施者:出光エンジニアリング(株)
輝炎燃焼
DME燃料供給設備
DME転換ボイラ
燃料ノズル構造
①液燃焼システム開発
→重油ボイラでの長期実証
従来燃焼
②輻射伝熱量の改善
→輝炎燃焼方式開発
DME貯槽/ボンベ
液体バーナ
重油ボイラ
DME液体ポンプ
③燃焼シミュレーション開発
→モデル構築、検証
炉筒(火炉)
1次空気
流入口
2次空気
流入口
煙管接続部
バーナスワラー部の拡大図
6
(4)DME・LPガス対応型超低NOx マルチボイラ
① 目的
DMEを燃料とするマルチボイラによる普及・促進と、環境制約を克服する超低NOx 化を合わ
せて進める技術として、従来の燃焼方式である燃焼室空間に水管群を配置した管巣燃焼技術を導入
し、DMEおよびLPガスにも適用可能なマルチボイラを開発する。
② 概要
目的達成のための最大のポイントは管巣燃焼技術の導入にあり、(1)DMEを主燃料とするマル
チバーナシステムの開発、(2)管巣燃焼による火炎冷却機能による低NOx 技術と伝熱、(3)大型マ
ルチボイラ設計基準の構築を進めることにある。
③ 機器開発目標
DME及びLPガスを燃料とするマルチボイラを開発する。指標として、蒸発量50t/h、NOx
値として、第1ステップ30ppm、最終ステップ10ppm 以下を目標。
④ 目標達成状況(平成17年6月時点)
(a) 平成14∼15年度の成果
・ DME燃料の燃焼特性試験を実施し、バーナ設計データの採取と、DMEバーナの開発
・ 1t/h マルチボイラの性能評価試験実施
・ 10t/h マルチボイラの設計・試作実施。NOx 目標の第1ステップが見えてきた。
(b) 平成16年度(最終年度)
・ バーナ低NOx 化の継続試験
1t/h マルチボイラにおいて、当初の目標であるNOx=10ppm 以下を達成。
・ 10t/h マルチボイラのフィールドテスト
DME燃料においてはNOx=10ppm 以下、LPG燃料においてはNOx=30ppm 以下
を達成(高負荷ではNOx 低減傾向より実現可能と判断)。
また、DME・LPGマルチバーナシステムが確立できた。
・ 50t/h マルチボイラの設計標準の作成
1t/h・10t/hJAFI マルチボイラ実証試験で得られた成果をベースに、JAFI ボイラの大
型化設計とシリーズ化を行った。
7
8
(5)DME化学再生発電システム
① 目的
ガスタービンの排ガスを熱源として燃料の水蒸気改質(吸熱反応)を行い、排熱を燃料エネルギ
ーに変換して発電効率の向上を図る化学再生サイクルについて、本事業では燃料として新たにDM
Eを適用し、発電効率向上と環境負荷低減を同時に達成し得る中小型発電システムを構築すること
を目的としている。
② 概要
システムのキー技術となる、加圧条件での水蒸気改質反応に対して、高いDME転化率とH2選
択率が得られ、ガスタービン排ガス温度域で使用可能な触媒を見出すため、改質基礎試験と改質加
圧試験を行い、触媒の改質特性を把握し、特性に合致したシステムの最適化検討を行う。更に、改
質器と燃焼器について要素試験を行い、設計の妥当性を検証する。また、DME化学再生発電シス
テムの実証試験を行い、システムとしての性能、運用性等を検証する。
③ 機器開発目標
システムのキー技術となる、加圧条件での水蒸気改質反応に対して、高いDME転化率とH2選
択率が得られ、ガスタービン排ガス温度域で使用可能な触媒を見出し、触媒の改質特性に合致した
システムの最適化検討を行って、主要構成機器である改質器と燃焼器に対して要素技術を確立し、
実証試験を行い、システムの妥当性を検証し、DME化学再生発電システムの実用化技術を確立す
る。
④ 目標達成状況(平成19年7月時点)
(a) 触媒調査
DME水蒸気改質反応に適した触媒を調査し、供試触媒を抽出した。
(b) 改質基礎試験
改質基礎試験装置について、触媒調査で得られた試験条件に基づき基本仕様を決定し、設計・
製作するとともに、供試触媒の中から化学再生発電システムに適した触媒を選別した。
(c) 加圧改質試験
改質基礎試験により選別した触媒に対して、実条件である加圧試験を行う加圧改質試験を設
計・製作するとともに、加圧試験を行なって、システム設計に必要な触媒特性データを取得し
た。
(d) システム検討
触媒の改質試験結果に基づてい、本システムに適したシステム構成の検討およびシステム性能
の予測を行なった。
(e) 要素試験
DME化学再生発電システムの開発課題である燃焼器と改質器に対して、要素技術を確立するため
に、要素試験装置の設計、製作を行い、要素試験を実施し、新規に設計した改質器の設計妥当性と
燃焼器の性能を確認した。
(f) 実証試験
要素試験で検証した改質器と燃焼器を組込んだ小型実証試験装置を設計、製作し、化学再生発電
システムとして試験運転を行い、安定的に運転でき、システムとして成立することを確認した。
9
DME化学再生発電システムの開発
新燃料
DME
水素リッチガス (排熱回収燃料)
圧縮機 or ポンプ
燃焼器
圧縮機
タービン
水蒸気
発電機
排ガス
蒸発器
空気
水素リッチ
低カロリーガス
燃焼器開発
【要素試験】
改質器
・最適触媒選定
【触媒調査研究、改質基礎試験】
・改質器最適設計
(高い排熱回収効率、コンパクト化)
【加圧改質試験、要素試験】
10
ポンプ
水
最適システム設計
実証機による全体システム検証
【システム検討、実証試験】
6.2
平成15年度採択テーマの概要
(1)DME仕様りん酸形燃料電池の開発
① 目的
りん酸形燃料電池の燃料として新たにDMEを適用し、DME燃料電池システムの検証を行うと
ともに、並行してりん酸形燃料電池用の最適改質触媒の選定を行う。
また、選定された触媒を用いて運転を行い、耐久テスト及び実用化の確認も行う。
② 概要
燃料電池システム開発において、DMEの物性の違いによるりん酸形燃料電池システムのマス&
ヒートバランスの見直しと、それに伴う構成機器類の仕様変更、制御ソフトの変更等を実施すると
ともに、DMEの侵食性に対して燃料供給設備を含めた使用部材の見直し、選定を実施する。燃料
改質器の触媒選定については、DMEを燃料とするりん酸形燃料電池の実例がないため、実機に充
てんする前にベンチスケール試験による検討を行う。これらに加え運用・保守点検方法についても
検討を行う。
③ 機器開発目標
・ 定格出力:200kW
・ 発電効率:38%(LHV)
④ 目標達成状況(平成18年3月時点)
新改質触媒(貴金属系DME用改質触媒)を用い、50∼200kWの出力運転試験を実施し、累
計運転時間
1744時間、累計発電量
・ 定格出力
234,100kWhに達し、目標性能を確認した。
200kWを達成した。
・ 定格出力時における最大発電効率38.5%を達成した。
・ 運転終了後、燃料電池本体、DMEと接触する機器の点検、特性試験を実施したが、異常は
認められず、DMEは燃料電池の原燃料として利用できることを確認した。
11
12
(2)自立型DME改質水素供給システム開発
① 目的
DMEを原燃料とし、システム内の動力を全てSOFC(固体酸化物形燃料電池)から、供給す
る自立型の水素供給システムを開発して、将来の水素供給システムとして適用できることを検証す
る。
② 概要
開発するシステムは、DME改質装置、SOFC及びPSA(ガス精製装置)で構成され、シス
テム内動力を全てSOFCから供給可能な自立型を想定し設計を行う。このコンセプトを評価する
ため、SOFCを除いたDME改質器及びPSA等からなる簡素化したシステムを設計・製作して
フィールド試験を実施。
フィールド試験及びSOFCの単セル試験装置等を用いた模擬試験等で得られるデータを用いて
全体システムのシミュレーションを行い、水素供給システムの検証を行う。
③ 機器開発目標
既存の水素供給システムの運用性等と同等以上の優位性を見通す。
④ 目標達成状況(平成18年3月時点)
(a) 性能試験
・各構成機器を連携した運転の中で、比較的プラントの変動要因の少ないオフガス処理モード
を中心に DME 転換率、水素回収率、各種機器効率等の重要指標を含む整定データを取得し、
その妥当性を検証した。
・SOFC が組込まれた全系システムを極力模擬した自立性確認試験モード運転を行い、本コ
ンセプトが実現可能であることを、フィールド試験にて確認した。
・WSS(週末停止)をベースとした連続運転試験を約 2 ヶ月に亘って実施し、625 時間の連続
運転を達成すると共に、全期間を通じて 1,100 時間を超える運用を行った。
(b) 全系システム評価
・フィールド試験データ並びに外部から与える数値を用いて全系シミュレーションを実施し、
仮想水素製造量 300Nm3/h の条件で自立性のコンセプトを確認した。
・本自立型 DME 改質水素供給システムと通常の外部熱・電源を用いた DME 改質水素供給
システムの正味プラント効率を比較し、前者は 58.3%、後者は 54.2 %であり、本システム
の優位性を示した。
13
14
(3)DME専用BOG回収スクリュー圧縮機の開発
① 目的
DME流通システム確立のため、海上輸送、受入基地、内陸輸送、中継基地等の一連の輸送・貯
蔵に必要なDME専用BOG回収スクリュー圧縮機を開発する。
② 概要
油冷式スクリュー圧縮機は、多くのガス圧縮機において実績を持つが、DME燃料等の溶媒性の
あるガスを圧縮する場合は、潤滑油中にガスが溶け込むことにより潤滑油粘度が低下し、軸受の異
常摩擦やメカニカルシールなどのシール材の膨潤、浸透による可燃性流体の漏洩が問題となる。本
事業では、それらの問題点を解決するとともに、DME燃料中へのオイル混入量を最小限とするD
ME専用BOG回収スクリュー圧縮機を開発する。
DME 専用 BOG 回収スクリュー圧縮機の全景
DME 専用 BOG 回収スクリュー圧縮機の全景
開発したシール構造
③ 機器開発目標
DME燃料中へのオイル混入量を最小限とするDME専用BOG回収スクリュー圧縮機の開発
・ すべり軸受の偏芯率を 0.75 以下に確保できる潤滑特性
・ フェールセーフ型メカニカルシールの開発
・ DMEガス中への潤滑油混入量の最小化(DMEガス中の潤滑油濃度 1wtppm 以下)
④ 目標達成状況(平成18年3月時点)
平成17年度に潤滑油へのガス溶解度を制限する潤滑システムの開発やフェールセーフ型軸シ
ールとシール材の開発及び製品中への油分濃度を最小化する技術を組み込んだシステムの運転研
究、実用規模を想定したシステムの検討を研究実施し以下の目標を達成した。
(a) すべり軸受の偏芯率 0.75 以下を達成した。
(b) DMEガス中の潤滑油濃度 1wtppm 以下を達成した。
15
Fly UP