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2012 年度春学期「刑法Ⅱ(各論)」講義に関する留意事項
2012 年度春学 期「刑法 II ( 各論)」留意事項 2012 年 4 月 11 日 深尾 正樹 2012 年度春学期「刑法Ⅱ(各論)」講義に関する留意事項 (※ この留意事項の閲読に際しては、講義要項もあわせて参照のこと。) 【教材について】 教科書 1. 西田典之・山口厚・佐伯仁志『判例刑法各論[第 5 版]』(有斐閣、2009 年) この講義において判例(なお、この「留意事項」においては「判例」の語を本来の判例のみなら ず下級審裁判例を含む意味で用いるので注意されたい)を扱う場合は、原則としてすべてこの 1. による(1. に登載されていない判例[ごく最近の判例など]を扱う場合には、別途コピーして配 付する)。従って、あらかじめ 1. を購入のうえ、講義の際には必ず持参すること。 2. 山口厚『刑法[第 2 版]』(有斐閣、2011 年) 本書は「これから本格的に刑法を学び始めようとする者を主として念頭においた刑法の教科書」 であり、「刑法解釈論の基礎的な枠組みを解説することに主眼をおき、……[中略]…… 刑法解釈論に ついての読者の理解を高めることを目的としている」(以上、「初版はしがき」より引用)ものである。 本書は刑法総論および各論の内容を 1 冊に収録したものであるので、この講義においては後半 の各論の部分を中心に使用することになる。いわゆる判例・通説の立場から解釈論の基本的な枠組 みについて過不足なくかつコンパクトにまとめられており、学習上利用しやすいものと思われるの で、今年度の講義においてもこれを教科書に指定することとした。受講者は速やかに本書を購入の うえ、講義の際にも必ず持参すること。ただし、法科大学院への進学や各種資格試験・公務員採用 試験の受験を目指すなど、より本格的に刑法各論を学習することを希望する者にとっては、本書の 利用のみでは不十分であり、さらに進んで本格的な概説書/体系書を利用しつつ学習する必要があ る。その場合には、本書に換えて、あるいは本書とともに、次の 3.または 4.を利用されたい。 なお、本書は昨年 9 月に改訂され[第 2 版]となったので、購入する際には十分に注意するこ と。 3. 西田典之『刑法各論[第 6 版]』(弘文堂、2012 年) 4. 山口厚『刑法各論[第 2 版]』(有斐閣、2010 年) この 2 冊はいずれも学界を代表する研究者(3.の著者は学習院大学教授・東京大学名誉教授、4. の著者は東京大学教授)によって執筆された概説書/体系書である(4.の著者は 2.の著者と同一人 物である)。 -1- ~「個人 の学習目的 での利用」 以外の使用 禁止~ 受講者の中で、法科大学院への進学や各種資格試験・公務員採用試験の受験を目指すなど、より 本格的に刑法各論を学習することを希望する者は、上記 2 冊のうち、どちらか利用しやすい方 1 冊を選択して利用されたい。ただし、この 2 冊のほかにも、有力な研究者によって執筆された多 くの優れた概説書/体系書があり、それらを教科書として選択のうえ利用することももちろん可能 である。詳細については初回の講義の際に指示するので、その後すみやかに 1 冊を選択して購入 すること。なお、近時の数次にわたる法改正に伴い、これらの各概説書/体系書は順次改訂され、 あるいは今後改訂されることが予定される。教科書として利用する場合は可能な限りこれらの法改 正が反映されたものを利用することが望ましい。 指定図書・参考書等 5. 西田典之・山口厚・佐伯仁志編『刑法判例百選 II 各論[第 6 版]』(有斐閣、2008 年) 6. 山口厚『基本判例に学ぶ刑法各論』(成文堂、2011 年) 7. 山口厚『新判例から見た刑法[第 2 版]』(有斐閣、2008 年) 8. 林幹人『判例刑法』(東京大学出版会、2011 年) 5. ~ 8. の 4 冊はいずれも判例を素材とした書籍である。 5. は刑法各論に関する主要な判例を取りあげたものであり、その意味で 1. と重複する面がある。 ただ、1. は 600 件近くの判例を収録しているのに対し、5. に収録されているのはその名の通り 100 件余(131 件)に過ぎないが、1. にはない多くの研究者の手による解説が掲載されている。この 講義においては 5. を利用することはしない予定であるが、判例教材として一般的なものであるこ とに鑑み、指定図書に指定しておいた(なお、1. と重複して掲載されている判例については、そ の旨 1. に明示されている)。図書館に一定の冊数が用意されているので、是非とも活用されたい。 6. は 5. と同様に刑法各論に関する主要判例(102 件)およびその解説という構成の判例教材で あるが、5. においては各判例ごとにそれぞれ別の研究者が担当している(そのため、記述のばら つきが不可避である)のに対し、6. は 2. および 4. の著者がすべて執筆しているので、その意味で の一貫性は担保されているように思われる(ただし、解説は平易になされているが、分量的には 5. に比べて短めである)。 7. も 6. の著者の手による総論部分も含んだ判例解説書であるが、著者の言を借りるならば「近 年に出された判例・裁判例を素材として採り上げ、それについて検討を加えることを通して、当該 の問題に関する判例・学説についての読者の理解をさらに一歩進めることを目指している。すなわ ち、それは、新しい判例・裁判例の単なる解説にとどまるものではなく、さらに、それが前提とす る、又はそれに関連する重要な問題についても十分に解説を加え、そして、採り上げた判例・裁判 例を判例・学説の流れに位置づけながら、その従来の判例・学説に対して有する意義を明らかにし ようとするもの」(以上、「初版はしがき」より引用)であり、6. とはかなり性格の異なるものである。 相当に高度な分析が示されており、受講者にとっては現時点では必ずしもここまでは必要ないと思 われるが、法科大学院への進学や各種資格試験・公務員採用試験の受験を目指すなど、より本格的 に刑法各論を学習することを希望する者にとっては「新しい判例・裁判例について的確に理解して いただくとともに、その基礎にある問題、その周辺に位置する問題についてまで、解釈論の基礎を しっかりと踏まえた上で、その理解を広げていただく」(以上、「初版はしがき」より引用)のに有益で あろうと思われるので、可能であれば利用していただきたい。 8. は「筆者がこの数年の間に判例を素材として書いた論文のうち、主として法科大学院生(あ -2- 2012 年度春学 期「刑法 II ( 各論)」留意事項 るいは学部のゼミ生)の学習に役立ちそうなものを選び、一書としたものである」 (以上、 「はしがき」 より引用)。総論部分を含んでおり、また各項目の最後に演習問題が付されているので、この講義の ためというよりも各自における刑法学習のための演習書という位置づけが適切であるかもしれな い。ここ数年はこの種の演習書が非常に多く出版されているが、著者が学界において有力な研究者 (上智大学教授)であり、また特に財産罪の領域を専門としていること(ただし、いわゆる判例・ 通説とは異なる立場を採用されており、本書にもそれが現れている)などから、この講義にとって も有益ではないかと思料し、参考書として指定した次第である。 9. 西田典之・山口厚・佐伯仁志編『刑法の争点』(有斐閣、2007 年) 10. 大塚裕史『刑法各論の思考方法[第 3 版]』(早稲田経営出版、2010 年) 9. は刑法上の個別の問題点について、研究者がそれぞれ解説を加えたものである。項目番号 63 以下の部分が刑法各論に相当する。 10. は著者(神戸大学教授)によれば、「『概説書、体系書、演習書の専門的な内容を学問的水準 を落とすことなく理解できるような解説本』の存在が是非とも必要である」との意図から出版され た、 「刑法各論の重要問題について、判例・学説の動向を明らかにし、複雑な学説状況の客観的な整 理を試みるとともに、ある論点をめぐって見解が対立する原因に迫り、それが刑法の基本原理とど のような関係にあるのかという本質論を明らかにすることによって刑法各論の『思考方法』を具体 的に示した」教材である(以上、「本書の狙いと特徴について ――読者へのメッセージ――」より引用)。特 に、豊富な設例(事例問題)を通じて刑法各論の考え方を具体的に学べるように工夫されており、 この講義の際においても本書に提示されている設例を利用することとしたい(その場合は後掲の講 義資料(レジュメ)にもその旨を表示する。設例については実際に答案を執筆してみることをおす すめする)。本書においては刑法各論の主要な問題点について高い理論的水準を維持しながらも平易 に解説されており、復習用にも十分に活用できる非常に有益な教材であるといえる(なお、このよう な本書の有用性からも推察できるように、著者は非常に高い教育能力を有する者であるが、同時に研究者としても 学界において非常に高く評価されていることを付言しておきたい)。 以上に示したもののほか、必要に応じて参考文献などを講義の際に随時指示するので、関心があ れば購入または借出のうえ読んでいただきたい(なお、9. および 10. の 2 冊については上記 5. と 同様に指定図書に指定したので、それぞれ図書館に一定の冊数が用意されている。是非とも活用さ れたい)。 -3- ~「個人 の学習目的 での利用」 以外の使用 禁止~ 【法令集(六法)について】 講義要項にも記載したように、講義の際には法令集(六法)を必ず持参すること。 他の法律科目においても同様であると思われるが、法令集不携帯の場合はこの講義を受講する資 格がないものと心得るべきである。もし法令集不携帯の者を発見した場合には、その者を特定する ために必要な手段を講じたのち、直ちに教室からの退室を命ずる。さらに何度も繰り返す場合には、 本科目より追放する。 この講義で取り扱う「刑法」 (=講学上、刑法典ともいう)はどの法令集でも収録されているので、 いわゆる小型六法(『岩波基本六法』『岩波セレクト六法』『デイリー六法』『ポケット六法』など) が利用可能である。 判例付き六法(『岩波判例セレクト六法』、 『模範六法』、 『模範小六法』、 『判例六法 Professional』、 『判例六法』など)は、期末試験の際に試験会場への持ち込みを禁止されていることが多いのみな らず、学習上も一定の限界があるので、少なくともこれをメインに用いることは、個人的にはおす すめしない。 なお、この科目の期末試験における六法の試験会場への持ち込みの条件などについては、「2012 年度春学期『刑法Ⅱ(各論)』期末試験持込許可六法について」を参照されたい。 【講義資料(レジュメ)について】 講義資料(レジュメ)については、教室での配付に代えて、原則として私の web ページ上にお いて事前に公開することとする。私の web ページの URL は以下の通りである。 深尾正樹の WWW ページ http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~fukao/index-j.html なお、昨今の様々な状況に鑑み、moodle のこの科目のコースの中にあるニュースフォーラムを 利用して、私からこの科目の履修登録者への連絡を行うことがあり得る。また、私の web ページ 上に公開した講義資料(レジュメ)を、事後的に moodle の同コースにおいて併せて公開すること もあり得る。以上につき、十分に注意されたい。なお、moodle の URL および moodle におけるこ の科目のコース番号は以下の通りである。 学習支援システム moodle https://cclms.kyoto-su.ac.jp/ 【春学期水 2】刑法 II(各論)のコース番号 201202320118 【春学期金 3】刑法 II(各論)のコース番号 201202530169 -4- 2012 年度春学 期「刑法 II ( 各論)」留意事項 【講義中の禁止事項について】 1. 私語 2. 携帯電話の使用(通話・メールの送受信) 3. 以上のほか、講義を妨害する行為 は厳禁とする。これらの行為があった場合には、行為者を特定するために必要な手段を講じたのち、 直ちに行為者を教室より強制的に排除する。 上記事項を何度も繰り返す場合には、本科目より追放する。 【評価について】 期末試験はいわゆる論述試験の方式による。出題形式(一行問題か事例問題か)・出題数・試験時 間などの詳細については現在検討中である。 これを 100 点満点とし、今年度はこれに以下の各項目の点数を加算し、最終成績とする。 1. 中間試験: 授業期間中に 1 回、小テストまたはレポート形式で行う。20 点満点。 2. 基礎試験: 授業期間中に 1 ~ 2 回、短答式(語句もしくは短文での解答による)または 多肢選択式で行う。成績優秀者のみ最大で 5 点。 基礎試験については、それまでの学習によって期末試験の受験するに値するだけの最低限の水準 を満たしているか否かの判定のために、講義内容に関する基礎的知識を問うかたちで行うものであ る。期末試験の受験資格は、基礎試験において一定の点数を獲得した者にのみこれを与える。基礎 試験の実施時期・方法等についてはできるだけ早い時期に告知する。 なお、過去の試験において、答案に出題とは関係のない事項を記載する者が多数あったが、この ようなことは絶対にしないこと。また、試験終了後、その成績にかかわらず単位を認定するよう私 に請託する行為についても、同様である。これらの行為があった場合には、いかなる理由によるも のであっても試験答案の評価にかかわらず本科目の成績を 0 点とする。それに加えて、当該行為 を行った者に対して、さらなる不利益措置を講ずることもあり得る。 以 -5- 上