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Title カルゴゲナイドガラスのガラス転移における
Title Author(s) Citation Issue Date カルゴゲナイドガラスのガラス転移における構造変化 王, 勇 大阪大学低温センターだより. 109 P.6-P.11 2000-01 Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/11094/9754 DOI Rights Osaka University 研 究 ノー ト カル コゲ ナイ ドの ガ ラス転 移 にお け る構 造 変 化 1.は じめ に ガ ラ ス形 成 物 質 で は 、 液 体 状 態 か ら急 冷 す る こ と に よ り、 原 子 が 整 然 と 並 ん だ 結 晶 に は な らず 、 過 冷 却 液 体 状 態 を 経 て 固 化 す る ガ ラ ス転 移 現 象 が 見 られ る。 ガ ラ ス は 全 く無 秩 序 に 原 子 が 並 ん で い る わ け で は な く、 原 子 間 の 化 学 結 合 な ど の 秩 序 が 結 晶 と ほ ぼ 同 様 に 保 た れ て い る上 、 数nm程 度 の大 き さを持 つ 中 距 離 構 造 が 見 られ る。 し か し、 ガ ラ ス で は 結 晶 の もつ 長 距 離 秩 序 が 完 全 に 壊 さ れ て い る た め 、X線 な ど の 回 折 手 段 だ け で 構 造 を 決 め る の は 困 難 で あ る。 わ れ わ れ 邑瀬 グル ー プ で は 、 ガ ラ ス ・液 体 ・結 晶 相 互 間 の 転 移 と い うマ ク ロ な 現 象 に つ い て 、 中 距 離 構 造 の 形 成 ・変 化 と い っ た ミ ク ロ ・メ ゾ ス コ ピ ッ ク な 観 点 か ら と ら え る研 究 を 進 め て い る 〔1-7]。 こ こで は 、Se、Sな ど の カル コゲ ナ イ ド元 素 を 含 む カ ル コ ゲ ナ イ ドの ガ ラ ス 転 移 に お け る 構 造 変 化 に つ い て の 研 究 に しぼ っ て 概 説 ず る。 カ ル コゲ ナ イ ドGe,,Se,一=は 広 い 組 成 範 囲(x=0~0.42)で ガ ラ ス に な り 易 い 。 図 』1のよ う に 、Ge原 周 りの 原 子 と 四 つ の 結 合 ボ ソ ドを も ち 、Se原 子 は 周 りの 原 子 と二 つ の 結 合 ボ ン ドを も つ 。Ge原 原 子 の 配 位 数 は そ れ ぞ れ4と2で あ る x=0(Se) 子 とSe 0<x<0.33 た め 、 ネ ッ トワー ク ガ ラ スの 一 原 子 当 た りの 平 均 配 位 数 は ガ ラ ス の組 成 変 化 に よ り2か ら2.84ま で 自 由 に制 御 で き る。 平 均 配 位 数 は ガ ラ ス の 諸 特 性 に 深 く関 わ る重 要 な 物 理 量 で あ る。 ガ ラ ス Seatom 0θβ θ1暢 の 基 本 構 造 ユ ニ ッ トは(Se)。 鎖 とGeSeU;,四 面 体 で あ り、Ge組 Ge-Gebond 成xが0 G,at。mq¥ か ら0.33ま で 変 化 す る こ と に よ り、 中 距 離構 造 で見 ると、一次 元性 の ガ ラス ↓ Se-Sebond / Seか ら 二 次 元 性 の ガ ラ スGeSe2に 変 わ る。J.C.Philipsは 力学 的 安定 性 に着 目 し、 ネ ッ トワー ク ガ ラ ス の 平 均 配 位 数 が2.4の x=0.33(GeSe2) と き 、 ガ ラ ス構 造 は 最 も安 定 で あ る と 主 張 した[8]。M.Thorpe 図1.ガ は そ こで 硬 さ の パ ー コ レー シ ョ ソが 起 一6一 ラ スGe,Se,一,の 構 造模 式 図。 子は き る こ と を 予 想 して い る 〔9]。 わ れ わ れ は 、 組 成 、 あ る い は 平 均 配 位 数 の ち が い に よ る ガ ラ ス 構 造 の 変 化 と 、 ガ ラ ス 、 液 体 、 結 晶 相 互 間 の 転 移 との 関 係 と を ラ マ ソ散 乱 ス ペ ク トル に よ り研 究 して い る[2-5]。 2.試 料 作 製 お よび 高 温 ラ マ ン測 定 試 料作 製方 法 を恥 た・ 図2の よ 》 うに、 石英 ア ン プルの 一端 に2枚 の平 行 石英 板 のf 間 に・μmの 隙 間 を持 つ 石英 セ ル を作 り、 ・れ に ㍉ で: 職ー □ 漱 欝 の よ う婦 るように・以下 諜 。 額 諮 10 同一の試料で連続的噸 測 を徹 ㌔\且 u ガ ラス状態 か ら液体 まで の ラマ ンスペ ク トル を 各 組成 のガ ラ 狭 い隙 間 ス 試 料 を 入 れ て 真 空 封 入 し、 融 点 よ(~1μm)…'"" (b)(C)(d) り100℃ 高 い 温 度 ま で 温 め る 。 バ ル ク液 体 部 の 温(a) 度 を 石 英 板 の 隙 間 部 の 温 度 よ り2℃ 高 い 状 態 の ま 図2.高 温 ラ マ ソ測 定 用 の 石 英 セ ル。 ま 、24時 間 保 持 す る こ と に よ り、 液 体 試 料 は 隙 間 暇 透 す る.ア ンプル を氷 水で急 冷 す る と、厚 さ … (b)[i璽 回 ヨ 1灘 欝1毒 馨 ガ ラ スには長距 離秩 序 が ない ため 、通常 結 晶の 書 光 散 乱 に お 、、 て 見 ら れ る 選 択 則 が 破 られ て い る 。 葺 ガ ラ ス や 液 体 の ラ マ ン ス ペ ク トル は 、 振 動 の 状 態 密 度 を反 映 して い る と考 え られ る 。 数10㎝ 一似 下 の 低 振 動 数 領 域 に は 、 フ ォ ノ ン局 在 、 フ ラ ク トン 、 構 造 緩 和 な どの 豊 富 な 情 報 が 含 ま れ て い る[5-7]。 ]00200300100200300100200300 ま た 、100cm一'L'il.上の 領 域 か らは ネ ッ トワ ー ク の 中 ・短 距 離 秩 序 構 造 に つ い て の 情 報 が 得 られ る RamanShift(cm1) 図3.Ge,Se,一,各 cm-1付 [1-5]。 本 稿 で は 、 各 ス ペ ク トル の100㎝ 一1以上 の 領 域 に 注 目 し 、 ガ ラ ス転 移 に お け る 中 ・短 距 離 組 成 の 高 温 ラ マ ソ ス ペ ク トル 。200 近 の 振 動 モ ー ドはGeSe、!2四 係 し 、250㎝ 面体 に 関 一1付近 の 振 動 モ ー ドは(Se)n鎖 に 関 係 す る。 構 造 の 変 化 に つ い て 議 論 す る 。 ラ マ ソ測 定 は 、 自 作 の 光 学 用 電 気 炉 を用 い て 、20℃ ~900℃ の 温 度 範 囲 で 温 度 を 上 昇 さ せ て 行 っ た 。 図3は 異 な るGe組 成 で の ガ ラ ス 、 液 体 、 ま た は 結 晶 状 態 の ラ マ ソ ス ペ ク トル を 示 す 。 各 温 度 の 測 定 時 間 は 約10分 で あ る。 各 組 成 に お け る 一 連 の ラ マ ン ス ペ ク トル は 約10時 間 で 得 られ た 。 ま ず 、室 温 の ス ペ ク トル に 注 目す る 。Ge組 成x<0.07に .付近 の バ ソ ドが 支 配 的 で あ る。Ge組 お い て は 、(Se)n鎖 構 造 に 関 連 して い る255an一' 成xの 増 加 に よ り、190cm一'付 近 のGeSev:1四 面 体 の 伸 縮 振 動 に 関 連 し た バ ソ ド(A,)が 強 くな る。A、 バ ン ドの 散 乱 強 度 の 増 加 はGeSe、/2四 面 体 の 数 が 増 え るた め で あ る。 更 にxが 増 加 す る と、x=0.15か ら190㎝ 一1ピー ク の 高 エ ネ ル ギ ー 側 に ピー ク(A;)が 一7一 現 れ 、 成 長 して い く。 この バ ソ』 ドは 稜 を 共 有 す るGeSeV2四 面 体 の 伸 縮 振 動 モ ー ドに 起 源 を 持 ち 、A,バ ソ ドか ら少 し高 エ ネ ル ギ ー 側 に分 離 してL+る 。 次 に 、 そ れ ぞ れ の 組 成 で の ス ペ ク トル の 温 度 変 化 の 様 子 を 見 る。x<0.04の 度 で 結 晶Seに よ る鋭 い ピー クが237㎝ 組 成 で は 、150℃ 程 度 の 温 一1付近 に 観 測 さ れ る。 さ ら に温 度 を 上 げ る と 系 の 状 態 は 液 体 へ と 変 化 す るσ こ の 温 度 変 化 の実 験 で 、 ラマ ソ ス ペ ク トル に 結 晶 の ピ ー ク が 現 れ は じめ る温 度 を 結 晶 化 温 度 T。と し、 そ れ が 消 滅 す る温 度 を"融 GeSe2結 晶 の 生 成 を 示 す210㎝ 点Tm"と 呼 ぶ こ と に す る。z≧o.isで は 上 と「 同様 の経 過 にお い て、 一1付近 の 鋭 い、 琴一 ク が観 測 さ れ る 。0.07≦x≦0.15で はSe、GeSe2い ずれ の 締 晶 も現 れ ず 、 系 は 結 革 状 態 を降 ず に 過 冷 却 液 体 か ら通 常 の 液 体 状 態 に 移 る こ と が わ か る 。 次 に 、 こ の ガ ラス組 成領 域 に おいて、 ガ ラス状態 か ら過冷 却液 体 の温 度領 域 での ス ペ ク トル形 状 の変化 を更 に注 意 深 く観察 す る。 3.ガ ラ ス転 移 にお け る構 造 変化 GeSe、/,四 面 体 バ ン ドと(Se)n鎖 バ ン ドと の 強 度 比10 熱4/2/YS。は 、 ガ ラ ス転 移 付 近 で の構 造 変 化 を反 映 し 。 の斗 。。。庫 =0.10~0.25で は 、 強 度 比 ㎏/2瓜,は 図4の よ うに、 i . o刷 琵 ガ ラ ス 転 移 温 度 よ り上 で は 、GeSe、 ノ,四 面 体 の数 は 。・・甲 られ る。 強 度 比1GaSe4/2/亀 の 増 加 し始 め る温 度 は 、 そ れ ぞ れ の 組 成 の 熱 測 定DSC法 縦 棒)に か ら 得 たT、(図 ほ ぼ 一 致 す る[4]。x≧0.18の し て 、x<0.18の ....!レ 。+30ロ 望~2謁r・ 0200400600800 Temperature(ーC) な る に対 図4.GeSe、/,四 形 成 せず 、結 晶 核 の 分 解 に よ り通 常 液 体 状 態 に な る 。 面 体 関 連 バ ソ ド と(Se)。鎖 関 連 バ ソ ド と の 強 度 比 ㎏/2/瓦 ま と め た[4]。 上 に 。 縦 棒 は 熱 測 定D よ り得 た ガ ラ ス 転 移 温 度T,を 示 す 。x =0 .18~0.25の 各 ガ ラ ス組 成 の ラ マ ソ ス ペ ク トル の温 度 変 化 か ら 結 果 を 図3に 鰭 (x=0.25)xO.2 SC法 得 たT、、T,、Tgの 蒲 0 の 組 成 の ガ ラ ス は 過 冷 却 液 体 か ら温 度 上 昇 に よ っ て 、 結 晶GeSe2が 一 0 組 成 領域 で は 中 の ギ ャ ップ を 示 す 横 棒)に 凹■ 中の 過 冷 却 液 体 を 経 て 、 結 晶GeSe、 と 液 体GexSe,_xと 混 合 状 態(図 ■(x=0.1の+5 ■ ■ ■1聰 ハ 結 晶 核 の 形 成 に よ り大 き くな る と 考 え r ■ 智 旨 gε 結 晶核 の よ う な 構 造 が 成 長 し 、 散 乱 強 度 が 大 き くな る。 強 度 比lcesea/z/IS、 も 結 晶GeSe2の 顧 ◆鮎 蜘 銚12◆ ごご◆ あ る温 度 以上 の領域 で温 度上 昇 と共 に・盛 り上 が る。 岬6 一 定 で あ る が 、 結 晶GeSe,の て い る。GeSe、/,四 面 体 構 造 が 支 配 的 に な るGe組 成x ス ペ ク トル に は 結 晶 相 が み ら れ た た め 、 縦 棒 は結 晶 相 め あ る温 度 領 域 を示 す 。 の べ た よ う に 、 ネ ッ トワ ー ク ガ ラ スG6β θ、..は 、(Se)。 鎖 構 造 とGeSe,/2四 面 体 構 造 と か らな る 。Se-rich 側(Ge組 成 域0<x<0.04)で e組 成 域0.18<x<0.33で たTmは x=0.08を は 結 晶 化 が 見 ら れ 、T。とTmの 間 で 結 晶Seと 液 体GexSe,_iと が 共 存 す る。G は 、T。 とTmの 間 で 結 晶GeSe,と 液 相 線 に 示 した 結 晶GeSe2あ 含 むGe組 成 域0.04<x<0.18に 液 体GexSe,.zと が 共 存 す る。 ラ マ ソ測 定 か ら得 る い は 結 晶Seの 初 晶 点 温 度 に 近 い[10]。SeとGeSe2と の共晶点 お いて は 、実 験 の時 間 内 では結 晶化 現 象 が見 られ なか った。 一8一 す な わ ち組 成 域0.04<x<0.18の 過 冷 却 液 体 は 組 成 域x≦0.04お よ びx≧0..18の 過 冷 却 液 体 状 態 と 比 べ て 非 常 に 安 定 で あ り、 そ の た め ガ ラ ス 形 成 が 容 易 で あ る。 〆 Ge組 成xが0.04を 越 え る と 、(Se)。 鎖 が 長 距 離 秩 序 を 形 成 し て 結 晶 に 至 る緩 和 時 間 は 急 激 に長 く な る。 構 造 的 に は 、(Se)。 鎖 を 交 叉 さ せ るGeSeuZ四 れ る。x≧0.10の 面 体 の 増 加 に よ っ て 、(Se)。鎖 の 移 動 が 抑 制 さ れ る と考 え ら 場 合 、 結 晶GeSe、 の 結 晶 核 構 造 の 形 成 が 見 られ 、 ネ ッ トワ ー ク構 造 はGeSe、!,的 に な る。 Ge、5S舳 で はGeSe2結 晶 核 が 形 成 さ れ る が 、 結 晶GeSe,の で 急 に 現 れ る 。Phillips-Thorpeの 平 均 場 拘 束 理 論(T<TD、TDデ コ レー シ ョ ンの 閾 値 は 平 均 配 位 数 くm>=2 2.4の 場 合 、 柔 軟 で 、 〈m>>2.4で 成 長 に 至 ら な か っ た 。 結 晶 化 はx=0。18以 .4(x=0.20)に 上 バ イ温 度).に よ る と、 硬 さ の パ ー あ る 。 ネ ッ トワ ー ク ガ ラス の 構 造 特 性 は 〈m>< 硬 い 。 本 研 究 に よ っ て(診β6、一xの結 晶 形 成(T>TD)の 緩 和時 間 がパ ー コ レ ー シ ョソ の 閾 値 に 近 いx=0.18(<m>=・2.36) SeGeSe2 で 急 激 に 短 くな る こ と が わ か っ た 。 一 方 、 この 組 800 成 域 で 過 冷 却 液 体 の ネ ヅ トワー ク フ ラ ジ リテ ィ ー が急 に減 少す る こと と自己組織 化 が急 速 に進 む ご と が 調 べ ら れ て い る[5・6]・ と くvこ・ 室 温 で の 低 £ 600 A' 波 数 ラセ ン ス ペ ク トル の 研 究 か らは 、 ネ ッ トワ ーE ・ ガ ・ ・ の ・ ・ ジ ・テ ・ や ・ ラ ク ・ ・ に も パ ー コ § ・一 シ ・澗 値 で の相 転移 の模 様 が現 れ る こ とが 含 ゆ 分 か っ て い る[5-7]。 即 ・d~贈G肇 聾 ・ 400 'ρ 穿ぢ SCL[ヅ ま た 、 光 電 子 と 逆 光 電 子 分E咽 光 ス ペ ク トル に も 、x=O.18~0,20付 ダ/ ◇/ム 欝 。㌔ ア 只' +L〆 一 匹 廼. 瓢 鷲 ロ忍…ガGlass 200 近 に急激 な ・!6' 構 造 変 化 が 観 測 さ れ て い る[11]。 本 研 究 で は 、 組 成 に よ る構 造 の マ ク ロ お よ び メ ゾ ス コ ピ ッ ク相 転 0 移 を観 測す ると と もに、 ガ ラス転移 近傍 で構 造 が 0 o.i o.a 0.3 大 き く変 化 しな い 場 合 で も 、 組 成 変 化 に よ る電 子 状 態 の わ ず か な 変 化 を 光 と振 動 と の 結 合 を 介 して 図5.(璃5θ 厩 系 の"動 的"相 図。 検 出 で き る こ と を 示 した 。 4.お わ りに ここで はほ んの一部 しか紹 介で き なか った が、興味 深 いネ ッ トワー クガ ラスに おけ る硬 さのパ ー コ レー シ ョンの現 象は まだ数 多 く存 在す る。最近 の実験 結果 か らはガ ラスの 自己組織 化 が構造 相転 移 の振 る舞 いに大 き く寄与 す る ことを示 した[5]。 ラマ ン散 乱測 定 によ る光 と振 動 との結 合 を介 して複雑 な構造 お よび電 子状態 の わず か な変化 を評 価 す る とい う実 験手 法 は、 高分 子材 料 や生体 物 質 に拡 が る新 しい タイ プの相 転移 への発 見 や展 開 な ど今 後 の研究 の進展 が期 待 されて い る。 硬 さのパ ー コ レー シ ョンに関 す るガ ラス科 学 の諸 研 究 で 邑瀬和 生 教 授 は文 部 省科 学 研究 費重 点領 域 "複雑液 体 にお け る協 力現 象"(代 表:米 沢 富 美子)お よび基 盤研 究(B)の 援助 を受 けて お り 、筆者 が こ こで紹 介 した研 究 は その一 環で あ る。 本研 究 は 邑瀬 和 生教 授 を始 め、井 上恒 一助 教授(産 研)、 松 田 理助 教授(北 大)の 指 導 お よび協 力 の も とに行わ れ た もので あ る。松 尾隆 祐教 授 、山室 修講 師(阪 大) 一9一 には、 熱測定 におい.て.ご 協 力頂 いた。 高温 ラマ ン測定 用 の石英 セル の作 製 に関 しては、 橋 本哲教 授(京 都教 育大)よ 参 考 文 りご教示頂 いた。皆 様 に深 く感謝 致 します。 献= 1.K.Murase,K.moue,andO.Matsuda>inCurrentTopicsinAmorphousMaterials:Physics andtechnology,ed:byY.Sakurai>Y.Hamakawa,T.Masumoto,K.Shirae,andK.Suzuki, (Elsevier,Amsterdam),47(1993). 2.Y,Wang,M.Nakamura,0.Matsuda,K.Inoue,andK.Murase:J.Non-Cryst.Solids198200,?53(1996). 3.Y.Wang,0.Matsuda,K.Inoue,andK.Murase:ProgressofTheoreticalPhysics, Supp1.126,191(1997). 4.Y.Wang,O.Matsuda,K.Inoue,o.Yamamuro,T.Matsuo,.andK.Murase:J.NonCryst.Solids232-234,702(1998). 5.K.Musse:1:NSULATINGANDSEMICONDUCTINGGLASSES,ed.byP.Boolchand, (WorldScientific,Singapore),Chapter6-3;scheduledSpring2000;P.Boochand,ibid. 6.Y。Wang,M.Nakamura.,0.Matsuda,andK.Murase:PhysicaB263-264,313(1999), 7.M.Nakamura,0.Matsuda,andK.Murase:Phys.Rev.B57,10228(1998) . 8.J.C.PhillipsJ.Non-Cryst.Solids43,39(1981). 9.M.F.Thorpe:J.Non-Cryst.Solids57,355(1983). 10.P.Tronc,M.Bensoussan,andA.Brenac:Phys.Rev.B8,5947(1973). 11.M.Taniguchi,T.Kouchi,1.Ono,S.Hosokawa,M.Nakatake,H.Namatame,andK. Murase:J.ElectronSpectroscopyandRelatedPhenomena78,507(1996) 一10一 用語 説 明 ガ ラ ス 物 質 の ラ マ ン ス ペ ク トル ガ ラ ス物 質 に お け るStokes側 の ラ マ ン ス ペ ク トル1(ω)は 、 1(ω)=C(ω)9(ω)⊂n(の)十1]/ω で 現 せ る。 ω は ラマ ン シ フ トの 周 波 数 、[n(ω)十1]は 子 、g(ω)は 振 動 の 状 態 密 度 、C(ω)は ク トル は 、C(ω)を 各 温 度 に お け る フ ォ ノ ン分 布 を き め るBoson因 光 と振 動 と の 結 合 定 数 で あ る。Boson因 介 して 振 動 の 状 態 密 度 を 反 映 して い る。g(ω)は 子 と ω で 補 正 した ス ペ 非 弾 性 中 性 子 散 乱 実 験 か ら求 め ら れ るが 、大型 施設 の利 用 時間 が限 られて い る ことや数 グラム以 上 の試料 が必 要 であ るこ とか ら、 ラマ ン ス ペ ク トル に よ る ガ ラ ス物 質 の 研 究 が 大 い に 期 待 さ れ て い る。 一11一