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道徳の時間学習指導案
道徳の時間学習指導案 1 日 時 平成28年7月6日(水) 第4校時 2 学 年 第4学年 33名 3 主題名 「本当の友達」 内容項目 2-(3) 友情,信頼 【特別の教科 道徳編 B-(9) 友情,信頼】 4 ねらい 事実を友達に伝えるか伝えないかを考えることを通して,どちらの行動にも相手のことを 大切に思う気持ちがあることに気付き,友達と互いに信頼し合い,ときには注意し合いなが ら,友情を深めようとすることができる判断力を培う。 5 資料名 「大きな絵はがき」 (出典 東京書籍 一部改作) 6 主題設定の理由 ○ 本主題は,学習指導要領第 3 学年及び第 4 学年の指導内容2-(3)「友達と互いに理解し,信頼し, 助け合う。 」をもとに設定した。友達は家族以外で特に深いかかわりをもつ存在であり,友情関係は共 に学んだり遊んだりすることを通して,互いに影響し合って構築されるものである。自我に目覚め, 自 分と他人を意識し, 自分との違いや似ていることに気付くことができる中学年のこの時期に, 信頼や 友情について深く考えることは,高学年に向かう児童にとって, 非常に大切な時間であると考える。 本資料は,主人公の広子のもとへ転校した友達から大きな絵はがきが届き,不足料金が生じたことか ら始まる。兄の「事実を言ったほうがよい」という意見と母の「お礼だけ言ったらよい」という意見を 聞いて広子は悩む。料金が不足していることを相手に伝えるか伝えないかを考えることを通して,友達 だからこそ,どうすればいいのか思い悩む広子の気持ちに気付き,友達と互いに理解し,信頼し,助け 合っていこうとする心情を養うのに適した資料である。 ○ 本学級の児童は,行事や体験活動を通して,友達とかかわることや協力することのよさを感じ,それ らを肯定的に表現することができる。また,友達が輝いている姿や成長を進んで見つけようとする児童 も増えつつある。しかし,相手の気持ちを考えることや自分の思いを言葉で分かりやすく伝えることが 十分にできないため,すれちがいやトラブルが起こることも多い。 また,友達に関する事前アンケートでの「友達とはどんな人か」に対する回答では, 「一緒に遊んでく れる」 「困っていたときに助けてくれる」 「優しくしてくれる」等の受動的な関係を意識しているものや 行為的な出来事を書いている児童が多かった。 これらから, 「相手のことを信頼して自分から何らかの行動を起こすことによって,さらに友情を深 めていく」という意識は高くないと言える。 ○ 指導に当たっては, 「友情,信頼」について多面的に考えられるようにしていく。 そのために,以下の点を工夫する。第一に,導入では,はがきや手紙を投函する体験を想起させ,本 資料へのアプローチを図るようにする。第二に,資料前半の場面絵やキーワードを黒板に提示すること で状況把握を行い,それらを基にして,広子が迷う場面について自分なりの解決方法とその理由を考え る場を設定する。第三に, 「料金不足を伝えるべき」と「料金不足を伝えないべき」の各立場の理由を 出し合い,類似点と相違点を見出すようにする。それぞれの理由を比較することにより,どちらにも友 達を思う気持ちがあることに気付かせるとともに,正子がどのように考えるかを引き出すようにする。 さらに,可逆性,普遍性,互恵性の発問等で揺さぶることにより,友達へ対する信頼について触れるよ うにしたい。第四に,展開後段では,手紙を書くシミュレーションを行い,自分が考えた解決策を身近 な問題としていくとともに,価値の深化を図るようにする。 この学習をとおして,児童自身が日常的に仲良しと感じている友達の気持ちを考え,注意し合ったり, 違う意見を言ったりすることのできる信頼関係を築き,友情を深めていこうとする心情を育てたい。 7 指導過程 指導上の留意点 (○支援 ☆児童への評価の観点 ★指導者への評価の観点) 1 学習内容に興味 ○手紙やはがきを書いたことがあります ○手紙やはがきを書いた時の をもつ。 か。どんな気持ちで書きましたか。 気持ちを想起させ,資料への ・元気にしているかな。 興味を高める。 ・喜んでくれるかな。 ○展開前段のはがきを書いた ・~の気持ちを伝えたい。 正子の気持ちにつなげる。 学習活動 導 入 展 開 前 段 主な発問と児童の心の動き (主な発問(○),中心発問(◎)予想される児童の反応(・)) 2 資料「大きな絵は ○広子はどんなことで悩んでいるのでし ○場面絵を提示することで,状 がき」(前半)を読 ょう。 況把握ができるようにする。 んで話し合う。 ・料金不足を伝えるか,伝えないか。 ○自分たちで資料を読んで課 ・課題を設定する。 ・事実を伝えたら嫌な思いをさせるのでは 題を設定することで主体的 ないか。 な活動につなげる。 絵はがきをくれた正子に「料金不足を伝えるべき」か「料金 不足を伝えるべきではない」か,どうしたらよいか考えよう。 ○正子からの絵はがきを喜ん ・絵はがきをもらっ ○なかよしの正子からの絵はがきを読ん でいる広子の気持ちに共感 たときの広子の気 で,広子はどんな気持ちになったでしょ させる。 持ちを考える。 う。 ・きれいだなあ。 ・うれしい。 ・正子さんに会いたくなった。 ○ワークシートに自分の考え ・自分が広子だった ◎あなたが広子ならどうしますか。 を書かせ,意見交流をする。 らどうするかを考 ☆自分の考えを理由付けて書 料金不足を伝えない える。 いているか。 ・正子に嫌われたくない。 ○理由を比較し,類似点として ・美しい景色を見せようと思って送って 「正子のため」という思いが くれたのに,嫌な思いをさせたくない。 あることに気付く。 ・私が不足分を払えば,正子も嫌な思いを ★自発的に問題を考え,積極的 しなくてすむ。 に学習が行えるような配慮 ができていたか。 料金不足を伝える ・間違っていることは教えてあげたい。友 達だから,私の気持ちを分かってくれる はず。 ・同じことを繰り返して,正子が恥をかく のは嫌だ。 ・自分だったら教えてほしい。 展 開 前 段 ○可逆性,普遍性,互恵性の発 問等で揺さぶりながら, 「き っと分かってくれるはず」と いう正子への信頼も解決策 の一つとなるように促す。 深める発問 ○自分が正子なら,そうしてほしいだろうか。 ○家族が同じことをしても料金不足を伝えないか。 ○正子がクラスの友達に同じ絵はがきを出したら どうだろうか。 ・再度,自分なりの判 ○あなたが広子だったらどうしますか。 断をする。 ☆友達のためにはどうするこ とがいいのか,考え判断する ことができたか。 (発言・記 述) (例) ・友達を信頼して,本当のことを教えてあげたい。 ・恥ずかしい気持ちにさせたくないから,感謝の気持ちだけ伝えたい。 展 開 後 段 終 末 3 正子に手紙を書 き,交流する。 ○広子になったつもりで,手紙を書きまし ○「正子の気持ちを大切にした ょう。 い」 「正子なら分かってくれ ・正子さんなら分かってくれると思うので る」 「親友だから」等の相手 書きます。大きな絵はがきを送るとき のことを大切に思い,信頼し は,…。 ているものを紹介すること ・正子さんからの絵はがき,とても嬉しか で,価値の深化を図る。 ったです。会いたいです。 ○ワークシートに,心の吹き出 しも書くようにする。 4 本時のまとめをす ○今日の授業の振り返りを書きましょう。 ○授業を通して,今までの自分 る。 の考えと変わったこと,新た に分かったこと等をワーク シートに書かせることで,次 への意欲をもたせる。 8 板書計画 ・ 信 じ あ え る 友 達 が い る っ て い い な 。 ・ ど ち ら に も 「 友 達 の た め 」 と い う 思 い が あ る な 。 考 え た こ と ・ 思 っ た こ と 迷う 料金不足を 伝える る・・ 。本自 当分 のだ 友っ 達た だら か教 らえ 、て 私ほ のし 気い 持。 ち を 分 か っ て く れ ・ 同 じ こ と を 繰 り 返 し て し ま う か も し れ な い 。 ・ 友 達 だ か ら 間 違 っ て い た ら 教 え て あ げ た い 。 ・ 伝 え た い が 、 言 い 方 が 分 か ら な い 。 料金不足を 伝えない ・い・さ・ わい友せせ ざ。達たっ と だくか で かなく は らい送 な 、。っ い 不 て く か 足 ら 分 れ 、 を た 言 自 の に 分 わ が 、 な は い く ら て や な っ い て い 思 あ 。 い を げ て も 喜 ぶ 広 子 も ら っ て 絵 は場 が面 き絵 を ・ 正 子 さ ん に 会 い た い な あ 。 ・ う れ し い な あ 。 ・ き れ い だ な あ 。 金 不 足 を 伝 え な い べ き 」 か 考 え よ う 。 絵 は が き を く れ た 正 子 に 「 料 金 不 足 を 伝 え る べ き 」 か 「 料 大 き な 絵 は が き 9 授業構想図 資 料 選 定 資 料 分 析 ・ 発 問 構 成 「大きな絵はがき」 資料選定への思い 友達の気持ちを考えて悩む主人公の行動について「自分だったら」と考えることを通して,日常的に仲良し と感じている友達と,注意し合ったり,違う意見を言ったりすることのできる信頼関係を築き,友情を深めて いこうとする心情を培うことができる。 場面・キーワード 発問 転校した正子から 絵はがきが届く。 ・大きい絵はがき。 ・不足料金を支払 う。 ○広子はどん な気持ちにな るでしょう。 「お礼だけ伝える 方がいい」という母 と, 「ちゃんと伝え た方がいい」という 兄の言葉に,広子は 迷ってしまった。 発問の意図 予想される児童の反応 ☆正子からの絵はが きを喜んでいる広子 の気持ちに共感させ る。 ◎あなたが広 子ならどうし ますか。 ☆物事を多面的 多角的に捕らえ て自分で考え,判 断する力をつけ る。 ☆友だちの意見 を受容する心を 育てる。 深める発問 ・きれだなあ。 ・うれしい。 ・正子さんに会いたく なった。 料金不足を伝えない ・せっかく送ってくれ たのに嫌な思いをさせ たくない。 ・友達だから,不足分 を自分が払ってあげて もいい。 料金不足を伝える ・友達だから,間違っ ていることは教えてあ げたい。 ・同じことを繰り返し てしまうかもしれな い。 ・自分だったら教えて ほしいから。 ○自分が正子な ら,そうしてほし いだろうか。 ○家族が同じこ とをしても料金 不足を伝えない か。 ○正子がクラス の友達に同じ絵 はがきを出した らどうだろうか。 ○あなたが広子ならどうしますか。 ○広子になった つもりで,手紙を 書きましょう。 ・やっぱり伝えない。きれいな景色を見せたい と思って送ってくれた絵はがきだから,がっか りさせたくない。その気持ちにありがとうと言 ☆相手の気持ちを考え, 「正子さんなら 分かってくれる」 「親友だから」等の相 手を信頼している気持ちを表現してい るものを紹介することで,価値の深化 を図る。 いたい。 ・伝える。友達だからこそ,間違っていれば教 えてあげたい。きっと正子さんも分かってくれ る。 主題 「本当の友達」 内容項目 2-(3) 友情,信頼 本時のねらい 事実を友達に伝えるか伝えないかを考えることを通して,どちらの行動にも相手のことを大切に思う気持ち があることに気付き,友達と互いに信頼し合い,ときには注意し合いながら,友情を深めようとする心情を培 う。 10 資料「大きな絵はがき」 (一部改作) 広子が,学校から帰って,楽しみにしていた本を読み始めようとしたときでした。げんかんの方から, 「ゆ うびんです。不足料金お願いできますか。 」 という声が聞こえてきました。 広子が出ていこうとすると,ちょうどそこへ,高校生の兄が帰ってきました。 「120 円になりますので,68 円不足です。 」 ゆうびんはいたつの人は,そう言って,兄に一まいの絵はがきをわたしました。兄は不足料金をはらって, 受け取りました。 兄は,その絵はがきを広子にわたして, 「こんなに大きい絵はがきは,料金を調べて,きちんと切手をはらなければいけないんだよ。その人は, 広子の友達だろう。教えてあげたほうがいいよ。 」 と言いました。 絵はがきは,3 月のおわりに転校していった,なかよしの正子から来たもので,ふつうのはがきよりずっ と大きい絵はがきでした。それには,山と海と空に囲まれた美しい宮島の大鳥居が写されていました。 あて名の下には,次のように書いてありました。 「広子さん,お元気ですか。わたしは,このあいだ,宮島に行ってきました。とてもきれいなけしきでした。 それで,絵はがきをお送りします。今年の夏休みには,いっしょに行きませんか。さようなら。 」 正子は,ふつうのはがきと同じに考えたのでしょう。左上には 52 円の切手がはってありました。 広子は,正子と一緒に宮島へ行ってみたいなあと思いました。さっそく返事を書こうと思いましたが,さ っき兄の言ったことが気になってきました。 正子が,せっかく,きれいなけしきを見せたいと思って送ってくれたのに,切手が不足でしたなんて書き たくなかったのです。そんなことを書いたら,正子はきっといやな気持ちになる,と思ったのです。 母に相談してみました。母は, 「お礼だけ言っておいたほうがいいかもしれないね。 」 と言ってくれました。兄が,そばで, 「いや,ちゃんと言ってあげたほうがいいよ。 」 と言いました。 広子はまよってしまいました。部屋にもどって,どちらにしようかと考えました。