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別紙参考資料2 - 水産研究・教育機構

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別紙参考資料2 - 水産研究・教育機構
別紙参考資料 2
SH“U”N project:
Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project
サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚 プロジェクト
国立研究開発法人 水産研究・教育機構
我が国で漁獲されている水産物を、
「資源評価」
・
「海洋生態系」
・
「漁業管理」
・
「社会経済的
な状況」の4つの評価軸により総合評価し、健康と安全・安心に関する情報をあわせて提
供することにより、消費者が水産物を購入する際の判断の参考になるような情報を発信し
ます。評価の基礎となる科学的な情報についても総合的に提供していくことで、水産エコ
ラベルの認証作業など持続的な水産物利用に向けた科学情報活用の推進も期待していま
す。
1. 目的
水産研究・教育機構では、研究成果広報の一環として、我が国で漁獲される水産物に
ついて資源と漁獲の現状を国民にわかりやすく伝え、資源を安心して持続的に利用する
ためのガイドとなる水産物の評価リストを公表します。水産資源と海洋生態系の持続性
のみならず、地域固有の文化と地域経済の持続性の視点も考慮することで、水産業自体
の維持発展を図ることを目的としています。
評価リストと同時に公表する科学データの利用対象として、一般消費者だけでなく認
証組織や加工流通業者を想定し、科学的な情報を次世代への食育・水産業の6次産業
化・地方創生・輸出拡大等に向けた取り組みに活用してもらうことで、日本の食文化の
維持に寄与し、持続的な水産資源の利用を推進することを期待しています。
2. コンセプト
自然界にいくらたくさんの魚介類がいてもそれだけでは水産資源ではありません。私
たちや社会がさかなの価値をみとめ、有効に利用する仕組みが働いてはじめて、それら
は水産資源となります。アメリカの社会科学者 EW.ジンマーマン(1888-1961)は、資源
を「自然-人間-文化の相互作用から生まれるもの」と定義しています。国民に水産物
を安定的に供給するためには、この相互作用全体を評価する必要があります。日本の和
食は世界に冠たる食文化であり、水産物をこれからもおいしく食べ続けるためには、自
然-人間-文化の相互作用全体を維持していくことが大事です。
SH“U”N プロジェクトでは、まず水産物の生息状態や水産物の利用が海洋環境や他の
生物に与える影響など、水産資源と海洋生態系の状態を評価します。つぎに、漁業管理
の仕組みや水産業を支える地域社会・文化など人間社会側のしくみを評価して、総合的
に水産資源の持続性評価結果をとりまとめます。さらに、食べ物としての価値にかかわ
る情報(健康・安心・安全など)もあわせることで、ご家庭や子供達にもわかりやすい
海区・県レベルでの魚種別評価リストとして発信していきます。
実際の評価作業では、各種統計情報に加えて当機構が実施している水産資源評価・希少性
評価結果、ならびに地域固有の漁業形態と地域に根ざした資源・漁業管理の状況を、持続的
な利用に関する基礎情報とします。南北に長い日本列島の環境多様性の下で、地球温暖化や
魚種交替現象など環境変動の影響、里海、混獲防止漁具開発、バランスドハーベスト等多様
な海洋生態系の視点に基づく研究成果情報を総合し、国内の漁獲物を対象に流通過程にお
ける品目名と県名等の原産地表示に対応した、魚種別評価リストを作成します。
3. 評価対象種
我が国の魚市場では魚類・貝類・甲殻類・海藻類などを含めて約 600 種以上の水産物
が取引されていますが、これらをすべて評価の対象とすることは作業的に困難です。本
プロジェクトでは以下の5項目に基づいて、海面漁船漁業を中心に評価作業優先順位を
決定し、四季に対応して順次魚種毎の評価結果を公表していきます。
1) 安定供給ニーズ
合理的な価格で安定的な供給が望まれている水産物。
2) 消費普遍性
消費者が直接手に取る可能性が高い水産物。
3) 漁獲量の多寡
国民の生活に大きく係わる、漁業生産量の大きな割合を占める水産物。
4) 地域食文化と伝統
地域限定の重要魚種もしくは地域で伝統的に食されている水産物。
5) 緊急的な保護必要性
各種調査により生物種としての資源枯渇が懸念されている水産物。
4. 評価基準
評価基準は、FAO の責任ある漁業に関するガイドライン、水産物エコラベルガイドラ
インに準拠して設定します。特に資源の状態と環境への配慮に関しては、GSSI (Global
Sustainable Seafood Initiative)の GBT (Global Benchmark Tool)を参考にし、データが不足する
場合には、生物や環境に与えるリスクを評価する手法として Risk Based Framework
(RBF)1)を採用します。また、管理の状況と地域の持続性に関しては、世界銀行がまとめ
た Fishery Performance Indicators (FPIs) 2)等を参考に、日本の社会特性に対応した基準を策
定します。栄養や食品としての機能など健康と安全安心に関わる最新の情報についても
可能な限り提供していく方針です。
図 評価項目概要案
GSSI: ドイツ政府の出資により設立されたドイツ国際協力公社(GIZ)
、国際的な水産関係企業 17 社及び NPO
法人 3 社により 2013 年 2 月に設立された戦略的連合組織であり、国際的なプラットフォームによる情報
交換の促進や、Global Benchmark Tool の開発及びこのツールに基づく各認証スキームの承認を行い、認証
スキームの世界的な信頼性確保と普及を目的としている。
1)
Hobday AJ et al. 2007. Ecological Risk Assessment for Effects of Fishing: Methodology. Report R04/1072 for the
Australian Fisheries Management Authority, Canberra.
2)
Anderson JL et al. 2016. The Fishery Performance Indicators: A Management Tool for Triple Bottom Line Outcomes.
PLOS ONE | DOI:10.1371/journal.pone.0122809 May 6, 2015.
5. 評価手順
評価プロセス・評価魚種の選定基準・評価基準と評価手順については、SH“U”N プロ
ジェクトチームで作成した原案を外部レビュー委員会による審議にかけて確定します。
決定された手続きと評価基準に基づいて評価作業を実施し、魚種別評価案を作成しま
す。魚種別評価案についてはパブリックコメントを求めて修正等を行った後、外部レビ
ュー委員会による審議に付して、最終評価結果を作成します。
6. 公表システムその他
当機構が包括連携協定を結んでいる女子美術大学の助言をいただきながら、スマート
フォンアプリの構築を進めるとともに、評価基準等の仕組みと評価結果については当機
構のホームページに適宜公表していきます。
東京オリンピック・パラリンピックを控えて、和食全般や水産物に対する消費者の意
識が変化しつつあることを考慮し、水産物の持続的な利用に関するインターネットアン
ケート調査を一定間隔で実施し、その結果を解析公表するとともに、公表システムの改
善と広報を図っていきます。
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