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自動車車室内における警報システムの認知性向上に関する研究
Study of Cognitive Improvement of Warning System
in Vehicle Interior
精密工学専攻 21 号 小林 真也
Shinya Kobayashi
2. 自動車車室内の音圧測定
近年,日本国内の自動車の新車販売台数の減少に伴い,自
動車メーカ各社は製品の付加価値向上と競合他社との差別
化を図るため,様々な製品に多機能化および高機能化が進ん
でいる.それに伴い,各機能に対しての機能音が複数混在し
ている(1).機能音は危険を知らせる警報音(2)(3)と電話の呼び
出しや自動車のウインカー音 (4) のように情報を知らせる報
知音に大別できる.警報音は,今後安価な自動車にも車間距
離センサ等の様々な安全センサが取り付けられ,需要が増加
すると考えられる.本研究では警報音の認知性に着目する.
本研究で使用する警報音は,ブザーにより 4082 Hz の正弦
波を吹鳴しており,パワースライドドアの挟み込み防止やド
アを開けた状態の発進時などに,乗員に対して危険を知らせ
る役割を担っている.ブザーは三列目座席の左右のトランク
サイドトリム内部に設置されている.
現在の警報音は二つの問題点が指摘されている.一つ目は,
音源からの距離が遠い運転席と距離が近い二列目座席や三
列目座席との座席間音圧差が大きくなり,運転席の認知性が
相対的に低くなっていること,二つ目は,20 代と 60 代の 4082
Hz に対する聴感特性の差が約 25 dB となり,現在の 4082 Hz
の警報音を用いた時,環境騒音や車室内環境により注意すべ
き方向の認知が困難な場合があることが挙げられる.
ここでは開口部から吹鳴される音の指向性を利用した運
転席と三列目座席の座席間音圧差を低減する手法と,音と振
動,音と警告灯による複合刺激を利用した警報システムの構
築により,運転席の認知性を向上させる.
0.8
Sound 1
ここでは左側に設置されているトランクサイドトリム内
部のブザーを対象として各座席の音圧を測定する.車室内幅
方向を X 軸,長さ方向を Y 軸,高さ方向を Z 軸とする.応答
点は車室内 P 1 から P 6 の各座席に設置したダミーヘッドの
左右耳位置とする.ここで三列目座席の左側である P 5 にダ
ミーヘッドを設置したときの左耳の時間軸データを Fig. 1
に示す.横軸に時間,縦軸に音圧を示す.吹鳴時間を Sound 1,
無音時間を Sound 2 とし,それぞれ 100 ms,100 ms とする.
各座席の音圧レベルを Fig. 2 に示す.横軸に座席位置,
縦軸にピーク周波数である 4082 Hz の音圧レベルを示す.こ
れより運転席である P 2 と二列目座席の左側である P 3 の左
右平均値の座席間音圧レベル差が 8.3 dBA,P 2 と P 5 が 19.0
dBA となり,座席間音圧差が大きいため,運転席の音圧が相
対的に小さいことが確認できる.
SP Pa
1. はじめに
5
0.0
Sound 2
-0.8
Time s
0.0
3.0
Fig. 1 Time history of warning sound
SPL dBA
80
20
1
3
2
4
5
6
Right
Average
Left
19.0 dBA
3. 適切な指向性の検討
3.1 二つのブザーによる指向性
自動車に搭載されているブザーを二つ用いて,4082 Hz の
半波長である 40 mm 離し,同音圧,同位相,同周波数で吹鳴
すると,Fig. 3 のような 90 °方向の音圧が高いことが知ら
れている.ここでは 4082 Hz を対象としているため,条件の
一つである同周波数に関しては問題ない.二つのブザーによ
る指向性を用いて,適切な指向性を検討する.
3.2 簡易ボックス内の適切な指向性の検討
車室内において,開口部を有する構造を作成し,指向性を
確認するのは構造上困難である.車室内を模擬した簡易ボッ
クスを用いれば,実験や音響解析により内部音圧や指向性の
測定を容易に行える.まず簡易ボックスを作成し,車室内と
の音響特性の傾向を比較する.
3.2.1 簡易ボックス
車室内を模擬するために,簡易ボックスを作成する.簡易
ボックスを Fig. 4 に示す.材質は厚さ 10 mm のアクリル板
とする.車室内をボックス A,トランクサイドトリム内をボ
ックス B と模擬する.ボックス A の内寸法は X 方向 680 mm,
方向 880 mm,Z 方向 780 mm,ボックス B の内寸法は X 方向
60 mm,Y 方向 360 mm,Z 方向 240 mm である.また運転席と
助手席の座席を模擬した X 方向 235 mm,Y 方向 10 mm ,Z 方
向 500 mm の吸音材をボックス A 内部の運転席と助手席を模
擬した位置に設置する.応答点は運転席右耳を模擬した位置
の Z 軸方向に 100 mm 間隔の三点を Row 1,二列目座席左側
Buzzer
90°
8.3 dBA
1
2
3
4
5
6
Position number
Fig. 2 Peak SPL each position
10dB
0°
180° 40 mm
Fig. 3 Directivity by two buzzers
Y
200
280
Z X
400
(c) X-Y side
(d) Y-Z side
Fig. 4 Simple model
X-axis
Z-axis
Diff. SPL dBA
10
4.1 簡易ボックス内部の音圧分布および位相分布
簡易ボックス内において,座席間音圧差の低減に有効な指
向性をもつ二つの開口部の位置を決定する.まず音響解析に
より簡易ボックス内部の音圧分布と位相分布を測定する.ボ
ックス B 内の Y-Z 平面に,警報音用のブザーが取り付けられ
ている PSD コントロールユニットを設置し,事前に測定した
音圧寄与の大きい箇所に点音源を配置する.応答点は原点か
ら Y 方向に 350 mm の X-Z 面の X 軸方向に 10 mm 間隔の 11
点,Z 軸方向に 20 mm 間隔の 5 点,計 55 点とする.
ボックス B 内の音圧分布を Fig.7 (a),位相分布を Fig. 7
(b)に示す.4082 Hz の半波長である 40 mm 離した音圧差分布,
位相差分布を算出する.例として,
40 mm 離した Point A と Point
B に関して,音圧差と位相差を式(1),式(2)のように定義
する.
音圧差=|音圧A−音圧B|
(1)
位相差=|位相A−位相B|
(2)
ここでは距離の関係により,Z軸方向の音圧差と位相差のみ
20
2
0
X
Z
Fig. 5 Difference SPL in box A and box B
X-axis
Z-axis
0
90
45
Angle °
40
Good
45
90
Angle °
Z X
Good
Modified points
Z X
0
Y
Fig. 6 Difference SPL in vehicle interior
90°
45°
0°
Y
0
3
Y
X
180
0
10dB Z
-180
Y
Phase °
Row 2
4. 簡易ボックス内の適切な指向性の構築
SPL dB
Y
所を適切な音源位置と仮定する.ブザーの設置方向,伝播方
向は 3.2.2 節と同様とする.応答点は車室内 P 2 と P 3 に設
置したダミーヘッドの左右耳位置とする.
車室内における右耳の伝播方向の各角度に対する座席間
音圧差を Fig. 6 に示す.横軸にブザーの伝播方向の角度,
縦軸に P 2 の右耳の音圧と P 3 の右耳音圧による座席間音圧
レベル差を示す.ブザーの伝播方向を 90 °方向に設置した
場合,ブザーの設置方向が X 軸方向の音圧レベル差は 5.6 dBA,
Z 軸方向の音圧レベル差は 1.6 dBA となり最も小さいことが
わかる.これより車室内において,ブザーの設置方向は Z 軸
方向,伝播方向は 90 °が適切であるということは,3.2.2
項と同様であり,また各角度の傾向も全体的に同様であるた
め,簡易ボックスは車室内を模擬できているといえる.
次章では,簡易ボックス内において,二つのブザーを代用
した二つの開口部による指向性を利用して座席間音圧差の
低減を行う.
Diff. SPL dBA
の左耳を模擬した位置の Z 軸方向に 100 mm 間隔の三点を Row
2 として設置する.
3.2.2 適切な指向性の検討
二つのブザーによる指向性を用いて,簡易ボックス内の適
切な指向性を検討する.二つのブザーをボックス B の原点か
ら Y 方向に 360 mm の壁面に設置する.ここでブザーの設置
位置は,事前に測定したボックス B の内部音圧分布から,音
圧の大きい箇所を適切な音源位置と仮定する.二つのブザー
の設置方向は,X 軸方向に 40 mm 離した時と Z 軸方向に 40 mm
離した時の 2 パターンとする.ブザーの伝播方向は,X 軸か
ら 0 °,45 °,90 °の 3 パターンとする.応答点は Row 1,Row
2 とする.
簡易ボックス内における伝播方向の各角度に対する座席
間音圧差を Fig. 5 に示す.横軸にブザーの伝播方向の角度,
縦軸に Row 1 の三点の平均値と Row 2 の三点の平均値による
座席間音圧レベル差を示す.ブザーの伝播方向を 90 °方向
にした場合,ブザーの設置方向が X 軸の音圧レベル差は 2.3
dBA,Z 軸の音圧レベル差は 0.3 dBA となり,最も小さいこと
がわかる.これは Row 2 に対して,音が最も伝わりにくい角
度であること,伝播経路として助手席を模擬した吸音材とボ
ックス A の壁面の隙間を利用したことにより Row 1 に対して
伝播しやすく,その結果,座席間音圧差が低減したことが考
えられる.これより簡易ボックス内において,ブザーの設置
方向は Z 軸方向,伝播方向は 90 °が適切であることがわかる.
3.3 自動車車室内の適切な指向性の検討
二つのブザーによる指向性を用いて,車室内の適切な指向
性を検討する.二つのブザーをトランクサイドトリム前方の
壁面に設置する.ここでブザーの設置位置は事前に測定した
トランクサイドトリムの内部音圧分布から,音圧の大きい箇
Absorption
Unit:mm
material
Box A
780
Box
B
Z
Z X 240
Y
Y
X
360
880
60
680
(a) Box A and box B
(b) Box B
Observation point
150
80
Row 1 Row 2
3ch
100
Row 1
2ch
100
70
70
1ch
Z
400
70
X
(a) SPL distribution
(b) Phase distribution
Fig. 7 SPL and phase distribution inside box B
を算出する.X 軸方向 5 点,Z 軸方向 9 点の計 45 点の音圧差
分布と位相差分布より,最も小さい二点を図中白丸として決
定した.この二点にφ10 mm の開口部を用いて,二つ開口部
による指向性を利用した座席間音圧差の低減の有効性を検
討する.
4.2 開口部を有する簡易ボックスの指向性の検討
4.1 節で決定した二点をボックス B に用いて,二つのブザ
ーの指向性を再現できるか検討する.二つの開口部の中心を
半円の中心とし,X 軸まわりの半径 300 mm,10 °ずつ,計
19 点を応答点とする.
二つのブザーの指向性と二つの開口部の指向性の比較を
Fig. 8 に示す.二箇所の開口部による指向性は全体として
90 °近傍方向の音圧が大きい指向性となっていて,二つの
ブザーの指向性と傾向が似ている.二つの開口部と二つのブ
ザーの指向性の相関係数は,0.76 となっており高い正の相関
関係が見られる.同音圧,同位相の二つの音源の指向性を,
同音圧,同位相の二つの開口部により再現できると言える.
4.3 開口部を有する簡易ボックス内の座席間音圧差測定
簡易ボックスにおいて,4.1 節で決定した開口部を用いて,
座席間音圧差を測定する.実験セットアップは 3.2.2 項と同
様である.
実験結果より Row 1 と Row 2 の座席間音圧差レベルは 1.4
dBA となり,二つのブザーを Z 軸方向,伝播方向が 90 °方向
に設置した時と同様に,座席間音圧差が低減しているのがわ
かる.これより簡易ボックス内において,二つの開口部の指
向性を利用することが座席間音圧差の低減に有効である.
次章では,車室内において,二つの開口部による音の指向
性を利用した際の有効性を検討する.
5. 自動車車室内の適切な指向性の構築
5.1 トランクサイドトリム内部の音圧分布および位相分布
車室内において,座席間音圧差の低減に有効な指向性をも
つ二つの開口部の位置を決定する.実験によりトランクサイ
ドトリム内部の音圧分布と位相分布を測定する.応答点はト
ランクサイドトリム前方内部の Y 軸方向に 20 mm 間隔の 3 点,
40
Two buzzers
Unit:mm
Modified
Modified
Box B
points
Buzzer
90°
PSD control
unit
10d
B
Z
t 10
Fig. 8 Comparison of two buzzers and modified
2
4
5
6
Sound 1
Original
Modified
0
Sound 2
1.2
0.0
(a) Sound
Z X
20
6.3 dBA
14.2 dBA
16.5 dBA
22.6 dBA
5
3
4
2
6
Position number
Peak SPL of right ear at each position after
modified
Force N
SPL dBA
Y
1
3
本章では,振動による複合刺激を利用して,警報システ
ムの認知性向上,特定の方向に対しての認知性向上を行う.
6.1 複合刺激の有効性評価
評価刺激に用いる音の入力波形の時間軸を Fig. 10 (a),
振動の入力波形の時間軸を Fig. 10 (b)に示す.音と振動の
開始時間は同期させる.吹鳴時間,無音時間の定義は 2 節と
同様とする.ここで Duty 比を式(3)のように定義する.
Duty ratio (%) = Sound 1 / (Sound 1 + Sound 2)×100
(3)
評価セットアップを Fig. 11 に示す.無響室内でスピーカ,
加振器により評価刺激を出力する.スピーカ位置は座席から
X 方向に 1 m,Y 方向に 1.5 m とし,加振位置は座席の背中と
する.評価刺激は音単体,振動単体,音と振動の複合刺激の
3 刺激とする.周波数,Duty 比, Sound 1,Sound 2 の各パ
ラメータについて,音は 4082 Hz,80 %,125 ms,31.3 ms,
振動は 100 Hz,25 %,39.3 ms,117 ms とする.振動は,出
力が大きい刺激と小さい刺激の 2 種類を用いる.評価手法は
一対比較法を用いる.被験者数は 21∼25 歳 14 名である.
評価結果を Fig. 12 に示す.横軸は刺激内容,縦軸は他の
評価刺激との相対距離である認知性得点とする.認知性が高
い順番に複合刺激,音単体,振動単体となり,振動の出力の
大きさに関係なく,複合刺激の有効性が確認できる.同様な
傾向を音と警告灯による複合刺激でも確認している.
6.2 適切な振動のパラメータの選定
まず振動の適切な加振位置を求める.評価セットアップと
評価刺激である振動単体は 2.1 節と同じとする.加振位置は
ステアリング下部,座席の腰,背中,肩甲骨の 4 箇所とする.
被験者数は 21∼25 歳 17 名である.評価手法は一対比較法に
Y X
0°
80
6. 複合刺激を利用した認知性向上
SP Pa
180°
R=0.76
Z 軸方向に 10 mm 間隔の 30 点,計 90 点とする. ここでも距
離の関係により,Z 軸方向の音圧差と位相差のみを算出する.
Y 軸方向 3 点,Z 軸方向 28 点の計 84 点の音圧差分布と位相
差分布を算出し,最も小さい二点を決定した.トランクサイ
ドトリムのこの二点にφ10 mm の開口部を作成して,座席間
音圧差を低減する手法の有効性を検証する.
5.2 開口部を有する自動車車室内の座席間音圧差測定
車室内において,5.1 節で決定した開口部を有する構造の
座席間音圧差を測定する.実験セットアップは 2 章と同様である.
各座席の右耳の音圧レベルを Fig. 9 に示す.P 2 と P 3
の座席間音圧レベル差が 16.5 dBA から 6.3 dBA,P 2 と P 5
が 22.6 dBA から 14.2 dBA となり,どちらも座席間音圧差の
低減が確認できる.左耳も同様の傾向が得られた.これより
二つの開口部による音の指向性を利用して,座席間音圧差を
低減することができ,運転席の認知性が向上したといえる.
0
1
Fig. 9
0.0
Time s
1.2
(b) Vibration
Fig. 10 Time history of compound simulation
よる認知性評価により,認知性が高い順番に肩甲骨,背中,
腰,ステアリング下部となり,直接振動を伝達しやすい座席
加振の認知性が高く,頭部に近づくほど認知性が高い.方向
を認知させるのに面積が大きい座席は有利であるため,以降
は肩甲骨を適切な加振位置とする.
次に適切な振動のパラメータを求める.被験者数は 21∼25
歳 15 名である.一対比較法による認知性評価により,振動
のパラメータである周波数,Duty 比として 100 Hz,50 %を
適切値として,以降用いる.
6.3 方向の認知性評価
6.3.1 音の指向性を利用した認知性評価
音源位置の認知を明確にするために,音の指向性を利用し,
音源位置 C の認知率を向上させる.音の指向性を用いるため,
警報音のブザーが設置されている右トランクサイドトリム
前方の Z 軸方向に 40 mm 離したφ10 mm×2 を開口する.
評価セットアップを Fig. 13 (a)に示す.被験者は運転席
に座り,評価刺激に対する方向を A から F の 6 方向から選択
する.評価刺激は音単体,指向性を利用した音単体の 2 刺激
とする.被験者数は 21∼25 歳 18 名である.
評価結果を Fig. 13 (b)に示す.方向の認知性を認知率と
し,全被験者の中で何 %の被験者がその方向を選択したと定
義する.音単体の場合,後方の認知率が全体的に高く,方向
の認知が曖昧である.これは音漏れ箇所が右後方のスピーカ
口となり広がるように放射しているためと考えられる.C に
関して比較すると音単体では 27 %,指向性を利用した音単体
では 78 %と認知率が向上している.これは音の指向性により
左右耳位置の音圧レベル差が 8.8 dBA から 18.4 dBA と大き
くなったため,より明確になったと考えられる.左音源位置
E を対象としたときも認知率が向上することを確認している.
6.3.2 振動を利用した認知性評価
特定の方向の認知性を向上させるために新たな警報音の
ブザーを設置する場合,車室内構造の制約により設置の困難
な場合がある.ここでは音源を C に固定して,音と振動の複
合刺激を利用して,車線逸脱時に必要な右方向 B の認知率を
向上させる.評価セットアップを Fig. 14 (a)に示す.評価
刺激は音単体,音と振動の複合刺激の 2 刺激とする.音と振
動のパラメータは 6.2 節で求めた適切値を用いる.被験者数
は 21∼25 歳 15 名である.
X
Excitation point
Anechoic
room
Speaker
Z
X
Seat
Z
Y
1.5m
1m
Seat
Y
Fig. 11 Experimental setup of compound stimulation
Cognitive point
Good
Bad
3.0
Small
Big
1.0 3.1
0.0
-3.0
Sound Vibration
Sound +
Vibration
Stimulation
Fig. 12 Effectively of compound stimulation
A
80 %
Stimulation point
Sound (original)
Sound (modified)
40 %
F
0%
B
A
B
F
C
E
E
C
D
D
C: 27 %
⇒ 78 %
(b) Evaluation result
(a) Evaluation setup
Fig. 13 Direction cognition evaluation of sound
A
80 %
Stimulation point
Sound (original)
Sound + vibration
40 %
F
0%
B: 0 %
⇒ 53 %
B
A
F
B
E
C
E
C
D
D
(a) Evaluation setup
(b) Evaluation result
Fig. 14 Direction cognition evaluation of compound
stimulation
評価結果を Fig. 14 (b)に示す.B に関して比較すると音
単体では 0 %,音と振動の複合刺激では 53 %と認知率が向上
している.また全体的に右方向への意識が強くなっている.
被験者が振動の影響を受けていることがわかる.左方向 F を
対象としたときも認知率が向上できること,また同様な傾向
を音と警告灯による複合刺激でも確認している.
以上の結果から,音の指向性や複合刺激を利用することに
より,運転に必要な左右方向の認知性を向上できるといえる.
7. 研究成果
(1) 半波長離した同音圧,同位相の二つの開口部とすること
により,半波長離した二つの点音源の指向性と同等とな
り,運転席に適切な指向性の設置方法を提案した.
(2) 車室内において,指向性をもつ二つの開口部を有する構
造により,座席間音圧差の低減を実現し,運転席の認知
性を向上できた.
(3) 音と振動による複合刺激を利用して,音単体よりも認知
性を向上でき,適切な加振位置,周波数,Duty 比を選定
した.
(4) 音の指向性を利用して,音源方向の認知性を向上できた.
また音と振動による複合刺激を利用して,音源位置とは
異なり,運転に必要な左右方向の認知性を向上できた.
参考文献
(1) 倉片, 報知音の標準化に向けた動き ,騒音制御工学
Vol.25,No.1,pp.24-25,(2001).
(2) 小林 他, 自動車車室内における音の指向性を利用し
た警報システムの認知性向上 ,日本音響学会講演論文
集(春),2-3-9,(2010).
(3) 小林 他, 自動車車室内における複合刺激を利用した
警報システムの認知性 向上 ,日本音響学会講演論文
(春),2-3-10,(2010).
(4) 甚内 他, 自動車ウインカー音の音質評価による快音
化 ,日本音響学会講演論文集(春),pp.959-962,(2008).
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