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米国環境情報 - 日本産業機械工業会
●米国環境情報 ○ 再生可能エネルギーおよび省エネ税制法案、下院を通過 「2008年再生可能エネルギーおよび省エネ税制法案(H.R.5351)」 が2月12日に議会に提出され、 同月27日に下院を通過した。再生可能エネルギー業界の強い要望により、昨年12月のエネルギー 法で取上げられなかった再生可能エネルギー投資・生産税額控除の延長が盛り込まれている。具 体的には、風力、バイオマス、地熱といった再生可能資源による電力生産税額控除(PTC)の 2011年までの延長、セルロース・エタノールに対する生産税額控除(PTC)の設立、太陽エネ ルギーと燃料電池資産に対する投資税額控除の2016年までの延長などが含まれている。今後、上 院の審議にかけられる。 ○ アルストム、EPRI、ウイエナジーズの3社、冷却アンモニア利用のCO2回収プロジェクト アルストム(Alstom)、EPRI(Electric Power Research Institute) 、ウイエナジーズ(We Energies)の3社は共同で、冷却アンモニアを利用して石炭発電所ボイラーの煙道ガスの一部から CO2を回収し、高濃度・高圧で隔離するというパイロットプロジェクトを発表した。同プロジェク トは、ウイエナジー社の発電量1,210MWのプレザント・プレーリー発電所で3月初旬から開始され、 アルストム社が1.7MWのシステムの設計と運転を担当し、EPRI社は技術、環境性能及びコスト分 析を担当する。研究室の実験では、他の炭素回収技術に比べ遥かに低コストで、CO2の90%以上を 回収する能力が示されたという。 ○ カリフォルニアの大手企業14社、再生可能エネルギー電力の調達で協力体制 世界資源研究所(WRI)は、2月26日、カリフォルニア州に拠点を持つ大手企業14社が「グ リーンパワーグループ-カリフォルニア・アフィリエーツ」のパートナーシップを結んだことを 発表した。ウォルマート、アップル、インテル、ヒューレット・パッカード、イーベイ(eBay) 、 グーグルを含む14社は、再生可能エネルギー電力の調達に関して成功事例を共有し、各自の環境 目標の達成、電力価格の変動影響の緩和、新たなクリーン技術の支援などを行っていく。世界資 源研究所では、既に米国とヨーロッパでそれぞれ企業パートナーシップを立ち上げており、両者 を合わせて事業者からの購入や自社工場発電などにより、600MWの再生可能エネルギー電力を調達 したという実績を持っている。 -32- 情報報告 シカゴ ○ ウォルマート社と全米知事協会、州議会議事堂のグリーン化で協力体制 ウォルマート社と全米知事協会は、2月26日、州議会議事堂のグリーン化に向けたパートナー シップを結ぶことを発表した。この官民の協力体制により、各州議会議事堂のエネルギー監査が 実施され、効率改善とコスト削減に関する提案が行われる。ウォルマート社は、自社の省エネ対 策の実績を生かし、専門の技術チームを議事堂に派遣して調査を行い、世界中の同社店舗で培っ てきたノウハウを基に照明、暖房や空調システム、冷却装置などに関する改善案を提言する。こ れにより、州と地方自治政府を合わせて年間110億ドルというエネルギー消費量の削減を図り、エ ネルギー効率改善とコスト削減の手本となることが期待されている。 ○ アリゾナ公益サービス、世界最大の集中型太陽熱発電所の建設計画 アリゾナ公益サービス(APS)は、2月21日、世界最大の280MWの集中型太陽熱(CSP)発電 所をアリゾナ州フェニックスの南西に位置するヒラベンド(Gila Bend)に建設する計画を発表し た。このソラナ発電基地は、コロラド州デンバーに拠点を持つアベンゴア・ソーラー社によって 建設、2011年に運転開始される予定で、完全操業時にはおよそ7万世帯の電力を供給する能力が ある。最新技術によって日中にエネルギーの生産と同時に貯蔵も行い、需要ピーク時に供給する ことが可能となる。 ○ 2006年の有害化学物質排出インベントリーを公表 2006年の有害化学物質排出インベントリー(TRI) が環境保護庁から2月21日に公表された。 全国の環境への化学物質排出量は2005年から2%減少しており、2001年から2006年では24%の減 少となったことが明らかになった。TRIはオンラインの電子データベースで、全国の約23,000 の産業施設や政府施設から排出されるおよそ650の化学物質を追跡し、排出量の詳細情報を得るこ とができる。 ○ カナダ・ブリティッシュコロンビア州、炭素税の導入 カナダのブリティッシュコロンビア州は、2月19日、環境保護を促進すると共に経済の活性化 を目指す、気候変動への幅広い新対策を盛りこんだ2008年度予算を発表した。2020年までに同州 の温暖化ガス排出量を1/3削減することを目的として、税収中立の炭素税導入、4億4,000万ド ルの“気候変動配当金”の供与、10億ドル以上の気候変動対策プログラムと優遇税制度が盛り込 まれている。 “世界で最も幅広く包括的”というこの炭素税は、ガソリン、ディーゼル、天然ガス、 石炭など全ての化石燃料を対象としており、7月1日から低所得者保護のために税収中立型として 開始され、徐々に税率を引上げていく予定である。今後3年間で18億4900万ドルの税収が見込ま れている。 -33- 情報報告 シカゴ ○ グリーンカーランキングに天然ガスとハイブリッド自動車 米国エネルギー合理化経済評議会(ACEEE)から2月19日、2008年モデルの乗用車を対象に、主 に排出量と燃費面において環境への配慮度を評価するグリーンカーランキングが発表された。 “最 もグリーン”な車には、ホンダの天然ガス車シビックGXが5年連続で選ばれた。ハイブリッド車 は引き続き好成績で、トヨタのプリウス、ホンダのシビックハイブリッドが2位、3位と続いた ほか、日産のアルティマが6位、トヨタのカムリ(共にハイブリッド)が10位に入っている。準 小型車も好調で、新しく輸入開始されたスマートのフォートゥー(Smart Fortwo)が4位に、ト ヨタのヤリウス(日本名ビッツ)が5位、ミニクーパーが8位、ホンダのフィットが12位となっ た。小型車も堅調に、トヨタのカローラ、フォードのフォーカス、ホンダのシビックがトップ12 に入っている。 ○ エネルギー省、住宅建設業界向け「ビルダーズ・チャレンジ」を創設 エネルギー省は、2月14日、住宅建設業界向けの自発的全国エネルギー節約プログラム「ビル ダーズ・チャレンジ」を創設し、2012年までに高性能・高エネルギー効率住宅22万戸の建設を目 指している。2006年国際エネルギー保存基準にそって建設される高性能住宅は、典型的な新築住 宅と比べてエネルギー使用量を30%以上節約できる。既に38の住宅建設業者が、推定で合計6千 戸の高性能住宅の建設を約束している。また、冷暖房エネルギー消費量を通常の50%以下に削減 した住宅の所有者には、2005年エネルギー政策法により2,000ドルの連邦税額控除が認められる。 ○ 米欧の投資家連合、炭素集約型の投資に厳格な姿勢 ニューヨークで開催された「気候リスクにおける機関投資家サミット」において2月14日、米 国と欧州の大手機関投資家49社が共同で、 気候変動行動計画を発表した。 この行動計画の要旨は、 エネルギー効率とクリーンエネルギー技術への投資を促進し、長期的な財政危機をもたらす可能 性のある炭素集約型の投資に対しては厳格な調査を要求するものである。行動計画に署名したの は、「環境に責任を持つ連携(CERES)」に参加する、カリフォルニア、フロリダ、ニューヨーク、 ロンドン等の投資家で、運用資産総額は1兆7,500億ドルである。また運用資産総額6兆5000億ド ルの欧州投資家らも、この行動計画を原則的に支持している。 ○ 再生可能燃料基準(RFS)を7.76%に引き上げ 環境保護庁(EPA)は、2月8日、自動車向け非石油燃料混合率を決定する2008年再生可能 燃料基準(RFS)を7.76%に引上げた。これは、ブッシュ大統領が12月に署名したエネルギー 自立・安全保障法によって、輸送燃料に混合される再生可能燃料量が90億ガロン以上と義務付け られたことに対応するものである。 再生可能燃料を54億ガロンとした旧基準では、RFSは4.66% だった。再生可能燃料混合量は毎年引上げられ、2022年には360億ガロンに達する計画である。 -34- 情報報告 シカゴ ○ インターネット上に温暖化ガス計算システム登場 環境保護庁では、日常生活での温暖化ガス削減効果の理解を深めるために、インターネット上 に新たに温暖化ガス計算システム(*)を導入した。これは、年間の運転乗用車台数、ガソリン消費 量、電気使用量などを入力すると、その温暖化ガス排出量(CO2換算)を推計し、また逆に、排出 量や電気消費量等を入力すると、その節減手法を最大13通り提示してくれる。一例として、典型 的世帯で白熱灯をエネルギースター認定のコンパクト蛍光灯に換える場合、年間で照明電気使用 量の約75%に当たる1,463kWhを節減し、5年間では530ガロンのガソリンの節約に相当するという。 * http://www.epa.gov/cleanenergy/energy-resources/calculator.html ○ 米国の原子力発電所、2007年に過去最高の発電量と効率性 原子力エネルギー協会は、米国で操業中の104の原子力発電所は、2007年に発電量と運転効率に おいて過去最高を記録したと2月6日に発表した。米国の原子力発電所の2007年中の総発電量はお よそ8070億kWhであり、過去最高だった2004年の7885億kWhを2%超上回り、また平均生産能力は 91.8%となり、2004年の最高記録90.1%を凌いだ。一方、2007年の平均生産コストは1.68セント/ kWhと、2005年の記録1.72セント/kWhよりも減少している。石油やガス価格の高騰と、海外への依 存度がますます高まる中、原子力発電の信頼性、コスト、クリーンといった面が見直されている。 ○ サンディエゴ・ガス&電気、40MWの地熱エネルギー購入契約 サンディエゴ・ガス&電気(SDG&E)は、2月4日、エスメラルダ・トラックヘイブン社 (カリフォルニア州インペリアル)との電力購入契約に署名し、40MWの地熱エネルギーを地域の 電力システムに供給する計画を発表した。これにより、SDG&Eのエスメラルダからの地熱エ ネルギーの総契約量は60MWとなる。SDG&Eは、2010年までに総エネルギーの20%を再生可能 資源から賄うというカリフォルニア州の必要条項を充たすため、今後もエスメラルダ社のような 再生可能エネルギー開発業者の協力を求めていく方針である。 ○ ペルフルオロオクタン酸、自主的削減プログラムにより大幅削減 ペルフルオロオクタン酸(PFOA)の自主的削減プログラム2010/15 PFOA管理プログラムに 参加する主要8企業の報告により、2010年までにPFOA排出量と製品含有量を95%削減すると いう目標達成に向けて、PFOA排出量の大幅減少が実現していることが明らかになった。PF OAはC8とも呼ばれ、調理器具の焦付き防止表面加工や衣類の防水加工に用いられるフッ素重 合体の製造過程で発生し、また、カーペット等の泥・シミ・油汚れ防止加工に用いるテロマーが 分解される際にも発生する。残留性があるため野生動物や人体から低レベルで検出されている。 3M、チバ(Ciba) 、デュポンの3社は米国内の排出量を98%以上削減しており、代替物質の開発 では、旭硝子が2006年後半にPFOAを使用しない新生産ラインを導入したのを始め、デュポン、 3Mでも導入を計画している。参加企業8社には他に、ダイキン、アルケマ(Arkema)、クラリア ント(Clariant) 、ソルベイ・ソレクシス(Solvay-Solexis)がある。 -35-